JP6259318B2 - ブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法 - Google Patents

ブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6259318B2
JP6259318B2 JP2014040600A JP2014040600A JP6259318B2 JP 6259318 B2 JP6259318 B2 JP 6259318B2 JP 2014040600 A JP2014040600 A JP 2014040600A JP 2014040600 A JP2014040600 A JP 2014040600A JP 6259318 B2 JP6259318 B2 JP 6259318B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
yarn
twisted yarn
false twisted
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014040600A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015166501A (ja
Inventor
一廣 小森
一廣 小森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Trading Co Ltd
Original Assignee
Unitika Trading Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Trading Co Ltd filed Critical Unitika Trading Co Ltd
Priority to JP2014040600A priority Critical patent/JP6259318B2/ja
Publication of JP2015166501A publication Critical patent/JP2015166501A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6259318B2 publication Critical patent/JP6259318B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Woven Fabrics (AREA)
  • Knitting Of Fabric (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)

Description

本発明は、布帛にしたとき優れた保温効果を発現するブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製法と、その製法による仮撚糸を使用した布帛とに関するものである。
ポリエステルフィラメント糸は、物理的・化学的な特性に優れているため、イージーケア素材として、多くの衣料製品に使用されている。
衣料用途の中に、冠婚葬祭時に着用する礼服、ブラックフォーマル衣料という用途がある。使用素材として、メンズ用では、主にウールもしくはウール混素材が使用され、レディス用では、審美性に優れるポリエステル素材が主に使用されている。
中でも、ポリエステル素材については、布帛にしたとき黒色の発色性や深色性などを十分発現させうるものが、ブラックフォーマル衣料向けには好ましいとされている。例えば、微細シリカを含有するポリマーを繊維化した後、これをアルカリ処理して繊維表面を粗面化する、又は糸加工により繊維間に空隙を設けるなどして、光散逸を抑えて深色性を与える方法などが提案されている。さらに、繊維布帛表面にフッ素系樹脂やシリコン系樹脂などを付与して深色性を発現させる方法なども提案されている。
また、ブラックフォーマル衣料は、用途の点から、重ね着されることは通常あまりない。したがって、冬の屋外でブラックフォーマル衣料を着用する場合には、保温性や温感調節機能などが求められる。また屋外だけでなく屋内でも例えば葬儀場などでは、室温が特定の理由により低く調節されているから、屋外使用の場合と同様、同衣服には保温性や温感調節機能などが求められる。
布帛に保温性を付える方法としては、これまでに多くのものが提案されている。例えば、デッドエアー層や吸湿発熱機能を利用する方法、太陽光を熱に変換する吸光熱変換効果を利用する方法などが提案されている。
しかしながら、デッドエアー層を利用して保温性を実現する方法とは、衣服内に溜まった空気を利用して放熱を抑えるという消極的な手法に過ぎないため、持続性に欠け、十分な保温性は期待できない。また、吸湿発熱機能の利用とは、発汗時の湿気などを吸収することにより発熱する繊維を使用し保温性を得ようとする手法であり、湿気を吸収した時には発熱するものの持続性に乏しく、すぐに放熱してしまうという問題がある。また、吸光熱変換効果に利用については、積極的な発熱作用により、晴天時の屋外においては十分な保温効果が認められる。しかし、太陽光の照射量の少ない雨天時や室内では、その効果がほとんど期待できないという問題がある。
近年、上記方法の他に、遠赤外線を利用する方法も提案されている。具体的には、遠赤外線領域の電磁波を受けることで身体内部の細胞組織が共鳴振動し、これにより血行が促進され、保温効果が得られるというものである。例えば、特許文献1には、遠赤外線放射性微粒子を含有する遠赤外線放射性複合繊維が記載されている。しかしながら、同繊維から放射される遠赤外線の放射量には限界があり、十分な保温効果が得られないという問題がある。
特開平9−59827号公報
以上のように、布帛としたとき黒色の発色性や深色性などを十分向上させて所望の審美性を得ると同時に、屋内外で優れた保温効果を持続性よく発現させる手法は未だ提案されていない。そして、布帛へこのような特性を与えうる糸並びにその糸を使用した布帛をブラックフォーマル衣料に適用した例も無論見当たらない。
本発明はこのような従来技術の欠点を解消するものであり、黒色の発色性、深色性、風合い及びドレープ性などの審美性と共に、天候その他屋内外を問わず持続性ある優れた保温効果を布帛に与えることができるブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製法と、その製法による加工糸を使用した布帛とを提供することを技術的課題とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、赤外線放射性微粒子と発熱性微粒子とを含有するポリエステル高配向未延伸糸を特定の方法で仮撚加工することで、布帛に所定の審美性と優れた保温性とを付与できる加工糸が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下を要旨とするものである。
(1)遠赤外線放射性微粒子と発熱性微粒子とを含有するポリエステルフィラメントから構成される仮撚加工糸の製造方法であって、ポリエステル高配向未延伸糸を延伸することなく熱処理した後、延伸同時仮撚りすることを特徴とするブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法。
(2)前記ポリエステルフィラメントの断面が芯鞘構造をなし、前記遠赤外線放射性微粒子が鞘成分に含まれ、前記遠赤外線放射性微粒子の含有量が鞘成分100質量部に対して0.1〜2.5質量部であり、かつフィラメントにおける芯鞘の質量比率(芯成分/鞘成分)が95/5〜15/85の範囲にあることを特徴とする(1)記載のブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法。
(3)前記発熱性微粒子が前記ポリエステルフィラメントの鞘成分100質量部に対して0.1〜2.5質量部含まれていることを特徴とする(2)記載のブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法。
(4)(1)〜(3)いずれかに記載の方法により得られたブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸を用いてなる布帛であって、L*値が16以下であることを特徴とする布帛。
本発明の製法によれば、布帛に対し黒色の発色性や深色性、風合い、ドレープ性などの審美性に加え、優れた保温性をも付与できるブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸が提供できる。そして、本発明による加工糸を使用した布帛は、秋冬向けブラックフォーマル衣料に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製法では、ポリエステル高配向未延伸糸を特定の方法で延伸同時仮撚りする。ポリエステル高配向未延伸糸を構成するフィラメント(単糸)には、遠赤外線放射性微粒子と発熱性微粒子とが含有されている。
本発明におけるポリエステル高配向未延伸糸は、ポリアルキレンテレフタレートに代表されるポリエステルから構成されるものであればよい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどがあげられる。また、粘度、熱的特性、相溶性などに鑑みて、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、及びエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールや、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸、ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトンなどを共重合させてもよい。
遠赤外線放射微粒子としては、マイカ、方解石などの鉱物、酸化錫、アルミナ、二酸化珪素などの酸化物系セラミックス、炭化珪素、炭化ホウ素などの炭化物系セラミックス、白金、タングステンなどの金属類などがあげられる。中でも仮撚時のガイド摩耗を抑える観点から、マイカなどのような硬度の低いものが好ましい。
また、発熱性微粒子としては、太陽光などの電磁波を吸収し発熱するものであればどのようなものでも使用できる。具体的には、炭化ジルコニウムやカーボンなどが好ましい。
ポリエステル高配向未延伸糸を構成するフィラメントの構造は、特に限定されるものでないが、保温性の観点から、芯鞘構造をなし、かつ遠赤外線放射性微粒子がその鞘成分に所定量含有されているものが好ましい。これは、遠赤外線放射性微粒子を鞘成分に配することで、微粒子と人体との距離を短くすることができるから、結果として遠赤外線が人体に到達し易くなるからである。
また、本発明では、発熱性微粒子もフィラメント鞘成分に含有されていることが好ましい。これは、鞘成分すなわちフィラメント外側の方が光を受け易いからである。また、本発明では、発熱性微粒子が発する熱を、衣服内や人体に対し暖かさを付与することに利用できるだけでなく、遠赤外線放射性微粒子そのものの温度上昇にも利用でき、遠赤外線放射性微粒子からは、温度上昇に応じて多くの遠赤外線が発せられるため、結果として優れた保温効果が奏される。特に、上記の理由から両微粒子をフィラメント鞘成分に配した場合には、鞘成分において両微粒子が近接することになるから、発熱性微粒子が発する熱をより利用し易くなり、遠赤外線放射効果が一層効率的に奏されることとなる。
遠赤外線放射性微粒子及び発熱性微粒子の含有量としては、特に限定されないが、通常、フィラメント100質量部に対して各々0.1〜10質量部であることが好ましい。
高配向未延伸糸のコスト及び紡糸操業性などは、一般に微粒子の含有量が増えるほど悪化する傾向にあるから、微粒子の含有量は少ないほど好ましいといえる。この点、本発明では、遠赤外線放射性微粒子と発熱性微粒子とを併用することで、発熱性微粒子が発する熱を遠赤外線放射性微粒子の温度上昇に利用し、これにより遠赤外線放射効果が促進されるという相乗効果が奏されるから、両微粒子の含有量を多少減らしても一定レベルの遠赤外線放射効果が確保できる。すなわち、本発明では、高配向未延伸糸のコスト及び紡糸操業性などを考慮して、両微粒子の含有量を多少減らしても、十分な保温効果が確保できるのである。
本発明では、両微粒子がフィラメント鞘成分に含まれていることが、優れた遠赤外線放射効果を得るうえで好ましい。この場合、両微粒子の含有量としては、鞘成分100質量部に対して各々0.1〜2.5質量部であることが好ましい。両微粒子の少なくとも一方の含有量が0.1質量部未満になると、所望の相乗効果が発揮されない傾向にある。他方、両微粒子の少なくとも一方の含有量が2.5質量部を超えると、紡糸操業性が悪化する傾向にある。
また、フィラメントの断面が芯鞘構造をなし、両微粒子をその鞘成分に含む場合、芯鞘の質量比率としては、95/5〜15/85の範囲が好ましく、85/15〜40/60の範囲がより好ましい。芯鞘の質量比率がこの範囲を満足すると、両微粒子が当該鞘成分に適度な量をもって配されることとなり、所定の保温効果を得るうえで有利となり、ひいては紡糸操業性も安定する。
本発明の製法では、まず、上記した遠赤外線放射性微粒子と発熱性微粒子とを含有するポリエステルフィラメントから構成される高配向未延伸糸を用意する。次に、この高配向未延伸糸を延伸することなく熱処理する。この熱処理より、フィラメントの結晶化度のみが向上し、配向度は向上せず、むしろ低下していく。結晶化度が向上すると、次工程たる延伸同時仮撚り時にフィラメントが熱変形し難くなる。フィラメント断面の変形、扁平化を抑えることで、光沢の少ない布帛を得ることができるから、結果として所望の深色性が得られる。さらに、配向度が低くなると、フィラメントにおいて分散染料を吸尽・染着する非晶領域が増大し、分散染料をフィラメントにより多く吸尽させることができる。これにより、ブラックフォーマル衣料に適した発色性が得られる。
延伸同時仮撚りは、延伸しない通常の仮撚りと比べると、延伸する分、加撚ゾーンにおいて糸に大きな張力がかかる。このためフィラメントの断面は扁平化し易く、これにより布帛にしたとき光沢が生じ易くなる。さらに、通常の延伸同時仮撚りでは、大きな張力がかかった状態で仮撚ヒーターを通過するため、フィラメントの結晶化度、配向度が進み易く、結果、染料を吸尽し難くなり所望の深色性を得ることができない。ブラックフォーマル衣料に適した発色性、深色性を得ることは、分散染料をフィラメント内部に多く吸尽させ、かつ布帛の光沢を少なくすることにより可能であり、従来の延伸同時仮撚りでは、達成することができない。本発明における熱処理は、このような目的のために行うものである。
本発明では、延伸することなく熱処理した高配向未延伸糸を一旦巻き取り、その後仮撚機に導入することにより延伸同時仮撚りしてもよいが、通常は、コスト、糸質などを考慮し、熱処理装置を備えた仮撚機に高配向未延伸糸を導入し、熱処理後、糸を巻き取ることなく連続的に仮撚りすることが好ましい。この場合の熱処理装置としては、特殊なものは必要なく、通常は仮撚機備え付けのヒーターを用いて熱処理すればよい。仮撚加工機のヒーターとしては、非接触タイプのものが好ましい。また、仮撚機としては、特に限定されるものではないが、通常は、ピンタイプの低速仮撚機、ディスクタイプの高速仮撚機などが使用できる。
熱処理時の温度としては、最終的に得られる加工糸が、布帛としたときブラックフォーマル衣料に適した発色性、深色性などを発現できる温度であれば、特に限定されない。具体的には170℃〜230℃の範囲が好ましく、これに加えて、仮撚温度より10℃以上高いことがより好ましい。熱処理は、オーバーフィードをかけた状態で行うことが好ましく、このときのオーバーフィード率としては、0.5〜50%の範囲が好ましい。
高配向未延伸糸を延伸することなく熱処理した後は、延伸同時仮撚りする。これにより目的とする仮撚加工糸を得ることができる。延伸倍率としては、得られる加工糸の糸質物性を考慮して適宜設定してよく、特に限定されないが、通常は、糸切れ、延伸不良などを考慮して、1.2〜1.6倍の範囲が好ましい。さらに、仮撚温度(仮撚ヒーター温度)としては、仮撚りによって付与される撚歪みが固定できる温度であれば、特に限定されず、通常は、フィラメント間の融着を抑えながら形状固定できる温度を適宜選択すればよい。具体的には、160℃〜230℃が好ましい。
本発明により得られる仮撚加工糸のトータル繊度は、目的、性能に応じて適宜のものが選択可能であるが、通常は、布帛の風合い、深色性などを考慮して10〜440dtexが好ましく、30〜330dtexがより好ましく、50〜200dtexがさらに好ましい。また、加工糸の単糸繊度は、0.01〜10dtexが好ましく、0.1〜10dtexがより好ましく、0.1〜3dtexがさらに好ましい。
仮撚加工糸を得た後は、生機を作製し、生機を染色加工することで本発明の布帛を得ることができる。布帛の組織としては、特に限定されない。例えば、織物の組織では、平織、斜文織、朱子織、多重織などが採用でき、編物の組織では、平編、パール編、リブ編、インターロック編などの丸編組織やハーフ編、デンビー編、アトラス編などの経編組織が採用できる。組織については、深色性の他、各種物性、堅牢度、ウォッシャブル性などを考慮し適切なものを選択すればよい。
布帛には、本発明の効果を損なわない範囲で上記加工糸以外の糸が含まれていてもよい。上記加工糸以外の糸としては任意のものが使用できる。通常、布帛には、上記加工糸が全体の20〜100質量%の割合で含まれていることが好ましい。20質量%未満では、本発明の効果を得難い傾向にある。
本発明では、布帛においてブラックフォーマル衣料に適した発色性、深色性及び風合いなどが発現するよう、予め仮撚加工糸の特性が調節されているので、染色加工は、通常の方法で行えばよい。黒色染料を使用して深みのある色彩を具現しようとする場合、従来の手法では、染料を10〜12%omf程度使用する必要があり、染色堅牢度にやや欠けるという問題があったが、本発明では、好ましくは10%omf未満、より好ましくは7%omf以上10%omf未満でも十分な発色性、深色性が期待でき、染料使用量を抑えることができるから、染色堅牢度も当然維持できる。
本発明の布帛では、明度を表わすL*値が16以下であることが好ましい。16を超える場合、特段の問題なく衣服に仕上げることができたとしても、ブラックフォーマル用途には適用し難くなる。明度は小さいほど発色性、深色性の点で好ましい。
本発明では、染色加工後、明度をさらに下げる目的で濃染加工してもよい。濃染加工としては公知の方法が採用できる。通常、フッ素系樹脂やシリコン系樹脂などを付与すれば、深色性をより発現させることができる。染色加工後にさらに濃染加工することにより、布帛のL*値を12以下程度まで下げることができる。
以下、実施例及び比較例をあげてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各測定方法及び評価方法は以下の通りである。
(1)遠赤外線放射効果
各実施例及び比較例で得られた布帛の遠赤外線放射強度を測定した。測定は、赤外分光光度計FT−IR装置(パーキンエルマー社製「Spectrum GX FT−IR(商品名)」)を使用し、測定温度40℃、測定波長域5〜20μmで行った。その際、同条件における黒体の遠赤外線放射強度も測定し、各波長における黒体の放射強度を100%とした場合の各布帛の放射強度の比率(%)を求め、各波長で算出された比率の平均値を平均放射率(%)として算出した。
(2)発熱特性
温度が20℃、湿度が65%に保たれた室内において、布帛表面にレフランプから照度10000LUXの光を照射し、裏面温度を時間毎にサーモグラフィー(NEC三栄株式会社製「サーモトレーサTH7102MX(商品名)」)で測定し、その最高到達温度で評価した。
(3)明度(L*値)
JIS Z8729に準拠した方法で測定し、L*a*b*表示系で表したL*値を採用した。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート98質量部に、遠赤外線放射性微粒子として平均粒子径3μmのマイカを1.0質量部、及び発熱性微粒子として平均粒子径1.5μmの炭化ジルコニウムを1.0質量部練り込んだ樹脂組成物と、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂とを用意した。そして、両者を複合紡糸機に導入し、前者を鞘成分に、後者を芯成分にそれぞれ配しつつ両者の質量比率(芯成分/鞘成分)が80/20となるように複合紡糸し、89.7dtex24fの高配向未延伸糸を得た。なお、紡糸操業性は良好であった。
次に、熱処理のためのヒーターを備えた仮撚機(三菱重工業株式会社製「LS−6(商品名)」)に上記高配向未延伸糸を導入し、まず温度180℃、オーバーフィード率2.5%なる条件で熱処理した。そして巻き取ることなく連続的に、延伸倍率1.515倍、仮撚数4236T/M、仮撚方向Z、仮撚ヒーター温度170℃なる条件で延伸同時仮撚りし、62.0dtex24fの仮撚加工糸を得た。
その後、ダブルツイスターを使用して、仮撚加工糸をS方向に2500T/M、Z方向に2500T/Mの撚数で撚糸し、撚糸後、75℃、45分間の条件で真空セットした。そして、S方向に撚糸した糸及びZ方向に撚糸した糸を2:2に配列したビームを整経した後、緯糸として上記各々の方向に撚糸した糸を2:2の繰り返しで打ち込み、平二重組織の生機を得た。生機密度は、経糸145本/インチ、緯糸130本/インチであった。
次に、生機を精練、プレセットした後、ダイスタージャパン株式会社製、黒色分散染料「Dianix Black GS−E(商品名)」を8%omf使用して、130℃、30分間の条件で染色した。染色後、ファイナルセットすることで布帛を得た。
(実施例2)
ポリエチレンテレフタレート98質量部に、遠赤外線放射性微粒子として平均粒子径3μmのマイカを1.0質量部、及び発熱性微粒子として平均粒子径1.5μmのカーボンを1.0質量部練り込んだ樹脂組成物と、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂とを用意した。そして、両者を複合紡糸機に導入し、前者を鞘成分に、後者を芯成分にそれぞれ配しつつ両者の質量比率(芯成分/鞘成分)が80/20となるように複合紡糸し、179.7dtex36fの高配向未延伸糸を得た。なお、紡糸操業性は良好であった。
次に、熱処理のためのヒーターを備えた仮撚機(三菱重工業株式会社製「LS−6(商品名)」)に上記高配向未延伸糸を導入し、まず温度180℃、オーバーフィード率2.0%なる条件で熱処理した。そして巻き取ることなく連続的に、延伸倍率1.38倍、仮撚数2750T/M、仮撚方向Z、仮撚ヒーター温度170℃なる条件で延伸同時仮撚りし、132.0dtex36fの仮撚加工糸を得た。
その後、ダブルツイスターを使用して、仮撚加工糸をZ方向に1800T/Mの撚数で撚糸し、撚糸後、70℃、45分間の条件で真空セットした。そして、28Gの編機でモックロディ組織の生機を製編した後、精練、プレセットし、後にダイスタージャパン株式会社製、黒色分散染料「Dianix Black GS−E(商品名)」を8%omf使用して、130℃、30分間の条件で染色した。染色後、ファイナルセットすることで布帛を得た。
(実施例3)
ポリエチレンテレフタレートの含有量を96質量部、マイカの含有量を3.0質量部及びカーボンの含有量を3.0質量部に各々変更する以外は、実施例2と同様に行い、高配向未延伸糸、仮撚加工糸及び布帛を得た。なお、紡糸操業性は、実施例2の場合と比べやや劣るものであった。高配向未延伸糸の繊度は181.4dtex36fであり、仮撚加工糸の繊度は134.0dtex36fであった。
(実施例4)
ポリエチレンテレフタレートの含有量を99.9質量部、マイカの含有量を0.05質量部及びカーボンの含有量を0.05質量部に各々変更する以外は、実施例2と同様に行い、高配向未延伸糸、仮撚加工糸及び布帛を得た。なお、紡糸操業性は良好であった。高配向未延伸糸の繊度は180.4dtex36fであり、仮撚加工糸の繊度は133.2dtex36fであった。
(比較例1)
延伸同時仮撚り前の熱処理を省略すること、及び延伸倍率を1.42倍に変更すること以外は、実施例2と同様に行い、仮撚加工糸及び布帛を得た。仮撚加工糸の繊度は126.6dtex36fであった。
(比較例2)
熱処理時のオーバーフィード率を−1.8%に変更すること、及び延伸同時仮撚り時の延伸倍率を1.36倍に変更すること以外は、実施例2と同様に行い、仮撚加工糸及び布帛を得た。仮撚加工糸の繊度は127.8dtex36fであった。
(比較例3)
ポリエチレンテレフタレートの含有量を100質量部とし、マイカ、カーボンを省く以外は、実施例2と同様に行い、高配向未延伸糸、仮撚加工糸及び布帛を得た。なお、紡糸操業性は良好であった。高配向未延伸糸の繊度は182.0dtex36fであり、仮撚加工糸の繊度は131.9dtex36fであった。
(実施例5〜8、比較例4〜6)
下記処方1に示す組成の処理液を用いて、実施例1〜4、比較例1〜3における布帛を濃染加工した。濃染加工は、パディング法により行い、絞り率60%、乾燥130℃×5分間、熱処理180℃×30秒間の条件で行った。実施例1〜4、比較例1〜3それぞれの布帛に対する実験例を順次実施例5〜8、比較例4〜6とした。
処方1
バソテックスFS−370E(明成化学工業株式会社製、フッ素系濃染化剤) 40g/L
パラレヂンBYS(大原パラジウム化学株式会社製、シリコン系濃染化剤) 10g/L
デレクトールMAP(明成化学工業株式会社製、帯電防止剤) 15g/L
テキスポートSN−10(日華化学株式会社製、浸透剤) 2g/L
以上で得た編物の評価結果を表1に示す。
実施例にかかる布帛は、いずれも天候に左右されない持続性ある保温効果を有していた。また、明度が低く、黒色の発色性、深色性に優れていることが実証できた。そして、布帛を濃染加工すると明度が一段と下がり、ブラックフォーマル用途に一層適用し易くなることも確認できた。染色堅牢度も良好であった。
これに対し、延伸同時仮撚り前に熱処理を省略するか(比較例1)又は熱処理しても延伸してしまうと(比較例2)、明度が高くなり、所望の発色性、深色性が得られないことが確認できた。さらに、遠赤外線放射性微粒子及び発熱性微粒子の使用を省いてしまうと、保温効果が奏されないことも確認できた(比較例3)。

Claims (3)

  1. マイカ、方解石、酸化錫、アルミナ、二酸化珪素、炭化珪素、炭化ホウ素、白金、およびタングステンからなる群から選択される少なくとも一種からなる微粒子、炭化ジルコニウムおよび/またはカーボンからなる微粒子とを含有するポリエステルフィラメントから構成される仮撚加工糸の製造方法であって、ポリエステル高配向未延伸糸を延伸することなくオーバーフィード率0.5〜50%で熱処理した後、延伸同時仮撚りすることを特徴とするブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法。
  2. 前記ポリエステルフィラメントの断面が芯鞘構造をなし、前記マイカ、方解石、酸化錫、アルミナ、二酸化珪素、炭化珪素、炭化ホウ素、白金、およびタングステンからなる群から選択される少なくとも一種からなる微粒子が鞘成分に含まれ、前記マイカ、方解石、酸化錫、アルミナ、二酸化珪素、炭化珪素、炭化ホウ素、白金、およびタングステンからなる群から選択される少なくとも一種からなる微粒子の含有量が鞘成分100質量部に対して0.1〜2.5質量部であり、かつフィラメントにおける芯鞘の質量比率(芯成分/鞘成分)が95/5〜15/85の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法。
  3. 前記炭化ジルコニウムおよび/またはカーボンからなる微粒子が前記ポリエステルフィラメントの鞘成分100質量部に対して0.1〜2.5質量部含まれていることを特徴とする請求項2記載のブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法。
JP2014040600A 2014-03-03 2014-03-03 ブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法 Active JP6259318B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014040600A JP6259318B2 (ja) 2014-03-03 2014-03-03 ブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014040600A JP6259318B2 (ja) 2014-03-03 2014-03-03 ブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015166501A JP2015166501A (ja) 2015-09-24
JP6259318B2 true JP6259318B2 (ja) 2018-01-10

Family

ID=54257489

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014040600A Active JP6259318B2 (ja) 2014-03-03 2014-03-03 ブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6259318B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016027212A (ja) * 2014-06-27 2016-02-18 日本エステル株式会社 機能性繊維

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57199825A (en) * 1981-05-27 1982-12-07 Unitika Ltd Stretching and false twisting process of unstretched polyester garn
JPH02102474U (ja) * 1989-02-02 1990-08-15
JP3059203B2 (ja) * 1990-10-22 2000-07-04 ユニチカ株式会社 保温性複合構造加工糸の製造方法
JP2002138372A (ja) * 2000-10-30 2002-05-14 Toray Ind Inc 織・編物およびその製造方法
JP2010138497A (ja) * 2008-12-09 2010-06-24 Toray Ind Inc 織編物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015166501A (ja) 2015-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6360319B2 (ja) 長短複合紡績糸及びそれを用いてなる布帛
JP6279845B2 (ja) 遮熱性および放熱性に優れた織編物および繊維製品
JP6106487B2 (ja) 機能性繊維
JP4228856B2 (ja) 熱可塑性繊維、布帛および繊維製品
JP6259318B2 (ja) ブラックフォーマル衣料用仮撚加工糸の製造方法
JP2015101815A (ja) 機能性繊維およびこの繊維により構成される保温性布帛
JP2006307395A (ja) 赤外線吸収性と採光性に優れた保温性布帛および繊維製品
JP2015183326A (ja) 絣調涼感性布帛
JP2006307383A (ja) 鮮明性に優れた保温性ポリエステル繊維および布帛
JP5770981B2 (ja) 遮熱性織編物および衣料
JP2016113714A (ja) 仮撚中空マルチフィラメント糸、及び織編物
JP6360318B2 (ja) 複合結束紡績糸及びそれを用いてなる布帛
JP6498873B2 (ja) 機能性繊維糸及びこれを用いてなる織編物
JP6211885B2 (ja) 保温性布帛
JP6487171B2 (ja) 機能性繊維糸
JP3197820U (ja) 側地
JP2006336151A (ja) 紫外線吸収性と保温性とを有するポリエステル繊維および布帛
TWI658183B (zh) 扁平剖面捲縮絲、該捲縮絲的製造方法和含有該捲縮絲的編織物
JP2015105444A (ja) 機能性複合糸
JP2012021245A (ja) 遮熱性編物および繊維製品
JP6388471B2 (ja) 保温性布帛
JP2015218413A (ja) 遠赤外線放射性マルチフィラメント糸
JP2016056464A (ja) 機能性繊維
JP2015124453A (ja) 紡績糸およびこの紡績糸からなる保温性布帛
JP6211878B2 (ja) 保温性布帛

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170801

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170925

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6259318

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150