JPH07240036A - 光ディスク基板 - Google Patents

光ディスク基板

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JPH07240036A
JPH07240036A JP6030021A JP3002194A JPH07240036A JP H07240036 A JPH07240036 A JP H07240036A JP 6030021 A JP6030021 A JP 6030021A JP 3002194 A JP3002194 A JP 3002194A JP H07240036 A JPH07240036 A JP H07240036A
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JP
Japan
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substrate
water
change
humidity
recording layer
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JP6030021A
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Minoru Kikuchi
稔 菊地
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 光ディスク基板1の材料として、温度30℃
における水の拡散定数Dが5×10-7cm2 /秒のもの
を用いる。 【効果】 記録部を片側にのみ形成した場合に、環境湿
度変化によって含水率分布が生じ難く、含水率分布によ
る反りが小さい光ディスク基板が得られる。また、この
光ディスク基板は、薄型化した場合でも反りが3mra
d程度と充分小さく抑えられる。したがって、記録部が
基板の片面にのみ形成された単板構成の光ディスクに用
いて好適であるとともに、単板構成の光ディスクの薄型
化,記録データの高密度化,カートリッジを含めたメデ
ィアサイズの小型軽量化に大きく貢献できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ディスク基板に関し、
特に単板構成の光ディスクに用いて好適な光ディスク基
板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、レーザ光の照射により情報の記録
・再生を行う光ディスクとしては、光磁気ディスク,各
種追記型光ディスク,デジタルオーディオディスク(い
わゆるコンパクトディスク),光学式ビデオディスク
(いわゆるレーザーディスク)等の各種媒体が実用化さ
れている。
【0003】これら光ディスクは、いずれもポリカーボ
ネート等のプラスチック製透明基板上に記録層や反射膜
等の機能膜よりなる記録部が形成された構成とされる。
【0004】上記記録層としては、光磁気ディスクで
は、磁気光学特性(カー効果やファラデー効果)を有す
る垂直磁化膜,たとえばTbFeCo合金薄膜等の希土
類−遷移金属非晶質合金膜が成膜され、追記型光ディス
クでは、低融点金属薄膜,相変化膜,有機色素を含有す
る膜等が成膜される。また、反射膜としては、高反射率
を有し、かつ熱的に良導体であることからAl反射膜が
一般に形成される。
【0005】以上のような光ディスクは、単板のプラス
チック基板の片面に記録部が形成された単板構成や、片
面に記録部が形成された単板のプラスチック基板を2枚
貼り合わせ、裏表両方から記録・再生が行えるようにし
た両板構成等、その用途に応じた構成とされて使用され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これら光デ
ィスクにおいて用いられるプラスチック製の透明基板
は、外部環境の湿度変化によって、含有水分量が変化
し、それに比例して体積が膨張する性質がある。
【0007】このようなプラスチック基板の片面にのみ
記録部が形成された単板構成の光ディスクでは、記録部
が形成された側は金属よりなる記録部が基板への水の透
過を遮断するのに対して、記録部が形成されていない側
は基板が直接外部環境に曝されているので水をよく透過
する。このため、環境湿度が変化した場合には、記録部
が形成されていない側からのみ水分の流出入が起こり、
基板の厚さ方向に含水率分布が生じる。
【0008】基板の厚さ方向に含水率分布が生じると、
上述の如くプラスチック製の基板では含有水分量に比例
して体積が膨張する性質があるので、基板の両側で体積
膨張量に差ができる。その結果、基板に反りが発生する
ことになる。例えば、厚さ1.2mmのポリカーボネー
ト(PC)基板を用いた3.5インチサイズの単板光磁
気ディスクの場合、温度を30℃に固定して環境湿度を
80%RHから10%RHに600秒で変化させると、
最大6mradの反りを生じてしまう。
【0009】このように環境湿度変化によって基板に反
りが生じてしまうと、信号再生に際してサーボに大きな
負担がかかるとともに特にヘッド摺動方式を採用する場
合にはヘッドとの当たりが不安定になる。
【0010】また、高密度記録化を図る上では、基板厚
は記録感度等の点から薄いほうが有利であり、将来的に
は現行の1.2mmよりもさらに薄くなるものと推測さ
れる。しかし、含水率分布による基板の反り変化量は、
基板厚に反比例し、基板が薄くなる程大きくなる。例え
ば、上記光磁気ディスクで、PC製基板の厚さを0.8
mmまで薄くすると、上記環境湿度変化による反り変化
量は9mradに達する。この反り変化量を考慮すると
基板の薄型化が自ずと制限され、高密度記録化を妨げる
結果にもなる。
【0011】両板構成の光ディスクでは、環境湿度の変
化によって基板に含水率分布が生じても、同じ構成の2
枚の基板が互いに体積膨張量の差を相殺するため、反り
の問題は生じないが、片面構成の光ディスクでは、この
ような環境湿度変化による反りの問題の解消が高密度記
録化に向けて強く望まれている。
【0012】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、記録部を片側にのみ形成
した場合に、環境湿度変化による反り変化が小さく、単
板構成の光ディスクに用いて好適な光ディスク基板を提
供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の光ディスク基板は、温度30℃における
水の拡散定数Dが5×10-7cm2 /秒以上のプラスチ
ック材料よりなることを特徴とするものである。また、
プラスチック材料が、ポリビニルアルコール,ポリビニ
ルピロリドン,ポリオキシエチレンのいずれかであるこ
とを特徴とするものである。
【0014】図1に、PC基板の環境湿度と平衡吸水率
の関係を示すが、このようにプラスチック基板は、外部
環境の湿度変化によって含有水分量が変化し、その含有
水分量に比例して体積が膨張する性質がある。
【0015】このようなプラスチック基板の片面に記録
層を形成した場合、記録層が形成された側はこの記録層
によって基板への水の透過が遮断されるのに対して、記
録層が形成されていない側は基板が外部環境に直接曝さ
れているので水をよく透過する。
【0016】このため、例えば基板をある環境下で長期
間保管した後、温度一定で湿度の異なる環境下に移動さ
せた場合、記録層が形成されていない側からのみ水の流
出入が起こり、基板の厚さ方向に含水率分布が生じる。
これにより基板の両面で体積膨張量に差が生じ、その結
果反りが発生する。この基板の反りは、Fickの第2
法則で表される水の拡散によって含水率分布が平衡に達
し、体積膨張量が基板全体で同じになることで解消され
るが、それまでの間上記反りの状態は維持されているこ
とになる。
【0017】本発明では、このように記録層を片面に形
成した場合の環境湿度変化による反り変化量を小さく抑
えるとともに、この反りが維持されている時間を短縮す
ることを目的として、基板に用いるプラスチック材料の
温度30℃における水の拡散定数Dを5×10-7cm2
/秒以上に規制する。
【0018】温度30℃における水の拡散定数Dが5×
10-7cm2 /秒以上と大きなプラスチック材料よりな
る基板では、環境湿度の変化によって片面からのみ水の
流出入が生じても、基板内の水の移動が速く進むので、
含水率に分布が生じ難く、また含水率に分布が生じても
早期に解消される。したがって、反り変化量が小さく抑
えられ、また反りのない良好な形状が速やかに復元され
ることになる。
【0019】温度30℃における水の拡散定数Dが5×
10-7cm2 /秒以上のプラスチック材料の具体例とし
ては、ポリビニルアルコール(D=7.5×10-7cm
2 /秒),ポリビニルピロリドン(D=9.6×10-7
cm2 /秒),ポリオキシエチレン(D=37×10
-7 cm2 /秒)等が挙げられる。これらの単体あるい
は複合体を材料として基板を作製すれば良い。また、こ
れらとポリカーボネートの重合体でも良い。
【0020】
【作用】片面に記録層が形成されたプラスチック基板で
は、環境湿度が変化した場合、記録層が形成された側は
当該記録層によって水の透過が遮断されるので、記録層
が形成されていない側からのみ水の流出入が起こる。し
たがって、基板の厚さ方向で含水率分布が生じ、その結
果反りが発生する。
【0021】このとき、プラスチック基板の温度30℃
における水の拡散定数Dが5×10 -7cm2 /秒以上で
あると、環境湿度の変化によって片面からのみ水の流出
入が生じても、基板内の水の移動が速く進むので、含水
率に分布が生じ難く、また含水率分布が生じても早期に
解消される。したがって、反り変化量が小さく抑えら
れ、また反りのない良好な形状が速やかに復元されるこ
とになる。
【0022】
【実施例】本発明の好適な実施例について実験結果に基
づいて説明する。なお、本実施例では、まず従来より用
いられているPC基板の反りの発生原因を検討し、さら
に基板の反りを解消するための水の最適拡散定数Dにつ
いて検索した。
【0023】まず、図2に示すように、厚さLが2mm
の円板状PC基板1の片面に、ディスク中心から27m
mの範囲を円状に除いて膜厚1100 の第1のSi3
4誘電体膜,膜厚230 のTbFeCo記録磁性
膜,膜厚350 の第2のSi 3 4 誘電体膜,膜厚5
50 のAl反射膜を順次成膜して記録層2を形成し
た。
【0024】そして、環境湿度を変化させた場合の含水
率分布及び含水率分布の経時変化を調べた。但し、ここ
で含水率とは、(相対湿度x%での平衡吸水率)/(相
対湿度100%での平衡吸水率)×100によって算出
されるものである。
【0025】なお、環境湿度変化は図3に示すタイムコ
ースで行った。すなわち、片面に記録層を形成したPC
基板を、図3に示すように温度23℃,相対湿度80%
の環境下で長期間保管した後、この環境条件をt=0の
時点で温度23℃,相対湿度10%に一瞬の間に変化さ
せた。そして、その後、経過時間毎に基板厚さ方向の含
水率を測定した。なお、基板は、温度23℃,相対湿度
80%の環境下で長期間保管している間に、含水率が充
分に平衡に達していたものとする。
【0026】各経過時間毎の基板厚み方向の含水率分布
を図4に示す。図4中、横軸は基板の記録層が形成され
ていない側の基板面を0mmとしたときの基板厚み方向
の位置、縦軸はその位置における含水率である。
【0027】まず、環境湿度が80%RHであるときに
は、基板の含水率は厚さ方向全体に亘って一様に80%
であるが、t=0の時点で環境湿度を10%RHに減少
させると、基板の記録層が形成されていない側から外部
に水の流出が生じる。
【0028】このため、図4に示すように、環境湿度を
10%RHに変化させてからの経過時間が短い場合に
は、記録層が形成されている側,すなわち横軸の値が
1.2mmに近づく程含水率が大きくなる含水率分布を
有する。しかし、この含水率分布は時間の経過に伴って
小さくなり、t>500000秒以上になると平衡に達
し、厚さ方向全体に亘って含水率が一様に10%なる。
【0029】以上の結果から、片面に記録層が形成され
たプラスチック基板では、環境湿度を変化させると基板
の厚さ方向に含水率分布が生じること、そしてこの含水
率分布は時間の経過とともに徐々に消失することが確認
された。
【0030】次に、この含水率分布が基板の反りの原因
になることを確認するために、片面に記録層が形成され
た円板状のPC基板について、環境湿度を変化させたと
きの経過時間とスキュー変化量の関係を実測で調べると
ともに、水の拡散定数によって求められる含水率分布
と、相対湿度1%当たりの線膨張係数a及び測定位置の
関係からスキューの経時変化を計算によってシミュレー
ションした。
【0031】PC基板は厚さ1.2mm,直径130m
mであり、スキュー変化量測定位置は中心からの距離r
が60mm,すなわち記録層形成開始位置からの距離d
が37mmである。なお、スキュー変化量は、図5に示
すように、測定位置Dから基板の法線方向に延在した線
分Rと回転軸とのなす角度θとして求めた。
【0032】実測に際して、湿度変化は、図6に示すよ
うに、PC基板を温度23℃,相対湿度100%の環境
下で長期間保管した後、この環境条件をt=0の時点で
温度23℃,相対湿度35%に一瞬の間に変化させるこ
とで行った。また、スキューの経時変化のシミュレーシ
ョンは、PC基板の温度23℃における水の拡散定数D
を6.5×10-8cm2 /秒、相対湿度1%当たりの線
膨張係数aを6.5×10-6として行った。
【0033】実測結果及び計算によるシミュレーション
結果を併せて図7に示す。
【0034】図7から、実測結果と計算結果ともに、ス
キュー変化量はピーク値を有する曲線で表され、両結果
は極めて一致性が良いことが示される。このことから、
プラスチック基板では厚さ方向での含水率分布が反りの
原因となり、その経時変化は水の拡散定数から求められ
る含水率分布と、相対湿度1%当たりの線膨張係数aと
測定位置の中心からの距離r,(正確には記録層形成開
始位置からの距離d)の関係によってシミュレーション
可能であることがわかった。
【0035】次に、片面に記録層が形成された円板状の
プラスチック基板において、基板の水の拡散定数Dを各
種変化させたそれぞれの場合について、環境温度を30
℃に固定して環境湿度を変化させたときの経過時間とス
キュー変化量の関係を計算によって求めた。
【0036】なお、基板の温度30℃における水の拡散
定数Dは、17.8×10-8cm2/秒,8.90×1
-8cm2 /秒,4.45×10-8cm2 /秒,2.2
3×10-8cm2 /秒の4種類を採用した。このうち
8.90×10-8cm2 /秒は、PC基板の温度30℃
における水の拡散定数Dである。
【0037】また、基板の寸法は、直径86mm,厚さ
1.2mmであり、スキュー変化量の測定位置は中心か
ら40mm(記録膜形成開始位置から20mm)であ
る。
【0038】また、環境湿度は、基板を温度30℃,相
対湿度80%の環境下から600秒かけて温度30℃,
相対湿度10%に変化させたと仮定した。
【0039】この条件で求められた基板の環境湿度を変
化させたときの経過時間とスキュー変化量の関係を図8
に示す。図8から示されるように、スキュー変化量のピ
ーク値は水の拡散定数Dに依存せず一定であり、スキュ
ー変化量がピークに到達する時間は水の拡散定数Dが大
きいほど短縮される。このことから、水の拡散定数Dを
制御することによって、スキュー変化量のピーク到達時
間が調整できることがわかった。
【0040】また、さらに、片面に記録層が形成された
プラスチック基板において、厚さを各種変化させたそれ
ぞれの場合について、環境温度を30℃に固定して環境
湿度を変化させたときの経過時間とスキュー変化量の関
係を計算によって求めた。
【0041】なお、基板の温度30℃における拡散定数
は、8.90×10-8(cm2 /s)とした。また、基
板の寸法は、直径が86mm,厚さが0.6mm,0.
8mm,1.0mm,1.2mmのいずれかであり、ス
キュー変化量の測定位置は中心から40mm(記録膜形
成開始位置から20mm)である。
【0042】また、環境湿度は、基板を温度30℃,R
H80%の環境下から600秒かけて温度30℃,RH
10%に変化させたと仮定した。
【0043】この条件で求められた基板の環境湿度を変
化させたときの経過時間とスキュー変化量の関係を図9
に示す。図9から、基板のスキュー変化量のピーク値は
基板厚が薄くなる程大きくなる,すなわち基板厚と反比
例し、そしてスキュー変化量のピーク到達時間は基板厚
が薄くなる程短縮されることがわかる。
【0044】以上、図7〜図9の結果から、記録層が片
面に形成されたプラスチック基板では、環境湿度変化に
よる反り変化量θのピーク値は、反り測定位置の記録膜
形成開始位置からの距離と湿度1%当たりの線膨張係数
aに比例し、基板厚Lに反比例すること、そして拡散定
数Dは反り変化量θに関係せず、反り変化量θのピーク
到達時間に関係があることがわかった。
【0045】以上の実験は、環境湿度変化を600秒と
いう短い時間で行ったが、例えば3.5インチ、5,2
5インチの光磁気ディスクのISO規格では、湿度は1
時間に10%以下の割合で変化させることと規定してい
【0046】そこで、これら規格に準じて、今度は基板
の環境湿度を、温度30℃,80%RHから7時間かけ
て温度30℃,10%RHに変化させたと仮定した。そ
して、その際の基板の反り変化量のピーク値が3mra
d,5mrad,10mradになる場合の拡散定数
D,湿度1%当たりの湿度膨張係数a及び測定位置を調
べた。基板厚が0.6mm,0.8mm,1.0mm,
1.2mmの場合の調査結果を、図10〜図13にそれ
ぞれ示す。
【0047】図10〜図13中、横軸は湿度1%当たり
の線膨張係数aと測定位置の記録膜形成開始位置からの
距離dの積ad(mm)であり、縦軸は水の拡散定数D
(cm2 /秒)である。
【0048】なお、線膨張係数aと測定位置の記録膜形
成開始位置からの距離dは、反り変化量θに関して比例
しており、一方が大きくとも他方が小さければ反り変化
量θは小さくなり問題がない。したがって、図中、aと
dは積の形で一緒に横軸にとった。
【0049】図10〜図13のいずれを見ても、水の拡
散定数Dが大きい程、またadが小さい程、環境湿度変
化による反り変化量のピーク値は小さくなる。
【0050】このように、時間をかけて環境湿度を変化
させた場合では、環境湿度を短い時間で変化させた場合
と異なり、水の拡散定数Dによっても最大反り変化量が
影響を受ける。これは、環境湿度が時間をかけて変化し
た場合には、この湿度変化過程においても水の拡散が進
行するため、水の拡散定数Dが大きいとこの水の拡散が
速く進行し、含水率に分布が生じ難いからである。
【0051】このことから、環境湿度が時間をかけて変
化する、通常の光ディスクの使用条件においては、水の
拡散定数Dによって反り変化量のピーク到達時間及び反
り変化量のピーク値の両方が調整できると言える。
【0052】そこで、現行ではディスク径は3.5イン
チあるいは5.25インチが採用されており、この場合
adはそれぞれ3.5インチの場合にはad=(6.5
×10-6)×20mm=1.3×10-6mm,5.25
インチの場合にはad=(6.5×10-6)×20mm
=2.6×10-6mmであるので、実用的な範囲として
adを4.0×10-4mm以下に設定し、基板厚を高密
度記録化を考慮して0.6〜1.2mmの範囲に設定し
た場合で反り変化量が3.0mrad以内に抑えられる
水の拡散定数Dを計算すると5×10-7cm2 /秒以上
と算出される。
【0053】つまり、温度30℃における水の拡散定数
Dが5×10-7(cm2 /秒)以上のプラスチック基板
を用いた単板構成の光ディスクでは、基板厚を0.6m
m程度に設定した場合でも、環境湿度によって生じる反
りが3mrad以内と小さく抑えられることになる。
【0054】なお、現行3.5インチ光磁気ディスクで
は、30℃における水の拡散定数Dが8.9×10-8
2 /sのPC基板が用いられ、基板厚Lが1.2m
m、最外周の記録層形成開始位置からの距離dが20m
m、湿度1%当たりの線膨張係数aが6.5×10-6
ある。基板厚Lが1.2mmの場合の結果を示す図13
を見ると、adが1.3×10-4、水の拡散定数Dが
8.9×10-8cm2 /sの交点は5mradであり、
反り変化量が大きい。
【0055】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように本発明
の光ディスク基板は、温度30℃における水の拡散定数
Dが5×10-7cm2 /秒であるので、記録部を片側に
のみ形成した場合に、環境湿度変化によって含水率分布
が生じ難く、含水率分布による反りが小さい。また、こ
の反りは、基板を薄型化した場合でも3mrad程度と
充分小さく抑えられる。
【0056】したがって、本発明の光ディスク基板は、
記録部が基板の片面にのみ形成された単板構成の光ディ
スクに用いて好適であり、単板構成の光ディスクの薄型
化,記録データの高密度化,カートリッジを含めたメデ
ィアサイズの小型軽量化に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板の環境湿度と平衡吸水率の関係を示す特性
図である。
【図2】単板構成の光ディスクの構成を示す模式図であ
る。
【図3】環境湿度変化条件の一例を示す模式図である。
【図4】環境湿度変化後の基板の含水率分布を示す特性
図である。
【図5】スキュー変化量を説明する模式図である。
【図6】環境湿度変化条件の他の例を示す模式図であ
る。
【図7】環境湿度変化後の経過時間と基板のスキュー変
化量の関係を示す特性図である。
【図8】水の拡散定数が異なる各種基板の、環境湿度変
化後の経過時間とスキュー変化量の関係を併せて示す特
性図である。
【図9】厚さの異なる各種基板の、環境湿度変化後の経
過時間とスキュー変化量の関係を併せて示す特性図であ
る。
【図10】基板厚が0.6mmであるときの、反り変化
量のピーク値が3mrad,5mrad,10mrad
の場合の、拡散定数と、湿度1%当たりの線膨張係数a
と測定位置dの積adを示す特性図である。
【図11】基板厚が0.8mmであるときの、反り変化
量のピーク値が3mrad,5mrad,10mrad
の場合の、拡散定数と、湿度1%当たりの線膨張係数a
と測定位置dの積adを示す特性図である。
【図12】基板厚が1.0mmであるときの、反り変化
量のピーク値が3mrad,5mrad,10mrad
の場合の、拡散定数と、湿度1%当たりの線膨張係数a
と測定位置dの積adを示す特性図である。
【図13】基板厚が1.2mmであるときの、反り変化
量のピーク値が3mrad,5mrad,10mrad
の場合の、拡散定数と、湿度1%当たりの線膨張係数a
と測定位置dの積adを示す特性図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度30℃における水の拡散定数Dが5
    ×10-7cm2 /秒以上のプラスチック材料よりなるこ
    とを特徴とする光ディスク基板
  2. 【請求項2】 プラスチック材料が、ポリビニルアルコ
    ール,ポリビニルピロリドン,ポリオキシエチレンのい
    ずれかであることを特徴とする請求項1記載の光ディス
    ク基板
JP6030021A 1994-02-28 1994-02-28 光ディスク基板 Withdrawn JPH07240036A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009277346A (ja) * 2009-07-24 2009-11-26 Sharp Corp 光情報記録媒体及びその製造方法

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JP2009277346A (ja) * 2009-07-24 2009-11-26 Sharp Corp 光情報記録媒体及びその製造方法

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