JP3338604B2 - 消臭・抗菌性アクリル系合成繊維の製造方法 - Google Patents

消臭・抗菌性アクリル系合成繊維の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性に優れ、か
つ日常生活で発生する代表的悪臭であるアンモニア、ア
ミン類、硫化水素、メルカプタン類、酢酸等の各種悪臭
に対して良好な消臭性能と優れた抗菌性を有するアクリ
ル系合成繊維製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリル系合成繊維は衣料、寝装、イン
テリア用に幅広く用いられているが、近年サニタリー分
野で利用される毛布、モケット、マットやカーペット
類、靴下、肌着、シーツ、カーテン等の編織物製品に消
臭性及び抗菌性を有する物が強く要望されてきている。
従来から、悪臭として問題視されている臭気を消す機能
を繊維製品に付与する方法としては、繊維への酸性基を
有するビニルモノマーのグラフト加工(特公平3−77
308号公報、特公平2−58392号公報、特開昭6
2−142562号公報など)、銅化合物(特開昭61
−231202号公報、特開昭62−6978号公報)
や、各種消臭剤(特開昭61−258076号公報、特
開昭56−100060号公報)を繊維表面へ付着する
方法などが知られている。また、繊維へ消臭機能を有す
るビニルモノマーを導入する方法として、酸性基を有す
るビニルモノマーを共重合し、その重合体を繊維化する
方法が挙げられる。
【0003】しかしながら、これらの方法のうち、グラ
フト加工は繊維の風合いが変化したり、均一な反応効率
が得られず消臭効果が充分に発揮できなかったり、ま
た、染色工程と類似したグラフト反応を行わねばなら
ず、工程数の増加、又その際の処理液による加工機、排
水の汚染等の問題が生じてしまう。
【0004】消臭効果のある微粉末を繊維表面へ付着さ
せる後処理加工及び繊維製品に消臭効果のある溶液を浸
漬、塗布、散布するといった後処理加工では、繊維独自
の風合いの低下や、水洗やドライクリーニングによって
剤が脱落し洗濯耐久性が不足する等の欠点がある。
【0005】また、繊維に消臭機能を有するビニルモノ
マーを導入する方法として、重合時に酸性基を有するビ
ニルモノマーを共重合し、その重合体を繊維化する方法
があるが、この方法は、消臭効果のある酸性基を有する
ビニルモノマーが繊維表面よりも繊維内部に多く存在す
る為、酸性基を有するビニルモノマーの導入率の割には
悪臭に直接接触する率が小さく、消臭効果が不十分であ
ること、繊維物性の低下、風合いの悪化等の欠点があっ
た。
【0006】これらの加工方法は、ほとんどがアミン類
やアンモニア等の塩基性悪臭、酢酸等の酸性悪臭、又は
硫化水素、メルカプタン類等の悪臭のいづれかにのみ効
果を持ち、塩基性及び酸性の両悪臭及び硫化水素、メル
カプタン類等全ての臭いに対して効果的に作用し、工業
的に安全且つ安価に繊維の生産に利用できるものはほと
んど知られていない。
【0007】また、抗菌性の付与においても、前述した
ような消臭機能を繊維製品に付与する方法と同様の方法
が有る。例えば、繊維製品へ抗菌性を有する化合物を塗
布、スプレーする方法や、抗菌性を有する化合物溶液へ
繊維及び繊維製品を含浸せしめる方法、抗菌性を有する
化合物と樹脂を併用した樹脂加工等が良く知られてい
る。しかし、これらの方法ではその効力に持続性が無
く、かつ付着せしめた化合物が洗濯等によって容易に脱
落してしまうという欠点や、繊維独自の風合いを損なう
という欠点等を有している。
【0008】これまでに、抗菌性を有する繊維として、
アクリロニトリルを含む共重合体に金属微粉末を添加、
紡糸する方法(特開昭55−115440号公報等)又
はアゾール誘導体を添加、紡糸する方法(特開昭53−
139895号公報)等が提案されているが、一般的に
は抗菌性付与と消臭性付与は別々に行われており、抗菌
性能と消臭性能の両方の性能を併せ持つ繊維はほとんど
無い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は耐洗濯
性を有し、かつ優れた消臭効果と抗菌効果を併せ持つと
共にアクリル系合成繊維の繊維性能、風合いをそのまま
保持する消臭・抗菌性アクリル系合成繊維製造方法を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろはアクリル系合成繊維を製造するに際し、アクリロ
ニトリルを主要な構成単位とする共重合体(A)と混和
性がありかつ非相溶性の重合体(B)5〜40重量%を
有機溶剤に溶解させた溶液と平均粒径0.5〜10μm
のケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩を有効成分と
する微粉末5〜40重量%を有機溶媒に均一分散させた
分散液をアクリロニトリルを主要な構成単位とする共重
合体(A)の有機溶剤溶液に添加し、これを紡糸するこ
とを特徴とする消臭・抗菌性アクリル系合成繊維の製造
方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明に使用するアクリロニトリルを主要
な構成単位とする共重合体(A)は、少なくとも40重
量%のアクリロニトリルを含有するアクリロニトリル系
共重合体よりなり、他に共重合可能ないかなる単量体を
もあわせ用いることが可能である。例えば、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエス
テル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメ
タクリル酸アルキルエステル、スチレン、酢酸ビニル、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルエチルエーテル、
メタクリロニトリル等の中性単量体、アクリル酸、メタ
クリル酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ス
チレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルフォン酸等の酸性単量体及びこれら単量体の
アンモニウム塩、アルカリ金属塩等を適宜組み合わせた
ものを60重量%以下の割合で共重合せしめたものが挙
げられる。このアクリル系共重合体は懸濁重合、溶液重
合、乳化重合等、如何なる方法によって製造されたもの
でも良い。
【0013】本発明で用いられる重合体(B)は、重合
体(A)と混和性がありかつ非相溶性であることが必須
の条件である。混和性があるとは、重合体同士または、
重合体溶液同士が凝集又はゲル化することなく良く混合
できる性質をいい、また非相溶性とは共重合体(A)の
溶液と重合体(B)の溶液とを混合した時、両者が互い
に溶解せずに相分離しているか、又は脱溶剤、成形中に
共重合体(A)と重合体(B)が相分離する事、もしく
は共重合体(A)と重合体(B)を混合溶融混練したの
ちも互いに均一ブレンドされず相分離している事を意味
する。相分離状態としては一般に重合体(B)が球状又
は回転楕円球状であることが好ましく、更に好ましくは
より均一な大きさを有する球状を呈することである。重
合体(B)は2種以上の重合体を使用することも可能で
あるが、この場合も重合体(A)と混和性がありかつ非
相溶性である事が必要である。共重合体(A)の溶液と
重合体(B)の溶液とを混合した際の相分離の確認は、
一般的な方法、例えば、位相差光学顕微鏡等で行うこと
ができ、溶液状態で相分離していれば良い。
【0014】重合体(B)としては共重合体(A)と混
和性がありかつ非相溶性であれば特に限定されないが、
アセチルセルローズ、アセチルプロピオニルセルロー
ズ、アセチルブチルセルローズ等のセルローズ誘導体、
ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のポリ
ビニルアセタール、シアノエチル化ポリビニルアルコー
ル等のポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、
酢酸ビニル−エチレン共重合体などの酢酸ビニル系共重
合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−
アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニル系重合体、ポ
リスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体等のスチレン系重合体、ポリメタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸メチルを主成分とする共重合体などが
好適に用いられ、特にセルローズ誘導体又はポリビニル
アルコール系誘導体が好ましい。
【0015】本発明において重合体(B)は共重合体
(A)に対して1〜20重量%、好ましくは2〜15重
量%含有せしめる。重合体(B)の量が1重量%未満で
は良好なる相分離状態が得られず、また20重量%を越
えると繊維性能が低下するとともに、工業的容易にかつ
安価に製造することが困難となる。
【0016】本発明で用いられる微粉末としては、酸化
物として表わした3成分組成比で SiO2 :5〜80モル% MOn/2 :5〜65モル% Al2 3 :0〜60モル% (Mは亜鉛、銅、銀、コバルト、ニッケル、鉄、チタ
ン、バリウム、スズ、マグネシウム又はジルコニウムか
ら選ばれる少なくとも一種の金属を、nは金属の原子価
を表わす)に相当するケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸
金属塩を有効成分とするものである。かかる金属塩は、
その結晶に固体酸、固体塩基の両性質を持ち、かつ、互
いに中和しあうことなく1つの固体粒子表面に独立して
存在し、両性の吸着面を形成している。このため塩基性
悪臭、酸性悪臭に対し化学的吸着作用による優れた消臭
効果を有し、また、比表面積が大きく悪臭との接触効率
に優れ、物理吸着作用も併せ持つため、効果的に消臭で
きるものと考えられる。また、抗菌性能に関しては定か
ではないが、微粉末の少なくとも一部に保持した金属イ
オンに基づくものと考えられる。
【0017】本発明で用いられるケイ酸金属塩又はアル
ミノケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末の平均粒径は
粒度分布にもよるが、0.1〜10μm、好ましくは1
〜7μmである。微粉末の平均粒径が0.1μm未満で
は凝集が起こりやすく、特殊な分散装置、分散剤を用い
なければ均一分散が困難であり、また、10μmを超え
ると紡糸時の濾過圧上昇、糸切れ等が起こり操業上好ま
しくない。
【0018】本発明で用いるケイ酸金属塩又はアルミノ
ケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末のBET比表面積
は、100m2 /g以上であり、特に150m2 /g以
上であることが好ましい。このBET比表面積が100
2 /gより低い場合は悪臭との接触効率が低下し、十
分は消臭能力を発揮できない。
【0019】本発明で用いられるケイ酸金属塩又はアル
ミノケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末の添加量は上
記アクリルニトリル系共重合体に対して、0.5〜20
重量%、好ましくは1〜15重量%含有せしめる。微粉
末の含有量が0.5重量%未満では十分な消臭・抗菌性
能を付与出来ず、また20重量%を超えると紡糸におけ
る可紡性、繊維品質及び紡績性が低下し好ましくない。
【0020】本発明の繊維は相分離した重合体(B)の
中に微粉末が局在化することにより消臭・抗菌効果は著
しく向上する。その理由は定かではないが、相分離した
重合体(B)により形成されたマクロボイドは、その一
部は表面に開口した空孔が内部の空孔と連通し、悪臭物
質や菌がアクリル繊維中に入り込み易くなり、微粉末と
の接触面積が増えることによって消臭・抗菌効果が向上
するからと考えられる。なおこの局在化は、相分離を確
認する方法と同様に確認することができる。
【0021】本発明に使用する溶媒としては、アクリロ
ニトリル系共重合体を溶解し得る溶媒ならばいずれを使
用しても良い。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等の
有機溶媒が挙げられ、溶解性、溶剤回収、取扱いの点で
好ましい。
【0022】本発明において重合体(B)の有機溶剤溶
液の濃度は5〜40重量%、好ましくは10〜30重量
%である。この濃度が5重量%未満では、紡糸原液の濃
度が下がり可紡性が低下すると共に、繊維物性が低下す
る。また、40重量%を越えると、粘度の上昇により微
粉末の均一分散が困難になるばかりではなく、可紡性が
低下し工業的容易に製造する事が困難になる。
【0023】本発明においてケイ酸金属塩又はアルミノ
ケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末の有機溶剤の分散
濃度は5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%で
ある。この濃度が5重量%未満であると紡糸原液の濃度
が下がり、可紡性が低下するとともに繊維物性が低下す
る。また、40重量%を超えると、良好な分散状態が得
られず工業的に製造することは困難となる。
【0024】アクリロニトリル系共重合体(A)に、重
合体(B)及びケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩
を有効成分とする微粉末を添加、混合し紡糸原液を得る
方法としては、共重合体(A)を有機溶媒に溶解した溶
液に重合体(B)及びケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸
金属塩を有効成分とする微粉末を有機溶媒に分散させた
分散液を紡糸直前に添加、混合すれば良い。本発明で用
いられる重合体(B)及びケイ酸金属塩又はアルミノケ
イ酸金属塩を有効成分とする微粉末を有機溶媒に分散、
溶解させる方法、及び、その調製溶液をアクリロニトリ
ル系共重合体を含む紡糸原液に添加、混合する方法とし
ては、通常の混合機による方法で充分である。
【0025】得られた紡糸原液は通常の口金より紡出さ
れる。紡出方法についてはあらゆる公知の湿式、乾湿
式、乾式の紡糸方法が適用可能であり、通常のアクリル
系合成繊維と同様の条件で行えば良く、好ましくは、口
金より紡出後、2.5〜8倍に一次延伸して水膨潤状態
にある繊維を100〜180℃の温度で乾燥し、次いで
湿熱で3倍以下の二次延伸を行うことにより、繊維へ効
果的にマクロボイドを付与することができ、消臭・抗菌
効果を向上することができる。
【0026】また、本発明の特性を損なわない範囲で通
常使用される酸化チタン、難燃剤、耐光剤、蓄熱剤、顔
料、収縮性を向上させる目的で使用されるポリマーなど
を添加すること及び染色、難燃性の付与等を目的とした
ゲルトウ加工などは任意である。本発明の特性を損なわ
ない範囲でケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩を有
効成分とする微粉末を製造する際に添加物を使用するこ
とや、微粉末の分散性改良の為に添加物を使用すること
も任意である。
【0027】
【実施例】次に実施例を示して、本発明を具体的に説明
する。実施例中の部、%は特に断らない限り、「重量
部」、「重量%」を示す。 [消臭性]繊維製品の消臭性能の評価は、日常生活の悪
臭の代表として、塩基性の悪臭であるアンモニア臭(肉
類の腐敗臭等)、トリメチルアミン臭(魚類の腐敗臭
等)、メルカプタン臭(野菜類の腐敗臭等)、酸性の悪
臭である酢酸臭(汗成分の分解による体臭等)について
以下の方法により行った。
【0028】1.トリメチルアミン(以下TMAと記
す)除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3lを入
れる。次いで、TMAを10ppmの濃度になるよう封
入し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定し
た。対照として空のテドラーバッグにTMAを10pp
mの濃度になるよう封入し、2時間放置した後に検知管
でガス濃度を測定し、濃度の減少率からTMAの除去率
を算出した。
【0029】2.アンモニア除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3lを入
れる。次いで、アンモニアを40ppmの濃度になるよ
う封入し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定
した。対照として空のテドラーバッグにアンモニアを4
0ppmの濃度になるよう封入し、2時間放置した後に
検知管でガス濃度を測定し、濃度の減少率からアンモニ
アの除去率を算出した。
【0030】3.エチルメルカプタン(以下EMPと記
す)除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3lを入
れる。次いで、EMPを20ppmの濃度になるよう封
入し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定し
た。対照として空のテドラーバッグにEMPを20pp
mの濃度になるよう封入し、2時間放置した後に検知管
でガス濃度を測定し、濃度の減少率からEMPの除去率
を算出した。
【0031】4.酢酸除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3lを入
れる。次いで、酢酸を20ppmの濃度になるよう封入
し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定した。
対照として空のテドラーバッグに酢酸を20ppmの濃
度になるよう封入し、2時間放置した後に検知管でガス
濃度を測定し、濃度の減少率から酢酸の除去率を算出し
た。
【0032】[空孔率]本発明において、重合体(B)
により得られるマクロボイドの評価は、表面に開口した
マクロボイドが内部のマクロボイドと連通し吸水性能が
向上することから、便宜的に吸水率による評価とし、以
下の方法によって測定した。
【0033】綿0.5gを純水に5分浸漬後、遠心分離
機を用いて2分間処理し、繊維間の水分を除去し、重量
(W0)を測定し、さらにこの綿を乾燥し、乾燥重量
(W1)を測定し下記式で吸水率を計算することにより
算出した。 吸水率(%)=(W0−W1)/W1×100
【0034】[抗菌性]繊維製品の抗菌性能の評価は、
丸編みしたものを被験体として用い、繊維製品衛生加工
協議会制定の抗菌防臭加工製品認定基準「菌数測定法」
により行った。
【0035】[耐洗濯性]耐洗濯性試験は、JIS L
1018の「家庭用電気洗濯法」に準じて行った。
【0036】実施例1〜5及び比較例1〜3 アクリロニトリル系共重合体の製造は、アクリロニトリ
ル(以下ANと記す)/メチルアクリレート/2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ(以
下SAMと記す)=91.2/8.0/0.8からなる
アクリロニトリル系共重合体を、ジメチルホルムアミド
(以下DMFと記す)中にてアゾビスイソブチロニトリ
ルを開始剤として重合し、残存モノマーの除去を行い、
その後、共重合体濃度を20〜30%に調製した。
【0037】重合体(B)はセルローズ誘導体であるア
セチルセルローズを用い、DMFに20〜30%となる
ように調製した。
【0038】微粉末は、その有効成分であるアルミノケ
イ酸金属塩の組成比がSiO2 :58モル%,Al2
3 :7モル%,ZnO:35モル%であり、平均粒径が
3.5μm、比表面積が200m2 /gであるものを使
用し、DMFに20〜25%となるように調整した。
【0039】得られたアセチルセルローズのDMF溶液
と上記微粉末の分散液を、上記アクリロニトリル系共重
合体に表1に示す添加率で添加、混合し、紡糸原液とし
た。
【0040】上記紡糸原液を22℃,58%DMF水溶
液中に紡出し、脱溶媒をさせながら3段階で6倍に一次
延伸した後、60℃の水で水洗し、DMFを除去した。
一次オイリング後、緊張下ヒーターローラーにて130
℃で乾燥を行い、100℃の湿熱下で二次延伸を1.2
倍で行いクリンプ付与後に湿熱105℃にて湿熱処理を
行った。得られた繊維の紡糸操業性の結果の判定は、実
施例記載の条件で製造した際の濾過圧、単糸切れ、ロー
ラー巻き付き、繊維への歩留まり等を総合して「○(良
好)」,「△(やや不良)」,「×(不良)」の三段階
で行った。また、繊維品質においては、それぞれの実施
例の繊維の強度、伸度、耐光性、染色性等を通常のアク
リル系合成繊維と比較して、「○(良好)」,「×(不
良)」の2段階で評価を行った。
【0041】なお、比較例1〜3は、アクリロニトリル
系共重合体に実施例1〜5で用いた重合体(B)及び微
粉末を範囲外の比率で添加したものであり、各工程、各
評価は実施例1〜5と同様に行った。
【0042】以上の結果をまとめて表1、表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】表1、表2から明らかな様に、実施例品は
比較例品に比べて優れた消臭性能及び抗菌性能を有して
いることがわかる。上記共重合体(B)をアクリロニト
リル系重合体への添加率を範囲外に多くした比較例1の
場合は、紡糸時の濾過圧上昇、糸切れが起こり紡糸でき
なかった。また、比較例2の如く微粉末の添加率を範囲
外に少なくしたものは、紡糸操業性、繊維品質は良好で
あり、吸水率も高くマクロボイドも形成されていたが、
十分な消臭性能及び抗菌性能は得られなかった。微粉末
の添加率を範囲外に多くした比較例3においては紡糸時
の濾過圧上昇、糸切れが起こり紡糸できなかった。
【0046】実施例6及び比較例4 実施例2で用いた消臭・抗菌性アクリル系合成繊維を3
8mm定長カットした後、通常の3.0デニールのアク
リル繊維(カネボウアクリルXQ3)と10/90の割
合で混打綿混合した。なお比較例4は、上記アクリロニ
トリル系共重合体に実施例2で使用した重合体(B)を
範囲外の比率で添加したものであり、各工程、各評価は
実施例6と同様に行った。得られた綿の消臭性能及び抗
菌性能評価を表3、表4に示した。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】表3、表4より明らかな様に、比較例4で
示した重合体(B)を添加しないものは、紡糸操業性、
繊維品質は良好であったが、吸水率が低いことからマク
ロボイドはほとんど無く重合体(B)を添加した実施例
6と比較して十分な消臭・抗菌性能が得られないことが
わかる。
【0050】実施例7〜11及び比較例5 アクリロニトリル系共重合体の製造は、AN/塩化ビニ
リデン/SAM=57/40/3からなるアクリロニト
リル系共重合体を、DMF中にてアゾビスイソバレロニ
トリルを開始剤として重合し、残存モノマーの除去を行
い、その後、共重合体濃度を20〜30%に調製した。
【0051】重合体(B)はポリビニルブチラールを用
い、DMFに20〜30%となるように調製した。
【0052】微粉末は実施例1〜5と同様のものを使用
し、DMFに15〜20%となるように調整した。
【0053】得られたポリビニルブチラールのDMF溶
液と上記微粉末の分散液を、上記アクリロニトリル系共
重合体に表5に示す添加率で添加、混合し、紡糸原液と
した。
【0054】上記紡糸原液を18℃,57%DMF水溶
液中に紡出し、脱溶媒をさせながら3段階で5.9倍に
延伸した後、60℃の水で水洗しDMFを除去した。1
次オイリング後、緊張下ヒーターローラーにて130℃
で乾燥を行い、100℃の湿熱下で二次延伸を1.2倍
で行いクリンプ付与後に湿熱105℃にて湿熱処理を行
った。得られた繊維の紡糸操業性の結果の判定は、実施
例記載の条件で製造した際の濾過圧、単糸切れ、ローラ
ー巻き付き、繊維への歩留まり等を総合して「○(良
好)」,「△(やや不良)」,「×(不良)」の三段階
で行った。また、繊維品質においては、それぞれの実施
例の繊維の強度、伸度、耐光性、染色性等を通常アクリ
ル系合成繊維と比較して、「○(良好)」,「×(不
良)」の2段階で評価を行った。
【0055】なお、比較例5は、上記アクリロニトリル
系共重合体に実施例7〜11で使用した重合体(B)及
び微粉末を範囲外の比率で添加したものであり、各工
程、各評価は実施例7〜11と同様に行った。
【0056】実施例12 微粉末として、その有効成分であるアルミノケイ酸金属
塩の組成比がSiO2:55モル%,Al2 3 :17
モル%,CuO:28モル%であり、平均粒径が3.0
μm、比表面積が185m2 /gであるものを使用する
以外は実施例7〜11と同様の方法で繊維を得た。
【0057】実施例13 微粉末として、その有効成分であるアルミノケイ酸金属
塩の組成比がSiO2:67モル%,Al2 3 :13
モル%,Ag2 O:20モル%であり、平均粒径が3.
3μm、比表面積が193m2 /gであるものを使用す
る以外は実施例7〜11と同の方法で繊維を得た。
【0058】比較例6 微粉末の有効成分がケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金
属塩でない場合として、シリカアルミナ系微粉末で組成
比がSiO2 :81モル%,Al2 3 :19モル%で
あり、平均粒径が3.3μm、比表面積が220m2
gであるものを使用する以外は実施例7〜11と同様の
方法で繊維を得た。
【0059】以上の結果をまとめて表5、表6に示す。
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】表5、表6から明らかな様に、実施例品は
比較例品に比べて優れた消臭性能及び抗菌性能を有して
いることがわかる。上記共重合体(B)をアクリロニト
リル系重合体への添加率を範囲外に少なくした比較例5
の場合は、紡糸操業性、繊維品質は良好であったが、十
分なマクロボイドが得られず良好な消臭性能及び抗菌性
能が得られなかった。また、比較例6の如くケイ酸金属
塩及びアルミノケイ酸金属塩を使用しない場合、十分な
消臭・抗菌性能が得られないことがわかる。これに対
し、実施例では消臭性能、抗菌性能、耐久性、繊維品質
に於いて満足すべき結果を得た。
【0063】
【発明の効果】本発明の消臭・抗菌性アクリル系合成繊
維は、従来より用いられているアクリロニトリル系共重
合体(A)に、該共重合体(A)と混和性がありかつ非
相溶性の重合体(B)及びケイ酸金属塩又はアルミノケ
イ酸金属塩を有効成分とする微粉末を混合、繊維化して
得られたものであり、本来の繊維性能を低下させること
なく、耐洗濯性のある優れた消臭性能及び抗菌性能を付
与された繊維である。また、本発明のアクリル系合成繊
維の製造方法は、かかる繊維を通常のアクリル系合成繊
維の製造装置及び条件で工業的に、容易かつ安価に製造
することを可能にした。本発明によって得られた繊維
は、通常のアクリル系合成繊維、ポリエステル、ナイロ
ン、羊毛等他の繊維に混合して使用することも可能で、
消臭性能及び抗菌性能を有する衣料、毛布、カーペッ
ト、マット、靴下、シーツ、布団、カーテン等幅広い用
途に使用することが出来る為、産業上極めて有意義なも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/54 A61L 9/00 - 9/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系合成繊維を製造するに際し、
    アクリロニトリルを主要な構成単位とする共重合体
    (A)と混和性がありかつ非相溶性の重合体(B)5〜
    40重量%を有機溶剤に溶解させた溶液と平均粒径0.
    5〜10μmのケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩
    を有効成分とする微粉末5〜40重量%を有機溶媒に均
    一分散させた分散液をアクリロニトリルを主要な構成単
    位とする共重合体(A)の有機溶剤溶液に添加し、これ
    を紡糸することを特徴とする消臭・抗菌性アクリル系合
    成繊維の製造方法。
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