JP3833628B2 - 車両用空調装置の制御方法、及び車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に搭載される車両用空調装置の制御方法、及び車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両内における空調、特に冷房を行う際には、日射による影響を考慮しなくてはならない。すなわち日射量が増大すると、車室内の空調温度が設定通りとなっていても、乗員等の空調感が低下してしまうこととなるので、車室内への風量を大きくすること等で、空調感を維持する必要がある。
【0003】
日射による影響を補正(日射補正)するために、日射センサをダッシュボードの上部等に設けて、フロントウィンドウから入射する日射量を検出できるような構成とされている車両用空調装置が広く用いられている。例えば特許文献1に記載の発明においては、日射センサが検出した日射量を空調制御装置へと送り、空調制御装置では、この日射量に基づいてブロア(ファン)の回転数(段数)を変化させて、風量制御特性の補正を行うような日射補正制御を行う。このように日射量に応じて風量制御特性を補正し、車室内への風量を変化させることで、日射量が増大しても車室内の空調感を一定に維持することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−260629号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように日射センサを用いることで、車室内の乗員等の空調感を常に一定に維持することができるよう、きめ細かな日射補正が可能となる。しかしその反面、このような日射センサは高価であるため、より低コストで容易に日射補正制御を行い得ることが求められていた。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、高価な日射センサを不要として、車室内の日射補正を的確に行い得る車両用空調装置の制御方法、及び車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、車室内の温度を検出する室内温度センサと、車室外の温度を検出する外気温度センサと、車室内への送風を行う多段式のファンと、当該ファンを制御する制御装置とを備え、前記制御装置が、前記室内温度センサが検出した室内温度と前記外気温度センサが検出した外気温度と設定温度とに基づき前記車室内への送風を行う多段式のファンの基準段数を基準段数設定データテーブルに従って決定する車両用空調装置を制御する制御方法であって、当該基準段数設定データテーブルに従って決定された基準段数に補正を行うか否かを、前記外気温度センサが検出した外気温度と日射補正要否判定温度とに基づいて判定し、前記外気温度が日射補正要否判定温度以上となれば前記基準段数に補正を行うと判定することを特徴とする。
【0008】
この制御方法では、制御装置は、外気温度センサが検出した外気温度と所定の日射補正要否判定温度とを比較して、日射補正処理の開始判定もしくは継続判定を行なう。
一般的に、外気温度が15℃以上となった場合には、車室内の乗員等は、日射による影響を受けて空調感が低下し、実際の室内温度よりも暑いと体感してしまうことが多い。特に20℃以上となった場合には、その傾向は顕著である。また逆に、外気温度が15℃未満である場合には、乗員は日射による影響を殆ど受けなくなり、実際の室内温度と体感温度とに殆ど差が無くなることが多い。特に10℃以下となった場合には、その傾向は顕著である。
こうしたことから、上述した乗員の空調感が変化する遷移温度域を考慮し、日射補正要否判定温度の前後で補正を行うか否かを判定するようにし、車室内で好適な空調感を与える日射補正を的確に行い得るようにしている。
このように、外気温度センサが検出した車室外の外気温度と日射補正要否判定温度とに基づいて、ファンの段数の補正を行うか否かを判定するようにしているので、日射センサを不要としても、車室内の日射補正を的確に行うことができる。すなわち、外気温度と日射量とは密接に関係しているため、外気温度から日射量を予測することができ、これに従って日射補正を行う、つまり所定の制御パターン(基準段数設定データテーブル)に従って決定された段数をアップ(又はダウン)させて風量を調節することで、日射量が大きい場合でも車室内の空調感を向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用空調装置の制御方法であって、前記制御装置が、補正を行なうと判定した場合には、前記室内温度センサが検出した室内温度と設定温度との温度差に応じて前記ファンの基準段数を補正する補正段数を決定することを特徴とする。
【0010】
日射補正を行なうと判断した場合に、温度差に応じて補正段数を決定することにより、車室内で好適な空調感を与える日射補正を、的確に行い得ることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用空調装置の制御方法であって、前記制御装置は、外気温度に応じた前記ファンの補正段数を規定した補正相関パターンを複数有しており、当該制御装置が、前記外気温度センサが検出した外気温度に応じて当該補正相関パターンを選択することを特徴とする。
【0012】
複数の補正相関パターンから外気温度に応じて好適な補正相関パターンを選択するので、日射量や外気温度の多様な変化にも、柔軟に対応していくことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3に記載の車両用空調装置の制御方法であって、前記制御装置が、前記温度差に応じて複数段の段数補正を決定した場合に、段階的に補正段数を増減させることを特徴とする。
【0014】
前記温度差に応じて複数段の段数補正を決定した場合に、段階的に補正段数を増減させることにより、車室内の乗員等に日射補正処理に移行したことを意識させないようにして、日射補正をより好適に行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、車室内の温度制御を行う車両用空調装置であって、前記車室内への送風を行う多段式のファンと、前記車室外の外気温度を検出する外気温度センサと、前記ファンの段数切換を所定の制御パターンに従って制御し、当該制御パターンに従って決定された段数の補正を行うか否かを、前記外気温度センサが検出した前記外気温度及び日射補正要否判定温度に基づいて判定する制御装置とを備え、該制御装置が、前記外気温度が前記日射補正要否判定温度以上となれば前記ファンの段数に補正を行うと判定することを特徴とする。
【0016】
車両用空調装置が前記ファンの段数切換を所定の制御パターンに従って制御し、当該制御パターンに従って決定された段数に補正を行うか否かを、前記外気温度センサが検出した前記外気温度と日射補正要否判定温度とに基づいて判定する制御装置を備えるので、日射センサを不要としても、車室内の日射補正を的確に行うことができ、日射量が大きい場合でも車室内の空調感を向上させることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、車室内の温度を検出する室内温度センサと、車室外の温度を検出する外気温度センサと、車室内への送風を行う多段式のファンと、当該ファンを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記室内温度センサが検出した室内温度と前記外気温度センサが検出した外気温度と設定温度とに応じた前記ファンの基準段数を規定した基準段数設定データテーブルと、前記室内温度と設定温度との温度差に応じた前記ファンの基準段数を補正する補正段数を規定した補正データテーブルとを有し、前記室内温度と前記外気温度と設定温度とに基づき前記ファンの基準段数を前記基準段数設定データテーブルに従って決定する構成とされた車両用空調装置であって、前記制御装置は、前記外気温度が日射補正要否判定温度以上となれば前記ファンの段数に補正を行うと判定し、前記補正データテーブルに従って補正段数を決定することを特徴とする。
【0018】
本発明では、制御装置は、室内温度センサが検出した室内温度と前気温度センサが検出した外気温度と設定温度とに応じたファンの基準段数を規定した基準段数設定データテーブルと、前記室内温度と設定温度との温度差に応じた前記ファンの基準段数を補正する補正段数を規定した補正データテーブルと、を有し、制御装置が、前記外気温度が日射補正要否判定温度以上となれば前記ファンの段数に補正を行うと判定するので、日射センサを備えない車両用空調装置であっても、外気温度を判断指標として日射量に応じた基準段数の補正を行なうことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用空調装置の実施の一形態について、図1乃至図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態における、自動車(車両)に搭載されている車両用空調装置1を示す概略構成図である。図1に示したように、この車両用空調装置1は、装置本体としてのケーシング2に、制御装置30、室内温度センサ31、外気温度センサ32、及び操作スイッチ33を付加した構成となっている。
ここで、ケーシング2は、車室内又は車室外から吸入した空気を空調し、この空調空気を車室内へと送風するべく、多段式の送風ファン(ファン)11、エバポレータ13、及びヒータコア15といった、各種機器が収容されている。
【0020】
送風ファン11は、ケーシング2の一端側に形成された外気吸入口21又は内気吸入口22から、車室内又は車室外の空気をケーシング2内へと吸入し、エバポレータ13などが設けられた側、詳しくはケーシング2内部の流過方向における下流側へと送風するものである。この送風ファン11は、送風ファン用モータ11aによって駆動される多段式であって、段数は16段となっている。具体的には、送風ファン11は、制御装置30からの制御信号に基づき、送風ファン用モータ11aの回転数を16段階で変化させて風量を調節することによって車室内への空調空気流入量を制御し、車室内の温度(室内温度)を調節するように動作する。この段数制御は、制御装置30からの制御信号によって行われる。
【0021】
外気吸入口21は車外と連通しており、また内気吸入口22は車室内と連通している。これら外気吸入口21と内気吸入口22との間には、内外気切替ダンパ12が備えられており、内外気切替ダンパ12の回動動作に応じて外気吸入口21が閉塞されると内気吸入口22が開口して車内の空気がケーシング2内に取り込まれ、また内気吸入口22が閉塞されると外気吸入口21が開口して外気が取り込まれる。
【0022】
エバポレータ13は、吸入した空気との間で熱交換を行うものであり、その下流側には温調ダンパ14、及びエンジン冷却用の冷却水を取り入れるヒータコア15が設けられている。エバポレータ13を通過して熱交換がなされた空調空気は、制御装置30の制御の下、温調ダンパ14の回動動作によって、ヒータコア15を通過する流れと通過しない流れとに、適宜分配される。これらの空気は、温調チャンバCに各々流入し、互いに混合されて温調空気とされる。
【0023】
温調チャンバCの下流側であるケーシング2の他端側には、車室内の異なる箇所に空調空気を提供するための複数の吹出口として、DEF吹出口23、FACE吹出口24及びFOOT吹出口25が、各々形成されている。DEF吹出口23は、ダッシュボード(図示省略)の上部等に連通し開口することで、フロントウィンドウ(図示省略)に向かって温調チャンバC内の温調空気を吹出し、デフロストを行うためのものである。またFACE吹出口24は、ダッシュボードの前面等に連通し開口することで、車室内の中央及び上方に向かって温調空気を吹出すためのものである。更にFOOT吹出口25は、ダッシュボードの下方等に連通し開口することで、車内の下方に向かって温調空気を吹出すためのものである。これらDEF吹出口23、FACE吹出口24及びFOOT吹出口25には、各々ダンパ16〜18が設けられており、これらダンパ16〜18を回動させることで各々の吹出口を開閉して、温調空気の吹出方向を適宜設定することができる。
【0024】
制御装置30は、車両用空調装置1の運転を総括的に制御するものである。具体的には、送風ファン11の段数制御の他、エバポレータ13に連結された圧縮機(図示省略)の動作制御、ダンパ14,16〜18を各々回動させるダンパ用モータ(図示省略)の動作制御を行う。この制御装置30には、ダッシュボードのインスツルメントパネル等に設けられた操作スイッチ33からの操作信号が入力されるとともに、室内温度センサ31及び外気温度センサ32からの各々の検出値、つまり室内温度及び外気温度が、各々入力され、この入力信号に応じて上述した各機器の動作制御が実現される。
【0025】
室内温度センサ31は、車室内において室内温度を好適に検出しうる場所に設置されており、また外気温度センサ32は、車室外において外気温度を好適に検出しうる場所に設置されている。
【0026】
操作スイッチ33は、乗員の操作・設定に応じて、車両用空調装置1の運転モード(AUTOモード又はMANUALモード)の切換、あるいは風量や吹出方向の切換等の各種制御信号を生成し、制御装置30へ生成した制御信号を入力するものである。AUTOモードの場合であれば、設定温度が入力され、またMAMUALモードの場合であれば、温調空気の吹出方向や風量等が、乗員等の所望の通りに適宜入力される。こうして操作スイッチ33から各操作に応じた信号が制御装置30へと送られ、制御装置30は、これら操作信号に基づき、不図示の記憶手段に格納されたデータテーブルや制御プログラムを参照し、所定の制御パターンに従って、送風ファン11の段数、圧縮機の動作、あるいはダンパ16〜18の開閉を制御し、各運転モードに応じた車両用空調装置1の運転を行う。
【0027】
以上説明した各種機器を備える構成の車両用空調装置1を用いて車室内の冷房を行う際の、一連の制御の流れについて、図2乃至図4を用いて説明する。なお、以下に説明する温度制御は、車両用空調装置1の制御モードをAUTOモードに設定した場合に実現される。なお、図4に示した温度制御処理を開始する前に、制御装置30は、車室内の乗員による操作スイッチ33の操作に応じた入力信号に基づき車室内の設定温度を予め取得し、不図示の記憶手段に設定温度情報として参照可能に格納する設定温度取得処理を行なう。
【0028】
図4に示したように、制御装置30は、先ず、室内温度センサ31からの室内温度を時間t1毎にサンプリングして取り込む(S101)。詳細には、本実施形態においては室内温度のサンプリング周期t1を3秒に設定し、制御装置30が内蔵クロックを参照してt1が経過したか否かを判別し、t1を経過した場合には、次のステップへと移行する(S101)。
【0029】
次に、制御装置30は、室内温度センサ31から受け付けた室内温度や外気温度センサ32から受け付けた外気温度をサンプリングし、サンプリングした室内温度、外気温度、及び先に取得した設定温度に基づいて、設定温度に室内温度を到達させるために必要となる送風ファン11の基準段数を決定する(S102)。
【0030】
詳細には、制御装置30は、不図示の記憶手段に格納された基準段数設定データテーブルを参照し、所定の制御パターンに従って送風ファン11のファン段数を決定し、その段数とするように送風ファン用モータ11aの制御を行う(S102)。ここで、本実施形態においては、基準段数設定データテーブルは、室内温度、外気温度、設定温度をパラメータとして送風ファン11のファン段数を規定する既知のデータベース構造を採用する。
【0031】
このように、本実施形態では、室内温度及び外気温度の変化に伴って、室内温度を設定温度に合わせるように基準段数を定めるべく、所定の制御パターンに従って、3秒毎にきめ細かにファン段数を決定する制御形態を、基本的なAUTOモードに採用する。
【0032】
上述した基準段数設定処理(S101,S102)に引き続き、制御装置30は、日射補正シーケンスに移行する。日射補正シーケンスの第一段階として、まず、日射補正を行なうか否かを判定する日射補正要否判定処理を行なう(S103,S104)。
【0033】
詳細には、制御装置30は、内蔵クロック等を参照し、時間t2が経過したか否かを判別し、t2を経過した場合には、次のステップへと移行する(S103)。本実施形態では、この外気温度のサンプリング周期t2を60秒に設定する。
【0034】
ここで、本発明者等の検討によれば、外気温度をサンプリングする周期を60秒未満に設定すると、制御系にハンチングが発生し易くなることが判明した。特に30秒以下のタイミングでは、その傾向は顕著となる。そのためこの場合には、60秒に設定すれば、制御系のハンチングを的確に防止することができる。ただしこの周期は、車室形状等に左右されるため、車種毎に実測することが望ましい。
【0035】
続いて、制御装置30は、外気温度センサ32からの外気温度をサンプリングし、このt2毎にサンプリングされた外気温度(演算用外気温度)に基づき所定の設定値(日射補正要否判定温度)と比較して、図2に示した日射補正処理の開始判定もしくは継続判定を行なう(S104)。本実施形態では、日射補正要否判定温度に1℃の温度ヒステリシスを設け、ファン段数の補正を行う日射補正処理の開始を判定する温度と日射補正処理の継続を判定する温度を異ならせたかたちで、日射補正するか否かを判定する。
【0036】
詳細には、日射補正を行なっておらず、かつ、サンプリングされた外気温度が15℃以上となれば日射補正を行う(補正あり)と判定し、日射補正を行なっており、かつ、14℃以下となれば日射補正を行わない(補正なし)と判定する(S104)。制御装置30が補正なしと判定した場合には、前述した基準段数設定処理におけるS102のステップによって決定された送風ファン11の基準段数をそのまま維持する制御を行うものとして、処理を終了する。一方、制御装置30が補正ありと判定した場合には、後述するように、S102のステップによって決定された送風ファン11の段数をアップ又はダウンするように、送風ファン11の段数の補正を行う日射補正処理を実行する。
【0037】
一般的に、外気温度が15℃以上となった場合には、車室内の乗員等は、日射による影響を受けて空調感が低下し、実際の室内温度よりも暑いと体感してしまうことが多い。特に20℃以上となった場合には、その傾向は顕著である。また逆に、外気温度が15℃未満である場合には、乗員は日射による影響を殆ど受けなくなり、実際の室内温度と体感温度とに殆ど差が無くなることが多い。特に10℃以下となった場合には、その傾向は顕著である。
【0038】
こうしたことから、上述した乗員の空調感が変化する遷移温度域を考慮し、本実施形態では15℃を境界条件として、その前後で補正を行うか否かを判定するようにし、車室内で好適な空調感を与える日射補正を的確に行い得るようにしている。なお、図2に示すように1℃の範囲内で温度ヒステリシスを設けているのは、日射補正のON/OFFを切換える際に、制御系のハンチング(乱調)が発生することを防止するためである。
【0039】
また、車両走行時には車外環境の変化が激しいので、この変化への追従性を高く維持するためには、外気温度のサンプリング周期t2は、制御系にハンチングが発生しない範囲内で、できる限り短周期に設定することが求められる。したがって、この追従性とハンチング抑制とを両立させるようにサンプリング周期t2が設定されることになる。
【0040】
続いて、制御装置30は、S103のステップにおいて補正ありと判定した場合には、室内センサ演算値(室内センサ31が検出した室内温度)と設定温度との差(=ΔT)を演算し、算出した室内温度と設定温度との算出温度差ΔTを不図示の記憶手段に格納する(S105)。
【0041】
そして、本発明においては、日射センサを有する場合と同等の日射補正を実現すべく、室内温度と設定温度との算出温度差ΔTと補正ファン段数との補正相関パターンを複数定めた補正データテーブルを、制御装置30が備える構成を採用する。本実施形態では、図3に示したように、ΔT1とΔT2という2種類の補正相関パターンを定めた補正データテーブルを用いる。
ここで、制御装置30は、補正相関パターン選択のため、演算用外気温度が、境界温度としてのTx(℃)以上となっているか否かを判定する(S106)。本実施形態では、Txは30℃とした。
【0042】
ここで、境界温度Txを30℃としたのは、車外が高外気温環境になった場合には、車両自体が熱を帯びたり、日射しが強くなったりすることなどと相俟って車両内の乗員の空調感が変化することに起因する。
この空調感の変化に対処すべく、本実施形態では、高外気温環境の場合に設定温度よりも低めに実際の制御目標温度を設定することになるが、この制御を行なうか否かの判定を外気温度30℃を境界条件として行なっている。ゆえに、この外気温度30℃以上の場合には、室内温度と設定温度との差がない状態でも、日射補正として段数をアップさせる制御を行う制御形態を採用した。
【0043】
具体的には、図3に示したように、ファン段数に日射補正をかける場合に参照する補正データテーブルには、30℃以下の補正相関テーブルとして算出温度差が−0.5℃ではアップさせず、0.75℃で一段、2.0℃で二段、3.25℃で三段の増加段数補正を規定する。一方、すでに増段補正を行なっている場合には、算出温度差が2℃になったときに三段から二段に減段させ、0.75℃になったときに二段から一段に減段させる減少段数補正を規定する。この場合の温度ヒステリシスはすべて等しく1.25℃としている。
一方、30℃以上の補正相関テーブルとして算出温度差が−2.0℃ではアップさせず、−1.0℃で一段、0℃で二段、1.75℃で三段の増加段数補正を規定する。一方、すでに増段補正を行なっている場合には、算出温度差が0℃になったときに三段から二段に減段させ、−1℃になったときに二段から一段に減段させる減少段数補正を規定する。この場合の温度ヒステリシスは、一段、二段の際には1℃、三段の場合に1.75℃としている。これは、高外気温時においてプラスの算出温度差が有る場合は、室内温度が安定し難い状態にあり、ハンチングが起きやすくなるので、これを抑制するためである。
【0044】
以下のステップにおいては、制御装置30は、この境界温度Txを境界条件として、その前後、つまり演算用外気温度が30℃以上である場合と30℃未満である場合とで、日射補正時のファン段数の補正パターンを変化させる。具体的には、図3に示すように温度ヒステリシスを設け、算出温度差に応じて送風ファン11の段数を増加・減少させる日射補正処理を実行する。
【0045】
制御装置30は、演算用外気温度が30℃以上であると判断した場合には(S106)、図3にΔT1として示す補正相関パターンに基づいて、算出したΔTに応じた送風ファン11の段数のアップ・ダウン数を決定し、前述した基準段数を増減させる補正を行ない最終的な送風ファン11の段数を決定する(S107)。すなわち、図3に示すように、演算用外気温度が30℃以上の場合であるから、制御装置30はΔTが−1.0℃となれば一段アップ、0℃となれば二段アップ、1.75℃となれば三段アップとなるように、各々補正段数を決定し、車両用空調装置1における日射補正に代わる補正処理として送風ファン11の段数補正を行う。
【0046】
一方、制御装置30は、演算用外気温度が30℃未満であると判断した場合には(S106)、同図にΔT2として示す補正相関パターンに基づいて、ΔTに応じた送風ファン11の段数のアップ・ダウン数を決定し、最終的な送風ファン11の段数を決定する(S108)。すなわち、図3に示すように、演算用外気温度が30℃未満の場合であるから、制御装置30はΔTが0.75℃となれば一段アップ、2.0℃となれば二段アップ、3.25℃となれば三段アップとなるように、各々補正段数を決定し、車両用空調装置1における日射補正に代わる補正処理として送風ファン11の段数補正を行う。
【0047】
なお、送風ファン11のアップ数が多段、つまり二段以上となる場合には、目的となる段数になるよう即座に送風ファンモータ11aの回転数を変化させてもよいが、段階的に漸次段数変化させることが望ましい。本実施形態では、サンプリング周期t2が60秒であるので、30秒/一段、好ましくは20秒/一段のタイミングで順次切換える制御を採用する。
【0048】
補正を行うことにより、ファンの段数切換が複数段にわたる場合に、一気に切換えるとすると、風量が急激に変化したり、ファンの回転音が急激に大きくなること等により、車内の乗員等は違和感や不快感を感じてしまうおそれがある。そこで、ファンの段数を段階的に所定のタイミングで順次切換えていけば、車室内にて風量や回転音の急激な変化を殆ど生じさせずに、乗員等に違和感や不快感を感じさせることなく、好適に日射補正に相当する補正を行うことができる。
【0049】
なお、送風ファン11の段数切換のタイミングをより長くする場合には、それに伴って外気温度のサンプリング周期も長くする必要がある。例えば段数切換のタイミングを30秒/一段とした場合には、外気温度のサンプリング周期を90秒に設定する。このように、外気温度のサンプリング周期と段数切換のタイミングとの間に一定の関係を持たせておけば、制御系のハンチングを的確に防止することができる。
【0050】
本実施形態に係る車両用空調装置1においては、車室内への送風を行う多段式の送風ファン11と、車室内の温度を検出する室内温度センサ31と、車室外の外気温度を検出する外気温度センサ32と、制御装置30とを備えるようにしている。そして、この車両用空調装置1の制御方法においては、制御装置30によって、送風ファン11の段数切換を所定の制御パターン(基準段数設定データテーブル)に従って制御し、この制御パターンに従って決定された段数の補正を行うか否かを、外気温度センサ32が検出した外気温度に基づいて判定するようにしている。このため、日射センサを不要としても、車室内の日射補正を的確に行うことができる。すなわち、外気温度と日射量とは密接に関係しているため、外気温度から日射量を予測することができ、これに従って日射補正を行うことで、日射量が大きい場合でも車室内の空調感を向上させることができる。このように、高価な日射センサを用いた場合と同等以上に好適且つ的確に日射補正を行うことができるので、装置構成を簡易なものとして、車両の製造コストやメンテナンスコストを低廉化することができる。
【0051】
また、外気温度センサ32が検出した外気温度が15℃以上となった場合に、日射補正を行うと判定するようにしているので、車室内で好適な空調感を与える日射補正を的確に行い得ることができる。
【0052】
更に、上述した境界温度Txの前後で日射補正のパターンを変化させるようにしているので、日射量や外気温度の多様な変化にも、柔軟に対応していくことができ、車室内の空調感を更に向上させることができる。これにより、車室内の空調感を更に向上させることができるとともに、多数の外気温度センサを必要とせず、メンテナンスコスト等を更に低廉化することができる。
【0053】
更に、外気温度を60秒毎にサンプリングし、日射補正を行う場合には、送風ファン11の段数切換のタイミングを20秒/一段とするようにしている。外気温度のサンプリング周期とファン段数切換のタイミングとを、このように設定することで、制御系にハンチング(乱調)が発生するのを防止し、また車室内の乗員等に日射補正処理に移行したことを意識させないようにして、違和感や不快感等を殆ど感じさせることなく、日射補正をより好適に行うことができる。これにより、車両用空調装置1の運転時における安定性、信頼性を高めることができるとともに、車室内の乗員等に高い快適感を与えることができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車両用空調装置の制御方法、及び車両用空調装置によれば、上記の如き構成を採用しているので、高価な日射センサを不要としても、日射センサを用いた場合と同等以上に好適且つ的確に、車室内の日射補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る車両用空調装置の全体を示す概略構成図である。
【図2】 演算用外気温度と日射補正の有無を温度により判定制御する制御動作図である。
【図3】 室内センサ演算値と設定温度との差に基づき日射補正時のファン段数を決定する制御動作図である。
【図4】 制御装置における制御を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 車両用空調装置
11 送風ファン(ファン)
11a 送風ファン用モータ
30 制御装置
31 室内温度センサ
32 外気温度センサ
Claims (6)
- 車室内の温度を検出する室内温度センサと、車室外の温度を検出する外気温度センサと、車室内への送風を行う多段式のファンと、当該ファンを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置が、前記室内温度センサが検出した室内温度と前記外気温度センサが検出した外気温度と設定温度とに基づき前記車室内への送風を行う多段式のファンの基準段数を基準段数設定データテーブルに従って決定する車両用空調装置を制御する制御方法であって、
当該基準段数設定データテーブルに従って決定された基準段数に補正を行うか否かを、前記外気温度センサが検出した外気温度と日射補正要否判定温度とに基づいて判定し、
前記外気温度が日射補正要否判定温度以上となれば前記基準段数に補正を行うと判定することを特徴とする車両用空調装置の制御方法。 - 前記制御装置が、補正を行なうと判定した場合には、前記室内温度センサが検出した室内温度と設定温度との温度差に応じて前記ファンの基準段数を補正する補正段数を決定することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の制御方法。
- 前記制御装置は、外気温度に応じた前記ファンの補正段数を規定した補正相関パターンを複数有しており、当該制御装置が、前記外気温度センサが検出した外気温度に応じて当該補正相関パターンを選択することを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置の制御方法。
- 前記制御装置が、前記温度差に応じて複数段の段数補正を決定した場合に、段階的に補正段数を増減させることを特徴とする請求項1乃至3に記載の車両用空調装置の制御方法。
- 車室内の温度制御を行う車両用空調装置であって、
前記車室内への送風を行う多段式のファンと、
前記車室外の外気温度を検出する外気温度センサと、
前記ファンの段数切換を所定の制御パターンに従って制御し、当該制御パターンに従って決定された段数の補正を行うか否かを、前記外気温度センサが検出した前記外気温度及び日射補正要否判定温度に基づいて判定する制御装置とを備え、
該制御装置が、前記外気温度が前記日射補正要否判定温度以上となれば前記ファンの段数に補正を行うと判定することを特徴とする車両用空調装置。 - 車室内の温度を検出する室内温度センサと、車室外の温度を検出する外気温度センサと、車室内への送風を行う多段式のファンと、当該ファンを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記室内温度センサが検出した室内温度と前記外気温度センサが検出した外気温度と設定温度とに応じた前記ファンの基準段数を規定した基準段数設定データテーブルと、前記室内温度と設定温度との温度差に応じた前記ファンの基準段数を補正する補正段数を規定した補正データテーブルとを有し、前記室内温度と前記外気温度と設定温度とに基づき前記ファンの基準段数を前記基準段数設定データテーブルに従って決定する構成とされた車両用空調装置であって、
前記制御装置は、前記外気温度が日射補正要否判定温度以上となれば前記ファンの段数に補正を行うと判定し、前記補正データテーブルに従って補正段数を決定することを特徴とする車両用空調装置。
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