JPH07216730A - pH緩衝性繊維及びその製造方法 - Google Patents

pH緩衝性繊維及びその製造方法

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JPH07216730A
JPH07216730A JP3659794A JP3659794A JPH07216730A JP H07216730 A JPH07216730 A JP H07216730A JP 3659794 A JP3659794 A JP 3659794A JP 3659794 A JP3659794 A JP 3659794A JP H07216730 A JPH07216730 A JP H07216730A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸やアルカリを中和してpH値を弱酸性に緩
衝する能力を持ち、且つ難燃性,抗菌性,吸放湿性を兼
ね備えたpH緩衝性繊維及び該繊維の製造方法を提供す
る。 【構成】 ヒドラジン架橋による窒素増加量,ニトリル
基変性によるカルボキシル基量及びアミド基量,カルボ
キシル基の金属塩型と該金属塩型とH型との比率を特定
に調整したアクリル系繊維であり、ヒドラジン架橋処
理,加水分解処理及びカルボキシル基の金属塩型への転
換からなる。 【効果】難燃性,抗菌性,吸放湿性を有しながら加工性
にも優れた、高いpH緩衝能力が得られ繰り返し使用も
出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繊維に接触する水のpH
をpH5〜7の弱酸性(以下単に弱酸性という)に保持
する機能を有するpH緩衝性繊維及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】人の皮膚は正常な状態では、分泌される
乳酸等によって弱酸性に保たれているが、近年の環境破
壊に伴う酸性雨や、洗濯による衣服のアルカリ化によっ
て皮膚のpHが正常な範囲をこえ、これが健康な肌をそ
こなっている。肌のpHを弱酸性に保つためには外部か
らの酸やアルカリを衣服によって中和すると共に、肌に
接触する繊維素材そのものが弱酸性であることが望まし
い。この様な要望に答える方法として、弱酸性に等電点
を持つタンパク質を繊維製品への後加工によって付着さ
せたものがある。しかし、この方法はpH緩衝性物質を
後加工によって繊維製品に付着させているため、各種の
形態に容易に加工できない欠点を有するものであり、又
最近社会的ニーズとして高まりつつある難燃性,抗菌
性,吸放湿性を満たすものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、弱酸
性のpH緩衝能力が大きく、耐久性があり、製品の風合
いを損なわずしかも各種形態に容易に加工し得その上難
燃性,抗菌性,吸放湿性を有するpH緩衝性繊維及びそ
の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述した本発明の目的
は、ヒドラジン架橋による窒素含有量の増加が1.0〜
8.0重量%である架橋アクリル系繊維であって、残存
ニトリル基の1部には2.5〜4.5meq/gのカル
ボキシル基が、残部にはアミド基が導入されており該カ
ルボキシル基には必須成分としてのCa,Mg,Alか
ら選ばれた1種又は2種以上の金属とHが結合し、且つ
その当量比(金属対H)が1.0対1.5から4.0対
1.0の範囲にあることを特徴とするpH緩衝性繊維
及び、アクリル系繊維にヒドラジン処理により架橋結合
を導入して窒素含有量の増加を1.0〜8.0重量%の
範囲内に調整し、加水分解反応により残存しているニト
リル基量の2.5〜4.5meq/gにカルボキシル基
を残部にアミド基を導入し、酸加水分解のときは直ち
に、アルカリ加水分解のときは酸によりカルボキシル基
をH型にした後、必須成分としてのCa,Mg,Alか
ら選ばれた1種又は2種以上の金属水酸化物を添加して
pH5.0〜7.0に調整し一部を金属塩型に変換する
ことを特徴とするpH緩衝性繊維の製造方法、により達
成される。
【0005】以下、本願発明を詳述する。まず、本発明
は架橋アクリル系繊維であるが、その出発アクリル系繊
維としてはアクリロニトリル(以下、ANという)を4
0重量%以上、好ましくは50重量%以上含有するAN
系重合体により形成された繊維であり、短繊維、トウ、
糸、編織物、不織布等いずれの形態のものでもよく、ま
た、製造工程途中品、廃繊維などでも構わない。AN系
重合体は、AN単独重合体、ANと他のモノマーとの共
重合体のいずれでも良く、他のモノマーとしては、ハロ
ゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン;(メタ)アク
リル酸エステル;メタリルスルホン酸、p−スチレンス
ルホン酸等のスルホン酸含有モノマー及びその塩;(メ
タ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボン酸基含有モノ
マー及びその塩;アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニ
ル等のその他のモノマーが挙げられる。
【0006】該アクリル系繊維にヒドラジン架橋を導入
する方法としては、窒素含有量の増加が1.0〜8.0
重量%に調整しうる手段である限り採用出来るが、濃度
6〜80重量%,温度50〜130℃で1〜8時間処理
する手段が工業的に好ましい。ここで窒素含有量の増加
とは、原料アクリル系繊維の窒素含有量とヒドラジン架
橋アクリル系繊維の窒素含有量との差をいう。
【0007】なお、窒素含有量の増加が上記下限に満た
ない場合には、最終的に実用上満足し得る物性の繊維が
得られず、また、難燃性、抗菌性が得られない。上限を
超えると、吸放湿性,pH緩衝性が得られず、いずれも
発明の目的が達成されない。ここで採用し得るヒドラジ
ンとしては、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒ
ドラジン、硝酸ヒドラジン、臭素酸ヒドラジン等が例示
される。
【0008】また、加水分解反応により、ヒドラジン架
橋されずに残存しているニトリル基を実質的に消失さ
せ、最終的に2.5〜4.5meq/gのカルボキシル
基と残部にアミド基を導入する方法としては、アルカリ
金属水酸化物、アンモニア等の塩基性水溶液、或いは硝
酸、硫酸、塩酸等の鉱酸の水溶液を含浸、または該水溶
液中に原料繊維を浸漬した状態で加熱処理する手段が挙
げられる。なお、前記架橋結合の導入と同時に加水分解
反応を行うことも出来る。ここにおいて、最終的にカル
ボキシル基量が上記下限に満たない場合には、実用上満
足し得るpH緩衝能が得られず、さらに難燃性、抗菌
性、及び吸放湿性が得られない。また上限を越えると実
用上満足しうる物性の繊維が得られない。
【0009】かくして導入されたカルボキシル基を必須
成分としてのCa,Mg,Alから選ばれた1種又は2
種以上の金属とHとの当量比(金属対H)を1.0対
1.5から4.0対1.0に調整する方法としては、上
述した加水分解を酸で行った時は、該繊維を水に浸漬し
た後、必須成分としてのCa,Mg,Alから選ばれた
1種又は2種以上の金属水酸化物を添加してpH5.0
〜7.0に調整し、しかる後水洗,乾燥する方法が用い
られる。加水分解をアルカリで行った時は、酸処理によ
りカルボキシル基全量をH型に変換した後、必須成分と
してのCa,Mg,Alから選ばれた1種又は2種以上
の金属水酸化物を添加してpH5.0〜7.0に調整
し、しかる後水洗,乾燥する方法が用いられる。
【0010】なおCa,Mg,Al以外の金属塩型カル
ボキシル基ではpHを弱酸性に緩衝できないか、人体に
対する有害性や、洗濯による排水汚染が有るため使用す
ることはできない。例えばNa,K,Li等のアルカリ
金属塩型はpH緩衝能を有するが、そのpHが7以上で
アルカリ性となる。これを避けるためにH型と金属塩型
の比を大きくすると酸に対する緩衝性が低下し、実質的
に弱酸性に緩衝能を有するpH緩衝性繊維ではなくな
る。次にCa,Mg,Al金属塩型カルボキシル基とH
型カルボキシル基の比が上述範囲の下限に満たない場合
には酸に対する緩衝性はなく、上限を越えるとアルカリ
に対する緩衝性が少なく実用上弱酸性に緩衝能を有する
pH緩衝性繊維ではなくなり、いずれも発明を達成出来
ない。なお、以上の説明において、金属塩の種としてC
a,Mg,Alのいずれかが採用されることが必須であ
るが、pH緩衝性,難燃性,抗菌性及び吸放湿性を損な
わない範囲でこれら以外の金属を使用することも出来
る。しかしその含有量は、高々金属塩型カルボキシル基
として0.4meq/g以下である。
【0011】このようにして、1g/dの引張強度以上
で弱酸性にpH緩衝性のある難燃性,抗菌性,高吸湿性
を兼備する繊維を提供することができる。特に高い引張
強度を求める場合には、後述するように出発アクリル系
繊維として二色性比の高い繊維を選ぶのが良い。
【0012】なお、アクリル系繊維を、ボンプ循環系を
備えた容器内に充填し、上記架橋結合の導入、加水分解
反応、及び金属塩の形成の各反応を逐次行う手段が、装
置上、安全性、均一反応性等の諸点から望ましい。かか
る装置(ポンプ循環系を備えた容器)の代表例として
は、オーバーマイヤー染色機が挙げられる。
【0013】また、実用上問題のない繊維物性とpH緩
衝性,難燃性,抗菌性及び吸放湿性を兼ね備えた繊維を
提供するためには、特に下記特性を備えた出発アクリル
系繊維を採用することが望ましい。
【0014】即ち、繊維を形成するAN系重合体分子が
十分に配向しておりコンゴーレッド(以下CRという)
二色性比が0.4以上、更に好ましくは0.5以上のア
クリル系繊維を採択することが望ましい。なお、CR二
色性比は、高分子化学23(252)193(196
6)記載の方法に従って求められるものである。
【0015】なお、かかるアクリル系繊維の製造手段に
限定はなく、上記CR二色性比が満たされる限り、適宜
公知の手段を用いることができるが、中でも全延伸倍率
を6倍以上、好ましくは8倍以上とし、かつ工程収縮率
を30%以下、好ましくは20%以下とする手段の採用
により工業的有利に所望のアクリル系繊維を作製するこ
とが出来る。
【0016】更に出発アクリル系繊維として、延伸後熱
処理前の繊維(AN系重合体の紡糸原液を常法に従って
紡糸し、延伸配向されてはいるが、乾燥緻密化、湿熱緩
和処理等の熱処理の施されていない繊維、中でも湿式又
は乾/湿式紡糸、延伸後の水膨潤ゲル状繊維:水膨潤度
30〜150%)を使用することにより、反応液中へ
の繊維の分散性、繊維中への反応液の浸透性などが改善
され、以て架橋結合の導入や加水分解反応が均一かつ速
やかに行われるので望ましい。言うまでもないが、水膨
潤度とは乾燥繊維重量基準で表した含有水分量の百分率
である。
【0017】
【作用】本発明に係るpH緩衝性繊維並びに製造方法が
難燃性、抗菌性、吸放湿性を有しつつpH緩衝性を兼ね
備える理由は、十分に解明するに至っていないが、概ね
次のように考えられる。
【0018】即ち、本発明に係る繊維は、AN系重合体
から出発していながら、実質的にニトリル基が消失して
いる所から、ポリマー鎖に結合している側鎖は、ヒドラ
ジンとの反応により生成した窒素を含有する架橋構造
と、ニトリル基の加水分解反応により生成したH型,金
属塩型カルボキシル基及びアミド基と考えられる。
【0019】一般に塩型カルボキシル基はpH緩衝性を
有するが、本願においてCa,Mg,Alの金属塩型と
H型との特定比率のカルボキシル基が弱酸性に緩衝性を
示すのは、弱塩基の金属塩と弱酸が適度に共存するため
であろう。難燃性は架橋構造とアクリルアミドにより、
抗菌性は架橋構造によりもたらされているものと推定さ
れる。
【0020】さらに吸放湿性は架橋構造と金属塩型カル
ボキシル基によるものであろう。また加工性能を支えて
いるのは、CR二色性比にみられる配向構造に由来する
ところが大であろう。
【0021】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例中の部及び百分率は断りのない限り重量規準
で示す。
【0022】なお、pH緩衝能力(μeq/g)、全カ
ルボキシル基量、金属塩型カルボキシル基量、H型カル
ボキシル基量(meq/g)、LOI(限界酸素指
数)、吸湿率及び抗菌性(減菌率%)は以下の方法によ
り求めた。
【0023】(1) pH緩衝能力(μeq/g) 十分乾燥した供試繊維約0.4gを精秤し(Xg)、こ
れに200mlの水を加えた後、0.1N塩酸水溶液あ
るいは、0.1N苛性ソーダ水溶液を滴下し、塩酸水溶
液の場合はpH5.0になるまでに、また苛性ソーダ水
溶液の場合はpH7.0になるまでに消費された塩酸水
溶液または苛性ソーダ水溶液消費量(Ycc)を求め、
次式によって、酸またはアルカリに対する緩衝能力を算
出した。
【0024】(2) 全カルボキシル基量(meq/
g) 十分乾燥した供試繊維約1gを精秤し(Xg)、これに
200mlの1N塩酸水溶液を加え30分間放置したの
ちガラスフィルターで濾過し水を加えて水洗する。この
塩酸処理を3回繰り返したのち、濾液のpHが5以上に
なるまで十分に水洗する。次にこの試料を200mlの
水に入れ1N塩酸水溶液を添加してpH2にした後、
0.1N−苛性ソーダ水溶液で常法に従って滴定曲線を
求めた。該滴定曲線からカルボキシル基に消費された苛
性ソーダ水溶液消費量(Ycc)を求め、次式によって
カルボキシル基量を算出した。
【0025】(3)金属塩型カルボキシル基量(meq
/g) 十分乾燥した供試繊維を精秤し常法に従って濃硫酸と濃
硝酸の混合溶液で酸分解したのち、金属を常法に従って
原子吸光光度法により定量し、金属の結合したカルボキ
シル基量として算出した。
【0026】(4) H型カルボキシル基 (meq/
g) 次式によりH型カルボキシル基量を算出した。H型カル
ボキシル基量=全カルボキシル基量−金属塩型カルボキ
シル基量
【0027】(5) LOI JIS−7201の最低酸素指数の測定法に従って行な
った。
【0028】(6) 吸湿率(%) 試料繊維約5.0g.を熱風乾燥機で105℃、16時
間乾燥して重量を測定する(W1g)。次に試料を温度
20℃で相対湿度65%に調整された恒温恒湿機に24
時間入れて置く。このようにして吸湿した試料の重量を
測定する。(W2g)。以上の結果から、次のように算
出した。
【0029】(7) 抗菌性 試験菌を肺炎桿菌とし、抗菌防臭加工製品の加工評価試
験マニュアル・シェークフラスコ法(繊維製品衛生加工
協議会,昭和63年)により試験し、減菌率%で示し
た。
【0030】実施例1 AN90%及びアクリル酸メチル(以下、MAという)
10%からなるAN系重合体(30℃ジメチルホルムア
ミド中での極限粘度〔η〕:1.2)10部を48%の
ロダンソーダ水溶液90部に溶解した紡糸原液を、常法
に従って紡糸、延伸(全延伸倍率;10倍)した後、乾
球/湿球=120℃/60℃の雰囲気下で乾燥(工程収
縮率14%)して単繊維繊度1.5dの原料繊維(CR
二色性比0.58)を得た。
【0031】原料繊維10gを表1に示した条件で1L
のヒドラジン水溶液及び1LのNaOH水溶液で処理し
た後、水洗した。得られた繊維に1Lの1N塩酸水溶液
を加え、30分間放置したのちガラスフィルターで濾過
し、水を加えて水洗した。この酸処理を3回繰り返した
のち、濾液のpHが5以上になるまで水洗し、カルボキ
シル基が全量H型となった繊維を得た。次に得られた繊
維を表1に示す条件で各種金属水酸化物を加えて表1に
示すpHに調整し30分間放置した。引き続き、十分に
水洗した後乾燥し繊維No.1〜14を得た。得られた
繊維の特性値を試験し表2に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】本発明の繊維No.1〜7は、難燃性,抗
菌性,吸放湿性と共に、優れた繊維物性を有するpH緩
衝能力の高い繊維であることが判る。なお、抗菌性のこ
のレベルは、実用上十分な抗菌性を有すると認められる
ものである。これに対してヒドラジン処理による窒素増
加量の少ない比較例繊維No.8は吸湿性が高く大きな
pH緩衝性を有するものの抗菌性はなく引張強度は0.
4g/dと低く、脆い繊維でカード掛け等の加工に耐え
る物性を有するものではなかった。窒素増加量の多い比
較例繊維No.9はpH緩衝能力の低いのみならず吸湿
性等も劣るものであった。
【0035】金属塩型カルボキシル基量とH型カルボキ
シル基量の比が4.0対1.0を越えた比較例繊維N
o.10は、酸に対する緩衝性には優れるもののアルカ
リに対する緩衝性の低いものであった。また、金属塩型
カルボキシル基量とH型カルボキシル基量の比が1.0
対1.5に満たない比較例繊維No.11は、アルカリ
に対する緩衝性には優れるものの酸に対する緩衝性の低
いものであった。
【0036】カルボキシル基の金属塩型をNa,Kとし
た比較例繊維No.12〜14は酸に対する緩衝性には
優れるもののアルカリに対する緩衝性がいずれも全くな
いものであった。
【0037】実施例2 本発明の繊維No.2について、JIS−L−0217
の103に従い、洗剤として弱アルカリ性であるニュー
ビーズ(花王株式会社製)及び中性であるモノゲンユニ
(第一工業製薬株式会社製)を使用して洗濯を10回繰
り返した。得られた繊維のpH緩衝能力を測定した結
果、弱アルカリ性洗剤を使用したものは、酸に対して7
50μeq/g,アルカリに対して190μeq/gで
あり、中性洗剤を使用したものは、酸に対して630μ
eq/g,アルカリに対して310μeq/gであっ
た。いずれも洗濯耐久性が良好で、洗剤によるアルカリ
化は実用性を損なうほどには起こらなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明の出現により、実用上問題のない
繊維物性を維持しかつ、難燃性、抗菌性、吸放湿性を兼
ね備えたpH緩衝性繊維並びに該繊維を工業的有利に製
造する手段を提供し得た点が本発明の特筆すべき効果で
ある。本願発明のpH緩衝性繊維はそれ自体が弱酸性に
あり、外界からの酸,アルカリの攻撃にもpH5〜7の
範囲内に維持する能力に優れる。また具体的には、LO
I表示で24以上もの難燃性を示し、抗菌性はシェーク
フラスコ法で27%以上の減菌率であり、さらに吸湿率
は20%以上という、従来の合成繊維と較べ顕著な諸性
能を有する。さらに、不織布,編物,織物などさまざま
な形態に加工し得る1g/d以上の強度を有するため、
衣料分野をはじめpH緩衝性他の特性が求められる用途
分野に広く用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D01F 6/40 D06M 101:28

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドラジン架橋による窒素含有量の増加
    が1.0〜8.0重量%である架橋アクリル系繊維であ
    って、残存ニトリル基の1部には2.5〜4.5meq
    /gのカルボキシル基が、残部にはアミド基が導入され
    ており、該カルボキシル基には、必須成分としてのC
    a,Mg,Alから選ばれた1種又は2種以上の金属と
    Hが結合し、且つその当量比(金属対H)が1.0対
    1.5から4.0対1.0の範囲にあることを特徴とす
    るpH緩衝性繊維。
  2. 【請求項2】 アクリル系繊維にヒドラジン処理により
    架橋結合を導入して窒素含有量の増加を1.0〜8.0
    重量%の範囲内に調整し、加水分解反応により残存して
    いるニトリル基量の2.5〜4.5meq/gにカルボ
    キシル基を残部にアミド基を導入し、酸加水分解のとき
    は直ちに、アルカリ加水分解のときは酸によりカルボキ
    シル基をH型にした後、必須成分としてのCa,Mg,
    Alから選ばれた1種又は2種以上の金属水酸化物を添
    加してpH5.0〜7.0に調整し一部を金属塩型に変
    換することを特徴とするpH緩衝性繊維の製造方法。
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