JP3450137B2 - キトサン含有繊維及びその製造方法 - Google Patents

キトサン含有繊維及びその製造方法

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JP3450137B2
JP3450137B2 JP29909996A JP29909996A JP3450137B2 JP 3450137 B2 JP3450137 B2 JP 3450137B2 JP 29909996 A JP29909996 A JP 29909996A JP 29909996 A JP29909996 A JP 29909996A JP 3450137 B2 JP3450137 B2 JP 3450137B2
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宏 細川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衣料、インテリア
及び資材用途等として用いることのできる抗菌防臭性繊
維、特に繊維中にキトサン微粒子が分散している抗菌防
臭性を有するキトサン含有繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】抗菌防臭性繊維は、雑菌の増殖を抑制
し、不快な異臭の発生を防止する目的で近年広く使用さ
れており、医療用、幼児、老人向け繊維製品として、ま
た最近では健康と快適を強く求める消費者ニ−ズを受
け、一般消費者向け製品として市中に広く流通してい
る。
【0003】このような抗菌防臭性繊維には、種々の抗
菌剤が用いられており、繊維製品への抗菌剤の複合処理
方法も様々である。例えば、抗菌剤としては、銀−ゼオ
ライト系を代表とする無機金属系物質を用いる技術(特
開平5−272008号公報等)、銅化合物または銅や
亜鉛などの金属微粉末を繊維中に添加する方法(特開昭
55−115440号公報等)、4級アンモニウム塩誘
導体を用いる方法(特開昭59−130371号公報
等)、トリクロロカルバニリド等のハロジアリル尿素化
合物を用いる方法(特開平2−259169号公報)、
その他の化合物としてサイアベンダゾ−ル系化合物(特
開昭61−616号公報等)、フェノ−ル系化合物(特
開昭60−252713号公報等)、脂肪酸エステル系
化合物を用いる方法(特開昭63−6173号公報等)
などが知られている。
【0004】しかしながら、銀、銅化合物を複合化した
繊維は、晒し処理を行うと銀、銅化合物が化学分解し抗
菌性が失われるという問題がある。また、一部の有機系
化合物を複合化した繊維は、後加工から廃棄まで含めた
使用環境の条件下で有害物質が生じる可能性を完全に否
定できないという問題点がある。
【0005】こうした背景のもと、最近天然物由来の機
能性付与剤が注目されている。
【0006】例えば、ヒノキから抽出されるヒノキチオ
−ルは抗菌、防カビ性、防虫等の機能を持ち、甲殻類か
ら得られる天然多糖類キチンの脱アセチル化物であるキ
トサンは、抗菌防臭、MRSAに対する増殖抑制効果、
高保湿性、アトピ−性皮膚炎の予防、改善その他多くの
機能を持ち、繊維に含有して衣類に使用すると快適な感
触が得られることが知られている。
【0007】しかしながら、抗菌防臭機能の発現、その
効果の持続性、さらには繊維が本来有する繊維性能、例
えば風合いの保持といった点から総合的に判断して、十
分とは言い得ないのが現状である。即ち、接着剤を用い
てキトサンを含有した繊維は洗濯に耐えるものとはなら
ない。キトサンを微粉末状に粉砕して紡糸用重合体原
液、例えば溶液あるいは融液に均一分散し公知の方法で
紡糸しようとしても紡糸口金の紡糸孔に詰まって生産性
よく紡糸することは困難であるし、繊維の風合いが異な
ったものとなってしまう。さらに、繊維をキトサン酸性
溶液に浸漬し、引き続いてアルカリ浴で中和し繊維表面
に析出させる方法で得られたキトサン含有繊維の抗菌性
能は、染色等の後加工や洗濯により比較的簡単に失わ
れ、実用的耐久性の更なる向上が求められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解消し、抗菌防臭繊維製品に求められる、あら
ゆる細菌に対して効果があり、繊維の染色、さらし、柔
軟処理等の後加工や洗濯、アイロン等の繊維製品が使用
環境で受ける処理により抗菌防臭性能が失活せず、生産
から廃棄まで含めた全過程で有害な物質を生じない抗菌
防臭性繊維及び抗菌防臭性アクリル繊維の製造方法の提
供を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、以下の発明に到達し
た。即ち、本発明は、繊維中にキトサンを0.02〜
2.0重量%含有し、かつキトサンが繊維中に微粒子状
で分散しており、繊維横断面に存在する任意の100〜
200個の微粒子の円換算平均直径が1〜100nm、
その標準偏差が100nm以下であることを特徴とする
キトサン含有繊維を第1の要旨とし、又、アクリロニト
リル系重合体溶液を湿式紡糸した乾燥緻密化する以前
の、膨潤度が30〜200%の糸条を、キトサン濃度が
0.03〜2.5重量%で、温度が25〜90℃のキト
サン酸性水溶液に浸漬し、続いてアルカリ性水溶液によ
り中和した後、乾燥緻密化することを特徴とするキトサ
ン含有アクリル繊維の製造方法を第2の要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳しく説明
する。
【0011】本発明において、繊維の種類は特に限定さ
れないが、いわゆる湿式紡糸法によって製造される繊維
が好ましく、特にアクリロニトリル系ポリマ−からなる
繊維が特に好ましい。
【0012】本発明に用いるキトサンは、カニ、エビ等
の甲殻類の外骨格を形成するキチン質から炭酸カルシウ
ム、蛋白質等の夾雑物を酸及びアルカリ処理で除去して
得られるキチンを濃アルカリと加熱して脱アセチル化し
た塩基性多糖類である。キトサン含有量は、含有するこ
とにより期待される抗菌、防臭効果を得るには、先ず、
その含有量が重要であり、繊維に対して0.02〜2.
0重量%である。0.02重量%よりも少ないと効果は
不十分であり、2.0%よりも多くてもそれ以上の効果
の増加は望めないだけでなく、繊維の風合いが変化した
り、機械的強度を損なうという障害が現れるために好ま
しくない。
【0013】かかるキトサンを繊維に含有する方法とし
ては、多数の方法があるが、抗菌防臭機能の発現、その
効果の持続性、さらには繊維が本来有する繊維の性能、
例えば風合いの保持といった点を満足するには、キトサ
ンの繊維中の存在状態、換言するとキトサンが繊維中に
凝集することなく、かつできるだけ微細な粒子として分
散していることが重要である。
【0014】つまり、キトサンが大きな粒子として分散
する場合には、キトサンに期待される抗菌、防臭効果を
発現するためのキトサン表面積が小さく、その効果は小
さくなってしまう。更に、晒し、染色といった後加工工
程や洗濯によって、場合によってはキトサン粒子として
溶解又は機械的に脱落するために、その効果の持続性が
損なわれるのであるが、その場合脱落の程度は、キトサ
ンの分散粒子の大きさにより決まる。つまり、その粒子
を単位としては溶解又は機械的脱落をするために、大き
い粒子で存在する場合には、脱落が比較的大きくなる。
【0015】したがって、できるだけ小さな粒子として
分散することが好ましい。つまり、繊維中に微粒子状で
分散しており、繊維横断面に存在する任意の100〜2
00個の微粒子の円換算平均直径が1〜100nm、そ
の標準偏差が100nm以下であることが好ましい。
【0016】かかる分散状態は、繊維を四酸化ルテニウ
ムで染色した後、厚さ約80nmの横断面超薄切片と
し、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)JEM−100
CX)により得られたキトサン分布図を画像解析装置
(ニコレ(株)Luzex3)により解析することで得
ることができる。
【0017】分散微粒子の大きさを表す指標としては、
円換算直径を用いることができる。これは、各分散粒子
の画像における占有面積に相当する円の直径を示す。ま
た、その微粒子の大きさが均一である方が好ましい。そ
のため、円換算直径の標準偏差が小さい程よい。これら
の指標を効率的に得るためには、測定微粒子の数は10
0個以上であることが好ましいが、200個よりも多く
ても、実際上は何らの影響も与えることがなく、デ−タ
処理が煩雑になるので、現実的ではない。
【0018】円換算平均直径が1〜100nmであるこ
とが好ましく、100nmよりも大きいと本発明の課題
を解決できない。他方1nmよりも小さいと、却って溶
出しやすくなる。
【0019】また、円換算平均直径が100nm以下で
あれば、円換算平均直径の標準偏差は小さく、粒子の大
きさは実質的に本発明の課題を解決し得る程度に均一で
本発明の課題の解決を阻害する程度の大粒子は存在しな
い。他方、円換算平均直径が100nmよりも大きい
と、円換算平均直径の標準偏差は大きく、少数ではある
が極端な大粒子が存在し、抗菌防臭機能の発現と効果の
持続性が低下するので好ましくない。
【0020】更に好ましい態様は、キトサン分散微粒子
が、凝集することなく、均一な形状の一次粒子として分
散していることがキトサンの利用効率の点で好ましい。
かかる観点から、該繊維の横断面に存在する任意の10
0〜200個のキトサン微粒子において、前に述べた式
(1)で定義されるシェ−プファクタ−SFが100〜
300、その標準偏差が150以下であるアクリロニト
リル系繊維である事が好ましい。
【0021】該式(1)で定義されるシェ−プファクタ
−SFは、真円において100となるような指標であ
る。該SFが100〜300であれば、実質的に画像上
は円で分散し、現実には球状で分散していることにな
り、凝集状態にはない事を表している。しかも、その標
準偏差が150nm以下であれば、実質的に均一な形状
であることを表している。
【0022】本発明の繊維を製造する方法は幾つか挙げ
られるが、本発明の繊維を製造するためには、湿式紡糸
法において製造される凝固糸もしくはウエット糸をキト
サンを含有する溶液中に浸漬通過させる方法が最もよ
い。つまり、凝固糸もしくはウエット糸はその製造過程
におけるポリマ−の相分離過程で生成するミクロボイド
を有しており、これをキトサンを存在せしめるスペ−ス
として利用する事で、本発明の繊維を製造する事ができ
る。
【0023】かかる繊維の例としては、アクリロニトリ
ル系ポリマ−からなる繊維が最も効果的である。これを
例にとって、詳しく説明する。
【0024】ここに、アクリロニトリル系繊維とは、ア
クリロニトリルを50重量%以上含有し、これと共重合
可能な不飽和単量体であるビニル重合体からなる繊維で
ある。アクリロニトリル系重合体中のアクリロニトリル
量が50重量%未満の場合は、アクリル繊維の特徴であ
る染色鮮明性、発色性が悪化すると共に、熱特性をはじ
めとする他の物性も低下する傾向にある。
【0025】アクリロニトリルと共重合可能な不飽和単
量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、又は、これ
らのアルキルエステル類、酢酸ビニル、アクリルアミ
ド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、更に目的によっては
ビニルベンゼンスルホン酸ソ−ダ、メタリルスルホン酸
ソ−ダ、アクリルアミドジメチルプロパンスルホン酸ソ
−ダ等のイオン性不飽和単量体を用いることができる。
【0026】アクリル繊維にキトサンを含有する方法と
しては、例えば、湿式アクリル繊維製造工程の凝固糸に
含まれる溶剤を洗浄した洗浄糸条に対して、キトサン酸
性水溶液を含有後、中和しキトサンを析出する方法が挙
げられる。
【0027】キトサン酸性水溶液中のキトサン濃度とし
ては、0.03〜2.5重量%とするのが好ましい。つ
まり、0.03重量%よりも少ないと結果的に繊維のキ
トサン含有量が少なく、十分な抗菌性を示さない。逆
に、2.5重量%よりも多い場合でも抗菌性の増加は殆
ど無い。つまり、キトサン量がミクロボイド内への析出
吸着容量を超え、キトサンの一部は繊維に取り込まれな
いで過剰になる。
【0028】酸の種類は特に限定しないが、塩酸、乳
酸、酢酸、蟻酸等が好適に使用可能である。また、酸の
濃度はキトサンが溶解する範囲で低いほどアクリル繊維
の着色が抑えられ好ましく、具体的には2.5重量%以
下の濃度が好ましい。ここで、キトサンを含有する際の
ウエット糸の膨潤度と温度を制御する事は重要であり、
膨潤度は30〜200%、温度は25〜90℃とするこ
とで、本発明の繊維を製造することができる。膨潤度が
30%よりも低いと、キトサンは繊維断面の表面近傍に
のみ分布し、耐久性に劣る。逆に、膨潤度が200%よ
りも高いと、キトサン分散粒子径が100nmよりも大
きくなり、やはり耐久性に劣る。また、温度が25℃よ
りも低いと、キトサンは繊維内部には分布せず、逆に温
度が90℃よりも高いと、キトサンが分解する危険性が
ある。
【0029】本発明の繊維の他の好ましい例としては、
ビニルアルコ−ル系ポリマ−からなる繊維を挙げること
ができる。つまり、かかるポリマ−を約15%水溶液と
して、口金を通して約40%のボウ硝を含む約pH5の
水溶液中に押し出して凝固糸を得る。かかる凝固糸を更
に洗浄しウエット糸を得る事ができる。該凝固糸かウエ
ット糸を前記のキトサンを含有する酢酸水溶液中に通過
させることで本発明に係るキトサン含有繊維を得る事が
できる。その後必要に応じて、中和、洗浄すればよい。
【0030】本発明の繊維のもう一つの好ましい例とし
ては、セルロ−ス繊維を挙げる事ができる。セルロ−ス
繊維を製造する方法としては、溶解方法により幾つかあ
る。その一つとしていわゆるキュプラレ−ヨン法があ
る。この場合、常法に従って銅アンモニア水にセルロ−
スを、銅が3.6%、アンモニアが7.3%、セルロ−
スが9.0%になるように溶解し、口金を通して約5%
の硫酸水溶液中に押し出し凝固糸を得る。かかる凝固糸
を更に洗浄しウエット糸を得る事ができる。該凝固糸か
ウエット糸を前記のキトサンを含有する酢酸水溶液中に
通過させることで本発明に係るキトサン含有繊維を得る
事ができる。その後必要に応じて、中和、洗浄すればよ
い。
【0031】更にセルロ−ス繊維を製造する他の方法と
しては、N−メチルモルホリン−N−オキサイドに溶解
する方法がある。この場合は、セルロ−スを該溶媒に約
10%溶解し、口金を通して水中に押し出し、更に洗浄
しウエット糸を得る事ができる。該ウエット糸を前記の
キトサンを含有する酢酸水溶液中に通過させることで本
発明に係るキトサン含有繊維を得ることができる。その
後必要に応じて、中和、洗浄すればよい。
【0032】更にセルロ−スアセテ−ト繊維を例示する
事ができる。この場合には、セルロ−スアセテ−トをジ
メチルアセトアマイドに溶解し、前記のアクリル繊維の
場合と同様にして、本発明の繊維を製造する事ができ
る。
【0033】本発明のキトサン含有繊維を紡績糸、布
帛、不織布等の繊維複合体として用いる場合、抗菌防臭
性能を得るためには、キトサン含有繊維が20重量%以
上混合されていることが好ましい。キトサン含有繊維と
混合する繊維としては、使用目的にあわせて選択すれば
よく特に限定しないが、通常のアクリル繊維、綿、ウ−
ル、麻、絹、ポリエステル等公知の繊維が挙げられる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に具体的に
説明する。なお、アクリル繊維中のキトサン含有量の測
定は、比較例5を除いて、次のようにして行った。
【0035】(アクリル繊維中のキトサン含有量の測
定) 1)秤量したキトサン含有アクリル繊維5gを6M塩酸
100mlに浸漬し、沸騰水中で8時間加熱する。 2)アクリル繊維を取り除き、得られたキトサン抽出塩
酸溶液25mlに蒸留水150mlを加えながら減圧下
で濃縮乾固する。 3)乾固物を10%酢酸溶液10mlに溶解し、これに
エ−リッヒ試薬(p−ジメチルアミノベンズアルデヒド
の1%エタノ−ル溶液)1mlを添加し、5℃で12時
間静置する。 4)波長435nmで3)溶液の吸光度を測定する。 5)検量線から濃縮液中のキトサン濃度を求め、アクリ
ル繊維中に含有する量に換算した。
【0036】(乾燥緻密化前のアクリル繊維糸条の膨潤
度の測定)紡糸工程より採取した乾燥緻密化前のアクリ
ル繊維糸条を1000Gの加速度の下で10分間脱水し
た後の重量W1、その後、110℃で3時間熱風乾燥し
た後の重量W2から下式を用いて算出した。 (膨潤度)=[(W1−W2)/W2]×100(%)
【0037】(重合体の還元粘度)還元粘度ηredは、
ジメチルホルムアミドを溶剤とした濃度0.5重量%の
重合体溶液の粘度を25℃においてキャノンフェンスケ
粘度計を用いて測定した。
【0038】(抗菌性能測定)繊維製品衛生加工協議会
で定めた菌数測定法により、黄色ブドウ状球菌による菌
数増減値差を求めた。菌数増減値差1.6以上を抗菌性
有効の基準とした。尚、洗濯方法は同協議会で定めた方
法に従った。
【0039】〔実施例1〜4〕水系懸濁重合法により、
アクリロニトリル/酢酸ビニル=93/7重量比である
還元粘度1.95のアクリロニトリル系共重合体を得
た。これをジメチルアセトアミドに共重合体濃度が25
重量%となるように溶解し紡糸原液とした。この紡糸原
液を40℃、30重量%ジメチルアセトアミド水溶液を
満たした紡糸浴中に湿式紡糸し、沸水中で溶剤を洗浄し
ながら5倍延伸を施した後の膨潤度75〜90%の延伸
糸を引き続き、表1に示したキトサン浴濃度、キトサン
浴温度のキトサン(共和テクノス株式会社フロ−ナック
C)と酢酸0.1重量%の水溶液を満たした浴に導き、
繊維重量に対する付着水分量が100%となるように脱
水した後、0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液中で中
和(pH8.3)した。
【0040】その後、過剰の水酸化ナトリウムを洗浄、
油剤を付着せしめた後150℃の熱ロ−ラ−で乾燥緻密
化を行った。さらに2.5kg/cm2の加圧スチ−ム
中で緩和延伸処理を行い、単繊維繊度2d、キトサン含
有量0.06重量%のキトサン含有アクリル繊維を得
た。
【0041】既に述べた方法で、繊維中のキトサン分散
状態に関する指標を測定し、更に洗濯前、洗濯10回後
の抗菌性と風合いを評価した。その評価結果を表2に示
した。
【0042】〔比較例1〜3〕沸水中で溶剤を洗浄しな
がら5倍延伸を施した後の延伸糸の膨潤度及びキトサン
浴温度を表1に示すように変更した以外は実施例1と同
様に実施し、単繊維繊度2dのアクリル繊維を得て、繊
維中のキトサン分散状態及び洗濯前、洗濯10回後の抗
菌性と風合いを評価した。その評価結果を表2に示し
た。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】〔実施例5〜8、比較例4〕共重合体濃
度、紡糸浴温度、及び膨潤度の一部をそれぞれ表3の如
く変更する以外は実施例1と同様に実施して、繊維中の
キトサンの分散状態、抗菌性を評価した。その評価結果
を表4に示した。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】〔比較例5〕アクリロニトリル/酢酸ビニ
ル=93/7重量比のアクリロニトリル系共重合体から
なる単繊維繊度2dのアクリル繊維を繊維重量の300
倍のキトサン(共和テクノス株式会社フロ−ナックC)
0.1重量%酢酸0.1重量%水溶液に1分間浸漬し、
次にマングルで絞り率100%で絞った後に、0.2N
水酸化ナトリウム水溶液中を通してキトサンを凝固さ
せ、再びマングルで絞り、110℃で5分間熱処理し、
更に水洗、乾燥した。かくして得られた繊維は、当該処
理前後の重量増加率よりキトサンを0.02%含有して
いることが判明した。しかしその繊維中には、キトサン
微粒子は存在せず、もっぱら繊維表面に薄膜状態で存在
していた。また、この繊維の抗菌性能は洗濯前は5.3
であったが、洗濯10回後は2.1であった。
【0049】〔実施例9、10、比較例6〕水系懸濁重
合法により還元粘度1.85のアクリロニトリル系共重
合体(アクリロニトリル/酢酸ビニル/メタリルスルホ
ン酸ソ−ダ=92/7/1重量比)を得た。この重合体
を用い、共重合体濃度(比較例6のみ)及び膨潤度をそ
れぞれ表5に示されている条件に変更する以外は、実施
例1と同様に実施し、繊維中のキトサンの分散状態と抗
菌性を調べた。その評価結果を表6に示した。
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【発明の効果】本発明によるキトサン含有繊維は、抗菌
防臭繊維製品に求められる、あらゆる細菌に対して効果
があり、繊維の染色、さらし、柔軟処理等の後加工や洗
濯等の繊維製品が使用環境で受ける処理により抗菌防臭
性能が失活せず、生産から廃棄まで含めた全過程で有害
な物質を生じない。又、本発明のキトサン含有アクリル
繊維の製造方法によれば、該繊維を効率よく安定に製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 昌子 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ ヨン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 大西 宏明 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ ヨン株式会社大竹事業所内 (72)発明者 西原 良浩 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ ヨン株式会社大竹事業所内 (72)発明者 細川 宏 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ ヨン株式会社大竹事業所内 (72)発明者 伊藤 元 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ ヨン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 ゲイリー ジェイ. カポネ アメリカ合衆国 アラバマ州 デカチュ ア セダールコウヴ エスダブリュ 3302 (72)発明者 チャールス ダブリュ. エマーソン アメリカ合衆国 アラバマ州 ハートセ ル ゲーブルシィアール. エスダブリ ュ 906 (56)参考文献 特開 平8−260354(JP,A) 特開 平8−120525(JP,A) 特開 平4−289211(JP,A) 特開 平8−260237(JP,A) 特開 平4−82965(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 1/00 - 13/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維中にキトサンを0.02〜2.0重量
    %含有し、かつキトサンが繊維中に微粒子状で分散して
    おり、繊維横断面に存在する任意の100〜200個の
    微粒子の円換算平均直径が1〜100nm、その標準偏
    差が100nm以下であることを特徴とするキトサン含
    有繊維。
  2. 【請求項2】繊維がアクリロニトリル系ポリマ−、ポリ
    ビニルアルコ−ル、セルロ−ス或いはそのエステル系誘
    導体からなる請求項1記載の繊維。
  3. 【請求項3】繊維がアクリロニトリル系ポリマ−からな
    り、かつ該繊維の横断面に存在する任意の100〜20
    0個のキトサン微粒子において、下式(1)で定義され
    るシェ−プファクタ−SFが100〜300、その標準
    偏差が150以下である請求項1記載のキトサン含有繊
    維。 SF=ML2×π×100/(4×A).....(1) (ここで、MLは繊維の横断面におけるキトサン微粒子
    の最大長、Aは繊維の横断面におけるキトサン微粒子の
    面積である。)
  4. 【請求項4】アクリロニトリル系重合体溶液を湿式紡糸
    した乾燥緻密化する以前の膨潤度が30〜200%の糸
    条を、キトサン濃度が0.03〜2.5重量%で、温度
    が25〜90℃のキトサン酸性水溶液に浸漬し、続いて
    アルカリ性水溶液により中和した後、乾燥緻密化するこ
    とを特徴とするキトサン含有アクリル繊維の製造方法。
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