JPH0995864A - 保温、保冷性中空繊維及びその製造方法 - Google Patents

保温、保冷性中空繊維及びその製造方法

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JPH0995864A
JPH0995864A JP25124795A JP25124795A JPH0995864A JP H0995864 A JPH0995864 A JP H0995864A JP 25124795 A JP25124795 A JP 25124795A JP 25124795 A JP25124795 A JP 25124795A JP H0995864 A JPH0995864 A JP H0995864A
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JP
Japan
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water
hollow
polymer
retaining
hollow fiber
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Application number
JP25124795A
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English (en)
Inventor
Hironari Murase
裕也 村瀬
Motoyoshi Suzuki
東義 鈴木
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間にわたって保温、保冷効果が持続し、
しかも柔軟性、洗濯耐久性に優れた保温、保冷性中空繊
維及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 繊維表面から中空部へ連通する連通部
(G1 〜G4 )を有する中空繊維の中空部内に、非水溶
性吸水性ポリマーの含水ゲル(P)を充填させる。非水
溶性吸水性ポリマーの純水に対する吸水性能は25ml
/g以上、含水ゲル中における水と非水溶性吸水性ポリ
マーとの重量比は100:0.1〜100:30、中空
繊維の中空部内における含水ゲル(P)の空隙占有率は
5〜80%であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長時間にわたって
保温、保冷を行うことができる、柔軟性、洗濯耐久性に
優れた保温、保冷性中空繊維及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、保温剤に関しては多くの提案がな
されているが、保温性繊維に関する提案は極めて少な
い。
【0003】特開平6―294006号公報では、外部
からの気相及び液相の水分を吸収することにより発熱保
温する吸放湿吸水発熱性保温品が提案されているが、こ
の吸放湿吸水発熱性保温品を構成する吸放湿吸水発熱性
繊維は、中地及び/又は裏地に含まれるものであり、吸
水、吸湿によるべとつき感を与えるため、直接、肌と接
触するような用途には適さない。また、この発熱保温機
構によると、高温多湿の条件下では、外気や身体の表面
から生ずる水蒸気を吸湿するため、かえって不快感を与
えることになる。更に、低湿度条件下では、逆に水分を
放出するために、温度低下が生じるという問題もある。
【0004】更に、保冷性繊維についての提案もほとん
どなく、太陽光線の入射による温度上昇を防ぐことによ
り清涼感を付与しようとするもの(特開平5―2799
38号公報)が知られているにすぎない。
【0005】このものは、チタン酸アルカリ金属又はチ
タン酸アルカリ土類金属からなるセラミック微粒子を含
有する繊維と太陽光反射層を用いることにより、太陽光
を遮光、反射させるもので、積極的な保冷効果を奏する
ものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、長時間にわ
たって保温、保冷を行うことができ、しかも柔軟性、洗
濯耐久性に優れた保温、保冷性繊維及びその製造方法を
提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべて鋭意検討を重ねた結果、非水溶性吸水性ポ
リマーの含水ゲルを中空繊維の中空部内に充填すること
を着想し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明によれば、(1)繊維表面か
ら中空部への連通部を有する中空繊維の中空部内に、非
水溶性吸水性ポリマーの含水ゲルを充填したことを特徴
とする保温、保冷性中空繊維、(2)非水溶性吸水性ポ
リマーの純水に対する吸水性能が、25ml/g以上で
ある上記(1)記載の保温、保冷性中空繊維、(3)含
水ゲル中における水と非水溶性吸水性ポリマーとの重量
比が、100:0.1〜100:30である上記1又は
2記載の保温、保冷性中空繊維、(4)中空繊維の中空
部内における非水溶性吸水性ポリマーの含水ゲルの空隙
占有率が5〜80%である上記1〜3のいずれか1つに
記載の保温、保冷性中空繊維、(5)繊維表面から中空
部への連通部を有する中空繊維の中空部内へ、該連通部
を介してモノマー液及び架橋剤を導入し、次いで該モノ
マーを重合させると共に架橋させて非水溶性吸水性ポリ
マーを形成し、該非水溶性吸水性ポリマーの形成と同時
又はその後に含水せしめて含水ゲルとすることを特徴と
する保温、保冷性中空繊維の製造方法、(6)繊維表面
から中空部への連通部を有する中空繊維の中空部内へ、
該連通部を介してポリマー液及び架橋剤を導入し、次い
で該ポリマーを架橋させて非水溶性吸水性ポリマーを形
成し、該非水溶性吸水性ポリマーの形成と同時又はその
後に含水せしめて含水ゲルとすることを特徴とする保
温、保冷性中空繊維の製造方法、及び(7)繊維表面か
ら中空部への連通部を有する中空繊維の中空部内へ、該
連通部を介してモノマー液を導入し、該モノマーを重合
させた後、架橋剤を導入し、得られたポリマーを架橋さ
せて非水溶性吸水性ポリマーを形成し、該非水溶性吸水
性ポリマーの形成と同時又はその後に含水せしめて含水
ゲルとすることを特徴とする保温、保冷性中空繊維の製
造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で用いる中空繊維として
は、レーヨン、アセテートなどの化学繊維、ポリエステ
ル、ポリアミドなどの合成繊維を挙げることができ、特
に、ポリエステル中空繊維が好ましく例示される。
【0010】ここでいうポリエステルとは、テレフタル
酸を主たるジカルボン酸成分とし、少なくとも1種のグ
リコール、好ましくは、エチレングリコール、トリメチ
レングリコールなどから選ばれた少なくとも1種のアル
キレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエ
ステルなどである。
【0011】該ポリエステルは、必要に応じて、安定
剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、触
媒、着色防止剤、耐熱剤、着色剤、無機粒子等を含有し
てもよい。
【0012】上記中空繊維は、従来公知の方法によって
製造することができ、例えば、実公平2―43879号
公報に記載の方法などが任意に採用できる。
【0013】中空繊維の中空率は、繊維の機械的特性を
維持し、かつ十分な量の非水溶性吸水性ポリマーの含水
ゲルを充填させるうえで、5〜40%であることが好ま
しく、20〜40%であることがさらに好ましい。
【0014】繊維表面から中空部への連通部を形成する
方法としては、例えばポリエステル繊維の場合、有機ス
ルホン酸化合物を共重合したポリエステルを混合して溶
融紡糸し、中空繊維とした後、アルカリ減量処理するこ
とにより多数の連通部(微細孔)を形成させる方法(特
開平1―20319号公報)などが用いられる。
【0015】また、有機スルホン酸金属塩を添加配合せ
しめたポリエステル中空繊維をアルカリ減量処理するこ
とにより、繊維表面から中空部への多数の連通部(微細
孔)を形成させる方法(特公昭61―60188号公
報、特公昭61―31231号公報)も採用することが
できる。
【0016】更に、中空率が20%以上の中空繊維をア
ルカリ減量処理すれば、上記のような有機スルホン酸金
属塩を使用しなくても、繊維の長手方向に沿った低配向
部及び/又は変形歪集中部の除去痕として、多数の連通
部(マイクログルーブ)を形成することができる(特開
平7―26466号公報)。
【0017】また、芯鞘型複合繊維をアルカリ減量処理
し、芯部ポリマーを分解除去して、繊維の長手方向に繊
維表面から中空部に達する連通部(割裂溝)を有する中
空繊維を得る方法(特開平6―173167号公報)も
用いられる。
【0018】本発明において用いられる中空繊維は、繊
維表面から中空部への連通部を有してさえいればよく、
連通部の数、大きさ、形状などは限定されるものではな
い。
【0019】本発明の保温、保冷性中空繊維において
は、上記中空繊維の中空部内に、非水溶性吸水性ポリマ
ーの含水ゲルを充填している。
【0020】非水溶性吸水性ポリマーの含水ゲルは、大
きな熱容量を有しているため、高い保温、保冷性を示
す。
【0021】本発明に使用する非水溶性吸水性ポリマー
の含水ゲルとしては、例えばゼラチンゲルの含水ゲル
や、合成系の非水溶性吸水性ポリマーの含水ゲルが挙げ
られるが、モノマー段階での取扱いができる点で合成系
が好ましい。
【0022】合成系の非水溶性吸水性ポリマーとして
は、例えば(a)カルボン酸基、カルボン酸塩基、スル
ホン酸基及びスルホン酸塩基よりなる群から選ばれた少
なくとも1種の基を有する水溶性モノマー、(b)加水
分解により水溶性となるモノマー(少なくとも1個の加
水分解性基(エステル基、ニトリル基など)を有するモ
ノマー)、(c)澱粉及び/又はセルロース、並びに
(d)架橋剤のうち、 (a)及び/又は(b)と(d)とを必須成分として
重合させ、必要により加水分解を行うことにより得られ
る非水溶性吸水性ポリマー、具体的には架橋されたポリ
アクリル酸部分中和塩、架橋ポリアクリルアミドの部分
加水分解物、架橋されたアクリル酸―アクリルアミド共
重合体、架橋されたスルホン化ポリスチレン、ビニルエ
ステル―不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、架橋され
たアクリル酸―アクリル酸エステル共重合体、架橋され
たイソブチレン―無水マレイン酸共重合体、架橋された
カルボン酸変性ポリビニルアルコール等を挙げることが
できる。
【0023】また、上記に例示した以外の合成系非水溶
性吸水性ポリマーとしては、例えば(a)及び/又は
(b)と(c)と(d)とを必須成分として重合させ、
必要により加水分解を行うことにより得られる非水溶性
吸水性ポリマー(具体的には特開昭52―25886
号、特公昭53―46199号、特公昭53―4620
0号及び特公昭55―21041号公報に記載されたも
の)、(a)及び/又は(b)と(c)とを重合させ
たもの(澱粉―アクリロニトリルグラフト重合体の加水
分解物、セルロース―アクリロニトリルグラフト重合体
の加水分解物など)、(c)の架橋物(カルボキシメ
チルセルロースの架橋物など)、自己架橋を有する
(a)及び/又は(b)の重合物(自己架橋型ポリアク
リル酸塩など)が挙げられる。かかる非水溶性吸水性ポ
リマーは1種類を単独で使用しても、また2種以上を併
用してもよい。
【0024】なお、非水溶性吸水性ポリマーの含水ゲル
とは、非水溶性吸水性ポリマーが水を内包した状態のも
のを意味する。
【0025】上記で用いられる架橋剤としては、水溶性
ポリマーを架橋して非水溶性のゲルとすることができる
ものであればよく、例えば1分子中にビニル基及び/又
はエポキシ基を2個以上有する化合物や多価金属化合物
を例示できる。なかでも、架橋剤自身が水溶性であるも
のが好ましい。
【0026】かかる架橋剤の具体例としては、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールジアクリレート、ポリエチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、グリセリンジ(又はトリ)メタクリレー
ト、グリセリンジ(又はトリ)アクリレート、グリセリ
ンジ(又はトリ)グリジルエーテル、トリメチロールプ
ロパンジ(又はトリ)メタクリレート、トリメチロール
プロパンジ(又はトリ)アクリレート、トリメチロール
プロパンジ(又はトリ)グリシジルエーテル等を挙げる
ことができ、これらは、1種のみを単独で用いても2種
以上を併用してもよい。
【0027】また、架橋剤として用いることができる多
価金属化合物としては、2価以上の金属の無機塩、有機
カルボン酸塩、錯塩等を挙げることができる。
【0028】かかる2価以上の金属としてはCa、M
g、Zn、Mn、Co、Al、Ti、Sn、Cu、F
e、Cr、Ni、Zr等が好ましく、これらの塩化物、
硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、エチレンジアミ
ン四酢酸錯体等が好ましく例示される。
【0029】具体的には酢酸カルシウム、酢酸マグネシ
ウム、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸マンガ
ン、酢酸コバルト、硫酸アルミニウム、塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウム、硫酸第1スズ、EDTA―C
a、EDTA―Mg等を挙げることができる。かかる多
価金属化合物は、1種のみを単独で用いても又は2種以
上を併用してもよい。
【0030】上記非水溶性吸水性ポリマーは、熱容量の
大きい含水ゲルが形成できる様、純水に対する吸水性能
が25ml/g以上であることが好ましく、特に50〜
1000ml/gであることが望ましい。ここで。吸水
性能は、非水溶性吸水性ポリマーからなるフィルムを、
20℃の純水中に24時間浸漬した後の重量変化から求
めた値である。
【0031】また、含水ゲル中における水と非水溶性吸
水性ポリマーとの重量比は、十分な保温、保冷熱量を確
保し、柔軟で良好な風合を得るうえで、100:0.1
〜100:30であることが好ましく、更に好ましくは
100:1〜100:20である。
【0032】更に、中空繊維の中空部内における非水溶
性吸水性ポリマーの含水ゲルの空隙占有率は、5〜80
%であることが好ましく、更に好ましくは10〜80%
である。空隙占有率が低すぎると、十分な保温性、保冷
性が得られず、また、必要以上に高すぎても、中空繊維
の有する軽量感や風合などが損なわれ易い。
【0033】本発明で用いる非水溶性吸水性ポリマーの
含水ゲルは、必要に応じて顔料等の着色剤、感熱染料、
防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の他の添加剤を含
有していてもよい。
【0034】かかる保温、保冷性中空繊維を製造する方
法としては、(1)繊維表面から中空部への連通部を有
する中空繊維の中空部内へ、該連通部を介してモノマー
液及び架橋剤を導入し、次いで該モノマーを重合させる
と共に架橋させて非水溶性吸水性ポリマーを形成し、該
非水溶性吸水性ポリマーの形成と同時又はその後に含水
せしめて含水ゲルとする方法、(2)該連通部を介して
中空繊維の中空部内へポリマー液及び架橋剤を導入し、
次いで該ポリマーを架橋させて非水溶性吸水性ポリマー
を形成し、該非水溶性吸水性ポリマーの形成と同時又は
その後に含水せしめて含水ゲルとする方法、(3)該連
通部を介して中空繊維の中空部内へモノマー液を導入
し、該モノマーを重合させた後、架橋剤を導入し、得ら
れたポリマーを架橋させて非水溶性吸水性ポリマーを形
成し、該非水溶性吸水性ポリマーの形成と同時又はその
後に含水せしめて含水ゲルとする方法などを挙げること
ができる。
【0035】上記(1)、(3)の方法で用いるモノマ
ー液及び上記(2)の方法で用いるポリマー液は、モノ
マー、架橋前のポリマーを水や有機溶剤などの液体媒体
に溶解、分散又は乳化させたものであり、中空繊維の中
空部内への導入を容易にするために、なるべく粘度が低
いことが望ましい。
【0036】上記(1)及び(2)の方法の場合、架橋
剤は、モノマー液、ポリマー液中に添加して、モノマ
ー、ポリマーと同時に中空繊維の中空部内へ導入しても
よく、あるいはモノマー液、ポリマー液とは別に中空繊
維の中空部内へ導入してもよい。
【0037】液体媒体としては、水、DMF、DMS
O、N,N―ジメチルアセトアミド、N―メチルピロリ
ドンなどを用いることができるが、安価で取扱いが容易
であり、後述する含水ゲルの形成にも好都合であること
から、水を使用するのが最も好ましい。
【0038】上記モノマー液、ポリマー液を連通部を介
して中空繊維の中空部内へ導入する方法としては、
(1)中空繊維をモノマー液、ポリマー液中に浸漬し、
モノマー液、ポリマー液を中空繊維の中空部内へ浸透さ
せる方法、(2)中空繊維をモノマー液、ポリマー液中
に浸漬した後、マングルなどで圧絞して中空繊維の中空
部内の空気をモノマー液、ポリマーと置換させる方法、
(3)中空繊維を密閉容器中に入れて減圧し、中空内の
空気を抜いた後、モノマー液、ポリマー液を容器に注入
して、中空繊維の中空部内にモノマー液、ポリマー液を
導入する方法などを例示することができる。
【0039】この際、中空繊維は、糸、紡績糸、織物、
編物、不織布などの任意の形態で処理に供することがで
きるが、通常は、織物、編物などの布帛の形態で処理す
るのが適当である。
【0040】架橋剤を、モノマー液、ポリマー液とは別
に中空繊維の中空部内へ導入する場合も、上記の方法に
準じて中空繊維の中空部内へ導入すればよい。
【0041】中空繊維の中空部内へ導入されたモノマー
は、加熱によって重合し、それと同時又はその後、架橋
して非水溶性吸水性ポリマーを形成する。また、中空繊
維の中空部内へ導入されたポリマーは、加熱によって架
橋し、非水溶性吸水性ポリマーを形成する。
【0042】重合、架橋のための加熱条件は、使用する
モノマー、ポリマー、架橋剤に応じて、適宜選定すれば
よい。なお、モノマーを重合させる前に、繊維表面に付
着した処理液(モノマー)を水洗等により除去しておく
と、繊維表面で重合体が形成されることによる風合の悪
化を防ぐことができるので好ましい。
【0043】このようにして中空繊維の中空部内で非水
溶性吸水性ポリマーを形成すると同時又はその後に、含
水せしめて含水ゲルとする。モノマー液、ポリマー液の
液体媒体として水を使用した場合は、非水溶性吸水性ポ
リマーの形成と同時に、該非水溶性吸水性ポリマーが吸
水、吸湿して、自動的に含水ゲルとなる。液体媒体とし
て、水以外のものを用いた場合は、非水溶性吸水性ポリ
マーの形成後、中空繊維の中空部内へ水を導入し、該非
水溶性吸水性ポリマーを含水せしめて含水ゲルとする。
【0044】本発明の保温、保冷性中空繊維は、熱容量
の大きい非水溶性吸水性ポリマーの含水ゲルを含有して
いるため、高い保温性、保冷性を示し、しかも、該含水
ゲルが中空繊維の中空部内だけに存在し、繊維表面には
存在しないので、柔軟性に優れ、風合が良好であり、更
に、該含水ゲルの溶出、剥離が起こり難いので、洗濯耐
久性にも優れている。
【0045】本発明の保温、保冷性中空繊維は、保温又
は保冷しようとする物に応じて、所定の温度に加温又は
冷却して使用することができる。例えば、保温対象物を
T℃で保温したい場合は、T<t≦T+30℃の関係を
満足する温度t℃に本発明の中空繊維を加温しておけば
よい。
【0046】本発明の保温、保冷性中空繊維は、保温
服、保冷服、温湿布用あるいは冷湿布用包帯、保温用あ
るいは保冷用タオル、各種物品の保温、保冷材などとし
て、種々の用途に用いることができる。
【0047】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0048】なお、実施例における保温性、保冷性、洗
濯耐久性及び含水ゲルの空隙占有率は、以下の方法によ
り測定した。
【0049】(1)保温性 試料を50℃で20分間加温した後、10℃の室内に放
置して、25℃になるまでの時間を測定した。この時間
が長いほど、保温性が良好であることを示す。
【0050】(2)保冷性 試料を−10℃で20分間冷凍した後、35℃の室内に
放置して、25℃になるまでの時間を測定した。この時
間が長いほど、保冷性が良好であることを示す。
【0051】(3)洗濯耐久性 JIS L―1018―77 6.36、H法に準じ、
洗濯は20回繰り返した。
【0052】(4)含水ゲルの空隙占有率 電子顕微鏡による断面撮影を行い、中空繊維の中空断面
積をM1 、中空内における含水ゲルの断面積をM2 とし
て、下記の式で空隙占有率を算出した。
【0053】
【数1】
【0054】[実施例1]固有粘度が0.61のポリエ
チレンテレフタレートを溶融し、中空紡糸口金を用い
て、中空率が40%の中空繊維の未延伸糸を得た。次い
で、この未延伸糸を延伸して、丸中空で50デニール/
20フィラメント(酸化チタン量0.3重量%)のマル
チフィラメント糸を得た。
【0055】常法に従い、トリコットを作り、精練、プ
レセットを行い、50g/1の水酸化ナトリウムを含む
熱水(105℃)中で短時間(10分)処理して、減量
率を20%にした。
【0056】得られた布帛からマルチフィラメント糸を
取り出し、その表面を電子顕微鏡で観察したところ、繊
維方向に、幅0.2〜2.0μm、長さ10〜150μ
mのマイクログルーブが、各フィラメントに100μm
当たり少なくとも1個以上観察された。
【0057】次に、この布帛を密閉容器内に入れ、ロー
タリーポンプを用いて容器内を0.004mmHgまで
減圧し、次いで、この容器内に、モノマーとしてアクリ
ル酸20重量部、水酸化ナトリウム10重量部、架橋剤
として下記式で表されるPEG―ジメタクリレート10
重量部、過硫酸カリウム0.5重量部、水59.5重量
部からなるモノマー液を注入した。
【0058】
【化1】
【0059】モノマー液注入後、ロータリーポンプを用
い、さらに減圧状態を10分間維持した。このとき、容
器内の圧力は0.2mmHgであった。次に、この布帛
を常温の水で軽く洗浄して、布帛表面に付着している過
剰量のモノマー液を除去し、その後、100℃で20分
間、常圧スチーマーで加熱した。
【0060】得られた布帛の中空繊維は、図1に示すよ
うに、繊維表面から中空部へ連通するマイクログルーブ
(連通部)G1 〜G4 を有するポリマーS1 〜S4 で囲
まれた中空部内に、アクリル酸ポリマーにPEG―ジメ
タクリレートが架橋した非水溶性吸水性ポリマーの含水
ゲルPが存在し、空隙占有率は約72%であった。
【0061】なお、この非水溶性吸水性ポリマーの純水
に対する吸水性能は100ml/gであり、含水ゲル中
の水と非水溶性吸水性ポリマーとの重量比は100:1
0であった。また、この布帛の繊維表面には、重合体の
付着が無く、柔軟で風合がソフトであり、表1に示すよ
うに保温性、保冷性に優れ、洗濯20回後も高い保温
性、保冷性を示し、洗濯耐久性に優れていた。
【0062】[実施例2]モノマーとしてアクリルアミ
ド20重量部、架橋剤として上記PEG―ジメタクリレ
ート10重量部、過硫酸カリウム0.5重量部、水6
9.5重量部からなるモノマー液を用いた以外は実施例
1と同様に処理を行った。
【0063】得られた布帛の中空繊維の中空部内には、
アクリルアミドポリマーにPEG―ジメタクリレートが
架橋した非水溶性吸水性ポリマーの含水ゲルが存在し、
空隙占有率は約63%であった。なお、この非水溶性吸
水性ポリマーの純水に対する吸水性能は85ml/gで
あり、含水ゲル中の水と非水溶性吸水性ポリマーとの重
量比は100:15であった。また、この布帛は、実施
例1と同様に柔軟で風合がソフトであり、表1に示すよ
うに保温性、保冷性に優れ、洗濯20回後も高い保温
性、保冷性を示し、洗濯耐久性に優れていた。
【0064】[実施例3]実施例1において、架橋剤と
して酢酸カルシウムを用いた以外は実施例1と同様に処
理を行った。
【0065】得られた布帛は、実施例1と同様に柔軟で
風合がソフトであり、表1に示すように保温性、保冷性
に優れ、洗濯20回後も高い保温性、保冷性を示し、洗
濯耐久性に優れていた。
【0066】[比較例1]比較のために、実施例1にお
いて、非水溶性吸水性ポリマーの含水ゲルを充填しなか
った中空繊維の布帛を用いて、保温性、保冷性を評価し
た。結果を、表1に併せて示す。
【0067】[比較例2]実施例1において、布帛をモ
ノマー液に浸漬しただけで、中空繊維の中空部内にモノ
マー液を導入することなく、布帛にモノマー液を付着さ
せ(付着率70%)、100℃で20分間、常圧スチー
マーで加熱した。
【0068】得られた布帛は、繊維表面に非水溶性吸水
性ポリマーの含水ゲルが存在し、柔軟性が劣り風合が硬
く、表1に示すように、洗濯前には高い保温性、保冷性
を示すが、洗濯20回後は、効果が全くなくなってお
り、洗濯耐久性が不良であった。
【0069】
【表1】
【0070】[実施例4〜9]実施例1において、モノ
マー液の濃度を変えることにより、含水ゲル中の水と非
水溶性吸水性ポリマーとの重量比を表2に示すように変
更した。
【0071】結果は、表2に示す通りであり、この重量
比が100:0.1〜100:30である場合(実施例
5〜8)が好ましく、特に、100:1〜100:20
である場合(実施例6、7)に良好な結果が得られた。
【0072】
【表2】
【0073】[実施例10〜15]実施例1において、
モノマー液の注入量を変えることにより、中空繊維の中
空部内における非水溶性吸水性ポリマーの含水ゲルの空
隙占有率を表3に示すように変更した。
【0074】結果は、表3に示す通りであり、空隙占有
率が5〜80%の場合(実施例11〜14)が好まし
く、特に、10〜80%の場合(実施例12〜14)に
良好な結果が得られた。
【0075】
【表3】
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、長時間にわたって保
温、保冷効果が持続し、しかも柔軟性、洗濯耐久性に優
れた保温、保冷性中空繊維が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られた、含水ゲル充填中空繊維
の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 〜S4 中空繊維を構成するポリマー G1 〜G4 中空繊維の表面から中空部に連通するマイ
クログルーブ(連通部) P 中空繊維の中空部内に充填された含水ゲル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維表面から中空部への連通部を有する
    中空繊維の中空部内に、非水溶性吸水性ポリマーの含水
    ゲルを充填したことを特徴とする保温、保冷性中空繊
    維。
  2. 【請求項2】 非水溶性吸水性ポリマーの純水に対する
    吸水性能が、25ml/g以上である請求項1記載の保
    温、保冷性中空繊維。
  3. 【請求項3】 含水ゲル中における水と非水溶性吸水性
    ポリマーとの重量比が、100:0.1〜100:30
    である請求項1又は2記載の保温、保冷性中空繊維。
  4. 【請求項4】 中空繊維の中空部内における非水溶性吸
    水性ポリマーの含水ゲルの空隙占有率が5〜80%であ
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の保温、保冷性中
    空繊維。
  5. 【請求項5】 繊維表面から中空部への連通部を有する
    中空繊維の中空部内へ、該連通部を介してモノマー液及
    び架橋剤を導入し、次いで該モノマーを重合させると共
    に架橋させて非水溶性吸水性ポリマーを形成し、該非水
    溶性吸水性ポリマーの形成と同時又はその後に含水せし
    めて含水ゲルとすることを特徴とする保温、保冷性中空
    繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】 繊維表面から中空部への連通部を有する
    中空繊維の中空部内へ、該連通部を介してポリマー液及
    び架橋剤を導入し、次いで該ポリマーを架橋させて非水
    溶性吸水性ポリマーを形成し、該非水溶性吸水性ポリマ
    ーの形成と同時又はその後に含水せしめて含水ゲルとす
    ることを特徴とする保温、保冷性中空繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 繊維表面から中空部への連通部を有する
    中空繊維の中空部内へ、該連通部を介してモノマー液を
    導入し、該モノマーを重合させた後、架橋剤を導入し、
    得られたポリマーを架橋させて非水溶性吸水性ポリマー
    を形成し、該非水溶性吸水性ポリマーの形成と同時又は
    その後に含水せしめて含水ゲルとすることを特徴とする
    保温、保冷性中空繊維の製造方法。
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