JPH11256480A - 保温機能を有する繊維構造体 - Google Patents

保温機能を有する繊維構造体

Info

Publication number
JPH11256480A
JPH11256480A JP6135498A JP6135498A JPH11256480A JP H11256480 A JPH11256480 A JP H11256480A JP 6135498 A JP6135498 A JP 6135498A JP 6135498 A JP6135498 A JP 6135498A JP H11256480 A JPH11256480 A JP H11256480A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
hollow
fiber
hollow fiber
absorbing polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6135498A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Onozawa
雄一 小野澤
Makoto Yoshida
吉田  誠
Yukikage Matsui
亨景 松井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP6135498A priority Critical patent/JPH11256480A/ja
Publication of JPH11256480A publication Critical patent/JPH11256480A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 直接肌に接触して用いた場合でもべとつき感
がなく、冬場などの低温低湿度条件下においても保温性
に優れた繊維構造体を提供する。 【解決手段】 中空繊維を含む繊維構造体において、そ
の少なくとも一部の中空繊維に繊維表面から中空部へ至
る連通孔を散在せしめ、該中空繊維の中空部内にとうが
らし成分を含む吸水性ポリマーの徐放性ゲルを存在せし
める。とうがらし成分は、バニリルブチルエーテルであ
ることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保温機能を有する
繊維構造体に関するものであり、更に詳しくは、べとつ
き感がなく、保温機能に優れ、肌着、ファンデーショ
ン、ブラウス、スポーツウエアーなどの衣料用途に好適
に用いることができる繊維構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、人体を保温する手段として、
人体からの放熱を防止するようにした保温性繊維構造体
についての提案は数多く行われているが、繊維自体が積
極的な保温機能を有している繊維構造体についての提案
はほとんど見られず、わずかに、吸放湿、吸水発熱性繊
維を中地や裏地に含有させ、人体から発生する汗や外部
から侵入する水分の吸収により、発熱保温するようにし
た繊維構造体が提案されている程度である(特開平6―
294006号公報)。
【0003】このような吸放湿、吸水発熱性繊維は、吸
湿、吸水によって膨潤し、べとつき感が顕著に増大する
ため、インナー分野のように直接肌に接触して用いられ
るものには適しておらず、また、作用機構上、該繊維の
吸水、吸湿による発熱を利用するものであるから、保温
の必要がない夏場の高温多湿の条件下で使用したり、あ
るいは運動時に着用したりすると、外気からの吸湿や人
体から発生する汗を吸って発熱し、かえって不快感を招
き、しかも保温を必要とする冬場などの低温低湿度条件
下では、保温効果を発揮できないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解消し、インナー分野のように直接肌に接触して用い
た場合でもべとつき感がなく、冬場などの低温低湿度条
件下においても保温性に優れた繊維構造体を提供するこ
とを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、繊維表面から中空
部に至る連通孔を散在せしめた中空繊維を用い、その中
空部内にとうがらし成分を存在せしめることを着想し、
本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明によれば、中空繊維を含む繊
維構造体において、その少なくとも一部の中空繊維に繊
維表面から中空部へ至る連通孔を散在せしめ、該中空繊
維の中空部内にとうがらし成分を含む吸水性ポリマーの
徐放性ゲルを存在せしめたことを特徴とする保温機能を
有する繊維構造体が提供される。また、とうがらし成分
としては、バニリルブチルエーテルが好ましく用いられ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いる中空繊維として
は、レーヨン、アセテートなどの化学繊維、ポリエステ
ル、ポリアミドなどの合成繊維を挙げることができ、特
に、ポリエステル中空繊維が好ましく例示される。
【0008】ここでいうポリエステルとは、テレフタル
酸を主たるジカルボン酸成分とし、少なくとも1種のグ
リコール、好ましくは、エチレングリコール、トリメチ
レングリコール、テトラメチレングリコールなどから選
ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを主たる
グリコール成分とするポリエステルなどであり、なかで
もポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0009】該ポリエステルは、必要に応じて、安定
剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、触
媒、着色防止剤、耐熱剤、着色剤、無機粒子等を含有し
ても良い。
【0010】上記中空繊維は、従来公知の方法によって
製造することができ、例えば実公平2−43879号公
報に記載されているように、少なくとも1個所を不連続
にした円弧状スリット孔を有し、該スリット孔の端部近
辺でその内縁部に半円状の突部を設けた中空糸用紡糸口
金を用いて、溶融紡糸する方法などが任意に採用でき
る。
【0011】中空繊維の中空率は、繊維の機械的特性を
維持し、かつ十分な量のゲルを充填させるうえで、5〜
40%であることが好ましく、20〜40%であること
が更に好ましい。
【0012】また、繊維表面に、該繊維表面から中空部
への多数の連通孔を形成する方法としては、例えばポリ
エステル繊維の場合、有機スルホン酸を共重合したポリ
エステルを混合して溶融紡糸し、中空繊維とした後、ア
ルカリ減量処理することにより連通孔を形成させる方法
(特開平1―20319号公報)が用いられる。
【0013】また、中空率が20%以上の中空繊維をア
ルカリ処理すれば、有機スルホン酸化合物を使用しなく
ても、繊維の長手方向に沿った低配向部及び/又は変形
歪集中部の除去痕として、連通孔を形成することができ
る。
【0014】更に、芯鞘型複合繊維の芯部ポリマーを溶
解又は分解させて、鞘部に連通孔を有する中空繊維を得
る方法を用いることもできる(特開平7−26466号
公報)。
【0015】上記連通孔は、幅が0.2〜10μm、長
さが5〜20μmであることが好ましい。連通孔の幅と
長さが上記範囲をはずれる場合は、吸水性ポリマーの徐
放性ゲルの導入が不十分になったり、中空繊維内に充填
した吸水性ポリマーの徐放性ゲルが脱落し易くなる場合
がある。
【0016】本発明で用いる吸水性ポリマーの徐放性ゲ
ルとしては、例えば、ゼラチンゲルなどの天然系の吸水
性ポリマーゲルや合成系の吸水性ポリマーゲルなどが挙
げられるが、モノマー段階での取り扱いが可能であるこ
とから、合成系の吸水ポリマーゲルが好ましい。
【0017】合成系の吸水性ポリマーゲルとしては、例
えば、(a)カルボン酸塩基、スルホン酸基及びスルホ
ン酸塩基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基を
有する水溶性モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、
シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、メタリルスル
ホン酸、スチレンスルホン酸、それらのNa塩、K塩、
Li塩等)、(b)加水分解により水溶性となるモノマ
ー(少なくとも1個の加水分解性基(エステル基、ニト
リル基など)を有するモノマー)、(c)澱粉及び/又
はセルロース並びに(d)架橋剤のうちで、(a)及び
/又は(b)と(d)とを必須成分として重合させ、必
要に応じて加水分解することにより得られる吸水性ポリ
マーのゲルを挙げることができる。
【0018】かかる吸水性ポリマーのゲルとしては、具
体的には、架橋されたポリ(メタ)アクリル酸中和塩、
架橋されたポリ(メタ)アクリルアミドの部分加水分解
物、架橋された(メタ)アクリル酸―(メタ)アクリル
アミド共重合体、架橋されたスルホン化ポリスチレン、
ビニルエステル―不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、
架橋された(メタ)アクリル酸―(メタ)アクリル酸エ
ステル共重合体、架橋されたイソブチレン―無水マレイ
ン酸共重合体、架橋されたカルボン酸変性ポリビニルア
ルコール等のゲルを挙げることができる。
【0019】また、上記以外の合成系吸水性ポリマーゲ
ルとしては、例えば、(a)及び/又は(b)と(c)
と(d)とを必須成分として重合させ、必要に応じて加
水分解することにより得られる吸水性ポリマーのゲル
(例えば、特開昭52―25886号公報、特公昭53
―46199号公報、特公昭53―46200号公報、
特公昭55―21041号公報に記載された吸水性ポリ
マーゲルなど)、(a)及び/又は(b)と(c)とを
重合させることにより得られる吸水性ポリマーのゲル
(例えば、澱粉―アクリロニトリルグラフト重合体の加
水分解物、セルロース―アクリロニトリルグラフト重合
体の加水分解物など)、(c)の架橋物(例えば、カル
ボキシメチルセルロースの架橋物など)、自己架橋を有
する(a)及び/又は(b)の重合物(例えば、自己架
橋型ポリ(メタ)アクリル酸塩など)が挙げられる。
【0020】かかる吸水性ポリマーの徐放性ゲルは、1
種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用して
もよい。
【0021】上記吸水性ポリマーの徐放性ゲルは、純水
に対する吸水性能が少なくとも1ml/gであるものが
好ましく、なかでも、5〜1000ml/gであるもの
が好ましい。
【0022】また、上記吸水性ポリマーゲルの中空繊維
中空部内への充填量は、保温効果発現の点で、絶乾、非
膨潤状態で1重量%以上(気体中空繊維基準)であるこ
とが好ましく、特に5重量%以上であることが望まし
い。この充填量が多すぎると、該ゲルの吸水膨潤時に中
空繊維の割裂等が発生する傾向があるので、通常は80
重量%以下にするのが好ましい。
【0023】この吸水性ポリマーの徐放性ゲルには、と
うがらし成分を配合しておくことが必要である。とうが
らし成分としては、カプサイシン、バニリルブチルエー
テルなどが挙げられるが、保温効果が高く、しかも皮膚
に対するヒリヒリ感が少ないことから、バニリルブチル
エーテルが好ましく用いられる。
【0024】とうがらし成分は、吸水性ポリマーの徐放
性ゲルが人体から発生する水分や衣服の外側からの水分
を吸収、放出する過程で、連通孔を経て中空繊維の表面
に徐々に放出され、肌と接触した際に皮膚へ移行し、皮
膚を刺激して優れた保温効果を奏するものであり、吸水
性ポリマーのゲルに対して、5〜30重量%の範囲内で
配合するのが好ましい。なお、本発明における吸水性ポ
リマーのゲルは、上記とうがらし成分以外に、必要に応
じて香料、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加
剤を含んでいてもよい。
【0025】とうがらし成分を含む吸水性ポリマーの徐
放性ゲルを前記中空繊維の中空部内に充填させる方法と
しては、(1)前記中空繊維を、吸水性ポリマーの未架
橋物及び/又は該吸水性ポリマーの構成モノマー、とう
がらし成分、架橋剤並びに好ましくは重合開始剤乃至触
媒を含有する溶液中に浸漬し、該中空繊維の中空部内の
空気と溶液とを置換し、次いで加熱することによって未
架橋吸水性ポリマーの架橋反応乃至上記モノマーの重合
・架橋反応を生起せしめて、中空繊維の中空部内に吸水
性ポリマーのゲルを形成する方法、(2)前記中空繊維
を、吸水性ポリマーの未架橋物及び/又は該吸水性ポリ
マーの構成モノマー、とうがらし成分、架橋剤並びに好
ましくは重合開始剤乃至触媒を含有する溶液中に浸漬
し、次いでマングルなどで圧絞して該中空繊維の中空部
内の空気と溶液とを置換し、続いて加熱することによっ
て未架橋吸水性ポリマーの架橋反応ないし上記モノマー
の重合・架橋反応を生起せしめて、中空繊維の中空部内
に吸水性ポリマーのゲルを形成する方法、(3)前記中
空繊維を、密閉容器中に入れて減圧し、該中空繊維の中
空部の空気を除いた後、吸水性ポリマーの未架橋物及び
/又は該吸水性ポリマーの構成モノマー、とうがらし成
分、架橋剤並びに好ましくは重合開始剤乃至触媒を含有
する溶液を該容器に注入して中空繊維の中空部内に充填
させ、次いで加熱することによって未架橋吸水性ポリマ
ーの架橋反応ないし上記モノマーの重合・架橋反応を生
起せしめて、中空繊維の中空部内に吸水性ポリマーのゲ
ルを形成する方法などを例示することができる。
【0026】この際、中空繊維は、糸、紡績糸、織物、
編物、不織布などの任意の形態で処理に供することがで
きるが、通常は、織物、編物などの布帛の形態で処理す
るのが作業性の面から考慮して適当である。
【0027】ここで、上記溶液の溶剤としては、上記成
分を溶解できるものであればよく、例えば水及び/又は
水に可溶な有機溶剤を挙げることができる。水に可溶な
有機溶剤としてはイソプロピルアルコールのようなアル
コール、メチルエチルケトンのようなケトン、テトラヒ
ドロフラン、N,N―ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルフォキシド、N,N―ジメチルアセトアミド、N―
メチル―2―ピロリドン等が挙げられる。なかでも、安
価で取り扱いが容易であることから、水が特に好まし
い。
【0028】上記架橋剤としては、吸水性ポリマーを架
橋して非水溶性の架橋物と成し得るものであればよく、
例えば、1分子中にビニル基及び/又はエポキシ基を2
個以上もつ化合物や多価金属化合物を例示できる。なか
でも、架橋剤自身としては、水溶性であるものが好まし
い。
【0029】かかる架橋剤の具体例としては、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールジアクリレート、ポリエチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、グリセリンジ(又はトリ)メタクリレー
ト、グリセリンジ(又はトリ)アクリレート、グリセリ
ンジ(又はトリ)グリシジルエーテル、トリメチロール
プロパンジ(又はトリ)メタクリレート、トリメチロー
ルプロパンジ(又はトリ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパンジ(又はトリ)グリシジルエーテル等を挙げ
ることができる。
【0030】架橋剤として用いることができる多価金属
化合物としては、2価以上の金属の無機塩、有機カルボ
ン酸塩、錯塩等を挙げることができる。かかる2価以上
の金属としては、Ca、Mg、Zn、Mn、Co、A
l、Ti、Sn、Cu、Fe、Cr、Ni、Zr等が好
ましく、これらの塩化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、コ
ハク酸塩、エチレンジアミン四酢酸錯体等が好ましく例
示される。具体的には、酢酸カルシウム、酢酸マグネシ
ウム、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸マンガ
ン、酢酸コバルト、硫酸アルミニウム、塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウム、硫酸第一スズ、EDTA―C
a、EDTA―Mg等を挙げることができる。かかる多
価金属化合物は、1種のみを単独で用いても又は2種以
上を併用してもよい。
【0031】また、上記重合開始剤としては、例えば、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過
酸化ベンゾイル等の過酸化物、硫酸第二セリウムアンモ
ニウム、硝酸第二セリウムアンモニウム等のセリウムア
ンモニウム塩、或いはα,α−アゾビスイソブチロニト
リル等が挙げられる。更に、上記の触媒としては、第三
級アミン、第四級アンモニウム塩、イミダゾール化合
物、三フッ化ホウ素、Zn(BF4 )2 、KOH、
SnCl4 等が挙げられる。
【0032】本発明の中空繊維構造体にあっては、上記
吸水性ポリマーの徐放性ゲルが中空繊維内のみに存在
し、中空繊維の外表面や繊維間空隙には実質的に存在し
ないことが、最終的に得られる織編物製品の本来の風合
を保持するうえで好ましい。
【0033】そのためには、中空繊維表面に付着した吸
水性ポリマーあるいは該吸水性ポリマーの構成モノマー
を、該吸水性ポリマーあるいは構成モノマーを溶解しう
る溶媒中へ浸漬する方法、該溶剤を中空繊維表面に塗布
する方法などによって溶解除去することが好ましい。
【0034】ここで使用する溶媒は、中空繊維内に導入
した吸水性ポリマー又はモノマーを溶解しうるものであ
り、導入したポリマーの架橋又はモノマーの重合を阻害
せず、しかも中空繊維内に導入したポリマー又はモノマ
ーを溶出してしまうほど浸透性が高いものでない限り、
任意のものを用いることができる。かかる溶媒として
は、水、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。なか
でも、安価で取り扱いが容易であることから、水が特に
好ましい。
【0035】前記溶液を中空繊維の中空部内へ導入した
中空繊維を、上記溶媒で処理する際に、該溶媒の温度を
ポリマーの架橋開始温度又はモノマーの重合開始温度以
上の温度、例えば、先に例示したモノマーの場合は50
〜100℃に加熱しておくと、繊維表面に付着したポリ
マー又はモノマーを溶解除去すると共に、中空繊維内に
導入したポリマー又はモノマーを同時に架橋又は重合さ
せることができるので好都合である。
【0036】また、上記溶剤に重合禁止剤を添加してお
くと、繊維表面に残存したモノマーの重合が抑制され、
モノマーの除去が一層容易になるので好ましい。
【0037】該重合禁止剤は、安定ラジカルが生成可能
なものであり、ジフェニルピクリルヒドラジル、カルビ
ノキシル、フェルダシルなどの他、成長ラジカルとの付
加反応によって安定なラジカルを生じる酸素、硫黄、ベ
ンゾキノン誘導体、ニトロ化合物、あるいは成長ラジカ
ルとの連鎖移動反応によって安定なラジカルを生じるジ
フェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、ヒド
ロキノン、第三ブチルカテコールなどが例示される。
【0038】これらの重合禁止剤を含む溶媒で処理する
場合、溶媒中の重合禁止剤の量が多すぎると、重合禁止
剤が連通孔から繊維中空部内へ侵入して、中空繊維表面
だけでなく、中空繊維内のモノマーの重合をも抑制し、
その結果、中空繊維内に吸湿性ポリマーゲルが形成され
なくなる。従って、溶剤中の重合禁止剤の量は、その重
合禁止能にもよるが、中空繊維表面に付着したモノマー
から加熱によって生成する反応性ラジカルを捕捉しうる
最少限にの量にとどめることが好ましい。
【0039】更に、上記溶媒にソーピング剤を添加して
おくと、中空繊維表面に付着したポリマーやモノマーの
除去が促進されるので好ましい。ソーピング剤として
は、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムを主剤としたア
ルカリ性の洗浄液、繊維加工に一般に用いられるイオン
性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を挙げることが
できる。溶剤へのソーピング剤の添加量は、0.1〜
5.0重量%であることが適当である。
【0040】上記溶剤による処理は、前述のように、中
空繊維表面に付着したポリマー又はモノマーを溶解、除
去できれば、任意の方法により行うことができるが、中
空繊維を溶媒中に浸漬して撹拌する方法が特に好ましく
用いられる。
【0041】このように、必要に応じて、溶剤で処理し
て、中空繊維表面に付着したモノマーを溶解、除去した
後、加熱することにより、中空繊維内のポリマーの架橋
又はモノマーの重合を行い、とうがらし成分を吸水性ポ
リマーの徐放性ゲルで固定する。勿論、前述のように、
溶媒の温度をポリマーの架橋開始温度又はモノマーの重
合開始温度以上の温度に加熱しておき、繊維表面に付着
したポリマー又はモノマーを溶解除去すると共に、中空
繊維内に導入したポリマー又はモノマーを同時に架橋又
は重合させることもできる。
【0042】本発明の繊維構造体は、保温効果に優れ、
しかも肌に触れてもべとつき感がなく、さらっとした感
触を与えるので、インナー、ナイティー、ブラウス、ス
ポーツウエアー等の秋冬物を中心とした衣料用途に極め
て有用である。なかでも、ランジェリー、スリップ、キ
ャミソール、ショーツ等の肌着、ガードル、ブラジャ
ー、ボディースーツ等のファンデーション、さらには腹
巻きや手袋等、直接肌に接触して着用する衣料用途にお
いて、優れた効果を発揮する。
【0043】
【実施例】以下に実施例、比較例を示し、本発明を説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、実施例、比較例において、吸湿率の測定、洗濯耐久
性の評価、実着用試験は、以下の方法により行った。
【0044】(1)吸湿率 温度105℃で2時間絶乾した試料の重量(W0 )
と、温度20℃、相対湿度90%における平衡重量(W
1 )とから下記式により算出した。 吸湿率(%)=((W1 )−(W0 ))/W0 )
×100
【0045】(2)洗濯耐久性 JIS L―1018―77 6.36、H法に準じ、
洗濯を30回繰り返した。
【0046】(3)実着用試験 4名(男2名、女2名)のパネラー(A〜D)が、実施
例及び比較例の中空繊維からなるTシャツを着用し、5
℃、相対湿度20%の低温低湿度条件下で、下記の4段
階で体感保温性(暖かさ)を官能評価した。 ◎:十分な暖かさを感じ、ひりひり感もない。 ○:十分な暖かさを感じるが、ややひりひり感がある。 △:暖かさを感じるが十分でない。 ×:暖かさを感じない。
【0047】[実施例1]固有粘度が0.61のポリエ
チレンテレフタレートを溶融し、実公平2−43879
号公報に記載されている、3個所を不連続にした円弧状
スリット孔を20個有する中空糸用紡糸口金を用いて、
中空率が40%の未延伸中空糸を得た。次いで、この未
延伸中空糸を延伸して、丸中空で50デニール/20フ
ィラメント(酸化チタン量0.3重量%)のマルチフィ
ラメント糸を得た。
【0048】常法に従い、トリコットを作り、精練、プ
レセットを行い、50g/1の水酸化ナトリウムを含む
熱水(105℃)中で短時間(10分)処理して、減量
率を20%にした。
【0049】得られた布帛からマルチフィラメント糸を
抜き出し、その表面を走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、繊維軸方向に、幅0.2〜2.0μm、長さ10〜
150μmのマイクログルーブが、各フィラメントに1
00μm当たり少なくとも1個存在することが認められ
た。
【0050】次に、この布帛を密閉容器内に入れ、ロー
タリーポンプを用いて容器内を0.004mmHgまで
減圧し、次いでこの容器内に、アクリル酸ナトリウム2
0重量部、アクリル酸5重量部、ポリエチレングリコー
ル(平均重合度14)ジメタクリレート10重量部、過
硫酸カリウム0.5重量部、カプサイシン(とうがらし
成分)4.0重量部、水60.5重量部からなるモノマ
ー液を注入した。
【0051】注入後、ロータリーポンプを用い、さらに
減圧状態を10分間維持した。このとき、容器内の圧力
は0.2mmHgであった。容器内の圧力を常圧に戻
し、上記モノマー液を布帛に含浸させた後、この布帛を
100℃の熱湯中に撹拌しながら3分間浸漬し、次いで
乾燥熱処理した。
【0052】得られた布帛は、風合がソフトであり、走
査型電子顕微鏡で観察した結果、吸水性ポリマーの徐放
性ゲルは中空繊維の中空部のみに存在し、繊維表面、繊
維間空隙、組織間には全く付着していなかった。
【0053】この布帛について、吸湿率を測定し、洗濯
耐久性を求め、更に、この布帛からTシャツを縫製し、
4名のパネラーによるTシャツの実着用試験を行った。
【0054】結果は、表1に示す通りであり、吸湿性が
高く、さらっとした感触があり、多少ひりひり感はある
ものの、低温低湿度下での保温性に優れたものであり、
耐洗濯性も良好であった。
【0055】[実施例2]実施例1において、とうがら
し成分として、カプサイシンの代わりにバニリルブチル
エーテルを使用し、その他の条件は、実施例1と同様に
して処理を行い、Tシャツを縫製した。結果は、表1に
示す通りであり、吸湿性が高く、さらっとした感触があ
り、ひりひり感は全くなく、低温低湿度下での保温性に
優れ、耐洗濯性も良好であった。
【0056】[比較例1]実施例1において、とうがら
し成分を全く使用せず、その他の条件は、実施例1と同
様にして処理を行い、Tシャツを縫製した。結果は、表
1に示す通りであり、低温低湿度下での体感保温性に劣
るものであった。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明の中空繊維を含む繊維構造体は、
その少なくとも一部の中空繊維に繊維表面から中空部へ
至る連通孔を散在せしめ、該中空繊維の中空部内にとう
がらし成分を含む吸水性ポリマーの徐放性ゲルを存在せ
しめたものであり、とうがらし成分は、吸水性ポリマー
の徐放性ゲルが人体から発生する水分や衣服の外側から
の水分を吸収、放出する過程で、連通孔を経て中空繊維
の表面に徐々に放出され、肌と接触した際に皮膚へ移行
し、皮膚を刺激して優れた保温効果を奏するものであ
る。この効果は、洗濯によってもほとんど失われること
がなく、耐洗濯性にも優れている。また、本発明の中空
繊維構造体は、吸水、吸湿による発熱を利用するもので
はなく、とうがらし成分を含む吸水性ポリマーの徐放性
ゲルを中空繊維内に存在させて保護しているので、直接
肌に触れてもべとつき感はなく、さらっとした感触を与
え、しかも冬場などの低温低湿度条件下でも、十分な保
温効果を発揮することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空繊維を含む繊維構造体において、そ
    の少なくとも一部の中空繊維に繊維表面から中空部へ至
    る連通孔を散在せしめ、該中空繊維の中空部内にとうが
    らし成分を含む吸水性ポリマーの徐放性ゲルを存在せし
    めたことを特徴とする保温機能を有する繊維構造体。
  2. 【請求項2】 とうがらし成分がバニリルブチルエーテ
    ルであることを特徴とする請求項1記載の保温機能を有
    する繊維構造体。
JP6135498A 1998-03-12 1998-03-12 保温機能を有する繊維構造体 Pending JPH11256480A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6135498A JPH11256480A (ja) 1998-03-12 1998-03-12 保温機能を有する繊維構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6135498A JPH11256480A (ja) 1998-03-12 1998-03-12 保温機能を有する繊維構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11256480A true JPH11256480A (ja) 1999-09-21

Family

ID=13168741

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6135498A Pending JPH11256480A (ja) 1998-03-12 1998-03-12 保温機能を有する繊維構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11256480A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2015089975A (ja) 消臭加工剤及びこの消臭加工剤の布帛又は糸への加工方法
TWI277668B (en) Elastic fiber and its use
JPH11256480A (ja) 保温機能を有する繊維構造体
JPH09302553A (ja) パイル布帛
JP2000034679A (ja) 清涼感を有する繊維構造体
JP2000226768A (ja) 防蚊効果を有する繊維構造体
JPH0995864A (ja) 保温、保冷性中空繊維及びその製造方法
JP4277193B2 (ja) 発熱性を有する弾性加工糸
JP3900894B2 (ja) 高吸湿保温性繊維構造物
JPH09111664A (ja) 温泉効果を呈する中空繊維
JP2000226769A (ja) 消臭効果を有する繊維構造体
JP2002088645A (ja) 洗濯耐久性を有する高塩水吸収性繊維及びその製造方法
JPH10237768A (ja) 機能性繊維の製造方法
JPS58197378A (ja) 撥水性ならびに吸水性を有する布帛の製造法
JPS58191275A (ja) 撥水性ならびに吸水性を有する布帛の製造法
JP2018104836A (ja) ポリエステル系繊維および繊維構造物
JP3048729B2 (ja) 吸湿性ポリアミド繊維の製造方法
JP3270226B2 (ja) 鞘芯型複合繊維、繊維構造物及びその製造方法
JP5221572B2 (ja) 吸湿性紡績糸を用いた編地
JPH09209266A (ja) 繊維構造物およびその製造方法
JP4487157B2 (ja) 着用快適性に優れたストッキング
JP2000096441A (ja) 中空繊維の処理方法
JPH11256478A (ja) 中空繊維へのゲル充填方法
KR19980702197A (ko) 직편물 및 그 제조방법
JPH10212668A (ja) 害虫忌避性を有する中空繊維