JPH09195180A - 着色された中空繊維 - Google Patents

着色された中空繊維

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JPH09195180A
JPH09195180A JP8010023A JP1002396A JPH09195180A JP H09195180 A JPH09195180 A JP H09195180A JP 8010023 A JP8010023 A JP 8010023A JP 1002396 A JP1002396 A JP 1002396A JP H09195180 A JPH09195180 A JP H09195180A
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JP
Japan
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water
hollow fiber
hollow
colored
fiber
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Application number
JP8010023A
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English (en)
Inventor
Motoyoshi Suzuki
東義 鈴木
Satomi Akimoto
里美 秋元
Hajime Izawa
一 伊澤
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 天然色素による落ちついた色調や自然な味わ
いの色彩表現が可能であると共に、耐光性、耐洗濯性等
の染色堅牢度が格段に改善された中空繊維を提供する。 【解決手段】 繊維表面から中空部への連通孔を有する
中空繊維であって、該中空繊維の中空部には、天然色素
で着色された吸水性ポリマーの架橋物が充填されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然色素で着色さ
れた繊維に関し、更に詳細には、中空繊維の中空部内に
天然色素で着色された吸水性ポリマーの架橋物が充填さ
れている、耐光性等の染色堅牢度が格段に改善された中
空繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自然志向やエコロジー重視の風潮
が高まる中で、繊維分野においては、日本古来の草木染
などの天然色素による染色が、その落ち着いた色調や自
然な味わい等により見直されるようになってきている。
【0003】一般に、草木染は、絹、木綿、麻、羊毛等
の天然繊維に適用されているが、最近になって、ポリエ
ステル繊維等の合成繊維への草木染も試みられるように
なってきている(特開平3−40881号公報)。
【0004】しかしながら、草木染に使用される天然色
素は、合成染料等の合成色素に比較して、耐光性、耐洗
濯性等の染色堅牢度が低いレベルにあり、対象が天然繊
維の場合には、社会的、歴史的背景から、かかる染色堅
牢度の悪さが消費者にある程度許容される土壌があるた
め問題の深刻さは比較的小さいと言えるが、対象がポリ
エステル繊維等の合成繊維の場合には、物性はもとより
染色堅牢度等の機能性が極めて優れているというイメー
ジが広く定着しているので、かかる染色堅牢度の悪さが
消費者に許容され難いという問題がある。
【0005】このような天然色素で染色された繊維の染
色堅牢度の低さを解消する方法として、媒染金属化合物
を選択する方法や紫外線吸収剤や酸化防止剤を使用する
方法が考えられるが、これらによる染色堅牢度等の改善
効果は少なく、不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、天然染料等
の天然色素による落ちついた色調や自然な味わいの色彩
表現が可能であると共に、耐光性、耐洗濯性等の染色堅
牢度が格段に改善された中空繊維を提供することを課題
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、繊維表面から中空部へ
の連通孔を有する中空繊維の中空部に、天然色素で着色
された吸水性ポリマーの架橋物を充填させればよいこと
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、繊維表面から中空部への
連通孔を有する中空繊維であって、該中空繊維の中空部
には、天然色素で着色された吸水性ポリマーの架橋物が
充填されていることを特徴とする着色された中空繊維で
ある。
【0009】
【発明の実施の態様】本発明の中空繊維としては、レー
ヨン繊維、アセテート繊維等の化学繊維やポリエステル
繊維、ナイロン繊維等の合成繊維からなる中空繊維を用
いることができ、なかでも、ポリエステル中空繊維が特
に好ましく例示される。
【0010】ここで、ポリエステルとは、テレフタル酸
を主たるジカルボン酸成分とし、少なくとも1種のグリ
コール、好ましくは、エチレングリコール、トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール等から選ばれ
た少なくとも1種のアルキレングリコールを主たるグリ
コール成分とするポリエステル等が挙げられる。
【0011】上記ポリエステルには、艶消剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤等を含有させてもよく、かかる剤を含
有させることは、耐光性等の染色堅牢度の面からむしろ
好ましいことである。
【0012】その他、必要に応じて、触媒、安定剤、着
色防止剤、難燃剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、耐熱剤、
着色剤、無機粒子等の添加剤を含有させてもよい。
【0013】かかる中空繊維は、従来公知の方法によつ
て製造することができ、例えば実公平2―43879号
公報に記載の方法等が任意に採用できる。
【0014】上記の中空繊維に繊維表面から中空部にま
で至る多数の連通孔を形成させる方法としては、例え
ば、ポリエステル中空繊維の場合、特公昭61―601
88号公報、特公昭61―31231号公報等に記載さ
れているように、有機スルホン酸金属塩を添加配合せし
めたポリエステル中空繊維をアルカリ減量処理すること
により、中空繊維表面から中空部まで連通した多数の微
細孔を形成させる方法等を任意に採用することができ
る。
【0015】更に、中空率が20%以上のポリエステル
中空繊維をアルカリ減量処理すれば、上記したような有
機スルホン酸金属塩を使用しなくても、繊維の長手方向
に沿った低配向部及び/又は変形歪集中部の除去痕とし
て、多数の連通孔を形成することができる(特開平7―
26466号公報)。
【0016】本発明の中空繊維としては、上記したよう
な繊維表面から中空部まで達する多数の連通孔を有する
中空繊維がすべて含まれ、その際に、中空率、該連通孔
の大きさや数は特に限定されるものではないが、連通孔
の大きさが、中空部に充填された吸水性ポリマー架橋物
の絶乾状態における非膨潤状態の大きさよりも小さいこ
とが、天然色素発色性の洗濯耐久性向上の点からは好ま
しい。
【0017】本発明における吸水性ポリマーの架橋物と
しては、天然系の吸水性ポリマーの架橋物や、合成系の
吸水性ポリマーの架橋物が挙げられるが、モノマーでの
取扱いが可能で中空部内に含浸し易く、取扱が容易であ
ることから、合成系の吸水性ポリマーの架橋物が好まし
い。
【0018】かかる吸水性ポリマーの架橋物としては、
例えば、(a)カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホ
ン酸基及びスルホン酸塩基よりなる群から選ばれた少な
くとも1種の基を有する水溶性モノマー、(b)加水分
解により水溶性となるモノマー(少なくとも1個の加水
分解性基(エステル基、ニトリル基など)を有するモノ
マー)、(c)澱粉及び/又はセルロース、(d)架橋
剤を用い、 (a)及び/又は(b)と(d)とを必須成分として
重合させ、必要により加水分解を行うことにより得られ
る吸水性ポリマーの架橋物 (a)及び/又は(b)と(c)と(d)とを必須成
分として重合させ、必要により加水分解を行うことによ
り得られる吸水性ポリマーの架橋物(具体的には、特開
昭52−25886号、特公昭53―46199号、特
公昭53―46200号及び特公昭55―21041号
公報に記載されたもの) (a)及び/又は(b)と(c)とを重合させて得ら
れるゲル(具体的には、澱粉―アクリロニトリルグラフ
ト重合体の加水分解物、セルロース―アクリロニトリル
グラフト重合体の加水分解物など) (c)の架橋物(カルボキシメチルセルロースの架橋
物など) 自己架橋を有する(a)及び/又は(b)の重合物
(自己架橋型ポリ(メタ)アクリル酸塩など)が挙げら
れる。
【0019】かかる吸水性ポリマーの架橋物は、1種類
を単独で使用しても、また2種以上を併用してもよい。
【0020】ここで、(a)の水溶性モノマーの具体例
としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケ
イ皮酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコ
ン酸、イタコン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンス
ルホン酸およびそれらのNa塩、K塩、Li塩などが挙
げられる。
【0021】かかる吸水性ポリマーの架橋ゲルとして
は、具体的には、架橋されたポリ(メタ)アクリル酸部
分中和塩、架橋ポリ(メタ)アクリルアミドの部分加水
分解物、架橋された(メタ)アクリル酸−(メタ)アク
リルアミド共重合体、架橋されたスルホン化ポリスチレ
ン、ビニルエステル−不飽和カルボン酸共重合体ケン化
物、架橋された(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル
酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マ
レイン酸共重合体、架橋されたカルボン酸変性ポリビニ
ルアルコール等を挙げることができる。
【0022】上記吸水性ポリマーの架橋物は、純水に対
する吸水性能が少なくとも1ml/gであるものが好ま
しく、なかでも5〜1000ml/gであるものが特に
好ましい。
【0023】かかる吸水性ポリマー架橋物の中空繊維内
の充填量は、絶乾状態における非膨潤状態で、中空繊維
を規準にして、1重量%以上であることが天然色素の発
色性の点から好ましく、5重量%以上であるのがより好
ましい。この充填量が多すぎると、該架橋物の吸水膨潤
時に中空繊維の割裂等が発生する傾向があるので、充填
量は80重量%以下であることが好ましい。
【0024】吸水性ポリマーの架橋物を前記中空繊維内
に充填させる方法としては、以下の方法を好ましく例示
することができる。
【0025】(a)前記中空繊維を、好ましくは織編物
等の繊維構造物の形態で、吸水性ポリマーの未架橋物及
び/又は該吸水性ポリマーの構成モノマー、架橋剤並び
に好ましくは重合開始剤乃至触媒を含有する溶液中に浸
漬し、該中空繊維内部の空気と溶液とを置換し、次いで
加熱することによって未架橋吸水性ポリマーの架橋反応
乃至上記モノマーの重合・架橋反応を生起せしめて、中
空繊維内に吸水性ポリマーの架橋物を形成する方法。
【0026】(b)前記中空繊維を、好ましくは織編物
等の繊維構造物の形態で、吸水性ポリマーの未架橋物及
び/又は該吸水性ポリマーの構成モノマー、架橋剤並び
に好ましくは重合開始剤乃至触媒を含有する溶液中に浸
漬し、次いでマングルなどで圧絞した後、ポリ塩化ビニ
リデンフィルム等のポリマーフィルムでシールして放置
することによって該中空繊維内の空気と溶液とを置換
し、続いて加熱することによって未架橋吸水性ポリマー
の架橋反応ないし上記モノマーの重合・架橋反応を生起
せしめて、中空繊維内に吸水性ポリマーの架橋物を形成
する方法。
【0027】(c)前記中空繊維を、好ましくは織編物
等の繊維構造物の形態で、密閉容器中に入れて減圧し、
該中空繊維の中空部の空気を除いた後、吸水性ポリマー
の未架橋物及び/又は該吸水性ポリマーの構成モノマ
ー、架橋剤並びに好ましくは重合開始剤乃至触媒を含有
する溶液を該容器に注入して中空繊維内に充填させ、次
いで加熱することによって未架橋吸水性ポリマーの架橋
反応ないし上記モノマーの重合・架橋反応を生起せしめ
て、中空繊維内に吸水性ポリマーの架橋物を形成する方
法。
【0028】ここで、上記溶液の溶剤としては、上記成
分を溶解できるものであればよく、例えば水及び/又は
水に可溶な有機溶剤を挙げることができる。水に可溶な
有機溶剤としてはイソプロピルアルコールのようなアル
コール、メチルエチルケトンのようなケトン、テトラヒ
ドロフラン、N,N―ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルフォキシド、N,N―ジメチルアセトアミド、N―
メチル―2―ピロリドン等が挙げられる。なかでも、水
が特に好ましい。
【0029】上記架橋剤としては、上記吸水性ポリマー
を架橋して非水溶性の架橋物と成し得るものであればよ
く、例えば、1分子中にビニル基及び/又はエポキシ基
を2個以上もつ化合物や多価金属化合物を例示できる。
なかでも、架橋剤自身としては、水溶性であるものが好
ましい。
【0030】かかる架橋剤の具体例としては、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールジアクリレート、ポリエチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、グリセリンジ(又はトリ)メタクリレー
ト、グリセリンジ(又はトリ)アクリレート、グリセリ
ンジ(又はトリ)グリシジルエーテル、トリメチロール
プロパンジ(又はトリ)メタクリレート、トリメチロー
ルプロパンジ(又はトリ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパンジ(又はトリ)グリシジルエーテル等を挙げ
ることができる。
【0031】架橋剤として用いることができる多価金属
化合物としては、2価以上の金属の無機塩、有機カルボ
ン酸塩、錯塩等を挙げることができる。かかる2価以上
の金属としては、Ca、Mg、Zn、Mn、Co、A
l、Ti、Sn、Cu、Fe、Cr、Ni、Zr等が好
ましく、これらの塩化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、コ
ハク酸塩、エチレンジアミン四酢酸錯体等が好ましく例
示される。
【0032】具体的には、酢酸カルシウム、酢酸マグネ
シウム、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸マン
ガン、酢酸コバルト、硫酸アルミニウム、塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウム、硫酸第一スズ、EDTA―C
a、EDTA―Mg等を挙げることができる。かかる多
価金属化合物は、1種のみを単独で用いても又は2種以
上を併用してもよい。
【0033】上記重合開始剤としては、例えば、過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過酸化ベ
ンゾイル等の過酸化物、硫酸第二セリウムアンモニウ
ム、硝酸第二セリウムアンモニウム等のセリウムアンモ
ニウム塩、或いはα,α−アゾビスイソブチロニトリル
等が挙げられる。
【0034】更に、上記の触媒としては、第三級アミ
ン、第四級アンモニウム塩、イミダゾール化合物、三フ
ッ化ホウ素、Zn(BF4 2 、KOH、SnCl
4 等が挙げられる。
【0035】上記の方法において、低粘度で中空繊維内
への充填が容易であることから、吸水性ポリマーの構成
モノマーを含む溶液を用いるのが好ましい。
【0036】本発明の中空繊維にあっては、上記吸水性
ポリマーの架橋物が中空繊維の中空部内のみに存在し、
中空繊維の外表面や繊維間空隙には実質的に存在しない
ことが、最終的に得られる織編物製品の本来の風合を損
なうことなく、優れた天然色素発色性を付与するうえで
好ましい。
【0037】ここで、中空繊維の中空部内とは、中空部
自体は勿論のこと、繊維表面から中空部への連通孔をも
含むものである。
【0038】かかる態様を実現する方法としては、例え
ば、前記吸水性ポリマーの未架橋物及び/又は該吸水性
ポリマーの構成モノマー、架橋剤並びに好ましくは重合
開始剤乃至触媒を含む溶液を中空繊維内に充填した後、
未架橋吸水性ポリマーの架橋反応乃至モノマーの重合・
架橋反応を行うのに先立って、該中空繊維の外表面にヒ
ドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテルの如き重
合(架橋)禁止剤を付与する方法、上記溶液を中空繊維
内に充填した後、温度50〜130℃、好ましくは70
〜100℃の湯浴等の溶剤中で処理して、中空繊維内の
吸水性ポリマーを架橋させるか、或いはモノマーを重合
・架橋させると同時に、中空繊維の外表面や繊維間空隙
に存在する未架橋吸水性ポリマーやモノマーを洗浄除去
する方法、上記溶液を中空繊維内に充填した後、未架橋
吸水性ポリマーの架橋反応乃至モノマーの重合・架橋反
応を行うのに先立って、該中空繊維を室温の水等の溶剤
で洗浄して、中空繊維の外表面や繊維間空隙に存在する
未架橋吸水性ポリマーやモノマーを除去する方法等が例
示される。
【0039】本発明の中空繊維においては、前記の吸水
性ポリマーの架橋物が天然色素により着色されている。
【0040】本発明で用いる天然色素には、特に制限は
なく、草木染用の植物染料や食品用天然色素などの、植
物、動物、微生物界等の自然界から得られる天然色素を
使用することができる。
【0041】上記草木染用植物染料としては、例えば、
紅花、アカネ、紫紺、インジゴ、キハダ、ウコン、カリ
ヤス、クチナシ、阿仙、クヌギ、丁子、車輪梅、梅、ゴ
バイシ、ロックウッド等が挙げられるが、この他、更に
一般の草花、野草、野菜、果物等も用いることができ、
例えば、蜜柑、玉葱の汁なども用いることができる。
【0042】また、食品用天然色素としては、厚生省生
活衛生局食品化学課編の「化学的合成品以外の食品添加
物リスト第一版」(社会保険出版社、東京(198
9))に記載された98品目の天然色素等が挙げられ
る。
【0043】かかる食品用天然色素の具体例としては、
アナトー色素、パプリカ色素、クチナシ黄色素、ニンジ
ンカロチン色素、コチニール色素、ラック色素、アカネ
色素、赤キャベツ色素、シソ色素、紫コーン色素、エル
ダーベリー色素、ボイセンベリー色素、ブドウ果皮色
素、ブドウ果汁色素、ハイビスカス色素、ムラサキイモ
色素、ベニバナ黄色素、ベニバナ赤色素、コウリャン色
素、タマネギ色素、カカオ色素、シタン色素、タマリン
ド色素、スピルリナ青色素、クロロフィル、赤ビート色
素、紅麹色素、紅麹黄色素、ウコン色素、クチナシ青色
素等を挙げることができる。
【0044】上記した天然色素は、一種類を単独で用い
てもよく、二種以上を併用してもよい。
【0045】かかる天然色素を用いて、前記吸水性ポリ
マーの架橋物を着色するには、何ら格別な方法を採る必
要はなく、例えば、前記した繊維内に吸水性ポリマーの
架橋物を含有する中空繊維に対して、絹、木綿、麻、羊
毛等の天然繊維に対して通常行われている草木染の手法
を任意に適用すればよい。
【0046】この際、媒染剤処理した後に染色を行う先
媒染法や、染色後に媒染剤処理を行う後媒染法を任意に
採用することができるが、なかでも先媒染法を好ましく
採用することができる。
【0047】ここで使用する媒染剤としては、水溶性金
属塩を好ましく使用することができ、なかでも銅、鉄、
アルミニウム、チタン及びクロムからなる群より選ばれ
た少なくとも1種の金属の硫酸塩、塩化物、硝酸塩等の
無機塩、酢酸塩、コハク酸塩等の有機カルボン酸塩及び
エチレンジアミン四酢酸錯体等の錯塩などの水溶性塩が
特に好ましい。
【0048】媒染処理や染色処理を行う際の温度や時間
は、特に限定する必要はなく、例えば、温度条件として
は室温〜160℃の範囲で適宜選べばよいが、天然色素
に熱や酸化に弱いものが多い点から、室温〜100℃の
範囲で行うことが特に好ましい。
【0049】また、天然色素を用いて、前記吸水性ポリ
マーの架橋物を着色する別の方法として、前述した中空
繊維内に、吸水性ポリマーの未架橋物及び/又は該吸水
ポリマーの構成モノマー、架橋剤並びに好ましくは重合
開始剤乃至触媒を含む前記溶液を導入するに際し、該溶
液中に予め上記天然色素を溶解させておく方法も用いる
ことができる。
【0050】吸水性ポリマー架橋物中の天然色素の含有
量は、所望の色の濃度に応じて適宜調整すればよく、特
に限定する必要はないが、通常、吸水性ポリマーの架橋
物を含有する中空繊維の絶乾重量に対して、0.01〜
100%の範囲内である。
【0051】なお、本発明の吸水性ポリマーの架橋物
は、上記天然色素以外に、必要に応じて香料、安定剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含んでいてもよい。
【0052】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定
されるものではない。なお、実施例中の部及び%は、そ
れぞれ重量部および重量%を示し、発色性及び染色堅牢
度(耐光堅牢度、洗濯堅牢度)は下記の方法で測定し
た。
【0053】(1)発色性 着色された中空繊維(織編物)の発色性は、マクベスM
S−2020測色機(インストリュウメンタルカラーシ
ステム社(Instrumental Color S
ystem Limited)製)を用い、常法によ
り、CIE表色系のL、a、b及びK/Sを測定した。
ここで、K/Sの値が大きいほど、発色性が大きいこと
を示す。
【0054】(2)染色堅牢度 (イ)耐光堅牢度 着色された中空繊維(織編物)を、JISL0842−
71法(カーボンアーク灯法)に準じて露光し、20時
間照射後の変褪色の程度を肉眼で判定して、ブルースケ
ールにて等級づけを行った。
【0055】該等級値が大きいほど、耐光堅牢度が高い
ことを示し、分散染料で染色したポリエステル繊維の場
合の合格基準は、4級以上である。
【0056】(ロ)洗濯堅牢度 染着された中空繊維(織編物)を、JISL0844−
70法(A−2法)に準じて試験し、変褪色の程度を肉
眼で判定して、グレースケールにて等級づけを行った。
【0057】該等級値が大きいほど、耐光堅牢度が高い
ことを示し、分散染料で染色したポリエステル繊維の場
合の合格基準は、4級以上である。
【0058】〔実施例1〕円形スリットの4個所が閉じ
た円弧状の開口部をもつ紡糸孔を24個穿設した紡糸口
金を用いて、固有粘度が0.61のポリエチレンテレフ
タレート(二酸化チタン2.5%含有)を溶融紡糸し、
ポリエステル中空未延伸糸を得た。この未延伸糸を常法
に従って延伸し、中空率40%の丸中空マルチフィラメ
ント糸(100デニール/24フィラメント)を得た。
【0059】この丸中空マルチフィラメント糸を用いて
平織物を織成し、常法に従って精錬、プリセットを施し
た後、水酸化ナトリウム50g/lの水溶液中で105
℃にて10分間処理して、減量率15%の布帛となし
た。
【0060】得られた布帛からマルチフィラメント糸を
抜き出し、その表面を走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、繊維軸方向に、幅0.2〜2.0μm、長さ10〜
150μmのマイクログルーブが、各フィラメントに1
00μm当たり少なくとも1個存在することが認められ
た。
【0061】次に、この布帛を密閉容器内に入れ、真空
ポンプを用いて容器内を0.1Torrまで減圧し、次
いでこの容器内に、下記の組成の水溶液を注入した。
【0062】 アクリル酸ナトリウム 20部 アクリル酸 5部 ポリエチレングリコール(平均分子量600)ジメタクリレート 10部 過硫酸カリウム 0.5部 水 64.5部
【0063】上記の水溶液を容器内に注入後、真空ポン
プを用いて更に減圧状態を10分間維持した。この時の
容器内の真空度は0.2Torrであつた。
【0064】続いて、この布帛を100℃の熱湯中に入
れて揺動させながら3分間浸漬し、引き続き風乾した
後、120℃で1分間の乾熱処理を施した。
【0065】かかる一連の充填処理による布帛の重量増
加、即ち吸水性ポリマーの架橋物の充填量は23.5%
(未充填の中空繊維基準)であり、この布帛を走査型電
子顕微鏡で観察した結果、アクリル酸ナトリウムを主た
る構成単位とする吸水性ポリマーの架橋物が中空繊維内
にのみ存在し、繊維外表面、繊維間空隙にはまったく付
着していなかった。
【0066】この布帛を、媒染剤として硫酸アルミニウ
ム無水塩25%owfを使用し、浴比1:50にて室温
下60分間媒染処理した後、水洗して風乾した。
【0067】次いで、天然色素として、西洋アカネ液、
コガネバナ液、緑葉液をそれぞれ100%owf使用
し、各天然色素について、浴比1:50、pH3.0の
条件下で室温にて60分間染色処理した。
【0068】得られた染色布は常法に従ってソーピン
グ、乾燥した後、発色性、染色堅牢度を評価した。結果
は、表1に示す通りであり、発色性、染色堅牢度共に良
好であった。
【0069】なお、発色性K/Sは、西洋アカネについ
ては440mμ、コガネバナについては360mμ、緑
葉については420mμの測定波長でそれぞれ測定し
た。
【0070】〔比較例1〕実施例1で使用したアクリル
酸ナトリウムを主たる構成単位とする吸水性ポリマーの
架橋物を充填したポリエステル中空繊維に代えて、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸を4.5モル%共重合し
たポリエチレンテレフタレートからなる100デニール
/24フィラメントの丸中実マルチフィラメント糸を使
用し、以下実施例1と同様に精錬、プリセット、媒染処
理、染色処理、ソーピング、乾燥を行った。
【0071】但し、媒染温度と染色温度はいずれも10
0℃とした。結果は、表1に示す通りであり、発色性、
染色堅牢度共に劣っていた。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】本発明の中空繊維は、中空繊維内に天然
色素で染色された吸水性ポリマーの架橋物が存在して発
色状態にあるので、天然色素の落ち着いた色調や自然の
味わい等の色彩表現が可能であると共に、天然色素が中
空繊維壁と吸水性ポリマーの架橋物とによつて二重に保
護されているため、耐光性、耐洗濯性等の染色堅牢度が
格段に改善される。
【0074】また、該吸水性ポリマーの架橋物は、室温
においても容易に媒染処理と染色処理を行うことができ
るので、これらの処理による天然染料の熱分解や酸化分
解が起こらず、天然色素本来の純粋な色彩表現が可能な
る。
【0075】更に、天然色素が持つ抗菌、消臭、抗アレ
ルギー等の効果を耐久性良く付与することもできる。
【0076】更に、本発明の中空繊維にあっては、中空
繊維内にソフトな吸水性ポリマーの架橋物が充填されて
いるので、繊維が本来持っている良好な風合が損なわれ
ることがない。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維表面から中空部への連通孔を有する
    中空繊維であって、該中空繊維の中空部には、天然色素
    で着色された吸水性ポリマーの架橋物が充填されている
    ことを特徴とする着色された中空繊維。
  2. 【請求項2】 中空繊維が、ポリエステル中空繊維であ
    る請求項1記載の着色された中空繊維。
  3. 【請求項3】 吸水性ポリマーの架橋物が、カルボン酸
    基、カルボン酸塩基、スルホン酸基及びスルホン酸塩基
    よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有する合
    成吸水性ポリマーの架橋物である請求項1又は2記載の
    着色された中空繊維。
  4. 【請求項4】 中空部内に充填されている吸水性ポリマ
    ーの架橋物の量が、非膨潤状態において、中空繊維に対
    し1〜80重量%である請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の着色された中空繊維。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1216318A1 (en) * 1999-03-22 2002-06-26 Technology Innovations, LLC Composite fiber for absorptive material construction
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CN114703688A (zh) * 2022-04-29 2022-07-05 武汉纺织大学 动物染料五倍子染色制得的黑色莱赛尔面料及其制备方法

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