JPH09296370A - 消臭繊維製品 - Google Patents

消臭繊維製品

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JPH09296370A
JPH09296370A JP8113597A JP11359796A JPH09296370A JP H09296370 A JPH09296370 A JP H09296370A JP 8113597 A JP8113597 A JP 8113597A JP 11359796 A JP11359796 A JP 11359796A JP H09296370 A JPH09296370 A JP H09296370A
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JP
Japan
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fiber
functional group
deodorant
anionic functional
transition metal
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JP8113597A
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Inventor
Hiroshi Koizumi
博史 小泉
Naoki Kanamori
直樹 金森
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】タバコ臭のような悪臭性のカルボニル基を含有
する化合物や酸性化合物の悪臭、塩基性化合物の悪臭に
対して優れた消臭性能を有し、取扱いが容易でかつ安全
性、加工性、洗濯耐久性かつ染色性に優れる消臭繊維製
品を提供する。 【解決手段】(A) ビニルアミン単位を少なくとも10モル
%有するビニルアミン重合体を0.1 〜10重量%含有させ
たアクリル系合成繊維であって、該ビニルアミン重合体
のアミノ基が非塩型であるか、前記繊維を形成する重合
体が酸性基を有する場合はその酸性基とのみ塩を形成し
ているか、これらが混在しているかである消臭繊維を5
〜99.9重量%、および(B) 0.2 〜10当量/kg繊維の陰イ
オン性官能基を有する消臭繊維または該陰イオン性官能
基と0.1 〜5当量/kg繊維の遷移金属が結合した遷移金
属塩を有する消臭繊維を0.1 〜95重量%含有することを
特徴とする消臭繊維製品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は消臭繊維製品に係
り、特にカルボニル基を含有する化合物、酸性化合物、
塩基性化合物等の悪臭を消臭する機能を有する消臭繊維
製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、生活環境における快適性への関心
が高まり、室内、冷蔵庫内、車内または種々の環境内に
存在する悪臭の除去に関してさまざまな提案がなされて
いる。中でもオフィス、家庭または自動車内におけるタ
バコ臭の消臭は、禁煙運動の浸透に伴い、クローズアッ
プされてきている。ところで、従来の消臭、防臭技術の
多くは活性炭を用いたもの、または積極的に悪臭成分を
吸引して消臭するフィルタを用いたものが主流である。
例えば生活環境で発生する各種悪臭成分を除去するフィ
ルタとしては、対象臭気の異なる消臭有効成分が含浸さ
れた担体を複数種組合わせた空気清浄フィルタが提案さ
れている(特開平2−22673号公報)。また、アル
デヒド除去用フィルタとしては、タバコフィルタをポリ
エチレンイミンとカルボン酸を含む処理溶液で処理し、
これらの物質で被覆したフィルタが提案されている(特
開平2−257870号公報)。
【0003】しかしながら、これらの技術はいずれも消
臭剤を担体に単に含浸または塗布することにより、消臭
成分を繊維表面に付着させたものであるために、繊維製
品の風合いが硬く、また洗濯により容易に消臭成分が脱
落し、洗濯耐久性またはファッション性が要求される衣
料分野、またはインテリア分野への応用は不可能であっ
た。また、アミン系化合物を利用する消臭剤についても
提案がなされている。例えばポリエチレンイミンと非イ
オン性の吸水性有機物を保有する消臭剤が特開平3−1
46064号公報に示されているが、この提案による消
臭剤は洗濯耐久性および加工性において充分満足できる
レベルにあるものとはいえなかった。また、セルロース
分子に反応性基を導入してポリエチレンイミンを反応さ
せるタバコ喫煙用フィルタのための素材が特開昭57−
16687号公報に示されているが、この素材は、反応
性部位を均一にできないため、反応したポリエチレンイ
ミンの偏在化が起こり、またポリエチレンイミンが脱落
し易いものであった。
【0004】一方、タバコ臭のような悪臭性のカルボニ
ル基を含有する化合物、酸性化合物の悪臭、さらには塩
基性化合物の悪臭に対して同時に優れた消臭性能を有す
る消臭繊維製品であって、取扱いが容易で、かつ安全
性、加工性、洗濯耐久性、染色性にも優れた消臭繊維製
品はまだ提案されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、タバ
コ臭のような悪臭性のカルボニル基を含有する化合物、
酸性化合物の悪臭、さらには塩基性化合物の悪臭に対し
て同時に優れた消臭性能を有し、取扱いが容易で、かつ
安全性、加工性、洗濯耐久性、染色性にも優れた消臭繊
維製品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記の課
題を解決するため、鋭意検討した結果、特定のビニルア
ミン重合体を有するアクリル系合成繊維と、陰イオン性
官能基を有する繊維等とを特定割合で組合せた消臭繊維
製品により、上記課題を達成できることを見出し、本発
明に到達した。すなわち、本願で特許請求される発明は
以下の通りである。 (1)(A)ビニルアミン単位を少なくとも10モル%
有するビニルアミン重合体を0.1〜10重量%含有さ
せたアクリル系合成繊維であって、該ビニルアミン重合
体のアミノ基が非塩型であるか、もしくは前記繊維を形
成する重合体が酸性基を有する場合はその酸性基とのみ
塩を形成しているか、またはこれらが混在しているかで
ある消臭繊維を5〜99.9重量%、および(B)0.
2〜10当量/kg繊維の陰イオン性官能基を有する消臭
繊維または該陰イオン性官能基と0.1〜5当量/kg繊
維の遷移金属が結合した遷移金属塩を有する消臭繊維を
0.1〜95重量%含有することを特徴とする消臭繊維
製品。 (2)(1) 記載のアクリル系合成繊維が、酸性基を0.
01〜2.5モル/kg繊維含有していることを特徴とす
る消臭繊維製品。 (3)(1) または(2) 記載のアクリル系合成繊維が、ア
ミノ基を0.02〜2.5モル/kg繊維含有しているこ
とを特徴とする消臭繊維製品。 (4)(1) 〜(3) のいずれかに記載のアクリル系合成繊
維の酸性基とビニルアミン重合体のアミノ基との結合率
が、10〜100モル%であることを特徴とする消臭繊
維製品。 (5)(1) 〜(4) のいずれかに記載のビニルアミン重合
体が、分子量1,000〜200,000の水溶性ビニ
ルアミン重合体であることを特徴とする消臭繊維製品。
【0007】(6)(1) 記載の陰イオン性官能基を有す
る繊維は、アクリル系合成繊維であって繊維形成前に陰
イオン性官能基を持つモノマを共重合することにより得
られた繊維であり、また陰イオン性官能基と遷移金属が
結合した遷移金属塩を含有する繊維は、上記陰イオン性
官能基を有する繊維をアルカリ水溶液で処理した後、遷
移金属化合物と反応させて得られた繊維であることを特
徴とする消臭繊維製品。 (7)(1) 記載の陰イオン性官能基を有する繊維は、繊
維形成後に陰イオン性官能基を持つモノマをグラフト重
合することにより得られた繊維であり、また陰イオン性
官能基と遷移金属が結合した遷移金属塩を含有する繊維
は、上記陰イオン性官能基を有する繊維をアルカリ水溶
液で処理した後、遷移金属化合物と反応させることによ
り得られた繊維であることを特徴とする消臭繊維製品。 (8)(1) 記載の陰イオン性官能基を有する繊維は、ア
クリル系合成繊維または再生セルロース繊維の湿式紡糸
法において凝固後、乾燥前に陰イオン性官能基を持つポ
リマーを付与することにより得られた繊維であり、また
陰イオン性官能基と遷移金属が結合した遷移金属塩を含
有する繊維は、上記陰イオン性官能基を有する繊維をア
ルカリ水溶液で処理した後、遷移金属化合物と反応させ
ることにより得られた繊維であることを特徴とする消臭
繊維製品。 (9)記載の陰イオン性官能基を有する繊維は、繊維形
成前に陰イオン性官能基を持つポリマーをポリマーブレ
ンドすることにより得られる繊維であり、また陰イオン
性官能基と遷移金属が結合した遷移金属塩を有する繊維
は、上記陰イオン性官能基を有する繊維をアルカリ水溶
液で処理した後、遷移金属化合物と反応させることによ
り得られた繊維であることを特徴とする消臭繊維製品。 (10)(1) 記載の陰イオン性官能基を有する繊維は、
アクリル系合成繊維をアルカリ存在下に加水分解するこ
とにより陰イオン性官能基を導入した繊維であり、また
陰イオン性官能基と遷移金属が結合した遷移金属塩を含
有する繊維は、該陰イオン性官能基を含有する繊維をア
ルカリ水溶液で処理した後、遷移金属化合物と反応させ
ることにより得られた繊維であることを特徴とする消臭
繊維製品。
【0008】本発明の消臭繊維製品には、ビニルアミン
単位を少なくとも10モル%有するビニルアミン重合体
を0.1〜10重量%含有させたアクリル系合成繊維で
あって、該ビニルアミン重合体のアミノ基が非塩型であ
るか、もしくは前記繊維を形成する重合体が酸性基を有
する場合はその酸性基とのみ塩を形成しているか、また
はこれらが混在しているかである消臭繊維(以下、単に
消臭繊維(A)と略することがある)が用いられる。
【0009】本発明に用いられるビニルアミン重合体
は、ビニルアミン単位を少なくとも10モル%有してい
ることが必要であり、好ましい含有量は50モル%以上
である。ビニルアミン単位の含有量が10モル%未満で
は、ビニルアミン重合体を大量に繊維に含有させても実
用的な消臭性能を有することができない。ビニルアミン
重合体は、一般にポリN−ビニルホルムアミドを酸、例
えば塩酸、硫酸、燐酸等により加水分解した加水分解物
またはその塩酸塩などの塩として容易に入手することが
できる。またビニルアミン重合体に含まれるビニルアミ
ン単位の割合は、ポリN−ビニルホルムアミドの加水分
解度を調節することにより広範囲にわたって調整するこ
とができる。なお、ポリN−ビニルホルムアミドを繊維
に含有させた後、水溶液中で上記酸によりpHを2〜3
に保ってポリN−ビニルホルムアミドを加水分解し、ビ
ニルアミン重合体とすることもできる。この場合もビニ
ルアミン重合体中のビニルアミン単位は10モル%以上
とする必要がある。
【0010】本発明において、アクリル系合成繊維に対
するビニルアミン重合体の含有量は0.1〜10重量
%、好ましくは0.15〜5.0重量%である。ビニル
アミン化合物の含有量が0.1重量%未満では、目的と
するカルボニル基を含有する化合物や酸性化合物の悪臭
に対する吸着性能が低く、一方、10重量%を超えると
繊維に接着が惹起され、風合いが低下し、また繊維が着
色したり、さらに紡績工程で繊維が機械へ巻き付きやす
くなる。
【0011】また本発明において、繊維に付着している
かまたは繊維形成重合体の酸性基と結合しているビニル
アミン重合体のアミノ基は、非塩型である。具体的に
は、繊維中のアミノ基は非塩型であるか、繊維形成重合
体が酸性基を有している場合にはその酸性基とのみ塩を
形成しているか、またはこれらが混在しているかのいず
れかである。ここで、非塩型のアミノ基とは、塩酸、硫
酸、燐酸等の無機酸または蟻酸等の有機酸と反応してい
ないアミノ基をいう。塩置換したアミノ基では、カルボ
ニル基を含有する化合物や酸性化合物の悪臭に対する充
分に満足できる吸着性能を得ることができない。
【0012】ビニルアミン共重合体の分子量は1,00
0〜200,000が好ましく、より好ましくは10,
000〜100,000である。該重合体の分子量が
1,000未満では繊維を構成する分子鎖と該重合体を
構成する分子鎖1本当たりの結合の割合が低下し、染色
処理により酸性基と該重合体との結合が断ち切られるこ
とにより該重合体が脱落し易くなる。また分子量が20
0,000を超えると繊維の風合いが低下する場合があ
る。またビニルアミン重合体は水溶性であることが好ま
しい。水不溶性のビニルアミン重合体を用いると繊維内
部への拡散が乏しいため、酸性基との結合率が低くな
り、染色により水不溶性の重合体が脱落し易くなる。
【0013】本発明に用いられるアクリル系合成繊維
は、例えば、40重量%以上のアクリルニトリルと60
重量%以下のアクリルロニトリルと共重合可能な単量体
との共重合で得られた重合体により製造することができ
る。アクリロニトリルと共重合可能な単量体としては、
アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、イ
タコン酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、スチレ
ン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、メタリルスルホン酸、メ
タリルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸、スチレンス
ルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩等
のビニル単量体の少なくとも一種が用いられる。
【0014】アクリル系合成繊維はカルボキシル基、ス
ルホン酸基等の酸性基を有していることが好ましく、特
にスルホン酸基が好ましい。この理由は、繊維中の酸性
基がビニルアミン重合体のアミノ基と結合してビニルア
ミン重合体を繊維に強固に固定させることができるため
である。酸性基を含有するアクリル系合成繊維は、アク
リロニトリルと酸性基を有する単量体を共重合した重合
体、繊維形成後の繊維に酸性基を有する単量体をグラフ
ト重合した重合体等を用いて得られる。また、アクリロ
ニトリルおよびそれと共重合可能な単量体とを共重合す
る際、触媒により重合体の末端に酸性基を導入すること
もできる。酸性基の含有量は、通常、繊維1kg当たり
0.01〜2.5、好ましくは0.01〜1.5モルと
される。酸性基の含有量が0.01モル未満ではビニル
アミン重合体と酸性基との結合が不充分となり、ビニル
アミン重合体が洗濯や染色処理により脱落し易く、また
2.5モルを超えると繊維性能が低下する場合がある。
【0015】ビニルアミン重合体を含有するアクリル系
合成繊維は、例えば、ビニルアミン重合体をアクリル系
重合体に混合して繊維を形成する方法、繊維をビニルア
ミン重合体水溶液に浸漬または噴霧する方法等により製
造することができる。本発明において望ましいのは、酸
性基を有する前記アクリル系合成繊維にビニルアミン重
合体水溶液を付着させる方法である。またビニルアミン
重合体を乾燥したアクリル系合成繊維に付着させること
により優れた耐光性、洗濯耐久性、染色耐久性のある消
臭性能を得ることができる。また未乾燥のゲル状アクリ
ル系合成繊維に付着させることもできる。
【0016】酸性基を含有するアクリル系合成繊維にビ
ニルアミン重合体を付着させることにより、酸性基とビ
ニルアミン重合体とが結合し、ビニルアミン重合体の脱
落が少なくなり、消臭性能の耐久性が非常に向上する。
さらにこの繊維を100〜180℃、好ましくは105
〜130℃の加圧水蒸気で処理すると、酸性基とビニル
アミン重合体との結合率が向上し、一層洗濯耐久性およ
び染色耐久性が改良された消臭繊維を得ることができ
る。加圧水蒸気温度が100℃未満ではビニルアミン重
合体と繊維の酸性基との結合が不充分となり、ビニルア
ミン重合体が洗濯により脱落し易くなる。また、加圧水
蒸気温度が180℃を超える場合は繊維の風合いが低下
し易い。
【0017】本発明において、アクリル系合成繊維の有
する酸性基とビニルアミン重合体との結合は、酸性基に
対してアミノ基の結合率が10〜100モル%であるこ
とが好ましい。より好ましくは40〜100モル%、さ
らに好ましくは60〜100モル%である。酸性基の結
合率が10モル%未満では染色耐久性が低くなる場合が
ある。酸性基に対するビニルアミン重合体の結合率は、
繊維の総酸性基量およびビニルアミン重合体と結合して
いない残存酸性基量(以下、残存酸性基量という)によ
り下式から求めることができる。 酸性基の結合率(モル%)=〔(総酸性基量−残存酸性
基量)/総酸性基)〕×100 ただし、総酸性基量および残存酸性基量の単位はモル/
kgである。
【0018】残存酸性基量は、繊維1gを10%塩化ナ
トリウム水溶液300mlに入れ、40℃の恒温槽中で3
0時間振とうした後、精製水で付着している塩化ナトリ
ウムを充分に洗浄し、80℃で1時間乾燥して残存酸性
基ナトリウム置換繊維とし、次いで、該繊維を96%の
硫酸5ml、62%の硝酸40ml、70%の過塩素酸2ml
の混合溶液中で電熱ヒータ上で5時間湿式分解を行い、
得られた液体を精製水で100倍に希釈し、炎光分析に
よりナトリウムの定量分析を行い、このナトリウム量よ
り算出することができる。
【0019】酸性基に対するビニルアミン重合体の結合
率は、繊維が含有する酸性基の結合割合を示すものであ
る。ビニルアミン重合体を含有していない繊維は、総酸
性基量と残存酸性基量が同じ値を示し酸性基の結合率は
0モル%となるが、ビニルアミン重合体を繊維に含有さ
せた後、乾燥することにより残存酸性基量が低下し、酸
性基の結合率が向上する。また、水蒸気処理することで
さらに残存酸性基量が低下し、酸性基に対するビニルア
ミン重合体の結合率が向上する。これは繊維が含有する
酸性基とビニルアミン重合体のアミノ基のイオン的反応
が水蒸気処理により促進されていることに起因している
ためである。このイオン的反応の促進により、洗濯耐久
性および染色耐久性の向上が認められる。
【0020】また、本発明の消臭繊維製品には、0.2
〜10当量/kg繊維の陰イオン性官能基を有する消臭繊
維または該陰イオン性官能基と0.1〜5当量/kg繊維
の遷移金属が結合した遷移金属塩を有する消臭繊維(以
下、単に消臭繊維(B)と略することがある)が用いら
れる。
【0021】本発明において、陰イオン性官能基はカル
ボキシル基またはスルホン酸基を指し、この陰イオン性
官能基の含有量は0.2〜10当量/kg繊維、好ましく
は0.4〜5当量/kg繊維である。陰イオン性官能基の
量が0.2当量/kg繊維未満では消臭効果が小さく、1
0当量/kg繊維を超えると繊維自体の吸湿、吸水性が高
くなり過ぎ、洗濯時の形態安定性や耐久性が悪くなり、
また洗濯後の風合いが硬化する。また陰イオン性官能基
の含有量が0.4〜5当量/kg繊維であれば消臭効果が
大きく、繊維製品の洗濯時の形態安定性や消臭性能の耐
久性が良好となり、洗濯後に風合いが硬化することもな
い。カルボキシル基とスルホン酸基は単独でも、共存さ
せてもよいが、多量に導入するにはカルボキシル基のほ
うが容易であり、性能的にも優れるため、カルボキシル
基が好ましい。
【0022】陰イオン性官能基を繊維に導入する方法に
は特に限定されず、例えば、繊維中のアミド基、アミノ
基、水酸基等を利用してアクリル酸等をグラフト重合す
る方法、例えばアクリル繊維をアルカリによって加水分
解する方法、アクリル酸のようなカルボキシル基を持つ
単量体を共重合する方法、アクリル酸のようなカルボキ
シル基を持つ単量体を重合した重合体をアクリル系重合
体に混合する方法等が採用される。また、湿式紡糸した
後、未乾燥状態の繊維をアクリル酸のようなカルボキシ
ル基を持つ単量体を重合した重合体の水溶液に浸漬した
後乾燥する方法を採用することもできる。また、例えば
酸性亜硫酸ナトリウムと過硫酸アンモニウム等を触媒に
して重合する際に重合体末端にスホルン酸基を導入する
こともできる。
【0023】陰イオン性官能基を有する繊維としては、
上述したアクリル系合成繊維が好ましく用いられるが、
繊維に陰イオン性官能基を持つ単量体をグラフト重合す
る場合にはセルロース繊維、ポリアミド繊維等も用いる
こができる。また繊維の原料重合体に陰イオン性官能基
を持つ重合体を混合する場合にはポリアミド繊維、ポリ
エステル繊維、再生セルロース等も用いることができ
る。
【0024】本発明に用いられる陰イオン性官能基と結
合する遷移金属としては、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、ク
ロム、コバルト等が挙げられる。この遷移金属化合物と
しては、銅化合物(CuSO4 、Cu(NO3
2 等)、亜鉛化合物(ZnSO4 、Zn(NO3
2 等)、鉄化合物(FeSO4 、Fe(NO3
2 等)、ニッケル化合物(NiSO4 、Ni(NO3
2 等)、クロム化合物(CrSO4 、Cr(NO3 2
等)、コバルト化合物(CoSO4 、Co(NO3 2
等)等が用いられるが、消臭効果が顕著であるという点
で銅化合物または亜鉛化合物が好ましい。また遷移金属
の含有量は、0.1〜5当量/kg繊維、好ましくは0.
2〜3当量/kg繊維とされる。含有量が0.1当量/kg
繊維未満では消臭効果が小さく、5当量/kg繊維を超え
ると繊維の風合いが低下する。
【0025】陰イオン性官能基に遷移金属を結合させて
遷移金属塩を含有させる方法としては、陰イオン性官能
基含有繊維をアルカリ水溶液で処理、例えば含浸した
後、遷移金属化合物と反応させる方法が挙げられる。こ
こでアルカリ水溶液とは、アンモニア、水酸化ナトリウ
ム等の水溶液である。アルカリ水溶液での処理後の膨潤
を抑えるために、1価の陽イオンを対イオンとする塩ま
たは/およびアルコールをアルカリ水溶液中に添加する
ことが好ましい。1価の陽イオンを対イオンとする塩と
しては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等が挙げら
れ、アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタ
ノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
【0026】本発明の消臭繊維製品は、消臭繊維(A)
5〜99.9重量%、好ましくは10〜99重量%と、
消臭繊維(B)0.1〜95重量%、好ましくは1〜9
0重量%とを組合わせて製造される。消臭繊維(A)の
使用量が5%未満では、カルボニル基を有する化合物お
よび酸性化合物の悪臭を消臭する効果が弱くなる。また
この使用量が10重量%以上あれば、前記カルボニル基
を有する化合物および酸性化合物の消臭効果が顕著とな
る。消臭繊維(B)の使用量が0.1未満では塩基性化
合物の悪臭を消臭する効果が弱くなる。またこの使用量
が1重量%以上であれば前記塩基性化合物の悪臭に対す
る消臭効果が顕著となる。
【0027】本発明の消臭繊維製品としては、例えば、
消臭繊維(A)と消臭繊維(B)を混紡、交撚、交織、
交編等によって得られる紡績糸、交撚糸、織物、編物ま
たはこれらの繊維を含む不織布が挙げられる。消臭繊維
(A)のみを使用して得られる消臭繊維製品では、カル
ボニル基を有する化合物および酸性化合物の悪臭は消臭
できるが、塩基性化合物の悪臭を消臭することが困難で
あり、また消臭繊維(B)のみを使用して得られる消臭
繊維製品では、塩基性化合物の悪臭は消臭できるが、カ
ルボニル基含有化合物および酸性化合物の消臭効果が弱
くなる。なお、本発明の消臭繊維製品には、本発明の目
的が達成できる範囲であれば他の繊維を用いることがで
きる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によりさら
に具体的に説明する。なお、例中の%は特に限定しない
場合は重量%を意味する。また、洗濯試験、悪臭物質の
消臭性能の測定、風合いの評価、官能評価、酸性基の結
合率の測定、残存酸性基量の測定および染色処理は下記
のようにして行った。 (1)洗濯試験:JIS−L−0217−103法に準
拠して行った。 (2)悪臭物質の消臭性能の測定:容量1000mlのテ
ドラーバック中に悪臭成分600mlとともに繊維製品を
1g入れ、120分後の残存ガス濃度をガステック社製
ガス検知管で測定した。悪臭成分の所期濃度はカルボニ
ル基を含有する化合物としてアセトアルデヒド20pp
m、酸性化合物として酢酸100ppm、塩基性化合物
として80ppmとした。 (3)風合いの評価:次の3段階評価で行った。 ○−硬くない △−やや硬い ×−硬い
【0029】(4)官能評価:タバコ煙を用い、容積3
000mlのフレックスサンプラー中に繊維製品ととも
に、1m3 アクリル製ボックス中でタバコ(マイルドセ
ブン:商品名)を2本を5cm燃焼させた後、ボックス内
の煙を300mlおよび無臭空気2700mlを注入し、2
時間放置後、フレックスサンプラー内の臭いおよび繊維
自体の臭いについて16人のモニターに次の判定を行っ
てもらい、総合得点で評価した。
【0030】(5)酸性基の結合率の測定:繊維の総酸
性基量およびビニルアミン重合体と結合していない残存
酸性基量によって下式より求めた。 酸性基の結合率(モル%)=〔(総酸性基量−残存酸性
基量)/総酸性基量〕×100 ただし、総酸性基量および残存酸性基量の単位はモル/
kgである。 (6)残存酸性基量の測定:繊維1gを10%の塩化ナ
トリウム水溶液300mlに入れ、40℃の恒温槽中で3
0時間振とうした後、精製水で付着塩化ナトリウムを充
分に洗浄し、80℃で1時間乾燥して残存酸性基ナトリ
ウム置換繊維とした。次いで、該繊維を96%硫酸5m
l、62%硝酸40ml、70%過塩素酸2ml混合液中で
電熱ヒータ上で5時間湿式分解を行った。ここで得られ
た液体を精製水で100倍に希釈し、炎光分析によりナ
トリウム定量分析を行い、このナトリウム量より残存酸
性基量を算出した。
【0031】(7)染色処理:染料としてアストラゾン
ブルーF2RL(AstrazonBlue F2R
L:バイエルジャパン社製染料商品名)を用い、染料濃
度を0.5%owfとし、pH調整剤として酢酸を用い
てpH4に調整し、浴比1:50、100℃で30分間
染色し、水洗後、アンモニア1%水溶液で5分間ソーピ
ングを行った後、充分に水洗した。
【0032】実施例1 アクリロニトリル94.5%、アクリル酸メチル5.0
%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%の共重
合体を70%の硝酸に溶解し、重合体濃度15.5%の
紡糸原液を調整した。該紡糸原液を0.06mmの細孔を
有する紡糸口金を通して0℃に保った37%の硝酸系凝
固浴に紡出し、水洗後沸騰水中で9倍に延伸し、未乾燥
のアクリル系合成繊維を得た。該繊維のスルホン酸基は
乾燥繊維1kgに0.056モル含まれていた。この未乾
燥繊維を80℃で1時間乾燥した。次いで、この乾燥繊
維を、ビニルアミン単位を95.0モル%有するN−ビ
ニルホルムアミドの部分加水分解物(分子量約60,0
00)を1.0%の濃度で含有する20℃水溶液で1分
間浸漬処理し、その後脱水した。このとき絞り率は25
%であった。脱水後の繊維を80℃で1時間乾燥し、オ
ートクレーブで110℃の飽和蒸気で5分間の湿熱処理
を行って消臭繊維(A1 )を製造した。
【0033】一方、アクリロニトリル80%とアクリル
酸20%の共重合体を75%の硝酸水溶液に溶解して紡
糸原液を調整した。この紡糸原液を0.06mmの細孔を
有する紡糸口金を通しての0℃に保った25%硝酸水溶
液からなる凝固浴中に紡出し、水洗後沸騰水中で延伸
し、乾燥、熱処理をしてカルボキシル基を2.7当量/
kg繊維含有する消臭繊維(B1 )を製造した。上記消臭
繊維(A1 )30%、消臭繊維(B1 )10%およびア
クリロニトリル94.5%とアクリル酸メチル5.0%
とメタリルスルホン酸ナトリウム0.5%の共重合体か
らなる通常のアクリル系合成繊維60%の組合せで混紡
し、紡績糸を製造し、この紡績糸を用いて織物を製造し
た。この織物について各種悪臭に対する消臭性能を、洗
濯10回後の性能とあわせて評価し、その結果を表1に
示した。
【0034】実施例2 実施例1で製造した消臭繊維(B1 )を1.5モル/l
の塩化ナトリウムを含む20℃20%の水酸化ナトリウ
ム水溶液中に浸漬し、次いで10%硫酸銅水溶液に浸漬
後、水洗、脱水、乾燥して遷移金属として銅を含有する
消臭繊維(B2)を製造した。この消臭繊維(B2 )1
0%、実施例1で製造した消臭繊維(A 1 )30%およ
び通常のアクリル系合成繊維60%の組合せで混紡して
紡績糸を製造し、この紡績糸を用いて織物を製造した。
この織物について各種悪臭に対する消臭性能を、洗濯1
0回後の性能とあわせて評価し、その結果を表1に示し
た。 比較例1 実施例1で製造した消臭繊維(A1 )のみから紡績糸を
製造し、この紡績糸を用いて織物を製造した。この織物
について各種悪臭に対する消臭性能を、洗濯10回後の
性能とあわせて評価し、その結果を表1に示した。
【0035】
【表1】 表1から、実施例1および2では、比較例1に較べ、カ
ルボニル基含有化合物および酸性化合物ばかりでなく、
塩基性化合物をも消臭し、かつその性能は洗濯10回後
も良好であることが示される。
【0036】実施例3〜6および比較例2〜3 アクリロニトリル74.7%、塩化ビニリデン25.0
%およびメタリルスルホン酸ナトリウム0.3%の共重
合体を、ジメチルホルムアミドに溶解して重合体濃度1
8%の紡糸原液を調整した。該紡糸原液を0.15mmの
細孔を有する紡糸口金を通して30℃に保った75%の
ジメチルホルムアミド系凝固浴に紡出し、80℃に保っ
た75%のジメチルホルムアミド系延伸浴中で5.0倍
に延伸し、水洗後沸騰水中で1.2倍延伸し、その後8
0℃の熱風中で乾燥し、乾燥アクリル系合成繊維を得
た。該繊維のスルホン酸基は乾燥繊維1kgに0.1モル
含まれていた。
【0037】次いで、この乾燥繊維を、ビニルアミン単
位を95.0モル%有するN−ビニルホルムアミドの部
分加水分解物(分子量約60,000)を0.05%、
0.1%、0.5%、5.0%、10.0%および1
5.0%含有させた20℃のそれぞれの水溶液で1分間
浸漬処理し、その後脱水した。このとき絞り率は25%
であった。脱水後の繊維を80℃で1時間乾燥し、オー
トクレーブで120℃の飽和蒸気で5分間の湿熱処理を
行って消臭繊維(A2 )をそれぞれ製造した。
【0038】一方、再生セルロース繊維キュウプラ(旭
化成工業社製再生繊維商品名)にアクリル酸をグラフト
重合してカルボキシル基を2.20当量/kg繊維含有す
る消臭繊維(B3 )を製造した。次いで、消臭繊維(A
2 )30%、消臭繊維(B3 )5%および通常のアクリ
ル系合成繊維65%の組合せで混紡して紡績糸を製造
し、この紡績糸を用いて織物を製造した。これらの織物
を実施例1と同様に悪臭に対する消臭性能の評価し、そ
の結果を表2に示した。
【0039】
【表2】 表2から、ポリビニルアミン含有量が0.1〜10重量
%の範囲にある織物(実施例3〜6)は、カルボニル基
含有化合物および酸性化合物ばかりでなく、塩基性化合
物をも消臭し、かつタバコ消臭性能にも優れ、その風合
いが良好であることが示される。
【0040】実施例7〜10および比較例4、5 実施例1で製造した未乾燥のアクリル系合成繊維をポリ
アクリル酸に浸漬処理し、1kgの繊維当たりのカルボキ
シル基を0.1当量、0.2当量、0.4当量、5.0
当量、10.0当量および15.0当量とした消臭繊維
(B4 )をそれぞれ製造した。次いで、この消臭繊維
(B4 )5%、消臭繊維(A1 )30%および通常のア
クリル系合成繊維65%の組合せで混紡して紡績糸を製
造し、この紡績糸を用いて織物を製造し、これらの消臭
性能の評価し、その結果を表3に示した。
【0041】
【表3】 表3から、カルボキシル基含有量が0.2〜10当量/
kg繊維の織物(実施例7〜10)は、カルボニル基含有
化合物および酸性化合物ばかりでなく、塩基性化合物も
消臭し、かつタバコ消臭性能にも優れており、また洗濯
耐久性も良好で、洗濯後の風合いも良好であることが示
される。
【0042】実施例11〜14および比較例6、7 実施例3で製造した乾燥アクリル系合成繊維を、ビニル
アミン単位を95.0モル%有するN−ビニルホルムア
ミドの部分加水分解物(分子量約60,000)を5.
0%の濃度で含有する20℃の水溶液で1分間浸漬処理
し、その後脱水した。このとき絞り率は25%であっ
た。脱水後の繊維を80℃で1時間乾燥し、その後オー
トクレーブで120℃の飽和蒸気で5分間の湿熱処理を
行って消臭繊維(A3 )を製造した。
【0043】一方、アクリロニトリル80%とアクリル
酸20%の共重合体30%と、ポリアクリロニトリル7
0%とを混合した混合重合体からカルボキシル基含有ア
クリル系合成繊維を製造し、この繊維に硫酸ナトリウム
8%、水酸化ナトリウム5%、15℃水溶液中に15秒
間浸漬処理した後、硫酸銅水溶液中に浸漬して銅を結合
し、1kgの繊維当たりの銅の含有量を0.05当量、
0.1当量、0.2当量、3.0当量、5.0当量およ
び6.0当量に変化させた消臭繊維(B5 )をそれぞれ
製造した。上記消臭繊維(A3 )30%、消臭繊維(B
5 )5%およびポリエステル繊維65%の組合せで混紡
して紡績糸を製造し、この紡績糸を用いて織物を製造し
た。この織物の悪臭に対する消臭性能を実施例1と同様
にして測定し、その結果を表4に示した。
【0044】
【表4】 表4によれば、銅の含有量が0.1〜5当量/kg繊維の
織物(実施例11〜14)は、カルボニル基含有化合物
および酸性化合物ばかりではなく、塩基性化合物をも消
臭し、かつタバコ消臭性能にも優れ、その風合いは良好
であった。
【0045】実施例15〜19および比較例8〜11 ナイロン繊維にアクリル酸をグラフト重合してカルボキ
シル基を0.8モル/kg繊維含有する消臭繊維(B6
を製造した。実施例1で製造した消臭繊維(A1 )、上
記消臭繊維(B6 )および実施例1で使用した通常のア
クリル系合成繊維の混紡率を表5に示す混紡率とした紡
績糸をそれぞれ製造した。これらの紡績糸を用いて編物
を製造し、実施例1と同様に悪臭に対する消臭性能の評
価を行い、その結果を表5に示した。
【0046】
【表5】 表5から、ポリビニルアミン含有アクリル系合成繊維
(A1 )の混率が5%以上で、かつカルボキシル基含有
ナイロン繊維(B6 )の混率が0.1%以上の紡績糸を
用いた編物(実施例15〜19)は、カルボニル基含有
化合物および酸性化合物ばかりでなく、塩基性化合物を
も消臭し、かつタバコ消臭性能にも優れていることが示
される。
【0047】実施例20〜24および比較例12〜15 実施例1で製造した通常のアクリル系合成繊維にアクリ
ル酸をグラフト重合してカルボキシル基を2.0当量/
kg含有するアクリル系合成繊維を製造した。このアクリ
ル系合成繊維のカルボキシル基に亜鉛を結合し、亜鉛の
含有量を0.2当量/kg繊維とした消臭繊維(B7 )を
製造した。次いで、実施例11で製造した消臭繊維(A
3 )、上記消臭繊維(B7 )および実施例1で製造した
通常のアクリル系合成繊維の混率を表6に示す混率とし
た紡績糸をそれぞれ製造した。これらの紡績糸でそれぞ
れ織物を製造し、実施例1同様の悪臭に対する消臭性能
の評価を行い、その結果を表6に示した。
【0048】
【表6】 表6から、ビニルアミン重合体含有アクリル系合成繊維
(A3 )の混率が5%以上で、かつ亜鉛含有アクリル系
合成繊維(B7 )の混率が0.1%以上の紡績糸を用い
た織物(実施例20〜24)は、カルボニル基含有化合
物および酸性化合物ばかりでなく、塩基性化合物をも消
臭し、かつタバコ消臭性能にも優れていることが示され
る。
【0049】実施例25および比較例16 アクリロニトリル94.6%、アクリル酸メチル5.0
%およびイタコン酸0.4%の共重合体を70%の硝酸
に溶解して重合体濃度16%の紡糸原液を調整した。該
紡糸原液を0.06mmの細孔を有する紡糸口金を通して
0℃に保った35%の硝酸系凝固浴に紡出し、水洗後沸
騰水中で8倍に延伸して未乾燥のアクリル系合成繊維を
得た。該繊維のカルボキシル基は乾燥繊維1kgに0.0
6モル含まれていた。この未乾燥繊維を80℃で1時間
乾燥した。次いで、この乾燥繊維を、ビニルアミン単位
を95.0モル%有するN−ビニルホルムアミドの部分
加水分解物(分子量約60,000)を1.0%の濃度
で含有する20℃水溶液で1分間浸漬処理し、その後脱
水した。このとき絞り率は25%であった。脱水後の繊
維を80℃で1時間乾燥し、オートクレーブで110℃
の飽和蒸気で5分間の湿熱処理を行って消臭繊維
(A4 )を製造した。
【0050】一方、アクリロニトリル80%とアクリル
酸20%との共重合体30%と、ポリアクリロニトリル
70%とを混合した混合重合体から消臭繊維(B8 )を
製造した。次に、上記消臭繊維(A4 )30%、消臭繊
維(B8 )10%および実施例1で製造した通常のアク
リル系合成繊維60%の組合せで混紡して紡績糸を製造
し、この紡績糸を用いて織物(実施例25)を製造し
た。比較例16として、上記実施例25の消臭繊維(A
4 )を製造する際、乾燥繊維をビニルアミン単位を95
モル%有するN−ビニルホルムアミドの部分加水分解物
塩酸塩(分子量約60,000)を1.0%の濃度で含
有する0℃水溶液処理する以外は同様にして製造した繊
維を用いて、同様に織物を製造した。実施例25および
比較例16で得られた織物の消臭性能を実施例1と同様
に評価し、その結果を表7に示した。
【0051】
【表7】 表7から、アクリル系合成繊維に非塩型のビニルアミン
重合体を付与し、湿熱処理を行い、酸性基とビニルアミ
ン重合体との結合率を10モル%以上とした場合には、
カルボニル基含有化合物および酸性化合物に対する消臭
性能が洗濯10回後および染色後においても良好である
ことが示される。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、タバコ臭のようなカル
ボニル基を含有する化合物、酸性化合物、塩基性化合物
からなる悪臭に対して優れた消臭性能を有し、しかもそ
の消臭性能が洗濯耐久性および染色耐久性を有する消臭
繊維製品が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 14/00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ビニルアミン単位を少なくとも1
    0モル%有するビニルアミン重合体を0.1〜10重量
    %含有させたアクリル系合成繊維であって、該ビニルア
    ミン重合体のアミノ基が非塩型であるか、もしくは前記
    繊維を形成する重合体が酸性基を有する場合はその酸性
    基とのみ塩を形成しているか、またはこれらが混在して
    いるかである消臭繊維を5〜99.9重量%、および
    (B)0.2〜10当量/kg繊維の陰イオン性官能基を
    有する消臭繊維または該陰イオン性官能基と0.1〜5
    当量/kg繊維の遷移金属が結合した遷移金属塩を有する
    消臭繊維を0.1〜95重量%含有することを特徴とす
    る消臭繊維製品。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のアクリル系合成繊維が、
    酸性基を0.01〜2.5モル/kg繊維含有しているこ
    とを特徴とする消臭繊維製品。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のアクリル系合成
    繊維が、アミノ基を0.02〜2.5モル/kg繊維含有
    していることを特徴とする消臭繊維製品。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のアクリ
    ル系合成繊維の酸性基とビニルアミン重合体のアミノ基
    との結合率が、10〜100モル%であることを特徴と
    する消臭繊維製品。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のビニル
    アミン重合体が、分子量1,000〜200,000の
    水溶性ビニルアミン重合体であることを特徴とする消臭
    繊維製品。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の陰イオン性官能基を有す
    る繊維は、アクリル系合成繊維であって繊維形成前に陰
    イオン性官能基を持つモノマを共重合することにより得
    られた繊維であり、また陰イオン性官能基と遷移金属が
    結合した遷移金属塩を含有する繊維は、上記陰イオン性
    官能基を有する繊維をアルカリ水溶液で処理した後、遷
    移金属化合物と反応させて得られた繊維であることを特
    徴とする消臭繊維製品。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の陰イオン性官能基を有す
    る繊維は、繊維形成後に陰イオン性官能基を持つモノマ
    をグラフト重合することにより得られた繊維であり、ま
    た陰イオン性官能基と遷移金属が結合した遷移金属塩を
    含有する繊維は、上記陰イオン性官能基を有する繊維を
    アルカリ水溶液で処理した後、遷移金属化合物と反応さ
    せることにより得られた繊維であることを特徴とする消
    臭繊維製品。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の陰イオン性官能基を有す
    る繊維は、アクリル系合成繊維または再生セルロース繊
    維の湿式紡糸法において凝固後、乾燥前に陰イオン性官
    能基を持つポリマーを付与することにより得られた繊維
    であり、また陰イオン性官能基と遷移金属が結合した遷
    移金属塩を含有する繊維は、上記陰イオン性官能基を有
    する繊維をアルカリ水溶液で処理した後、遷移金属化合
    物と反応させることにより得られた繊維であることを特
    徴とする消臭繊維製品。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の陰イオン性官能基を有す
    る繊維は、繊維形成前に陰イオン性官能基を持つポリマ
    ーをポリマーブレンドすることにより得られる繊維であ
    り、また陰イオン性官能基と遷移金属が結合した遷移金
    属塩を有する繊維は、上記陰イオン性官能基を有する繊
    維をアルカリ水溶液で処理した後、遷移金属化合物と反
    応させることにより得られた繊維であることを特徴とす
    る消臭繊維製品。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の陰イオン性官能基を有
    する繊維は、アクリル系合成繊維をアルカリ存在下に加
    水分解することにより陰イオン性官能基を導入した繊維
    であり、また陰イオン性官能基と遷移金属が結合した遷
    移金属塩を含有する繊維は、該陰イオン性官能基を含有
    する繊維をアルカリ水溶液で処理した後、遷移金属化合
    物と反応させることにより得られた繊維であることを特
    徴とする消臭繊維製品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007154392A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Ooyabu:Kk 撚り糸およびその製造方法、織物、編物
JP2018201825A (ja) * 2017-06-02 2018-12-27 博久 木田 消臭機能紙及びその製造方法

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