JP2000226768A - 防蚊効果を有する繊維構造体 - Google Patents

防蚊効果を有する繊維構造体

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JP2000226768A
JP2000226768A JP11026079A JP2607999A JP2000226768A JP 2000226768 A JP2000226768 A JP 2000226768A JP 11026079 A JP11026079 A JP 11026079A JP 2607999 A JP2607999 A JP 2607999A JP 2000226768 A JP2000226768 A JP 2000226768A
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mosquito
water
fiber
hollow
hollow fiber
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JP11026079A
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English (en)
Inventor
Yuichi Onozawa
雄一 小野澤
Sadamitsu Murayama
定光 村山
Yukikage Matsui
亨景 松井
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、従来の問題点を解消し、良好な防
蚊効果を有し、且つ、その効果が長時間持続し、洗濯耐
久性にも優れ、さらに良好な風合いを維持している繊維
構造物を提供するものである。 【解決手段】 前記の課題は、中空繊維を含む繊維構造
体において、該中空繊維の少なくとも1部が繊維表面か
ら中空部への連通孔を散在させた中空部を有し、該中空
繊維の中空部には防蚊効果を有する成分を含む吸水性ポ
リマーの徐放性ゲルが存在している繊維構造体により達
成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防蚊効果を有する
繊維構造体に関し、さらに詳しくは、繊維構造体が中空
繊維を含み、該中空繊維の中空部に防蚊効果を有する吸
水性ポリマーの徐放性ゲルが存在する防蚊効果を有する
繊維構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、繊維に防蚊効果を付与するた
めに、蚊の忌避剤として使用されている物質の殆どは、
N,N−ジエチルトルアミド(DEET)であり、付与
方法としては特開平8−188966号公報に記載され
ているように樹脂類(ポリウレタン、シリコーン等)で
処理する方法や、特開平7−279050号公報に記載
されているようにポリエステル系繊維製品を浸漬し、次
いで密閉下で熱処理する方法などが挙げられる。
【0003】また、最近では前記のDEETに代わり、
より皮膚にやさしい成分として天然精油のシトロネラ油
が使用されたり、ユーカリ油中に含有される成分の忌避
効果が注目されている。また、蚊連草の揮発成分が蚊を
寄りつかせないとしてブームになった。
【0004】しかし、これらの成分を繊維製品に付与し
た場合に、効果の持続性が乏しく、また、洗濯耐久性も
悪いという問題点を有している。耐久性を向上させるた
めにバインダー量を増加させると風合いが硬くなるとい
う問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の問題
点を解消し、良好な防蚊効果を有し、且つ、その効果が
長時間持続し、洗濯耐久性にも優れ、さらに良好な風合
いを維持している繊維構造物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
達成するべく鋭意検討を重ねた結果、中空繊維を含む繊
維構造体において、その少なくとも1部の中空繊維が繊
維表面から中空部への連通孔が散在する中空繊維で構成
し、該中空繊維の中空部には防蚊効果を有する成分を含
む吸水性ポリマーの徐放性ゲルを存在させ、該防蚊効果
を有する成分を徐々に放出させることにより、優れた防
蚊効果が得られ、且つ、洗濯耐久性に優れていることを
見出し本発明の完成を得たものである。
【0007】すなわち、本発明は、中空繊維を含む繊維
構造体において、該中空繊維の少なくとも1部が繊維表
面から中空部への連通孔を散在させる中空部を有し、該
中空繊維の中空部には防蚊効果を有する成分を含む吸水
性ポリマーの徐放性ゲルが存在していることを特徴とす
る繊維構造体にあり、該防蚊効果を有する成分として蚊
連草の抽出油成分が最適に例示される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の繊維構造体は、通常の衣料用途や産業用途など
に供せられる繊維集合体であって、このような繊維集合
体は中空繊維を少なくとも1部に含んでいるものであ
る。ここで使用する中空繊維としては、レーヨン、アセ
テートなどの化学繊維、ポリエステル、ポリアミドなど
の合成繊維を挙げることが出来る。特に、ポリエステル
繊維が好ましく例示される。ここでいうポリエステルと
は、テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分とし、少な
くとも1種のグリコール、好ましくは、エチレングリコ
ール、トリメチレングリコールなどから選ばれた少なく
とも1種のアルキレングリコールを主たるグリコール成
分とするポリエステルなどである。該ポリエステルに
は、必要に応じて、安定剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電
防止剤、蛍光増白剤、触媒、着色防止剤、耐熱剤、着色
剤、無機粒子等を含んでいてもよい。
【0009】前記の中空繊維は、従来から公知の方法に
よって製造するすることができる。例えば、実公平2−
43879号公報に記載されているように、少なくとも
1個所を不連続にした円弧上スリット孔を有し、該スリ
ット孔の端部近辺でその内縁部に半月状の突部を設けた
中空糸用紡糸口金を用いて、溶融紡糸する方法などが任
意に採用できる。
【0010】このような中空繊維の中空率は、繊維の機
械的特性を維持すると同時に、該中空部に充分な量の重
合体を充填することができるように、5〜40%の範囲
にあるものが好ましく用いられ、さらに好ましくは、2
0〜40%の範囲にあるものが用いられる。
【0011】また、該中空繊維の繊維表面から中空部へ
の連通孔を多数形成する方法としては、特開平1−20
319号公報に開示されているように、例えば、ポリエ
ステル繊維の場合、有機スルホン酸化合物を共重合した
ポリエステルを混合して溶融紡糸して中空繊維となし、
該中空繊維をアルカリ減量処理することにより連通孔を
形成する方法が用いられる。
【0012】また、中空率が20%以上である中空繊維
を用いれば、これをアルカリ処理するだけで、前記のよ
うに有機スルホン酸化合物を使用しなくても、繊維の長
手方向に沿った低配向部及び/又は変形歪集中部の除去
痕として、多数の連通孔を形成することができる。
【0013】さらに、中空繊維を得る他の方法として
は、芯鞘型複合繊維の芯部ポリマーを溶解又は分解せし
め、鞘部に連通孔を有する中空繊維とする方法を用いる
こともできる。
【0014】このようにして形成された連通孔は、幅が
0.2〜10μm、長さが5〜20μmの範囲にあるも
のが好ましい。該連通孔の幅と長さがこの範囲を外れる
場合は、中空繊維への吸水性ポリマーの徐放性ゲルの導
入が不十分になったり、若しくは、中空部内に充填した
吸水性ポリマーの徐放性ゲルが脱落し易くなる場合があ
るので好ましくない。
【0015】次に、本発明で使用する吸水性ポリマーの
徐放性ゲルとしては、例えば、ゼラチンゲルなどの天然
系の吸水性ポリマーゲルや、合成系の吸水性ポリマーゲ
ルが挙げられるが、モノマー段階での取り扱いが容易で
あることから合成系の吸水性ポリマーゲルを用いるもの
が好ましく例示される。
【0016】該合成系の吸水性ポリマーゲルとしては、
例えば、(a)カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホ
ン酸基及びスルホン酸塩基よりなる群から選ばれた少な
くとも1種の基を有する水溶性モノマーであって、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮
酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン
酸、イタコン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホ
ン酸及びこれらのNa塩、K塩、Li塩等が例示され、
(b)加水分解により水溶性となるモノマーであって、
少なくとも1個の加水分解性基(エステル基、ニトリル
基など)を有するモノマーが例示され、(c)澱粉及び
/又はセルロース基、並びに、(d)架橋剤のうちで、
(a)及び/又は(b)と(d)とを必須成分として重
合させ、必要に応じて加水分解することにより得られる
吸水性ポリマーのゲルなどを挙げることができる。
【0017】かかる吸水性ポリマーのゲルとしては、具
体的には、架橋されたポリ(メタ)アクリル酸中和塩、
架橋されたポリ(メタ)アクリルアミドの部分加水分解
物、架橋された(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル
アミド共重合体、架橋されたスルホン化ポリスチレン、
ビニルエステル−不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、
架橋された(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エ
ステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイ
ン酸共重合体、架橋されたカルボン酸変性ポリビニルア
ルコール等のゲルを挙げることができる。
【0018】また、前記に例示した以外の合成系吸水性
ポリマーゲルとしては、例えば、(a)及び/又は
(b)と(c)と(d)とを必須成分として重合させ、
必要により加水分解をすることにより得られる吸水性ポ
リマーのゲルであって、例えば、特開昭52−2588
6号公報、特公昭53−46199号公報、特公昭53
−46200号公報、特公昭55−21041号公報な
どに記載された吸水性ポリマーゲルなど、さらに、
(a)及び/又は(b)と(c)とを重合させることに
より得られる吸水性ポリマーゲルであって、例えば、澱
粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、セ
ルロース−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解
物など、また、(c)の架橋物であって、例えば、カル
ボキシメチルセルロースの架橋物などや、自己架橋を有
する(a)及び/又は(b)の重合物であって、例え
ば、自己架橋型ポリ(メタ)アクリル酸塩などが挙げら
れる。
【0019】かかる吸水性ポリマーの徐放性ゲルは、1
種類を単独で使用してもよいが、2種以上を併用しても
構わない。また、前記の吸水性ポリマーの徐放性ゲル
は、純水に対する吸水性能が少なくとも1ミリリットル
/gであるものが好ましく、なかでも5〜1000ミリ
リットル/gの範囲にあるものが特に好ましい。
【0020】このような吸水性ポリマーの徐放性ゲルの
中空繊維の該中空部への充填量は、絶乾状態における非
膨潤状態で1重量%以上(基体中空繊維基準)であるこ
とが好ましく、さらに5重量%以上であることが特に好
ましい。この充填量があまりに多いと該ゲルの吸水膨潤
時に中空繊維の割裂等が発生する傾向があるので、該充
填量は80重量%以下であるものが好ましい。
【0021】本発明に使用するこのような吸水性ポリマ
ーは、防蚊効果を有する成分を含むものであることが必
要である。かかる防蚊効果を有する成分としては、公知
のものが使用できるが、蚊連草抽出油が最適に例示され
る。該蚊連草は、ゼラニウムとシトロネラ草とを交配さ
せて作った植物であり、この蚊連草を蒸留して得た蚊連
草抽出油は、独特の香りにより蚊を寄せ付けないものと
して知られている。
【0022】このような防蚊効果を有する成分は、中空
繊維の中空部にある吸水性ポリマーの徐放性ゲルが人体
から発生する水分や衣服の外側からの水分を吸収、放出
する過程で、連通孔を経て中空繊維の表面に徐々に放出
され、それにより優れた防蚊効果を奏するものであり、
該吸水性ポリマーのゲルに対して、5〜30重量%の範
囲内で配合するものが好ましい。なお、本発明における
吸水性ポリマーのゲルは、前記防蚊効果を有する成分以
外に、必要に応じて香料、安定剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤等の添加剤を含んでいても構わない。
【0023】次に、該防蚊効果を有する成分を含む吸水
性ポリマーの徐放性ゲルを前記中空繊維の中空部内に充
填させる方法として以下の方法が例示される。
【0024】(1)前記中空繊維を、吸水性ポリマーの
未架橋物及び/又は該吸水性ポリマーの構成モノマー、
防蚊効果を有する成分、架橋剤、並びに好ましくは、重
合開始剤乃至触媒を含有するする溶液中に浸漬し、該中
空繊維の中空部内に浸透させる方法、(2)前記中空繊
維を、吸水性ポリマーの未架橋物及び/又は該吸水性ポ
リマーの構成モノマー、防蚊効果を有する成分、架橋
剤、並びに好ましくは、重合開始剤乃至触媒を含有する
する溶液中に浸漬し、次いでマングルなどで圧絞して該
中空繊維の中空部内の空気と置換させる方法、(3)前
記中空繊維を密閉容器中に入れて減圧し、該中空部内の
空気を抜いた後、吸水性ポリマーの未架橋物及び/又は
該吸水性ポリマーの構成モノマー、防蚊効果を有する成
分、架橋剤、並びに好ましくは、重合開始剤乃至触媒を
含有するする溶液を該容器に注入して中空繊維の中空部
内に充填させ、次いで加熱することによって未架橋吸水
性ポリマーの架橋反応乃至前記モノマーの重合・架橋反
応を生起せしめて、中空繊維の中空部内に防蚊効果を有
する成分を含む吸水性ポリマーの徐放性ゲルを形成する
方法などを例示することができる。
【0025】このような吸水性ポリマーゲルの中空繊維
の中空部内への充填の際、該中空繊維は、糸、紡績糸、
織物、編物、不織布などの任意の形態で処理に供するこ
とができるが、通常は、織物、編物などの布帛の形態で
処理するのが作業性の面から考慮して適当である。
【0026】ここで前記溶液の溶剤としては、前記の成
分を溶解できるものであればよく、例えば、水及び/又
は水に可溶な有機溶剤を挙げることができる。水に可溶
な有機溶剤としては、イソプロピルアルコールのような
アルコール類、メチルエチルケトンのようなケトン類、
テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルフォキシド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。なか
でも、安価で取り扱いが容易であることから、水を用い
るものが特に好ましい。
【0027】また、前記架橋剤としては、吸水性ポリマ
ーを架橋して非水溶性の架橋物となし得るものであれば
よく、例えば、1分子中にビニル基及び/又はエポキシ
基を2個以上もつ化合物や多価金属化合物を例示するこ
とできる。なかでも、架橋剤自身が水溶性であるものが
好ましい。
【0028】かかる架橋剤の具体的な例としては、ポリ
エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレング
リコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジグ
リシジルエーテル、グリセリンジ(又はトリ)メタクリ
レート、グリセリンジ(又はトリ)アクリレート、グリ
セリンジ(又はトリ)グリシジルエーテル、トリメチロ
ールプロパンジ(又はトリ)メタクリレート、トリメチ
ロールプロパンジ(又はトリ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパンジ(又はトリ)グリシジルエーテル等を
挙げることができる。
【0029】また、架橋剤として用いることができる多
価金属化合物としては、2価以上の金属の無機塩、有機
カルボン酸塩、錯塩等を挙げることができる。かかる2
価以上の金属としては、Ca、Mg、Zn、Mn、A
l、Ti、Sn、Cu、Fe、Cr、Ni、Zr等が好
ましく例示され、これらの塩化物、硫酸物、酢酸塩、コ
ハク酸塩、エチレンジアミン四酢酸錯体等が好ましく例
示される。
【0030】さらに具体的には、酢酸カルシウム、酢酸
マグネシウム、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸亜鉛、酢
酸マンガン、酢酸コバルト、硫酸アルミニウム、塩化カ
ルシウム、塩化マグネシウム硫酸第一スズ、EDTA−
Ca、EDTA−Mg等を挙げることができる。かかる
多価金属化合物は、1種のみを単独で用いるものでも、
また、2種以上を併用して用いるもののいずれでもよ
い。
【0031】また、前記の溶液は、モノマー及び重合開
始剤を水などの適当な液体に溶解、分散又は乳化させた
ものであり、中空部内の導入を容易にするために、なる
べく粘度が低いことが望ましい。また、ここに使用する
モノマーは、前記の吸水性ポリマーのゲルを形成可能に
するものであり、有機溶剤や水などの溶媒に可溶で、重
合開始剤の存在下で重合可能なものを用いるものがよ
く、例えば、ブタジエン、アクリルニトリル、スチレ
ン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、ジ(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体などのビニ
ルモノマーを使用するものが特に好ましく例示される。
また、これらのモノマーは、単独で用いても、2種以上
を組合わせて用いてもよい。
【0032】また、前記の重合開始剤としては、例え
ば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水
素、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、硫酸第2セリウム
アンモニウム、硝酸第2セリウムアンモニウムなどのセ
リウムアンモニウム塩、或いはα、α′―アゾビスイソ
ブチロニトリルなどが挙げることができる。
【0033】また、前記の触媒としては、第三級アミ
ン、第四級アンモニウム塩、イミダゾール化合物、三フ
ッ化ホウ素、Zn(BF42、KOH、SnCl4等が
挙げられる。
【0034】本発明の中空繊維構造体においては、前記
の吸水性ポリマーの徐放性ゲルが中空部内のみに存在
し、中空繊維の外側表面や繊維間空隙には実質的に存在
しないことが、最終的に得られる織編物等の布帛の風合
いを保持する点で好ましい。
【0035】そのためには、吸水性ポリマーの徐放性ゲ
ルを前記中空繊維の中空部内に充填する際に、該中空繊
維表面に付着した吸水性ポリマーの構成モノマーを溶解
除去することが好ましい。この溶解・除去の方法として
は、該吸水性ポリマーあるいは構成モノマーを溶解し得
る溶媒中に中空繊維を浸漬する方法や、該吸水性ポリマ
ーあるいは構成モノマーを溶解し得る溶剤を中空繊維表
面に塗布する方法などが例示される。
【0036】また、ここで使用する溶媒としては、該吸
水性ポリマー又はモノマーを溶解し得るものであるが、
中空部内に導入した吸水性ポリマーの架橋、又は、モノ
マーの重合を阻害するものではなく、しかも、中空部内
に導入した吸水性ポリマー又はモノマーを溶出してしま
うほどの浸透性が高いものでない限り、任意のものを用
いることができる。
【0037】かかる溶媒としては、水、アセトン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、
トルエンなどが用いられる。特に、安価で取扱いが容易
であることから、水を用いるのが好ましい。
【0038】また、該中空繊維を前記の溶媒で処理する
際に、前記溶媒の温度をポリマーの架橋開始温度、及び
/又は、モノマーの重合開始温度以上の温度、例えば、
前記に例示したモノマーの場合には50〜100℃に加
熱しておくと、中空繊維表面に付着したポリマー又はモ
ノマーを溶解除去すると共に、中空部内に導入したポリ
マー又はモノマーを同時に架橋又は重合させることがで
きるので好都合である。
【0039】さらに、該中空繊維を前記の溶媒で処理す
る際に、前記溶媒中に重合禁止剤を添加しておくと、繊
維表面に残留したモノマーの重合が抑制され、モノマー
の除去が一層容易になるので好ましい。
【0040】ここに用いられる重合禁止剤としては、安
定ラジカルが生成可能なものであり、ジフェニルピクリ
ルヒドラジル、ガルビノキシル、フェルダジルなどの
他、生長ラジカルとの付加反応によって安定なラジカル
を生ずる酸素、硫黄、ベンゾキノン誘導体、ニトロ化合
物、あるいは生長ラジカルとの連鎖移動反応によって安
定なラジカルを生ずるジフェニルピクリルヒドラジン、
ジフェニルアミン、ヒドロキノン、第三ブチルカテコー
ルなどが例示される。
【0041】これら重合禁止剤を含有する溶媒でモノマ
ー液を導入した中空繊維を処理する場合、溶媒中の重合
禁止剤の量が、中空部内のモノマーの重合性に大きく影
響を与える。すなわち、該溶媒中に存在する重合禁止剤
の量が多すぎると、該重合禁止剤が連通孔から中空部内
に侵入して、中空繊維表面だけではなく、中空部内のモ
ノマーの重合も抑制し、その結果、中空部内に吸水性ポ
リマーゲルを形成することができなくなる恐れがある。
従って、溶剤中に存在する重合禁止剤の量は、その重合
禁止能にもよるが、中空繊維表面に付着したモノマーか
ら加熱によって生成する反応性ラジカルを捕捉し得る最
小限の量に止めることが好ましい。
【0042】さらに、前記の溶媒中にソーピング剤を添
加しておくと、中空繊維表面に付着したポリマーやモノ
マーの除去が促進されるので好ましい。該ソーピング剤
としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムを主剤と
したアルカリ性の洗浄液、繊維加工に一般に用いられる
イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤等を挙げる
ことができる。溶媒へのソーピング剤の添加量は、0.
1〜5.0重量%の範囲とするものが適当である。ま
た、このように溶媒による処理は、中空繊維表面に付着
したポリマーやモノマーを溶解、除去できれば任意の方
法により行うことができるが、中空繊維を溶媒中に浸漬
して攪拌する方法が特に好ましく用いられる。
【0043】このように必要に応じて溶媒を用いて処理
して、中空繊維表面に付着したモノマーを溶解、除去し
た後、加熱することにより中空部内のポリマーの架橋、
又は、モノマーの重合を行い、中空部内に導入した防蚊
効果を有する成分を含有する吸水性ポリマーの徐放性ゲ
ルを固定する。勿論、前記のように、溶媒の温度をポリ
マーの架橋開始温度、又は、モノマーの重合開始温度以
上の温度に加熱しておき、繊維表面に付着したポリマー
又はモノマーを溶解除去すると共に、中空部内に導入し
たポリマー又はモノマーを同時に架橋又は重合させるこ
ともできる。
【0044】
【発明の効果】本発明は、中空繊維を含む繊維構造体に
おいて、その少なくとも一部の中空繊維が繊維表面から
中空部への連通孔が散在する中空繊維で構成され、該中
空繊維の中空部には防蚊効果を有する成分を含む吸水性
ポリマーの徐放性ゲルが存在する繊維構造体であるか
ら、該徐放性ゲルが人体から発生する気相及び液相の水
分や衣服外から侵入する気相及び液相の水分を収着ない
し脱着する過程で該防蚊効果を有する成分が繊維の表面
から徐々に放出される。
【0045】特に、吸水性ポリマーの徐放性ゲルに含ま
れる防蚊効果を有する成分として、蚊連草抽出油を使用
したものでは優れた防蚊効果が得られる。かかる効果
は、洗濯によっても容易には損なわれることはない。
【0046】また、本発明では中空繊維を用いるので、
防蚊効果を有する成分を含む吸水性ポリマーの徐放性ゲ
ルが中空繊維の中空部によって保護され、繊維が直接肌
に触れてもサラッとした感触を与えるので、インナー、
ナイティー、ブラウス、スポーツウェアー等の衣料用途
で極めて有用である。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの実施例により限定される
ものではない。なお、実施例における洗濯耐久性、蚊連
草抽出油含有量については以下の方法により測定した。
【0048】(1)洗濯耐久性 JIS L−1018−77 6.36、H法に準拠し
て洗濯を30回繰り返して行った。 (2)蚊連草抽出油含有量 GC/MS 試料サンプル:0.5mgをサンプルチュ
ーブに詰めて測定する。洗濯回数0回、洗濯回数30回
後の蚊連草抽出油含有量を測定した。 (3)防蚊効果 本発明の繊維構造体を用いて作成したシャツを試験者:
4名(男性:2名、女性:2名)のパネラー(A〜D)
が着用し、野外での防蚊効果を下記の3段階方式により
官能評価した。 ○→効果あり、△→少し効果あり、×→効果なし
【0049】[実施例1]固有粘度が0.61のポリエ
チレンテレフタレートを溶融し、中空繊維紡糸口金を用
いて、中空率が40%の中空繊維の未延伸糸を得た。次
いで、該未延伸糸を延伸して、丸中空断面を有するポリ
エステルマルチフィラメント糸(50デニール/20フ
ィラメント、酸化チタン量0.3重量%)を得た。
【0050】該マルチフィラメント糸を用いて編成した
トリコット編地に精練、プレセットを行い、50g/リ
ットルの水酸化ナトリウムを含む熱水(105℃)中で
約10分間処理して、減量率が20%になるようにアル
カリ減量処理した。
【0051】得られた布帛(トリコット)からマルチフ
ィラメント糸を取り出し、その表面を走査型電子顕微鏡
で観察したところ、繊維軸方向に、幅0.2〜2.0μ
m、長さ10〜150μmのマイクログルーブが、各フ
ィラメントについて100μm当たり少なくとも1個以
上観察された。
【0052】次に、該布帛を密閉容器内に入れ、ロータ
リーポンプを用いて容器内を0.004mmHgまで減
圧し、次いでこの容器内に、下記式で示されるPEG−
ジメタクリレート:30重量部、過硫酸カリウム:0.
1重量部、水:65.9重量部からなるモノマー液及び
蚊連草抽出油(蚊忌避剤、高砂香料(株)製):4.0
重量部を注入した。
【0053】
【化1】
【0054】該モノマー液及び蚊連草抽出油を注入後、
ロータリーポンプを用い、さらに減圧状態を10分間維
持した。このとき、容器内の圧力は0.2mmHgであ
った。次に、該容器内の圧力を定圧に戻し、前記のモノ
マー液を布帛に含浸させた後、該布帛を100℃の熱湯
中に攪拌しながら3分間浸漬した後、該布帛を乾燥熱処
理した。得られた布帛は風合いがソフトであった。この
布帛を用いてシャツを作成し、試験評価を行った。蚊連
草抽出油含有量、洗濯耐久性、及び、防蚊効果の評価結
果を表1に示す。
【0055】[比較例1]実施例1において使用した布
帛(トリコット)を用いて、蚊連草抽出油成分を全く使
用しないこと以外は、実施例1と同様の条件で処理し
た。得られた布帛を用いてシャツを作成し、試験評価を
行った。蚊連草抽出油含有量、洗濯耐久性、及び、防蚊
効果の結果を表1に併せて示す。
【0056】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 亨景 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 Fターム(参考) 4L033 AB01 AC10 BA21 CA01 CA10 DA07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空繊維を含む繊維構造体において、該
    中空繊維の少なくとも1部が繊維表面から中空部への連
    通孔を散在させた中空部を有し、該中空繊維の中空部に
    は防蚊効果を有する成分を含む吸水性ポリマーの徐放性
    ゲルが存在していることを特徴とする防蚊効果を有する
    繊維構造体。
  2. 【請求項2】 防蚊効果を有する成分が蚊連草抽出油で
    ある請求項1に記載された防蚊効果を有する繊維構造
    体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010000547A (ko) * 2000-10-06 2001-01-05 원경열 시트로넬라향이 함유된 텐트소재 및 그 소재로 된 텐트
CN100344805C (zh) * 2005-11-11 2007-10-24 天津工业大学 一种避蚊拉伸丝及其制造方法
CN106319981A (zh) * 2016-08-29 2017-01-11 浩沙实业(福建)有限公司 驱蚊涤纶整理方法
CN106498783A (zh) * 2016-10-17 2017-03-15 江苏新凯盛企业发展有限公司 一种防蚊虫涤纶针织物的加工方法

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