JP2003089971A - 黒色高吸放湿性繊維 - Google Patents

黒色高吸放湿性繊維

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JP2003089971A JP2001282621A JP2001282621A JP2003089971A JP 2003089971 A JP2003089971 A JP 2003089971A JP 2001282621 A JP2001282621 A JP 2001282621A JP 2001282621 A JP2001282621 A JP 2001282621A JP 2003089971 A JP2003089971 A JP 2003089971A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸放湿性、吸湿発熱性及び光熱変換性を有
しながら、加工性に優れ、かつ従来品よりもさらに黒色
度安定性に優れる黒色高吸放湿性繊維を提供する。 【構成】 カーボンブラックを含有するアクリル系繊維
にヒドラジン系化合物による架橋の導入及び加水分解に
よるカルボキシル基の導入並びに必要ならカルボキシル
基のH/金属塩比率調整を施すことによる、飽和吸湿率
が10重量%以上、乾強度が0.8cN/dtex以
上、明度L値が35以下である黒色高吸放湿性繊維。 【効果】 優れた黒色度と安定性を有し、高い吸放湿
性、吸湿発熱性、光熱変換性、難燃性、抗菌性、消臭
性、耐薬品性等を備え、幅広い分野に好適に使用するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は黒色高吸放湿性繊維
に関する。さらに詳しくは、吸放湿性、吸湿発熱性及び
光熱変換性を有しながら、十分な強伸度特性を備えるこ
とから加工性に優れ、かつ従来品よりもさらに黒色度が
向上し、洗濯を繰り返しても黒色度の安定性に優れる黒
色高吸放湿性繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アクリル系繊維にヒドラジン
系化合物による架橋の導入及び加水分解並びに塩型化処
理により金属塩型カルボキシル基の導入を施された吸放
湿性繊維は、色相が淡桃色から淡褐色であることが知ら
れている。また、このような吸放湿性繊維はカチオン染
料で染色できるが、繊維自身の持っている水膨潤性のた
めに、染色堅牢性が悪いことから、特に黒色を要求され
る衣料分野には満足できるものでなかった。
【0003】これらの問題点を解決する方法として、混
紡相手を染色して、吸放湿性繊維は染色しない方法、吸
放湿性繊維を内側にリバーシブル編みにする方法が知ら
れている。これらの方法は、所詮淡色乃至中色向けであ
って濃色特に黒色ニーズには合致しないものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、繊維に要求
される基本物性並びに吸放湿性繊維の有すべき特性を維
持しながら、かかる従来の吸放湿性繊維が抱える色が不
安定であり、黒色が得られないという欠点を改良した濃
黒色の要求される分野に適用可能な黒色高吸放湿性繊維
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来からの
吸放湿性繊維の黒色化方法に関し、鋭意研究を行った結
果、カーボンブラックを含有する特定のアクリル系繊維
にヒドラジン系化合物により架橋の導入及び加水分解並
びに必要ならカルボキシル基のH/金属塩比率調整を施
すことにより、洗濯に対して安定な黒色度を維持する黒
色高吸放湿性繊維が得られることを見出し、本発明に到
達した。
【0006】上述した本発明の目的は、アクリロニトリ
ル系重合体に対し、0.5〜5重量%のカーボンブラッ
クを含有せしめたアクリル系繊維が、ヒドラジン系化合
物により架橋の導入及び加水分解により0.6〜10m
eq/gのカルボキシル基(−COO)の導入並びに
必要なら該基のH/金属塩比率調整を施されてなる、2
0℃65%RHにおける飽和吸湿率が10重量%以上、
乾強度が0.8cN/dtex以上、JIS−Z−87
30による明度L値が35以下である黒色高吸放湿性繊
維により達成される。さらにヒドラジン系化合物により
架橋の導入を施したときの、窒素含有量の増加が1.0
〜10.0重量%であることにより、また表面積が50
〜300m/g、DBP吸油量が50〜150ml/
100gのカーボンブラックであることにより、好適に
達成される。さらにまたアクリル系繊維の熱延伸後の全
収縮率が20〜27%であることにより、より好適に達
成できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。本発明
は架橋アクリル系繊維に関するが、その出発アクリル系
繊維としてはアクリロニトリル系重合体により形成され
た繊維であり、短繊維、トウ、糸、編織物、不織布等い
ずれの形態のものでも良い。但し後述するように、これ
らの出発繊維は製造時の熱延伸後の全収縮率が20〜2
7%であることが、製品である黒色高吸放湿性繊維の強
伸度特性特に伸度を30%以上と高く維持するに有効で
ある。アクリル系繊維の繊度は、特に限定されないが、
0.4〜5dtexが好適に使用される。
【0008】AN系重合体は、AN単独重合体、ANと
他の単量体との共重合体のいずれでも良い。ANと共重
合する単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メ
タ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アク
リル酸エステル単量体、メタリルスルホン酸、p−スチ
レンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体、及びその
塩、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等の
ビニル単量体、(メタ)アクリル酸、スチレン、等が挙
げられる。尚(メタ)を付した表記は、アクリル酸,メ
タアクリル酸の双方を表わしている。
【0009】アクリル系繊維に含有せしめるカーボンブ
ラックは、0.5〜5重量%(対重合体重量)が必要で
ある。含有量が0.5重量%未満では濃黒色の要求され
る分野に対応できず、5重量%を超えて含有せしめる
と、カーボンブラックを含有するアクリル系繊維製造時
の紡糸操業性が不良となるばかりでなく、黒色高吸放湿
性繊維の乾強度が低くなるので好ましくない。より好ま
しいカーボンブラックとしては、表面積が50〜300
/g、DBP吸油量が50〜150ml/100g
のものが推奨される。表面積が50m/g未満である
と粒子径が大きくなり、出発アクリル系繊維に賦形する
時に原液のフィルター、紡糸の口金詰まり等を起こし易
い欠点を有し、300m/gを超えると粒子が小さく
なりすぎてそれを含有せしめた繊維に赤味が強くなる傾
向があり、きれいな黒色が得られなくなる可能性があ
る。
【0010】DBP吸油量は紡糸原液作成時の溶剤に対
する分散性を表わす尺度であり、次のように測定される
値であって、カーボンブラックの基本的特性を表わす尺
度である。すなわち150℃で1時間乾燥したカーボン
ブラック試料20.0g(A)をアブソープトメーター
(Brabender社製、スプリング張力2.68k
g/cm)の混合室に投入し、あらかじめリミットスイ
ッチをスプリング張力の70%に設定した混合室の回転
機を回転する。同時に、自動ビューレットからDBP
(ジブチルフタレート、比重1.045〜1.050)
を4ml/分の割合で添加し始める。トルクが急速に増
加してリミットスイッチが切れたところを終点として、
それまでに添加したDBP量(B ml)よりDBP吸
油量(D ml/100g)を次式により求める。 D=B/Ax100 DBP吸油量が50ml/100g未満のカーボンブラ
ックはアクリル系繊維の溶剤に対して分散性が低い為に
紡糸の操業性に難点が出易く、150ml/100gを
超えると分散性は良好であるものの繊維に青味が強くな
る傾向があり、きれいな黒色が得られ難くなる傾向があ
る。かかるカーボンブラックであれば好適に使用できる
が、表面処理(例えば酸化処理、加熱処理、賦活処理)
したカーボンブラックでも構わない。
【0011】本願発明の出発原料であるカーボンブラッ
クを含有するアクリル系繊維の製造手段は、アクリロニ
トリル系重合体に、特定量のカーボンブラックが含有さ
れておれば、それ以外に限定はなく、賦形には通常の衣
料用繊維の製造に採用される手段すなわち湿式紡糸、乾
式紡糸、乾/湿式紡糸等周知の方法を用いることができ
る。カーボンブラックを含有せしめたアクリル系繊維の
製造にあたっては、カーボンブラックを所定量含有した
AN系重合体の紡糸原液をこれらの常法に従って紡糸
し、水洗、冷延伸、熱延伸配向させ、乾燥緻密化、湿熱
緩和処理等の熱処理が施される。中でも熱延伸後の長さ
を基準にし、その後の処理での繊維の収縮の全てを意味
する熱延伸後の全収縮率が20〜27%のアクリル系繊
維が好ましく使用される。全収縮率が20%未満、ある
いは27%を超える場合は、後述する処理 即ち、ヒド
ラジン化合物により架橋の導入及び加水分解並びに必要
ならカルボキシル基(−COO)のH/金属塩比率調
整を施されてなる黒色高吸放湿性繊維の繊維物性が概し
て低くなり易く、紡績、編み立て、縫製などの加工がや
り難い繊維となる傾向がある。
【0012】一方、全収縮率が20〜27%の出発アク
リル系繊維を使用した場合には、製品である黒色高吸放
湿性繊維において、繊維乾強度0.8cN/dtex以
上を維持しながら、伸度30%以上が得られるという効
果を発現する。当業界において、少なくとも伸度につい
て原料繊維の全収縮率が大きい程それから得られる製品
繊維の伸度が大きくなるという傾向が常識的であるの
で、本発明繊維における上述挙動は驚くべき事象であ
る。
【0013】該カーボンブラックを含有するアクリル系
繊維は、ヒドラジン系化合物により架橋導入処理が施さ
れ、アクリル系繊維の溶剤では最早溶解されないものと
なるという意味で架橋が形成され、同時に結果として窒
素含有量の増加が起きるが、その手段は特に限定される
ものではない。この処理による窒素含有量の増加は、
1.0〜10重量%の範囲内とするのが好ましい。窒素
含有量の増加が0.1〜1.0重量%であっても、本発
明繊維の黒色高吸放湿性繊維が得られる手段である限り
採用し得る。なお、窒素含有量の増加を1.0〜10重
量%に調整し得る手段としては、ヒドラジン系化合物の
濃度5〜60重量%の水溶液中、温度50〜120℃で
5時間以内で処理する手段が工業的に好ましい。尚、窒
素含有量の増加を低率に抑えるには、反応工学の教える
処に従い、これらの条件をよりマイルドな方向にすれば
よい。ここで、窒素含有量の増加とは出発アクリル系繊
維の窒素含有率(重量%)とヒドラジン系化合物による
架橋が導入されたアクリル系繊維の窒素含有率(重量
%)との差をいう。窒素含有量の増加が1.0重量%未
満では、後の加水分解処理後に得られた繊維の水に対す
る膨潤が大きくなり易く、また繊維物性が低くなり易い
ので実用上問題となる。一方10重量%を超えると、最
終的に高吸放湿性が得られなくなり易い。
【0014】ここに使用するヒドラジン系化合物として
は、特に限定はなく、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジ
ン、塩酸ヒドラジン、臭素酸ヒドラジン、ヒドラジンカ
ーボネート等、この他エチレンジアミン、硫酸グアニジ
ン、塩酸グアニジン、リン酸グアニジン、メラミン等の
アミノ基を複数含有する化合物が例示される。
【0015】かかるヒドラジン系化合物による架橋導入
処理工程を経た繊維は、次いでなされる加水分解に先立
ち酸処理Aを施しても良い。尚加水分解を酸にて行う場
合には、ここで述べる酸処理は通常採用しない。この処
理は、繊維の黒色以外への着色が起り難いという意味の
色安定性の向上に寄与がある。ここに使用する酸として
は、硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸の水溶液、有機酸等が挙
げられるが特に限定されない。この処理の前に架橋処理
で残留したヒドラジン系化合物は、十分に除去してお
く。該酸処理の条件としては、特に限定されないが、大
概酸濃度1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%の
水溶液に、温度50〜120℃で0.5〜5時間被処理
繊維を浸漬するといった例が挙げられる。
【0016】ヒドラジン系化合物による架橋導入処理工
程を経た繊維、或いはさらに酸処理Aを経た繊維は、続
いて酸の水溶液又はアルカリ性金属塩水溶液により加水
分解される。この処理により、出発アクリル系繊維に対
するヒドラジン系化合物処理による架橋導入処理に関与
せずに残留しているCN基、及び架橋処理工程後酸処理A
を施した場合には残留しているCN基と一部酸処理で加水
分解されたCONH基の加水分解が進められる。これらの
基は加水分解によりカルボキシル基 −COOを形成
するが、使用している薬剤がアルカリ性金属塩である場
合は、金属塩型カルボキシル基(−COOM Mは金属を表
わす)を、酸を用いた場合はH型カルボキシル基(−COO
H)を生成している。ここで使用する酸としては、硝
酸、硫酸、塩酸等の鉱酸の水溶液、有機酸等が挙げら
れ、アルカリ性金属塩としては、アルカリ金属水酸化
物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等
が挙げられる。加水分解を行う程度は、生成するカルボ
キシル基(−COO)の量で表現して0.6〜10me
q/gの範囲であり、これを達成する手段として、使用
する酸又はアルカリ性金属塩の濃度は特に限定されない
が、1〜10重量%さらに好ましくは0.5〜5重量%
の水溶液中、温度50〜120℃で0.5〜5時間で処
理する手段が工業的、繊維物性的にも好ましい。
【0017】さて、かくして加水分解を経た繊維のカル
ボキシル基の『型』は、用いた薬剤に依存してH型カル
ボキシル基又は金属塩型カルボキシル基になっており、
一般に吸放湿能力については金属塩型である方が高い。
本発明においてカルボキシル基が0.6meq/g以上
必要であるというのは、これ未満の量ではその全量を金
属塩型としても、20℃65%RHにおける飽和吸湿率
が10重量%に至らず高吸放湿性繊維とはいえないもの
となるからである。また、カルボキシル基量が10me
q/gを超えてはならないのは、金属塩型は少なくても
飽和吸湿率は容易に充たされるものの繊維の乾強度が低
くなって0.8cN/dtexを維持できなくなるから
である。以上述べたようにカルボキシル基の『型』につ
いては繊維の吸湿率や乾強度への影響が大きい。そこで
加水分解の後、そのままというケースもあるが必要に応
じてこの型の調整即ちH/金属塩比率調整を行い上記の
物性のバランスを採ることもある。これについては後述
する。
【0018】ここでH(酸)型には種類は無いが、金属
塩の種類即ちカルボキシル基の金属塩型としては、L
i,Na,K等のアルカリ金属、Mg,Ca,Ba,A
l等のアルカリ土類金属を挙げることが出来る。加水分
解を進める程度即ちカルボキシル基の生成量は上述した
ように0.6〜10meq/gに制御すべきであり、こ
れは上述した処理の際の薬剤の濃度や温度,処理時間の
組合せで容易に行うことができる、尚、かかる加水分解
工程を経た繊維は、CN基が残留していてもいなくても
よい。CN基が残留していれば、その反応性を利用し
て、さらなる機能を付与し得る可能性がある。
【0019】加水分解工程を経た繊維は黒色ではある
が、若干の赤味を示す場合がある。この赤味を減少させ
る意味で、次いで還元処理を施しても良い。この還元処
理において使用する還元処理剤としてはハイドロサルフ
ァイト塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、亜硝酸塩、二酸化チ
オ尿素、アスコルビン酸塩、ヒドラジン系化合物からな
る群より選ばれた1種類または2種類以上を組み合わせ
た薬剤が好適に使用できる。該還元処理の条件として
は、特に限定されないが、概ね薬剤濃度0.5〜5重量
%の水溶液に、温度50℃〜120℃で0.5〜5時間
被処理繊維を浸漬するといった例が挙げられる。なお、
該還元処理は前述の加水分解時に同時に行ってもよい
し、加水分解後に行なってもよい。
【0020】かくして、本発明の黒色高吸放湿性繊維が
得られるが、前述の加水分解または還元処理工程を経た
繊維に、酸処理Bを施すことも有用である。この処理
は、酸処理Aと同様、繊維の黒色以外への着色が起り難
いという意味の色安定性の向上に寄与がある。ここに使
用する酸としては、硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸の水溶
液、有機酸等が挙げられるが特に限定されない。該酸処
理の条件としては、特に限定されないが、大概酸濃度1
〜10重量%、好ましくは2〜7重量%の水溶液に、温
度50〜120℃で0.5〜5時間被処理繊維を浸漬す
るといった例が挙げられる。
【0021】かくして得られる加水分解工程を経た繊
維、あるいはさらに還元処理工程及び/又は酸処理B工
程も経た繊維は、吸湿率や繊維乾強度のバランスのとれ
たものとするため、前述のH/金属塩比率調整を施して
も良い。具体的にはアルカリ金属塩で加水分解を行って
いる場合には、カルボキシル基を一旦H型化し、Li、
Na、K、Ca、Mg、Ba、Alから選ばれる金属塩
処理により、該H型カルボキシル基の一部を金属塩型化
してH型/金属塩型のモル比を100/0〜0/100
に調整する方法も好適に採用できる。
【0022】またH/金属塩比率調整処理に採用される
金属塩の金属種類としては、前述の通りLi、Na、
K、Ca、Mg、Ba、Alから選ばれるが、Na、
K、Ca、Mg等が特に推奨される。又塩の種類として
は、これらの金属の水溶性塩であれば良く、例えば水酸
化物,ハロゲン化物,硝酸塩,硫酸塩,炭酸塩等が挙げ
られる。具体的には、夫々の金属で代表的なものとし
て、Na塩としてはNaOH、NaCO、K塩とし
てはKOH、Ca塩としてはCa(OH)、Ca(N
、CaClが好適である。加水分解処理を酸
で行っていた場合及び酸処理Bを行っていた場合には、
既にカルボキシル基は全量H型になっている訳であるか
ら、前述のNa,K等の金属塩処理以降を参考にして行
えばよい。
【0023】カルボキシル基のH/金属塩比率(モル
比)は上述した範囲内が好ましいが、繊維に与えようと
する機能により、金属の種類と共に適宜設定する。該比
率調整処理の具体的な実施にあたっては、処理槽に金属
塩の0.2〜30重量%の水溶液を準備し、20℃〜8
0℃において1〜5Hr程度被処理繊維を浸漬する、あ
るいは該水溶液を噴霧する等の方法がある。上述の比率
に制御するには、緩衝剤共存下での比率調整処理が好ま
しい。緩衝剤としてはpH緩衝域が5.0〜9.2のも
のが好適である。また、金属塩型カルボキシル基の金属
塩の種類は1種類に限定されるわけではなく、2種類以
上が混在してもかまわない。
【0024】又、比率調整処理をCa,Mg,Ba等の
金属塩化合物の如き水溶解度が低い物質で行う場合に
は、該工程においてH型カルボキシル基からH型/金属
塩型のモル比を、金属塩型を高める方向にするのに幾分
難がある。かかる場合には、酸を用いた加水分解又は酸
処理Bの後でH/金属塩比率調整処理の前処理として、
被処理繊維のH型化されているカルボキシル基を、苛性
ソーダあるいは苛性カリ等の水溶液で該カルボキシル基
の示すpHを調整即ち中和処理(pH=5〜9位)して
おくことが推奨される。かかる処方により、中和処理後
のカルボキシル基はH型とNa又はK型が共存する状態
になっているので、次の比率調整処理はCa等とNa又
はKとの交換となって容易に進行するので、提起した難
点が解消する。
【0025】なお、出発アクリル系繊維を、攪拌機能、
温度制御機能を備えた容器内に充填し、前述の工程を順
次実施する、あるいは複数の容器を並べて連続的に実施
する等の手段をとることが、装置上、安全性、均一処理
性等の諸点から望ましい。かかる装置としては染色機が
例示される。
【0026】以上説明した本発明の黒色高吸放湿性繊維
は、吸放湿性,難燃性,抗菌性さらには光熱変換性を有
しながら、加工性も優れ、かつ従来品よりもさらに黒色
度が向上し黒色度安定性にも優れた高吸放湿性繊維であ
る。本願発明は以上説明した工程で製造される繊維であ
り、特に原料であるアクリル系繊維にカーボンブラック
を、好ましくは特定の性状のカーボンブラックを含有さ
せたところに大きな特徴がある。かかる出発アクリル系
繊維からなる本発明の黒色高吸放湿性繊維は、高い黒色
度と紡績、編み立てなどの加工性に優れた特長がある。
具体的には、黒色度として明度L値が35以下、繊維強
度として乾強度を0.8cN/dtex以上有するもの
とすることができるのである。
【0027】尚、ここで用いる明度L値は黒色度を表現
するためのJIS−Z8730に依拠するものであり、
理想的な黒体を0、理想的白体を100として数値化し
たものである。本願発明の繊維は、明度L値35以下で
あり、染色等では到底達することの出来ないレベルと言
えるものである。
【0028】本発明の繊維は、繊維加工に耐える強伸度
を備え、黒色度安定性に優れた黒色高吸放湿性繊維であ
り、吸湿に伴って発熱も起こる。又、窒素を含有した架
橋構造や高い吸湿率に起因すると思われる難燃性、抗菌
性、消臭性、耐薬品性等も備え、黒色に起因すると思わ
れる光エネルギーを熱に変換する、いわゆる光熱変換機
能等を備えている。このため、本発明の繊維は下着、肌
着、ランジェリー、パジャマ、乳児用製品、ガードル、
ブラジャー、手袋、靴下、タイツ、レオタード、トラン
クス等衣料品全般、セーター、トレーナー、ポロシャ
ツ、スーツ、スポーツウェア、マフラー、等の中外衣料
用途、ハンカチ、タオル、カーテン、布団地、布団、
枕、クッション、ぬいぐるみ等の中綿、詰め綿、シー
ツ、毛布、パッド等の寝装寝具、カーペット、マット、
サポーター、芯地、靴の中敷き、インソール、スリッ
パ、壁紙等の建材、メディカル分野への用途等の中で黒
色の求められる用途に好適に適用される。
【0029】
【作用】本発明に係る黒色高吸放湿性繊維が、良好な繊
維物性を維持し、かつ高い黒色度を与え、かつ黒色度安
定性が向上している理由は、十分解明するに至っていな
いが、概ね次のように考えられる。即ち、熱的、化学的
に黒色度が安定なカーボンブラックを原料段階でアクリ
ル系繊維に含有させたことにより、架橋構造の導入、及
び加水分解並びに必要によりカルボキシル基のH/金属
塩比率調整を行って金属塩型カルボキシル基の導入を施
しても、吸湿繊維が高い繊維物性を維持しつつ、良好な
黒色度が得られ、更に洗濯繰り返し等の処理によっても
黒色度が安定であるものと推定される。
【0030】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例中の部及び百分率は、断りのない限り重量基
準で示す。なお、カルボキシル基量、黒色度、洗濯耐久
性および飽和吸湿率は以下の方法により求めた。
【0031】(1)カルボキシル基量(meq/g) 十分乾燥した試料繊維約1gを精秤し(Xg)、これに
200mlの水を加えた後、50℃に加温しながら1m
ol/l塩酸水溶液を添加してpH2にし、次いで0.
1mol/l苛性ソーダ水溶液で常法に従って滴定曲線
を求めた。該滴定曲線からカルボキシル基に消費された
苛性ソーダ水溶液消費量(Ycc)を求め、次式によっ
てカルボキシル基量(meq/g)を算出した。 カルボキシル基量(meq/g)=0.1Y/X 尚、上述のカルボキシル基量測定操作中の1mol/l
塩酸水溶液の添加によるpH2への調整をすることなく
同様に滴定曲線を求めることにより、H型カルボキシル
基量(meq/g)や、さらにはこれらの結果から次式
により金属塩型カルボキシル基量(meq/g)も算出
できる。 (金属塩型カルボキシル基量)=(カルボキシル基量)
−(H型カルボキシル基量) カルボキシル基のH/金属塩比率(モル比)は、上記H
型カルボキシル基量と金属塩型カルボキシル基量を百分
比表示したものである。
【0032】(2)黒色度 JIS−Z8730に従い、理想的な黒体を0、理想的
白体を100として数値化したものであり、試料繊維を
ミノルタ株式会社製測色計CR300にて測定し、黒色
度を明度L値で表わした。 (3)洗濯耐久性(級) 試料繊維をJIS−L0217−103法(洗剤は花王
株式会社製アタック使用)に記載の方法で10回繰り返
し洗濯処理した後、洗濯前の試料繊維の色からの変色の
程度をJIS−L0805汚染用グレースケールで評価
する。 (4)飽和吸湿率(%) 試料繊維約5.0gを熱風乾燥機で105℃、16時間
乾燥して重量を測定する(W1g)。次に試料を温度2
0℃で65%RHの恒湿槽に24時間入れておく。この
ようにして飽和吸湿した試料の重量を測定する(W2
g)。以上の測定結果から、次式によって算出した。 飽和吸湿率(%)={(W2−W1)/W1}×100
【0033】実施例1 AN90重量%、アクリル酸メチル(以下、MAとい
う)10重量%からなるAN系重合体(30℃ジメチル
ホルムアミド中での極限粘度[η]:1.2)10部を
48%のロダンソーダ水溶液90部に溶解した紡糸原液
に、三菱化学(株)製カーボンブラック#50(BET
法にて測定した表面積103m/g、DBP吸油量6
5ml/100g)0.2部を混合し、周知の湿式紡糸
法に従って紡糸、冷/熱延伸(全延伸倍率;10倍)し
た後、乾球/湿球=120℃/60℃の雰囲気下で乾
燥、緻密化した後、全収縮率を25%とするよう湿熱処
理して単繊維繊度1.5dtexの原料繊維を得た。
【0034】該原料繊維に、水加ヒドラジンの20重量
%水溶液中で、98℃×5Hr架橋導入処理を行った。
本処理により、架橋が導入され、窒素含有量の増加は
5.0重量%であった。なお、窒素増加量は、原料繊維
と架橋導入処理後の繊維を元素分析にて窒素含有量を求
め、その差から算出した。次に硝酸の8重量%水溶液
中、90℃で2時間酸処理(酸処理A)をした。次いで
苛性ソーダの3重量%水溶液中で、90℃×2Hr加水
分解処理を行い、純水で洗浄した。この処理により、繊
維にNa型カルボキシル基が6.3meq/g生成して
いた。
【0035】該加水分解後の繊維を、ハイドロサルファ
イトナトリウム塩(以下、SHSという)の1重量%水
溶液中で、90℃×2Hr還元処理を行い、純水で洗浄
した。続いて、硝酸の3重量%水溶液中、90℃×2H
r酸処理(酸処理B)を行った。これにより6.3me
q/g生成していたNa型カルボキシル基は全量がH型
カルボキシル基になっていた。該酸処理後の繊維を、純
水中に投入し、濃度40%の苛性ソーダ水溶液をH型カ
ルボキシル基に対し、Na中和度70モル%になる様に
添加し、60℃×3HrH/金属塩比率調整処理を行っ
た。以上の工程を経た繊維を、水洗、油剤付与、脱水、
乾燥し実施例1の黒色高吸放湿性繊維を得た。得られた
繊維の吸湿率、黒色度、洗濯耐久性を調べ、表1に示し
た。
【0036】実施例2、3、比較例1,2 還元処理を省略し、H/金属塩比率調整処理を苛性カリ
で行った以外は、実施例1と同様にして実施例2の黒色
高吸放湿性繊維を得た。また、実施例3は実施例1の繊
維を塩化カルシウム水溶液で処理して、Na型カルボキ
シル基をCa型カルボキシル基としたものである。これ
らの繊維の特性も表1に併記した。また、比較例1、2
は、実施例1の紡糸原液に、三菱化学(株)製カーボン
ブラック#50を0.04及び0.6部混合する以外は
実施例1と同様にして得られた吸放湿性繊維である。
【0037】比較例3 水加ヒドラジンの2重量%水溶液中で、98℃×2Hr
架橋導入処理をし、次いで苛性ソーダの10重量%水溶
液中で、100℃×2Hr加水分解処理し、還元処理,
酸処理A,B、H/金属塩比率調整処理を省略する以外
は実施例1と同様にして得られた吸放湿性繊維である。
なおこれらの処理により、窒素含有量の増加は1.1重
量%であり、繊維にNa型カルボキシル基が11.0m
eq/g生成していた。この繊維の特性も表1に併記し
た。
【0038】比較例4 炭酸ソーダ10重量%水溶液中で、98℃×1Hr加水
分解処理する以外は比較例3と同様にして得られた繊維
である。繊維中にNa型カルボキシル基量が0.4me
q/g生成していた。この繊維の特性も表1に併記し
た。
【0039】実施例4〜8 窒素増加量が表1に示した量となるよう架橋導入処理条
件の水加ヒドラジン濃度及び処理時間を調整し、還元処
理を省略し、酸処理B後のH型カルボキシル基を苛性ソ
ーダで中和処理した後硝酸カルシウムでCa型カルボキシ
ル基とした以外は実施例1と同様にして、実施例4〜8
の黒色高吸放湿性繊維を得た。得られた繊維の吸湿率、
黒色度、洗濯耐久性を調べ、表1に併記した。
【0040】
【表1】
【0041】実施例1の黒色高吸放湿性繊維は39%の
吸湿率を示し、繊維の強度1.3cN/dtex、伸度
60% 黒色度もL値13と良好であった。また、洗濯
耐久性も4−5級と色安定性に優れた繊維であった。実
施例1と金属塩の種類が異なる実施例3、更に還元処理
を省略した実施例2は、実施例1に比べ、吸湿率が若干
低下するものの、黒色度、色安定性は実施例1繊維と遜
色のない結果であった。窒素増加量が0.5重量%でカ
ルボキシル基量が8meq/gの実施例4は黒色度は良
好であるものの、強度が加工可能の下限であること及び
水に対する膨潤性が高いことから、幾分用途に注意を要
するものであった。また窒素増加量が12重量%で、カ
ルボキシル基量が3.8meq/gである実施例8は繊
維強度、黒色度は良好であるものの、吸湿率、繊維伸度
がやや低く、本繊維を他の素材と混紡するときに自由度
が制限される可能性が幾分ある。一方窒素増加量が1〜
10重量%、カルボキシル基量が0.6〜10meq/
gの範囲内である実施例5〜7は吸湿率、繊維強伸度、
黒色度及び洗濯耐久性が良好であった。
【0042】一方、比較例1はカーボンブラックを0.
4重量%含む原料繊維を使用したものである。吸湿率、
繊維の強度、伸度は良好であったが、黒色度のL値が高
く、黒色とは言い難いものであり、洗濯耐久性は、3級
と劣り加工段階あるいは最終製品としての使用段階で問
題となるレベルであった。比較例2はカーボンブラック
を6.0重量%含む原料繊維を使用しているが、原料繊
維の製造時に延伸不良を起こすなど紡糸操業性が悪かっ
た。また該繊維は黒色度や耐久性は極めて優れるもの
の、強度、伸度は低いものであった。比較例3はカルボ
キシル基量を11meq/gとしたものであるが、吸湿
率は高いものの、繊維強度が低く加工に耐えないもので
あった。さらに比較例4はカルボキシル基量が0.4m
eq/gのものであるが、飽和吸湿率が8.0%と低く
高吸放湿性とは言い難いものであった。
【0043】実施例9〜14 AN90重量%、酢酸ビニル10重量%からなるAN系
重合体(30℃ジメチルホルムアミド中での極限粘度
[η]:1.1)10部を48%のロダンソーダ水溶液
90部に溶解した紡糸原液に、表2に記したように表面
積、DBP吸油量の異なる三菱化学(株)〔カーボンブラ
ックメーカーAとする〕製カーボンブラック又は東海カ
ーボン(株)〔カーボンブラックメーカーBとする〕製
カーボンブラック0.15部を混合し、実施例1と同様
にして単繊維繊度1.0dtexの原料繊維を得た。該
原料繊維に、水加ヒドラジンの15重量%水溶液中で、
105℃×4Hr架橋導入処理を行った。本処理によ
り、架橋が導入され、窒素含有量の増加は7重量%であ
った。加水分解する前に5重量%の硝酸水溶液中、90
℃で2時間酸処理(酸処理A)をした。次に、苛性ソー
ダの2.5重量%水溶液中で、90℃×1Hr加水分解
処理を行い、純水で洗浄した。この処理により、繊維に
Na型カルボキシル基が5.0meq/g生成してい
た。続いて、硝酸の2重量%水溶液中、90℃×1Hr
酸処理(酸処理B)を行った。これによりNa型カルボ
キシル基は全量がH型カルボキシル基になっていた。該
酸処理後の繊維を、純水中に投入し、濃度40%の苛性
ソーダ水溶液をH型カルボキシル基に対し、Na中和度
50モル%になる様に添加し、60℃×1HrH/金属
塩比率調整処理を行った。更に塩化カルシウム水溶液で
処理して、Na型カルボキシル基をCa型カルボキシル
基とした。以上の工程を経た繊維を、水洗、油剤付与、
脱水、乾燥し実施例9〜14の黒色高吸放湿性繊維を得
た。得られた繊維の吸湿率、黒色度、洗濯耐久性を調
べ、表2に示した。
【0044】
【表2】
【0045】表面積28m/gのカーボンブラックを
使用した実施例9は原料繊維の製造時に原液のフィルタ
ー詰まりを生じ操業性に難があるが、無理して採取した
該原料繊維から得られた黒色高吸放湿性繊維は、伸度が
若干低いものの吸湿率、強度、黒色度は良好であった。
DBP吸油量が180ml/100gと高いカーボンブ
ラックを使用した実施例10は青味を帯びるという、用
途をやや制限する難点のある黒色高吸放湿性繊維であっ
た。DBP吸油量が45ml/100gと低いカーボン
ブラックを使用した実施例11はAN系重合体を溶解し
た紡糸原液に対して分散性が低く、原料繊維の製造時に
難点を示したが、該原料繊維から得られた黒色高吸放湿
性繊維は、伸度が若干低いものの吸湿率、強度、黒色度
は良好であった。表面積360m/gのカーボンブラ
ックを使用した実施例12は赤味を帯びるという難点の
ある黒色高吸放湿性繊維であったが、強度、伸度、洗濯
耐久性は良好であった。また、東海カーボン(株)製で
表面積77m/g、DBP吸油量87ml/100g
のカーボンブラックを使用した実施例13及び表面処理
を施された、表面積134m/g、DBP吸油量10
0ml/100gとなっているカーボンブラックを用い
た実施例14共に、高い吸湿率を維持しつつ、高い繊維
強度と伸度を持ち、良好な黒色度と洗濯耐久性を維持し
ていた。
【0046】実施例15〜18 原料繊維の全収縮率が表3に示した値となるよう湿熱処
理の温度を調整し、カルボキシル基量を5.4meq/
gを生成させ、還元処理を省略し、酸処理B後のH型カ
ルボキシル基を苛性ソーダで中和処理した後硝酸カルシ
ウムでCa型カルボキシル基にする以外は実施例1と同様
にして、実施例15〜18の黒色高吸放湿性繊維を得
た。得られた繊維の吸湿率、黒色度、洗濯耐久性を調
べ、表3に併記した。
【0047】
【表3】
【0048】アクリル系繊維製造時の延伸後の全収縮率
が20%を下回りあるいは27%を超える原料繊維を用
いた実施例15及び18では、良好な黒色度と洗濯耐久
性を維持した黒色高吸放湿性繊維が得られたものの、繊
維伸度がそれぞれ25、22%と低くなり、紡績通過性
にやや難の予想されるものであった。一方、全収縮率が
20、27%の原料繊維を使用した実施例16,17
は、繊維伸度がそれぞれ31、50%と高く、吸湿率、
黒色度、洗濯耐久性が優れる黒色高吸放湿性繊維であっ
た。
【0049】
【発明の効果】従来、高吸放湿性繊維については種々提
案されているが、吸放湿性能と黒色度のバランスの取れ
たものは見出されていなかった。しかし本発明の出現に
より、生産性を阻害することなく高い吸放湿性能を維持
し、且つ黒色度が高く、染色工程での晒しや最終製品で
の繰り返し洗濯をおこなっても色変化の起こらない、即
ち黒色度安定性に優れた繊維の提供が可能となった。本
発明による繊維は用途が限定されることなく、好適に使
用できるものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロニトリル系重合体に対し、0.
    5〜5重量%のカーボンブラックを含有せしめたアクリ
    ル系繊維が、ヒドラジン系化合物により架橋の導入及び
    加水分解により0.6〜10meq/gのカルボキシル
    基(−COO)の導入並びに必要なら該基のH/金属
    塩比率調整を施されてなる、20℃65%RHにおける
    飽和吸湿率が10重量%以上、乾強度が0.8cN/d
    tex以上、JIS−Z−8730による明度L値が3
    5以下である黒色高吸放湿性繊維。
  2. 【請求項2】 ヒドラジン系化合物により架橋の導入を
    施したときの、窒素含有量の増加が1.0〜10.0重
    量%であることを特徴とする請求項1記載の黒色高吸放
    湿性繊維。
  3. 【請求項3】 カーボンブラックの、表面積が50〜3
    00m/g、DBP吸油量が50〜150ml/10
    0gであることを特徴とする請求項1または2記載の黒
    色高吸放湿性繊維。
  4. 【請求項4】 アクリル系繊維の熱延伸後の全収縮率が
    20〜27%であることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の黒色高吸放湿性繊維。
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