JPH07232753A - キャップ一体成形チューブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ヒンジを介してキャップが首部に一体的に連結
され、かつ該首部の内径が実質的に小さくて、首部に残
留する中身の量を少なくすることを可能としたチューブ
を目的とするものである。 【構成】ヒンジ部１３を介してキャップ１４を一体的に
取り付けた首部１２をチューブ本体１１の上部に取り付
けたチューブ１０に於いて、該首部１２の内周壁面全面
に多数の巾広縦突条リブ１７と巾狭縦突条リブ１８とを
夫々交互にかつ相互の隙間が小さくなるように放射状に
設けて構成してなるキャップ一体成形チューブの構造で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は注出口を有する首部にキ
ャップがヒンジを介して一体的に取り付けられた合成樹
脂製のチューブに係り、特に、チューブ内に収納した中
身が使い終わった際にチューブの首部内に多量に残留し
て無駄になることを防止し得るチューブに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来一般に使用されていた合成樹脂チュ
ーブとしては、図５及び図６に示す構造のチューブが一
般的に使用されている。即ち、図５に示すチューブは、
チューブ本体１の上部に設けられた小径首部２と、キャ
ップ３とが夫々別々に構成された構造のチューブであ
る。図６に示すチューブは、本件特許出願人が開発した
（特開昭６０ー１３４８５３号公報）チューブであっ
て、チューブ本体１の上部に設けられた大径首部４にヒ
ンジ部５を介してキャップ６を一体的に連結したキャッ
プ一体成形チューブである。

【０００３】処で、前述の図５に示すチューブは、小径
首部２の内径が小さいので、チューブ内に収納した中身
を使い終わった際の残量は少ないが、この小径首部２と
は別に、大径のキャップ３を用意しなければならないの
で、構成が複雑でコスト高になる問題があった。また、
図６に示すチューブは、キャップ６が大径首部４にヒン
ジ部５を介して一体的に成形されているので、構造が極
めて簡単で、コストも安く、取り扱いも便利であるが、
キャップ６の開閉使用性能を高めるためと、チューブ全
体の外観バランスを良くするために、大径首部４の内径
が大きくなってしまい、従って収納した中身を使い終わ
った際に、この大径首部４内の中身の残量が多く無駄に
なる問題があった。

【０００４】本件特許出願人は、前述の従来の問題点を
改善するために、図７に示す如き、全く新しい構造のチ
ューブを開発した。このチューブは、射出成形方式で容
易に一体成形し得る構造であって、内筒７と外筒８とを
底部で断面Ｕ状に連結した首部９をチューブ本体１の上
部に取り付け、かつこの首部９にヒンジ部５を介してキ
ャップ６を一連的に連結した構造のものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】処で、図７に示すチュ
ーブの首部９は、外筒８と内筒７とより構成されている
ので、首部９の外径を所望の大きさの外径にすることが
出来、これによって開閉使用性能を高めると共に、外観
バランスを良くすることが出来る。更に首部９の内径を
小さくすることが出来るので、中身が使い終わった際
に、首部９に於ける中身の残量を少なくするとことが出
来る特徴を有している。

【０００６】しかし、図７に示すチューブは、首部９の
外側に内筒７と外筒８とによって形成される深い凹溝が
あるために、内筒７の上端開口部より一旦注出された粘
性を有する中身が、この深い凹溝内に入り込んでしまう
欠点があり、かつ、凹溝内に入り込んだ中身は簡単に除
去出来ないので、これによって外観が悪くなると共に、
衛生上好ましくない等の問題があった。

【０００７】前述の図７に示すチューブの他に、チュー
ブの首部の側壁肉厚を厚くして、外観が大きくかつ内径
が小さい首部を持ったチューブを構成することも可能で
あるが、このように側壁肉厚を厚くした場合には、射出
成形時の冷却時間が極度に長くなって生産性が著しく低
下する問題があった。一般的に肉厚の限度は２．５ｍｍ
以内が通常であり、かつ冷却時間は肉厚の二乗に比例す
るので、側壁肉厚を著しく大きくすることは極めて困難
である。また、肉厚を大きくした場合には、冷却時の体
積収縮によるヒケが発生するので、不良品が発生する問
題もあった。

【０００８】チューブの首部の外径を大きくし、かつそ
の内径を小さくするためのその他の構造も種々考えられ
るが、いずれの構造も射出成形方式を用いて一体成形す
ることが困難である問題があった。更に、別部品を用意
し、この別部品を首部内に嵌着して、首部の内径を小さ
くする手段も考えられるが、部品点数が増加する問題
と、これ等の別部品を首部に組み込む作業が繁雑である
問題とがあり、結局コストアップになってしまう欠点が
あった。

【０００９】本発明に係るチューブは、前述の従来の種
々の問題点に鑑み開発された全く新しい技術であって、
特に、射出成形方式を用いて一体成形することが出来る
構造であり、比較的大きな内径を有する首部の内周壁に
沿って、チューブ内に収納した中身が侵入して残留する
ことを防止し得る手段を設け、これによって中身が使い
終わった際に、首部に於ける中身の残量を少なくするこ
とが出来るようにした全く新しい技術を提供するもので
ある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明に係るチューブ
は、前述の従来の問題点を根本的に改善した技術であっ
て、その第１発明の要旨は、注出口を有する首部と該首
部に被蓋し得るキャップとをヒンジ部を介して一体的に
連結して成形した合成樹脂製チューブに於いて、前記首
部の内周壁に沿ってチューブ内の収納中身が侵入して滞
留することを防止し得る手段を設けたことを特徴とした
キャップ一体成形チューブである。

【００１１】第２発明の要旨は、チューブ内の収納中身
が侵入して滞留することを防止し得る手段が、首部の内
周壁面に設けられた多数の縦突条リブで構成されている
ことを特徴とした請求項１のキャップ一体成形チューブ
である。第３発明の要旨は、チューブ内の収納中身が侵
入して滞留することを防止し得る手段が、首部内中央に
設けられた筒体と、この筒体と首部の内周壁面との間に
設けられた多数の連結リブで構成されていることを特徴
とした請求項１のキャップ一体成形チューブである。第
４発明の要旨は、チューブ内の収納中身が侵入して滞留
することを防止し得る手段が、首部の内周壁面に設けら
れた相互の隙間が小さい螺旋状リブで構成されているこ
とを特徴とした請求項１のキャップ一体成形チューブで
ある。

【００１２】

【作用】本発明に於いては、チューブの首部の内周壁に
沿って収納中身が侵入して残留することを防止し得る手
段を設けたので、これによって収納した中身が使い終わ
った際に、首部に於ける中身の残量が多く無駄になる問
題を解決することが出来る。

【００１３】首部の内周壁面に多数の縦突条リブ、或い
は多数の連結リブが周りに設けられた筒体、または隙間
が小さい螺旋状リブを設けた場合には、これ等の夫々の
リブ相互間に空気が滞留するので、粘性の高い中身は勿
論のこと、粘性の低い中身でもこれ等のリブの間に侵入
することが困難となり、これによって首部の内径を実質
的に小さくすることが出来、収納した中身が使い終わっ
た際に、首部内に多量に残留することを防止出来る。

【００１４】更に、前述のような構造を持った内周壁面
にに多数の突条リブ、或いは多数の連結リブが設けられ
た筒体、または隙間が小さい螺旋状リブを設けた構造の
チューブ首部は射出成形方式によって一体成形が容易で
あり、精度の良いものを安価に大量生産することが可能
である。

【００１５】

【実施例】図により本発明に係るチューブについて説明
すると、図１（Ａ），（Ｂ）は第１実施例のチューブの
構成を示す縦断面図及び要部の横断面図、図２は第１実
施例のチューブの使用説明図、図３（Ａ），（Ｂ）は第
２実施例のチューブの構成を示す縦断面図及び要部の横
断面図、図４は第３実施例のチューブの縦断面図であ
る。

【００１６】本発明者等は、前述の従来の問題点に鑑
み、チューブの首部の外径を大きくし、かつその内径を
実質的に小さくし、更に射出成形方式によって、容易に
一体成形することが出来る構造のチューブの首部につい
て長年に亘って研究開発した結果、本発明を開発するに
至ったものである。本発明のチューブの首部は、いずれ
も射出方式を用いて容易に一体成形することが可能であ
り、かつ首部の内周壁に収納中身が残留し、中身が使い
終わった際に大量に無駄になることがないようにした構
造のものである。

【００１７】図１（Ａ），（Ｂ）により本願の第１実施
例のチューブを説明すると次の通りである。１０は第１
実施例のチューブであって、チューブ本体１１の上部に
首部１２が溶着して取り付けられ、かつ、この首部１２
にはヒンジ部１３を介してキャップ１４が開閉自在に取
り付けられている。首部１２の上部中央には注出口１５
が設けられ、かつ、キャップ１４の中央部には該注出口
１５に嵌入し得る突起１６が起立突設されている。ま
た、首部１２の内周壁全面には、多数の巾広縦突条リブ
１７と巾狭縦突条リブ１８とが交互に極めて狭い間隙を
保って、首部１２の中心方向に向かって放射状に突設さ
れている。

【００１８】特にこれ等の縦突条リブ１７，１８の間隙
は狭いので、これ等の縦突条リブ１７，１８の相互間に
空気が介在した場合には、粘性の高い中身は勿論のこ
と、粘性の低い中身でも、これ等の縦突条リブ１７，１
８間には侵入することが困難であるように構成されてい
る。図中１９はチューブ１０内に収納された化粧品の中
身である。前記多数の縦突条リブ１７，１８の上端は夫
々首部１２の天井壁にも連設されている。また、上記実
施例に於ける縦突条リブ１７，１８は夫々を同一寸法に
することも可能である。

【００１９】前記第１実施例のチューブ１０のように多
数の縦突条リブ１７，１８を夫々首部１２の内周壁及び
天井壁に設けた構造のものは、射出成形方式によって容
易に一体成形することが可能である。このように構成し
た首部１２を使用したチューブ１０は、図１（Ａ）に示
す如く、ある程度の粘性を持つ化粧品の中身１９を収納
した場合にも、縦突条リブ１７，１８の相互間に空気が
介在するので、これ等の間に中身１９が侵入することが
ない。特にチューブ１０には、中身１９が底部より充填
されるので、縦突条リブ１７，１８間に侵入した空気が
閉鎖された状態で滞留されており、この空気の作用によ
って中身１９がこれ等の縦突条リブ１７，１８内に侵入
することがない。

【００２０】チューブ１０内の中身１９を取り出す場合
には、図２に示す如く、チューブ１０のチューブ本体１
１を底部から首部１２に順に絞ることによって、注出口
１５より中身１９を注出して取り出すことが出来る。チ
ューブ本体１１に圧力を加えた場合にも、図２に示す如
く、中身１９は縦突条リブ１７，１８に侵入することが
ない。従って、中身１９を全部絞り出した際には、首部
１２内に残留する中身１９は極めて少なく、無駄になる
ことがない。

【００２１】図３に於いて、２０は第２実施例のチュー
ブであって、チューブ本体１１の上部に首部２１が取り
付けられている。この首部２１にもヒンジ部１３を介し
てキャップ１４が開閉自在に連結されている。この首部
２１は、その内部中央に天井壁より筒体２２が吊下され
ており、かつこの筒体２２と首部２１の内周壁とには多
数の縦方向の連結リブ２３が設けられている。

【００２２】これ等の連結リブ２３は、前記縦突条リブ
１７，１８との関係と同様に、相互の間隙が狭く形成さ
れており、これ等の間に空気が介在した場合には粘性の
ある中身１９が侵入しないように構成されている。従っ
て、第２実施例のチューブ２０の場合には、チューブ本
体１１に収納された中身１９が、首部２１の筒体２２の
みを通過して外方に注出されると共に、中身１９を全部
絞り出した際には、この筒体２２のみに中身１９が残留
し、残留する中身１９を極めて少なくすることが出来
る。この第２実施例のチューブ２０の首部２１も、内部
に縦方向の筒体２２と連結リブ２３とが設けられている
ので、射出成形方式によって一体成形が可能である。

【００２３】図４に於いて、３０は第３実施例のチュー
ブであって、チューブ本体１１の上部に首部３１が取り
付けられている。この首部３１にもヒンジ部１３を介し
てキャップ１４が開閉自在に取り付けられている。この
首部３１の内周壁面には螺旋状リブ３２が設けられてい
る。この螺旋状リブ３２は相互間隙が極めて小さく形成
され、前述の縦突条リブ１７，１８との関係と同様に、
これ等の螺旋状リブ３２の相互間に空気が介在した場合
には粘性のある中身１９が侵入しないように構成されて
いる。

【００２４】従って、第３実施例のチューブ３０の場合
には、チューブ本体１１に収納された中身１９が、首部
３１の螺旋状リブ３２の先端縁によって形成される円筒
空間３３を通過して外方に注出されると共に、中身１９
を全部絞り出した際には、この円筒空間３３のみに中身
１９が残留し、残留する中身１９を極めて少なくするこ
とが出来る。この第３実施例のチューブ３０の首部３１
も射出成形方式によって一体成形が可能である。

【００２５】

【発明の効果】本発明に係るチューブは、上述の如き構
造と作用とを有するので次のような多大な効果を有して
いる。

【００２６】（１）ヒンジ部を介してキャップが連結さ
れかつ外径が大きく、実質的な内径が小さなチューブ用
首部を射出成形方式によって容易に成形することが出来
る。（２）首部の内周壁面に縦突条リブ等を設けること
によって、この部分に中身が侵入して残留することがな
い首部を一体成形することが出来る。（３）従って、首
部の内周壁に沿って中身が侵入しない部分を形成するこ
とによって首部の実質的内径を小さくすることが出来
る。（４）使い終わった際の首部に於ける中身の残留量
を極めて少なくし、無駄を無くすることが出来る。
（５）外観が良く、かつキャップが連結されたチューブ
を容易に大量生産することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（Ａ），（Ｂ）は第１実施例のチューブの
構成を示す縦断面図及び要部の横断面図である。

【図２】第１実施例のチューブの使用説明図である。

【図３】図３（Ａ），（Ｂ）は第２実施例のチューブの
構成を示す縦断面図及び要部の横断面図である。

【図４】第３実施例のチューブの縦断面図である。

【図５】従来のキャップが別に作られたチューブを示す
縦断面説明図である。

【図６】従来のキャップがヒンジ部を介して連結された
チューブを示す縦断面説明図である。

【図７】本件出願人が開発した新しい構造のチューブを
示す縦断面説明図である。

【符号の説明】

１ チューブ本体 ２ 小径首部 ３ キャップ ４ 大径首部 ５ ヒンジ部 ６ キャップ ７ 内筒 ８ 外筒 ９ 首部 10 第１実施
例のチューブ 11 チューブ本体 12 首部 13 ヒンジ部 14 キャップ 15 注出口 16 突起 17 巾広縦突条リブ 18 巾狭縦突
条リブ 19 中身 20 第２実施
例のチューブ 21 首部 22 筒体 23 連結リブ 30 第３実施
例のチューブ 31 首部 32 螺旋状リ
ブ 33 円筒空間

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】注出口を有する首部と該首部に被蓋し得る
   キャップとをヒンジ部を介して一体的に連結して成形し
   た合成樹脂製チューブに於いて、前記首部の内周壁に沿
   ってチューブ内の収納中身が侵入して滞留することを防
   止し得る手段を設けたことを特徴としたキャップ一体成
   形チューブ。
2. 【請求項２】チューブ内の収納中身が侵入して滞留する
   ことを防止し得る手段が、首部の内周壁面に設けられた
   多数の縦突条リブで構成されていることを特徴とした請
   求項１のキャップ一体成形チューブ。
3. 【請求項３】チューブ内の収納中身が侵入して滞留する
   ことを防止し得る手段が、首部内中央に設けられた筒体
   と、この筒体と首部の内周壁面との間に設けられた多数
   の連結リブで構成されていることを特徴とした請求項１
   のキャップ一体成形チューブ。
4. 【請求項４】チューブ内の収納中身が侵入して滞留する
   ことを防止し得る手段が、首部の内周壁面に設けられた
   相互の隙間が小さい螺旋状リブで構成されていることを
   特徴とした請求項１のキャップ一体成形チューブ。