JP3923398B2 - 高強度ポリアリレート繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高強度ポリアリレート繊維に関するものであり、さらに詳しくはポリアリレート系溶融異方性ポリマーを溶融紡糸・熱処理することにより得られる耐屈曲疲労性、耐摩耗性に優れた各種産業資材用途に好適な高強度ポリアリレート繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリアリレート系溶融異方性ポリマーを溶融紡糸・熱処理して、18cN/dtex以上の高強度を有する優れた繊維が得られていることが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。この高強度ポリアリレート繊維はその高い強度や低吸水性を生かして一般産業資材や漁網、スポーツ用品等に幅広く用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭54−77691号公報
【特許文献2】
特開平1−92408公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ポリアリレート繊維はそのポリマー特性である「剛直さ」ゆえに耐屈曲疲労性が低いということが問題であった。またその繊維軸方向に高度に配向した分子鎖構造ゆえに「こすれ」に弱く、耐摩耗性が劣るということが問題であった。本発明は上記問題を解決するものであり、耐屈曲疲労性、耐摩耗性に優れた高強力ポリアリレート繊維を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、モース硬度4以下のフッ素を5%以上含有するケイ酸およびマグネシウムを主成分とする、平均粒径0.01〜15μmの無機微粒子0.03〜5.0質量%を繊維表面に付着させてなるポリアリレート繊維であり、好ましくは無機微粒子が合成無機化合物であることを特徴とする上記のポリアリレート繊維である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリアリレート繊維はポリアリレート系溶融異方性ポリマーから構成される。本発明のポリアリレート繊維を構成するポリアリレート系溶融異方性ポリマーとしては、例えば下記化1及び化2の(1)〜(11)に示す繰り返し構成単位の組み合わせからなるポリマーが挙げられる。
【0007】
【化1】
【化2】
【0008】
本発明のポリアリレート繊維を構成するポリアリレート系溶融異方性ポリマーとして好ましいものは融点(以下、Mpと称す)が260〜360℃の範囲のものであり、さらに好ましくはMpが270〜350℃のものである。なお、Mpは示差走査熱量計(メトラー社DSC)により主吸熱ピークが現れる温度を測定することにより求められる。本発明に用いられるポリアリレート系溶融異方性ポリマーとして最も好ましい例は下記化3(A)、(B)の繰り返し構成単位からなるポリマーである。
【0009】
【化3】
【0010】
この中でも上記化3(A)、(B)の繰り返し構成単位からなる部分が80モル%以上である全芳香族ポリエステルが特に好ましく、特に(A)、(B)の繰り返し構成単位からなる部分のうち、(B)の成分が3〜45モル%を占める全芳香族ポリエステルが最も好ましい。
【0011】
本発明にいう溶融異方性とは、溶融相において光学的異方性を示すことである。この特性は、例えば試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。
【0012】
本発明のポリアリレート繊維を構成するポリアリレート系溶融異方性ポリマーに、本発明の効果を損なわない範囲内で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加してもよい。また酸化チタンやカオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、各種添加剤を添加しても良い。
【0013】
次に、溶融異方性ポリマーの紡糸方法について述べる。溶融異方性ポリマーは、ノズルを通過する時のせん断速度を103〜105sec−1とすると、紡糸時に著しい分子配向が生じるため、通常のポリエチレンテレフタレート紡糸原糸などに行われている紡糸後の延伸を行なわなくとも、紡糸原糸のままで強度8cN/dex以上、弾性率400cN/dtex以上の繊維となる。本発明にいうせん断速度γは、円形ノズルの場合は次式により求めることが出来る。
γ=4Q/πr3(sec-1)
但し r:ノズルの半径(cm)
Q:単孔当たりのポリマー吐出量(cm3/sec)
【0014】
紡糸原糸は、熱処理することにより強度・弾性率を更に向上させることが可能である。熱処理は(Mp−80℃)〜Mpの温度条件で行なうのが好ましい。本発明のポリアリレート繊維の融点は熱処理温度を上げるに従い上昇するので、熱処理方法としては段階的に温度を上昇させながら熱処理する方法が好ましい。熱処理雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガスや空気等の活性ガス、あるいはそれらを組み合わせた雰囲気などが好適に用いられる。また上記熱処理を減圧下で行っても何等差し支えない。
【0015】
本発明における最も重要な点はポリアリレート繊維の表面にケイ酸およびマグネシウムを主成分とする無機微粒子を付着させることにある。ケイ酸およびマグネシウムを主成分とする無機粒子はその多くが化学的に不活性かつ適度な硬さを有しており、しかも本発明のように繊維表面に付着させても繊維の物性低下はみられない。また本発明の、ポリアリレート繊維の繊維表面に付着させる無機微粒子の大きさは平均粒径0.01〜15μmの範囲である必要がある。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合には無機微粒子の価格が高くなり、高コストとなるため好ましくない。また平均粒径が15μmよりも大きい場合には繊維に均一付着させることが困難となるばかりか繊維から無機微粒子が脱落しやすくなるため好ましくない。好ましくは平均粒径0.02〜8μmの範囲である。また本発明の無機微粒子の付着量は0.03〜5.0質量%の範囲である必要がある。無機微粒子の付着量が0.03質量%よりも少ない場合には本発明の特徴である耐屈曲疲労性や耐摩耗性の改善効果が小さくなるため好ましくなく、無機微粒子の付着量が5.0質量%よりも多い場合には高コストとなるばかりか無機微粒子の脱落が激しくなり、頻繁にガイド周りの清掃が必要となるため好ましくない。好ましくは0.3〜2.0質量%の範囲である。
【0016】
さらに本発明において重要な点は前記無機微粒子の硬さである。無機微粒子が硬すぎるときには耐屈曲疲労性、耐摩耗性が大幅に低下するため好ましくない。このため無機微粒子のモース硬度は4以下である必要があり、3以下であるのが好ましい。なお、本発明でいうモース硬度とは、鉱物関係で用いられる硬さであり、理化学辞典(第4版、岩波書店)に記載された硬さ試験法にて測定された値を示す。
【0017】
ケイ酸およびマグネシウムを主成分とする無機微粒子としては、人工的に合成された無機微粒子が、不純物が少ないことや粒子径がより均一であることにより好ましく、そのなかでもフッ素を5%以上含有するケイ酸およびマグネシウムを主成分とする合成無機微粒子を用いることが溶媒中で膨潤し、へき開して均一に分散するので繊維に均一付着しやすいばかりか、微粒子の沈降がほとんどないので重要である。また繊維表面に、へき開したフッ素を5%以上含有するケイ酸およびマグネシウムを主成分とする合成無機微粒子を被覆するように均一に付着させた場合、本発明の目的とするポリアリレート繊維の耐摩耗性、耐屈曲疲労性の向上効果に加えて、難燃性が向上する効果もみられる。上記した無機微粒子を繊維表面に付着させるタイミングは熱処理前、熱処理後いずれでも構わないが、熱処理前に付着させた方がポリアリレート繊維と無機微粒子との接着がより強固となり、無機微粒子の脱落を防げるため好ましい。
【0018】
本発明の無機微粒子の繊維表面への付着方法は特に限定されるものでなく、繊維に均一に付着させられる方法であれば何等限定されない。例えば無機微粒子を熱処理前に付着させるときは紡糸油剤に無機微粒子を攪拌分散させたものをオイリングローラーやカラス口等を用いて付着させる方法が簡便であり好ましい。また無機微粒子を熱処理後に付着させるときは仕上げ油剤に無機微粒子を攪拌分散させたものをオイリングローラーやカラス口等を用いて付着させる方法が簡便であり好ましい。また無機微粒子を分散させる紡糸油剤や仕上げ油剤には界面活性剤等の成分が含まれていても何等差し支えない。さらに無機微粒子を繊維表面に付着させた後に200℃以上の温度で熱処理を施すことにより、無機微粒子が繊維表面から脱落しにくくなる。無機微粒子を熱処理前に繊維表面に付着させた場合は、付着後引き続いて行われる熱処理により無機微粒子は繊維表面から脱落しにくくなる。一方、熱処理後に無機微粒子を繊維表面に付着させた場合には繊維表面に無機微粒子とともに付着させた仕上げ油剤が未乾燥状態のまま、引続き200℃のホットローラーで熱処理を施すと、油剤とともに無機微粒子が繊維表面に固着されて脱落しにくくなる。
【0019】
本発明の無機微粒子を繊維表面に付着させたポリアリレート繊維は優れた耐摩耗性を有し、さらに耐屈曲疲労性が大幅に向上する。これはフィラメント間に入り込んだ無機微粒子が屈曲するフィラメントに作用した結果ではないかと考えられる。このようにして得られた耐屈曲疲労性、耐摩耗性に優れるポリアリレート繊維はロープ、ケーブル、テンションメンバー、FRC、FRP、防弾チョッキ等の幅広い分野に用いることができる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお以下の実施例において、ポリアリレート系溶融異方性ポリマーの対数粘度ηinh、融点、強度および弾性率は下記の方法により測定したものを示す。
【0021】
対数粘度; ポリマー試料をペンタフルオロフェノールに0.1質量%溶解し(60〜80℃)、60℃の恒温槽中で、ウベローデ型粘度計で相対粘度(ηrel)を測定し、次式によって計算した。
ηinh=ln(ηrel)/c
ここでcはポリマー濃度(g/dl)である。
融点; 示差走査熱量計(メトラー社製DSC)で観察される主吸熱ピークのピーク温度を融点Mp(℃)とした。
繊維強度・弾性率; JIS L1013に準拠して測定した。
耐屈曲疲労性;試料に80T/mのZ撚りをかけ、耐屈曲疲労性測定装置「M.I.T TYPE FOLDING ENDURANSE TESTER」(東洋機械製作所製)を用いて荷重1.0kgにて270°屈曲を1000回行なった。屈曲後の繊維強力保持率を耐屈曲疲労性として評価した。
耐摩耗性;試料に80T/mのZ撚りをかけ、これをコード耐久試験機(安田機鋼株式会社製)にて撚り数3回のZ撚りをかけて荷重2kg、反転往復回数40回/分にて繊維間で摩耗させ、繊維が切れるまでの回数を測定し、耐摩耗性として評価した。
難燃性(LOI値);JIS K7201に準拠して測定した。
微粒子の耐脱落性;試料を張力500g、速度100m/分でセラミックガイドを24時間走らせて脱落する微粒子の質量を測定し、脱落する微粒子の質量から微粒子の耐脱落性を評価した。(◎:1.0g以下、○:1.0〜2.0g、△:2.0〜5.0g、×:5.0g以上)
【0022】
実施例1
パラアセトキシ安息香酸(A)と2,6−アセトキシナフトエ酸(B)の仕込み比を7:3(モル比)とし、重合温度310℃でアセテート法による重合を行い、繰り返し構成単位(A)と(B)のモル比が7:3である全芳香族ポリエステルポリマー(ηinh=5.8、Mp=280℃)を作製した。この全芳香族ポリエステルを単軸押し出し機を用いて紡糸温度315℃にて0.15mm径、300ホールの口金より巻取り速度2000m/分で紡糸し、1500dtex/300フィラメントの紡糸原糸を得た。このとき無機微粒子として平均粒径5〜7μmのケイ酸およびマグネシウムを主成分とする合成無機微粒子(コープケミカル株式会社製「ソマシフME−100」、モース硬度=2.8)をポリエチレングリコールラウリレートを主成分とする紡糸油剤に濃度6質量%で分散させたものをカラス口にて紡糸原糸に付着させた。付着時に上記「ソマシフME−100」は膨潤してへき開し、平均粒径は0.02〜7μmとなった。次にこの紡糸原糸を蒸留水中で3時間超音波洗浄して微粒子を落とし、洗浄前後の糸質量を測定することにより微粒子付着量を算出したところその微粒子付着量は0.6質量%であった。得られた紡糸原糸を乾燥窒素雰囲気にて260℃で2時間、280℃で12時間熱処理したのちココナツ油を主成分とする仕上げ油剤をヤーンに付着させ、熱処理糸を得た。得られた熱処理糸の各物性の測定結果を表1に示した。
【0023】
実施例2
ケイ酸およびマグネシウムを主成分とする合成無機微粒子の濃度を12質量%としたこと以外は実施例1と同様にして熱処理糸を得た。この紡糸原糸に付着した無機微粒子の量を実施例1と同様な方法で算出したところ1.2質量%であった。得られた熱処理糸の各物性の測定結果を表1に示した。
【0024】
実施例3
ケイ酸およびマグネシウムを主成分とする合成無機微粒子の濃度を35質量%としたこと以外は実施例1と同様にして熱処理糸を得た。この紡糸原糸に付着した無機微粒子の量を実施例1と同様な方法で算出したところ3.5質量%であった。得られた熱処理糸の各物性の測定結果を表1に示した。
【0025】
実施例4
ケイ酸およびマグネシウムを主成分とする合成無機微粒子の濃度を3質量%とした以外は実施例1と同様にして熱処理糸を得た。この紡糸原糸に付着した無機微粒子の量を実施例1と同様な方法で算出したところ0.3質量%であった。得られた熱処理糸の各物性の測定結果を表1に示した。
【0027】
比較例1
紡糸油剤に無機微粒子を加えなかった以外は実施例1と同様にして熱処理糸を作製した。得られた熱処理糸の各物性の測定結果を表1に示した。
【0028】
比較例2
合成無機微粒子の濃度を60質量%とした以外は実施例1と同様にして熱処理糸を得た。この紡糸原糸に付着した無機微粒子の量を実施例1と同様な方法で算出したところ6.1質量%であった。得られた熱処理糸の各物性の測定結果を表1に示した。
【0029】
比較例3
合成無機微粒子の濃度を0.7質量%としたこと以外は実施例1と同様にして熱処理糸を作製した。この紡糸原糸に付着した無機微粒子の量を実施例1と同様な方法で算出したところ0.07質量%であった。得られた熱処理糸の各物性の測定結果を表1に示した。
【0030】
比較例4
無機微粒子を平均粒径2.5μmのチタン酸バリウム(モース硬度=7)としてその濃度を6質量%としたこと以外は実施例1と同様にして熱処理糸を得た。この紡糸原糸に付着した無機微粒子の量を実施例1と同様な方法で算出したところ0.6質量%であった。得られた熱処理糸の各物性の測定結果を表1に示した。
【0031】
比較例5
無機微粒子を平均粒径20μmの合成無機微粒子(コープケミカル株式会社製「ミクロマイカMK−300」、モース硬度=2.8)としてその濃度を6質量%としたこと以外は実施例1と同様にして熱処理糸を得た。この紡糸原糸に付着した無機微粒子の量を実施例1と同様な方法で算出したところ0.6質量%であった。得られた熱処理糸の各物性の測定結果を表1に示した。
【0032】
実施例5
パラアセトキシ安息香酸(A)と2,6−アセトキシナフトエ酸(B)の仕込み比を7:3(モル比)とし、重合温度310℃でアセテート法による重合を行い、繰り返し構成単位(A)と(B)のモル比が7:3である全芳香族ポリエステルポリマー(ηinh=5.8、Mp=280℃)を作製した。この全芳香族ポリエステルを単軸押し出し機を用いて紡糸温度315℃にて0.15mm径で300ホールの口金より巻取り速度2000m/分で紡糸し、1500dtex/300フィラメントの紡糸原糸を得た。このときポリエチレングリコールラウリレートを主成分とする紡糸油剤をカラス口を用いて紡糸原糸に付着させた。得られた紡糸原糸を乾燥窒素雰囲気にて260℃で2時間、280℃で12時間熱処理して熱処理糸を作製した後、無機微粒子として平均粒径5〜7μmの前記「ソマシフME−100」をココナツ油を主成分とする仕上げ油剤に濃度6質量%で分散させたものをカラス口にて熱処理糸に付着させた後、仕上げ油剤が未乾燥のまま引き続いて200℃のホットローラーにて1秒間の熱処理を施し、繊維表面に仕上げ油剤と無機微粒子を固着させた。付着時、上記「ソマシフME−100」は膨潤してへき開し、平均粒径0.02〜7μmとなった。そして、この熱処理糸を蒸留水中で3時間超音波洗浄して微粒子を落とし、洗浄前後の糸質量を測定することにより微粒子付着量を算出したところその微粒子付着量は0.5質量%であった。得られた熱処理糸の各物性の測定結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示すとおり、実施例1〜5の繊維表面への付着時に膨潤してへき開する性質をもつフッ素を5%以上含有するケイ酸とマグネシウムを主成分とする平均粒径0.01〜15μmの無機微粒子を繊維表面に0.03〜5質量%付着させたポリアリレート繊維は耐屈曲疲労性、耐摩耗性、微粒子脱落性とも優れたものであった。さらに難燃性能も向上する傾向がみられた。一方、比較例1の微粒子を繊維表面に付着させていないポリアリレート繊維は耐屈曲疲労性、耐摩耗性に劣り、比較例2の、合成無機微粒子の繊維表面への付着量が5質量%より多いポリアリレート繊維は耐屈曲疲労性、耐摩耗性に優れるものの微粒子の脱落性に劣り、また比較例3の、合成無機微粒子の繊維表面への付着量が0.03質量%より少ないポリアリレート繊維は耐屈曲疲労性、耐摩耗性に劣るものであった。また比較例4の、ケイ酸とマグネシウムを主成分とせず、しかもモース硬度が4より大きい合成無機微粒子を繊維表面に付着させたものは、耐屈曲疲労性や耐摩耗性に劣っていた。さらに比較例5のケイ酸とマグネシウムを主成分とするが、平均粒径が15μmよりも大きい合成無機微粒子を繊維表面に付着させたものは、耐屈曲疲労性や耐摩耗性および微粒子脱落性に劣るものであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明の無機微粒子を繊維表面に付着させた高強度ポリアリレート繊維は優れた耐屈曲摩耗性と耐摩耗性を有する。このためロープ、ケーブル、テンションメンバー、FRC、FRP、防弾チョッキ等の幅広い用途に特に好適である。
Claims (2)
- モース硬度4以下のフッ素を5%以上含有するケイ酸およびマグネシウムを主成分とする、平均粒径0.01〜15μmの無機微粒子0.03〜5.0質量%を繊維表面に付着させてなるポリアリレート繊維。
- 無機微粒子が合成無機化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリアリレート繊維。
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