JPH07237432A - 電気自動車用空調装置の制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 補助ヒータに基づく通風抵抗，熱損失による
吹き出し風量，吹き出し温度の低下を防止する電気自動
車用空調装置の制御方法を提供することにある。 【構成】 補助ヒータ９を設けた流路７に空気が流れな
いようにエアミックスダンパ１０を回動して前記流路７
を閉じた時に、補助ヒータ９を停止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電気自動車用空調装置、
特に、補助ヒータを有する電気自動車用空調装置の制御
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、電気自動車用空調装置としては、
例えば、実開平４−１０１１号公報に記載のヒートポン
プ式電気自動車用空調装置がある。すなわち、空調ユニ
ット内に配した室内熱交換器の下流側に、冷房用通路お
よび暖房用通路を並設するとともに、前記暖房用通路に
補助ヒータを配置し、冷房用通路および暖房用通路のそ
れぞれの上流側を切換ドアで冷暖房運転時に開閉するこ
とにより、冷暖房運転時に所定の通路へ通風する構成と
したものである。前述の電気自動車用空調装置では、暖
房運転時において、外気温度があまり低くない場合に
は、ヒートポンプの運転あるいは補助ヒータの作動の片
方だけで充分な暖房感が得られる。また、一般的にヒー
トポンプと電気ヒータ等の補助ヒータとの効率を比較し
た場合、ヒートポンプの方が高い。このため、限られた
電力量の中で暖房運転を行なう必要がある電気自動車用
空調装置では、外気温度があまり低くない場合、ヒート
ポンプの運転のみで暖房運転を行なうのは当然である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
電気自動車用空調装置では、暖房運転時において補助ヒ
ータを配置した暖房用通路に空気が常時流れている。こ
のため、外気の温度があまり低くない場合に、ヒートポ
ンプだけで暖房し、補助ヒータを使用しないときにも、
暖房用通路に空気が流れる。この結果、補助ヒータの通
風抵抗によって吹き出し風量が低下するだけでなく、前
記空気が補助ヒータ内を通過する際に熱を奪われ、吹き
出し温度が低下するという問題点がある。

【０００４】本発明は、前記問題点に鑑み、補助ヒータ
に基づく通風抵抗，熱損失による吹き出し風量，吹き出
し温度の低下を防止できる電気自動車用空調装置の制御
方法を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる電気自動
車用空調装置の制御方法は、前記目的を達成するため、
ヒートポンプを構成する空調ユニット内に配した車内熱
交換器と、この車内熱交換器の下流側に設けられ、分流
して２つの流路を形成するエアミックスダンパと、一方
の流路に設けられた補助ヒータと、このエアミックスダ
ンパの回動を制御する制御手段とからなる電気自動車用
空調装置において、前記補助ヒータを設けた流路に空気
が流れないように前記エアミックスダンパを回動して前
記流路を閉じた時に、前記補助ヒータを停止する方法と
してある。また、前述の電気自動車用空調装置の制御方
法においては、設定温度と車内温度との温度差が所定値
以下の場合に、前記エアミックスダンパを回動して補助
ヒータを設けた流路を閉じるように制御してもよい。例
えば、温度差の所定値として０〜５degを設定すれば、
良好な結果が得られた。

【０００６】

【作用】したがって、本発明によれば、例えば、設定温
度と車内温度との温度差が所定値以下で、ヒートポンプ
だけで暖房する場合には、補助ヒータを設けた流路に空
気が流れないことになる。

【０００７】

【実施例】次に、本発明にかかる実施例を図１および図
２に示した添付図面に従って説明する。本実施例にかか
る電気自動車用空調装置は、図１に示すように、空調ユ
ニット１内の上流側に内外気切換用インテークダンパ２
が設けられ、外気または内気をユニット１内に選択して
吸引するようになっている。なお、ユニット１内への空
気の吸引は、前記インテークダンパ２の下流側に設けた
ブロア４を、後述する制御装置２０に接続されたモータ
３で回転させることによって行われる。

【０００８】そして、前記ブロア４の下流側にはヒート
ポンプを構成する車内熱交換器５が配置されている。な
お、この車内熱交換器５近傍の温度は、その下流近傍に
設けた温度センサ６によって検出され、その検出信号は
後述する制御装置２０に入力される。

【０００９】前記車内熱交換器５の下流側には、分流し
て２つの流路７，８を形成するエアミックスダンパ１０
が設けられ、一方の流路７には補助ヒータとしてＰＴＣ
ヒータ９が設けられている。このＰＴＣヒータ９は、あ
る温度から急激に抵抗が増大し、抵抗急変域における電
流制限作用によって温度を一定に保つ定温発熱体であ
る。

【００１０】さらに、前記流路７の吹き出し口には、Ｐ
ＴＣヒータ９によって再度暖められた空気の送風量を調
整するダンパ１２が設けられている。そして、前記エア
ミックスダンパ１０が、制御装置２０の制御信号に基づ
いて動作するアクチュエータ１１によって回動すると、
これに連動して前記調整用ダンパ１２が、制御装置２０
の制御信号に基づいて動作するアクチュエータ１３によ
って回動する。

【００１１】前記流路７，８の下流側には温度センサ１
４が設けられ、さらに、その下流側には図示しないアク
チュエータによって回動するダンパ１５，１６，１７が
設けられ、車内への空気の吹き出し口が切り換わるよう
になっている。

【００１２】前記制御装置２０は、外気センサ２１，内
気センサ２２および温度センサ６，１４から入力された
諸条件に基づいて演算し、乗員が快適と感ずるような送
風温度および送風量となるように制御するとともに、モ
ード切換スイッチ２３で選択した所望の吹き出しモード
に応じてダンパ１５，１６，１７を回動し、空気の吹き
出し口を選択制御するようになっている。

【００１３】したがって、前記ブロア４の回転で吸引さ
れ、車内熱交換器５によって暖められた空気は、エアミ
ックスダンパ１０によって分流され、分流された空気の
一方は前記流路８を介して下流側に送風され、他方はＰ
ＴＣヒータ９を設けた流路７に流入して再度暖められた
後、ダンパ１２を介して下流側に送風される。このよう
にして下流側に送風された空気は混合され、所望の温度
に調整された後、ダンパ１５，１６，１７によって所望
の位置から車内に吹き出される。なお、混合された空気
の温度は流路７，８の下流側に設けた温度センサ１４に
よって検出され、その検出信号は前記制御装置２０に入
力される。

【００１４】次に、前述の構成からなる空調装置の制御
方法を図２に示すフローチャートにしたがって説明す
る。まず、ステップＳ１で暖房スイッチをオンし、ステ
ップＳ２で暖房運転を開始する。この暖房運転は、入力
される車内外の諸条件（内気温度、外気温度、日射量、
設定温度等）に基づいて送風量，送風温度を調整する。

【００１５】そして、ステップＳ３で設定温度と車内温
度との温度差が所定値以下であるか否かを判断する。温
度差の所定値とは、ヒートポンプだけで車室内を設定温
度にできる限界値であり、本実施例では５degに設定す
る。そして、設定温度と車内温度との温度差が所定値以
下であると判断した場合には、ステップＳ４で、補助ヒ
ータ９を設けた流路７に空気が流れ込まないように、制
御装置２０の制御信号に基づいて動作するアクチュエー
タ１１によってエアミックスダンパ１０を回動して流路
７を閉鎖し、ステップＳ５で補助ヒータ９を停止し、運
転を続行する。

【００１６】次に、ステップＳ３で設定温度と車内温度
との温度差が所定値以下でないと判断した場合には、ス
テップＳ６で設定温度と車内温度との温度差が特定値以
下であるか否かを判断し、特定値以下であると判断した
ときには、ステップＳ７で補助ヒータ９をＬｏｗレベル
で作動し、運転を続行する。温度差の特定値とは、ヒー
トポンプに加え、補助ヒータをＬｏｗレベルで作動させ
た時に、車室内を設定温度にできる限界値であり、本実
施例では１０degに設定する。

【００１７】続いて、前記ステップＳ６で設定温度と車
内温度との温度差が特定値以下でないと判断した場合に
は、前記温度差が特定値を越えることになるので、ステ
ップＳ８で補助ヒータ９をＨｉｇｈレベルで作動し、運
転を続行する。

【００１８】前述の制御方法に従い、前述の構成からな
る空調装置の圧縮機（図示せず）を最大周波数で駆動し
て暖房し、エアミックスドアの開度および補助ヒータの
能力を適宜選択することにより、設定温度と車内温度と
の温度差を測定したところ、表１に示す結果が得られ
た。

【００１９】

【表１】

【００２０】表１より、設定温度と車内温度との温度差
が所定値である５℃の場合に、ヒートポンプだけで暖房
すると、車内温度は設定温度通りとなった。ただし、こ
の場合には、前記エアミックスダンパが補助ヒータを配
置した流路を閉鎖するので、前記流路には空気が流れ込
まない。そして、設定温度と車内温度との温度差が特定
値である１０degの場合にヒートポンプを駆動し、か
つ、補助ヒータをＬｏｗレベルで作動すると、車内温度
は設定温度通りとなり、さらに、温度差が特定値である
１０degよりも大きい１５degの場合に、ヒートポンプを
駆動し、かつ、補助ヒータをＨｉｇｈレベルで作動する
と、車内温度は設定温度通りとなった。以上の測定結果
から、設定温度と車内温度の温度差が５deg以下である
場合には、ヒートポンプだけで所望の設定温度にまで車
内を暖房できることがわかった。

【００２１】なお、前述の実施例では、補助ヒータにＰ
ＴＣヒータを使用する場合について説明したが、必ずし
もこれに限らず、通常の電気ヒータを使用してもよく、
また、補助ヒータは２段階切り換えのものに限らず、多
段階切換のもの、あるいは、連続的に変化させられるも
のを使用してもよい。さらに、前述の実施例では、補助
ヒータを設けた流路の吹き出し口に調整用ダンパを設け
る場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、前
記流路はエアミックスダンパだけで閉じるようにしても
よい。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にかかる電気自動車用空調装置の制御方法によれば、空
気の温度があまり低くなく、補助ヒータを停止してヒー
トポンプだけで暖房する場合には、補助ヒータを設けた
流路に空気が流れ込まない。このため、補助ヒータの通
風抵抗を原因とする吹き出し風量の低下がなく、さら
に、前記空気が補助ヒータに熱を奪われることがないの
で、吹き出し温度も低下しないという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明にかかる電気電気自動車用空調装置の
一実施例を示す概略図である。

【図２】 図１に示した電気自動車用空調装置の制御方
法を示すフローチャート図である。

【符号の説明】

１…ヒートユニット、４…ブロア、５…車内熱交換器、
７，８…流路、９…ＰＴＣヒータ、１０…エアミックス
ダンパ、２０…制御装置。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヒートポンプを構成する空調ユニット内
   に配した車内熱交換器と、この車内熱交換器の下流側に
   設けられ、分流して２つの流路を形成するエアミックス
   ダンパと、一方の流路に設けられた補助ヒータと、この
   エアミックスダンパの回動を制御する制御手段とからな
   る電気自動車用空調装置において、 前記補助ヒータを設けた流路に空気が流れないように前
   記エアミックスダンパを回動して前記流路を閉じた時
   に、前記補助ヒータを停止することを特徴とする電気自
   動車用空調装置の制御方法。
2. 【請求項２】 設定温度と車内温度との温度差が所定値
   以下の場合に、前記エアミックスダンパを回動して補助
   ヒータを設けた流路を閉じることを特徴とする請求項１
   に記載の電気自動車用空調装置の制御方法。