JP2788385B2 - 酵素反応による光学活性ベンゾチアゼピン類の製造法 - Google Patents

酵素反応による光学活性ベンゾチアゼピン類の製造法

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JP2788385B2
JP2788385B2 JP4318261A JP31826192A JP2788385B2 JP 2788385 B2 JP2788385 B2 JP 2788385B2 JP 4318261 A JP4318261 A JP 4318261A JP 31826192 A JP31826192 A JP 31826192A JP 2788385 B2 JP2788385 B2 JP 2788385B2
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武爾 柴谷
泰彦 尾崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性な3−ヒドロキ
シ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,5−ベンゾ
チアゼピン−4(5H)−オン類の新規な製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光学活性な3−ヒドロキシ−2−フェニ
ル−2,3−ジヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン−4
(5H)−オン類は、冠血管拡張剤として有用な塩酸ジ
ルチアゼムおよびその他各種医薬化合物の中間体として
重要な化合物である。
【0003】従来、光学活性な3−ヒドロキシ−2−フ
ェニル−2,3−ジヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン
−4(5H)−オン類の製法としては、ラセミ型3−フ
ェニルグリシッド酸エステル類にエステラーゼあるいは
リパーゼ等を作用させて不斉加水分解することにより光
学活性3−フェニルグリシッド酸エステル類を製造(特
開平3−15398号公報)し、それらとアミノチオフ
ェノール類とを反応させて製造する方法が知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな方法では、ラセミ型3−フェニルグリシッド酸エス
テル類が最高でも50%までしか利用できず、また、1
00%利用しようとすると、不要な光学活性体の回収や
再ラセミ化といった煩雑な工程が必要となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、2−フェニル−1,5−ベンゾチアゼピン−
3,4(2H,5H)−ジオン類のカルボニル基を酵素
的に不斉還元することにより、光学活性な3−ヒドロキ
シ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,5−ベンゾ
チアゼピン−4(5H)−オン類が得られることを見い
だした。
【0006】すなわち、本発明によれば、一般式
(I):
【化4】 (式中、環Aおよび環Bは低級アルキル基、低級アルコ
キシ基およびハロゲン原子から選ばれる置換基を有して
いてもよいベンゼン環を表す)で示される光学活性3−
ヒドロキシ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,5
−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン類は、一般式
(II):
【化5】 (式中、記号は前記と同意義である)で示される2−フ
ェニル−1,5−ベンゾチアゼピン−3,4(2H,5
H)−ジオン類のカルボニル基を酵素的に不斉還元する
ことにより製造することができる。
【0007】本発明方法は、一般式(II)で示される
2−フェニル−1,5−ベンゾチアゼピン−3,4(2
H,5H)−ジオン類の環Aおよび環Bが低級アルキル
基、低級アルコキシ基またはハロゲン原子から選ばれる
置換基を有している場合でも、置換基を有していない場
合と同様に実施できる。そのような置換基としては、例
えば環Aの置換基としては、4位におけるメチル基、メ
トキシ基およびクロル等であり、環Bの置換基としては
8位におけるメチル、メトキシおよびクロル等である。
【0008】本発明に使用しうる微生物としては、化合
物(II)の3位カルボニル基を不斉還元し、化合物
(I)に変換する能力を有する微生物が挙げられ、使用
する微生物を適宜選択することにより、2種類の光学活
性シス型化合物(I)、即ち(2S、3S)型および
(2R、3R)型光学活性体のうち、いずれか一方を選
択的に製造することができる。このような微生物の培養
液、菌体または菌体処理物を化合物(II)に接触させ
て使用する。
【0009】このような能力を有する微生物としては、
酵母、細菌、カビ、放線菌などが挙げられ、例えば、目
的物(I)のうち、(2S、3S)型光学活性体を得る
場合において使用する微生物としては、例えば、酵母と
しては、カンジダ属、デバリオマイセス属、ハンゼヌラ
属、ネマトスポラ属、ピキア属、ロドスポリジウム属お
よびサッカロミセス属に属する微生物があげられ、細菌
としては、アルスロバクター属、バシラス属、ブレビバ
クテリウム属およびシュードモナス属に属する微生物が
あげられ、放線菌としては、マイコバクテリウム属、ノ
カルディア属およびストレプトマイセス属に属する微生
物があげられ、カビとしてはペニシリウム属に属する微
生物があげられる。
【0010】かかる微生物の具体例としては、例えば、
カンジダ・メリニィ(Candida melini
i)IFO 0747、カンジダ・サイトアナ(Can
dida saitoana)IFO 0380、カン
ジダ・トロピカリス(Candida tropica
lis)IFO 0589、デバリオマイセス・ポリモ
ルファス(Debaryomyces polymor
phus)IFO 1166、ハンゼヌラ・アノマーラ
(Hansenula anomala)IFO013
5、ハンゼヌラ・カプスレータ(Hansenula
capsulata)IFO 0721、ハンゼヌラ・
ポリモルファ(Hansenula polymorp
ha)IFO 1024、ネマトスポラ・コリィ(Ne
matospora coryli)IFO 065
8、ピキア・ファリノサ(Pichia farino
sa)IFO 0193,ピキア・ハロヒラ(Pich
iahalophila)IFO 0947、ピキア・
メンブランアエファシエンス(Pichia memb
ranaefaciens)IFO 0128、ピキア
・ピナス(Pichia pinus)IFO 179
3、ピキア・トレハロヒラ(Pichia treha
lophila)IFO 1683、ロドスポリジウム
・トルロイデス(Phodosporidium to
ruloides)IFO 1638、サッカロミセス
・セレビシェー(Saccharomyces cer
evisiae)IFO 1346、サケ・イースト
(Sake yeast)IFO 2345、サッカロ
ミセス・セレビシェー(Saccharomyces
cerevisiae):(オリエンタル酵母工業
(株)製、パン酵母)、アルスロバクター・パラフィニ
アス(Arthrobacter paraffine
us)ATCC 15591、バシラス・プミラス(B
acillus pumilus)IFO 1208
7、バシラス・サブチリス(Bacillus sub
tilis)IFO 3026、ブレビバクテリウム・
フラバム(Brevibacterium flavu
m)ATCC 14067、ブレビバクテリウム・ケト
グルタミカム(Brevibacterium ket
oglutamicum)ATCC 15588、シュ
ードモナス・プチダ(Pseudomonas put
ida)ATCC 17484、マイコバクテリウム・
スメグマチス(Mycobacterium smeg
matis)ATCC 607、ノカルディア・アステ
ロイデス(Nocardiaasteroides)I
FO 3384、同IFO 3423、ストレプトマイ
セス・ラベンジュレー(Streptomyces l
avendulae)IFO 3145、ストレプトマ
イセス・リモサス(Streptomycesrimo
sus)IFO 3441、ペニシリウム・クリソゲナ
ム(Penicillium chrysogenu
m)IFO 4626等がある。
【0011】また、目的物(I)のうち、(2R、3
R)型光学活性体を得る場合において使用する微生物と
しては、例えば、リゾプス属、ムコール属に属する微生
物が挙げられる。かかる微生物の具体例としては、例え
ば、リゾプス・ジャポニカス(Rhizopus ja
ponicus)IFO 4758、リゾプス・アリー
ザス(Rhizopus arrhizus)IFO
5780、ムコール・サブチリシムス(Mucor s
ubtilissimus)IFO 6338、ムコー
ル・シルシネロイデス(Mucor circinel
loides)IFO 5398等がある。本発明で使
用する微生物は野生株、変異株であってもよく、さらに
は、これらの微生物から遺伝子組換え、細胞融合などの
生物工学的手法により誘導されるものであってもよい。
【0012】また、上記微生物の培養液および菌体は、
例えば、当該微生物を通常この分野において用いる培
地、例えば、慣用の炭素源、窒素源および無機塩類含有
培地中、常温ないし加温下(好ましくは約20〜40
℃)、かつ好気的条件下、pH2〜8で培養し、必要と
あれば常法により培養液から菌体を分離・採取して得る
ことができる。
【0013】かかる微生物菌体の処理物としては、上記
微生物の凍結乾燥菌体、アセトン乾燥菌体等があげられ
る。さらに、本発明の微生物菌体あるいは菌体処理物
は、例えば、ポリアクリルアミド法、含硫多糖ゲル法
(カラギーナンゲル法等)、アルギン酸ゲル法、寒天ゲ
ル法等の公知の方法により固定化して使用することもで
きる。
【0014】本発明の不斉還元反応は、水溶液中あるい
は適当な溶媒中で2−フェニル−1,5−ベンゾチアゼ
ピン−3,4(2H,5H)−ジオン類(II)に、上
記微生物の培養液、該培養液から採取した菌体または菌
体処理物を接触させることにより実施することができ
る。
【0015】基質の濃度は、約0.1〜20%、とりわ
け0.2〜10%が好ましく、反応は常温ないし加温
下、好ましくは10〜50℃、とりわけ25〜40℃で
好適に進行する。また、反応に際しては、反応液のpH
が2〜10、とりわけ5〜8になるように調整するのが
好ましい。この際、基質は水難溶性のものが多いので、
懸濁して使用することができ、また溶解補助剤として少
量のジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまた
はメタノール、エタノールなどの低級アルコールの使用
も可能である。その際、基質の添加方法は最初に一括し
て充填してもよく、あるいは反応中数回に分割して充填
してもよい。また、反応は、水溶液中、有機溶媒中あい
るは水性溶媒と有機溶媒との二相溶媒中で実施できる。
かかる溶媒としては、ベンゼン、n−ヘキサン、ジエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、トルエン、酢酸
エチル等があげられる。
【0016】反応終了後、反応混合物をトルエン、クロ
ロホルム、酢酸エチル、アセトン等の有機溶媒で抽出
し、有機溶媒層の濃縮、クロマトグラフィー、蒸留等の
常法によって光学活性な3−ヒドロキシ−2−フェニル
−2,3−ジヒドロ−1,5−ベンゾチアゼピン−4
(5H)−オン類(I)を取得することができる。
【0017】なお、本発明に用いる原料化合物(II)
は特開昭60−25983号に記載の方法に準じて製造
することができる。すなわち、原料化合物(II)はシ
ス−3−ヒドロキシ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ
−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン類(特
公昭45−9383号)をジメチルスルホキシド−無水
酢酸を用いて酸化した後、濃アンモニア水または水酸化
ナトリウム水溶液で処理し製造することができる。
【0018】さらに、上記の方法で得た化合物(I)は
公知方法、例えば、特公昭45−16749号、特公昭
46−43785号、特公昭47−813号、特公昭5
3−18038号、特公昭63−13994号あるいは
特開平3−157378号に開示の方法に従って一般式
(III):
【化6】 (式中、R1は低級アルカノイル基または低級アルコキ
シカルボニル低級アルキル基、R2は低級アルキル基、
3は低級アルキル基または低級アルコキシフェニル低
級アルキル基、Yは低級アルキレン基を表し、環Aおよ
び環Bは前記と同意義である)で示される光学活性1,
5−ベンゾチアゼピン誘導体とし、所望により生成物を
その薬理的に許容しうる塩とすることができる。
【0019】例えば、化合物(III)は、化合物
(I)を一般式(IV): R1OH (IV) (式中、R1は前記と同意義である)で示される化合物
またはその反応誘導体と縮合反応させて一般式(V):
【化7】 (式中、記号は前記と同意義である)で示される光学活
性1,5−ベンゾチアゼピン誘導体とし、これをその5
位窒素部位におけるアルカリ金属塩とした後、一般式
(VI):
【化8】 (式中、Xはハロゲン原子、他の記号は前記と同意義で
ある)で示される化合物と縮合反応させることにより製
造される。上記化合物(III)のベンゾチアゼピン環
5位に置換しうる式:−Y−N(R2)(R3)で示され
る基において、Yとしては例えばエチレン基、R2とし
てはメチル基、R3としてはメチル基またはメトキシフ
ェニルエチル基が好適に挙げられる。なお、上記の方法
において、一般式(IV)の化合物との縮合反応と一般
式(VI)の化合物との縮合反応は順序を変えて行って
よい。すなわち、化合物(I)のアルカリ金属塩を化合
物(VI)と縮合反応させ、ついで化合物(IV)と縮
合反応させてもよい。
【0020】
【実施例】つぎに、実施例をあげて本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0021】実施例1 乾燥パン酵母(サッカロミセス・セレビシェー;オリエ
ンタル酵母工業(株)製)を5w/v%になるようにグ
ルコース5%を含むマクイルバイン緩衝液100ml
(pH7.0)に懸濁し、該懸濁液に2−(4−メトキ
シフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−3,4(2
H,5H)−ジオン500mgを含むジメチルホルムア
ミド溶液5mlを添加し、37℃で24時間振盪反応さ
せた。この反応液200mlに酢酸エチル100mlを
加えて撹拌、抽出後、菌体を濾去し、有機層を分液し
た。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで
脱水、乾燥した後、減圧下溶媒を留去することにより
(2S,3S)−3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシ
フェニル)−2,3−ジヒドロ−1,5−ベンゾチアゼ
ピン−4(5H)−オン300mgを得た。 m.p.204〜206℃ 〔α〕25D: +115(c=0.5,DMF) 光学純度: 100%
【0022】実施例2 グルコース5%、リン酸二水素カリウム0.1%、硫酸
マグネシウム・7水塩0.05%、塩化カルシウム・2
水塩0.05%、酵母エキス0.1%、尿素0.05
%、硫酸アンモニウム0.1%、硫酸第一鉄・7水塩
0.0002%、塩化マンガン・4水塩0.0002%
および硫酸亜鉛・7水塩0.0002%からなる培地3
ml(pH6.5に0.1N−水酸化ナトリウムで調
製)を外径15mmの試験管に入れ、120℃で10分
間滅菌した。この培地に、下記表1に示す酵母を1白金
耳接種し、30℃で24時間振盪培養した。上記培養液
から遠心分離により集めた菌体をグルコース5%を含む
マクイルバイン緩衝液3ml(pH5.0)に懸濁し、
2−(4−メトキシフェニル)−1,5−ベンゾチアゼ
ピン−3,4(2H,5H)−ジオン3mgを含むジメ
チルホルムアミド溶液200μlを添加し、30℃で2
4時間振盪反応させた。反応終了後、反応混合物に4m
lの酢酸エチルを加えて生成物を抽出し、3−ヒドロキ
シ−2−(4−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロ
−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オンを定量
した。表1に生成量とその光学純度を示す。なお、上記
光学活性体の分離定量は野村化学(株)製のDEVEL
OSILODS−7(4.0φ×250mm)およびダ
イセル化学工業(株)製のCHIRALCEL OD
(4.6φ×250mm)を用いた高速液体クロマトグ
ラフィーにより行った(以下、同様)。
【0023】
【表1】
【0024】実施例3 乾燥パン酵母(サッカロミセス・セレビシェー;オリエ
ンタル酵母工業(株)製)が5w/v%になるようにグ
ルコース5%を含むマクイルバイン緩衝液3ml(pH
5.0)に懸濁し、2−(4−メトキシフェニル)−
1,5−ベンゾチアゼピン−3,4(2H,5H)−ジ
オン15mgを含むジメチルホルムアミド溶液150μ
lを添加し、30℃で24時間振盪反応させた。この反
応終了液に4mlの酢酸エチルを加えて生成物を抽出
し、3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニル)−
1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン量を定量
した。 (2S,3S)体生成量 4.50mg/ml cis体含量 99.9% 光学純度 99.9%e.e.以上
【0025】実施例4 実施例2と同様にして、下記表2に示すカビを一白金耳
接種し、72時間振盪培養した。以下同様にして反応、
抽出、定量した。表2に生成量とその光学純度を示す。
【0026】
【表2】
【0027】実施例5 0.01N−水酸化ナトリウムでpH7.3に調整した
実施例2と同様の組成の培地を用いて、実施例2と同様
にして、下記表3に示す放線菌を一白金耳接種し培養し
た。以下同様にして反応、抽出、定量した表3に生成量
とその光学純度を示す。
【0028】
【表3】
【0029】実施例6 グルコース1%、ペプトン1%、リン酸二水素カリウム
0.1%、硫酸マグネシウム・7水塩0.05%、塩化
カリウム・2水塩0.05%、酵母エキス0.1%、尿
素0.05%、硫酸アンモニウム0.1%、硫酸第一鉄
・7水塩0.0002%、塩化マンガン・4水塩0.0
002%および硫酸亜鉛・7水塩0.0002%からな
る培地3ml(pH7.0に0.1N−水酸化ナトリウ
ムで調整)を外径15mmの試験管に入れ、120℃で
10分間滅菌した。この培地に、下記表4に示す細菌を
一白金耳接種し、30℃で24時間振盪培養した。以
下、実施例2と同様にして反応、抽出、定量した。表4
に生成量とその光学純度を示す。
【0030】
【表4】
【0031】実施例7 乾燥パン酵母(サッカロミセス・セレビシェー;オリエ
ンタル酵母工業(株)製)を5w/v%になるようにグ
ルコース5%を含むマクイルバイン緩衝液100ml
(pH5.0)に懸濁し、該懸濁液に8−クロロ−2−
(4−メトキシフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン
−3,4(2H,5H)−ジオン500mgを含むジメ
チルホルムアミド溶液5mlを添加し、30℃で24時
間振盪反応させた。この反応液200mlに酢酸エチル
100mlを加えて撹拌、抽出後、菌体を濾去し、有機
層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグ
ネシウムで脱水、乾燥した後、減圧下溶媒を留去するこ
とにより(2S,3S)−8−クロロ−3−ヒドロキシ
−2−(4−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−
1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン680m
gを得た。 m.p.234〜235℃ 〔α〕25D: +91(c=0.5,DMF) 光学純度: 100%
【0032】実施例8 リゾプス・ジャポニカス(Rhizopus japo
nicus)IFO4758の生菌体を5w/v%にな
るようにグルコース5%を含むマクイルバイン緩衝液3
ml(pH5.0)に懸濁し、2−(4−メトキシフェ
ニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−3,4(2H,5
H)−ジオン3mgを含むジメチルホルムアミド溶液3
0μlを添加し、30℃で24時間振盪反応させた。こ
の反応終了液に4mlの酢酸エチルを加えて生成物を抽
出し、3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニル)
−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン量を定
量した。 (2R,3R)体生成量 0.20mg/ml cis体含量 99.9%以上 光学純度 99.9%e.e.以上
【0033】実施例9 乾燥パン酵母(サッカロミセス・セレビシェー;オリエ
ンタル酵母工業(株)製)をグルコース5%を含むマク
イルバイン緩衝液3ml(pH7.0)に懸濁し、該懸
濁液に2−(4−メトキシフェニル)−1,5−ベンゾ
チアゼピン−3,4(2H,5H)−ジオン75mgを
添加して、30℃で48時間振盪反応(300rpm)
させた。この反応終了液90mlにアセトン360ml
を添加して10分間撹拌後、菌体を濾過し、アセトン9
0mlにて洗浄した。濾液を減圧濃縮し、析出した粗結
晶を濾取した後、水洗した。この粗結晶にメタノールを
加えて、65℃で2時間撹拌後、冷却することにより、
目的とする(2S,3S)−3−ヒドロキシ−2−(4
−メトキシフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4
(5H)−オン1.73gを得た。 cis体含量 100% 光学純度 100%e.e.
【0034】参考例1 8−クロロ−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2−
(4−メトキシフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン
−4(5H)−オン36.0g、無水酢酸50ml、ジ
メチルスルホキシド100ml、ピリジン3ml、トル
エン100mlの混合物を室温で3日間撹拌する。この
混合物に水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、水洗後乾
燥する。酢酸エチルを留去し残渣にエーテルを加え析出
した結晶を濾取することにより、3−アセトキシ−8−
クロロ−2−(4−メトキシフェニル)−1,5−ベン
ゾチアゼピン−4(5H)−オン得る。 収量:24.5g(60.8%) 融点:236〜238℃ 3−アセトキシ−8−クロロ−2−(4−メトキシフェ
ニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン
7.52gを2N−水酸化ナトリウム25ml、メタノ
ール60mlおよびジメチルスルホキシド100mlの
混合溶媒に溶かし終夜撹拌する。この混合物に2N−塩
酸を加えpH3に調整する。酢酸エチルで抽出し水洗後
乾燥する。溶媒を留去し残渣にエーテルを加え結晶化さ
せ濾取する。8−クロロ−2−(4−メトキシフェニ
ル)−1,5−ベンゾチアゼピン−3,4(2H,5
H)−ジオン6.38g(95.6%)を得る。 融点:168〜169℃
【0035】
【発明の効果】本発明方法は、原料の2−フェニル−
1,5−ベンゾチアゼピン−3,4(2H,5H)−ジ
オン類をほぼ100%利用しうる可能性があると共に、
光学活性3−ヒドロキシ−2−フェニル−2,3−ジヒ
ドロ−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン類
を、高価な光学活性試薬を用いる必要がないと共に、複
雑な工程を経ることもなく、容易に製造できるので、工
業的に有利な製造法となりうるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 41/00 C12R 1:74) (C12P 41/00 C12R 1:645) (C12P 41/00 C12R 1:78) (C12P 41/00 C12R 1:84) (C12P 41/00 C12R 1:85) (C12P 41/00 C12R 1:82) (C12P 41/00 C12R 1:34) (C12P 41/00 C12R 1:365) (C12P 41/00 C12R 1:465) (C12P 41/00 C12R 1:06) (C12P 41/00 C12R 1:07) (C12P 41/00 C12R 1:125) (C12P 41/00 C12R 1:13) (C12P 41/00 C12R 1:40) (C12P 41/00 C12R 1:64) (C12P 41/00 C12R 1:845) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 41/00 REGISTRY(STN) CA(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(II): 【化1】 (式中、環Aおよび環Bは低級アルキル基、低級アルコ
    キシ基およびハロゲン原子から選ばれる置換基を有して
    いてもよいベンゼン環を表す)で示される2−フェニル
    −1,5−ベンゾチアゼピン−3,4(2H,5H)−
    ジオン類の3位カルボニル基を不斉還元し、一般式
    (I): 【化2】 (式中、記号は前記と同意義である)で示される光学活
    性3−ヒドロキシ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−
    1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン類に変換
    する能力を有する、カンジダ属、デバリオマイセス属、
    ハンゼヌラ属、ネマトスポラ属、ピキア属、ロドスポリ
    ジウム属、サッカロミセス属、アルスロバクター属、バ
    シラス属、ブレビバクテリウム属、シュードモナス属、
    マイコバクテリウム属、ノカルディア属、ストレプトマ
    イセス属、ペニシリウム属またはリゾプス属に属する微
    生物の培養液、菌体または菌体処理物を、化合物(I
    I)に接触させ、次いで生成した化合物(I)を反応液
    より分離・採取することを特徴とする光学活性3−ヒド
    ロキシ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,5−ベ
    ンゾチアゼピン−4(5H)−オン類(I)の製法。
  2. 【請求項2】 化合物(I)が光学活性シス体である請
    求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】 光学活性シス体が(2S,3S)体であ
    る請求項2記載の製法。
  4. 【請求項4】 微生物がカンジダ属、デバリオマイセス
    属、ハンゼヌラ属、ネマトスポラ属、ピキア属、ロドス
    ポリジウム属、サッカロミセス属、アルスロバクター
    属、バシラス属、ブレビバクテリウム属、シュードモナ
    ス属、マイコバクテリウム属、ノカルディア属、ストレ
    プトマイセス属またはペニシリウム属に属する微生物で
    ある請求項3記載の製法。
  5. 【請求項5】 光学活性シス体が(2R,3R)体であ
    る請求項2記載の製法。
  6. 【請求項6】 微生物がリゾプス属に属する微生物であ
    る請求項5記載の製法。
  7. 【請求項7】 一般式(II): 【化3】 (式中、環Aおよび環Bは低級アルキル基、低級アルコ
    キシ基およびハロゲン原子から選ばれる置換基を有して
    いてもよいベンゼン環を表す)で示される2−フェニル
    −1,5−ベンゾチアゼピン−3,4(2H,5H)−
    ジオン類の3位カルボニル基を不斉還元し、一般式
    (I): 【化4】 (式中、記号は前記と同意義である)で示される光学活
    性3−ヒドロキシ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−
    1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン類に変換
    する能力を有する、カンジダ属、デバリオマイセス属、
    ハンゼヌラ属、ネマトスポラ属、ピキア属、ロドスポリ
    ジウム属、サッカロミセス属、アルスロバクター属、バ
    シラス属、ブレビバクテリウム属、シュードモナス属、
    マイコバクテリウム属、ノカルディア属、ストレプトマ
    イセス属、ペニシリウム属またはリゾプス属に属する微
    生物の培養液、菌体または菌体処理物を、化合物(I
    I)に接触させ、次いで生成した化合物(I)を反応液
    より分離・採取して得られた光学活性3−ヒドロキシ−
    2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,5−ベンゾチア
    ゼピン−4(5H)−オン類(I)を、公知の方法に従
    って一般式(III): 【化5】 (式中、R1は低級アルカノイル基または低級アルコキ
    シカルボニル低級アルキル基、R2は低級アルキル基、
    3は低級アルキル基または低級アルコキシフェニル低
    級アルキル基、Yは低級アルキレン基を表し、環Aおよ
    び環Bは前記と同意義である)で示される1,5−ベン
    ゾチアゼピン誘導体とし、所望により生成物をその薬理
    的に許容しうる塩とすることを特徴とする光学活性1,
    5−ベンゾチアゼピン誘導体またはその薬理的に許容し
    うる塩の製法。
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