JP5520581B2 - ポリアリレート繊維からなる繊維構造体の染色物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はポリアリレート繊維からなる繊維構造体の染色物およびその製造方法に関する。
溶融液晶ポリマーにより形成される全芳香族ポリエステル(ポリアリレート)は、高い強度、弾性率、優れた耐熱性、耐薬品性などを有するため、産業資材用のロープ、ネット、漁網、通信用ケーブル、コード、またはベルト等として、また難燃性、耐薬品性および耐切創性などを有するため、防護作業衣等として広く利用されているが、結晶性が高く、分子間結合力が強固で緻密な分子構造を有しているため、従来の染色技術で着色することが難しいという問題があった。
このため、ポリアリレート系溶融異方性ポリマーに、必要に応じて染料、顔料等の着色剤を加えて溶融紡糸を行う方法が採用されているが(特許文献1)、市場に提供できる色相には限界があり、市場からの個々の要求に応じて種々の色相に染色した染色物およびそのような染色物を製造する製造方法の開発が望まれていた。
特許3923398号公報、段落[0012]
本発明は、かかる従来技術の問題点を解消し、ポリアリレート繊維が多様な色相に染色され、しかも染色堅牢度に優れたポリアリレート繊維染色物、および、かかる染色物を製造するためのポリアリレート繊維染色物の製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の第1の構成は、ポリアリレート繊維からなる繊維構造体の染色物であって、前記染色物を構成する染料が直接染料、反応染料、酸性染料、建染染料または硫化染料等のアニオン基を有する染料であり、前記染色物が前記繊維構造体を染色した染色物であることを特徴とする、アニオン基を有する染料により着色されたポリアリレート繊維からなる繊維構造体の染色物である。
また、本発明の第2の構成は、ポリアリレート繊維からなる繊維構造体をカチオン化剤により予め処理し、次いで、直接染料、反応染料、酸性染料、建染染料、硫化染料等のアニオン基を有する染料により染色することを特徴とするポリアリレート繊維からなる繊維構造体の染色物の製造方法である。
本発明によれば、繊維形成後の繊維構造体が染色されているので、種々の色相で濃厚に染色され、しかも染色堅牢度も優れた、ポリアリレート繊維からなる繊維構造体の染色物を得ることができる。
また、本発明の染色物の製造方法によれば、種々の色相で濃厚に染色することが可能になり、しかも染色堅牢度も優れており、従来困難であったポリアリレート繊維の染色が可能になった。また、本発明の製造方法によれば、染料の利用率が高くなり、廃液処理が容易となるので、環境負荷が少なくなるという効果もある。
(ポリアリレート繊維)
本発明に用いられるポリアリレート繊維はポリアリレート系溶融異方性ポリマーから構成される。本発明のポリアリレート繊維を構成するポリアリレート系溶融異方性ポリマーとしては、たとえば、下記化学式(1)〜(11)に示す繰り返し単位の組合せからなるポリマーが挙げられる。
Figure 0005520581

Figure 0005520581
本発明に用いられるポリアリレート系溶融異方性ポリマーとして最も好ましい例は、下記の式(A)および(B)で示される繰り返し構成単位からなるポリマー、すなわち、ヒドロキシ安息香酸とヒドロキシナフトエ酸との共重合体である。このポリマーから構成されたポリアリレート繊維の具体例として、(株)クラレ製のベクトラン(登録商標)を挙げることができる。
Figure 0005520581
(繊維構造体)
本発明において、ポリアリレート繊維からなる繊維構造体としては、ポリアリレート繊維を含む繊維構造体であれば特に限定されず、ポリアリレート繊維のみで構成されている場合とその他繊維を含む場合とを含む。
本発明において、繊維構造体の形態としては、フィラメント糸、紡績糸、スライバー、原綿、トウ、織物、編物、不織布、組み物、ロープ、ネット等を挙げることができる。
(カチオン化剤)
本発明の繊維構造体の染色物を得るためには、まず、繊維構造体を予めカチオン化剤で処理し、ついで染色を行う必要がある。本発明において、カチオン化剤で処理することを、繊維構造体にカチオン化剤を固定化すると記載する場合がある。カチオン化剤の繊維構造体への固定化とは、実質的に構造体を形成するポリアリレート繊維への固定化である。このとき、カチオン化剤のポリアリレート繊維への固定化は、ポリアリレート繊維構造内部への浸透・拡散による固定化ではなく、繊維表面への吸着現象であると考えている。
本発明において用いられるカチオン化剤としては、(1)トリメチルオクタデシルアンモニウム塩酸塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩酸塩等の第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、(2)2−メタクリロイルオキシエチルジエチルベンジルアミン塩酸塩重合物、モノアリルアミン塩酸塩重合物、ジアリルアミン塩酸塩重合物などのカチオン性重合物、(3)2、3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等の、エポキシ環またはクロロヒドリン基を有するカチオン化剤、(4)3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジアリルアミン塩酸塩重合物、グリシジルジアリルエチルアンモニウムクロライド重合物等のエポキシ環またはクロロヒドリン基を有する重合物があげられる。
(カチオン化処理)
ポリアリレート繊維のカチオン化処理は、上記のカチオン化剤と、必要に応じてアルカリ(水酸化ナトリウム、無水炭酸ナトリウム等)を加えた水溶液に、繊維を浸漬して処理することにより行う。ポリアリレート繊維の繊維構造物が、織物やニットであれば、連続加工のパッド・ドライ法が最適である。この場合、絞り率は繊維構造物に対するカチオン化剤の付着量が下記の範囲になるように適宜選択される。また、乾燥は80〜130℃で、1〜4分程度であることが好ましい。
カチオン化処理の具体的な一例として、連続染色機を使用して行う方法がある。この方法は、カチオン化剤を溶解した溶液を布帛にパディングし、すなわち、カチオン化剤を溶解した溶液中に布帛を浸漬させた後、搾りロールにより布帛から余分な液を搾り出し、乾燥して布帛表面に固着させ、さらにオープンソーパーにて湯洗を行うものである。
上記カチオン化剤の繊維構造物に対する付着量は、0.3〜3.0質量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.0質量%であり、最も好ましくは0.7〜1.2質量%である。この場合、付着量が0.3質量%を下回ると十分な染色性が得られない場合がある。一方、カチオン化剤を3質量%よりも多く付与させるには、複数回の操作が必要となり、操作が煩雑になってしまい、また経済的に好ましくない。
(染料)
カチオン化処理された繊維は、続いてアニオン基を有する染料により染色される。本発明において用いられるアニオン基を有する染料としては、分子中にスルホン酸基、カルボン酸基などのアニオン基を有する染料、および還元浴中においてアニオン性のハイドロキノン型のフェノラート基を生成する染料であればいずれの染料でもよい。染料分子中にアニオン基を有する染料種族として直接染料、酸性染料、反応染料、建染染料および硫化染料などを例示することができる。直接染料、酸性染料、反応染料については水溶性に寄与するスルホン酸基を有し、これが繊維上のカチオン化剤と相互作用することで、染料が繊維上に固定化されると考えられる。これに対して、建染染料、硫化染料の場合はアルカリ存在下でロイコ体が形成され、ロイコ体のハイドロキノン型のフェノラート基がカチオン化剤と相互作用することにより染料が繊維上に固定化されると考えられる。
本発明において用いられる直接染料としては、市販の直接染料がいずれも使用可能である。Aizen、Direct、Sirius、Kayarus、Kayafect、SOLOPHENYLなどの冠称名で市販されている染料などが例示される。
本発明において用いられる酸性染料としては、レべリング系、ハーフミーリング系、ミーリング系、含金系等のすべての酸性染料が含まれる。具体的には、Nylomine、Lanafast、Aminiyl、Suminol、Nylosan、Kayanol、Irgalanなどの冠称名で市販されている染料などが例示される。
本発明において用いられる反応染料として、セルロース繊維、ポリアミド繊維などの繊維と反応し得る活性基が導入された、市販されているいずれの反応染料も、分子中にスルホン酸基等のアニオン基を有するので使用可能である。具体的には、Sumifix、Sumifix Supra、Remazol、Levafix、Procion、Cibacron、Basilen、Drimarene、Kayacion、Kayacelon Reactなどの冠称名で市販されている染料などが例示される。
本発明において用いられる建染染料は、分子内に2個以上のカルボニル基を有する水不溶性の染料であり、上記のようにアルカリ性還元浴で水に可溶性のロイコ化合物となる。アシルアミノアントラキノン系、アントリイミド系、アントラキノンカルバゾール系、アントラキノンアクリドン系、アントラキノンオキサゾール系、アントラキノンチアゾール系、アントラキノン・N−ヒドラジン系、ピレン系、アザピレン系、ペリレン系、ベンザントロン系などが例示される。なお、本発明において用いられる建染め染料には、建染染料にOSO3Na基を導入することによって水に可溶にした可溶性建染染料も含まれる。建染め染料として、具体的には、Indanthren、Mikethren、Nihonthrenなどの冠称名で市販されている染料が例示される。
本発明において用いられる硫化染料は、分子内に多くの硫黄結合を含む水不溶性の染料で、建染染料と同様、還元浴で還元されて水に可溶のロイコ化合物となる染料をいい、具体的には、加硫により染料分子中にチアジン環、チアントレン環、チアゾール環などを生成する染料が例示される。なお、本発明において用いられる硫化染料には、硫化染料に一時的に水溶性基を導入した水溶性硫化染料も含まれる。硫化染料として、具体的には、Kayaku Sulphur、Kayaku Homodye、Kayasol、Kamiyo Sulpher、Kamiyo Vat、Immedial、Indocarbon、Hydrosol、Cassulfon、Nissenなどの冠称名で市販されている染料が例示される。なお、本発明において、建染染料および硫化染料には、建染染料の構造を持ちながら硫化染料で用いる還元浴で還元して使用する染料を含む。
(染色)
上記の染料を用いた染色は公知の染色方法により実施可能である。建染(スレン)染料を用いた連続染色機による染色について説明すると、この装置は未還元染料を布帛に保持させる未還元染料付与槽と染料を布帛に還元固着させる染料固着槽と酸化による発色ゾーンから成り立っている。染色しようとする布帛は、未還元染料付与槽の未還元染料パッダへ導入され、未還元染料分散液中に浸漬させられた後、一対の搾りロールによって余分な液が布帛から搾り出され、布帛の全面に均一に未還元染料分散液が含ませられる。
より具体的には、まずマイグレーション防止剤としてアルギン酸ナトリウム1g/Lを含有した分散状態のスレン染料(Mikethren Green FFB)水溶液40g/Lをパッダに注液後、カチオン化処理した布帛(例えば、株式会社クラレ製 ベクトラン 1670T/300f等)からなる平織物を前記パッダの染料溶液に浸漬し、マングルで均一に絞り、赤外線乾燥機で予備乾燥した後、130℃のホットフルー乾燥機で乾燥される。
未還元染料を保持し乾燥された平織物は、未還元染料付与部から染料固着部へ搬送される。上記においてスレン染料付着後乾燥を行なった織物を、水酸化ナトリウム40g/Lとハイドロサルファイト40g/Lを含む水溶液(還元液と称す)に浸漬・パッドし、速やかにスチ―ミングボックスに入れる。この過程において、水に不溶の染料が還元されて水溶性のロイコ化合物となって織物の繊維上に保持される。
このとき、スチーミングボックス内には空気が入らず、過熱状態であって、水分不足にならないような飽和蒸気の状態にあり、スチーミングは100〜103℃で40〜60秒間行う。スチーミングボックス出口は、ウォーターシールで蒸気の流出を防ぐ方式になっている。続いて水洗後、空気酸化、及び35%過酸化水素8cc/Lと50%酢酸4cc/Lの50℃混合液による強制酸化を行ない、次いで、水洗、ソーピング、湯洗と進み、乾燥を行うことにより染色は完了する。
このようにして染色されたカチオン化処理済のポリアリレート繊維からなる織物のK/S値(染着濃度の代用物性値)は高く、また均一な染色が可能である。さらに染色物の諸堅牢度についても、良好な特性を示す。尚、該染色物の引張強度や伸度等も染色前と同程度の良好な状態を保つ。
本発明において、染色は、フィラメント糸、紡績糸等の糸段階の繊維構造体に行って、その後、織物、編物、不織布などの繊維構造体を形成してもよく、織物、編物、不織布の繊維構造体に染色を行ってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、染色濃度の評価、各種堅牢度は以下のようにして測定した。
(染色濃度の評価)
カラーアイ7000(マクベス社製)を用い、反射率を測定して、下記式(1)に示すクベルカ・ムンク(Kuberka−Munk)の式:
K/S=(R−1)/2R (1)
(式中、Kは吸光係数、Sは散乱係数、Rは反射率を表す。)
を用いて波長620nmにおけるK/S値を算出した。この値が大きい程染色濃度が高いことを示す。
(洗濯堅牢度) JIS L0844 A−4法 を適用した。
(汗堅牢度) JIS L0848を適用した。
(摩擦堅牢度) JIS L0849を適用した。
(実施例1)
[カチオン化処理]
(1)カチオン化剤水溶液の調整
炭酸水素ナトリウムを所定量の1/2量の水により十分に溶解し、次いでカチオン化剤(センカ(株)製、AFI−03)を加えて攪拌する。さらに水を加えて、炭酸水素ナトリウム30g/Lおよびカチオン化剤30g/Lを含む、所定量のカチオン化剤水溶液を調整した。
(2)上記で調整したカチオン化剤水溶液をバックに入れ、被染色物であるポリアリレート繊維[(株)クラレ製「ベクトラン」(登録商標)HT(高強力)タイプ、1670dtex/300f]からなる平織物をパディングし、十分に含浸脱水して乾燥させた。
(3)上記(2)で調整した織物をさらに90℃で湯洗し、次いで水洗して乾燥を行った。
[染色] 建染染料による浸漬染色
Mikethren Green FFB2%owf溶液にカチオン化処理済の前記織物を入れて浴比1:30として、十分に湿潤した後、水酸化ナトリウム(48°Be)5g/Lとハイドロサルファイト6g/Lとを投入して、70℃で20分間維持した。その後、水洗して酸化・ソーピング・湯洗の順に操作し、染色を完了させた。
(実施例2)
[カチオン化処理]
実施例1と同じ平織物を用いて実施例1と同様に行った。
[染色] 直接染料による浸漬染色
Kayarus Supra Blue BWL 0.6% owf 溶液に、上記のカチオン化処理を行った織物を入れ(浴比1:30)、十分に湿潤した後、硫酸ナトリウムを溶解して(濃度:3g/L)、95℃で30分間キープした。その後、水洗、フィックス剤[第一工業製薬(株)製、「アミゲン」(商品名)]2%owf溶液で処理した後、湯洗、水洗の順で処理を行い、染色を完了させた。
(実施例3)
[カチオン化処理]
実施例1と同じ平織物を用いて実施例1と同様に行った。
[染色] 反応染料による染色
Sumifix Supra Brilliant Red 3BF 150% grain 0.7% owf溶液に上記でカチオン化処理を行った織物を入れ(浴比1:30)、十分に湿潤した後、55℃、30分間キープした。その後、水洗、ソーピング、湯洗、水洗の順に処理を行って染色を完了した。
(実施例4)
[カチオン化処理]
実施例1と同じ平織物を用いて実施例1と同様に行った。
[染色] 酸性染料による染色
Nylosan Blue NGFL 0.6% owf溶液に、上記でカチオン化処理を行った織物を入れ(浴比1:30)、十分に湿潤した後、硫酸アンモニウムを溶解して(濃度:2g/L)、95℃で30分間キープした。その後、湯洗、フィックス剤[明成化学工業(株)製、「 ディマフィックスESHO」(商品名)]0.6% owf溶液処理、湯洗、水洗の順に処理を行って、染色を完了させた。
(実施例5)
[カチオン化処理]
実施例1と同じ平織物を用いて実施例1と同様に行った。
[染色] 分散型硫化染料による浸漬染色
Kamiyo Vat. Blue R 3.0% owf 水溶液に、上記でカチオン化処理を行った織物を入れ、十分に湿潤した後、水酸化ナトリウムとハイドロサルファイトを投入して、水酸化ナトリウム濃度4g/L、ハドロサルファイト濃度6g/Lになるように調整した後、75℃で30分間キープした。その後、水洗、ソーピング、湯洗の順に処理を行って染色を完了させた。
(比較例1)
実施例1と同じ平織物にカチオン化剤による処理を行うことなく、実施例1のスレン染料による染色操作のみを行った。
(比較例2)
実施例1と同じ平織物にカチオン化剤による処理を行うことなく、下記の染色を行った。
[染色] 分散染料による浸漬染色
Kiwalon Polyester Red FBE200の2.0%owf溶液に、上記の布を入れ(浴比1:30)、十分湿潤する。さらに、ニッカサンソルトRE-5 0.5g/Lと酢酸0.5cc/Lを入れ、130℃で30分間キープする。冷却後、処理布を取り出し、水洗し還元洗浄・湯洗・水洗の順に操作して染色を完了させた。しかし、本操作により上記の布は染色されなかったので、確認のため、上記の染色残液にポリエステル100%の生地を同浴比になるように入れ、同一染色条件により染色を行ったところ、ポリエステル布は十分に濃い赤色に染色された。
(比較例3)
実施例1と同じ平織物にカチオン化剤による処理を行うことなく、下記の染色を行った。
[染色] カチオン染料による浸漬染色
Kayacryl Red GRLの2.0%owfの溶液に、上記の布を入れ(浴比1:30)、十分湿潤する。さらに、助剤として酢酸1cc/Lと無水芒硝1cc/Lを入れ、120℃で30分間キープする。冷却後、処理布を取り出し、水洗し還元洗浄・湯洗・水洗の順に操作して染色を完了させた。しかし、本操作により上記の布は染色されなかったので、確認のため、上記の染色残液にアクリル100%生地を同浴比になるように入れ、同じ条件で染色した結果、アクリル布は十分に濃い赤色に染色された。
実施例1〜5および比較例1〜3の染色物について、染色濃度および染色堅牢度を測定した結果を表1に示す。この結果から明らかなように、カチオン化剤で処理して染色を行った実施例の染色物では、カチオン化剤処理を行わない比較例1〜3の染色物と比べて、非常に高い染色濃度を示した。また、これら実施例の染色物はいずれも実用可能な染色堅牢度を有していた。
Figure 0005520581
本発明によれば、従来高濃度染色が困難であったポリアリレート繊維を、多様な色相で高濃度に染色することが可能となり、しかも得られた染色物は高い堅牢度を有するので、実用的意義が大きい。したがって、ポリアリレート繊維構造体の染色物は、防護作業衣、手袋、各種ネット、ロープ、スポーツ用品等の種々の用途への利用可能性があるので、産業上の利用可能性が極めて高い。
以上、本発明の好ましい実施態様を例示的に説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲に開示した本発明の範囲および精神から逸脱することなく多様な修正、付加および置換ができることが理解可能であろう。


Claims (4)

  1. ポリアリレート繊維からなる繊維構造体の染色物であって、前記ポリアリレート繊維にはカチオン化剤が吸着固定化されており、前記染色物を構成する染料がアニオン基を有する染料であり、前記染色物が前記繊維構造体を染色した染色物であることを特徴とする、アニオン基を有する染料により着色されたポリアリレート繊維からなる繊維構造体の染色物。
  2. 前記アニオン基を有する染料が、直接染料、反応染料、酸性染料、建染染料および硫化染料からなるグループから選ばれる染料である、請求項1に記載の染色物
  3. ポリアリレート繊維からなる繊維構造体をカチオン化剤により予め処理し、次いで、アニオン基を有する染料により染色することを特徴とするポリアリレート繊維からなる繊維構造体の染色物の製造方法。
  4. 前記アニオン基を有する染料が、直接染料、反応染料、酸性染料、建染染料および硫化染料からなるグループから選ばれる染料である、請求項3に記載の染色物の製造方法
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