JPH0987924A - 消臭・抗菌性アクリル系合成繊維及びその製造方法 - Google Patents

消臭・抗菌性アクリル系合成繊維及びその製造方法

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JPH0987924A
JPH0987924A JP26936895A JP26936895A JPH0987924A JP H0987924 A JPH0987924 A JP H0987924A JP 26936895 A JP26936895 A JP 26936895A JP 26936895 A JP26936895 A JP 26936895A JP H0987924 A JPH0987924 A JP H0987924A
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acrylic synthetic
deodorizing
fiber
spinning
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JP26936895A
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Masaru Komiya
賢 小宮
Akio Nishino
明男 西野
Masahito Ono
雅人 大野
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Kanebo Ltd
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Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は耐洗濯性を有し、かつ優れた消
臭効果と抗菌効果を併せ持つと共に、アクリル系合成繊
維の繊維性能、風合いをそのまま保持する消臭・抗菌性
アクリル系合成繊維及びその製造方法を提供することに
ある。 【解決手段】アクリル系合成繊維において、平均粒径
0.5〜10μmのケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金
属塩を有効成分とする微粉末を0.5〜20.0重量%
含有している事を特徴とする消臭・抗菌性アクリル系合
成繊維及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性に優れ、か
つ日常生活で発生する代表的悪臭であるアンモニア、ア
ミン類、硫化水素、メルカプタン類、酢酸等の各種悪臭
に対して良好な消臭性能と優れた抗菌性を有するアクリ
ル系合成繊維及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリル系合成繊維は衣料、寝装、イン
テリア用に幅広く用いられているが、近年サニタリー分
野で利用される毛布、モケット、マットやカーペット
類、靴下肌着、シーツ、カーテン等の編織物製品に消臭
性及び抗菌性を有する物が強く要望されてきている。従
来から、悪臭として問題視されている臭気を消す機能を
繊維製品に付与する方法としては、繊維への酸性基を有
するビニルモノマーのグラフト加工(特公平3−773
08号公報、特公平2−58392号公報、特開昭62
−142562号公報など)、銅化合物(特開昭61−
231202号公報、特開昭62−6978号公報)
や、各種消臭剤(特開昭61−258076号公報、特
開昭56−100060号公報)を繊維表面へ付着する
方法などが知られている。また、繊維へ消臭機能を有す
るビニルモノマーを導入する方法として、酸性基を有す
るビニルモノマーを共重合し、その重合体を繊維化する
方法が挙げられる。
【0003】しかしながら、これらの方法のうち、グラ
フト加工は繊維の風合いが変化したり、均一な反応効率
が得られず消臭効果が充分に発揮できなかったり、ま
た、染色工程と類似したグラフト反応を行わねばなら
ず、工程数の増加、又その際の処理液による加工機、排
水の汚染等の問題が生じてしまう。
【0004】消臭効果のある微粉末を繊維表面へ付着さ
せる後処理加工及び繊維製品に消臭効果のある溶液を浸
漬、塗布、散布するといった後処理加工では、繊維独自
の風合いの低下や、水洗やドライクリーニングによって
剤が脱落し洗濯耐久性が不足する等の欠点がある。
【0005】また、繊維に消臭機能を有するビニルモノ
マーを導入する方法として、重合時に酸性基を有するビ
ニルモノマーを共重合し、その重合体を繊維化する方法
があるが、この方法は、消臭効果のある酸性基を有する
ビニルモノマーが繊維表面よりも繊維内部に多く存在す
る為、酸性基を有するビニルモノマーの導入率の割には
悪臭に直接接触する率が小さく、消臭効果が不十分であ
ること、繊維物性の低下、風合いの悪化等の欠点があっ
た。
【0006】これらの加工方法は、ほとんどがアミン類
やアンモニア等の塩基性悪臭、酢酸等の酸性悪臭、又は
硫化水素、メルカプタン類等の悪臭のいづれかにのみ効
果を持ち、塩基性及び酸性の両悪臭及び硫化水素、メル
カプタン類等全ての臭いに対して効果的に作用し、工業
的に安全且つ安価に繊維の生産に利用できるものはほと
んど知られていない。
【0007】また、抗菌性の付与においても、前述した
ような消臭機能を繊維製品に付与する方法と同様の方法
が有る。例えば、繊維製品へ抗菌性を有する化合物を塗
布、スプレーする方法や、抗菌性を有する化合物溶液へ
繊維及び繊維製品を含浸せしめる方法、抗菌性を有する
化合物と樹脂を併用した樹脂加工等が良く知られてい
る。しかし、これらの方法ではその効力に持続性が無
く、かつ付着せしめた化合物が洗濯等によって容易に脱
落してしまうという欠点や、繊維独自の風合いを損なう
という欠点等を有している。
【0008】これまでに、抗菌性を有する繊維として、
アクリロニトリルを含む共重合体に金属微粉末を添加、
紡糸する方法(特開昭55−115440号公報等)又
はアゾール誘導体を添加、紡糸する方法(特開昭53−
139895号公報)等が提案されているが、一般的に
は抗菌性付与と消臭性付与は別々に行われており、抗菌
性能と消臭性能の両方の性能を併せ持つ繊維はほとんど
無い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は耐洗濯
性を有し、かつ優れた消臭効果と抗菌効果を併せ持つと
共にアクリル系合成繊維の繊維性能、風合いをそのまま
保持する消臭・抗菌性アクリル系合成繊維及びその製造
方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、アクリル系合成繊維において、平均粒径0.5〜
10μmのケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩を有
効成分とする微粉末を0.5〜20.0重量%含有して
いる事を特徴とする消臭・抗菌性アクリル系合成繊維で
ある。又、アクリル系合成繊維を製造するに際し、平均
粒径0.5〜10μmのケイ酸金属塩又はアルミノケイ
酸金属塩を有効成分とする微粉末5〜40重量%を有機
溶媒に均一分散させ、次いでアクリロニトリルを含む共
重合体の有機溶剤溶液に添加し、これを紡糸することを
特徴とする消臭・抗菌性アクリル系合成繊維の製造方法
である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用するアクリル系合成繊維は、少なくとも4
0重量%のアクリロニトリルを含有するアクリロニトリ
ル系共重合体よりなり、他に共重合可能ないかなる単量
体をもあわせ用いることが可能である。例えば、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキル
エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等
のメタクリル酸アルキルエステル、スチレン、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルエチルエーテ
ル、メタクリロニトリル等の中性単量体、アクリル酸、
メタクリル酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルフォン酸等の酸性単量体及びこれら単
量体のアンモニウム塩、アルカリ金属塩等を適宜組み合
わせたものを60重量%以下の割合で共重合せしめたも
のが挙げられる。このアクリル系共重合体は懸濁重合、
溶液重合、乳化重合等、如何なる方法によって製造され
たものでも良い。
【0012】本発明で用いられる微粉末としては、酸化
物として表わした3成分組成比で SiO2 :5〜80モル% MOn/2 :5〜65モル% Al2 3 :0〜60モル% (Mは亜鉛、銅、銀、コバルト、ニッケル、鉄、チタ
ン、バリウム、スズ、マグネシウム又はジルコニウムか
ら選ばれる少なくとも一種の金属を、nは金属の原子価
を表わす)に相当するケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸
金属塩を有効成分とするものである。かかる金属塩は、
その結晶に固体酸、固体塩基の両性質を持ち、かつ、互
いに中和しあうことなく1つの固体粒子表面に独立して
存在し、両性の吸着面を形成している事から、塩基性悪
臭、酸性悪臭に対し化学的吸着作用による優れた消臭効
果を有し、また、比表面積が大きく悪臭との接触効率に
優れ、物理吸着作用も併せ持つ為、効果的に消臭できる
ものと考えられる。また、抗菌性能に関しては定かでは
ないが、微粉末の少なくとも一部に保持した金属イオン
に基づくものと考えられる。
【0013】本発明で用いられるケイ酸金属塩又はアル
ミノケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末の平均粒径
は、0.5〜10μm、好ましくは1〜7μmである。
微粉末の平均粒径が0.5μm未満では凝集が起こりや
すく、特殊な分散装置、分散剤を用いなければ均一分散
が困難であり、また、10μmを超えると紡糸時の濾過
圧上昇、糸切れ等が起こり操業上好ましくない。
【0014】本発明で用いるケイ酸金属塩又はアルミノ
ケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末のBET比表面積
は、100m2 /g以上であり、特に150m2 /g以
上であることが好ましい。このBET比表面積が100
2 /gより低い場合は悪臭との接触効率が低下し、十
分は消臭能力を発揮できない。
【0015】本発明で用いられるケイ酸金属塩又はアル
ミノケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末の添加量は上
記アクリルニトリル系共重合体に対して、0.5〜2
0.0重量%、好ましくは1.0〜15.0重量%含有
せしめる。微粉末の含有量が0.5重量%未満では十分
な消臭・抗菌性能を付与出来ず、また20.0重量%を
超えると紡糸における可紡性、繊維品質及び紡績性が低
下し好ましくない。
【0016】本発明に使用する溶媒としては、アクリロ
ニトリル系共重合体を溶解し得る溶媒ならばいずれを使
用しても良い。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等の
有機溶媒が挙げられ、溶解性、溶剤回収、取扱いの点で
好ましい。
【0017】アクリロニトリル系共重合体に、ケイ酸金
属塩又はアルミノケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末
を添加、混合する方法としては、アクリロニトリル系共
重合体を有機溶媒に溶解した紡糸原液に、ケイ酸金属塩
又はアルミノケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末を有
機溶媒に分散させた分散液を紡糸直前に添加、混合すれ
ば良い。本発明で用いられるケイ酸金属塩又はアルミノ
ケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末を有機溶媒に分
散、溶解させる方法、及び、その調製溶液をアクリロニ
トリル系共重合体を含む紡糸原液に添加、混合する方法
としては、通常の混合機で充分に混合できる。
【0018】本発明においてケイ酸金属塩又はアルミノ
ケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末の有機溶剤の分散
濃度は5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%で
ある。この濃度が5重量%未満であると紡糸原液の濃度
が下がり、可紡性が低下するとともに繊維物性が低下す
る。また、40重量%を超えると、良好な分散状態が得
られず工業的に容易に製造することが困難となる。
【0019】得られた紡糸原液は通常の口金より紡出さ
れる。紡出方法についてはあらゆる公知の湿式、乾湿
式、乾式の紡糸方法が適用可能であり、通常のアクリル
系合成繊維と同様の条件で行えば良い。また、本発明の
特性を損なわない範囲で通常使用される酸化チタン、難
燃剤、耐光剤、蓄熱剤等を添加することは任意である。
本発明の特性を損なわない範囲でケイ酸金属塩又はアル
ミノケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末を製造する際
に添加物を使用することや、微粉末の分散性改良の為に
添加物を使用することは任意である。
【0020】
【実施例】次に実施例を示して、本発明を具体的に説明
する。実施例中の部、%は特に断らない限り、「重量
部」、「重量%」を示す。 [消臭性]繊維製品の消臭性能の評価は、日常生活の悪
臭の代表として、塩基性の悪臭であるアンモニア臭(肉
類の腐敗臭等)、トリメチルアミン臭(魚類の腐敗臭
等)、メルカプタン臭(野菜類の腐敗臭等)、酸性の悪
臭である酢酸臭(汗成分の分解による体臭等)について
以下の方法により行った。
【0021】1.トリメチルアミン(以下TMAと記
す)除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3lを入
れる。次いで、TMAを10ppmの濃度になるよう封
入し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定し
た。対照として空のテドラーバッグにTMAを10pp
mの濃度になるよう封入し、2時間放置した後に検知管
でガス濃度を測定し、濃度の減少率からTMAの除去率
を算出した。
【0022】2.アンモニア除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3lを入
れる。次いで、アンモニアを40ppmの濃度になるよ
う封入し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定
した。対照として空のテドラーバッグにアンモニアを4
0ppmの濃度になるよう封入し、2時間放置した後に
検知管でガス濃度を測定し、濃度の減少率からアンモニ
アの除去率を算出した。
【0023】3.エチルメルカプタン(以下EMPと記
す)除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3lを入
れる。次いで、EMPを20ppmの濃度になるよう封
入し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定し
た。対照として空のテドラーバッグにEMPを20pp
mの濃度になるよう封入し、2時間放置した後に検知管
でガス濃度を測定し、濃度の減少率からEMPの除去率
を算出した。
【0024】4.酢酸除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3lを入
れる。次いで、酢酸を20ppmの濃度になるよう封入
し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定した。
対照として空のテドラーバッグに酢酸を20ppmの濃
度になるよう封入し、2時間放置した後に検知管でガス
濃度を測定し、濃度の減少率から酢酸の除去率を算出し
た。
【0025】[抗菌性]繊維製品の抗菌性能の評価は、
丸編みしたものを被験体として用い、繊維製品衛生加工
協議会制定の抗菌防臭加工製品認定基準「菌数測定法」
により行った。
【0026】[耐洗濯性]耐洗濯性試験は、JIS L
1018の「家庭用電気洗濯法」に準じて行った。
【0027】実施例1〜5及び比較例1〜3 アクリロニトリル系共重合体の製造は、アクリロニトリ
ル(以下ANと記す)/メチルアクリレート/2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ(以
下SAMと記す)=91.2/8.0/0.8からなる
アクリロニトリル系共重合体を、ジメチルホルムアミド
(以下DMFと記す)中にてアゾビスイソブチロニトリ
ルを開始剤として重合し、残存モノマーの除去を行い、
その後、共重合体濃度を20〜30%に調製した。
【0028】微粉末は、その有効成分であるアルミノケ
イ酸金属塩の組成比がSiO2 :58モル%,Al2
3 :7モル%,ZnO:35モル%であり、平均粒径が
3.5μm、比表面積が200m2 /gであるものを使
用した。上記微粉末の分散液濃度を表1に示すように調
整し、得られた分散液を、上記アクリロニトリル系共重
合体に表1に示す添加率で添加、混合し、紡糸原液とし
た。
【0029】上記紡糸原液を22℃,58%DMF水溶
液中に紡出し、脱溶媒をさせながら延伸、水洗した後、
油剤を付与して、乾燥及び乾燥緻密化を行った。この繊
維は延伸、収縮、クリンプの各工程を通した後、湿熱1
05℃にて湿熱処理を行った。得られた繊維の紡糸操業
性の結果の判定は、実施例記載の条件で製造した際の濾
過圧、単糸切れ、ローラー巻き付き、繊維への歩留まり
等を総合して「○(良好)」,「△(やや不良)」,
「×(不良)」の三段階で行った。また、繊維品質にお
いては、それぞれの実施例の繊維の強度、伸度、耐光
性、染色性等を通常のアクリル系合成繊維と比較して、
「○(良好)」,「×(不良)」の2段階で評価を行っ
た。
【0030】なお、比較例1〜2は、アクリロニトリル
系共重合体に実施例1〜5で用いた微粉末を範囲外の比
率で添加したもの、比較例3は実施例1〜5で用いた微
粉末の分散液濃度を範囲外にしたものであり、各工程、
各評価は実施例1〜5と同様に行った。以上の結果をま
とめて表1、表2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】表1、表2から明らかな様に、比較例1で
示した微粉末の添加率を範囲外に少なくしたものは、紡
糸操業性、繊維品質は良好であったが、十分な消臭性能
及び抗菌性能が得られなかった。また、比較例2の如く
微粉末の添加率を範囲外に多くしたものは、紡糸時の濾
過圧上昇、糸切れが起こり紡糸できなかった。比較例3
においては、微粉末の分散液濃度が範囲外に高濃度であ
り、分散時に分散液がチキソトロピーを示し、分散性が
不良で増粘し紡糸できなかった。
【0034】実施例6〜10及び比較例4 アクリロニトリル系共重合体の製造は、AN/塩化ビニ
リデン/SAM=57/40/3からなるアクリロニト
リル系共重合体を、DMF中にてアゾビスイソバレロニ
トリルを開始剤として重合し、残存モノマーの除去を行
い、その後、共重合体濃度を20〜30%に調製した。
【0035】微粉末は実施例1〜5と同様のものを使用
し、分散液濃度を表3に示すように調整し、得られた分
散液を、上記アクリロニトリル系共重合体に表3に示す
添加率で添加、混合し、紡糸原液とした。
【0036】上記紡糸原液を18℃,57%DMF水溶
液中に紡出し、脱溶媒をさせながら延伸、水洗した後、
油剤を付与して、乾燥及び乾燥緻密化を行った。この繊
維は延伸、収縮、クリンプの各工程を通した後、湿熱1
05℃にて湿熱処理を行った。得られた繊維の紡糸操業
性の結果の判定は、実施例記載の条件で製造した際の濾
過圧、単糸切れ、ローラー巻き付き、繊維への歩留まり
等を総合して「○(良好)」,「△(やや不良)」,
「×(不良)」の三段階で行った。また、繊維品質にお
いては、それぞれの実施例の繊維の強度、伸度、耐光
性、染色性等を通常アクリル系合成繊維と比較して、
「○(良好)」,「×(不良)」の2段階で評価を行っ
た。
【0037】なお、比較例4は、上記アクリロニトリル
系共重合体に実施例6〜10で使用した微粉末を範囲外
の比率で添加したものであり、各工程、各評価は実施例
6〜10と同様に行った。
【0038】実施例11 微粉末として、その有効成分であるアルミノケイ酸金属
塩の組成比がSiO2 :55モル%,Al2 3 :17
モル%,CuO:28モル%であり、平均粒径が3.0
μm、比表面積が185m2 /gであるものを使用する
以外は実施例6〜10と同様の方法で繊維を得た。
【0039】実施例12 微粉末として、その有効成分であるアルミノケイ酸金属
塩の組成比がSiO2 :67モル%,Al2 3 :13
モル%,Ag2 O:20モル%であり、平均粒径が3.
3μm、比表面積が193m2 /gであるものを使用す
る以外は実施例6〜10と同の方法で繊維を得た。
【0040】比較例5 微粉末の有効成分がケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金
属塩でない場合として、シリカアルミナ系微粉末で組成
比がSiO2 :81モル%,Al2 3 :19モル%で
あり、平均粒径が3.3μm、比表面積が220m2
gであるものを使用する以外は実施例6〜10と同様の
方法で繊維を得た。以上の結果をまとめて表3、表4に
示す。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】表3、表4から明らかな様に、比較例4で
示した微粉末の添加率を範囲外に少なくしたものは、紡
糸操業性、繊維品質は良好であったが、十分な消臭性能
及び抗菌性能が得られなかった。また、比較例5の如く
ケイ酸金属塩及びアルミノケイ酸金属塩を使用しない場
合、十分な消臭・抗菌性能が得られないことがわかる。
これに対し、実施例では消臭性能、抗菌性能、耐久性、
繊維品質に於いて満足すべき結果を得た。
【0044】
【発明の効果】本発明の消臭・抗菌性アクリル系合成繊
維は、従来より用いられているアクリロニトリル系共重
合体に、ケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩を有効
成分とする微粉末を混合、繊維化して得られたものであ
り、本来の繊維性能を低下させることなく、耐洗濯性の
ある優れた消臭性能及び抗菌性能を付与された繊維であ
る。また、本発明のアクリル系合成繊維の製造方法は、
かかる繊維を通常のアクリル系合成繊維の製造装置及び
条件で工業的に、容易かつ安価に製造することを可能に
した。本発明によって得られた繊維は、通常のアクリル
系合成繊維、ポリエステル、ナイロン、羊毛等他の繊維
に混合して使用することも可能で、消臭性能及び抗菌性
能を有する衣料、毛布、カーペット、マット、靴下、シ
ーツ、布団、カーテン等幅広い用途に使用することが出
来る為、産業上極めて有意義なものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系合成繊維において、平均粒径
    0.5〜10μmのケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金
    属塩を有効成分とする微粉末を0.5〜20.0重量%
    含有している事を特徴とする消臭・抗菌性アクリル系合
    成繊維。
  2. 【請求項2】 アクリル系合成繊維を製造するに際し、
    平均粒径0.5〜10μmのケイ酸金属塩又はアルミノ
    ケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末5〜40重量%を
    有機溶媒に均一分散させ、次いでアクリロニトリルを含
    む共重合体の有機溶剤溶液に添加し、これを紡糸するこ
    とを特徴とする消臭・抗菌性アクリル系合成繊維の製造
    方法。
JP26936895A 1995-09-22 1995-09-22 消臭・抗菌性アクリル系合成繊維及びその製造方法 Pending JPH0987924A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000058535A1 (fr) * 1999-03-29 2000-10-05 Kanebo, Limited Fibre synthetique acrylique: utilisation, et procede de production
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