JP2003082527A - 分割性ポリエステル繊維 - Google Patents

分割性ポリエステル繊維

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JP2003082527A JP2001271531A JP2001271531A JP2003082527A JP 2003082527 A JP2003082527 A JP 2003082527A JP 2001271531 A JP2001271531 A JP 2001271531A JP 2001271531 A JP2001271531 A JP 2001271531A JP 2003082527 A JP2003082527 A JP 2003082527A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステル単独からなり、外力で均一に分
割されて極細繊維となる易分割性ポリエステル繊維を提
供すること。 【解決手段】 乳酸系ポリエステルを3〜10重量%含
有するポリアルキレンテレフタレートを主成分とするポ
リエステルポリマーを、その繊維断面壁において特定厚
さの肉薄部を3〜5箇所有する断面形状の中空繊維とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外力を加えること
で容易に分割し極細繊維が得られる易分割性ポリエステ
ル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、0.5デシテックス以下の極細繊
維は衣料用布帛、ワイパー、眼鏡拭きなどの用途に広く
用いられている。このような極細繊維を得る方法の一つ
として、例えば特開昭62−133164号公報に開示
されているように、ナイロンとポリエステルのような互
いに相溶性の小さい2種のポリマーを放射状又は層状に
交互積層した複合繊維を形成して、ニードルパンチや皮
揉機といった機械的衝撃力により積層界面で剥離分割さ
せる方法が採用されている。
【0003】しかし、このような2種以上の異なるポリ
マーからなる極細繊維は、ポリマー間の易染色性、染色
堅牢性、熱収縮特性、吸湿特性などの特性に差があり、
実用上さまざまな不都合が生じる。例えば、ナイロン6
とポリエチレンテレフタレートからなる放射状複合繊維
を分割してなる極細繊維布帛の場合は、ナイロン6とポ
リエチレンテレフタレートの染色性差から生じる染料汚
染、吸湿特性差から生じる湿度による寸法変化、ナイロ
ン6による耐光堅牢性の劣化、といった問題が生じてい
る。
【0004】また、このような複合繊維をカードにかけ
た場合は、カード処理途中で積層界面が剥離して極細繊
維へと分割されやすく、カード針布へ極細繊維が絡みつ
いたり、極細繊維がカードに詰まるといったトラブルが
生じやすい。
【0005】更に、近年、環境保護意識の高まりからマ
テリアルリサイクルやケミカルリサイクルによる再生ポ
リエステル繊維が盛んに検討されているが、このような
異種ポリマーよりなる複合繊維や極細繊維製品は、ポリ
エステルの選別が困難という問題もある。特に、ナイロ
ンとポリエステルが混合した製品からポリエステルをリ
サイクルするためには特殊な処理技術が必要であり、リ
サイクルコストの上昇を伴うという問題を生じている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術を背景になされたもので、その目的は、異種ポリマー
積層型複合紡糸によらない単一のポリエステルからな
る、外力で容易に、均斉度の高い繊度の極細繊維に分割
される易分割性ポリエステル繊維を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、乳酸系ポリエス
テルを3〜10重量%含有するポリアルキレンテレフタ
レートを主成分とするポリエステルからなるポリエステ
ル繊維であって、該繊維横断面には繊維軸方向に連続し
た多角形状又は多葉形状の中空部が1個存在し、その中
空率が15〜60%であり、繊維断面壁に3〜5個の肉
薄部が存在し、かつ、下記に定義するdとrとの比(d
/r)が0.2〜0.8である易分割性ポリエステル繊
維、ここで、dは該中空部断面の外接円の各接点と繊維
断面外周との最短距離を、rは該外接円の半径を表す、
および、該繊維横断面に繊維軸方向に連続した中空部が
1個存在し、その中空率が15〜60%であり、繊維断
面壁に3〜5個の肉薄部が存在し、かつ、下記に定義す
るDとRとの比(D/R)が0.2〜0.8である易分
割性ポリエステル繊維を見出した。ここで、Dは繊維断
面外周の内接円の各接点と繊維断面中空部内壁との最短
距離を、Rは該内接円の半径を表す。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態について詳
細に説明する。本発明におけるポリアルキレンテレフタ
レートを主成分とするポリエステルとは、テレフタル酸
またはそれらのエステル形成性誘導体を主たるジカルボ
ン酸成分とし、エチレングリコール、1,3−プロパン
ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルキレン
グリコールを主たるジオール成分とするポリエステルを
80重量%以上、好ましくは90%以上含有するポリエ
ステルのことをいうが、該ポリアルキレンテレフタレー
トには、本発明の目的を損なわない範囲内で、イソフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸などの芳香族ジカルボン酸またはそれらのエステル形
成性誘導体、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸等の脂
肪族ジカルボン酸またはそれらのエステル形成性誘導
体、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジ
カルボン酸またはそれらのエステル形成性誘導体、パラ
ヒドロキシ安息香酸、4−(β−ヒドロキシエトキシ)
安息香酸等のオキシカルボン酸またはそれらのエステル
形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの脂
肪族ジオール、メチレン1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール等の脂環族ジオール、1,4−ビス(β−ヒドロ
キシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA等の芳香族
ジオールなどを共重合させたものを含む。代表的な例と
しては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテ
レフタレート・イソフタレート、ポリトリメチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリペンタ
メチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等が挙げ
られる。
【0009】また、該ポリエステルには、必要に応じ
て、離型剤、流動性改善剤、撥水剤、親水剤、安定剤、
酸化防止剤、顔料、着色剤、各種無機粒子、その他の改
良剤を添加してもよい。
【0010】本発明では、ポリアルキレンテレフタレー
トを主成分とするポリエステルに、重量割合で、乳酸系
ポリエステルが3〜10重量%、好ましくは5〜8重量
%、の割合で混合されていなければならない。
【0011】ここで、乳酸系ポリエステルとは、乳酸を
主たる繰り返し単位とするポリエステルをいい、L−乳
酸及び/又はD−乳酸成分が50重量%以上の重合体で
あり、ポリL−乳酸ホモポリマー、ポリD−乳酸ホモポ
リマー、L−乳酸/D−乳酸共重合ポリマー及びそれら
に50%以下の第2又は第3成分を共重合及び/又は混
合した物を包含する。共重合成分としては、例えばエチ
レングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、
オクタンジオール、デカンジオールなどのジオール、コ
ハク酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸、
ヒドロキシアルキルカルボン酸、ピバロラクトン、カプ
ロラクトンなどの脂肪族ラクトン、ポリエチレングリコ
ールなどが挙げられる。なお、分子量は100000〜
300000の範囲ものが好ましく挙げられる。
【0012】ポリアルキレンテレフタレートを主成分と
するポリエステルと乳酸系ポリエステルとの混合は、溶
融工程以前でお互いに固体の状態で実施しても良いし、
おのおの別途に溶融した後溶融体同士を合流させても良
い。
【0013】乳酸系ポリエステルの含有量が3重量%未
満の場合は、繊維断面の分割が十分に起こらず、均斉度
の高い繊度の極細繊維は得られない。乳酸系ポリエステ
ルの含有量が10重量%を超える場合には、繊維のフィ
ブリル化が起こり易くなり、分割後の極細繊維の裂断、
抜け落ち、摩滅などが発生する。また、溶融紡糸時にポ
リマー吐出が不安定となり、紡糸断糸が多発する。
【0014】本発明の繊維断面の実施形態の一つは、例
えば図1に示すように、繊維断面に繊維軸方向に連続し
た多角形状あるいは多葉形状の中空部(図1の1)が1
個存在し、その中空率が15〜60%であり、かつ、繊
維断面壁に3〜5個の肉薄部(図1の2)が存在し、下
記に定義するdとrとの比(d/r)が0.2〜0.8
の範囲にある断面形状をなしている。ここで、dは該中
空部断面の外接円(図1の3)の各接点(図1の4)と
繊維断面外周との最短距離(図1のd)を、rは該外接
円の半径(図1のr)を表す。また、中空率は、繊維断
面において、外周で囲まれる面積をA1、中空部の面積
をA2とするとき、A2/A1×100(%)で表され
る。
【0015】このような繊維断面形状をなすポリエステ
ル繊維は、外力の付与によって、繊維断面の肉薄部で繊
維軸方向に容易に割繊されて、均斉度の高い繊度の極細
繊維となる。
【0016】中空率が15%未満の場合は、繊維断面の
分割が十分に起こらず、均斉度の高い繊度の極細繊維は
得られない。中空率が60%を超える場合は、繊維断面
が潰れ易くなり、外力を加えても繊維断面分割が十分に
起こらない。さらに、中空率20〜50%の範囲で、よ
り充分な繊維断面分割が起こり、均斉度の高い極細繊維
繊維が得られる。また、このような中空部が2個以上存
在すると加えられた外力が分散してしまい、外力を加え
ても繊維断面分割が十分に起こらない。
【0017】また、このような中空断面形状における繊
維断面壁の肉薄部とは、例えば図1の2に示すような中
空壁が繊維断面外周方向に凹部をなし繊維断面壁の厚さ
が薄くなった部分をいう。このような肉薄部が外力によ
って破断し極細繊維が形成される。肉薄部が1〜2個の
場合は、分割部位が少ないため、充分細い繊度とするこ
とができない。肉薄部が6個以上の場合は、繊維断面壁
の肉厚が一様となり、外力を加えても繊維断面分割が十
分に起こらない。
【0018】さらに、d/rが0.2未満の場合は、比
較的小さい外力で繊維断面が分割してしまうため、延
伸、カード処理などの中間工程で繊維断面の不均一な分
割が発生し、均斉度の高い繊度の極細繊維は得られな
い。d/rが0.8を超える場合は、外力を加えても分
割が十分に起こらない。さらに、d/rが0.4〜0.
6の範囲で、より充分な繊維断面分割が起こり、均斉度
の高い極細繊維繊維が得られる。
【0019】なお、繊維断面外周の形状は特に限定する
必要は無く、円形であっても、多角形であっても良い。
【0020】このように、繊維断面に繊維軸方向に連続
した多角形状あるいは多葉形状の中空部(図1の1)が
1個存在し、その中空率が15〜60%であり、かつ、
繊維断面壁に3〜5個の肉薄部(図1の2)が存在し、
d/rが0.2〜0.8の範囲にある断面形状をなし、
優れた潜在分割性能を有する分割性ポリエステル繊維
は、溶融紡糸に際し、例えば図2に示すような吐出孔を
穿設した紡糸口金を使用することによって製造すること
ができる。すなわち、ポリエステル組成物を溶融紡糸す
る際、紡糸口金として、湾曲矩形状の吐出開口部を3〜
5個の範囲で複数個、同一円周上に等間隔に配置したも
のを用いる。
【0021】本発明のもう一つの繊維断面の実施形態
は、例えば図3に示すように、繊維断面に繊維軸方向に
連続した中空部(図3の5)が1個存在し、その中空率
が15〜60%であり、かつ、繊維断面壁に3〜5個の
肉薄部(図3の6)が存在し、下記に定義するDとRと
の比(D/R)が0.2〜0.8の範囲にある断面形状
をなしている。ここで、Dは繊維断面外周の内接円(図
3の7)の各接点(図3の8)と繊維断面中空部内壁と
の最短距離(図3のD)を、Rは該内接円(図3の7)
の半径(図3のR)を表す。
【0022】このような繊維断面形状をなすポリエステ
ル繊維は、外力の付与によって、繊維断面の肉薄部で繊
維軸方向に容易に割繊されて、均斉度の高い繊度の極細
繊維となる。
【0023】中空率が15%未満の場合は、繊維断面の
分割が十分に起こらず、均斉度の高い繊度の極細繊維は
得られない。中空率が60%を超える場合は、繊維断面
が潰れ易くなり、外力を加えても繊維断面分割が十分に
起こらない。さらに、中空率20〜50%の範囲で、よ
り充分な繊維断面分割が起こり、均斉度の高い極細繊維
繊維が得られる。また、このような中空部が2個以上存
在すると加えられた外力が分散してしまい、外力を加え
ても繊維断面分割が十分に起こらない。
【0024】また、このような中空断面形状における繊
維断面壁の肉薄部とは、例えば図3の6に示すような繊
維断面外周部が凹部をなし繊維断面壁の厚さが薄くなっ
た部分をいう。このような肉薄部が外力によって破断し
極細繊維が形成される。肉薄部が1〜2個の場合は、分
割部位が少ないため、充分細い繊度とすることができな
い。肉薄部が6個以上の場合は、繊維断面壁の肉厚が一
様となり、外力を加えても繊維断面分割が十分に起こら
ない。
【0025】D/Rが0.2未満の場合は、比較的小さ
い外力で繊維断面が分割してしまうため、延伸、カード
処理などの中間工程で繊維断面の不均一な分割が発生
し、均斉度の高い繊度の極細繊維は得られない。D/R
が0.8を超える場合は、外力を加えても分割が十分に
起こらない。さらに、D/Rが0.4〜0.6の範囲
で、より充分な繊維断面分割が起こり、均斉度の高い極
細繊維繊維が得られる。
【0026】なお、中空部の断面形状は特に限定する必
要は無く、円形であっても、多角形あるいは多葉形であ
っても良い。
【0027】このように、繊維断面に繊維軸方向に連続
した中空部(図3の5)が1個存在し、その中空率が1
5〜60%であり、かつ、繊維断面壁に3〜5個の肉薄
部(図3の6)が存在し、D/Rが0.2〜0.8の範
囲にある断面形状をなし、優れた潜在分割性能を有する
分割性ポリエステル繊維は、溶融紡糸に際し、例えば図
4に示すような吐出孔を穿設した紡糸口金を使用するこ
とによって製造することができる。すなわち、ポリエス
テル組成物を溶融紡糸する際、紡糸口金として、多角形
状、好ましくは3角形状、の吐出開口部を3〜5個の範
囲で複数個、同一円周上に等間隔に配置したものを用い
る。
【0028】3〜10重量%の乳酸系ポリエステルを予
め混合したポリアルキレンテレフタレートを主成分とす
るポリエステル組成物を溶融し、あるいは、各々別途に
溶融した後溶融体同士を合流させ、前述の吐出孔形状か
ら選出した形状の吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、
紡糸口金吐出面から25〜40mm下方の位置で15〜
35℃の冷却風で冷却固化し、300〜2000m/分
の紡糸速度で引取って、中空未延伸繊維を得る。
【0029】次いで、得られた中空未延伸繊維を温度5
0〜80℃の温水中で、1.3〜6.0倍の延伸倍率で
延伸し、用途に応じて必要な油剤を付与した後、クリン
パーで機械捲縮を付与して、乾燥したのち、所望の繊維
長にカットする。その際、温水延伸後に80〜200℃
の緊張熱処理を加えると、より分割性が向上するので好
ましい。また、捲縮形態は、用途に応じて、溶融紡糸時
に非対称冷却した後延伸後弛緩熱処理することにより立
体捲縮を付与してもよく、抄紙成型するために捲縮を付
与しなくてもよい。
【0030】このようにして得られた本発明の易分割性
ポリエステル繊維は、ニードルパンチや皮揉機等の外力
を加えることにより、繊維断面の肉薄部で割繊し、均斉
度の高い繊度の極細繊維に分割される性質を潜在的にも
つ。また、本発明の易分割性ポリエステル繊維はナイロ
ンのごとく特性の異なる異種ポリマーを含まないので、
優れた実用性能およびリサイクル性を備えている。
【0031】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に具体的に
説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測
定した。
【0032】(1)固有粘度 オルトクロロフェノールを溶媒として、35℃で測定し
た。
【0033】(2)分割前繊度 JIS−L1015 7−5−1A法により測定した。
【0034】(3)中空率、d/r、D/R 画像解析システム、ピアスー2(ピアス(株)製)を用
いて、単繊維の断面画像を500倍に拡大し、A1、A
2、d、r、DおよびRを測定し、中空率(A2/A1
×100)、d/rおよびD/Rを算出した。繊維の切
断面20個について測定し、それぞれ平均値を算出し
た。
【0035】(4)繊維の分割割合(%) 延伸・緊張熱処理後のポリエステル繊維束を1対の金属
ローラーで線圧10kg/cmでニップして通過させた
後の繊維断面写真を撮り、写真から単糸を50本ランダ
ムに選択し、全肉薄中空壁個数のうち完全に分割してい
る肉薄中空壁の割合(%)を繊維の分割割合とした。繊
維の分割割合(%)が高いほど均斉な繊度の極細繊維が
得られていることを表す。
【0036】(5)分割後繊度 分割処理後の繊度は下記式で計算した。 分割前繊度÷肉薄部の数(図1の2、図3の6あるいは
図5の10)
【0037】[実施例1]酸化チタン含有量が0.5重
量%で、固有粘度が0.61であるポリエチレンテレフ
タレート(帝人(株)製:融点254℃)とポリ乳酸
(島津製作所(株)製 ラクティ:融点175℃、重量
平均分子量200,000)とを重量比93:7で2軸
混練機を用いて溶融し、図2に示すような吐出孔形状を
600孔穿設した紡糸口金から、ポリマー温度285
℃、吐出量280g/分で吐出した。その吐出ポリマー
流に対し、該紡糸口金面から35mm下方の位置で温度
25℃、風速1.5m/秒の冷却風を長さ200mmに
わたって吹付け、紡糸速度900m/分で引取って単繊
維繊度5.2デシテックスの未延伸繊維を得た。
【0038】得られた未延伸繊維を、温度70℃、延伸
倍率2.6倍で温水1段延伸し、175℃の加熱ローラ
ーで緊張熱処理し、紡績用油剤を付与した後、クリンパ
ーを通して12個/25mmの機械捲縮を付与して、風
乾後、51mmの長さに切断して単繊維繊度2.0デシ
テックスのポリエステル短繊維とした。
【0039】得られたポリエステル短繊維の断面は図1
に示すような形状であり、中空率は36%、繊維断面壁
の肉薄部(図1の2)は4個/単繊維断面、d/rの平
均値は0.5、d/rの範囲は0.4〜0.6であっ
た。延伸・緊張熱処理後のポリエステル繊維束を1対の
金属ローラーで押圧分割処理した後の繊維の分割割合は
98%であり、分割後繊度は0.50デシテックスであ
った。
【0040】[実施例2]酸化チタン含有量が0.3重
量%で、固有粘度が0.64であるポリエチレンテレフ
タレートイソフタレート(イソフタレート10モル%共
重合、帝人(株)製:融点232℃)とポリ乳酸(島津
製作所(株)製 ラクティ:融点175℃、重量平均分
子量200,000)とを重量比93:7で2軸混練機
を用いて溶融し、図4に示すような吐出孔形状を600
孔穿設した紡糸口金から、ポリマー温度285℃、吐出
量280g/分で吐出した。その吐出ポリマー流に対
し、該紡糸口金面から35mm下方の位置で温度25
℃、風速1.5m/秒の冷却風を長さ200mmにわた
って吹付け、紡糸速度900m/分で引取って単繊維繊
度が5.2デシテックスの未延伸繊維を得た。
【0041】得られた中空未延伸繊維を、温度70℃、
延伸倍率2.6倍で温水1段延伸し、160℃の加熱ロ
ーラーで緊張熱処理し、紡績用油剤付与した後、クリン
パーを通して12個/25mmの機械捲縮を付与して、
風乾後、51mmの長さに切断して単糸繊度2.2デシ
テックスのポリエステル短繊維とした。
【0042】得られたポリエステル短繊維の断面は図3
に示すような形状であり、中空率は41%、繊維断面壁
の肉薄部(図3の6)は3個/単繊維断面、d/rの平
均値は0.7、d/rの範囲は0.6〜0.8であっ
た。延伸・緊張熱処理後のポリエステル繊維束を1対の
金属ローラーで押圧分割処理した後の繊維の分割割合は
96%であり、分割後繊度は0.73デシテックスであ
った。
【0043】[比較例1]酸化チタン含有量が0.3重
量%で、固有粘度が0.64であるポリエチレンテレフ
タレートイソフタレート(イソフタレート10モル%共
重合、帝人(株)製:融点232℃)とポリ乳酸(島津
製作所(株)製 ラクティ:融点175℃、重量平均分
子量200,000)との重量比を99:1とする以外
は、実施例1と同じ条件および方法で、単糸繊度2.0
デシテックスのポリエステル短繊維を得た。
【0044】得られたポリエステル単繊維の断面は図1
に示すような形状であり、中空率は18%、繊維断面壁
の肉薄部(図1の2)は4個/単繊維断面、d/rの平
均値は0.8、d/rの範囲は0.7〜0.9であっ
た。延伸・緊張熱処理後のポリエステル繊維束を1対の
金属ローラーで押圧分割処理した後の繊維の分割割合は
16%であり、分割処理後の繊度低下が不十分であり、
均斉度の高い繊度の極細繊維は得られなかった。
【0045】[比較例2]図6に示すような吐出孔形状
を600孔穿設した紡糸口金を使用する以外は、実施例
1と同じ条件および方法で、単糸繊度2.0デシテック
スのポリエステル短繊維を得た。
【0046】得られたポリエステル短繊維の断面は図5
に示すような形状であり、中空率は42%、繊維断面壁
の肉薄部(図5の10)は6個/単繊維断面、d/rの
平均値は0.4、d/rの範囲は0.3〜0.5であっ
た。延伸・緊張熱処理後のポリエステル繊維束を1対の
金属ローラーで押圧分割処理した後の繊維の分割割合は
21%であり、分割処理後の繊度低下が不十分であり、
均斉度の高い繊度の極細繊維は得られなかった。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、異種ポリマーを含ま
ず、ポリエステル単独からなり、外力によって分割さ
れ、均斉度の高い繊度の極細繊維となる易分割性ポリエ
ステル繊維を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例1で得られる単繊維の繊
維断面を例示した模式図。
【図2】実施例1および比較例1で用いられる紡糸口金
の吐出孔形状の実施態様例を示した模式図。
【図3】実施例2で得られる単繊維の繊維断面を例示し
た模式図。
【図4】実施例2で用いられる紡糸口金の吐出孔形状の
実施態様例を示した模式図。
【図5】比較例2で得られる単繊維断面を例示した模式
図。
【図6】比較例2で用いられる紡糸口金の吐出孔形状の
実施態様例を示した模式図。
【符号の説明】
1、5、9 :繊維断面における中空部 2、6、10:繊維断面壁の肉薄部 3、11 :中空部断面の外接円 4、12 :中空部断面と外接円の接点 7 :繊維断面外周の内接円 8 :繊維断面外周の内接円の接点 d :外接円の接点と繊維断面外周との最短距
離 r :外接円の半径 D :内接円の接点と繊維断面中空部内壁との
最短距離 R :内接円の半径

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳酸系ポリエステルを3〜10重量%含
    有するポリアルキレンテレフタレートを主成分とするポ
    リエステルからなるポリエステル繊維であって、該繊維
    横断面には繊維軸方向に連続した多角形状又は多葉形状
    の中空部が1個存在し、その中空率が15〜60%であ
    り、繊維断面壁に3〜5個の肉薄部が存在し、かつ、下
    記に定義するdとrとの比(d/r)が0.2〜0.8
    であることを特徴とする易分割性ポリエステル繊維。
    (dは、該中空部の断面の外接円の各接点と繊維断面外
    周との最短距離を表し、rは、該外接円の半径を表
    す。)
  2. 【請求項2】 乳酸系ポリエステルを3〜10重量%含
    有する、ポリアルキレンテレフタレートを主成分とする
    ポリエステルからなるポリエステル繊維であって、該繊
    維横断面には繊維軸方向に連続した中空部が1個存在
    し、その中空率が15〜60%であり、繊維断面壁に3
    〜5個の肉薄部が存在し、かつ、下記に定義するDとR
    との比(D/R)が0.2〜0.8であることを特徴と
    する易分割性ポリエステル繊維。(Dは、繊維断面外周
    の内接円の各接点と繊維断面中空部内壁との最短距離を
    表し、Rは、該内接円の半径を表す。)
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