JP2015101815A - 機能性繊維およびこの繊維により構成される保温性布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】紡糸操業性に悪影響を及ぼすことがなく製造可能であり、しかも優れた保温効果を備える繊維を提供することを目的とする。【解決手段】 熱可塑性繊維であって、該熱可塑性繊維を構成する熱可塑性樹脂が遠赤外線放射性微粒子を含有し、かつ該熱可塑性繊維に近赤外線吸収剤が付着してなる機能性繊維およびこの繊維からなる保温性布帛。熱可塑性繊維を構成する熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることが好ましい。 近赤外線吸収剤は、熱可塑性繊維に吸尽処理を施すことにより付着している。【選択図】なし
Description
本発明は、特に秋冬に好適な保温性布帛を提供しうる機能性繊維に関するものである。
従来、保温を目的とした織編物は数多く上市されており、中空糸等によるデッドエアーの利用や吸湿発熱効果の利用、太陽光を熱に変換して利用する方法等、様々な手法を用いた素材が提案されている。しかしながら、デッドエアーの利用は、空気を含ませることで放熱を抑えるという消極的な手法であるため、寒さに対する保温性には限界があり、また空気層を利用するため、織編物が嵩高になってしまうという問題があった。また、吸湿発熱効果の利用については、不感蒸泄等の湿気を吸収することで発熱するものであるが、湿気を吸収した際には発熱するものの、持続性が低く、すぐに放熱してしまうという問題があった。一方、太陽光を熱に変換する方法は、晴天時の屋外においては十分な効果が認められるものの、雨天時や室内ではその効果がほとんど期待出来ないという問題があった。
これに対して、近年、遠赤外線放射性微粒子を利用して繊維に保温効果を付与する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、遠赤外線放射性微粒子を3重量%以上含有又は付着させた繊維が開示されている。また、特許文献2には、ポリエステルに平均粒径2.5〜5.0μmの雲母と平均粒径8.0〜13.0μmの雲母を重量比4/6〜8/2の割合で合計3〜8重量%含有させた遠赤外線照射性ポリエステルが開示されている。更に、特許文献3には、特定の遠赤外線照射率を示す遠赤外線放射性微粒子を1〜10重量%含有するポリマーからなる鞘部と、当該微粒子を10〜70重量%含有するポリマーからなる芯部より構成される遠赤外線放射性機能性繊維が開示されている。また、特許文献4には、遠赤外線放射性微粒子を含有する熱可塑性重合体を鞘部に含む芯鞘構造の機能性繊維であって、遠赤外線放射性微粒子が繊維全体の3重量%である機能性繊維が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜4のように、遠赤外線放射性微粒子のみを利用して繊維の保温効果を高めるには、遠赤外線放射性微粒子を多量に含有又は付着させる必要があり、紡糸の際に糸切れやガイド摩耗等が生じやすくなり、紡糸操業性を悪化させるという問題があった。また、特許文献4の技術では、遠赤外線放射性微粒子を芯鞘構造の鞘部に局在化させることにより、紡糸操業性の改善が図られているものの、依然として満足できるものではない。
さらに、特許文献1〜4のように、遠赤外線放射特性を有する微粒子のみを利用して繊維に保温効果を付与する技術では、実現可能な保温効果には限界があり、十分な暖かさを実現するには至っていないのが現状である。
本発明は、紡糸操業性に悪影響を及ぼすことがなく製造可能であり、しかも優れた保温効果を備える繊維を提供することを目的とする。さらに、本発明は、当該繊維を利用した糸条及び布帛を提供し、特に、秋冬衣料として好適で、室内外あるいは静止時、運動時といった様々な着用シーンに対応可能な全天候型保温性布帛を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明に到達した。すなわち、遠赤外線放射性微粒子と近赤外線吸収剤とを具備する繊維は、高い保温効果を有することを見出し、この知見に基づいてなされたものである。
本発明は、熱可塑性繊維であって、該熱可塑性繊維を構成する熱可塑性樹脂が遠赤外線放射性微粒子を含有し、かつ該熱可塑性繊維に近赤外線吸収剤が付着してなることを特徴とする機能性繊維を要旨とするものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の機能性繊維は、熱可塑性樹脂により構成されるが、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系、ポリアミド系等が挙げられる。なかでも、機械的強度等の物性に優れ、汎用性が高いことから、ポリエステル系樹脂を好ましく用いる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂が挙げられる。また、粘度、熱的特性、相溶性を鑑みてポリエステル系樹脂に、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、およびエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールや、グリコール酸、ヒドロキシ酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸、ε―カプロラクタンなどの脂肪族ラクトン等を共重合したものであってもよい。
本発明の機能性繊維は、熱可塑性樹脂により構成されるが、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系、ポリアミド系等が挙げられる。なかでも、機械的強度等の物性に優れ、汎用性が高いことから、ポリエステル系樹脂を好ましく用いる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂が挙げられる。また、粘度、熱的特性、相溶性を鑑みてポリエステル系樹脂に、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、およびエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールや、グリコール酸、ヒドロキシ酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸、ε―カプロラクタンなどの脂肪族ラクトン等を共重合したものであってもよい。
本発明の繊維を構成する熱可塑性樹脂は、遠赤外線放射性微粒子を含有する。遠赤外線放射性微粒子とは、遠赤外線を放射可能な物質からなる微粒子であり、例えば、マイカ,タルク,方解石等の鉱物、酸化錫,アルミナ,二酸化珪素などの酸化物系セラミックス、炭化珪素,炭化ホウ素等の炭化物系セラミックス、白金,タングステンなどの金属類、炭素,グラファイトなどの非金属類が挙げられる。中でも特にマイカなど硬度の低い微粒子は、ガイド摩耗等が起こり難く、より好ましい。なお、これらの遠赤外線放射微粒子は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
遠赤外線放射性微粒子の平均粒子径については、特に限定されないが、例えば10μm以下、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.3〜3μmが挙げられる。遠赤外線放射性微粒子の平均粒子径が前記範囲内であれば、紡糸操業性に悪影響を及ぼすことなく、より優れた保温効果を奏させることができる。ここで平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置を用いて測定される体積平均粒子径である。
機能性繊維中の遠赤外線放射性微粒子の含有量についてであるが、本発明においては、遠赤外線放射性微粒子を多く含まなくとも、後述する近赤外線吸収剤を併用しているため、優れた保温効果を奏するという利点がある。すなわち、本発明では、近赤外線吸収剤が発する熱を保温効果の向上そのものに利用できるだけでなく、その熱を遠赤外線放射性微粒子の温度上昇にも利用でき、遠赤外線放射性微粒子からは温度上昇に応じてより多くの遠赤外線が発せられるため、結果としてより優れた保温効果が奏される。かかる観点から、遠赤外線放射性微粒子の含有量として、好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.5〜2.5質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%が挙げられる。また、このように遠赤外線放射性微粒子の含有量を低減させることにより、紡糸操業性も一層良好になる。
遠赤外線放射性微粒子は、繊維を構成する熱可塑性樹脂、すなわち原料となる熱可塑性樹脂に直接、錬り込み、混合して、溶融紡糸することによって繊維を構成する熱可塑性樹脂に含有させるとよい。
本発明の機能性繊維は、近赤外線吸収剤が付着している。本発明において近赤外線吸収剤とは、近赤外線領域(700〜2000nm)の光を吸収するものであり、具体的には、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、アントラキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等が挙げられる。中でも蓄熱・保温効果をより発揮させる観点から、アントラキノン化合物からなるものが好適である。
繊維に近赤外線吸収剤が付着していることにより、光エネルギーを熱エネルギーへ変換することができる。エネルギーの変換は、近赤外線の反射率を測定することにより確認でき、具体的には、波長700〜850nmにおける反射率が50%以下であると、当該エネルギー変換が効率的に行われていると判断できる。
近赤外線吸収剤を付着させるには、以下の方法により行うとよい。
まず、近赤外線吸収剤が所定量分散してなる水分散液を用意する。液の分散性を高める目的で界面活性剤を用いるとよい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれのものでも使用可能である。中でも分散性、吸尽速度などの点から、アニオン系界面活性剤を含む界面活性剤、カチオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を含む界面活性剤が好適である。具体的に、アニオン系界面活性剤としてスルホン酸塩(ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物など)などが、カチオン系界面活性剤として第4級アンモニウム塩などが、ノニオン系界面活性剤としてエーテル型のもの(ポリアルキレンアルキルエーテルなど)などが例示できる。
まず、近赤外線吸収剤が所定量分散してなる水分散液を用意する。液の分散性を高める目的で界面活性剤を用いるとよい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれのものでも使用可能である。中でも分散性、吸尽速度などの点から、アニオン系界面活性剤を含む界面活性剤、カチオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を含む界面活性剤が好適である。具体的に、アニオン系界面活性剤としてスルホン酸塩(ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物など)などが、カチオン系界面活性剤として第4級アンモニウム塩などが、ノニオン系界面活性剤としてエーテル型のもの(ポリアルキレンアルキルエーテルなど)などが例示できる。
なお、水分散液のpHは4〜7の範囲にあることが好ましく、4〜6の範囲にあることがより好ましい。pHがこの範囲を外れると、水分散液の安定性が低下し、粒子その他の固形分が凝集することがある。特に、pHが7を超えると、100〜135℃の温度下で行う吸尽処理中に近赤外線吸収剤が加水分解し、所望の蓄熱・保温効果等の機能性を繊維に付与し難くなる。水分散液のpHは、酸性化合物を配合することにより適宜調整できる。酸性化合物としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸などの有機酸、及び塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸などがあげられる。中でも酢酸が好ましい。また、硫酸塩などの緩衝剤を併用することが好ましい。水分散液には、必要に応じて各種機能性付与剤を含有させてもよい。例えば、得られる布帛の耐光性向上を考慮して、紫外線吸収能を有する紫外線吸収剤を併用することも好ましい。また、繊維の色合わせのために、各種染料を含有させることも好ましい。
水分散液を用意した後は、繊維を水分散液に浸漬させる。この場合、熱可塑性繊維をバラ毛、塊、トウ、スライバなどの形状で直接的に水分散液に浸漬してもよいが、一般には紡績糸、フィラメント糸などの糸形状に一旦加工したもの、もしくはこれらを製織編し布帛形状としたものを浸漬するとよい。
設備としては、浸漬後の吸尽処理が後述のように100〜135℃の温度下で行われるため、密閉できる高圧容器を用いるとよい。例えば、繊維を直接的に浸漬する場合にはバラ毛染色機、オーバーマイヤー染色機などが、糸形状のものについてはチーズ染色機などが、布帛形状のものについてはウィンス染色機、液流染色機、ビーム染色機、高圧ジッカー染色機、パディングによる連続染色機などがそれぞれ使用できる。
繊維に吸尽処理することにより、近赤外線吸収剤を繊維に付着させる。繊維表面だけに当該吸収剤を付着させても所定の効果を奏することができるが、より高い効果を得るには、繊維表面と共に繊維内部へ当該吸収剤を固着させることが好ましい。
吸尽処理は、100〜135℃の温度下で行う。吸尽処理の温度が100℃未満になると、近赤外線吸収剤を繊維に十分に固着させ難くなり、所望の蓄熱・保温効果を得難くなる。一方、135℃を超えると、近赤外線吸収剤が加水分解し易くなるだけでなく、繊維が熱によって脆化し易くなり、糸質物性が低下することがあり、実用強度を有する繊維製品が得にくくなる。吸尽処理の時間としては、通常、10〜60分間程度が好ましい
本発明においては、繊維に近赤外線吸収剤を付着することで、太陽光を効率的に熱に変換し、十分な暖かさを付与できるとともに、雨天時や室内など太陽光の届きにくい場合でも、繊維が含有する遠赤外線放射性微粒子により暖かさを維持することができる。さらに、遠赤外線放射性微粒子を含有し、かつ近赤外線吸収剤が付着された繊維は、近赤外線吸収剤による吸光熱変換効果による熱エネルギーを暖かさに利用することに加えて、遠赤外線放射性微粒子そのものの温度を上昇させることへも利用され、遠赤外線放射効果をさらに高める相乗効果も奏する。
本発明においては、繊維に近赤外線吸収剤を付着することで、太陽光を効率的に熱に変換し、十分な暖かさを付与できるとともに、雨天時や室内など太陽光の届きにくい場合でも、繊維が含有する遠赤外線放射性微粒子により暖かさを維持することができる。さらに、遠赤外線放射性微粒子を含有し、かつ近赤外線吸収剤が付着された繊維は、近赤外線吸収剤による吸光熱変換効果による熱エネルギーを暖かさに利用することに加えて、遠赤外線放射性微粒子そのものの温度を上昇させることへも利用され、遠赤外線放射効果をさらに高める相乗効果も奏する。
本発明において、繊維の形態は、特に限定されるものではなく、長繊維であっても短繊維であってもよい。
また、単繊維の繊度は、用途等に応じて適宜選択すればよく、例えば、単繊維の繊度は、0.01〜30dtex程度がよい。なお、単繊維の繊度を小さくすることで、繊維表面積が増加し、遠赤外線放射性能が向上し、さらに繊維同士の間に空気層が増加するため、デッドエアーによる保温性も付加されるため、0.1〜3dtexがより好ましい。
繊維の形態が長繊維の場合、例えば、仮撚による捲縮を有していると、デッドエアーによる保温性の点で有効である。短繊維の場合は紡績糸とするが、撚り係数は2.0〜4.0の範囲とすることが好ましい。撚り係数を2.0以上とすることにより、強度を保持することができ、一方、撚り係数を4.0以下とすることにより、撚りが強くなり過ぎず甘撚りとなってソフト性が向上し、暖かみを発揮できる。なお、撚り係数は、下式により算出されるものである。
撚り係数A=T/N1/2
T:インチあたりの撚り回数
N:番手
撚り係数A=T/N1/2
T:インチあたりの撚り回数
N:番手
また、本発明において、繊維の断面形状は、特に限定するものではなく、円形以外に、三角、六角、扁平等の異形断面、さらに中空部を有する中空断面であってもよい。
本発明においては、上記した機能性繊維を用いて紡績糸やマルチフィラメント糸の形態等として、製編織することにより保温性布帛とすればよい。また、紡績糸やマルチフィラメント糸とする際に、機能性繊維以外の繊維と併用してもよい。また、布帛を構成する繊維としても、本発明の機能性繊維以外の他の繊維や糸条を併用して布帛としてもよい。他の繊維と併用する場合は、本発明の機能性繊維を少なくとも20質量%以上、好ましくは30質量%以上含ませる。機能性繊維の含有量が20質量%未満となると、本発明の目的とする効果が奏されない傾向となる。
本発明の保温性布帛の厚みは0.5〜2.5mmであることが好ましい。0.5mm以上とすることにより、生地に程よい厚みをもたせて十分に保温性能を発揮させることができ、一方、2.5mm以下とすることにより、生地が厚く重くなることを防止して衣料用として好適な布帛とすることができる。また、布帛の目付は、100〜300g/m2が好ましい。100g/m2以上とすることによって十分な保温性能を発揮しやすく、一方、00g/m2以下とすることにより、上記した厚みの上限の理由と同様に、生地が重くなることを防止して衣料用として好適な布帛とすることができる。
本発明の機能性繊維によれば、遠赤外線放射効果および吸光熱変換蓄熱効果に優れるため、この機能性繊維により得られる保温性布帛は、室内外における様々な着用環境にも対応可能な秋冬の布帛として、生地を肉厚にすることなく高い保温効果が得られる。したがって、インナーやスポーツ衣料等の用途にも特に好適である。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。実施例、比較例における布帛は、下記により評価した。
〔遠赤外線放射性〕
試験方法は、赤外分光光度計FT−IR装置を使用し、測定波長域は5〜20μmの遠赤外線放射強度を測定した。その際、同条件での黒体の遠赤外線放射強度も測定し、各波長における黒体との放射強度の比率から、平均放射率を算出した。(測定温度40℃)
◎:比較生地の平均放射率との差が5%以上。
○:比較生地の平均放射率との差が2%以上〜5%未満。
×:比較生地の平均放射率との差が2%未満。
試験方法は、赤外分光光度計FT−IR装置を使用し、測定波長域は5〜20μmの遠赤外線放射強度を測定した。その際、同条件での黒体の遠赤外線放射強度も測定し、各波長における黒体との放射強度の比率から、平均放射率を算出した。(測定温度40℃)
◎:比較生地の平均放射率との差が5%以上。
○:比較生地の平均放射率との差が2%以上〜5%未満。
×:比較生地の平均放射率との差が2%未満。
〔吸光熱変換性〕
光吸収熱変換性 温度20℃、湿度65%の恒温恒湿の室内において、エネルギー源として写真用100W白色光源を用い、編地の表面温度をサーモビュアJTG−4200(日本電子株式会社製、赤外線センサー)にて測定した。
◎:比較生地との表面平均温度の差が3℃以上。
○:比較生地との表面平均温度の差が1℃以上〜3℃未満。
×:比較生地との表面平均温度の差が1℃未満。
光吸収熱変換性 温度20℃、湿度65%の恒温恒湿の室内において、エネルギー源として写真用100W白色光源を用い、編地の表面温度をサーモビュアJTG−4200(日本電子株式会社製、赤外線センサー)にて測定した。
◎:比較生地との表面平均温度の差が3℃以上。
○:比較生地との表面平均温度の差が1℃以上〜3℃未満。
×:比較生地との表面平均温度の差が1℃未満。
〔風合い〕
ハンドリングテスト(官能評価)により、以下の3段階の基準にて評価した。
◎:ソフト感が非常に優れている。
○:ソフト感が優れている。
×:ソフト感に劣っている。
ハンドリングテスト(官能評価)により、以下の3段階の基準にて評価した。
◎:ソフト感が非常に優れている。
○:ソフト感が優れている。
×:ソフト感に劣っている。
実施例1
遠赤外線放射性微粒子を含有したポリエチレンテレフタレート繊維からなるマルチフィラメント糸(56dtex/24filament)を準備した。このマルチフィラメント糸は、ポリエチレンテレフタレート樹脂に平均粒子径3μmの鉱石(マイカ)の粒子を1.5重量%含有させた樹脂を溶融紡糸により得たものである。
遠赤外線放射性微粒子を含有したポリエチレンテレフタレート繊維からなるマルチフィラメント糸(56dtex/24filament)を準備した。このマルチフィラメント糸は、ポリエチレンテレフタレート樹脂に平均粒子径3μmの鉱石(マイカ)の粒子を1.5重量%含有させた樹脂を溶融紡糸により得たものである。
一方、レギュラーポリエチレンテレフタレート繊維からなるマルチフィラメント糸(56dtex/12filament)も用意した。
それぞれのマルチフィラメント糸を、エア混繊にて混合比率50/50として複合加工糸を得た。得られた複合加工糸を用いて、福原精機製ダブルニット機LPJ−H型を用い、30“24Gでスムースを編成した。その後、下記の処方1の吸尽処理を施して、近赤外線吸収剤を付着させた。なお、吸尽処理は、温度130℃、時間30分、浴比1:10で行った。
その後、常法により仕上加工を行い、厚み0.6mm、目付220g/m2の丸編地からなる実施例1の保温性布帛を得た。
<処方1>
近赤外線吸収剤(日本化薬社製「KP DEEPER NR(商品名)」、アントラキノン化合物) 6%owf
分散剤(日華化学社製「ニッカサンソルト130E(商品名)」) 0.5g/L
酢酸 0.1cc/L
一方、比較生地としては、布帛を構成する繊維として、レギュラーポリエステル繊維からなるマルチフィラメント糸(56dtex/12filament)のみを用いて、実施例1と同条件にて編成および吸尽処理、仕上加工を行い、厚み0.6mm、目付225g/m2の丸編地を作成し、評価した。
<処方1>
近赤外線吸収剤(日本化薬社製「KP DEEPER NR(商品名)」、アントラキノン化合物) 6%owf
分散剤(日華化学社製「ニッカサンソルト130E(商品名)」) 0.5g/L
酢酸 0.1cc/L
一方、比較生地としては、布帛を構成する繊維として、レギュラーポリエステル繊維からなるマルチフィラメント糸(56dtex/12filament)のみを用いて、実施例1と同条件にて編成および吸尽処理、仕上加工を行い、厚み0.6mm、目付225g/m2の丸編地を作成し、評価した。
実施例2
遠赤外線放射性微粒子を含有したポリエチレンテレフタレート短繊維(繊度1.7dtex、繊維長38mm、ポリエチレンテレフタレート樹脂に平均粒子径3μmの鉱石(マイカ)の粒子を1.5重量%含有させた樹脂を溶融紡糸により繊維としカットして得たもの)を準備した。
一方、レギュラーポリエステル短繊維(1.3dtex、繊維長38mm)も用意した。
遠赤外線放射性微粒子を含有したポリエチレンテレフタレート短繊維(繊度1.7dtex、繊維長38mm、ポリエチレンテレフタレート樹脂に平均粒子径3μmの鉱石(マイカ)の粒子を1.5重量%含有させた樹脂を溶融紡糸により繊維としカットして得たもの)を準備した。
一方、レギュラーポリエステル短繊維(1.3dtex、繊維長38mm)も用意した。
これら2種類の短繊維の原綿を50:50の質量割合にて混綿し、カード工程、練条工程、粗紡工程、精紡工程、仕上工程を経て、撚り係数3.0、番手40Sのポリエステル紡績糸を得た。
得られた紡績糸を福原精機製ダブルニット機LPJ−H型を用い、30“24Gでスムースを編成した。次いで、実施例1と同様の吸尽処理を施して、近赤外線吸収剤を付着させた。
得られた紡績糸を福原精機製ダブルニット機LPJ−H型を用い、30“24Gでスムースを編成した。次いで、実施例1と同様の吸尽処理を施して、近赤外線吸収剤を付着させた。
その後、常法により仕上加工を行い、厚み0.8mm、目付240g/m2の丸編地からなる実施例2の保温性布帛を得た。
一方、比較生地としては、布帛を構成する繊維として、レギュラーポリエステル短繊維のみを用いて、撚係数3.0.番手40Sの紡績糸を作成し、次いで、実施例1と同条件にて編成および吸尽処理、仕上加工を行い、厚み0.9mm、目付245g/m2の丸編地を作成し、評価した。
評価結果を表1に示す。
実施例1および2の保温性布帛は、遠赤外線放射性能および吸光熱変換性能ともに優れ、ソフトな風合いも有する布帛であった。
実施例1および2の保温性布帛は、遠赤外線放射性能および吸光熱変換性能ともに優れ、ソフトな風合いも有する布帛であった。
Claims (6)
- 熱可塑性繊維であって、該熱可塑性繊維を構成する熱可塑性樹脂が遠赤外線放射性微粒子を含有し、かつ該熱可塑性繊維に近赤外線吸収剤が付着してなることを特徴とする機能性繊維。
- 熱可塑性繊維を構成する熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の機能性繊維。
- 近赤外線吸収剤は、吸尽処理を施すことにより熱可塑性繊維に付着していることを特徴とする請求項1または2記載の機能性繊維。
- 請求項1〜3の機能性繊維により構成されていることを特徴とする保温性布帛。
- 請求項1〜3の機能性繊維を20質量%以上有していることを特徴とする請求項4記載の保温性布帛。
- 保温性布帛の厚みが0.5〜2.5mm、目付が100〜300g/m2であることを特徴とする請求項4または5記載の保温性布帛。
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2013
- 2013-11-27 JP JP2013245179A patent/JP2015101815A/ja active Pending
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