JPH07216742A - 消臭性アクリル系繊維及びその製造方法 - Google Patents

消臭性アクリル系繊維及びその製造方法

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JPH07216742A
JPH07216742A JP2881994A JP2881994A JPH07216742A JP H07216742 A JPH07216742 A JP H07216742A JP 2881994 A JP2881994 A JP 2881994A JP 2881994 A JP2881994 A JP 2881994A JP H07216742 A JPH07216742 A JP H07216742A
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JP
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acrylic
fiber
deodorant
acrylic fiber
metal phthalocyanine
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Application number
JP2881994A
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English (en)
Inventor
Nobuyasu Sakai
信康 坂井
Tetsuo Shigei
哲郎 繁井
Hiroyoshi Shirai
汪芳 白井
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Teijin Ltd
Original Assignee
Toho Rayon Co Ltd
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可紡性が良好で、アクリル系繊維に対して、
その繊維性能、風合いをそのまま保持しつつ、且つ消臭
性能の優れた、消臭性アクリル系繊維及びその製造方法
を提供する。 【構成】 酸性基及び/又はアミド基の含有量に差を有
する2種以上のアクリル系ポリマーを、該各アクリル系
ポリマーを溶解しうる溶媒に各々溶解して、2種類以上
の紡糸原液とする。この2種類以上の紡糸原液を同一紡
糸口金より凝固溶液中に押し出し、該各紡糸原液を完全
に混合することなく紡糸して複合された繊維形状物を得
る。得られた繊維形状物に下記の一般式で示される金属
フタロシアニン誘導体を担持させる。 【化1】 (式中、Mは配位金属、−Xは水素又は置換基を表
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた消臭性能を有す
ると同時にアクリル系繊維の風合いを保持した消臭性ア
クリル系繊維、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、消臭、除臭機能を持った繊維製品
に関しては、特開昭59−21777号公報に開示さ
れているように繊維に抗菌剤を含有させ、菌の繁殖を防
止することによって悪臭を防止する衛生加工が知られて
いる。また、特開昭58−137443号公報には活
性炭のような吸着物質を用いて臭気を吸着除去する方法
が開示されている。
【0003】しかしながら、前記の方法は、始めから
臭気性化合物を含む物質、例えばし尿などに対しては有
効ではないという問題があり、前記の方法は、吸着物
質が飽和状態に達するともはや消臭性能が消失し、また
温度などの周囲の状況が変化すると再び臭気が発生する
という問題があった。
【0004】近年、消臭剤に生体酵素類似物質である金
属フタロシアニンを用いることにより、上記技術のよう
な欠点を補うことができることが注目されている。この
ような消臭技術として、特開昭55−82519号公報
には酸化還元能を有する金属フタロシアニンを担持させ
た高分子物質が、また、特開平2−300309号公報
にはジメチルアミノエチルメタアクリレート等とアクリ
ロニトリルとのコポリマーに金属フタロシアニンを担持
させた消臭繊維が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭55−82519号公報に記載の消臭剤を紡糸原液
に混合して紡糸すると、可紡性が不良の上に消臭性能が
不十分であるという欠点を有していた。また、樹脂と混
ぜて樹脂繊維に加工すると、合成繊維本来の風合いが損
なわれる上に消臭性能も十分に発揮できないという欠点
を有していた。
【0006】また、前記特開平2−300309号公報
に記載の消臭繊維は、繊維本来の風合いは保持している
ものの悪臭を消臭化する効力は不十分であった。
【0007】そこで本発明は、可紡性が良好で、アクリ
ル系繊維に対して、その繊維性能、風合いをそのまま保
持しつつ、且つ消臭性能の優れた、消臭性アクリル系繊
維及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した問題点を解決す
るために本発明の消臭性アクリル系繊維は、酸性基及び
/又はアミド基の含有量に差を有する2種以上のアクリ
ル系ポリマーを複合させたアクリル系複合繊維に、下記
の式(1)で示される金属フタロシアニン誘導体が担持
されていることを特徴とする。
【0009】
【化4】 (式中、Mは配位金属、−Xは水素又は置換基を表
す。) また、本発明の消臭性アクリル系繊維の製造方法は、酸
性基及び/又はアミド基の含有量に差を有する2種以上
のアクリル系ポリマーを、該各アクリル系ポリマーを溶
解しうる溶媒に各々溶解して、2種類以上の紡糸原液と
なし、前記2種類以上の紡糸原液を同一紡糸口金より凝
固溶液中に押し出し、該各紡糸原液を完全に混合するこ
となく紡糸して複合された繊維形状物を得、前記工程で
得られた繊維形状物に上記式(1)で示される金属フタ
ロシアニン誘導体を担持させて消臭性アクリル系繊維を
得ることを特徴とする。
【0010】また、本発明の消臭性アクリル系繊維のさ
らに別の製造方法は、1種以上のアクリル系ポリマーが
各々溶解されてなる1種以上の濃厚塩化亜鉛系水溶液を
調製し、この濃厚塩化亜鉛系水溶液を熱処理して1種類
以上の紡糸原液となし、一方、1種以上のアクリル系ポ
リマーが各々溶解され、熱処理を受けていない1種以上
の濃厚塩化亜鉛系水溶液を調製してもう一方の1種類以
上の紡糸原液となし、前記各工程で得られた各紡糸原液
を同一紡糸口金より凝固溶液中に押し出し、且つ該各紡
糸原液を完全に混合することなく紡糸して、複合された
繊維形状物を得、前記工程で得られた繊維形状物に前記
の式(1)で示される金属フタロシアニン誘導体を担持
させることにより消臭性アクリル系繊維を得ることを特
徴とする。
【0011】本発明の消臭性アクリル系繊維において、
アミド基は、その含有量に差を有するアクリル系複合繊
維を構成するどちらか1種類もしくは複数種類のアクリ
ル系ポリマーに含有されていてもよい。そのアミド基は
アクリルアミドの様にアミド基を有するビニル系モノマ
ーとの共重合のみならず、アクリロニトリルコポリマー
を溶媒に溶解した紡糸原液(ドープと同義)の熱処理、
紡糸された繊維形状物のアルカリ処理等の後処理によっ
てもポリマー中に導入することが可能である。特に、ド
ープの熱処理は、新たなモノマーを導入しなくても目的
の酸性基及び/又はアミド基含有量のポリマー組成にす
ることができる。この場合の溶媒としては、通常のドー
プの溶媒として使用されているいわゆる濃厚塩化亜鉛系
水溶液(即ち、塩化亜鉛を主体とした無機塩類を50〜
60%含む溶液)が好ましい。
【0012】本発明にいうアミド基の含有量とは、アミ
ド基含有モノマーを用いた場合には、ポリマー中のアミ
ド基含有モノマー量、後処理によってポリマー内に導入
した場合には、IR測定により得られたアミド基とニト
リル基の吸収強度比を算出し、予め得られた検量線より
アクリルアミドに換算して求められた値をいう。本発明
の消臭性アクリル系繊維におけるアミド基の含有量は、
2.5〜4重量%であることが好ましい。
【0013】本発明において酸性基は、その含有量に差
を有するものであればアクリル系複合繊維を構成するど
ちらか1種類もしくは複数種類のアクリル系ポリマーに
含有されていてもよい。「酸性基」には、カルボキシル
基、スルホン基等が挙げられるが、水酸化ナトリウムと
中和反応を起こし得る酸性基であれば何でもよい。最終
的にアクリル系繊維中に2.0×10-2〜1.0×10
-1meq/gの範囲で含有されていればよく、その導入
方法には、共重合によってアクリル系繊維中に導入させ
るほか、アクリル系繊維のアルカリ水溶液による後処理
等で繊維中に導入してもなんら問題はない。特に、アク
リル系複合繊維のアルカリ水溶液による後処理は、その
濃度、温度、時間を制御するだけで目的とするポリマー
組成にすることができるので、特に好ましい処理であ
る。
【0014】アクリル系繊維中に酸性基の含有量が少な
すぎると消臭に必要な消臭物質である金属フタロシアニ
ン誘導体の付着量が少なく、実用性のある消臭性能を得
ることはできない。逆に酸性基の含有量が多すぎるとア
クリル系繊維本来の風合いが著しく損なわれるだけでな
く、アクリル系繊維中のアニオンサイトが増え、臭気ガ
スが活性中心に接近できず、満足な消臭性能を得ること
はできない。仮に臭気ガスが活性中心に接近できても、
金属フタロシアニン誘導体が付着しすぎて多量体を形成
するので、消臭性能がむしろ低下する傾向にあり経済的
にも好ましくない。
【0015】金属フタロシアニンは上記アミド基と酸性
基が存在することによってその活性中心を最大限に発揮
できるが、酸性基の存在は前述のとおり臭気ガスが活性
中心に接近することを妨げる方向に働く。本発明におい
てこれらの相反する効果を発現させるには、酸性基及び
/又はアミド基の含有量に差を有する2種以上のアクリ
ル系ポリマーからなる複合繊維にすることが必要であ
る。このことにより消臭活性が向上するが、この原因は
定かではない。恐らく、酸性基及び/又はアミド基の含
有量に差を有する2種以上のアクリル系ポリマーからな
る複合繊維であることが金属フタロシアニン誘導体の活
性と臭気ガスの活性中心への接近しやすさの最適バラン
スを提供しているものと思われる。
【0016】金属フタロシアニンは上記アミド基と酸性
基が存在することによってその活性を最大限に発揮でき
るので、アクリル系複合繊維を形成する2種以上のアク
リル系ポリマーの何れかにアミド基及び酸性基を有する
ことが好ましい。
【0017】これらの紡糸原液より得られるアクリル系
複合繊維の複合状態は、海島状、ラメラ状、芯鞘状等が
挙げられるが、特に限定されず一般の複合繊維にみられ
る複合状態でよい。金属フタロシアニンが高活性で付着
し、且つ臭気成分が金属フタロシアニンの活性中心に容
易に接近しやすいようにアクリル系複合繊維表面に2種
のアクリル系繊維ポリマー合成成分が存在することが好
ましい。
【0018】本発明に用いられる金属フタロシアニン誘
導体とは前記式(1)の基本骨格構造を有し、基本骨格
中のMで示される配位金属には、Fe、Co、Mn、T
i、Ni、Cu、Zn、Mo等が挙げられ、特に、その
消臭性能の高さからFe又はCoの単独、或いはFeと
Coを混合したものが好ましい。
【0019】前記式(1)中のXは、水素又は置換基を
表し、その置換基としては、例えば、アルキル基、置換
アルキル基(例えばクロロメチル基)、ハロゲン基、ニ
トロ基、アミノ基、アゾ基、カルボキシル基、カルボニ
ルクロリド基、カルボキシルアミド基、ニトリル基、水
酸基、スルホン基、スルホニルクロリド基、スルホンア
ミド基、ビニル基等のほか、カルボキシル基やスルホン
酸基のアルカリ塩類などが挙げられるが、これら1種類
の基には限られず、各々別な基が置換されていてもよ
い。上記の置換基の中でもカルボキシル基、スルホン
基、これらのアルカリ塩類、ハロゲン基、アミノ基、又
は水酸基が2〜8置換されている金属フタロシアニン誘
導体は、その溶解時に置換基同士が反発し多量体を形成
しにくくなるため好ましい。
【0020】本発明の消臭性アクリル系繊維において、
金属フタロシアニン誘導体の含有量は0.05〜10重
量%が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5重量%
である。その含有量が0.05重量%以下であると含有
量が少ないため消臭性能が不良であり、また、10重量
%を越えると金属フタロシアニン誘導体が多量体を形成
しやすくなり、性能は向上せずむしろ低下する。特に、
0.1〜1重量%の含有量では消臭性能が特に良好であ
り、コスト的にも有利であるので好ましい。
【0021】金属フタロシアニン誘導体のアクリル系繊
維への担持方法としては、湿潤、塗布、散布などが挙げ
られるが特に限定されるものではない。その担持の際の
pHは特に限定されないが、好ましくはpH7以下の中
性又は酸性で行なうと、アクリル系繊維への担持が容易
となる。この時、金属フタロシアニン誘導体の溶液の中
和又は、酸性化に用いる酸としては硫酸、塩酸、硝酸、
酢酸、蟻酸、リン酸等の水溶液等が挙げられるが、蟻酸
は金属フタロシアニン誘導体の担持量を増加させる効果
があるため特に好ましい。なお金属フタロシアニン誘導
体の溶液を製造する場合pHを12とする必要があり、
このような高pHでそのまま金属フタロシアニン誘導体
の担持処理を行なうことも可能である。
【0022】本発明の金属フタロシアニン誘導体のアク
リル系繊維への担持の際の温度は、特に限定されるもの
ではないが、45℃〜100℃の温度で担持を行うこと
は装置の設計が容易にでき、担持処理も容易に行うこと
ができるので好ましい。担持のための処理時間も特に限
定はされないが、あまり長時間行うと繊維特性が低下
し、風合いを損なうため30分〜120分間で行うこと
が好ましい。
【0023】本発明において、金属フタロシアニン誘導
体をアクリル系繊維へ担持処理した後、該繊維に硫酸、
塩酸、硝酸、酢酸、蟻酸、リン酸等の水溶液及び/又は
一価及び/又は二価の銅、亜鉛、コバルト等の金属塩等
の水溶液にて処理することは消臭性能を更に向上させる
ことができるので特に好ましい。
【0024】本発明において得られた消臭性アクリル系
繊維を25℃における相対湿度70%以上の環境で使用
することは消臭反応中に必要な水分が豊富に存在するた
め消臭性能をさらに向上させることができるので、特に
好ましい。このような湿度環境は、例えば、衣料、毛
布、カーペット、マット、靴下、シーツ、布団綿等を使
用している環境が該当し、これらの製品に消臭性能を付
与することができる。さらに、消臭フィルターなど幅広
い用途に使用することができる。
【0025】本発明の消臭性アクリル系繊維は、通常の
アクリル系合成繊維、ポリエステル、ナイロン、木綿、
レーヨン、羊毛等のほかの繊維と混合して使用すること
も可能である。
【0026】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。実施例において、アミド基測定法、繊維表面官能
基滴定法及び硫化水素除去率は次の方法で行なった。
【0027】アミド基測定法:あらかじめ、アクリロニ
トリル(略語:AN)/メチルアクリレート(略語:M
A)/アクリルアミド(略語:AAm)の三成分系ポリ
マーを重合する。未反応モノマーをガスクロマトグラフ
ィを用いて定量分析することにより、前記のポリマー組
成を決定する。このポリマーをIRにて測定して、得ら
れたスペクトルのCN、NHの吸収強度比を縦軸に、ポ
リマー中のAAm存在量を横軸に検量線を作成する。
【0028】次に、サンプルポリマーのIR測定を行
い、同様にベースラインを引き、CN及びNHのピーク
強度を求め、強度比を算出して、先の検量線よりアクリ
ルアミド換算量を求める。
【0029】繊維表面官能基滴定法:100ml容ビー
カーに約5cmにカットした繊維試料1gを入れ、N/
100塩酸を約100ml入れ、真空ポンプで30分間
脱泡を行った後、一昼夜放置する。その後、純水で十分
に洗浄した後、乾燥させ、重量を測定する。この繊維サ
ンプルを再び100ml容の三角フラスコに入れ、純水
を80ml加え、真空ポンプで30分脱泡を行った後、
N/100水酸化ナトリウムを20ml加え、窒素置換
の後、密封し、一昼夜放置する。この液を200ml容
ビーカーに移し、滴定を行い、ブランクとの差より酸性
基の存在量を求める。得られた値を繊維試料重量で除す
ることにより単位重量当たりの酸性基を求める。
【0030】硫化水素除去率:3リットル容の臭い袋に
繊維試料0.1gを入れておく。次いで、硫化水素濃度
が10ppmとなるように調製した25℃における相対
湿度が80%の空気3リットルを前記臭い袋にに注入し
密封する。90分後に臭い袋内の硫化水素濃度を検知管
で測定する。これを初濃度と比較し、除去率(%)を算
出する。
【0031】〔実施例1〕アクリロニトリル(略語:A
N)/メチルアクリレート(略語:MA)/メタアリル
スルホン酸ソーダ(略語:SMS)=89.6/9.5
/0.9(重量%)なるアクリル系ポリマーの塩化亜鉛
水溶液を紡糸原液(A)とした。一方、紡糸原液(A)
を105℃で30分間熱処理し、熱変性を行なうことに
よりポリマー内にアミド基を導入させた。これを紡糸原
液(B)とした。なお、この紡糸原液(B)中には、ア
ミド基が3.0重量%、酸性基が4×10-2meq/g
含まれていた。
【0032】これら2種の紡糸原液(A)及び(B)を
ノズル孔から張合わされるように押し出して紡糸し、バ
イコンポーネント組成のアクリル系繊維を得た。このア
クリル系繊維の形状を表す走査型電子顕微鏡写真を図1
に示す。さらに、このアクリル系繊維を45℃、15重
量%水酸化ナトリウム水溶液中に20時間浸漬させ、ア
ルカリ加水分解を行ない該アクリル系繊維中にアミド基
3.4重量%、酸性基7.7×10-2meq/gを含有
するアクリル系繊維を得た。このアリカリ処理されたア
クリル系繊維の形状を表す走査型電子顕微鏡写真を図2
に示す。このアクリル系繊維を2.5×10-4M鉄フタ
ロシアニンオクタカルボン酸溶液(pH=3)に浸漬
し、100℃にて30分保持した後、水洗し、乾燥する
ことにより、該アクリル系繊維に鉄フタロシアニンを付
与した。この鉄フタロシアニンの付与されたアクリル系
繊維の形状を表す走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。
【0033】得られた本実施例1の消臭性アクリル系繊
維の鉄フタロシアニン担持量は0.41重量%であっ
た。この消臭性アクリル系繊維の硫化水素除去率は10
0%であった。この消臭性アクリル系繊維の風合いは消
臭処理を行う前のアクリル系繊維と比較して遜色のない
ものであった。その結果を下記の表1に示す。
【0034】〔実施例2〕アクリロニトリル(AN)/
メチルアクリレート(MA)/アクリルアミド(AA
m)/アクリル酸(AA)/メタアリルスルホン酸ソー
ダ(SMS)=89/4/3/3/1(重量%)なるア
クリル系ポリマーをジメチルホルムアミドに溶解したも
のを紡糸原液(A)とした。一方、AN/MA/AA/
SMS=92/4/3/1(重量%)なるアクリル系ポ
リマーをジメチルホルムアミドに溶解したものを紡糸原
液(B)とした。これら2種の紡糸原液(A)及び
(B)をノズル孔から張合わされるように押し出して紡
糸し、繊維中にアミド基3重量%、酸性基5.0×10
-2meq/gを含有するバイコンポーネント組成のアク
リル系繊維を得た。
【0035】このアクリル系繊維に、前記実施例1と同
様に鉄フタロシアニンオクタカルボン酸を付与した後、
乾燥した。得られた本実施例2の消臭性アクリル系繊維
の鉄フタロシアニン担持量は、0.35重量%であっ
た。この繊維試料の硫化水素除去率は100%であっ
た。この消臭性アクリル系繊維の風合いは消臭処理を行
なう前のアクリル系繊維と比較しても遜色のないもので
あった。その結果を下記の表1に示す。
【0036】〔比較例1〕AN/MA/SMS=89.
6/9.5/0.9(重量%)なるアクリルポリマーを
塩化亜鉛水溶液に溶解しドープとした。このドープを1
05℃で15分熱処理することにより熱変性を行い、ポ
リマー内にアミド基を導入させた。得られた熱変性ドー
プをノズル孔から押し出して紡糸し、アクリル系繊維を
得た。このアクリル系繊維を45℃、15重量%水酸化
ナトリウム水溶液中に20時間浸漬させてアルカリ加水
分解を行なうことにより、アクリル系繊維中にアミド基
3.8重量%、酸性基5.1×10-2meq/gを含有
する比較例1のアクリル系繊維を得た。このアクリル系
繊維に対して、前記実施例1と同様にして鉄フタロシア
ニンオクタカルボン酸を付与した後、乾燥した。得られ
た比較例1のアクリル系繊維の鉄フタロシアニン担持量
は0.35重量%であった。このアクリル系繊維の硫化
水素除去率は70%と低かった。その結果を下記の表1
に示す。
【0037】〔比較例2〕AN/MA/SMS=89.
6/9.5/0.9(重量%)なるアクリル系ポリマー
を紡糸した。このアクリル系繊維中には酸性基が5.5
4×10-3meq/g含有されていた。本比較例2で使
用するこのアクリル系繊維の形状を表す走査型電子顕微
鏡写真を図4に示す。このアクリル系繊維についてIR
測定を行なったが、アミド基の存在は確認できなかっ
た。このアクリル系繊維に対して前記実施例1と同様に
して鉄フタロシアニンオクタカルボン酸を付与した後、
乾燥した。得られた比較例2のアクリル系繊維の繊維の
形状を表す走査型電子顕微鏡写真を図5に示す。このア
クリル系繊維の鉄フタロシアニン担持量は、0.02重
量%であった。このアクリル系繊維試料の硫化水素除去
率は0であった。その結果を下記の表1に示す。
【0038】〔比較例3〕AN/MA/SMS=89.
6/9.5/0.9(重量%)なるアクリル系ポリマー
を紡糸し、繊維形状物を得た。これを前記実施例1と同
様に45℃、15重量%水酸化ナトリウム水溶液中に2
0時間浸漬させ、アルカリ加水分解を行なうことによっ
て、繊維中に酸性基2.25×10-2meq/gを含有
するアクリル系繊維を得た。
【0039】該繊維のアミド基の存在についてIR測定
したが、確認できなかった。このアクリル系繊維に対し
て前記実施例1と同様に鉄フタロシアニンオクタカルボ
ン酸を付与した後、乾燥した。得られた比較例3のアク
リル系繊維の鉄フタロシアニン担持量は0.08重量%
であった。この繊維試料の硫化水素除去率は20%と低
かった。その結果を下記の表1に示す。
【0040】〔比較例4〕AN/MA/SMS=89.
6/9.5/0.9(%)なるアクリル系ポリマーの塩
化亜鉛水溶液を紡糸原液(A)とした。一方、紡糸原液
(A)を105℃で30分間熱処理し、熱変性を行なう
ことによりポリマー内にアミド基を導入させた。これを
紡糸原液(B)とした。
【0041】これら2種の紡糸原液(A)及び(B)を
ノズル孔から張合わされるように押し出して紡糸し、繊
維中にアミド基5重量%、酸性基2.48×10-2me
q/gを含有するバイコンポーネント組成のアクリル系
繊維を得た。この繊維を前記実施例1と同様にして鉄フ
タロシアニンを付与し、乾燥した。得られた比較例4の
アクリル系繊維の鉄フタロシアニン担持量は0.05重
量%であった。このアクリル系繊維試料の硫化水素除去
率は20%と低かった。その結果を下記の表1に示す。
【0042】〔比較例5〕AN/MA/SMS=89.
6/9.5/0.9(%)なるアクリル系ポリマーの塩
化亜鉛水溶液を紡糸原液(A)とした。一方、AN/M
A/SMS=89.6/9.5/0.9(%)なるアク
リル系ポリマーの塩化亜鉛水溶液を105℃で30分間
処理し、熱変性を行なうことにより、ポリマー内にアミ
ド基を導入した。この溶液を紡糸原液(B)とした。
【0043】これら2種の紡糸原液(A)及び(B)を
ノズル孔から張合わされるように押し出して紡糸し、バ
イコンポーネント組成のアクリル系繊維を得た。さらに
80℃、15重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に5分
間浸漬させてアルカリ加水分解を行なうことにより、ア
クリル系繊維中にアミド基3.8重量%、酸性基1.8
×10-1meq/g含有するアクリル系繊維を得た。
【0044】このアルリル系繊維に対して、前記実施例
1と同様にして鉄フタロシアニンを付与し、乾燥した。
得られた比較例5のアクリル系繊維の鉄フタロシアニン
担持量は0.36重量%であった。このアクリル系繊維
試料の硫化水素除去率は67%であった。このアクリル
系繊維は融着がひどく、アクリル系繊維本来の風合いを
著しく損なっているものであった。その結果を下記の表
1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明によって得られた消臭性アクリル
系繊維は、通常のアクリル系繊維が持つ本来の繊維性
能、風合いをそのまま保持するとともに、且つ消臭性能
が優れており、特に、相対湿度70%以上においては消
臭性能が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における、アリカリ処理する前のアク
リル系繊維について、その「繊維の形状」を表す走査型
電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1における、アルカリ処理した後のアク
リル系繊維について、その「繊維の形状」を表す走査型
電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1で得られた消臭性アクリル系繊維につ
いて、その「繊維の形状」を表す走査型電子顕微鏡写真
である。
【図4】比較例2で使用するアクリル系繊維について、
その「繊維の形状」を表す走査型電子顕微鏡写真であ
る。
【図5】比較例2で得られたアクリル系繊維について、
その「繊維の形状」を表す走査型電子顕微鏡写真であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 白井 汪芳 長野県小県郡丸子町長瀬2496

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性基及び/又はアミド基の含有量に差
    を有する2種以上のアクリル系ポリマーを複合させたア
    クリル系複合繊維に、下記の一般式で示される金属フタ
    ロシアニン誘導体が担持されていることを特徴とする消
    臭性アクリル系繊維。 【化1】 (式中、Mは配位金属、−Xは水素又は置換基を表
    す。)
  2. 【請求項2】 前記アクリル系複合繊維を構成する2種
    以上のアクリル系ポリマーのいずれかがアミド基及び酸
    性基を同時に有するアクリル系ポリマーである請求項1
    記載の消臭性アクリル系繊維。
  3. 【請求項3】 前記アクリル系複合繊維中に、該アクリ
    ル系複合繊維の全体に対してアミド基含有量が2.5〜
    4重量%、且つ酸性基が2.0×10-2〜1.0×10
    -1meq/g含有されている請求項1又は2記載の消臭
    性アクリル系繊維。
  4. 【請求項4】 前記アクリル系複合繊維は、その表面に
    酸性基及び/又はアミド基の含有量に差を有する2種以
    上のアクリル系ポリマーが存在している請求項1、2又
    は3記載の消臭性アクリル系繊維。
  5. 【請求項5】 前記金属フタロシアニン誘導体が、金属
    フタロシアニンのカルボン酸誘導体である請求項1、
    2、3又は4記載の消臭性アクリル系繊維。
  6. 【請求項6】 前記金属フタロシアニン誘導体の担持量
    が、0.05〜10重量%の範囲である請求項1、2、
    3、4又は5記載の消臭性アクリル系繊維。
  7. 【請求項7】 前記金属フタロシアニン誘導体中の金属
    が、Fe及び/又はCoである請求項1、2、3、4、
    5又は6記載の消臭性アクリル系繊維。
  8. 【請求項8】 (1)酸性基及び/又はアミド基の含有
    量に差を有する2種以上のアクリル系ポリマーを、該各
    アクリル系ポリマーを溶解しうる溶媒に各々溶解して、
    2種類以上の紡糸原液となし、 (2)前記2種類以上の紡糸原液を同一紡糸口金より凝
    固溶液中に押し出し、該各紡糸原液を完全に混合するこ
    となく紡糸して複合された繊維形状物を得、 (3)前記工程で得られた繊維形状物に下記の一般式で
    示される金属フタロシアニン誘導体を担持させることに
    より請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の消臭性
    アクリル系繊維を得ることを特徴とする消臭性アクリル
    系繊維の製造方法。 【化2】 (式中、Mは配位金属、−Xは水素又は置換基を表
    す。)
  9. 【請求項9】 (1)1種以上のアクリル系ポリマーが
    各々溶解されてなる1種以上の濃厚塩化亜鉛系水溶液を
    調製し、この濃厚塩化亜鉛系水溶液を熱処理して1種類
    以上の紡糸原液となし、 (2)一方、1種以上のアクリル系ポリマーが各々溶解
    され、熱処理を受けていない1種以上の濃厚塩化亜鉛系
    水溶液を調製してもう一方の1種類以上の紡糸原液とな
    し、 (3)前記各工程で得られた各紡糸原液を同一紡糸口金
    より凝固溶液中に押し出し、且つ該各紡糸原液を完全に
    混合することなく紡糸して、複合された繊維形状物を
    得、 (4)前記工程で得られた繊維形状物に下記の一般式で
    示される金属フタロシアニン誘導体を担持させることに
    より請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の消臭性
    アクリル系繊維を得ることを特徴とする消臭性アクリル
    系繊維の製造方法。 【化3】 (式中、Mは配位金属、−Xは水素又は置換基を表
    す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005021860A1 (ja) * 2003-09-01 2005-03-10 Shinshu Tlo Co., Ltd. アレルゲン分解用繊維素材およびそれを用いた繊維製品
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