JP2013253817A - 放射線遮蔽繊維および布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全でかつ放射線遮蔽能力に優れ、衣服として使用した際の耐久性、作業性および通気性を損なうことのない放射性遮蔽繊維および布帛を提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系ポリマーと、非鉛系の金属またはその化合物からなる放射線遮蔽性ポリビニルアルコール系繊維および該繊維からなる布帛。
【選択図】なし
【解決手段】ポリビニルアルコール系ポリマーと、非鉛系の金属またはその化合物からなる放射線遮蔽性ポリビニルアルコール系繊維および該繊維からなる布帛。
【選択図】なし
Description
本発明は、鉛系金属を使用しない放射線遮蔽繊維および布帛に関する。
従来、放射線遮蔽材としては鉛および鉛含有化合物が使用されており、例えば、合成樹脂に鉛金属繊維を配合してシート状にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら鉛は安価で遮蔽性に優れる一方、人体および環境への有害性が問題となっている。さらに、シート状に形成したものでは衣服として使用した際、耐久性、作業性、通気性の低いものとなってしまう。
また、タングステンを含有する熱可塑性樹脂を溶融紡糸によって繊維状とする方法が検討されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、特許文献2の熱可塑性樹脂に平均粒子径3μm以下の粒子を含有させた場合には、混練時の飛散により作業性が劣る等の問題があり、含有量を増やすことができない。また、含有量を増やした場合にはポリマーへの均一分散が困難であるために、紡糸安定性および繊維品質に支障をきたすという問題があった。
本発明はこのような従来技術における問題点を解決するものであり、本発明の目的は、安全でかつ放射線遮蔽能力に優れ、衣服として使用した際の耐久性、作業性および通気性を損なうことのない放射性遮蔽繊維および布帛を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリビニルアルコール系ポリマーは他のポリマーと比較しても非鉛系金属またはその化合物の分散能力が非常に高く、粒子径の小さい無機物を含有させた場合や高比率で無機物を含有させた場合においても作業性および紡糸安定性が大きく損なわれることがなく、したがって、従来得られなかった高比率での無機物複合繊維を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、ポリビニルアルコール系ポリマーと、非鉛系の金属またはその化合物からなる放射線遮蔽性ポリビニルアルコール系繊維であり、好ましくは非鉛系の金属または化合物の比重が3以上25以下かつ平均粒子径が0.1μm以上3μm以下であり、ポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に対して、100〜900重量%含有されていることを特徴とする上記の放射線遮蔽ポリビニルアルコール系繊維であり、より好ましくは非鉛系の金属またはその化合物が、硫酸バリウムまたはタングステンであることを特徴とする上記の放射線遮蔽性ポリビニルアルコール系繊維である。
さらに本発明は、上記の繊維からなる、放射線遮蔽性布帛である。
本発明によれば、高い放射線遮蔽性能を有しながら良好な力学特性を有する繊維を得ることができる。さらに、該繊維を布帛としたものは、適度な柔軟性、通気性を有しており、作業性や着用感に優れた防護衣服となる。
以下、本発明について具体的に説明する。まず本発明のポリビニルアルコール(以下、PVAと略する)系繊維を構成するPVA系ポリマーについて説明する。本発明に用いるPVA系ポリマーの重合度は特に限定されるものではないが、得られる繊維の機械的特性や寸法安定性等を考慮すると30℃水溶液の粘度から求めた平均重合度が1200〜20000のものが望ましい。高重合度のものを用いると、強度、耐湿熱性等の点で優れるので好ましいが、ポリマー製造コストや繊維化コストなどの観点から、より好ましくは、平均重合度が1500〜5000である。
本発明で用いるPVA系ポリマーのケン化度は特に限定されるものではないが、得られる繊維の力学物性の点から、88モル%以上であることが好ましい。PVA系ポリマーのケン化度が88モル%よりも低いものを使用した場合、得られる繊維の機械的特性や工程通過性、製造コストなどの面で好ましくない。
本発明で用いるPVA系ポリマーのケン化度は特に限定されるものではないが、得られる繊維の力学物性の点から、88モル%以上であることが好ましい。PVA系ポリマーのケン化度が88モル%よりも低いものを使用した場合、得られる繊維の機械的特性や工程通過性、製造コストなどの面で好ましくない。
また本発明の繊維を形成するPVA系ポリマーは、ビニルアルコールユニットを主成分とするものであれば特に限定されず、本発明の効果を損なわない限り、所望により他の構成単位を有していてもかまわない。このような構造単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン類、アクリル酸及びその塩とアクリル酸メチルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、ポリアルキレンオキシドを側鎖に有するアリルエーテル類、メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル等のニトリル類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル、マレイン酸およびその塩またはその無水物やそのエステル等の不飽和ジカルボン酸等がある。このような変性ユニットの導入法は共重合による方法でも、後反応による方法でもよい。しかしながら、本発明の目的とする繊維を得るためにはビニルアルコール単位が88モル%以上のポリマーがより好適に使用される。もちろん本発明の効果を損なわない範囲であれば、目的に応じてポリマー中に酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色剤、油剤、特殊機能剤などの添加剤が含まれていてもよい。
本発明における繊維は、上記PVA系ポリマー以外の構成成分として、非鉛系金属またはその化合物を含有することが必須であり、好ましくは、平均粒子径0.1μm以上3μm以下の非鉛系金属またはその化合物が、繊維の内部に微細に分散されており、且つその含有量がポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に対して、100〜900重量%であることが重要である。含有量100重量%未満の場合は、放射線遮蔽効果が十分ではなく、900重量%を超える場合は、良好な繊維物性を得ることができない。
次に、PVA系ポリマーに含有させる非鉛系金属またはその化合物について説明する。本発明に用いる非鉛系金属およびその化合物としては、具体的には、イリジウム、タングステン、鉄、亜鉛、銅、錫、チタン、ニッケル等の金属、および酸化タングステン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アンチモン、フェライト、硫酸バリウム等の金属化合物が挙げられる。特にタングステンおよび硫酸バリウムは、放射線遮蔽能力が高く好ましい。
非鉛系金属またはその化合物の平均粒子径は0.1μm以上3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm〜1μmである。平均粒子径が0.1μm未満のものは投入の際に飛散しやすい上、ポリマーとの混合が容易でないため取り扱い性に劣る。平均粒子径が3μmを越える場合は、紡糸安定性が損なわれてしまう上、得られた繊維の力学特性が損なわれてしまう。また、繊維表面の平滑性が損なわれるため、それ以後の加工にも支障をきたす。
非鉛系金属またはその化合物の比重は3以上25以下であり、より好ましくは5〜20である。比重が3未満の場合は、十分な放射線遮蔽効果を得ることができない。比重が25を超える場合は、紡糸工程や延伸工程における安定性が損なわれてしまう上、繊維の重量が大きくなることからそれ以後の加工工程においても安定性が損なわれ、支障をきたす。
次に、本発明の繊維の製造方法について説明する。本発明においては、PVA系ポリマーおよび非鉛系金属またはその化合物を所定の比率において水あるいは有機溶剤に溶解した紡糸原液を用いて後述する方法で繊維を製造する。紡糸原液を構成する溶媒としては、例えば水、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピリドンなどの極性溶媒やグリセリン、エチレングリコールなどの多価アルコール類、およびこれらとロダン塩、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛などの膨潤性金属塩の混合物、さらにはこれら溶媒同士、あるいはこれらの溶媒と水との混合物などが挙げられるが、これらの中でも、とりわけ水やDMSOがコスト、回収性等の工程通過性の点で最も好適である。
紡糸原液中のポリマー濃度は組成、重合度、溶媒によって異なるが、8〜60質量%の範囲であることが好ましい。紡糸原液の吐出時の液温は、紡糸原液が分解、着色しない範囲であることが好ましく、具体的には50℃〜200℃とすることが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、紡糸原液にはPVA系ポリマー以外にも、目的に応じて、難燃剤、酸化紡糸剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色剤、油剤、特殊機能剤などの添加剤などが含まれていてもよい。更にこれらは、一種類または二種類以上のものを併用しても構わない。
紡糸原液中のポリマー濃度は組成、重合度、溶媒によって異なるが、8〜60質量%の範囲であることが好ましい。紡糸原液の吐出時の液温は、紡糸原液が分解、着色しない範囲であることが好ましく、具体的には50℃〜200℃とすることが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、紡糸原液にはPVA系ポリマー以外にも、目的に応じて、難燃剤、酸化紡糸剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色剤、油剤、特殊機能剤などの添加剤などが含まれていてもよい。更にこれらは、一種類または二種類以上のものを併用しても構わない。
目的とする繊維は、かかる紡糸原液をノズルから吐出して湿式紡糸、乾湿式紡糸あるいは乾式紡糸を行うことによって得られる。PVA系ポリマーに対して固化能を有する固化液、あるいは気体中に吐出すればよい。なお、湿式紡糸とは、紡糸ノズルから直接固化浴に紡糸原液を吐出する方法のことであり、乾湿式紡糸とは、紡糸ノズルから一旦任意の距離の空気中あるいは不活性ガス中に紡糸原液を吐出し、その後に固化浴に導入する方法のことである。また、乾式紡糸とは、空気中あるいは不活性ガス中に紡糸原液を吐出し、蒸発乾燥固化させる方法のことである。
本発明において、湿式紡糸または乾湿式紡糸の際に用いる固化浴は、原液溶媒が有機溶媒の場合と水の場合とで異なる。有機溶媒を用いた原液の場合には、得られる繊維強度等の点から固化浴溶媒と原液溶媒からなる混合液であることが好ましく、固化浴溶媒としては特に制限はないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類当のPVA系ポリマーに対して固化能を有する有機溶媒を用いることができる。これらの中でも低腐食性及び回収性の点でメタノールとDMSOとの組み合わせが好ましい。一方、紡糸原液の溶媒が水の場合、固化浴を構成する固化溶媒としては芒硝、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等のPVA系ポリマーに対して固化能を有する無機塩類や苛性ソーダの水溶液を用いることができる。また、PVA系ポリマーと共に、ホウ酸などを加えた水溶液をアルカリ性固化浴中にゲル化紡糸することもできる。
次に、固化された原糸から紡糸原液の溶媒を抽出除去するために、抽出浴を通過させるが、抽出時に同時に原糸を湿延伸することが、乾燥時の繊維間膠着抑制および得られる繊維の機械的特性を向上させるうえで好ましい。その際に湿延伸倍率としては2〜10倍であることが、工程性、生産性の点で好ましい。抽出溶媒としては固化溶媒単独あるいは原液溶媒と固化溶媒の混合液を用いることができる。
次に、固化された原糸から紡糸原液の溶媒を抽出除去するために、抽出浴を通過させるが、抽出時に同時に原糸を湿延伸することが、乾燥時の繊維間膠着抑制および得られる繊維の機械的特性を向上させるうえで好ましい。その際に湿延伸倍率としては2〜10倍であることが、工程性、生産性の点で好ましい。抽出溶媒としては固化溶媒単独あるいは原液溶媒と固化溶媒の混合液を用いることができる。
湿延伸し乾燥した後、場合によっては乾熱延伸、熱処理を施すこともできる。乾熱延伸の条件は、一般的には100℃以上の温度、好ましくは150℃〜260℃で行うのが良く、3倍以上の全延伸倍率、好ましくは5〜25倍の全延伸倍率で延伸すると、繊維の結晶化度と配向度が上がり、繊維の機械的特性が著しく向上するので好ましい。温度が100℃未満の場合、繊維の白化が生じ、機械的物性の低下をもたらす。また、260℃を超えた温度では、繊維の部分的な融解が生じ、この場合においても機械的物性の低下をもたらすので好ましくない。なお、ここでいう延伸倍率とは、先述した乾燥前の固化浴中での湿延伸倍率と乾燥後の乾熱延伸倍率の積である。
さらに延伸処理を施した繊維に熱処理を行うことによって、繊維の機械的物性を向上させることができる。熱処理の条件としては、一般的には100℃以上の温度、好ましくは150℃〜260℃の温度で行うのがよい。温度が100℃未満の場合、繊維物性の向上効果が不十分であり、260℃を超えると繊維の部分的な融解が生じ、この場合においても機械的物性の低下をもたらすので好ましくない。
さらに延伸処理を施した繊維に熱処理を行うことによって、繊維の機械的物性を向上させることができる。熱処理の条件としては、一般的には100℃以上の温度、好ましくは150℃〜260℃の温度で行うのがよい。温度が100℃未満の場合、繊維物性の向上効果が不十分であり、260℃を超えると繊維の部分的な融解が生じ、この場合においても機械的物性の低下をもたらすので好ましくない。
本発明により得られる繊維の繊度は特に限定されず、例えば0.1〜10000dtex、好ましくは1〜2000dtexの繊度の繊維が広く使用できる。繊維の繊度はノズル径や延伸倍率により適宜調整することができる。
本発明の繊維は、力学物性、加工性に優れることからフィラメントや紡績糸、更には不織布、織物、編物などの布帛とすることが可能である。これらの布帛を使用することで、放射線遮蔽能力に優れた衣料を提供することが可能であり、原子力施設や医療施設、放射線利用研究施設における防護服として非常に有用である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何等限定されるものではない。なお、以下の実施例において、繊維物性、放射線遮蔽能力の評価は以下の方法に準拠して測定した。
<繊度>
JIS L−1013の測定方法に準拠して測定した。
<破断強度>
インストロン型の引張試験機を用いて得られた荷重−伸度曲線より求めた。
<破断伸度>
インストロン型の引張試験機を用いて得られた荷重−伸度曲線より求めた。
JIS L−1013の測定方法に準拠して測定した。
<破断強度>
インストロン型の引張試験機を用いて得られた荷重−伸度曲線より求めた。
<破断伸度>
インストロン型の引張試験機を用いて得られた荷重−伸度曲線より求めた。
<放射線遮蔽能力>
JIS Z 4501(X線防護用品類の鉛当量試験)に規定された方法に準拠して測定した。
JIS Z 4501(X線防護用品類の鉛当量試験)に規定された方法に準拠して測定した。
[実施例1]
平均粒径0.6μmのタングステン粉末(アライドマテリアル社製「A−20」)をDMSO中に添加し、50℃で攪拌することによって均一分散させた。さらにこの分散液に粘度平均重合度3500、ケン化度99.7モル%のPVAを添加し、105℃の窒素雰囲気下にて加熱溶解した。タングステンおよびPVAの添加量は、タングステン:PVA=80:20(重量比)、原液中の固形分濃度40重量%となるように調整した。得られた紡糸原液を、孔径0.19mm、ホール数40のノズルを通して液温5℃のメタノール固化浴中に乾湿式紡糸した。さらに液温25℃のメタノール浴中で3倍の湿延伸を施し、120℃の熱風にて乾燥した後、230℃の熱風炉にて全延伸倍率が7倍となるように乾熱延伸を行い、1000dtexのフィラメントを得た。
得られた繊維は強度1.0cN/dtex、伸度6.7%であり、十分な加工通過性を有していた。さらにこの繊維を目付け150g/cm2、厚さ0.28mmの不織布とし、放射線遮蔽能力の評価を行ったところ、鉛当量0.50mmPbであり、十分な遮蔽能力を有するものであった。また、該繊維を使用し、経50本/10cm、緯50本/10cmの基布を作製したところ、得られた基布は適度な柔軟性、通気性を有しており、放射線遮蔽素材として優れた素材であった。
平均粒径0.6μmのタングステン粉末(アライドマテリアル社製「A−20」)をDMSO中に添加し、50℃で攪拌することによって均一分散させた。さらにこの分散液に粘度平均重合度3500、ケン化度99.7モル%のPVAを添加し、105℃の窒素雰囲気下にて加熱溶解した。タングステンおよびPVAの添加量は、タングステン:PVA=80:20(重量比)、原液中の固形分濃度40重量%となるように調整した。得られた紡糸原液を、孔径0.19mm、ホール数40のノズルを通して液温5℃のメタノール固化浴中に乾湿式紡糸した。さらに液温25℃のメタノール浴中で3倍の湿延伸を施し、120℃の熱風にて乾燥した後、230℃の熱風炉にて全延伸倍率が7倍となるように乾熱延伸を行い、1000dtexのフィラメントを得た。
得られた繊維は強度1.0cN/dtex、伸度6.7%であり、十分な加工通過性を有していた。さらにこの繊維を目付け150g/cm2、厚さ0.28mmの不織布とし、放射線遮蔽能力の評価を行ったところ、鉛当量0.50mmPbであり、十分な遮蔽能力を有するものであった。また、該繊維を使用し、経50本/10cm、緯50本/10cmの基布を作製したところ、得られた基布は適度な柔軟性、通気性を有しており、放射線遮蔽素材として優れた素材であった。
[実施例2]
平均粒径0.66μmの硫酸バリウム粉末(堺化学工業社製「B−55」)を使用した以外は実施例1と同様の方法にて繊維化し、1000dtexのフィラメントを得た。
得られた繊維は強度1.4cN/dtex、伸度6.0%であり、十分な加工通過性を有していた。さらにこの繊維を目付け150g/cm2、厚さ0.28mmの不織布とし、放射線遮蔽能力の評価を行ったところ、鉛当量0.58mmPbであり、十分な遮蔽能力を有するものであった。
平均粒径0.66μmの硫酸バリウム粉末(堺化学工業社製「B−55」)を使用した以外は実施例1と同様の方法にて繊維化し、1000dtexのフィラメントを得た。
得られた繊維は強度1.4cN/dtex、伸度6.0%であり、十分な加工通過性を有していた。さらにこの繊維を目付け150g/cm2、厚さ0.28mmの不織布とし、放射線遮蔽能力の評価を行ったところ、鉛当量0.58mmPbであり、十分な遮蔽能力を有するものであった。
[比較例1]
平均粒子径5μmのタングステン粉末(日本新金属社製)とナイロン−6(宇部興産社製)を二軸押出機に投入して溶融混練し、タングステンおよびナイロン−6の重量比がタングステン:ナイロン−6=80:20となる組成物を得た。得られた組成物を、孔径0.8mm、ホール数40のノズルを通して溶融紡糸した。紡糸安定性に非常に劣っており、得られた繊維は表面凹凸が激しく、延伸工程においても良好な工程通過性を有していなかった。
平均粒子径5μmのタングステン粉末(日本新金属社製)とナイロン−6(宇部興産社製)を二軸押出機に投入して溶融混練し、タングステンおよびナイロン−6の重量比がタングステン:ナイロン−6=80:20となる組成物を得た。得られた組成物を、孔径0.8mm、ホール数40のノズルを通して溶融紡糸した。紡糸安定性に非常に劣っており、得られた繊維は表面凹凸が激しく、延伸工程においても良好な工程通過性を有していなかった。
[比較例2]
平均粒子径5μmのタングステン粉末(日本新金属社製)とナイロン−6(宇部興産社製)を二軸押出機に投入して溶融混練し、タングステンおよびナイロン−6の重量比がタングステン:ナイロン−6=40:60となる組成物を得た。得られた組成物を、孔径0.6mm、ホール数40のノズルを通して溶融紡糸した。さらに、ゴデットロールを用いて60℃で3倍に延伸し、1200dtexのフィラメントを得た。この繊維を目付け150g/cm2、厚さ0.28mmの不織布とし、放射線遮蔽能力の評価を行ったところ、鉛当量0.19mmPbであった。
平均粒子径5μmのタングステン粉末(日本新金属社製)とナイロン−6(宇部興産社製)を二軸押出機に投入して溶融混練し、タングステンおよびナイロン−6の重量比がタングステン:ナイロン−6=40:60となる組成物を得た。得られた組成物を、孔径0.6mm、ホール数40のノズルを通して溶融紡糸した。さらに、ゴデットロールを用いて60℃で3倍に延伸し、1200dtexのフィラメントを得た。この繊維を目付け150g/cm2、厚さ0.28mmの不織布とし、放射線遮蔽能力の評価を行ったところ、鉛当量0.19mmPbであった。
本発明によれば、安全でかつ放射線遮蔽能力に優れた繊維を提供することが可能であり、さらに耐久性、作業性および通気性にも優れた衣服を提供することができるため、原子力施設や医療施設、放射線利用研究施設における防護服として非常に有用である。
Claims (4)
- ポリビニルアルコール系ポリマーと、非鉛系の金属またはその化合物からなる放射線遮蔽性ポリビニルアルコール系繊維。
- 非鉛系の金属または化合物の比重が3以上25以下かつ平均粒子径が0.1μm以上3μm以下であり、ポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に対して、100〜900重量%含有されていることを特徴とする請求項1記載の放射線遮蔽ポリビニルアルコール系繊維。
- 非鉛系の金属またはその化合物が、硫酸バリウムまたはタングステンであることを特徴とする請求項1または2記載の放射線遮蔽性ポリビニルアルコール系繊維。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の繊維からなる、放射線遮蔽性布帛。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012128491A JP2013253817A (ja) | 2012-06-06 | 2012-06-06 | 放射線遮蔽繊維および布帛 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014034738A (ja) * | 2012-08-07 | 2014-02-24 | Teijin Ltd | 耐熱性有機繊維 |
JP2018096765A (ja) * | 2016-12-12 | 2018-06-21 | 日立造船株式会社 | 放射線遮蔽シート |
-
2012
- 2012-06-06 JP JP2012128491A patent/JP2013253817A/ja active Pending
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JP2018096765A (ja) * | 2016-12-12 | 2018-06-21 | 日立造船株式会社 | 放射線遮蔽シート |
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