JP3381742B2 - 吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維とその製造方法 - Google Patents

吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維とその製造方法

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JP3381742B2 JP13646494A JP13646494A JP3381742B2 JP 3381742 B2 JP3381742 B2 JP 3381742B2 JP 13646494 A JP13646494 A JP 13646494A JP 13646494 A JP13646494 A JP 13646494A JP 3381742 B2 JP3381742 B2 JP 3381742B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸光蓄熱効果に優れ、
且つ遠赤外線放射性を有する廉価な吸光蓄熱遠赤外線放
射性繊維とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、スポーツ、レジャー用衣料、
防寒衣料、あるいは屋外レジャー用品、インテリア用品
などに保温性を付与するため、種々の処理が施されてき
た。例えば、空気の断熱性を利用した、中空繊維の使用
や、表地と裏地の間に中綿を入れた三層構造を形成し、
中綿の空気層を利用したものなどがあるが、このような
ものは厚みがあつく、かさばるため、特に動きが要求さ
れるスポーツ衣料等には適さないといった欠点があっ
た。また、布帛を軽くするために、アルミニウムやチタ
ンなどの金属を蒸着した布帛を裏地として用いることに
より、体からの放熱を減少させる保温効果を利用したも
のもあるが、コーティング加工に伴う加工コストの上昇
や、コーティングで形成される膜と布帛との接着不足に
伴う界面剥離等の問題があった。
【0003】これらの問題に対し、最近では次のような
2つの方法が提案されている。1つは、周期律表第4族
に属する遷移金属の炭化物をポリエステルあるいはポリ
アミド等の繊維中に含有させて太陽光を吸収し、遠赤外
線を放出させる方法(特開平1ー132816号公報)
であり、もう1つは、カーボンブラックを含む光吸収蓄
熱性アクリル系合成繊維(特開平5ー71012号公
報)である。
【0004】また、一方で遠赤外線による保温効果を利
用したものもある。遠赤外線は、体内深部に浸透し内部
で発熱するため身体を芯から暖める効果を持ち、また、
微細血管の拡張、血液循環を良くし新陳代謝を促進する
効果をもつことが知られている。従来、アルミナ系、ジ
ルコニア系、マグネシア系、チタン系等のセラミックス
はこの遠赤外線を放射する能力があることが知られてお
り、様々な形態のものが多方面で用いられており、これ
らのセラミックスを練り混んだ繊維状物もすでに報告
(特開昭63ー126971号公報および特開平1ー3
06607号公報)されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
蓄熱あるいは保温を目的とした繊維にはそれぞれ問題点
がある。例えば、周期律表第4族に属する遷移金属の炭
化物を用いたものでは、実用的な蓄熱性を得るには添加
量を多くすることが必要なために繊維強度および繊維伸
度が低下する。用いられる遷移金属の炭化物のモース硬
度が7〜10と非常に硬いために、製造工程においてガ
イド等をいためる。あるいはその対策として、糸の中心
にそれらの金属炭化物を含有させるシース・コア型の繊
維としなければならず、このため製造コストが非常に高
くなるといった欠点がある。また、カーボンブラックを
含む光吸収蓄熱性アクリル系合成繊維では、カーボンブ
ラックは遠赤外線放射能が弱く、また、カーボンブラッ
クが光を反射し易い平面構造を有しているため、光エネ
ルギーを有効に利用することが困難である、即ち吸光効
率が低いといった問題がある。同じように、上記発明の
セラミックスを含む繊維では、用いられているセラミッ
クスが白色系であり、吸光という観点からはさらに効率
が悪いといった欠点があった。
【0006】本発明は、上記のような問題点を解決し、
太陽光等を吸光して光エネルギーを効率良く熱エネルギ
ーに変換する機能と遠赤外線を放射する機能をあわせも
つ廉価な吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維およびその製造方
法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、吸光蓄熱お
よび保温、あるいは、遠赤外線による保温効果を有する
繊維について、鋭意研究を続けてきた。その結果、球状
酸化鉄系のセラミックスを繊維形成性の有機高分子中
に均一に分散させることにより、吸光蓄熱性と遠赤外線
による保温効果をもち、かつ紙や不織布、織布、編織物
等とするために好適な柔軟性とそれらへの加工に耐える
繊維特性を有する吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維を見出し
本発明を完成させるに到った。即ち、本発明は、繊維形
成性の有機高分子中に球状の吸光蓄熱性且つ遠赤外線放
射性である酸化鉄系セラミックスを含有することを特徴
とする吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維、および球状の吸光
蓄熱性且つ遠赤外線放射性である酸化鉄系セラミックス
を、繊維形成性の有機高分子または該有機高分子を含む
溶液中に分散させた後、紡糸することを特徴とする吸光
蓄熱遠赤外線放射性繊維の製造方法、にある。
【0008】本発明の吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維の酸
化鉄系セラミックスとしては球状のものが必要である
、該繊維およびその製造方法に用いられる酸化鉄系セ
ラミックスは、平均粒子径が、1.0μm以下であるも
のが好ましい。一方、吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維およ
びその製造に用いられる繊維形成性の有機高分子として
は、アクリロニトリルまたはアミド系重合体が好ましく
用いられ、該製造方法における紡糸に関しては、湿式紡
糸方法を採用することにより良好な結果が得られる。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明の吸
光蓄熱遠赤外線放射性繊維は、繊維形成性の有機高分子
中に吸光蓄熱性且つ遠赤外線放射性である球状の酸化鉄
系セラミックスを含有するものである。酸化鉄系セラミ
ックスは、黒色系の濃い色をしており、太陽光等の光、
特に可視光部の全波長を吸収することができるため、効
率良く光を吸収することができる。さらに、黒色系の色
をしたセラミックスは他の色に比べ、吸収スペクトルの
幅が広いため可視光域のみならず、熱エネルギーへの変
換に効率的な赤外線の吸収にも優れることが報告されて
おり(「遠赤外線の利用技術とその応用・例」、応用技
術出版、高島廣夫)、他の色、特に白色系のセラミック
スを含んだ繊維よりも吸光蓄熱および保温効果に優れて
いる。
【0010】なお、本発明に用いられる吸光蓄熱性且つ
遠赤外線放射性である酸化鉄系セラミックスとは、濃い
黒色あるいは褐色の酸化鉄系セラミックスであり、Fe
2 3 で表される三二酸化鉄、および/またはMO・F
2 3 の構造式で表され一般にフェライトと呼ばれる
酸化鉄である。ここで、該フェライトに於けるMとは2
価の金属、例えば鉄、マンガン、亜鉛、銅、ニッケル、
コバルト、マグネシウム、カドミウム等である。
【0011】本発明に用いられる、吸光蓄熱性且つ遠赤
外線放射性である酸化鉄系セラミックスの平均粒子径は
1.0μm以下であるものが好ましい。添加するセラミ
ックスの量をできるだけ少量とするためには、セラミッ
クスの性能を効率よく引き出すことが必要で、このため
できるだけ粒子径の小さなものを用いることが好まし
い。セラミックスの性能発現には吸光対象面積が直接影
響を与える。平均粒子径が1.0μmを超える場合、繊
維中での単位添加量あたりのこのセラミックスの吸光対
象面積が減少するため、有効にセラミックスの性能を発
現することができない。
【0012】本発明に用いられる、吸光蓄熱性且つ遠赤
外線放射性である酸化鉄系セラミックスは、球状である
ことは前にも述べたが、吸光蓄熱性且つ遠赤外線放射性
である酸化鉄系セラミックスの表面が平面構造を有して
いる場合、例えば鱗片状、立方状、多面体状等の場合、
入射光は繊維表面近傍に存するセラミックスの面で反射
してしまい、入射光は繊維中央部に存在するセラミック
スまで到達することができないため吸光効率が低下す
る。しかし、球状である場合入射光は、セラミックスの
球状な面での反射を繰り返し、繊維の内部・中心部まで
到達することができるため、光エネルギーを最大限に利
用することができる。この現象は、針状結晶体を基板に
垂直に配列したセラミックス(山口成人、「アルミナの
物性と応用」、セラミックス、Vol.10,No.
9,p650(1975))において、光の吸収率が非
常に高くなることと同じ原理と考えられる。なお、ここ
でいう球状とは酸化鉄セラミックス粒子径の短径/長径
の比で定義する真球度が0.8以上のものを言う。
【0013】本発明に用いられる有機高分子としては、
繊維形成性を有する限り特に限定は無く例えば、ポリエ
ステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリオレ
フィン、ポリエ−テル、ポリビニル系ポリマ−等が挙げ
られるが、酸化鉄系セラミックスの表面に疎水化処理が
施されている場合、ポリオレフィン、ポリエステル、ポ
リエーテル、ポリビニル系ポリマーが好ましい。しか
し、疎水化処理という工程を経た場合、製造が複雑とな
りコストも高くなるといった欠点がある。酸化鉄系セラ
ミックスの表面は元来親水性であるため、前記の様な処
理を施していない場合は、親水性の高いポリマーとの密
着性に優れ、ひいては分散を良好にすることから、アク
リロニトリルまたはアミド系重合体の如き親水性重合体
の方がセラミックスのコストも含め特に好ましい。
【0014】本発明の吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維を製
造するためには、球状の吸光蓄熱性且つ遠赤外線放射性
である酸化鉄系セラミックスを、繊維形成性の有機高分
子または繊維形成性の有機高分子を含む溶液中に分散さ
せた後、紡糸することが必要である。酸化鉄系セラミッ
クス粒子を均一に分散させることは難しく、一般に速い
撹拌速度で、長時間分散させる必要がある。この原因
は、一般に酸化鉄系セラミックスは磁性を有しており、
粒子同士が磁力により凝集しやすくなっているためであ
る。また、この磁気凝集力は粒子同士の接触が面あるい
は線によるものである場合、即ち多角形、針状、立方体
状、板状の場合顕著である。しかし、球状の酸化セラミ
ックス粒子の場合、粒子同士が点接触となるため、この
磁気による凝集力が低下し、分散性が向上する。
【0015】なお、球状の吸光蓄熱性且つ遠赤外線放射
性である酸化鉄系セラミックスを含む有機高分子組成物
を他の繊維形成性有機高分子組成物とともに複合紡糸す
ることにより、サイドバイサイド型、芯鞘型等の構造と
することも可能である。
【0016】分散させる球状の吸光蓄熱性且つ遠赤外線
放射性である酸化鉄系セラミックスの平均粒子径は、
1.0μm以下が好ましく、実用性の点からは0.5μ
m以下の一次粒子平均径の吸光蓄熱性且つ遠赤外線放射
性である酸化鉄系セラミックスを用いることがさらに好
ましい。1.0μmを越える場合繊維直径に対する相対
的な粒子径が大きくなりすぎるため、繊維形成性有機高
分子マトリックスの不連続が生じ易くなり、特に粒子の
凝集を伴った場合に顕著であり、良好な加工性能を有す
る吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維は得ることが困難とな
る。
【0017】また、その紡糸方法に関しては、溶融紡
糸、湿式紡糸あるいは乾式紡糸等のいずれの方式でも可
能であり、有機高分子の性状から判断し、適宜選択でき
る。本発明に用いた球状の吸光蓄熱性且つ遠赤外線放射
性である酸化鉄系セラミックスを用いる場合には、該粒
子が湿式法で得られることから、その表面は親水性を有
しているため、水系の溶媒、あるいは、水との相溶性の
良い有機溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチル
スルフォキシド、ジメチルアセトアミド、Nーメチルピ
ロリドンなどを用い湿式紡糸する方法が望ましい。
【0018】本発明の製造方法に用いられる有機高分子
としては、繊維形成性を有する限り特に限定は無く例え
ば、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミ
ド、ポリオレフィン、ポリエ−テル、ポリビニル系ポリ
マ−等が挙げられるが、酸化鉄系セラミックスの表面に
疎水化処理が施されている場合、ポリオレフィン、ポリ
エステル、ポリエーテル、ポリビニル系ポリマーが好ま
しい。しかし、疎水化処理という工程を経る場合、製造
工程が複雑となりコストも高くなるといった欠点があ
る。一方、酸化鉄系セラミックスの表面は元来親水性で
あるため、親水性の高いポリマーとの密着性に優れ、ひ
いては分散を良好にすることから、ポリアクリロニトリ
ルまたはアミド系重合体であることが特に好ましい。
【0019】このアクリロニトリル系重合体としては、
アクリロニトリル単独または、50重量%以上、好まし
くは85重量%以上のアクリロニトリルと残部が少なく
とも一種の他のエチレン系不飽和化合物からなる単量体
混合物の共重合体が繊維物性の点から望ましい。尚、ア
クリロニトリルに共重合させる他のエチレン系不飽和化
合物としては、例えばハロゲン化ビニル及びハロゲン化
ビニリデン類、エチレン系不飽和カルボン酸及びその塩
類、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル
類、ビニルエステル類、不飽和炭化水素スルホン酸およ
びその塩類、スチレンおよびそのアルキル又はハロゲン
置換体等のビニル化合物類、ジメチルアミノエチルメタ
クリレート等の塩基性基を含有するビニル化合物類等が
あげられ、これらの中から1種またはそれ以上を任意に
採用することができる。またここでアミド系重合体と
は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイ
ロン11、ナイロン12などである。
【0020】
【作用】本発明に用いた酸化鉄系セラミックスが、吸光
蓄熱性且つ遠赤外線放射性に優れる理由としては次の様
に考えることができる。熱エネルギーを与える赤外線は
可視光線の赤の端より長波長の電磁波である。可視光線
とエネルギー帯が異なるので色と赤外線は直接には関係
がないようにも思えるが、固体を熱したときに発生する
電磁波のスペクトルは連続スペクトルであるので、放射
体の色が黒いと光がよく吸収される。おそらく熱エネル
ギーとなる赤外線も良く吸収されるためであろうと考え
られる。
【0021】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明の要旨はこれによって限定されるもので
はない。まず各種の評価事項の測定方法を説明する。
【0022】吸光蓄熱性の評価は、光源として、太陽光
に近いスペクトルを有し、且つ色温度も5500゜Kと
太陽光の6000゜Kに近い写真用レフランプ(500
W)により被測定繊維よりつくられた布帛の表面を10
分間照射、しかる後に該布帛裏面の温度をサーモグラフ
ィー装置により測定し、吸光蓄熱性あるいは吸光蓄熱遠
赤外線放射性物質を含有した繊維となにも添加していな
いの繊維との温度上昇差により蓄熱効果を評価した。従
って、この値の大きいものほど吸光蓄熱性に優れること
を意味する。
【0023】また、遠赤外線に基づく保温効果の評価
は、吸光蓄熱性あるいは吸光蓄熱遠赤外線放射性物質を
含有した繊維となにも添加していないの繊維それぞれを
仮撚加工し、通常の方法で紳士ソックスを編み立てた。
なお、ヒール及びトウ部は2本を引き揃えた仮撚糸を使
用して編み立てたソックスを90℃の1%苛性ソーダ液
に1時間浸漬した後、通常の方法で茶色に染色仕上げを
行い、それぞれ紳士ソックスとした。これらのソックス
を100人に着用試験を行い、温かさに関して有為差が
あるかどうかをしらべ、有為差があると評価された割合
を百分率で表した。従って、この値の大きいものほど保
温効果が大きいことを意味する。
【0024】実施例1 重量平均分子量89000のアクリロニトリル/アクリ
ル酸メチル共重合体95重量部をチオシアン酸ナトリウ
ムの55%水溶液670重量部に73℃で溶解し、球状
(真球度0.95)で平均粒子径0.8μmのFe2
3 型酸化鉄セラミックス粒子5重量部を添加し5時間撹
拌することにより紡糸原液を得た。該紡糸原液を孔径
0.07mm、孔数20000の紡糸ノズルを用いてー
2℃、15%のチオシアン酸ナトリウム水溶液中に紡出
した後、水洗、延伸(総延伸倍率12倍)、乾燥緻密
化、捲縮処理、緩和熱処理及び油剤処理を施して単繊維
直径20μmの吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維を得た。
【0025】実施例2 球状(真球度0.90)で、平均粒子径0.3μmのF
3 4 型酸化鉄セラミックス粒子を5重量部用いた以
外は、実施例1と同じ方法により、吸光蓄熱遠赤外線放
射性繊維を得た。
【0026】実施例3 重量増が2.0重量%となるようにNーβ(アミノエチ
ル)ーγーアミノプロピルトリメトキシシランで表面処
理を行った一次粒子平均径0.5μmの球状Fe3 4
型酸化鉄セラミックス粒子5重量部と固有粘度0.75
のポリエチレンテレフタレート95重量部を混合し、紡
糸温度280℃で直径0.20mmのオリフィスから紡
出し、冷却、オイリングしながら800m/minの速
度で巻き取り、更に90℃で延伸倍率2.5に延伸し、
150℃で緊張熱処理し、吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維
を得た。
【0027】実施例4 球状(真球度1.0)で、平均粒子径0.2μmのNi
−Zn系のフェライト型酸化鉄セラミックス粒子(モー
ス硬度6)を5重量部用いた以外は、実施例1と同じ方
法により、吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維を得た。
【0028】実施例5 25℃のメタクレゾール液での固有粘度が1.19のナ
イロン6の粉末95重量部と、球状で、平均粒子径0.
2μmのNi−Zn系のフェライト型酸化鉄セラミック
ス粒子5重量部に対し、分散剤としてステアリン酸マグ
ネシウムを0.5重量部添加した混合物を2軸押し出し
機で繰り返し2回混練して、混合ポリマーを得た。次い
で、該混合ポリマーを溶融紡糸により、290℃で直径
が0.25mmのオリフィスから紡出して冷却・オイリ
ングを経て、800m/minの速度で巻き取り吸光蓄
熱遠赤外線放射性繊維を得た。
【0029】実施例および比較例より得られた繊維に対
する全ての評価結果を表1にまとめる。
【0030】
【表1】
【0031】実施例1から5の方法での吸光蓄熱遠赤外
線放射性繊維の製造では、ノズル詰まり、糸切れ、巻き
付き等が発生することなく作業性は良好であった。得ら
れた吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維の加工においても、紡
績等の工程の作業性は良好で、加工性にも優れていた。
また、一連の工程を通してガイド、紡機等の装置に磨耗
は認められなかった。
【0032】実施例6 球状で、平均粒子径0.2μmのNi−Zn系のフェラ
イト型酸化鉄セラミックス粒子40重量部用いた以外
は、実施例1と同じ方法により、吸光蓄熱遠赤外線放射
性繊維を得た。繊維強度は若干弱いものの許容レベルに
あり、加工性等に問題はなかった。
【0033】実施例1から6の吸光蓄熱遠赤外線放射性
繊維はいずれも表1に示すとおり、蓄熱保温温度は10
℃以上と吸光蓄熱性に優れており、また遠赤外線に基づ
くと考えられる温かさの評価も70%以上であり、その
保温性に十分に優位差が認められた。
【0034】
【比較例】
【0035】比較例1 平均粒子径0.4μmの炭化ジルコニウム5重量部用い
た以外は、実施例1と同じ方法により、保温繊維を得
た。吸光蓄熱による温度上昇は5℃と低く、遠赤外線に
よる保温効果も16%と一般の繊維とあまり差は認めら
れなかった。これは、炭化ジルコニウムの光吸収効率お
よび遠赤外線放射効率が悪く、十分な性能を得るために
は、添加量が不十分であったためと考えられる。
【0036】比較例2 平均粒子径0.4μmの炭化ジルコニウム30重量部用
いた以外は、実施例1と同じ方法により、保温繊維を得
た。吸光蓄熱による温度上昇は16℃、遠赤外線による
保温効果も65%と吸光蓄熱保温性は良好であったが、
製造工程および後の加工工程において装置、ガイド、紡
機等の著しい磨耗がみられ実用性に問題があった。
【0037】比較例3 平均粒子径0.2μmのカーボンブラック5重量部用い
た以外は、実施例1と同じ方法により、保温繊維を得
た。吸光蓄熱による温度上昇は17℃と優れていたが、
遠赤外線による保温効果は12%と一般の繊維とあまり
差は認められなかった。これは、カーボンブラックの遠
赤外線放射能が弱いためではないかと考えられる。
【0038】比較例4 球状で、平均粒子径1.5μmのFe2 3 型酸化鉄セ
ラミックス粒子5重量部用いた以外は、実施例1と同じ
方法により、保温繊維を得た。しかし、紡糸工程におい
て、糸切れの発生が認められた。また、繊維強度が1.
2g/d、繊維伸度は15%と低く加工に耐えるだけの
繊維物性は有していなかった。
【0039】比較例5 立方状で、平均粒子径0.8μmのFe2 3 型酸化鉄
セラミックス粒子5重量部用いた以外は、実施例1と同
じ方法により、保温繊維を得た。しかし、紡糸工程にお
いて、糸切れ、巻き付きの発生が認められた。また、繊
維強度は1.4g/d、繊維伸度は11%と低く加工に
耐えるだけの繊維物性は有していなかった。
【0040】比較例6 球状であるが、真球度が0.5で、平均粒子径0.7μ
mのFe2 3 型酸化鉄セラミックス粒子5重量部用い
た以外は、実施例1と同じ方法により、保温繊維を得
た。しかし、繊維強度は1.9g/d、繊維伸度は18
%と低く加工に耐えるだけの繊維物性は有していなかっ
た。
【0041】比較例4から6で得られた繊維を走査型電
子顕微鏡で観察したところ、粒子径5から10μmに相
当する酸化鉄セラミックス粒子の凝集体が多数観測され
た。従って、これらの凝集体が紡糸時にノズルに詰まる
などして糸切れを起こし紡糸性能を低下させたと考えら
れる。また、この様な粗大凝集体が繊維中に存在する場
合、凝集体が集中している部分ではポリマーマトリック
スの連続性が低下するため繊維強度、伸度が低下したも
のと考えられる。
【0042】比較例7 球状で、平均粒子径0.2μmのFe2 3 型酸化鉄セ
ラミックス粒子5重量部を未処理のままポリエチレンテ
レフタレートに混合した以外は、実施例3と同じ方法に
より、繊維を得ようと試みたが、糸切れが発生し、連続
して繊維を得ることはできなかった。これは、親水性表
面をもった酸化鉄セラミックスとポリエチレンテレフタ
レートの相溶性が不良であるため、ポリマー中に均一に
分散できなかったためと考えられる。
【0043】
【発明の効果】本発明の吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維
は、ポリマー中の吸光蓄熱性を有する酸化鉄セラミック
スにより太陽光線等の光エネルギーを効率良く吸収し、
熱エネルギーに変換することにより発熱するとともに、
該セラミックスが併せ持つ遠赤外線放射性により、人体
に熱分子運動が起きて人体が自己発熱する。さらに、充
血作用が短時間で起きるので、血液の血流を促進し、医
療効果や健康増進効果を得ることができる。この用な特
性から、肌着、靴下、セーター、外衣、ブーツの内張り
等人体に被着するもの、あるいは、部屋の保温を目的と
して、カーテン、絨毯などに用いることができ、また、
スポーツ、レジャー用衣料、防寒衣料、あるいは屋外レ
ジャー用品、インテリア用品等にも適用して優れた発熱
保温効果を発揮するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 1/10 D01F 6/54 D01F 6/90 301

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維形成性の有機高分子中に球状の吸光蓄
    熱性且つ遠赤外線放射性である酸化鉄系セラミックスを
    含有することを特徴とする吸光蓄熱遠赤外線放射性繊
    維。
  2. 【請求項2】該酸化鉄系セラミックスの平均粒子径が
    1.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載
    の吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維。
  3. 【請求項3】該有機高分子がアクリロニトリルまたはア
    ミド系重合体であることを特徴とする請求項1または2
    のいずれかに記載の吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維。
  4. 【請求項4】球状の吸光蓄熱性且つ遠赤外線放射性であ
    る酸化鉄系セラミックスを、繊維形成性の有機高分子ま
    たは該有機高分子を含む溶液中に分散させた後、紡糸す
    ることを特徴とする吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維の製造
    方法。
  5. 【請求項5】該酸化鉄系セラミックスの平均粒子径が
    1.0μm以下であることを特徴とする請求項記載の
    吸光蓄熱遠赤外線放射性繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】紡糸を湿式紡糸方法により行うことを特徴
    とする、請求項またはのいずれかに記載の吸光蓄熱
    遠赤外線放射性繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】繊維形成性の有機高分子がアクリロニトリ
    ルまたはアミド系重合体であることを特徴とする請求項
    からのいずれかに記載の吸光蓄熱遠赤外線放射性繊
    維の製造方法。
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