JP6211878B2 - 保温性布帛 - Google Patents

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Description

本発明は、遠赤外線放射性能と吸光熱変換性能とを有し、保温効果、ウォーム感に優れ、秋冬衣料に好適な布帛に関するものである。
従来から、保温を目的とする布帛が数多く上市されており、中空糸などによるデッドエアーの利用や吸湿発熱効果の利用、太陽光を熱に変換して利用する方法など、様々な手法を用いた布帛が提案されている。例えば、中空糸によるデッドエアーの利用したものとして、接結糸に中空糸を配し、その両側の表側にポリエステル仮撚糸を、裏側にその他の糸を各々配した布帛が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、吸湿発熱効果を利用したものとして、特定のアクリル酸系吸放湿吸水発熱性繊維を使用した布帛(例えば、特許文献2)や、セルロース分子にN-メチロール(メタ)アクリルアミドと特定の水溶性ビニル重合性化合物とを導入した吸湿発熱性セルロース繊維を使用した布帛(例えば、特許文献3)などが提案されている。
さらに、太陽光を熱に変換する手法を利用したものとして、特定の太陽光吸収性微粒子を含有するポリエステル繊維を使用した布帛(例えば、特許文献4)などが提案されている。
これに対して、近年、遠赤外線放射性微粒子を利用して布帛に保温効果を付与する技術が提案されている。例えば、当該微粒子として二酸化チタンを所定量含有するポリエステル繊維を使用した布帛(例えば、特許文献5)や、当該微粒子として特定の金属化合物を所定量含有するアクリル系繊維を使用した布帛(例えば、特許文献6)などが提案されている。
特開2002−235264号公報 特公平7−59762号公報 特許第2898623号公報 特開平8−197659号公報 特開2009−97105号公報 特開2007−270390号公報
しかしながら、デッドエアーを利用する手法は、空気を含ませることで放熱を抑えるという消極的な手法であるため、寒さに対する保温効果には限界があり、また空気層を利用するため、布帛が嵩高になってしまうという問題があった。
また、吸湿発熱効果を利用する手法は、いずれも発汗などによる湿気を吸収することで発熱を促す手法であり、湿気を吸収した際は発熱するものの、持続性が低く、すぐに放熱してしまうという問題があった。
さらに、太陽光を熱に変換する手法については、晴天時の屋外においては十分な効果が認められるものの、雨天時や室内ではその効果がほとんど期待できないという問題があっ た。
そして、遠赤外線放射性微粒子の利用については、かかる微粒子のみで所望の保温効果を得るには、遠赤外線放射性微粒子を多量に繊維に含有又は付着させる必要がある。そうすると、これが要因となり紡績又は製織編時にガイド摩耗などが発生し、毛羽立ちや糸切れなどが発生して工程通過性に悪影響を及ぼすという問題があった。加えて、この手法のみでは、実現可能な保温効果に限界があり、十分な暖かさを具現するに至っていないのが実情である。
さらに、上記の手法は、いずれもフィラメント糸使いの布帛へ専ら利用されるに留まり、紡績糸使いの布帛へ適用された例は未だ見当たらない。紡績糸はその表面に毛羽を有している。このため、紡績糸使いの布帛は、一般にフィラメント糸使いの布帛と比べふくらみ感に富み、そのふくらみ感に由来する各種風合いを付与できるという利点がある。例えば、秋冬衣料については、単に保温効果を付与するだけでは足りず、ふくらみ感に由来するウォーム感(ふっくらした温かみのある風合い)を与えることが商品価値を高めるうえで有利とされている。フィラメント糸使いの布帛では、ウォーム感を付与するため、例えば布帛を起毛などしているが、起毛により、フィンガーマークや厚み斑などを抑えて均一な表面感を得るという新たな課題が生じる。その結果、工程の条件出し、管理が煩雑となり、コスト面でも不利となることから、好ましいとはいい難いのが実情である。
本発明のこのような従来技術の欠点を解消するものであり、天候に左右されず持続性ある優れた保温効果を有すると共に、ウォーム感にも優れ、秋冬衣料に好適な紡績糸使いの布帛を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、遠赤外線放射性微粒子を利用する手法において発熱性微粒子を併用すると、遠赤外線放射作用と発熱作用との相乗効果により、各微粒子の使用量を減らして工程通過性を向上させても保温効果が低減せず、しかも、天候に左右されない持続性ある優れた保温効果も同時に得られることを見出し、さらに、紡績糸を用いて布帛を構成することで、起毛その他厚みなどを調整しなくても布帛にウォーム感を与えることができ、また、紡績糸を二層構造のものとし、芯部・鞘部に配すべき短繊維を特定することで、布帛において一層の保温効果と色斑のない均一な表面感が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下を要旨とするものである。
(1)芯部が遠赤外線放射性微粒子を含有するポリエステル短繊維から構成され、鞘部が発熱性微粒子を含有するポリエステル短繊維から構成される紡績糸であり、芯部と鞘部との質量比(芯部/鞘部)が10/90〜60/40の範囲にあり、撚係数が2.0〜4.0の範囲にある二層構造紡績糸を用いてなることを特徴とする保温性布帛。
(2)前記遠赤外線放射性微粒子がマイカ、酸化スズ及びタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の微粒子であり、かつ前記発熱性微粒子がカーボン、酸化ジルコニウム及び炭化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の微粒子であることを特徴とする(1)記載の保温性布帛。
(3)前記遠赤外線放射性微粒子及び前記発熱性微粒子がそれぞれの短繊維中に各々0.1〜10質量%含有されていることを特徴とする(1)又は(2)記載の保温性布帛。
(4)厚みが0.5〜2.5mmで、目付けが100〜300g/mの範囲にあることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の保温性布帛。
本発明によれば、天候に左右されず持続性ある優れた保温効果と、ウォーム感とに優れる布帛が提供できる。このため、秋冬衣料に好適である。本発明の布帛は紡績糸使いのため、特段の工夫を必要とせずに優れたウォーム感が得られる。
また、本発明における紡績糸では、遠赤外線放射性微粒子及び発熱性微粒子が併用され、両者が比較的接近している。このため、遠赤外線放射作用と発熱作用とによる相乗効果が発揮され、これらの微粒子が比較的低量であっても優れた保温効果を発揮する。その結果、各微粒子の使用量を低減できるから、紡績又は製織編時の工程通過性も良好なものとなる。
さらに、本発明における紡績糸は、二層構造を呈し、芯部及び鞘部に配すべき短繊維が特定されているから、布帛において上記相乗効果がより促進され、色斑のない均一な表面感も得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の布帛には、特定の紡績糸が用いられる。具体的には、二層構造を呈し、芯部が遠赤外線放射性微粒子を含有するポリエステル短繊維から構成され、鞘部が発熱性微粒子を含有するポリエステル短繊維から構成されるものが用いられる。
まず、各短繊維を構成するポリエステルポリマーとしては、繊維形成能を有するポリエステルポリマーであれば、どのようなものでも使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル、PLA(ポリ乳酸)などの脂肪族ポリエステルがあげられる。
ポリエステルポリマーは、粘度、熱的特性、相溶性などに鑑みて、他の構成モノマーを共重合成分として含む共重合体であってもよい。共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオール;グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸;ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトンがあげられる。
各短繊維には、必要に応じて艶消し剤、難燃剤、抗酸化剤といった無機微粒子や有機化合物などが含まれていてもよい。
また、紡績糸芯部を構成する短繊維に含有される遠赤外線放射性微粒子としては、遠赤外線放射能を有する物質から構成される微粒子であれば、どのようなものでも使用できる。例えば、マイカ、タルク、方解石などの鉱物;酸化スズ、アルミナ、二酸化珪素などの酸化物系セラミックス;炭化珪素、炭化ホウ素などの炭化物系セラミックス;白金、タングステンなどの金属類があげられる。中でも、遠赤外線放射性能をより向上させる観点から、マイカ、酸化スズ、タルクが好適である。これらの遠赤外線放射性微粒子は、1種又は2種以上を組合せて使用してもよい。
遠赤外線放射性微粒子の平均粒子径としては、特に限定されないが、10μm以下が好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.3〜3μmがさらに好ましい。このような範囲を満足する遠赤外線放射性微粒子を使用することで、布帛においてより優れた保温効果を奏することができる。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置を用いて測定される体積平均粒子径をいう。
遠赤外線放射性微粒子の含有量としては、特に限定されないが、一般に短繊維中に0.1〜10質量%含有されていることが好ましく、0.2〜5質量%がより好ましく、0.5〜2.5質量%がさらに好ましく、0.5〜2質量%が最も好ましい。本発明では、遠赤外線放射性微粒子の含有量が少なくても、後述する発熱性微粒子を併用しているため、優れた保温効果を奏するという利点がある。本発明では、発熱性微粒子が発する熱を保温効果の向上そのものに利用するだけでなく、その熱を遠赤外線放射性微粒子の温度上昇にも利用でき、遠赤外線放射性微粒子からは温度上昇に伴いより多くの遠赤外線が発せられるという相乗効果が奏される。これにより、優れた保温効果が得られる。
一方、紡績糸鞘部を構成する短繊維に含有される発熱性微粒子としては、電磁波(太陽光を含む)の吸収により発熱する物質から構成される微粒子であれば、どのようなものでも使用できる。例えば、カーボン、酸化ジルコニウム、炭化ジルコニウムなどがあげられる。中でも工程通過性と発熱性能とをより向上させる観点から、カーボン、炭化ジルコニウムが好適である。これらの発熱性微粒子は、1種又は2種以上を組合せて使用してもよい。
発熱性微粒子の平均粒子径としては、特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmがより好ましく、0.1〜2μmがさらに好ましい。このような範囲を満足する発熱性微粒子を使用することで、紡績又は製織編時の工程通過性に悪影響を及ぼすことなく、布帛においてより優れた保温効果を奏することができる。ここで、平均粒子径とは、上記遠赤外線放射性微粒子の場合と同じく、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置を用いて測定される体積平均粒子径をいう。
発熱性微粒子の含有量としては、特に限定されないが、一般に短繊維中に0.1〜10質量%含有されていることが好ましい。遠赤外線放射性微粒子の場合と同様、発熱性微粒子の場合もその含有量が少なくても、優れた保温効果を奏する利点がある。かかる観点から、当該微粒子の含有量としては、0.2〜5質量%がより好ましく、0.5〜2.5質量%がさらに好ましく、0.5〜2質量%が最も好ましい。発熱性微粒子の使用量を低減することで、紡績又は製織編時の工程通過性も良好なものとなる。
本発明における各短繊維に含有させるべき微粒子の組み合わせとしては、上記相乗効果をより発揮させる観点から、マイカとカーボン、マイカと炭化ジルコニウムの組み合わせが好ましい。
また、可紡性の点から、短繊維の単糸繊度としては、各々1.0〜4.4dtexが好ましく、平均繊維長としては、各々32〜51mmが好ましい。
各短繊維は、例えば、上記のポリエステルポリマーに上記各微粒子を各々所定量練り込み、溶融紡糸後、所定の長さに切断することにより得ることができる。
本発明における紡績糸は、芯部が遠赤外線放射性微粒子を含有するポリエステル短繊維Aから構成され、鞘部が発熱性微粒子を含有するポリエステル短繊維Bから構成される。具体的には、複数のポリエステル短繊維Aが束となって芯部が形成され、その周囲を複数のポリエステル短繊維Bが束となって取り囲み鞘部が形成されている。ポリエステル短繊維Bの束を紡績糸外側(鞘部)に配することで、光の吸収が促進され、保温効果がより高まる。これに対し、短繊維A、Bを混紡するか、又は鞘部に短繊維Aを芯部に短繊維Bを配してしまうと、紡績糸表面に露出する短繊維Bの比率が下がるため、光の吸収量が減る。そうすると、上記した相乗効果が奏され難く、保温効果の向上が期待できない。さらに、短繊維A、Bは互いに異種の微粒子を含有するものであり、染色後は光沢や色合いに差が生じるから、混紡糸使いの布帛の場合は特に色斑やイラツキ感などが発現し、均一な表面感が得られない。
また、紡績糸における芯部と鞘部との質量比(芯部/鞘部)としては、10/90〜60/40の範囲にある必要があり、20/80〜40/60の範囲にあることが好ましい。本発明では、赤外線放射性微粒子及び発熱性微粒子が使用され、微粒子個々の特性により保温効果が奏されるが、これに留まらず、両者を一本の紡績糸の中に含ませることでこれらを接近させ、発熱性微粒子が発する熱で遠赤外線放射を促し、もって個々の微粒子の総和による保温効果を超える相乗的な保温効果を奏することができる。よって、赤外線放射性微粒子及び発熱性微粒子をバランスよく配合させる観点から、紡績糸中の芯部及び鞘部の質量比を上記のように規定する必要がある。本発明では、上記範囲を外れても、保温効果自体が発揮されないわけではないが、天候に左右され易い持続性に乏しい保温効果しか得られない。
さらに、紡績糸の撚係数としては、2.0〜4.0の範囲にある必要があり、2.5〜3.0の範囲にあることが好ましい。撚係数とは、A=T/N1/2(A:撚係数、T:撚数(回/インチ)、N:得られた紡績糸の太さ(英式綿番手))なる式で算出されるものである。撚係数が2.0未満になると、紡績糸を構成する短繊維が十分に集束せず、引張強度に劣る紡績糸しか得られない。このような紡績糸では、製織編の際に支障をきたすだけでなく、衣料に必要な強度も得られない。一方、4.0を超えると、短繊維が過度に集束し、ソフト感やウォーム感に優れる布帛が得られなくなる。また、精紡の途中で糸切れすることがあり、作業工程上も好ましくない。
紡績糸の毛羽指数としては、特に限定されないが、例えば毛羽を低減する目的でコンパクトスピン紡績法を利用すれば、紡績糸の強度が上がり、布帛に光沢感を与えることも可能となる。
紡績糸には、本発明の効果を損なわない範囲で他の短繊維が含まれていてもよい。通常、芯部に上記短繊維Aが、鞘部に上記短繊維Bがそれぞれ80質量部以上含まれていることが好ましい。
次に、本発明における紡績糸を得るための方法について説明する。
本発明における紡績糸を得るには、例えば、上記短繊維Aから構成されるスライバーAと、上記短繊維Bから構成されるスライバーBとを用意し、スライバーAを芯部へ、スライバーBを鞘部へそれぞれ配しながら粗紡し、後に得られた複合粗糸を精紡する方法、又は、スライバーA、Bをそれぞれ個別に粗紡し、後にスライバーAに由来する粗糸Aを芯部へ、スライバーBに由来する粗糸Bを鞘部へそれぞれ配しながら精紡する方法などがあげられる。本発明では、被覆性に優れる紡績糸を得る観点から、前者の方法を採用するのが好ましい。
前者の方法において、スライバーAの周囲にスライバーBを捲回させるには、粗紡機のフライヤーヘッドから見てドラフト域の外側にスライバーAを、内側にスライバーBをそれぞれ導入し粗紡すればよい。また、粗紡工程中、スライバーBの送り出し量をスライバーAの送り出し量より高く設定することで、Aの周囲にBを順次捲回させてもよい。
一方、後者の方法では、精紡機のフロントローラーから紡出される粗糸Bの量が粗糸Aの量より多くよるように送り出し量を調整し、紡出後、両者を重ね合わせ、リング、トラベラで実撚りを与えればよい。
そして、両方法とも、紡績糸の被覆性を高める目的で、Bをそれぞれ複数使用してAに捲回させてもよいし、精紡後、必要に応じて複数の紡績糸を上撚りしてもよい。また、前者の方法では、複合粗糸を精紡交撚してもよい。
本発明の布帛は、以上の二層構造紡績糸を用いてなるものである。本発明では、発熱性微粒子によって太陽光を効率的に熱に変換することで十分な暖かさが具現でき、同時に雨天時や室内など太陽光の届きにくい場所でも、遠赤外線放射性微粒子によって暖かさを維持することができる。このため、本発明では、布帛をことさら厚くしなくても所望の保温効果を得ることができる。したがって、本発明の布帛は、多くの用途へ好ましく適用できる。
具体的に、布帛の厚みとしては0.5〜2.5mmの範囲が好ましく、目付けとしては100〜300g/mの範囲が好ましい。布帛の厚みが0.5mm未満もしくは目付けが100g/m未満になると、上記紡績糸の絶対量が減り、所望の保温効果が得られ難く、また、ふくらみ感が低下することでウォーム感も得られ難くなる。一方、布帛の厚みが2.5mmを超えるもしくは目付けが300g/mを超えると、布帛が重たくなり、衣料に適用し難くなる。
なお、布帛の厚みはJIS L1018.8.5.1に基づき測定し、目付けはJIS L1018.8.4.2に基づき測定する。
本発明の布帛には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記紡績糸以外の他の糸条が含まれていてもよい。本発明の布帛には、保温効果の観点から、上記紡績糸が60質量部以上含まれていることが好ましい。
また、布帛の形状としては、織物、編物、不織布などがあげられる。特に、形状が織物又は編物である場合、その組織としては、特に限定されず、目的に応じて適宜の組織を採用すればよい。また、布帛の設計についても、特に限定されず、好ましくは仕上げ時の厚み、目付けが上記範囲を満たすように設計すればよい。
本発明の布帛は、製織編後、精練、リラックス、ファイナルセットすることにより得ることができる。一連の後加工の途中もしくは最終段階において、公知の知見に基づき布帛を染色、着色プリント、エンボス加工、撥水加工、抗菌加工、蓄光加工、消臭加工などしてもよい。一般にはリラックスの後、染色することが好ましい。
本発明の織編物の用途については、特に限定されないが、例えば、各種インナー、Tシャツ、ジャケット、ウインドブレーカー、ウェットスーツ、スキーウエア、手袋、帽子、テント、靴の中敷き、布団の側地などの保温性が求められる各種繊維製品の素材として好適に使用される。
以下、実施例及び比較例をあげてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各測定方法及び評価方法は以下の通りである。
(1)遠赤外線放射性
各実施例及び比較例で得られた編物の遠赤外線放射強度を測定した。測定は、赤外分光光度計FT−IR装置(パーキンエルマー社製「Spectrum GX FT−IR(商品名)」)を使用し、測定温度40℃、測定波長域5〜20μmで行った。その際、同条件における黒体の遠赤外線放射強度も測定し、各波長における黒体の放射強度を100%とした場合の各編物の放射強度の比率(%)を求め、各波長で算出された比率の平均値を平均放射率(%)として算出した。また、ブランクとして、遠赤外線放射性微粒子及び発熱性微粒子を含まないこと以外は、各実施例及び比較例と同組成の繊維を用いて製編、後加工した編物を用い、同様に平均放射率(%)を求めた。そして、次式に基づいて、遠赤外線放射性を算出した。
<遠赤外線放射性の算出式>
遠赤外線放射性=〔(得られた編物の平均放射率(%)−ブランクの平均放射率(%))/ブランクの平均放射率(%)〕×100
(2)発熱特性
温度が20℃、湿度が65%に保たれた恒温恒湿状態の室内において、各実施例及び比較例で得られた編物へ、レフランプから照度10000LUXの光を照射し、裏面からサーモグラフィー(赤外線センサー、日本電子株式会社製「JTG−4200(商品名)」)で編物の表面温度を観察した。
(3)風合い
10人のパネラーにより得られた編物を官能検査(ハンドリング)し、以下の3段階で評価した。
○:ソフト感、ウォーム感に優れると判断した者が8人以上。
△:ソフト感、ウォーム感に優れると判断した者が5人以上7人以下。
×:ソフト感、ウォーム感に優れると判断した者が4人以下。
(4)工程通過性
各実施例及び比較例で使用した紡績糸について、糸を100000m精紡した後、リングに備えられたトラベラの表面状態を顕微鏡で観察し、以下の3段階でガイド摩耗性を評価した
○:摩耗が認められないか又は摩耗があっても問題のない程度であった。
△:やや摩耗していた。
×:強い摩耗が認められた。
(実施例1)
まず、単糸繊度が1.7dtexで平均繊維長が38mmであって、遠赤外線放射性微粒子として平均粒子径3μmのマイカを1.5質量%含有するポリエステル短繊維AからなるスライバーAと、単糸繊度が1.3dtexで平均繊維長が38mmであって、発熱性微粒子として平均粒子径1.5μmの炭化ジルコニウムを2.0質量%含有するポリエステル短繊維BからなるスライバーBとを用意した。次に、両スライバーを粗紡機へ導入し、フライヤーヘッドから見てドラフト域の外側にスライバーAを、内側にスライバーBをそれぞれ配しながらドラフトし、スライバーAの周りにスライバーBを捲回させ、複合粗糸とした。続いて、得られた複合粗糸を精紡し、撚係数3.0、太さ40番手(英式綿番手)の二層構造紡績糸を得た。この紡績糸において、芯部と鞘部との質量比(芯部/鞘部)は30/70であった。
次に、得られた紡績糸を、釜径30インチ、針密度24Gのダブルニット編機(株式会社福原精機製作所製「LPJ−H型(商品名)」)へ導入し、スムース組織の編物を製編した。その後、編物を順次、精練、リラックス、染色、ファイナルセットし、厚みが0.8mmで目付けが240g/mの保温性布帛を得た。
(実施例2、3、比較例1、2)
紡績糸における芯部と鞘部との質量比が表1記載のものとなるように、スライバーA、Bの太さ及び粗紡時のドラフト率を調整する以外は、実施例1と同様に行い、保温性布帛を得た。
(比較例3、4)
紡績糸の撚係数が表1記載のものとなるように、精紡時の撚数を調整する以外は、実施例1と同様に行い、保温性布帛を得た。
(実施例4)
炭化ジルコニウムに代えて、平均粒子径1.5μmのカーボンを2.0質量%含有させる以外は、実施例1と同様に行い、保温性布帛を得た。
(実施例5)
マイカに代えて、平均粒子径3μmの酸化スズを1.5質量%含有させる以外は、実施例1と同様に行い、保温性布帛を得た。
(実施例6、7)
カーボンの含有量を0.1質量%(実施例6)又は6.0質量%(実施例7)に変更すること以外は、実施例4と同様に行い、保温性布帛を得た。
(実施例8)
釜径30インチ、針密度28Gのシングルニット編機(株式会社福原精機製作所製「VXC−A3(商品名)」)を使用して天竺組織の編物を製編する以外は、実施例4と同様に行い、保温性布帛を得た。
(比較例5)
粗紡の際、フライヤーヘッドから見てドラフト域の外側にスライバーBを、内側にスライバーAをそれぞれ配することで、芯部に短繊維Bを、鞘部に短繊維Aをそれぞれ配した二層構造紡績糸となす以外は、実施例4と同様に行い、保温性布帛を得た。
以上で得た布帛の評価結果を表1に示す。
実施例1、4、5にかかる布帛では、個々の微粒子による発熱及び遠赤外線放射に加え、発熱性微粒子が発する熱で遠赤外線放射がより促されたため、優れた保温効果が得られた。中でも実施例4にかかる布帛は、微粒子相互の相乗的な保温効果が一層発揮されたため、実施例1、5にかかる布帛と比べより保温効果に優れていた。布帛の風合い、ウォーム感、並びに紡績糸の工程通過性については、実施例1、4、5共に優れていた。そして、実施例1、4、5にかかる布帛は、秋冬衣料に好適であることが確認できた。
また、実施例2、3にかかる布帛では、紡績糸において芯部と鞘部との質量比がややバランスを欠いており、それに伴い両微粒子の質量比もややバランスを欠くものであったため、発熱及び赤外線放射性の点で実施例1にかかる布帛ほどのバランスの取れた保温効果は得られなかった。つまり、保温効果の点で、実施例1の布帛と比べ天候にやや左右され易い持続性に乏しいものとなった。また、比較例1、2にかかる布帛では、紡績糸において芯部と鞘部との質量比がバランスを大きく欠いているため、天候に左右され易い持続性に乏しい保温効果しか得られなかった。
比較例3では紡績糸の撚係数が低すぎたため、所定の強度を有する紡績糸が得られず、製編時に糸切れが多発したため、製編を途中で中止した。一方、比較例4では、紡績糸の撚係数が高すぎたため、ソフト感及びウォーム感に優れる布帛が得られなかった。
また、実施例6では、短繊維に含まれるカーボンの量がやや少なかったため、実施例4にかかる布帛ほどの保温効果は得られなかった。一方、実施例7では、短繊維中のカーボン含有量がやや多すぎたため、精紡の過程でガイド摩耗が若干認められた。
実施例8では、布帛の厚みがあまり好ましいとはいえず、実施例4にかかる布帛ほどのウォーム感は得られなかった。
そして、比較例5では、紡績糸において鞘部に発熱性微粒子を含有するポリエステル短繊維が配されていなかったため、実施例4にかかる布帛ほどの発熱効果は得られなかった。つまり、天候に左右され易い持続性に乏しい保温効果しか得られなかった。

Claims (4)

  1. 芯部が遠赤外線放射性微粒子を含有するポリエステル短繊維から構成され、鞘部が発熱性微粒子を含有するポリエステル短繊維から構成される紡績糸であり、芯部と鞘部との質量比(芯部/鞘部)が10/90〜60/40の範囲にあり、撚係数が2.0〜4.0の範囲にある二層構造紡績糸を用いてなることを特徴とする保温性布帛。
  2. 前記遠赤外線放射性微粒子がマイカ、酸化スズ及びタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の微粒子であり、かつ前記発熱性微粒子がカーボン、酸化ジルコニウム及び炭化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の微粒子であることを特徴とする請求項1記載の保温性布帛。
  3. 前記遠赤外線放射性微粒子及び前記発熱性微粒子がそれぞれの短繊維中に各々0.1〜10質量%含有されていることを特徴とする請求項1又は2記載の保温性布帛。
  4. 厚みが0.5〜2.5mmで、目付けが100〜300g/mの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の保温性布帛。
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