JPH08325945A - 吸湿性中空繊維及びその製造方法 - Google Patents

吸湿性中空繊維及びその製造方法

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JPH08325945A
JPH08325945A JP13350195A JP13350195A JPH08325945A JP H08325945 A JPH08325945 A JP H08325945A JP 13350195 A JP13350195 A JP 13350195A JP 13350195 A JP13350195 A JP 13350195A JP H08325945 A JPH08325945 A JP H08325945A
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JP
Japan
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hollow
fiber
hollow fiber
hydrogen atom
alkyl group
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Application number
JP13350195A
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English (en)
Inventor
Motoyoshi Suzuki
東義 鈴木
Hironari Murase
裕也 村瀬
Satomi Akimoto
里美 秋元
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】改善された吸湿性及びその耐久性を有し、着用
快適性に優れると共に、繊維強度等の物性、発色鮮明
性、耐熱性、耐光性、染色堅牢性、耐摩耗性等にも優
れ、該中空繊維の中空部に対繊維機能付与剤を導入した
際、耐久性と徐放性とが両立可能な吸湿性中空繊維及び
その製造方法を提供すること。 【構成】単一ポリマーで構成され、少なくとも20%の
高中空率を有する中空繊維であって、該中空繊維の長手
方向には、該ポリマーの除去痕としてのマイクログルー
ブが中空部に連通した状態で存在し、且つ該中空部には
特定の構造を有する非水溶性重合体が存在する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は吸湿性中空繊維及びその
製造方法に関する。更に詳細には、優れた吸湿性及びそ
の耐久性を有すると共に、該中空繊維の中空部に対繊維
機能付与剤を導入した際、耐久性と徐放性とが両立可能
な吸湿性中空繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】ポリエステル繊維等の合成繊維は多くの優
れた特性を有するために広く用いられている。しかしな
がら、かかる合成繊維は疎水性であるため、木綿、麻等
の天然繊維やレーヨン等の化学繊維に比較して吸水性、
吸湿性が劣り、着用快適性が要求される分野での使用が
制限されている。
【0003】従来、ポリエステル繊維等の合成繊維に吸
水性(液体状態の水を吸収する機能)を付与する方法と
して、実用上は、繊維表面に親水性皮膜を形成せしめる
方法が主として採用されており、この他に繊維に放電処
理を施す方法、合成繊維にアクリル酸やメタクリル酸等
の親水性化合物をグラフト重合する方法、合成繊維の表
面を薬品でエッチングする方法等が提案されている。
【0004】また、合成繊維断面を異形化したり、表面
を多孔質化することによって毛細管現象を利用して吸水
性を向上せしめる方法も提案されている。
【0005】一方、合成繊維に吸湿性(気体状態の水を
吸収する機能)を付与する方法については幾多の研究が
なされ、数多くの提案が行われているが、実用化された
ものはほとんどない。
【0006】例えば、ポリアルキレングリコールを共重
合した吸湿性合成繊維が提案されているが、ポリアルキ
レングリコール共重合による吸湿性向上の効果は小さ
く、しかも耐熱性、耐光性の低下が著しいため使用に耐
えない。
【0007】また、合成繊維にアクリル酸、メタクリル
酸をグラフト重合した後ナトリウム塩化することによっ
て木綿と同等の吸湿率を示す吸湿性合成繊維が提案され
ている。
【0008】しかしながら、かかる繊維では繊維内部ま
でグラフト成分が導入されるため、繊維の強度等の物性
や耐熱性が著しく低下すると共に、耐光性を含む各種の
染色堅牢度の劣化等が著しく、実用に耐えない。
【0009】又、特定のシュウ酸錯塩を配合せしめたポ
リエステル未延伸糸をスチーム延伸することにより得ら
れる毛管凝縮能を有する多孔質組織をもった吸湿性ポリ
エステル繊維(特開昭54―93121号公報)やポリ
エステル繊維の表層部に毛管凝縮能をもった孔径30m
μ以下の微細孔を有する層を設けた吸湿性ポリエステル
繊維(特公平1―51590号公報)等が提案されてい
る。
【0010】しかしながら、これらの毛管凝縮型吸湿性
ポリエステル繊維は、染色した際に色が白っぽくなって
鮮明で深みのある色彩が得られない欠点があり、又着用
中の摩擦等の外力や洗濯時の機能力によって多孔質組織
が容易に破壊し、吸湿性が失われる。
【0011】更に、特開平5―339878号公報、特
開平6―17372号公報及び特開平6―17373号
公報には、繊維表面から中空部へ連通する微細孔をもっ
た多孔質中空繊維の微細孔内および中空部内に天然蛋白
質を含浸させ、架橋不溶化して、吸湿性を改善すること
が開示されている。
【0012】しかしながら、ここで使用される天然蛋白
質水溶液は粘度が高く、しかも水溶液がゲル化する場合
があるので、連通孔を介して中空部内に含浸させること
は極めて困難であり、逆に、粘度を下げようとして天然
蛋白質水溶液の濃度を低くすると、最終的に中空部内に
含まれる天然蛋白質の量が少なくなり、いずれも充分な
吸湿性が得られない。
【0013】更に、特開平5―173167号公報に
は、芯鞘型複合繊維をアルカリ減量し、芯部を溶解除去
して、繊維表面から中空部まで貫通する繊維軸に平行な
貫通溝を有する中空繊維となし、該中空繊維の中空部
に、該中空繊維を構成するポリマーのガラス転移点以下
の曇点を持つモノマーから形成された吸湿剤を付着させ
た吸湿性繊維が開示されている。
【0014】しかし、かかる繊維においては幅および長
さが過度に大きな貫通溝が形成されるので、該貫通溝を
通して吸湿剤が、洗濯等により、容易に脱落し、耐久性
に劣るという問題があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、改善
された吸湿性及びその耐久性を有し、着用快適性に優れ
ると共に、繊維強度等の物性、発色鮮明性、耐熱性、耐
光性、染色堅牢性、耐摩耗性等にも優れ、該中空繊維の
中空部に対繊維機能付与剤を導入した際、耐久性と徐放
性とが両立可能な吸湿性中空繊維及びその製造方法を提
供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、アクリル
酸重合体やメタクリル酸重合体、特にその金属塩重合体
が極めて大きな吸湿性を呈する点に着目し、かかるアク
リル酸系重合体を中空繊維の中空部に充填・固定化すべ
く鋭意検討を行った。
【0017】その結果、アクリル酸若しくはその金属
塩、あるいはメタクリル酸若しくはその金属塩をモノマ
ーの状態で、繊維表面から中空部まで連通する微細孔を
有する中空繊維の中空部に充填し、しかる後該中空部内
で重合させることにより所望の中空繊維が得られるこ
と、及び、該金属塩としてアルカリ金属塩を用いると
き、その効果が格段に向上できることを究明した。
【0018】更に、本発明者等は、上記中空繊維とし
て、単一ポリマーで構成され、少なくとも20%の高中
空率を有し、且つ繊維の長手方向に該ポリマーの除去痕
としてのマイクログルーブを中空部に連通した状態で有
する中空繊維を用いるとき、驚くべきことに、特異的に
高い吸湿性能が達成されることを知見した。
【0019】かくして本発明によれば、単一ポリマーで
構成され、少なくとも20%の高中空率を有する中空繊
維であって、該中空繊維の長手方向には、該ポリマーの
除去痕としてのマイクログルーブが中空部に連通した状
態で存在し、且つ該中空部には下記一般式(I)で示さ
れる繰返し単位を主たる繰返し単位とする非水溶性重合
体が存在することを特徴とする吸湿性中空繊維が提供さ
れる。
【0020】
【化5】
【0021】式中、Xは水素原子又は炭素原子数1〜4
のアルキル基、Yは水素原子又は炭素原糸数1〜4のア
ルキル基又は―COOM基、Zは水素原子又は炭素原子
数1〜4のアルキル基、Mは水素原子又は金属を示す。
【0022】また、本発明によれば、単一ポリマーで構
成され、少なくとも20%の高中空率を有する中空繊維
を、該ポリマーを溶解する溶剤乃至溶液で処理して、該
中空繊維の長手方向に沿った低配向部及び/又は変形歪
集中部を除去した後、下記一般式(II)で示される水溶
性モノマーを中空部に充填し、次いで該水溶性モノマー
を架橋剤の存在下に重合せしめることを特徴とする吸湿
性中空繊維の製造方法が提供される。
【0023】
【化6】
【0024】式中、Xは水素原子又は炭素原子数1〜4
のアルキル基、Yは水素原子、炭素原糸数1〜4のアル
キル基又は―COOM基、Zは水素原子又は炭素原子数
1〜4のアルキル基、Mは水素原子又は金属を示す。
【0025】本発明における中空繊維をポリエステル丸
断面中空繊維を例にとって添付の図により説明する。
【0026】該中空繊維は、図3に示すような、複数の
スリットS′1 〜S′4 のアセンブリーからなる紡糸口
金を用いることにより得られる。即ち、隣り合うスリッ
ト端部間にはわずかな隙間C(キャナルと呼ばれる)が
あるが、この部分で各スリットから吐出されたポリマー
はバラス効果により接合され、中空繊維が形成される。
【0027】このようなポリエステル中空繊維からなる
布帛をアルカリ減量した後の中空繊維側面を示すのが図
1であり、G1 〜G4 (G3 〜G4 は側面からは見えな
い)は繊維の長手方向に間歇的に延在するマイクログル
ーブを示す。
【0028】また、図1の側面図に対応する中空繊維の
断面図が図2であり、長手方向に延在する4ケのマイク
ログルーブが中空部と連通した状態を示す。
【0029】図2において、S1 〜S4 は中空繊維中空
壁部、G1 〜G4 は繊維の長手方向に延在するマイクロ
グルーブを示し、この部分は、図1に示すスリット状吐
出孔S′1 〜S′4 からポリマーを吐出固化して得た、
高中空繊維の中空壁部に存在する、ポリマーの低配向部
及び/または変形歪集中部がアルカリ処理によって優勢
的に溶解除去されて形成されたものである。
【0030】ここで、低配向部とは、ポリマーの吐出時
の吐出斑等により、中空壁部の厚さがその周囲に比べて
薄くなった部分や、吐出後の冷却斑等により、ポリマー
の流動が充分に起こらず、分子配向が他の繊維形成部に
比べて低くなった部分を言う。
【0031】また、変形歪集中部とは、紡糸・延伸工程
あるいは織編成工程において繊維軸と直交する方向に加
わる応力により、変形歪が内在された部分をいい、具体
的には、中空繊維の断面が多角形の場合の各頂点近傍
や、吐出ポリマーがバラス効果によってぶつかり合うポ
リマー接合部(図1で各C部に対応する)などが挙げら
れる。
【0032】上記中空繊維を構成するポリマーは、高中
空率繊維が製造可能で、繊維化した後、溶剤乃至溶液で
溶解することが可能な熱可塑性ポリマーであれば良く、
ポリエステルやポリアミドなどが好ましく例示できる。
【0033】なお、本発明では、中空繊維は単一組成の
ポリマーで構成されているが、この単一組成で構成され
た中空繊維とは、2種以上の組成のポリマーで構成され
た複合繊維を含まない意味であり、ポリマー組成それ自
体は2種以上のポリマーから成っていても良い。
【0034】また、上記ポリマーには本発明の目的を損
なわない範囲で改質剤、酸化チタンのような艶消剤、酸
化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、安定剤、無機
微粒子等を添加してもよい。
【0035】本発明においては、まず、上記ポリマーを
常法により溶融紡糸し、1000〜4000m/分の速
度で引き取った後、必要に応じて延伸し、少なくとも2
0%以上の高中空率を有する中空繊維とする必要があ
る。
【0036】中空率が20%未満の場合には、低配向部
及び/または変形歪集中部が形成されにくくなり、目的
とするマイクログルーブを有する中空繊維を得ることは
できない。
【0037】中空率の上限は繊維としての物性確保の意
味から高々70%程度に留めるのが適当である。そし
て、この中空率の好ましい範囲は30〜60%であり、
特に好ましい範囲は35〜50%である。
【0038】また、上記の延伸に際し、紡出糸をその自
然延伸倍率(NDR)未満の延伸倍率で延伸することに
より、未延伸のシック部と延伸されたシン部とが混在す
るシックアンドシン中空繊維を得ることもできる。
【0039】上記シックアンドシン中空繊維の単糸の太
細比(直径比)は、1.9以下であることが好ましい。
太細比が1.9を越える場合は、マイクログルーブが大
きくなりすぎ、吸湿性の効果が悪化する場合がある。
【0040】中空繊維の形状には特に限定はなく、丸断
面の他、三角、偏平、星型、ブーメラン型等自由に採用
できる。この場合中空部の形状は繊維と同じ形状でも異
なった形状でもよい。
【0041】上記中空繊維は織編成、その他の方法で布
帛にした後、該ポリマーを溶解する溶剤乃至溶液で処理
することにより、繊維の長手方向にマイクログルーブを
形成する。
【0042】このマイクログルーブは、中空繊維の中空
壁部分に少なくとも1ケ所存在する低配向部及び/また
は変形歪集中部の除去痕として、繊維の長手方向に形成
され、特に布帛が織物の場合は、織成の際に過大な応力
が掛かる経糸と緯糸との交差部ないしその近傍、また、
布帛が編物の場合には、編成の際に過大な応力が掛かる
結接部ないしその近傍に優勢的に形成され、中空部まで
連通するに至る。
【0043】また、布帛にする際には、必要に応じて他
のポリエステル繊維や合成繊維或いは木綿、羊毛などの
天然繊維、レーヨンなどの再生繊維及びポリエチレンテ
レフタレート系ポリエステルをハードセグメントとし、
ポオキシブチレングリコール系ポリエステルをソフトセ
グメントとするブロック共重合ポリエーテルエステル弾
性繊維などとの交織、交編、交紡、混繊などの形で使用
されてもよい。
【0044】かかるマイクログルーブは、その幅が0.
2〜10μm、長さが5〜200μmの範囲で形成され
ることが好ましい。
【0045】この幅が0.2μm未満あるいは長さが5
μm未満の場合には、前記水溶性モノマーや対繊維機能
付与剤の浸漬が困難となり、一方、幅が10μmを超え
る場合あるいは長さが200μmを超える場合には、繊
維がフイブリル化しやすくなり、耐摩耗性等が低下し、
中空部の維持が困難になる。
【0046】マイクログルーブを形成させるための溶解
処理は、例えば使用するポリマーがポリエステルの場
合、通常実施されるアルカリ減量処理を行なえば良い
が、通常の減量処理に比べて急激に減量を行うことが好
ましく、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム水溶液の濃
度を50〜250g/lとし、80〜140℃で2〜6
0分間処理することが好ましい。
【0047】該アルカリ減量は、吊り減量、コールドバ
ッチ、液流染色機によるバッチ減量、あるいはスチーム
もしくは加熱蒸気を使用した連続減量など、従来公知の
方法を任意に使用することができる。
【0048】また、上記アルカリ減量に引き続いて染色
処理、好ましくは高圧染色処理を施すことがマイクログ
ルーブ形成には好適であり、なかでも該高圧染色処理を
液流染色機もしくは気流染色機を用いて行うのが、温度
効果と揉み効果とが相乗的に作用するので、特に好まし
い。
【0049】さらに、本発明の中空繊維は、前述した溶
解処理に先立ち、加圧処理してもよい。該加圧により、
基体中空繊維の長手方向に存在する低配向部及び/また
は変形歪集中部に応力が集中し、微細クラック等の発生
によって溶解処理が促進され、マイクログルーブの形成
がさらに容易に行われる。
【0050】好ましい加圧の方法としては、コットン、
金属などからなるロールを用いたカレンダー加工が挙げ
られ、上下のロール速度が異なった、いわゆるフリクシ
ョンロールを使用すると、特に著しい薬液処理促進効果
を示すことがある。
【0051】使用するロールは表面がフラットなもの
や、柄を彫刻したエンボスロールなどが目的に応じて、
適宜選択される。
【0052】加圧温度は中空繊維の二次転移点以下の温
度であることが適当であり、中空繊維がポリエステルか
らなる場合は、50℃以下がさらに好ましい。
【0053】加圧温度が二次転移点を越える場合には、
基体中空繊維を構成するポリマーが流動し易くなり、中
空部のつぶれや繊維の物性低下が起こり易くなる。
【0054】また、この際の圧力は、線圧力で5〜60
kg/cmが好ましい。線圧力が5kg/cm未満で
は、薬液処理の促進効果が不充分であり、一方、線圧力
が60kg/cmを越える場合には中空繊維が偏平化
し、布帛の光沢が増加して実用に供せないことがある。
【0055】カレンダー加工以外の加圧の方法として
は、ストンウオッシュ加工等が挙げられる。これらの方
法においては、布帛を構成する繊維がストンなどの固体
により、部分的にかつランダムに加圧を受ける。
【0056】本発明の吸湿性中空繊維の中空部には、前
記一般式(I)で示される繰返し単位を主たる繰り返し
単位とする非水溶性重合体が存在する。
【0057】一般式(I)中、Xは水素原子又は炭素原
子数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、アルキ
ル基の中では、メチル基が好ましい。
【0058】Yは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキ
ル基又は―COOM基であり、アルキル基の中では、メ
チル基が好ましい。
【0059】Zは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキ
ル基又は―CH2 COOMであり、水素原子又は―CH
2 COOMであることが好ましい。
【0060】Mは水素原子又は金属であり、中でも、N
a、K、Liなどのアルカリ金属を用いれば、吸湿性が
格段に向上できるので好ましい。
【0061】かかる非水溶性重合体を中空繊維の中空部
に存在せしめるには、例えば、前記のマイクログルーブ
を有する中空繊維の中空部に、前記一般式(II)で示さ
れる水溶性モノマーを、マイクログルーブを介して充填
し、その後該水溶性モノマーを架橋剤の存在下に重合せ
しめて非水溶性重合体とすることによって容易に得るこ
とができる。
【0062】上記式(II)におけるX、Y、ZおよびM
は前記した式(I)におけるそれらと同一である。
【0063】かかる水溶性モノマーの好ましい具体例と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ
皮酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン
酸、イタコン酸およびそれらのNa酸、K塩、Li塩等
を挙げることができる。該水溶性モノマーは1種のみを
単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0064】水溶性モノマーの重合時に併用する架橋剤
としては、上記水溶性モノマーからなる重合体を非水溶
化できるものであればよく、1分子中にビニル基および
/又はエポキシ基を2箇以上もつ化合物や多価金属化合
物を例示できるが、架橋剤そのものとしては水溶性であ
るものが好ましい。
【0065】かかる1分子中にビニル基および/又はエ
ポキシ基を2箇以上もつ化合物としては、例えば下記一
般式(III )〜(VII )で表わされる化合物があげられ
る。
【0066】
【化7】
【0067】(Rは水素又はメチル基、lは1〜40の
整数)
【0068】
【化8】
【0069】(Rは水素又はメチル基、lおよびmは1
以上の整数で、かつ2≦l+m≦40の関係を満足する
整数)
【0070】
【化9】
【0071】(lおよびmは1以上の整数で、かつ2≦
l+m≦40の関係を満足する整数)
【0072】
【化10】
【0073】(lおよびmは1以上の整数で、かつ2≦
l+m≦40の関係を満足する整数)
【0074】
【化11】
【0075】(A及びA’は下記(VIII)または(IX)
式で表される基(Rは水素原子又はメチル基)、Bは水
素原子、A又はA’で、aは3〜6の整数)
【0076】
【化12】
【0077】
【化13】
【0078】かかる化合物の好ましい具体例としては、
ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレ
ングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテル、グリセリンジメタリレート、グ
リセリンジ(又はトリ)メタクリレート、グリセリンジ
(又はトリ)アクリレート、グリセリンジ(又はトリ)
グリシジルエーテル、トリアリルイソシアヌレート及び
下記(X )〜(XII )式に示す化合物等を挙げることが
できる。上記架橋剤は1種のみを単独に使用しても又は
2種以上を併用してもよい。
【0079】
【化14】
【0080】
【化15】
【0081】
【化16】
【0082】また、架橋剤として用いることができる多
価金属化合物としては2価以上の金属の無機塩、有機カ
ルボン酸塩、錯塩等を挙げることができる。
【0083】かかる2価以上の金属としてはCa、M
g、Zn、Mn、Co、Al、Ti、Sn、Cu、F
e、Cr、Ni、Zr等が好ましく、これらの塩化物、
硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、エチレンジアミ
ン4酢酸錯体等が好ましく例示される。
【0084】具体的には酢酸カルシウム、酢酸マグネシ
ウム、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸マンガ
ン、酢酸コバルト、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウ
ム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第1ス
ズ、EDTA―Ca、EDTA―Mg等をあげることが
できる。かかる多価金属化合物は1種のみを単独で用い
ても又は2種以上を併用してもよい。
【0085】水溶性モノマーおよび架橋剤を中空部に充
填して重合する方法としては、以下の方法を例示するこ
とができ、該重合反応は重合開始剤乃至触媒の存在下に
加熱して行うのが望ましい。 (1) 水溶性モノマー、架橋剤および好ましくは重合開始
剤乃至触媒を含む水溶液を基体中空繊維上に塗布し、次
いで加熱する方法。 (2) 基体中空繊維を水溶性モノマー、架橋剤および好ま
しくは重合開始剤乃至触媒を含む水溶液浴中に浸漬し、
空気と水溶液とを置換し、次いで加熱する方法。 (3) 基体中空繊維を水溶性モノマー、架橋剤および好ま
しくは重合開始乃至触媒を含む水溶液浴中に浸漬した
後、マングルなどで圧絞して空気と水溶液とを置換し、
次いで加熱する方法。 (4) 基体中空繊維を密閉容器中に入れて減圧し、基体中
空繊維の中空部の空気を除いた後、水溶性モノマー、架
橋剤および好ましくは重合開始剤乃至触媒を含む水溶液
を該容器に注入して中空部内に充填させ、次いで加熱す
る方法。
【0086】ここで、上記重合開始剤としては、例え
ば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水
素、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、硫酸第二セリウム
アンモニウム、硝酸第二セリウムアンモニウムなどのセ
リウムアンモニウム塩、或いはα,α′―アゾビスイソ
ブチロニトリルなどが挙げられる。又、上記触媒として
は、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、イミダゾー
ル化合物、3フッ化ホウ素、Zn(BF4 2 、KO
H、SnCl4 などが挙げられる。
【0087】本発明の吸湿中空繊維においては、前記非
水溶性重合体が中空繊維の中空部のみに存在し、中空繊
維の外表面や繊維間空隙には実質的に存在しないこと
が、最終的に得られる織編物製品の本来の風合を損うこ
となく優れた吸湿性を付与する上で好ましい。
【0088】かかる態様を実現する方法としては、例え
ば前記水溶性モノマー、架橋剤および好ましくは重合開
始剤乃至触媒を含む水溶液を中空部に充填した後、重合
反応を行うに先立って該基体中空繊維の表面にヒドロキ
ノン、ヒドロキノンモノメチルエーテルの如き重合禁止
剤を付与する方法や、前記水溶性モノマー、架橋剤およ
び好ましくは重合開始剤乃至触媒を含む水溶液を中空部
に充填した後、温度50〜130℃、好ましくは70〜
100℃の湯浴中で処理して中空部のモノマーを重合さ
せると同時に基体中空繊維の外表面や繊維間空隙に存在
する水溶性モノマーを洗浄除去する方法などが例示され
る。
【0089】本発明においては、中空繊維の中空部に上
記非水溶性重合体と共に対繊維機能付与剤を存在させる
ことが好ましい。
【0090】ここで、対繊維機能付与剤としては、繊維
に付与された際に、種々の化学的機能を発現することが
可能な物質をいい、以下のようなものが例示される (1)植物エキス、植物蛋白質 アロエ、アロエベラ、オウゴン(コガネバナ)、オウバ
ク(キハダ)、カッコン(クズ)、カミツレ、キュウ
リ、コウカ(ベニバナ)、コムギ、コメ、サンシン(ク
チナシ)、シア、シコン(ムラサキ)、シャクヤク、シ
ラカバ、センキュウ、センブリ、タイソウ(ナツメ)、
ダイス、チャ(紅茶・緑茶)、トウキ、チンピ(ウンシ
ュウミカン)、トウヒ(ダイダイ)、トマト、ニンジ
ン、ニンニク、バクモンナドウ(ジャリノヒゲ)、ハマ
メリス、ヘキマ、ホップ、モモ、ヨクイニン(ハトム
ギ)、レモン、ログウッド、アルテア、アルニカ、イチ
ョウ、オトギリソウ、カイソウ、キウイ、クジン(クラ
ラ)、ソウハクヒ(クワ)、サルビア、サンショウ、ジ
オウ(アカヤジオウ)、チョウジ(クローブ)、トウキ
ンセンカ、ジュウヤク(ヒキオコシ)、ボダイジュ、レ
ンゲソウ、ソウハクヒ、クジン、カプサイシン(トウガ
ラシ)、シソなどを溶媒(例えばブロピレングリコール
45%水)などで抽出した溶液もしくは抽出物を乾燥・
粉砕したもの。
【0091】(2)動物蛋白質 人胎盤、牛胎盤、人脾帯、牛皮膚、豚皮膚、牛項靭帯、
牛血液、牛脳、豚胃、鶏冠、乳酸球菌、蟹甲殻、牛乳、
絹、ビール酵母、乳精、ガゼイン、など。
【0092】(3)セラミック微粒子 平均一次粒径が0.01〜1μmの金属酸化物、炭化
物、窒化物、珪化物から成り、単一組成微粒子もしくは
これらの混合微粒子などである。
【0093】具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、コロ
イダルシリカ、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭化ジルコ
ニウム、ゼオライト、スピオライトなどである。
【0094】(4)抗菌性およびもしくは消臭性を有す
る化合物 ここでいう抗菌性とは防カビ性、防腐性、細菌に対する
抵抗性、殺菌性、昆虫又はダニ類に対する忌避性などを
さす。消臭性は防臭性も含まれる。
【0095】具体的には、オクタカルボ鉄フタロシアニ
ン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、アジピン酸
メチルエステル、ポリアクリロニトリル硫化銅複合体
(ダイジュナイト)、有機シリコン系第4級アンモニウ
ム塩、3,4,4′―トリクロロカルバニリド、有機窒
素化合物、抗菌性ゼオライト、芳香族ハロゲン化合物、
α―サイナミックアルデヒド、2―(4―チアゾリル)
ベンズイミダゾールなどである。
【0096】(5)保香性を有する化合物 例えば、理研香料工業製のFC5696(イグサ)、F
C5698(ジャスミン)など。
【0097】(6)天然多糖類 (7)撥水性を有する化合物 パーフルオロアルキル基などのフルオロカーボン基を側
鎖に有し、アクリル酸エステル系高分子あるいはメタク
リル酸エステル系高分子等を主鎖にもつ含フッ素重合
体、ジメチルポリシロキサンやその共重合体等のシリコ
ーン系樹脂など。
【0098】上記の対繊維機能付与剤を中空繊維の中空
部に充填する方法としては、格別な方法を要せず、例え
ば前述した非水溶性重合体を中空部に充填する方法にお
ける充填液、即ち、水溶性モノマー、架橋剤および好ま
しくは重合開始剤乃至触媒を含む水溶液の中に更に上記
対繊維機能付与剤を溶解若しくは分散させ、以後同様に
行う方法等を好ましくあげることができる。この際対繊
維機能付与マイクロカプセル化したり、界面活性剤等で
分散させて用いても何ら差支えない。
【0099】
【作用】本発明の吸湿性中空繊維は、中空部まで連通し
た状態で存在する特定のマイクログルーブと、中空部に
存在するカルボン酸(金属塩)基を有する特定の非水溶
性重合体との新規な組み合せによって、従来例を見ない
高い吸湿性とその耐久性を呈する。
【0100】この理由については未だ明らかではない
が、かかる特定のマイクログルーブの存在によって、中
空部内へのモノマーの充填性や中空部内でのモノマーの
重合性が異なり、中空繊維の中空部内で特殊な重合反応
が生起して、該非水溶性重合体がその化学的構造に基づ
く化学的吸湿の他に、毛管凝縮能を有する多孔質組織が
形成されて物理的吸湿をも呈するためと推定される。
【0101】また、本発明の中空繊維は、所望の対繊維
機能付与剤を中空部に充填することによって、各種機能
の耐久性と徐放性をバランスさせることができるので、
最終的に得られる織編物製品の付加価値を更に向上させ
ることができる。
【0102】さらに、本発明の中空繊維は吸湿性に優れ
るばかりでなく、繊維強度等の物性、発色鮮明性、耐熱
性、耐光性、染色堅牢性、耐摩耗性等にも優れるので、
着用快適性や吸湿性を必要とするインナー、ナイティ
ー、ブラウス、スポーツウエア等の衣料用および水まわ
り製品等の非衣料用の用途分野で極めて有用である。
【0103】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に説明する
が、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるも
のではない。実施例中の部及び%はそれぞれ重量部及び
重量%を示し、吸湿率、洗濯耐久性、摩擦帯電圧、防ダ
ニ性は以下の方法で測定した。
【0104】(1)吸湿率 試料を50℃×2Hr予備乾燥後、105℃×2Hr絶
乾した(この時の重量をW0 とする)。
【0105】次に20℃×90%RHのデシケータ中に
3日間入れた後重量(W1 とする)を測定して、下記の
式で吸湿率を算出した。
【0106】
【数1】 吸湿率(%)=((W1 −W0 )/W0 )×100
【0107】(2)洗濯耐久性 JIS L―1018―77 6.36 H法に準じ、
洗濯は20回繰り返した。
【0108】(3)摩擦帯電圧 ロータリースタテックテスター(京大・化研式)を用い
て、JIS L―1094 8・2 B法に従った。摩
擦布は綿金巾、測定条件は20℃×40%RHで行っ
た。摩擦帯電圧が小さいほど制電性が良いことを示す。
【0109】(4)防ダニ性 直径4cm、高さ0.6cmのプラスチックシャーレを
粘着シート上に置き、その周囲に6個の同一のシャーレ
を中央のシャーレと縁が必ず接触する様に置く。
【0110】その中心部のシャーレにダニ培地を生存ダ
ニ数として約3,000個体投入、ダニを入れたシャー
レの周囲6個のシャーレには処理区と無処理区の試料を
交互に敷く込み、各試料上にダニの入っていない粉末飼
料0.05gを置く。これを27×13×9cmの商品
保存用プラスチック製容器に粘着シートごと入れ、飽和
食塩水を入れて蓋をして容器内の湿度を約75%に保
ち、26℃±1℃の恒温器に格納して1昼夜飼育する。
【0111】翌日、試料上の粉末飼料は飽和食塩水浮遊
法にて、試料は水洗法にてダニを回収した後計数し、次
式にあてはめて忌避率を求めた。なお、試験はばらつき
を考慮し3回の繰り返しを行った。ダニはヤチョウヒダ
ニを用いた。
【0112】
【数2】忌避率(%)=(1−(処理区のダニ数/対照
区のダニ数))×100
【0113】[実施例1]図3に示す中空繊維用紡糸口
金を用いて溶融紡糸を行い、固有粘度が0.61のポリ
エチレンテレフタレート(二酸化チタン量2.5%)か
らなる中空繊維の未延伸糸を得た。この未延伸糸を常法
に従って延伸し、100デニール/24フィラメントで
中空率40%の丸中空マルチフィラメントを得た。この
丸中空マルチフィラメントを用いて平織物を織成し、常
法に従って精練、プリセットを施した後、水酸化ナトウ
リム50g/lの水溶液中で105℃にて10分間処理
して減量率15%の布帛となし、次いで下記の条件で染
色した。
【0114】 (染色条件) Sumikalon Nary Blue S―2GL(住友化学製) 4%owf 酢酸 0.3g/l Disper VG(明成化学工業製) 0.5g/l 130℃×60分間染色後、100℃×5分間乾燥
【0115】得られた布帛からマルチフィラメントを抜
き出し、その表面を電子顕微鏡で観察した結果、繊維軸
方向の長さ100μm当り、幅0.2〜2.0μm、長
さ10〜150μmのマイクログルーブが少なくとも1
個存在することが認められた。
【0116】次に、この布帛を密閉容器内に入れ、真空
ポンプを用いて容器内を0.1Torrまで減圧し、次
いでこの容器内に下記の組成の水溶液を注入した。
【0117】 (水溶液組成) アクリル酸ナトリウム 20部 PEG200ジメタクリレート(式(III )でR=CH3 、n=4) 5部 過硫酸カリウム 0.5部 水 74.5部
【0118】上記水溶液を注入後、真空ポンプを用いて
更に減圧状態を10分間維持した。この時の容器内の真
空度は0.2Torrであった。
【0119】続いてこの布帛を100℃の熱湯中に入れ
て揺動させながら3分間浸漬し、その後風乾し、次に1
20℃で1分間の熱処理を施した。
【0120】この布帛の吸湿率は表1に示す通りであっ
た。又、この布帛を電子顕微鏡で観察したところ、アク
リル酸ナトリウム単位を主たる繰返し単位とする非水溶
性重合体が中空繊維の中空部にのみ存在し、繊維外表
面、繊維間空隙、組織間には全く付着していなかった。
このため、この布帛は未加工品と同等のソフトな風合、
タッチを呈した。
【0121】[比較例1]実施例1において、特公昭6
1―31231号公報に記載の微細孔形成剤含有ポリエ
ステル(帝人株式会社製「ウエルキィ」用ポリマー)を
用い、50デニール/20フィラメントで中空率18%
の丸中空マルチフィラメントを得た以外は実施例1と同
様に実施した。
【0122】この中空繊維には中空部まで連通した、直
径0.1〜2μmの微細な連通孔が無数に観察された。
【0123】また、得られた布帛の吸湿率は表1に示す
通りであり、該布帛を電子顕微鏡で観察したところ、ア
クリル酸ナトリウム単位を主たる繰返し単位とする非水
溶性重合体は中空部にほとんど存在しなかった。
【0124】[実施例2]実施例1において、充填液と
して使用した水溶液の組成を下記の組成に変更した以外
は実施例1と同様に行った。
【0125】(水溶液組成) アクリル酸ナトリウム 15部 アクリル酸 5部 PEG200ジメタクリレート 5部 過硫酸カリウム 0.5部 水 74.5部
【0126】得られた布帛の吸湿率は表1に示す通りで
あり、該布帛を電子顕微鏡で観察したところ、アクリル
酸ナトリウム単位を主たる繰返し単位とする非水溶性重
合体が中空繊維の中空部にのみ存在し、繊維外表面、繊
維間空隙、組織間には全く付着していなかった。このた
め、この布帛は未加工品と同等のソフトな風合、タッチ
を呈した。
【0127】[実施例3]実施例1において充填液とし
て使用した水溶液の組成を下記の組成に変更した以外は
実施例1と同様に行った。
【0128】 (水溶液組成) メタクリル酸カリウム 15部 メタクリル酸 5部 PEG200ジグリシジルエーテル(式(V)でn=4) 5部 過硫酸アンモニウム 0.5部 水 74.5部
【0129】得られた布帛の吸湿率は表1に示す通りで
あり、該布帛を電子顕微鏡で観察したところ、メタクリ
ル酸カリウム単位を主たる繰返し単位とする非水溶性重
合体が中空繊維の中空部にのみ存在し、繊維外表面、繊
維間空隙、組織間には全く付着していなかった。このた
め、この布帛は未加工品と同等のソフトな風合、タッチ
を呈した。
【0130】[実施例4]実施例1において充填液とし
て使用した水溶液の組成を下記の組成に変更した以外は
実施例1と同様に行った。
【0131】 (水溶液組成) メタクリル酸 20部 PEG200ジグリシジルエーテル(式(V)でn=4) 5部 過硫酸アンモニウム 0.5部 水 74.5部
【0132】得られた布帛の吸湿率は表1に示す通りで
あり、該布帛を電子顕微鏡で観察したところ、メタクリ
ル酸単位を主たる繰返し単位とする非水溶性重合体が中
空繊維の中空部にのみ存在し、繊維外表面、繊維間空
隙、組織間には全く付着していなかった。このため、こ
の布帛は未加工品と同等のソフトな風合、タッチを呈し
た。
【0133】[比較例2]実施例1において、充填液と
して使用した水溶液の組成を下記の組成に変更した以外
は実施例1と同様に行った。
【0134】(水溶液組成) PEG200ジメタクリレート 20部 過硫酸カリウム 0.1部 水 79.9部
【0135】得られた布帛の吸湿率は表1に示す通りで
あり、該布帛を電子顕微鏡で観察したところ、PEG2
00ジメタクリレート単位を主たる繰返し単位とする非
水溶性重合体が中空繊維の中空部にのみ存在し、繊維外
表面、繊維間空隙、組織間には全く付着していなかっ
た。このため、この布帛は未加工品と同等のソフトな風
合、タッチを呈した。
【0136】
【表1】
【0137】[実施例5]実施例1において充填液とし
て使用した水溶液の組成を下記の分散液組成に変更する
以外は実施例1と同様に行った。
【0138】 (水溶液組成) アクリル酸ナトリウム 20部 PEG200ジメタクリレート 5部 大和化学製タンドルDC―87(ピロリドンカルボン酸ナトリウムおよびグリセ ライドからなる抗菌・保湿加工剤) 5部 過硫酸カリウム 0.5部 水 69.5部
【0139】得られた布帛の吸湿率は表2に示す通りで
あり、該布帛を電子顕微鏡で観察したところ、アクリル
酸ナトリウム単位を主たる繰返し単位とする非水溶性重
合体が中空繊維の中空部にのみ存在し、繊維外表面、繊
維間空隙、組織間には全く付着していなかった。
【0140】また、得られた布帛はソフトで良好な風合
とタッチを有すると共に表2に示すような優れた制電
性、防ダニ性を示した。
【0141】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空繊維を構成する基体中空繊維の側
面図で、マイクログルーブの形状を示す。
【図2】本発明の中空繊維を構成する基体中空繊維の側
面図で、4箇のマイクログルーブが中空部と連通した状
態を示す。
【図3】丸形中空繊維紡糸用の口金の一例を示す断面
図。
【符号の説明】
1 〜S4 中空繊維の壁部分を構成するポリマー G1 〜G4 中空繊維の中空部に連通するマイクロ
グルーブ S′1 〜S′4 中空繊維の紡糸口金を構成するスリッ
ト C スリット切り欠き部(キャナル)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一ポリマーで構成され、少なくとも2
    0%の高中空率を有する中空繊維であって、該中空繊維
    の長手方向には、該ポリマーの除去痕としてのマイクロ
    グルーブが中空部に連通した状態で存在し、且つ該中空
    部には下記一般式(I)で示される繰返し単位を主たる
    繰返し単位とする非水溶性重合体が存在することを特徴
    とする吸湿性中空繊維。 【化1】 (式中、Xは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル
    基、Yは水素原子又は炭素原糸数1〜4のアルキル基又
    は―COOM基、Zは水素原子又は炭素原子数1〜4の
    アルキル基、Mは水素原子又は金属を示す。)
  2. 【請求項2】 非水溶性重合体が、下記一般式(I)で
    示される繰返し単位を主たる繰返し単位とする重合体で
    ある請求項1記載の吸湿性中空繊維。 【化2】 (式中、Xは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル
    基、Yは水素原子又は炭素原糸数1〜4のアルキル基又
    は―COOM基、Zは水素原子又は炭素原子数1〜4の
    アルキル基、Mはアルカリ金属を示す。)
  3. 【請求項3】 中空繊維の中空部に対繊維機能付与剤が
    存在する請求項1又は2記載の吸湿性中空繊維。
  4. 【請求項4】 単一ポリマーで構成され、少なくとも2
    0%の高中空率を有すると共に、繊維の長手方向に沿っ
    て、低配向部及び/又は変形歪集中部を有する中空繊維
    を、該ポリマーを溶解する溶剤乃至溶液で処理して、該
    低配向部及び/又は変形歪集中部を溶解除去した後、下
    記一般式(II)で示される水溶性モノマーを中空部に充
    填し、次いで該水溶性モノマーを架橋剤の存在下に重合
    せしめることを特徴とする吸湿性中空繊維の製造方法。 【化3】 (式中、Xは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル
    基、Yは水素原子、炭素原糸数1〜4のアルキル基又は
    ―COOM基、Zは水素原子又は炭素原子数1〜4のア
    ルキル基、Mは水素原子又は金属を示す。)
  5. 【請求項5】 非水溶性重合体が、下記一般式(II)で
    示される繰返し単位を主たる繰返し単位とする重合体で
    ある請求項4記載の吸湿性中空繊維の製造方法。 【化4】 (式中、Xは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル
    基、Yは水素原子又は炭素原糸数1〜4のアルキル基又
    は―COOM基、Zは水素原子又は炭素原子数1〜4の
    アルキル基、Mはアルカリ金属を示す。)
  6. 【請求項6】 中空繊維の中空部に対繊維機能付与剤が
    存在する請求項4又は5記載の吸湿性中空繊維の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002266167A (ja) * 2001-03-13 2002-09-18 Teijin Ltd 分割性中空ポリエステル繊維
JP2003082527A (ja) * 2001-09-07 2003-03-19 Teijin Ltd 分割性ポリエステル繊維

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