JPH07227296A - 3−ヒドロキシメチルセファロスポリンの酵素アシル化 - Google Patents

3−ヒドロキシメチルセファロスポリンの酵素アシル化

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JPH07227296A
JPH07227296A JP7017015A JP1701595A JPH07227296A JP H07227296 A JPH07227296 A JP H07227296A JP 7017015 A JP7017015 A JP 7017015A JP 1701595 A JP1701595 A JP 1701595A JP H07227296 A JPH07227296 A JP H07227296A
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diacetoxybutane
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John J Usher
ジェイ アーシャー ジョン
Guna Romancik
ロマンシク グーナ
Michael Politino
ポリティーノ マイケル
David A Lowe
エイ ロウ ディヴィッド
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 3−ヒドロキシメチルセファロスポリンの酵
素アシル化を含む、ベータラクタム抗生物質中間体の製
造方法を提供する。 【構成】 当該製造方法では、リパーゼ又はエステラー
ゼ酵素を用いて3−ヒドロキシメチルセファロスポリン
を3’アシル化する。好ましい酵素はロドスポリジウム
・トルロイデスから得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、3−ヒドロキシメチル
セファロスポリンの酵素アシル化を含む、ベータラクタ
ム抗生物質中間体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】3−アセトキシメチル−7β−アミノセ
フ−3−エム−4−カルボン酸(7−ACA)は、半合
成工業セファロスポリン抗生物質の製造に関する最重要
出発物質である。この中間体は、D−α−アミノアジピ
ル側鎖を化学的又は酵素的に加水分解することにより、
セファロスポリウム・アクレモニウム(Cephalosporiuma
cremonium) (ニュートン及びエイブラハムのネイチャ
ー、175, 548 (1955) 参照)の発酵生成物であるセファ
ロスポリンCから工業的に製造される。7−ACAの製
造において、3−アセチル基の化学的又は酵素(エステ
ラーゼ)的な加水分解に起因して、不要な副生成物とし
て3−ヒドロキシメチル−7β−アミノセフ−3−エム
−4−カルボン酸(デス−7−ACA)が通常生成され
る。デス−7−ACAは7−ACAに対する様々なエス
テラーゼの作用により生成され得る。更に、デス−7−
ACAは、セファロスポリンCから7−ACAへの転化
と類似の方法で、酵素的加水分解によりデスアセチル−
セファロスポリンCから生成され得る(PCT第90/121
10号明細書)。C−7アミノ基の高い反応性に起因し
て、脱アセチル化先駆物質から7−ACAを化学合成す
ると生成物は混合物となる。塩化アセチル又は無水酢酸
等の典型的な化学アセチル化試薬を使用すると、中でも
7−ACA、N−アセチル−7−ACA及びN−アセチ
ル−デスアセチル−7−ACAが生成される。更に、こ
の条件下では、3−ヒドロキシメチル−7β−アミノセ
フ−3−エム−4−カルボン酸はラクトン化され易い。
先行技術のO−アセチル化方法は、反応性のC−7アミ
ノ基をブロッキングした後に、酸受容体塩基を伴う4−
(第三アミノ)ピリジン触媒の存在下において非極性溶
媒中でO−アセチル化を行い、次にC−7アミノ基を脱
ブロッキングすることを含む(欧州特許第153,874A号明
細書)。更に他の方法では、C−7アセチル化化合物の
4−位のカルボキシル基をエステル化して反応中のラク
トン化を回避し、カルボキシル基を脱エステル化しC−
7アミノ基を脱保護して3−アルカノイルオキシメチル
−7β−アミノセフ−3−エム−4−カルボン酸を生成
すること(米国特許第3,532,694 号明細書)、又は酸受
容体塩基を伴う4−(第三アミノ)ピリジン触媒の存在
下において水性培地中でO−アセチル化を行い、次にC
−7アミノ基を脱ブロッキングすること(欧州特許第02
30972 号明細書)が含まれる。更に、3−ヒドロキシメ
チル−セファロスポリンを水性溶媒中でアセチル化する
化学的工程が記載されている(米国特許第5,221,739 号
明細書)。
【0003】特定のエステラーゼ及びリパーゼは、加水
分解反応を触媒することが公知であるのみならず、エス
テル化及びエステル交換を目的とする合成に使用するこ
とも可能である。エステラーゼを用いてデスアセチル−
セファロスポリン誘導体を製造することは、ジェフリー
らによって初めて示され(Biochem. J. 、81, 591-596
(1961))、そこではシトラスアセチルエステラーゼが使
用されている(米国特許第3,202,656 号明細書、欧州特
許第0,109,300 号明細書)。その後、オーレオバシディ
ウム(Aureobasidium) (欧州特許第0,044,736 号明細
書)、シゾミセテス(Schizomycetes) (米国特許第3,23
9,394 号明細書)、リゾビウム(Rhizobium) (米国特許
第3,436,310 号明細書)、バシルス・ズブチリス(Bacil
lus subtilis) (米国特許第3,304,310 号明細書、欧州
特許第0,173,206 号明細書)、ロドスポリジウム・トル
ロイデス(Rhodosporidium toruloides) (英国特許第2,
060,610 号明細書)、ロドトルーラ・ルブラ(Rhodotoru
la rubra) (英国特許第1,474,519 号明細書)、及び小
麦麦芽(wheat germ)から、セファロスポリン化合物を脱
アセチル化し得る多くの他のエステラーゼ及びリパーゼ
が発見された。更に最近では、ワン,Y-F らにより、リ
パーゼで触媒した砂糖のアセチル化における、不可逆ア
シル転移試薬としてのイソプロペニルアセテートの使用
が報告されている(J. Org. Chem. 、53, 3128-3129
)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】C−3’位がアセチル
化されたセファロスポリンを製造することを目的とする
合成において、以下に記載する特定のアシル供与体を伴
う以下に記載の特定の酵素の使用が機能することが、意
外にも発見された。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、C−7位のア
ミノ基をブロッキングすることが不要であってラクトン
化が除外されるようなO−アシル化セファロスポリンの
製造に関して有用である。酵素的反応に固有の特異性に
より、化学的反応に典型的な副生成物の生成を伴わずに
C−3’位を選択的にアセチル化することが可能とな
る。更に具体的には、本発明は、次の一般式で表される
セファロスポリン化合物
【0006】
【化3】
【0007】(式中、R’は水素又は次の一般式で表さ
れるアシル基 R−CO− (式中、Rはカルボン酸残基である)であり、Xは水素
又はハロであり、Gは硫黄、酸素、スルホキシド、スル
ホン又はメチレンである)の製造のためのアシル化方法
であって、次の一般式で表される化合物
【0008】
【化4】
【0009】とアシル供与体とを、ロドスポリジウム・
トルロイデス、小麦麦芽、オレンジピール、バシルス・
ズブチリス又はアスペルギルス・ナイジェール(Aspergi
llus niger) から得られるリパーゼ又はエステラーゼ酵
素の存在下で、水性媒体中で反応させることを含む、前
記方法に関する。
【0010】本発明で使用するアシル供与体は、3個以
上の炭素原子を含み、合成法においてC−3’位での反
応を推進する。このようなアシル供与体はアセチル供与
体又はモノハロアセチル供与体である。アシル供与体は
「可逆」又は「不可逆」の供与体であってよい。可逆供
与体にはエチルアセテート及びトリアセチンが含まれ
る。これらのエステル及びアルコール(一般式IIの化合
物)を、生成物(一般式Iの化合物)及びエステル由来
のアルコールと平衡にする。例えば、エチルアセテート
を用いると反応は次の通りである。
【0011】
【化5】
【0012】この反応は反対方向に作用し、エステルI
及びエタノールからエチルアセテートとアルコールIIと
の混合物が得られる。イソプロペニルアセテート
【0013】
【化6】
【0014】のような不可逆供与体を用いると、エステ
ル交換から得られるアルコール
【0015】
【化7】
【0016】は不安定であり、互変転換によりアセトン
を与える。このアセトンは、「可逆」型供与体として逆
反応に参加し得ない。従って、アセチル化生成物(I)
を形成方向への推進力は
【0017】
【化8】
【0018】であり、収率は相対的に良好である。本発
明で使用するアシル供与体の例には、次の一般式で表さ
れるものがある。 R”−O−CO−CH2 X (III ) (式中、R”はC1 −C10アルキル、C2 −C10アルケ
ニル、C3 −C10シクロアルキル、C3 −C10シクロア
ルケニル、C2 −C10アルキニル、C6 −C30アリー
ル、C1 −C10置換アルキル、C2 −C10置換アルケニ
ル、C3 −C10置換シクロアルキル、C3 −C10置換シ
クロアルケニル、C6 −C30置換アリール、又は次の一
般式で表される基 R"'−(OCH2 −CH2 n − (式中、nは2以上の整数(好ましくは2〜3,000 、更
に好ましくは2〜100)であり、R"'は水素又はアセチ
ルである) 又は次の一般式で表される基 R"'−(OCH2 −CH2 −CH2 n − (式中、n及びR"'は上記定義の通りである)であり、
Xは水素又はハロである) 好ましいアシル供与体は、R”がC2 −C6 アルケニ
ル、1〜3個のアセトキシ基で置換されたC1 −C6
ルキル、C6 −C10アリール又は次の一般式で表される
基 CH3 −CO(OCH2 −CH2 n − (式中、nは2〜100の整数である)であるものであ
る。
【0019】アシル供与体の具体例には、イソプロペニ
ルアセテート、トリアセチン、ビニルアセテート、エチ
ルアセテート、ジアセチン、エチレングリコールジアセ
テート、シス−1,4−ジアセトキシブタン、1,4−
ジアセトキシブタン、フェニルアセテート、1,2,4
−トリアセトキシベンゼン、1,3−ブタンジオールジ
アセテート、1,2−プロパンジオールジアセテート、
n−ブチルアセテート、トリエチレングリコールジアセ
テート、イソプロピルアセテート又はイソブチルアセテ
ート等が含まれる。更に好ましいアシル供与体は、イソ
プロペニルアセテート、トリアセチン、ビニルアセテー
ト、ジアセチン、エチレングリコールジアセテート、シ
ス−1,4−ジアセトキシブタン、1,4−ジアセトキ
シブタン、フェニルアセテート、1,3−ブタンジオー
ルジアセテート、1,2−プロパンジオールジアセテー
ト又はトリエチレングリコールジアセテートである。
R’は「カルボン酸残基」であり、セファロスポリンの
当業界で公知のC7-位の側鎖のもの、及びペニシリンの
当業界で公知のC6-位の側鎖のものを含む。通常は、こ
れらの側鎖はRがC1 −C20カルボン酸の残基であるも
のであり、例えばRは水素、C1 −C6 アルキル、C1
−C6 シアノ置換アルキル、カルボキシ、ハロゲン、C
1 −C4 アルコキシ、C1 −C4 アルキルチオ、トリフ
ルオロメチル又はトリフルオロメチルチオ、次の一般式
で表されるナフチル、フェニル又は置換フェニル基
【0020】
【化9】
【0021】(式中、a及びa’は独立に水素、ハロゲ
ン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1 −C4 アルコキ
シ、C1 −C4 アルカノイルオキシ、C1 −C4 アルキ
ル、C1 −C4 アルキルチオ、アミノ、C1 −C4 アル
カノイルアミノ、C1 −C4 アルキルスルホニルアミ
ノ、カルボキシ、カルバモイル、ヒドロキシメチル、ア
ミノメチル、又はカルボキシメチルである) 次の一般式で表される基
【0022】
【化10】
【0023】(式中、a及びa’は上に定義した通りで
あり、ZはO又はSであり、mは0又は1である) 次の一般式で表されるアリールメチル基 R3 −CH2 − (式中、R3 はナフチル、チエニル、フリル、ベンゾチ
エニル、ベンゾアミノチアゾリル、ベンゾフリル、ピリ
ジル、4−ピリジルチオ、ピリミジル、ピリダジニル、
インドリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリ
ル、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサ
ジアゾリル、チアジアゾリルである)及びアミノ、ヒド
ロキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1 −C4 アルキ
ル、C 1 −C4 アルコキシ、フェニル又は置換フェニル
又はC1 −C4 アルキルスルホニルアミノで置換された
前記アリールメチル基、次の一般式で表される置換メチ
ル基 R4 −CHQ− (式中、R4 はシクロヘキサ−1,4−ジエニル、次の
一般式で表されるフェニル又は置換フェニル
【0024】
【化11】
【0025】(式中、a及びa’は上記定義の通り) 又はR4 は上記定義のR3 であって、Qはヒドロキシ、
1 −C4 アルカノイルオキシ、カルボキシ、スルホ、
アミノ、スルホアミノ、又は次の一般式で表される置換
アミノ基 −NH−CO−NRx −CO−Ry (式中、Rx は水素又はC1 −C4 アルキル、Ry はC
1 −C4 アルキル、フリル、チエニル、フェニル、ハロ
フェニル、ニトロフェニル、スチリル、ハロスチニル、
ニトロスチニル又は次の一般式で表される基 −NRx −R2 (式中、Rx は上に定義した通りであり、R2 は水素、
1 −C4 アルキルスルホニル、C1 −C4 アルキル、
又はC1 −C4 アルカノイルである)である)であり、
又はQは次の一般式で表される置換アミノ基
【0026】
【化12】
【0027】(式中、R2 は上に定義した通りであり、
qは2又は3である)であり、又はQは次の一般式で表
される置換アミノ基
【0028】
【化13】
【0029】であり、又はQは次の一般式で表されるベ
ンズアミド基
【0030】
【化14】
【0031】(式中、xは1〜3である)であり、又は
Qは次の一般式で表されるピリドン又はピリドニル−カ
ルボニルアミノ基
【0032】
【化15】
【0033】(式中、Rx は上に定義した通りである)
であり、又はQは次の一般式で表されるピリジル−カル
ボニルアミノ基
【0034】
【化16】
【0035】であって、該基はC1 −C4 アルキル、ア
ミノ、カルボキシ、ヒドロキシ又はハロゲンで置換され
ていてよく、又はQは次の一般式で表されるイミダゾリ
ル又はピラゾリル基
【0036】
【化17】
【0037】であって、該イミダゾリル又はピラゾリル
はC1 −C4 アルキル、カルボキシ、アミノ又はハロゲ
ンで置換されていてよく、又はQは次の一般式で表され
るベンズピリダジン−4−オン基又はその互変異性体
【0038】
【化18】
【0039】(式中、Rx は上記定義の通りであり、t
は1〜3である)であり、又はQは次の一般式で表され
るベンズピラノン基
【0040】
【化19】
【0041】である) あるいは、Rは次の一般式で表される基
【0042】
【化20】
【0043】(式中、R5 は上記定義のR3 又はR4
あり、R9 は水素又はハロゲンであり、R6 は水素、C
1 −C4 アルキル、ハロゲンで置換されたC1 −C4
ルキル、次の一般式で表されるカルボキシ置換のアルキ
ル又はシクロアルキル基
【0044】
【化21】
【0045】(式中、b及びb’は独立に水素又はC1
−C3 アルキルであり、nは0、1、2又は3であり、
又はb及びb’はそれらが結合している炭素とともに3
〜6員の炭素環を形成し、R7 はヒドロキシ、C1 −C
4 アミノ、C1 −C4 アルキルアミノ、又はジ(C1
4 アルキル)アミノである)であり、又はR6 はフェ
ニルで置換されたC1 −C4 アルキル、又はC1 −C4
アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシ又は保護
されたカルボキシの中から選ばれる1個以上の同じか又
は異なる基で置換されたフェニルであり、又はR6 はC
1 −C4 アルケニルであり、又はR6 は次の一般式で表
される環状ラクタム基
【0046】
【化22】
【0047】(式中、vは2〜4であり、R8 は水素又
はC1 −C3 アルキルである)であり、又はR6 は次の
一般式で表されるアリールメチル基 R3 −CH2 − (式中、R3 は上に定義した通りである)であり、又は
Rは次の一般式で表される基 −(CH2 t COOH (式中、tは前記定義の通りである)であり、又はRは
次の一般式で表される基 −(CH2 t CH(NH2 )COOH (式中、tは上記定義の通りである)であり、又はRは
次の一般式で表される基である。 −(CH2 t CH(R12NR11)COOH (式中、tは上記定義の通りであり、R12は水素であ
り、R11はフェニル、置換フェニル、又は次の一般式で
表される基 −CO−R13 (式中、R13はフェニル、置換フェニル、C1 −C6
ルキル、C1 −C6 置換アルキル、アミノフェニル、フ
ェニルスルホニル、(置換フェニル)スルホニル、C1
−C4 アルコキシ、又はオキソ(C1 −C6 アルキル)
であってよい)である)
【0048】様々な一般式(即ち一般式I、II及びIII
)で表される化合物の上記定義において、「アルキ
ル」はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、
n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、
n−ヘキシル、3−メチルペンチル、及び同様のアルキ
ル基等の直鎖又は枝分れ鎖のアルキル基を意味し、「置
換アルキル」はシアノ、カルボキシ、ハロゲン、アミ
ノ、C1 −C4 アルコキシ、C1 −C4 アルキルチオ、
トリフルオロメチル、及びトリフルオロメチルチオで置
換されたこれらのアルキルを含み、「シアノ...で置
換されたアルキル」はシアノメチル、シアノエチル、4
−シアノブチル等を意味し、「カルボキシ...で置換
されたアルキル」はカルボキシメチル、2−カルボキシ
エチル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチ
ル等の基を意味し、「ハロゲン...で置換されたアル
キル」はクロロメチル、ブロモメチル、2−クロロエチ
ル、1−ブロモエチル、4−クロロブチル、4−ブロモ
ペンチル、6−クロロヘキシル、4−フルオロブチル、
3−フルオロプロピル、フルオロメチル等を意味し、
「アミノ...で置換されたアルキル」は2−アミノエ
チル、アミノメチル、3−アミノプロピル及び4−アミ
ノブチル等の基を意味し、「C1 −C4 アルコキ
シ...で置換されたアルキル」はメトキシメチル、2
−メトキシエチル、2−エトキシエチル、エトキシメチ
ル、3−プロポキシプロピル、3−エトキシブチル、4
−t−ブトキシブチル、3−メトキシペンチル、6−メ
トキシヘキシル等の基を意味し、「C1 −C4 アルキル
チオ...で置換されたアルキル」は、例えばメチルチ
オメチル、2−メチルチオエチル、2−エチルチオプロ
ピル、4−メチルチオブチル、5−エチルチオヘキシ
ル、3−t−ブチルチオプロピル等の基を意味し、「ト
リフルオロメチル...で置換されたアルキル」は、例
えば2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−ト
リフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチ
ル、6,6,6−トリフルオロヘキシル等を意味し、
「トリフルオロメチルチオ...で置換されたアルキ
ル」は、例えばトリフルオロメチルチオメチル、2−ト
リフルオロメチルチオエチル、2−トリフルオロメチル
チオプロピル、4−トリフルオロメチルチオブチル、5
−トリフルオロメチルチオヘキシル、及び同様のC1
6 置換アルキル基を意味する。
【0049】「アルケニル」の語は、1個以上の炭素−
炭素二重結合を有する基を意味する。そのような基の例
としてはビニル、1−プロペン−2−イル、1−ブテン
−4−イル、1−ペンチン−1−イル、1−ブチン−1
−イル等の基がある。「置換アルケニル」の語は、1個
以上の炭素−炭素二重結合を有し、1個以上のハロ、カ
ルボキシ、アミノ、C1 −C4 アルコキシ、C1 −C4
アルキルチオ、トリフルオロメチル、トリフルオロメチ
ルチオ、シアノ等により置換された基を意味する。「ア
ルキニル」の語は、1個以上の炭素−炭素三重結合を有
する基を意味する。そのような基の例としてはエチニ
ル、プロピニル等の基がある。「シクロアルキル」の語
は、3個以上の炭素原子を有する環状アルキル基を意味
する。そのような基の例としてはシクロプロピル、シク
ロヘキシル等の基がある。「置換シクロアルキル」の語
は、1個以上のハロ、カルボキシ、アミノ、C1−C4
アルコキシ、C1 −C4 アルキルチオ、トリフルオロメ
チル、トリフルオロメチルチオ、シアノ等により置換さ
れた環状アルキル基を意味する。「アリール」の語は、
芳香族性の環状基を意味する。そのような基の例にはフ
ェニル、ナフチル及びアンチルが含まれる。「置換アリ
ール」の語は、1個以上のハロ、カルボキシ、アミノ、
1 −C4アルコキシ、C1 −C4 アルキルチオ、トリ
フルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、シアノ等に
より置換されたアリール基を意味する。「C1 −C4
ルキルチオ」の語は、1〜4個の炭素原子を有し、1個
以上の硫黄原子で置換された基を意味する。「ハロ」及
び「ハロゲン」の語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又は
ヨード基を意味する。
【0050】一般式Iにおいて、置換基がa及びa’で
表されている置換フェニル基の例としては、4−クロロ
フェニル、3−ブロモフェニル、2−フルオロフェニ
ル、2−ヨードフェニル、2,4−ジクロロフェニル、
及び3,5−ジクロロフェニル等のハロフェニル;2−
ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒ
ドロキシフェニル、2,4−ジヒドロキシフェニル、及
び3,4−ジヒドロキシフェニル等のヒドロキシフェニ
ル;2,6−ジメトキシフェニル、4−メトキシフェニ
ル、3−エトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニ
ル、4−t−ブトキシフェニル、4−メトキシ−3−エ
トキシフェニル、及び4−n−プロポキシフェニル等の
アルコキシフェニル;2−アセトキシフェニル、4−プ
ロピオノキシフェニル、4−フォルミルオキシフェニ
ル、4−アセトキシフェニル、3−ブチリルオキシフェ
ニル、及び3−アセトキシフェニル等のアルカノイルオ
キシフェニル;4−メチルフェニル、2−メチルフェニ
ル、2,4−ジメチルフェニル、3−t−ブチルフェニ
ル、4−エチルフェニル、4−エチル−3−メチルフェ
ニル、及び3,5−ジメチルフェニル等のアルキルフェ
ニル;4−メチルチオフェニル、3−n−ブチルチオフ
ェニル、2−エチルチオフェニル、3,4−ジメチルチ
オフェニル、及び3−n−プロピルチオフェニル等のア
ルキルチオフェニル;2−アミノフェニル、4−アミノ
フェニル、3,5−ジアミノフェニル、及び3−アミノ
フェニル等のアミノフェニル;2−アセチルアミノフェ
ニル、4−アセチルアミノフェニル、3−プロピオニル
アミノフェニル、及び4−ブチリルアミノフェニル等の
アルカノイルアミノフェニル;3−メチルスルホニルア
ミノフェニル、4−メチルスルホニルアミノフェニル、
3,5−ジ(メチルスルホニルアミノ)フェニル、4−
n−ブチルスルホニルアミノフェニル、及び3−エチル
スルホニルアミノフェニル等のアルキルスルホニルアミ
ノフェニル;
【0051】2−、3−、又は4−カルボキシフェニ
ル、3,4−ジカルボキシフェニル、及び2,4−ジカ
ルボキシフェニル等のカルボキシフェニル;2−カルバ
モイルフェニル、2,4−ジカルバモイルフェニル、及
び4−カルバモイルフェニル等のカルバモイルフェニ
ル;4−ヒドロキシメチルフェニル及び2−ヒドロキシ
メチルフェニル等のヒドロキシメチルフェニル;2−ア
ミノメチルフェニル及び3−アミノメチルフェニル等の
アミノメチルフェニル;及び2−カルボキシメチルフェ
ニル、4−カルボキシメチルフェニル、及び3,4−ジ
(カルボキシメチル)フェニル等のカルボキシメチルフ
ェニルがあり、更に4−クロロ−3−メチルフェニル、
4−フルオロ3−ヒドロキシフェニル、3,5−ジクロ
ロ−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−ク
ロロフェニル、4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル、
4−エチル−3−ヒドロキシフェニル、4−メトキシ−
3−ヒドロキシフェニル、4−t−ブチロキシ−2−ヒ
ドロキシフェニル、4−アセチルアミノ−3−メトキシ
フェニル、3−アミノ−4−エチルフェニル、2−アミ
ノメチル−4−クロロフェニル、2−ヒドロキシメチル
−3−メトキシフェニル、2−ヒドロキシメチル−4−
フルオロフェニル、2−アセトキシ−4−アミノフェニ
ル、4−アセトキシ−3−メトキシフェニル、、3−イ
ソプロピルチオ−4−クロロフェニル、2−メチルチオ
−4−ヒドロキシメチルフェニル、4−カルボキシ−3
−ヒドロキシフェニル、4−エトキシ−3−ヒドロキシ
フェニル、4−メチルスルホニルアミノ−2−カルボキ
シフェニル、4−アミノ−3−クロロフェニル、及び2
−カルボキシメチル−4−ヒドロキシフェニル等の異な
る置換基を有する置換フェニル基がある。
【0052】Rが次の一般式で表される基
【0053】
【化23】
【0054】である一般式IのRCO−基の例として
は、m=0の場合には、フェニルアセチル、4−ヒドロ
キシフェニルアセチル、4−クロロフェニルアセチル、
3,4−ジクロロフェニルアセチル、4−メチルフェニ
ルアセチル、3−エチルフェニルアセチル、2−アミノ
メチルフェニルアセチル、3−カルボキシフェニルアセ
チル、4−アセトキシフェニルアセチル、3−アミノフ
ェニルアセチル、及び4−アセチルアミノフェニルアセ
チルがあり;m=1でZ=Oの場合には、フェノキシア
セチル、4−クロロフェノキシアセチル、4−フルオロ
フェノキシアセチル、3−アミノフェノキシアセチル、
3−ヒドロキシフェノキシアセチル、2−メトキシフェ
ノキシアセチル、2−メチルチオフェノキシアセチル、
4−アセチルアミノフェノキシアセチル、3,4−ジメ
チルフェノキシアセチル、及び3−ヒドロキシフェノキ
シアセチルがあり;m=1でZ=Sの場合には、フェニ
ルチオアセチル、4−クロロフェニルチオアセチル、
3,4−ジクロロフェニルチオアセチル、2−フルオロ
フェニルチオアセチル、3−ヒドロキシフェニルチオア
セチル、及びエトキシフェニルチオアセチルがある。
【0055】R3 がヘテロアリール基である一般式Iの
3 −CO2 CO−基の例としては、2−チエニルアセ
チル、3−チエニルアセチル、2−フリルアセチル、2
−ベンゾチエニルアセチル、2−ベンゾフリルアセチ
ル、インドール−2−イルアセチル、1H−テトラゾー
ル−1−イルアセチル、オキサゾール−2−イルアセチ
ル、オキサゾール−4−イルアセチル、チアゾール−4
−イルアセチル、2−アミノチアゾール−4−イルアセ
チル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イルアセチ
ル、1,3,4−チアジアゾール−2−イルアセチル、
5−エチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イルア
セチル、及びアミノ、C1 −C4 アルキルスルホニルア
ミノ、ヒドロキシ、ハロ、C1 −C4 アルキル又はC1
−C4 アルコキシ基により置換された同様のヘテロアリ
ール基がある。
【0056】Rが一般式R4 −CH(Q)−(式中、Q
はアミノ、カルボキシ、ヒドロキシ、又はスルホであ
る)で表される置換メチル基である一般式IのRCO−
基の例としては、2−カルボキシ−2−フェニルアセチ
ル、2−アミノ−2−(2−ナフタレニル)アセチル、
2−カルボキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)アセ
チル、2−アミノ−2−フェニルアセチル、2−アミノ
−2−(4−ヒドロキシフェニル)アセチル、2−アミ
ノ−2−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)アセ
チル、2−アミノ−2−(シクロヘキサ−1,4−ジエ
ニル)アセチル、2−アミノ−2−(3−メチルスルホ
ンアミドフェニル)アセチル、2−アミノ−2−(3−
メチルスルホンアミドフェニル)アセチル、2−アミノ
−2−(3−エチルスルホンアミノフェニル)アセチ
ル、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル、2−ホル
ミルオキシ−2−フェニルアセチル、2−スルホ−2−
フェニルアセチル、2−スルホ−2−(4−メチルフェ
ニル)アセチル、及び2−アセトキシ−2−(3−ヒド
ロキシフェニル)アセチル、2−アミノ−2−(2−チ
エニル)−アセチル、2−アミノ−2−(3−ベンゾチ
エニル)アセチル、2−アミノ−2−(1H−テトラゾ
ール−1−イル)アセチル、2−ヒドロキシ−2−
(1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アセチル、
2−アミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)
アセチル、2−カルボキシ−2−(2−チエニル)アセ
チル、2−カルボキシ−2−(ベンゾチエン−2−イ
ル)アセチル、及び2−ヒドロキシ−2−(ベンゾフル
−2−イル)アセチルがあり;
【0057】Qが次の一般式で表される置換アミノ基 −NH−C(O)−NRx −C(O)−Ry である場合には、そのようなアシル基の例としては2−
(N−メチル−N−ベンゾイル−カルバモイルアミノ)
−2−フェニルアセチル、2−(N−メチル−N−シン
ナモイル−カルバモイルアミノ)−2−(2−フリル)
アセチル、2−(N,N−ジメチル−カルバモイルウレ
イド)−2−(4−クロロフェニル)アセチル、2−
〔N−メチル−N−(2−クロロシンナモイル)カルバ
モイルアミノ〕−2−(2−チエニル)アセチル、及び
2−(N−エチル−N−アセチルカルバモイルアミノ)
−2−(4−ヒドロキシフェニル)アセチルがあり;Q
が次の一般式で表される置換アミノ基
【0058】
【化24】
【0059】である場合には、例としては2−〔(3−
メチルイミダゾリジン−2−オン−1−イル)カルボニ
ルアミノ〕−2−フェニルアセチル、2−〔(3−アセ
チルイミダゾリジン−2−オン−1−イル)カルボニル
アミノ〕−2−フェニルアセチル、2−〔(3−メチル
スルホニルイミダゾリジン−2−オン−1−イル)−2
−(2−チエニル)アセチル、及び2−〔(3−アセチ
ルヘキサヒドロピリミジン−2−オン−1−イル)カル
ボニルアミノ〕−2−フェニルアセチルがあり;Qが次
の一般式で表されるヒドロキシ置換ベンズアミド基
【0060】
【化25】
【0061】である場合には、そのようなアシル基の例
としては2−(2,4−ジヒドロキシベンズアミド)−
2−フェニルアセチル、2−(4−ヒドロキシベンズア
ミド)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセチル、
2−(3,4−ジヒドロキシベンズアミド)−2−(2
−アミノチアゾール−4−イル)−アセチル、2−
(3,5−ジヒドロキシベンズアミド)−2−(3−チ
エニル)アセチル、及び2−(2−ヒドロキシベンズア
ミド)−2−(2−ベンゾフリル)−アセチルがある。
Qがヒドロキシ置換ピリジンカルボニルアミノ基である
場合には、例としては例えば2−ヒドロキシピリジン−
4−オン−6−イルカルボニルアミノ及び3−ヒドロキ
シピリジン−4−オン−6−イルカルボニルアミノが含
まれる。Qがピリジルカルボニルアミノ基である場合に
は、例としては例えばピリジン−3−イルカルボニルア
ミノ、4−アミノピリジン−3−イルカルボニルアミ
ノ、5−クロロピリジン−2−イルカルボニルアミノ、
3−カルボキシピリジン−4−イルカルボニルアミノ、
及び4−アミノピリジノ−3−イルカルボニルアミノが
ある。Qが上記定義のイミダゾール又はピラゾール基で
ある場合には、例としては例えば2−アミノイミダゾー
ル−4−イルカルボニルアミノ、5−カルボキシ−2−
メチルイミダゾール−4−イルカルボニルアミノ、5−
カルボキシピラゾール−3−イルカルボニルアミノ、3
−アミノピラゾール−4−イルカルボニルアミノ及び4
−ヒドロキシピラゾール−5−イルカルボニルアミノが
含まれる。Qがベンズピリダジン−4−オン−3−イル
カルボニルアミノ基である場合には、Qの例としては次
の一般式で表されるもの
【0062】
【化26】
【0063】がある。Rが次の一般式で表されるケト基
又はオキシミノ置換基
【0064】
【化27】
【0065】である一般式Iで表される化合物のRCO
アシル基の例としては、ケト基2−オキソ−2−(2−
チエニル)アセチル、2−オキソ−2−(2−アミノチ
アゾール−4−イル)アセチルがあり;オキシミノ置換
基2−フェニル−2−メトキシアミノアセチル、2−
(2−チエニル)−2−エトキシイミノアセチル、2−
(2−フリル)−2−メトキシイミノアセチル、2−
(2−ベンゾチエニル)−2−カルボキシメトキシイミ
ノアセチル、2−(2−チエニル)−2−(2−カルボ
キシエトキシ)イミノアセチル、2−(2−アミノ−
1,2,4−チアジアゾール−4−イル)−2−メトキ
シイミノアセチル、2−(2−アミノチアゾール−4−
イル)−2−メトキシイミノアセチル、2−(2−クロ
ロチアゾール−4−イル)−2−メトキシイミノアセチ
ル、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−
(2−カルボキシプロプ−2−イル)オキシイミノアセ
チル、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−
(2−カルバモイル−プロプ−2−イル)オキシイミノ
アセチル、2−(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾ
ール−2−イル)−2−メトキシイミノアセチルがあ
る。
【0066】R6 がフェニル又は置換フェニルで置換さ
れているC1 −C4 アルキルである場合、そのような基
の例としてはベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−
クロロベンジル、3−カルボキシベンジル、3−クロロ
−4−ヒドロキシベンジル、2−フェニルエチル、1−
フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−ヒドロキ
シ−2−フェニルプロピル、3−フェニルブチル、及び
同様のフェニルアルキル基がある。R6 がアミノ又は保
護されたアミノで置換されているC1 −C4 アルキルで
ある場合、例としては2−アミノエチル、3−アミノプ
ロピル、4−アミノブチル、2−アミノプロピル、及び
アミノ基がアミノ保護基により保護されているそれらの
基が含まれる。R6 がC2 −C4 アルケニル基である場
合、例としてはアリル、ブテン−2、ブテン−3、ブテ
ン−1、及び同様の基が含まれる。Rが次の一般式で表
される基
【0067】
【化28】
【0068】である場合の一般式(I)で表される化合
物の例は、ハマシマの米国特許第4,634,617 号明細書中
に見出すことができ、当該明細書の内容はここに含まれ
るものとする。置換基の例としては、R9 については水
素、R5 についてはフェニル、フリル、チエニル、オキ
サゾリル、イソオキサゾリル、最適に保護されたアミノ
イソオキサゾリル、チアゾリル、保護されていてもよい
アミノチアゾリル、チアジアゾリル、及びアミノチアゾ
リル、及びR6 についてはC1 −C3 アルケニル及び−
CH2 COO2 Hがある。Rが次の一般式で表される基 −(CH2 1 CH(R12NR11)COOH である場合、R11の例としては、R12が水素である場合
には次の一般式で表されるもの
【0069】
【化29】
【0070】が含まれ、あるいはR11とR12とが一体と
なって次の一般式で表される基
【0071】
【化30】
【0072】を形成する。そのようなR11及びR12の更
に他の例は、米国特許第3,853,863 号、第3,522,248
号、第3,573,296 号、第3,641,018 号、第3,980,644
号、及び第3,821,208号、日本国特許第108,085 号(197
6)、第112,892 号(1978)、第53,689号(1978)、第029,49
3 号(1976)、第13,389号(1973)、第149,694 号(1975)、
第82,791号(1977)、ドイツ特許第2,157,693 号、第2,72
1,731 号、第2,507,117 号、第2,208,631 号、第2,458,
554 号、第2,418,088 号、第2,523,280 号、及び第2,84
1,363 号、ベルギー特許第796,540 号(1973)、英国特許
第1,565,053 号及び第2,040,942号の各明細書、アンド
リサーノ,R.らのJ. Appl. Chem. Biotechnol.、26, 45
9-468 (1976)中に見出すことができ、上記全ての内容は
ここに含まれるものとする。一般式I及びIIの化合物に
おいて、最も好ましいR’は水素、アセチル、グルタリ
ル、α−アミノジピル、及びフェニルアセチルであり、
Gは最も好ましくは硫黄、及びXは好ましくは水素であ
る。
【0073】本発明のアシル化工程を行うのに用いる酵
素は、ロドスポリジウム・トルロイデス、小麦麦芽、オ
レンジピール、バシルス・ズブチリス又はアスペルギル
ス・ナイジェールから得られるリパーゼ又はエステラー
ゼである。酵素はいかなる形態で使用してもよい。例え
ば、酵素は粗形態であっても、部分的に精製されていて
も、あるいは精製され結晶化していてもよい。酵素が微
生物から得られる場合には、該工程は全細胞を用いて行
ってもよく(この場合には酵素はin situ で形成され
る)、又は細胞を適切に処理した後に溶解性酵素を得て
もよい。一般に、酵素の形態は、反応培地中で容易に分
散してアシル供与体及び一般式IIの出発化合物と接触し
うるものであろう。従って、酵素が微生物由来のもので
ある場合、好ましくは細胞が増殖しないよう処理した後
に、及び所望により、超音波処理、溶菌酵素を用いた処
理又は洗浄剤を用いた処理等の従来の方法により細胞を
破壊した後に、カルチャー全体の細胞を使用してよい。
アセトン乾燥粉末又はアセトン処理細胞等の、酵素活性
を維持しながら細胞の保存が可能なその他の細胞調製法
を用いることも可能である。エチレンジアミン四酢酸
(EDTA)等のキレート試薬を用いた処理が好まし
い。
【0074】微生物酵素を無細胞形態で使用してもよ
い。従って、カルチャーから得た濾過物又は上澄みを使
用してもよい。必要に応じて、濾過又は遠心分離の前
に、上記のように細胞を破壊してもよい。あるいは、無
細胞酵素を常法により更に精製してもよい。使用し得る
手法には、塩又はアセトン等の有機溶媒等を用いた酵素
の沈殿、イオン交換樹脂又は酵素に特別に親和性のある
支持体等によるクロマトグラフィー、ゲル濾過又は透析
等の脱塩が含まれる。無細胞酵素は溶液、沈殿又は適切
な固定化調製物として使用してよい。酵素が小麦麦芽又
はオレンジピール由来である場合、植物材料の酵素含有
抽出物を使用するのが望ましい。そのような抽出物は、
英国特許第966,222 号明細書に記載のような粉砕又は圧
搾等の物理的手法による、又は英国特許第1,121,308号
明細書に記載のような石油エーテル等の炭化水素溶媒を
用いた植物材料の処理等の化学的手法による、植物材料
からの酵素の初期放出を一般に含む常法により調製して
よい。細胞の残骸が除去されているか否かを問わず、得
られた調製物を直接反応混合物に添加してよい。あるい
は、必要に応じて、微生物酵素についての上記の手法等
を用いて調製物を更に処理し、微生物酵素について記載
した使用可能な無細胞酵素を得てもよい。好ましい調製
方法は、溶解性酵素のグルタルアルデヒド/ポリエチレ
ンイミン(PEI)処理による酵素の不溶化である。そ
のような不溶化手法は当業界で周知であり、例えばオガ
タ、オッテセン(Ottesen) 及びスベンセン(Svendsen)の
Biochim. Biophys. Acta、159, 403-405 (1968) に開示
されている。
【0075】本発明に有用な小麦麦芽リパーゼは、当業
界で周知である。そのようなリパーゼは、例えばシンガ
ーのJ. Biol. Chem.、174, 11 (1948)に記載されてお
り、この刊行物に記載のように更に精製してもよい。好
適な小麦麦芽リパーゼの工業原料は、シグマ社(ミズー
リ州セントルイス)から入手可能な小麦麦芽リパーゼI
型(Cat.番号L 3001)である。本発明に有用で好適なオ
レンジピールエステラーゼは、当業界で周知である。そ
のようなエステラーゼは、例えば英国特許出願第966,22
2 号明細書、米国特許第3,202,656 号明細書、及び欧州
特許第0,109,300 号明細書に記載されており、これら特
許に記載の方法により調製可能である。好適なオレンジ
ピールエステラーゼの工業原料には、シグマ社(ミズー
リ州セントルイス)から入手可能なアセチルエステラー
ゼ(Cat.番号A 4530)が含まれる。本発明に有用で好適
なアスペルギルス・ナイジェールから得られるリパーゼ
は、当業界で周知である。そのようなリパーゼは、マル
カタ(Malcata) 、ヒル及びアムンドソン(Amundson)のBi
otechnol. Bioeng. 、38, 853-868 (1991)に記載されて
いる。そのようなリパーゼは、当業界で周知の培地及び
成長条件を用いて、アスペルギルス・ナイジェールのリ
パーゼ産生性菌株の発酵により調製しうる。アスペルギ
ルス・ナイジェールから得られるリパーゼの工業原料
は、バイオキャタリスト社(英国CS37 5UTミッドグラモ
ーガン、ポンティプリッド、トレフォレスト・インダス
トリアル・エステート、メイン・アベニュー)から入手
可能である。
【0076】本発明に有用で好適なバシルス・ズブチリ
スから得られるエステラーゼは、当業界で周知である。
そのようなエステラーゼは、例えば米国特許第3,304,31
0 号明細書及び欧州特許第0,173,206 号明細書に記載さ
れている。そのようなエステラーゼは、当業界で周知の
培地及び成長条件を用いて、バシルス・ズブチリスのエ
ステラーゼ産生性菌株の発酵により調製しうる。好まし
いバシルス・ズブチリスの菌株にはATCC6633及びATCC94
66が含まれる。本発明に有用で好適なロドスポリジウム
・トルロイデスから得られるエステラーゼは、当業界で
周知である。そのようなエステラーゼは、例えば英国特
許第2,060,610 号明細書に記載されている。そのような
エステラーゼは、当業界で周知の培地及び成長条件を用
いて、ロドスポリジウム・トルロイデスのエステラーゼ
産生性菌株の発酵により調製しうる。好ましいロドスポ
リジウム・トルロイデスの菌株にはATCC10657 が含まれ
る。
【0077】工程において必要な酵素の量は、原料、純
度、反応条件等に依存して変化し得るものであり、日常
実験により決定する。本発明の方法は水性媒体中で行
う。例えば、該方法は水中、又はリパーゼ又はエステラ
ーゼ産生性微生物を培養するのに好適な発酵ブロス中で
行い得る。本発明の方法を水中で行い得ることから、ブ
ロスからの精製の初期段階においてアシル化を完了する
ことが可能となる。更に、該方法を水性媒体中で行うこ
とにより、ブロス混合物を溶媒に移してアシル化を完了
させる必要がない。通常の当業者であれば、適切な媒体
(培地)を用いて微生物を成長させることができる。振
盪又は攪拌等による有気性条件を使用するのが好まし
い。微生物の成長に適切な培地には、微生物細胞の成長
に必要な栄養素を供給するものが含まれる。一般的な成
長用培地は必須炭素源、窒素源及び微量元素を含む。炭
素源は、マルトース、ラクトース、グルコース、フルク
トース、グリセロール、ソルビトール、スクロース、ス
ターチ、マンニトール、プロピレングリコール等の糖;
酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等の有機酸;グル
タミン酸ナトリウム等のアミノ酸;及びエタノール、プ
ロパノール等のアルコールを含んでよい。窒素源は、N
−ZアミンA、コーン・スティープ・リカー(corn stee
p liquor) 、ダイズ粉、牛肉抽出物、イースト抽出物、
糖蜜、イースト、トリプトン、ニュートリソイ(nutris
oi) 、ペプトン、イーストアミン、硝酸ナトリウム、硫
酸アンモニウム等を含んでよい。微量元素はホスフェー
ト及びマグネシウム、マンガン、カルシウム、コバル
ト、ニッケル、鉄、ナトリウム及びカリウム塩を含んで
よい。使用する培地は1種以上の炭素又は窒素源あるい
は他の栄養素を含んでいてよい。
【0078】アスペルギルス・ナイジェールの培養に関
する好適な手法は、線状菌のATCCカタログ(アメリカン
・タイプ・カルチャー・コレクション、メリーランド州
ロックビル)に記載され;バシルス・ズブチリスの培養
に関する好適な手法は、米国特許第3,304,310 号明細書
に記載され;ロドスポリジウム・トルロイデスの培養に
関する好適な手法は、英国特許第2,060,610 号明細書に
記載されている。本発明の方法において、条件は著しく
変わり得る。例えば、当該方法は、約−20℃〜約30
℃の温度で、約5〜約9のpHにおいて、反応が完了す
るのに十分な時間(一般には約5分〜100時間)行う
ことが可能である。好ましくは、該方法を約0℃〜約2
5℃の温度で、約7〜約8のpHにおいて、約10分〜
約48時間(更に好ましくは約30分〜4時間)行う。
本発明の方法により結果として得られる一般式IIの化合
物の一般式Iの化合物への転化率は4%以上であり、好
ましくは10%以上の転化率、更に好ましくは50%以
上の転化率、最も好ましくは80%以上の転化率であ
る。本発明の方法は、好ましくは更に反応培地から所望
の生成物を分離する工程を含む。そのような分離又は単
離手法は当業界で周知である。そのような分離手法には
クロマトグラフィー、有機溶媒への抽出、不溶物質とし
ての沈殿、及び再結晶化が含まれる。例えば、反応培地
を真空処理して未反応アシル供与体及び不純物の残骸を
除去し得る。次に粗混合物を分取クロマトグラフィー
(HP20SS等)にかけてよい。水洗後、メタノール等の適
切な溶媒を用いて所望の生成物を溶出し得る。次に標準
的な結晶化手法により所望の生成物を得ることができ
る。以下の実施例は本発明を説明するためのものであっ
て、本発明を制限するものと考えてはならない。
【0079】
【実施例】
実施例1酵素源としてロドスポリジウム・トルロイデス全細胞
を、アシル供与体としてイソプロペニルアセテートを使
用した、デス−7−ACAからの7−ACAの合成 エステラーゼ生成用のロドスポリジウム・トルロイデス
(ATCC10657 )の振盪フラスコ発酵を、次の手順に従っ
て準備した:以下の培地を100 ミリリットル含む500 ミ
リリットルのフラスコに、2%の凍結保存カルチャーを
接種して、種培養を開始した:グルコース2%、イース
ト抽出物1%、バクトペプトン1%、KH 2PO40.5 %、p
H6.0 。培地を30分間高圧蒸気滅菌した。種フラスコ
を28℃において250rpmで24時間培養し、2体積%の
接種原を生産段階発酵の開始に使用した。生産段階培地
は、コーン・スティープ・リカー1%、K2HPO41%、グ
ルコース3%からなり、pH6.2 である。培地を1リッ
トルの発酵槽中で2時間高圧蒸気滅菌した。発酵槽ブロ
スを高曝気下で16〜21℃において3又は4日間培養
した。エステラーゼの活性を、以下のように監視した:
200 マイクロリットルの全細胞(蒸留水で希釈して10
〜20%の基質転化率を得た)に、20ミリグラム/ミ
リリットルのカリウムセファロスポリンCのリン酸カリ
ウム緩衝液(0.2 M、pH6.5 )溶液を、200 マイクロ
リットル添加した。混合物を37℃で20分間温置し、
3.0 ミリリットルのアセトニトリル/水(1/1)を添
加して停止した。10mMのオクタンスルホン酸、H3PO
4 0.1 %、メタノール10%からなる移動相(pH2.5
)を有するC18逆相カラムでHPLCにより、アセト
ニトリル/水混合物の上澄みを検定した。
【0080】全ブロスの比活性は一般に20〜37国際
単位/ミリリットル(国際単位(IU)は、1分当たり
に形成される生成物1マイクロモルと定義される)の範
囲であった。全細胞ブロスを遠心分離し、水1ミリリッ
トル当たり80活性単位に細胞を再懸濁して、ロドスポ
リジウム・トルロイデス洗浄細胞濃厚物を調製した。分
別遠心により、コーン・スティープ固体を除去した。2
MのHEPES緩衝液(pH6.5 〜8.1 )に333 ミリグ
ラム/ミリリットルで固体を添加し、濃縮アンモニアを
溶解してpHを7.8 〜8.0 に調節して、デスアセチル−
7−ACA保存溶液を調製した。最終基質濃度が0.75M
のHEPES緩衝液中250 ミリグラム/ミリリットルの
デス−7−ACAとなるように、溶液の体積を調節し
た。基質保存溶液(12.5ミリリットル)と酵素(12.5ミ
リリットル)(80IU/ミリリットルのロドスポリジ
ウム・トルロイデス細胞濃度)を混合し、イソプロペニ
ルアセテート(10ミリリットル)を添加して、反応を
開始させた。温度を20〜24℃に維持し、濃縮アンモ
ニアを用いた滴定によりpHを6.5 に維持した。定常的
に攪拌して2時間、又は生成物の形成が変動しなくなる
まで反応を進行させた。前記のようにHPLCにより反
応を監視した。図1に典型的な反応曲線を示す。
【0081】実施例2酵素源としてロドスポリジウム・トルロイデス全細胞
を、アシル供与体としてトリアセチンを使用した、デス
−7−ACAからの7−ACAの合成 実施例1に記載のようにロドスポリジウム・トルロイデ
ス及び7−ACAを調製した。アシル供与体としてトリ
アセチン(10ミリリットル)を添加したことを除き、
実施例1に記載のように24℃での温置を開始した。ア
シル供与体としてトリアセチンを用いた場合の典型的な
反応曲線を図2に示す。 実施例3酵素源としてロドスポリジウム・トルロイデス全細胞
を、アシル供与体としてビニルアセテートを使用した、
デス−7−ACAからの7−ACAの合成 500 マイクロリットルの7−ACA保存溶液(HEPE
S緩衝液(pH7.8 )750 mM中250 ミリグラム/ミリ
リットル)を、500 マイクロリットルの細胞保存液に添
加した。亜硫酸水素ナトリウム(100 ミリグラム)をア
セトアルデヒド掃去剤として混合物に添加した。260 マ
イクロリットルのビニルアセテートを添加し、混合物を
振盪して−20℃で反応させた。濃縮アンモニアを添加
して、pHを7.0 に維持した。試料を継代サンプリング
のために−20℃環境から除去し、その間に温度は0〜
−10℃の間まで上昇した。混合物の分析から、デス−
7−ACAから7−ACAへの転化率が約73%である
ことが示された。 実施例4酵素源としてロドスポリジウム・トルロイデス全細胞を
使用し、かつ様々なアシル供与体を使用した、デス−7
−ACAからの7−ACAの合成 実施例1に記載のようにロドスポリジウム・トルロイデ
ス及び7−ACAを調製した。実施例1に記載のように
24℃での温置を開始するか、あるいは比率を変えずに
反応を1.0 ミリリットルスケールまでスケールダウンし
た。様々なアシル供与体を使用した場合の生成物形成の
結果を、次の表にまとめた。
【0082】
【表1】 表 1 供与体 転化率(%) 反応時間(分) イソプロペニルアセテート 82 150 トリアセチン 64 120 ビニルアセテート 23 120 エチルアセテート 14 20 ジアセチン 22 120 エチレングリコールジアセテート 49 120 シス−1,4−ジアセトキシブタン 29 60 1,4−ジアセトキシブタン 23 35 フェニルアセテート 49 35 1,2,4−トリアセトキシベンゼン 13 60 1,3−ブタンジオールジアセテート 24 30 1,2−プロパンジオールジアセテート 40 90 n−ブチルアセテート 4 30 トリエチレングリコールジアセテート 32 150 イソプロピルアセテート 10 15 イソブチルアセテート 9 30 オキシムエステル(比較) 1.3 30
【0083】実施例5pH4.0 においてEDTAで処理することによりロドス
ポリジウム・トルロイデス全細胞から放出されたエステ
ラーゼを用いた、デス−7−ACA及びイソプロペニル
アセテートからの7−ACAの合成 実施例1に記載のように、ロドスポリジウム・トルロイ
デスを培養した。pH4.0 においてカルチャーをEDT
A(0.1 M)で処理し、全細胞からエステラーゼ酵素を
放出させた。溶解性酵素を分子量30,000のカットオフ膜
上で濃縮し、80IU/ミリリットルの比活性を得た。
反応を6℃で行ったことを除き、実施例1に記載のよう
に7−ACAの合成を行った。200 分後に7−ACAに
転化した収率は79%であった。 実施例6ロドスポリジウム・トルロイデス由来の固定化エステラ
ーゼを用いた、デス−7−ACA及びイソプロペニルア
セテートからの7−ACAの合成 実施例1に記載のように、ロドスポリジウム・トルロイ
デスを培養した。溶解性エステラーゼを実施例5に記載
のように得た。溶解性酵素をPEI(0.1 %)及びグル
タルアルデヒド(0.5 %)で処理した。混合物を1時間
攪拌した後に、濾過により固定化酵素を回収した。酵素
を水洗し、再度濾過して、350 IU/グラムの活性の固
定化エステラーゼ酵素を得た。反応を5℃で行ったこ
と、及び反応混合物中で60IU/ミリリットルの固定化
酵素を使用したことを除き、実施例1に記載のように7
−ACAの合成を行った。180 分後に7−ACAに転化
した収率は76%であった。
【0084】実施例7酵素源としてバシルス・ズブチリス(ATCC6633) 無細胞
抽出物を使用し、かつ様々なアシル供与体を使用した、
デス−7−ACAからの7−ACAの合成 振盪フラスコ発酵を、次の手順に従って準備した。25
ミリリットルのトリプチカーゼダイズ培地入りの125 ミ
リリットルのフラスコに、トリプチカーゼダイズ寒天斜
面からのカルチャーを接種して、種培養を開始し、28
℃において250rpmで24時間振盪した。500 ミリリット
ルのフラスコ毎に100 ミリリットルのトリプチカーゼダ
イズ培地を含む20個の生成保存フラスコに、2%で種
培養を接種した。カルチャーを28℃において250rpmで
48時間振盪した。1800ミリリットルの生産段階全ブロ
スを遠心分離し、細胞をホスフェート緩衝液(pH6.5
)で洗浄し、合計90ミリリットルとして再懸濁した
後凍結した。溶解した細胞を遠心分離により更に15ミ
リリットルまで濃縮し、再懸濁して、0.63IU/ミリリ
ットルの最終エステラーゼ活性を得た。最終細胞濃縮物
(0.63IU/ミリリットル)500 マイクロリットルを、
500 マイクロリットルのデス−7−ACA保存溶液(実
施例1)に添加した。400 マイクロリットルのアセチル
供与体を添加して、反応を開始した。pHを最初は6.5
〜7.0 に維持したが、後に8.0 まで増加して反応速度を
上昇させた。pHを合計48時間8.0 に維持した。様々
なアセチル供与体について7−ACAに転化した収率
を、次の表中に比較した。
【0085】
【表2】 表 2 供与体 転化率(%) イソプロペニルアセテート 16 トリアセチン 16 トリエチルグリコールジアセテート 27 エチレングリコールジアセテート 26
【0086】実施例8酵素源として濃縮バシルス・ズブチリス(ATCC9466)無
細胞抽出物を、アシル供与体としてエチレングリコール
ジアセテートを使用した、デス−7−ACAからの7−
ACAの合成 セファロスポリンCエステラーゼ活性の生成用のバシル
ス・ズブチリスの振盪フラスコ発酵を、実施例7と同様
に行った。1500ミリリットルの無細胞抽出物由来の細胞
外酵素を、分子量30,000のカットオフ膜上の限外濾過に
より濃縮し、体積20ミリリットル、比活性40IU/
ミリリットルとした。40単位の酵素を1.0 ミリリット
ルの保存デス−7−ACA溶液に添加し、400 マイクロ
リットルのエチレングリコールジアセテートを添加して
反応を開始した。2MのNH3 を添加して、反応のpHを
7.5 に維持した。更に400 マイクロリットルのエチレン
グリコールジアセテートアリコートを60分に添加し
た。t=60、120 、及び180 分において試料を採取
し、実施例1と同様に7−ACA生成について検定し
た。120 分後には54%の基質が生成物に転化してい
た。このレベルを続く60分間一定に維持した。 実施例9様々な市販のエステラーゼ及びリパーゼを使用し、かつ
アシル供与体としてイソプロペニルアセテートを使用し
た、デス−7−ACAからの7−ACAの合成 アシル供与体としてのイソプロペニルアセテートの存在
下において、デス−7−ACAから7−ACAを生成し
得る能力について、様々な市販のエステラーゼ及びリパ
ーゼをスクリーニングした。125 ミリグラム/ミリリッ
トルのデス−7−ACA(実施例1と同様に調製)500
マイクロリットルを、500 マイクロリットルの20mM
ホスフェート緩衝液(pH6.5 )中に懸濁した様々な酵
素とともに温置した。500 マイクロリットルのイソプロ
ペニルアセテートを添加して反応を開始し、濃縮アンモ
ニアでpHを7.0 として20〜24℃に3時間維持し
た。次の酵素はデス−7−ACAから7−ACAを合成
し得た。
【0087】
【表3】 表 3 酵 素 転化率(%) 小麦麦芽由来リパーゼI型 50mg 24 (シグマ化学) アスペルギルス・ナイジェール由来 100mg 13 リパーゼ(バイオキャタリスト) オレンジピール由来アセチル 250μL 14 エステラーゼ(シグマ化学)
【0088】実施例10アシル供与体として7−ACAを、酵素源として小麦麦
芽由来リパーゼI型を使用した、デスアセチルセファロ
スポリンCからのセファロスポリンCの合成 小麦麦芽由来リパーゼI型をデスアセチルセファロスポ
リンC(300 mM/150 mMのビス−トリス/MES緩
衝液中、200 ミリグラム/ミリリットル)とともに温置
し、50ミリグラムの7−ACAを添加して反応を開始
し、20〜24℃、pH7.0 において反応を進めた。セ
ファロスポリンCに転化した収率は19%であった。 実施例11アシル供与体としてイソプロペニルアセテート又はビニ
ルアセテートを、酵素源として小麦麦芽由来固定化リパ
ーゼI型を使用した、デス−7−ACAからの7−AC
Aの合成 小麦麦芽(200 グラム)を、水(800 ミリリットル)及
び氷(400 グラム)と混合し、ブレンダー中で1分間均
質化し、更に1分間均質化した。得られた混合物を0.1
%のPEIで処理し、室温で10分間攪拌した。溶液を
8000rpm で10分間遠心分離して、透明なリパーゼ抽出
物を得た。抽出物を30,000MWCOの膜を通して限外濾過
し、100 ミリリットルに濃縮した。残留物を4℃に冷却
し、固体硫酸アンモニウム(40グラム)を10分間添
加した。得られた混合物を8000rpmで10分間遠心分離
した。タンパク質ペレットを30ミリリットルの水中で
4℃において10分間攪拌して溶解した。懸濁物を8000
rpm で10分間遠心分離して、50ミリリットルのリパ
ーゼ濃縮物を得た。濃縮物を4℃で攪拌し、セライト
(0.5 グラム)を添加し、次に50%のグルタルアルデ
ヒドを1分間に渡り0.5ミリリットル添加する。混合物
をさらに4分間攪拌し、1体積の冷アセトンを2分間に
渡り添加した。混合物を4℃に10分間保存した。濾過
により固定化酵素を除去し、水中で再懸濁した。pHを
7.0 に調節し、次に酵素を再濾過して13.5グラムの固定
化酵素を得た。
【0089】150 ミリグラム/ミリリットルの固定化小
麦麦芽リパーゼを、150 ミリグラム/ミリリットルのデ
ス−7−ACAと混合し、1ミリリットルの1MのHE
PES緩衝液(pH7.8 )中、25℃において、250rpm
で4時間温置した。ビニルアセテート(0.1 ミリリット
ル)又はイソプロペニルアセテート(0.10ミリリット
ル)を、t=0及び150 分に添加した。4時間後に7−
ACAに転化した収率は、ビニルアセテート及びイソプ
ロペニルアセテートにつき、各々18%及び7%であっ
た。 実施例12フェニルアセチル−デスアセチル−7−ACAのアセチ
ル化 以下の成分からなる混合物を作製した:フェニルアセチ
ル−デスアセチル−7−ACA(50ミリグラム)、M
ES/NH4 + 緩衝液(2M、0.5 ミリリットル)、メチ
ルアセテート(4.5 ミリリットル)、イソプロペニルア
セテート(0.5ミリリットル)及びロドスポリジウム・
トルロイデス細胞の懸濁物(150 IU/ミリリットル、
0.5 ミリリットル)。混合物を25℃で2時間攪拌した
(pHは〜6.0 まで低下させた)。この時、TLCによ
り反応混合物が未反応フェニルアセチル−デスアセチル
−7−ACAとフェニルアセチル−7−ACAとの5
0:50の混合であることが示された(規格化合物との
比較)。
【0090】実施例137−ADCA及び未反応デスアセチル−7−ACAから
の合成7−ACAの分離 実施例1に記載の反応混合物50ミリリットルを真空処
理し、アセトン及び未反応イソプロペニルアセテートの
残骸を除去した。最終濃度は7−ACAについて2.45
%、デスアセチル−7−ACAについて1.25%であっ
た。試料を分取HP20SSカラム(4cm×30cm)にかけ
た。カラムを150 ミリリットルの蒸留水で洗浄し、生成
物を10%のメタノールで希釈して、10ミリリットル
の分画を分取した。典型的なカラム曲線を図3に示し
た。7−ACAのピーク分画を収集し(100 ミリリット
ル)、ロータリーエバポレーターで最終体積20ミリリ
ットルまで濃縮した。HCl (6N)でpHを4.2 まで低
下させ、10ミリリットルのメタノールを添加して、試
料を冷却した。得られた固体を濾過により収集した。7
−ACAの回収は65%であり、5%のデスアセチル−
7−ACAが残存しており、0.1 %未満の7−ADCA
が存在した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1についての時間に対するデス
−7−ACAから7−ACAへの転化率(%)を示す。
【図2】図2は、実施例2についての時間に対するデス
−7−ACAから7−ACAへの転化率(%)を示す。
【図3】図3は、実施例3記載の分離についての分画番
号に対する254 ナノメーター(nm)での吸収を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:125) (C12P 35/04 C12R 1:66) (72)発明者 グーナ ロマンシク アメリカ合衆国 ニューヨーク州 イース ト シラキュース サマーヘヴン ドライ ヴ 464 (72)発明者 マイケル ポリティーノ アメリカ合衆国 ニューヨーク州 フェイ エットヴィル ハイブリッジ ストリート 5100 アパートメント 5エイ (72)発明者 ディヴィッド エイ ロウ アメリカ合衆国 ニューヨーク州 フェイ エットヴィル フェイエットヴィル マン リアス 816

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式で表されるセファロスポリン
    化合物 【化1】 (式中、R’は水素又は次の一般式で表されるアシル基 R−CO− (式中、Rはカルボン酸残基である)であり、 Xは水素又はハロであり、 Gは硫黄、酸素、スルホキシド、スルホン又はメチレン
    である)の製造のためのアシル化方法であって、次の一
    般式で表される化合物 【化2】 とアシル供与体とを、ロドスポリジウム・トルロイデ
    ス、小麦麦芽、オレンジピール、バシルス・ズブチリス
    又はアスペルギルス・ナイジェールから得られるリパー
    ゼ又はエステラーゼ酵素の存在下で、水性媒体中で反応
    させることを含む、前記方法。
  2. 【請求項2】 前記リパーゼ又はエステラーゼ酵素がロ
    ドスポリジウム・トルロイデスから得られる、請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記リパーゼ又はエステラーゼ酵素がロ
    ドスポリジウム・トルロイデスATCC10657 から得られ
    る、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 R’が水素、アセチル、グルタリル、α
    −アミノアジピル又はフェニルアセチルであり、Gが硫
    黄であり、Xが水素である、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 Gが硫黄である請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 R’が水素である請求項4記載の方法。
  7. 【請求項7】 R’が水素である請求項5記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記アシル供与体が次の一般式で表され
    る、請求項1記載の方法。 R”−O−CO−CH2 X (式中、R”はC1 −C10アルキル、C2 −C10アルケ
    ニル、C3 −C10シクロアルキル、C3 −C10シクロア
    ルケニル、C2 −C10アルキニル、C6 −C30アリー
    ル、C1 −C10置換アルキル、C2 −C10置換アルケニ
    ル、C3 −C10置換シクロアルキル、C3 −C10置換シ
    クロアルケニル、C6 −C30置換アリール、又は次の一
    般式で表される基 R"'−(OCH2 −CH2 n − (式中、nは2以上の整数であり、R"'は水素又はアセ
    チルである) 又は次の一般式で表される基 R"'−(OCH2 −CH2 −CH2 n − (式中、n及びR"'は上記定義の通りである)であり、 Xは水素又はハロである)
  9. 【請求項9】 R”がC2 −C6 アルケニル、1〜3個
    のアセトキシ基で置換されたC1 −C6 アルキル、C6
    −C10アリール又は次の一般式で表される基である、請
    求項8記載の方法。 CH3 −CO(OCH2 −CH2 n − (式中、nは2〜100の整数である)
  10. 【請求項10】 アシル供与体がイソプロペニルアセテ
    ート、トリアセチン、ビニルアセテート、エチルアセテ
    ート、ジアセチン、エチレングリコールジアセテート、
    シス−1,4−ジアセトキシブタン、1,4−ジアセト
    キシブタン、フェニルアセテート、1,2,4−トリア
    セトキシベンゼン、1,3−ブタンジオールジアセテー
    ト、1,2−プロパンジオールジアセテート、n−ブチ
    ルアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、
    イソプロピルアセテート又はイソブチルアセテートであ
    る、請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 アシル供与体がイソプロペニルアセテ
    ート、トリアセチン、ビニルアセテート、エチルアセテ
    ート、ジアセチン、エチレングリコールジアセテート、
    シス−1,4−ジアセトキシブタン、1,4−ジアセト
    キシブタン、フェニルアセテート、1,2,4−トリア
    セトキシベンゼン、1,3−ブタンジオールジアセテー
    ト、1,2−プロパンジオールジアセテート、n−ブチ
    ルアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、
    イソプロピルアセテート又はイソブチルアセテートであ
    る、請求項4記載の方法。
  12. 【請求項12】 アシル供与体がイソプロペニルアセテ
    ート、トリアセチン、ビニルアセテート、エチルアセテ
    ート、ジアセチン、エチレングリコールジアセテート、
    シス−1,4−ジアセトキシブタン、1,4−ジアセト
    キシブタン、フェニルアセテート、1,2,4−トリア
    セトキシベンゼン、1,3−ブタンジオールジアセテー
    ト、1,2−プロパンジオールジアセテート、n−ブチ
    ルアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、
    イソプロピルアセテート又はイソブチルアセテートであ
    る、請求項7記載の方法。
  13. 【請求項13】 アシル供与体がイソプロペニルアセテ
    ート、トリアセチン、ビニルアセテート、ジアセチン、
    エチレングリコールジアセテート、シス−1,4−ジア
    セトキシブタン、1,4−ジアセトキシブタン、フェニ
    ルアセテート、1,3−ブタンジオールジアセテート、
    1,2−プロパンジオールジアセテート又はトリエチレ
    ングリコールジアセテートである、請求項1記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 アシル供与体がイソプロペニルアセテ
    ート、トリアセチン、ビニルアセテート、ジアセチン、
    エチレングリコールジアセテート、シス−1,4−ジア
    セトキシブタン、1,4−ジアセトキシブタン、フェニ
    ルアセテート、1,3−ブタンジオールジアセテート、
    1,2−プロパンジオールジアセテート又はトリエチレ
    ングリコールジアセテートである、請求項4記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 アシル供与体がイソプロペニルアセテ
    ート、トリアセチン、ビニルアセテート、ジアセチン、
    エチレングリコールジアセテート、シス−1,4−ジア
    セトキシブタン、1,4−ジアセトキシブタン、フェニ
    ルアセテート、1,3−ブタンジオールジアセテート、
    1,2−プロパンジオールジアセテート又はトリエチレ
    ングリコールジアセテートである、請求項7記載の方
    法。
  16. 【請求項16】 温度約−20℃〜約30℃、pH約5
    〜約9において、約5分〜100時間行う、請求項1記
    載の方法。
  17. 【請求項17】 温度約0℃〜約25℃、pH約7〜約
    8において、約30分〜4時間行う、請求項1記載の方
    法。
  18. 【請求項18】 更に所望の生成物を分離する工程を含
    む、請求項1記載の方法。
  19. 【請求項19】 クロマトグラフィーにより分離を行
    う、請求項16記載の方法。
  20. 【請求項20】 全細胞、細胞のEDTA処理後に得ら
    れる可溶性酵素、又は可溶性酵素のグルタルアルデヒド
    /PEI処理後に得られる固定化酵素を用いて行う、請
    求項3記載の方法。
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