JP2014005553A - 高度難燃性繊維および繊維構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、高度難燃性繊維および繊維構造物に関するものであり、燃焼時にハロゲン化水素ガスなどの有害ガスの発生がなく、焼却処理を含む廃棄時に埋め立てされても重金属化合物、リン系化合物の溶出がなく、さらに接炎時であっても有炎燃焼せず、その後の残じんもない加工性に優れた高度難燃性を有する繊維を提供する。
【解決手段】
架橋構造及び0.7mmol/g以上のカルボキシル基を有する有機高分子からなる繊維であって、かかるカルボキシル基の少なくとも一部がアルミニウム塩型であって、JIS L1091 A−4法(垂直法)で規定する燃焼性の測定において、該繊維100%不織布が有炎燃焼せず、かつ残じんがないことを特徴とする高度難燃性繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、高度難燃性繊維および繊維構造物に関するものであり、さらに詳しくは燃焼時にハロゲン化水素ガスなどの有害ガスの発生がなく、焼却処理を含む廃棄時に埋め立てされても重金属化合物、リン系化合物の溶出がなく、さらに接炎時であっても有炎燃焼せず、その後の残じんもない加工性に優れた高度難燃性繊維に関するものである。
従来、難燃性繊維を得るため多くの方法が提案されており、その方法としてはハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン等のハロゲン化単量体を共重合させた重合体を用いて繊維を形成させる方法や、リン系化合物、ハロゲン系化合物、重金属化合物などの難燃剤を繊維表面に付着固定させる後加工法などがある。しかしながら、これらの方法では高い難燃性を得るためにハロゲン系化合物、リン系化合物、重金属化合物を多量に含有させることが必要であり、燃焼時のハロゲン化水素ガスなどの有毒ガスの発生や廃棄時のリン系化合物や重金属の溶出など環境、安全面での問題があった。
上述の欠点を考慮した難燃性繊維として、特許文献1には架橋構造及びマグネシウム塩型カルボキシル基を有する難燃性繊維が開示されている。該繊維はハロゲン系化合物やリン系化合物、重金属化合物などを含んでおらず環境、安全面で優れており、かつ38〜40と極めて高いLOIを有し、有炎燃焼に対して高い難燃性をもっている。しかしながら、極少量のカルボン酸基が存在することにより著しく難燃性が損なわれるという問題があった。また、接炎後に残じん(無炎燃焼)がみられるという問題もあった。
有炎燃焼の危険性は言うまでもないが、残じんに関しても、接炎後に残じんが継続している間は火炎は目視できないものの、周辺可燃物への延焼や発煙による中毒などを誘発する危険性がある。しかしながら、上述のように、従来の難燃性繊維のほとんどは有炎燃焼に対しては高い難燃性を持つものの、それらの残じんに対する難燃性に関しては特に重要視されていないのが現状である。
それに対して、特許文献2では残じん(無炎燃焼)に対する難燃性を向上した難燃性繊維として錫化合物、五酸化アンチモン、ケイ酸化合物を配合したポリビニルアルコールとポリ塩化ビニルの複合繊維が開示されている。しかしながら、該繊維はハロゲン系化合物や重金属化合物を成分として有している点から燃焼時の有毒ガス発生や廃棄時の重金属溶出などの問題があり、また、接炎後の無炎燃焼時間がゼロ、即ち、残じんがないというものではなかった。
再公表2006−027911号公報 特開2008−101293号公報
本発明は、上述従来技術の問題点を解消し、有炎燃焼だけでなく残じんもないという高度な難燃性を有する繊維を提供する。
本発明の上述目的は、以下の手段により達成される。すなわち、
[1]架橋構造及び0.7mmol/g以上のカルボキシル基を有する有機高分子からなる繊維であって、かかるカルボキシル基の少なくとも一部がアルミニウム塩型であって、JIS L1091 A−4法(垂直法)で規定する燃焼性の測定において、該繊維100%不織布が有炎燃焼せず、かつ残じんがないことを特徴とする高度難燃性繊維。
[2]0.2mmol/g以上のアルミニウム塩型カルボキシル基を有することを特徴とする[1]に記載の高度難燃性繊維。
[3]アルミニウム塩型カルボキシル基の全カルボキシル基に対する割合が30mol%以下であり、かつアルミニウム塩型以外の塩型カルボキシル基より多いことを特徴とする[1]または[2]に記載の高度難燃性繊維。
[4]全カルボキシル基のうち、アルミニウム塩型以外の塩型カルボキシル基が0.1mmol/g以下であることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の高度難燃性繊維。
[5][1]から[4]のいずれかに記載の高度難燃性繊維を少なくとも一部に使用した繊維構造物。
本発明の高度難燃性繊維は、有炎燃焼に対する難燃性だけでなく、一般の有機系繊維にはみられない残じん(無炎燃焼)がないという特徴を有している。また、本発明の繊維構造物は、本発明の繊維単独で使用する場合、これまでにない高い難燃性を有する材料を提供することができるだけでなく、他の繊維と混合して使用する場合においても少量の添加で高い難燃性を発現し、有炎燃焼だけでなく残じんも抑えることができる。さらに、本発明の繊維および繊維構造物は、安全性が高く、コスト的にも有利で、廃棄においても環境にやさしい。
以下に本発明を詳細に説明する。まず本発明の高度難燃性繊維は、架橋構造及び0.7mmol/g以上のカルボキシル基を有する有機高分子からなる繊維であって、かかるカルボキシル基の少なくとも一部がアルミニウム塩型である必要がある。
ここで、少なくとも一部はアルミニウム塩型であるカルボキシル基の全量としては、0.7mmol/g以上であることが必要である。また、全カルボキシル基量が多すぎると繊維物性の低下が見られることから、9.0mmol/g以下であることが好ましい。
また、本繊維が有するアルミニウム塩型カルボキシル基量としては0.2mmol/g以上であることが好ましい。0.2mmol/g未満の含有量の場合、有炎燃焼もしくは残じんが見られ、本発明の目的を満足しない場合がある。
本発明の繊維の有するアルミニウム型カルボキシル基としては、全カルボキシル基に対して30mol%以下であることが好ましい。本発明の高度難燃性繊維は、かかる30mol%以下というわずかな量でも極めて高い難燃性を保持することができるため、アルミニウム使用量の低減化が可能であり、安全性やコストの面で特に有用である。なお、アルミニウムの含有量が少なすぎると難燃性は低下する傾向にあるが、重量比にして、繊維重量あたり0.2%と極めて少量のアルミニウム含有量であっても本発明の目的である高度難燃性は発現される。ただし、他の塩型のカルボキシル基がアルミニウム塩型のものより多く存在すると難燃性が低下する場合があるため、本発明の繊維が有するアルミニウム塩型以外の他の塩型のカルボキシル基はアルミニウム塩型カルボキシル基量より少ないことが望ましい。
本発明の繊維が有するアルミニウム塩型以外の塩型カルボキシル基の量としては、特にナトリウム、カリウム、リチウム等の1価の軽金属塩型カルボキシル基が存在する場合、難燃性の低下が見られるため0.1mmol/g以下であることが望ましい。
また、塩の形ではない、無水エステル基、エステル基、アミド基、ニトリル基等が残存した場合、難燃性の低下が見られる場合があるため、完全に反応を完結させる等の方法により実質的に認められない程度の官能基量とすることが望ましい。具体的には、1.0mmol/g未満であることが好ましく、0.1mmol/g未満であることがより好ましい。
本発明に必須な官能基であるアルミニウム塩型カルボキシル基を確実に導入するための方法としては、後述の方法で得られた1価軽金属塩型カルボキシル基を含有する繊維を硫酸アルミニウム水溶液などのアルミニウムイオンを含有する酸性水溶液に浸漬することにより、アルミニウム塩型カルボキシル基を導入する方法を挙げることができる。
あるいは、後述の方法で得られた繊維が有する塩型カルボキシル基が1価軽金属塩型の場合でなくとも、該繊維を硝酸などの酸水溶液に浸漬し、繊維が有するカルボキシル基全てをカルボン酸基に変換する。次いで得られた繊維を水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液等の1価軽金属イオンを含有するアルカリ性水溶液に浸漬して、カルボン酸基を1価軽金属塩型に変換する。このとき、完全に1価軽金属塩型に交換できるようにpHをできるだけ高く設定するほうがよく、好ましくはpH10以上、より好ましくはpH12以上に設定することにより、高度に変換された1価軽金属塩型のカルボキシル基を有する繊維を得ることができる。続いて、硫酸アルミニウム水溶液などのアルミニウムイオンを含有する酸性水溶液に浸漬することにより、アルミニウム塩型カルボキシル基を導入することができる。
ここで、塩型カルボキシル基とは例えばLi,Na,K等の1価軽金属はもちろん、Rb,Cs等のその他のアルカリ金属、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、Cu、Zn、Mn、Ag、Fe、Co、Ni等のその他の金属、NH、アミン等の陽イオンのうち1種もしくは複数種をカウンターカチオンとして有するカルボキシル基である。
塩型カルボキシル基を含有する繊維を得る方法としては、特に限定は無く、例えば、塩型カルボキシル基を有する重合体を繊維化する方法(第1法)、カルボキシル基を有する重合体を繊維化した後に該カルボキシル基を塩型に変える方法(第2法)、カルボキシル基に誘導することが可能である官能基を有した重合体を繊維化し、得られた繊維の該官能基を化学変性によりカルボキシル基に変換し、塩型に変える方法(第3法)、あるいは繊維にグラフト重合により塩型カルボキシル基を導入する方法が挙げられる。
上述第1法の塩型カルボキシル基を有する重合体を得る方法としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルプロピオン酸等のカルボキシル基を含有する単量体の対応する塩型単量体を単独で、又はこれらの単量体の2種以上の混合物を重合する、さらにこれらの単量体と共重合可能な他の単量体とを共重合する方法、カルボキシル基を含有する単量体を重合した後、塩型に変換する等の方法が挙げられる。
また、第2法に言うカルボキシル基を有する重合体を繊維化した後に塩型に変える方法とは、例えば、先に述べたようなカルボキシル基を含有する酸型単量体の単独重合体、あるいは該単量体の2種以上からなる共重合体、または、共重合可能な他の単量体との共重合体を繊維化した後、塩型に変える方法である。カルボキシル基を塩型に変換する方法としては特に限定はなく、得られた前記カルボン酸基を有する繊維に上述の陽イオンを含む溶液を作用させる等の方法により変換することができる。
第3法の化学変性法によりカルボキシル基を導入する方法としては、例えば化学変性処理によりカルボキシル基に変性可能な官能基を有する単量体の単独重合体、あるいは2種以上からなる共重合体、または、共重合可能な他の単量体との共重合体を繊維化し得られた繊維を加水分解によって塩型カルボキシル基に化学変性する方法がある。
第3の方法をとることのできる、化学変性処理によりカルボキシル基に変性可能な官能基を有する単量体としては特に限定はなく、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基を有する単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルプロピオン酸等のカルボン酸基を有する単量体の無水物やエステル誘導体、アミド誘導体、架橋性を有するエステル誘導体等を挙げることができる。
具体的にカルボン酸基を有する単量体の無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、N−フェニルマレイミド、N−シクロマレイミド等を挙げることができる。
また、カルボン酸基を有する単量体のエステル誘導体としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ラウリル、ペンタデシル、セチル、ステアリル、ベヘニル、2−エチルヘキシル、イソデシル、イソアミル等のアルキルエステル誘導体;メトキシエチレングリコール、エトキシエチレングリコール、メトキ(ポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、メトキシプロピレングリコール、プロピレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、メトキシポリテトラエチレングリコール、ポリテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリテトラエチレングリコール、ポリプロピレングリコール−ポリテトラエチレングリコール、ブトキシエチル等のアルキルエーテルエステル誘導体;シクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、ベンジル、フェノキシエチル、フェノキシポリエチレングリコール、イソボルニル、ネオペンチルグリコールベンゾエート等の環状化合物エステル誘導体;ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシフェノキシプロピル、ヒドロキシプロピルフタロイルエチル、クロロ−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキルエステル誘導体;ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、トリメチルアミノエチル等のアミノアルキルエステル誘導体;(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボン酸アルキルエステル誘導体;(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸基またはリン酸エステル基を含むアルキルエステル誘導体;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の架橋性アルキルエステル類;トリフルオロエチル、テトラフルオロプロピル、ヘキサフルオロブチル、パーフルオロクチルエチル等のフッ化アルキルエステル誘導体を挙げることができる。
カルボン酸基を有する単量体のアミド誘導体としては、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、モノエチル(メタ)アクリルアミド、ノルマル−t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド化合物等が例示できる。化学変性によりカルボキシル基を導入する他の方法として、アルケン、ハロゲン化アルキル、アルコール、アルデヒド等の酸化等も挙げることができる。化学変性によりカルボキシル基を導入する他の方法として、アルケン、ハロゲン化アルキル、アルコール、アルデヒドの酸化等も挙げることができる。
この第3法において、塩型カルボキシル基を導入するための加水分解の方法についても特に限定はなく、通常の方法を適応することができる。例えば、上述単量体を重合し、得られた重合体を繊維化した後アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、あるいはアルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物やアンモニア等の塩基性化合物の水溶液を用い加水分解し、塩型カルボキシル基を導入する方法、或いは硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸または、蟻酸、酢酸等の有機酸と反応させカルボン酸基とした後、上述の塩を形成する化合物と混合させ、イオン交換することにより塩型カルボキシル基を導入する方法等が挙げられる。加水分解処理の条件は特に限定されないが、加水分解を行なうための塩基または酸性化合物1〜40重量%さらに好ましくは1〜20重量%の水溶液中、温度50〜120℃で1〜30時間以内で処理する手段が工業的、繊維物性的に好ましい。
かくして得られた繊維が有する塩型カルボキシル基を、上述の方法でアルミニウム塩型カルボキシル基に変換するが、硫酸アルミニウム水溶液などのアルミニウムイオンを含有する酸性水溶液中ではアルミニウム塩型カルボキシル基に変換されるのは1価軽金属塩型カルボキシル基の一部であって、残りのカルボキシル基はカルボン酸基に変換される。この際の処理条件は特に限定されないが、繊維に含有される塩型カルボキシル基ができるだけアルミニウム塩型カルボキシル基とカルボン酸基のみに変換されるように処理液の濃度、処理温度および処理時間を設定するのが望ましい。具体的数値としては1〜40重量%の硫酸アルミニウム水溶液などのアルミニウムイオンを含有する酸性水溶液中、温度50〜120℃で2〜30時間以内で処理するのが工業的、繊維物性的にも好ましい。
また、アルミニウム塩型カルボキシル基への変換時に生成されるカルボン酸基の存在量は本発明の目的である高度難燃性を発現する限りにおいて特に限定されない。
上述のようにアルミニウム塩型カルボキシル基への変換処理では本繊維にはアルミニウム塩型カルボキシル基だけでなくカルボン酸基も導入されるため、本繊維は難燃性だけでなくアンモニア等の塩基性ガス吸収能も兼ね備えることができる。かかる機能は、衣類、寝具、インテリア等の消臭性が求められる分野への用途展開に対して有効な機能である。なお、十分な塩基性ガス吸収能を得るためには、繊維が有するカルボキシル基の全量を2.0mmol/g以上とすることが好ましい。
本発明の高度難燃性繊維は、アルミニウム塩型カルボキシル基に加え、架橋構造を有することが必要である。本発明における架橋構造とは、難燃性の発現のための化学変換の際に物理的、化学的に変性をうけない限りにおいては特に限定はなく、共有結合による架橋、イオン架橋、ポリマー分子間相互作用または結晶構造による架橋等いずれの構造のものでもよい。また、架橋を導入する方法においても、特に限定はなく、繊維形状形成後あるいは形成中の化学的な後架橋、さらには繊維形状形成後の物理的なエネルギーによる後架橋構造の導入など一般に用いられる方法によることができる。中でも特に、繊維形状形成後、化学的に後架橋を導入する方法では、共有結合による強固な架橋を、効率よく、高度に導入することが可能であり、好ましい結果を与える。
繊維形状形成中に化学的に後架橋を導入する方法としては、繊維を形成する重合体と該重合体の官能基と化学結合する官能基を分子中に2個以上有する架橋剤とを混合して紡出し、熱等により架橋せしめる方法が例示される。本方法では、カルボキシル基および/または塩型カルボキシル基を有する重合体と該官能基あるいは該重合体が有する他の官能基を利用して架橋構造を形成せしめることにより、塩型カルボキシル基及び架橋構造を有する繊維を得ることができる。一方、後述の1分子中に2個以上の窒素原子を有する窒素含有化合物による架橋構造の導入方法を用いた場合には、架橋に関与しなかったニトリル基を上述の方法により処理することで、塩型カルボキシル基及び架橋構造を有する繊維を得ることができる。
繊維形状形成後、化学的に後架橋を導入する方法については条件等の限定は特になく、例えば、ニトリル基を有するビニルモノマーの含有量が50重量%以上よりなるアクリロニトリル系繊維の含有するニトリル基と、1分子中に2個以上の窒素原子を有する窒素含有化合物またはホルムアルデヒドを反応させる後架橋法を挙げることができる。なかでも1分子中に2個以上の窒素原子を有する窒素含有化合物による方法は酸、アルカリに対しても安定で、しかも架橋構造自体が難燃性向上に寄与できる構造と考えられること、また加工等に要求される繊維物性を発現することができる強い架橋を導入できるといった点で極めて優れている。
ここでいうニトリル基を有するビニルモノマーとしては、ニトリル基を有する限りにおいては特に限定はなく、具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。なかでも、コスト的に有利であり、また、単位重量あたりのニトリル基量が多いアクリロニトリルが最も好ましい。
1分子中に2個以上の窒素原子を有する窒素含有化合物との反応により架橋を導入する方法としては、目的とする架橋構造が得られる限りにおいては特に制限はなく、反応時のアクリロニトリル系重合体と1分子中に2個以上の窒素原子を有する窒素含有化合物の濃度、使用する溶媒、反応時間、反応温度など必要に応じて適宜選定することができる。このうち反応温度については、あまり低温である場合は反応速度が遅くなり反応時間が長くなりすぎること、また、あまり高温である場合は原料アクリロニトリル系繊維の可塑化が起り、形状が破壊されるという問題が生じる場合がある。従って、好ましい反応温度としては、50〜150℃、さらに好ましくは80℃〜120℃である。
また、1分子中に2個以上の窒素原子を有する窒素含有化合物と反応させるアクリロニトリル系繊維の部分についても特に限定はなく、該繊維の表面のみに反応させる、または、全体にわたり芯部まで反応させる、特定の部分を限定して反応させる等適宜選択できる。なお、ここに使用する1分子中に2個以上の窒素原子を有する窒素含有化合物としては、2個以上の1級アミノ基を有するアミノ化合物やヒドラジン系化合物が好ましい。2個以上の1級アミノ基を有するアミノ化合物としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミン系化合物、ジエチレントリアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)などのトリアミン系化合物、トリエチレンテトラミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブチレンジアミンなどのテトラミン系化合物、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどで2個以上の1級アミノ基を有するポリアミン系化合物などが例示される。また、ヒドラジン系化合物としては、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、臭素酸ヒドラジン、ヒドラジンカーボネ−トなどが例示される。なお、1分子中の窒素原子の数の上限は特に限定されないが、12個以下であることが好ましく、されに好ましくは6個以下であり、特に好ましくは4個以下である。1分子中の窒素原子の数が上記上限を超えると架橋剤分子が大きくなり、繊維内に架橋を導入しにくくなる場合がある。
なお、1分子中に2個以上の窒素原子を有する窒素含有化合物によって架橋構造を導入する場合、その架橋反応前後の処理については上述のアルミニウム型カルボキシル基の導入のための化学変性を除いて特に限定されない。またその原綿であるアクリロニトリル系繊維としては酸化チタン、カーボンブラック等を練りこんだもの、あるいは染料によって染色されたもの等を使用することができる。
本発明の高度難燃性繊維は、接炎時に有炎燃焼および残じんがないことを満たす必要がある。具体的には、JIS L1091 A−4法(垂直法)で規定する燃焼性の測定において、該繊維100%不織布が有炎燃焼せず、かつ残じんがないこと(有炎燃焼時間0秒および残じん時間0秒)を満たす必要がある。
また、本発明の高度難燃性繊維の限界酸素指数(LOI)は28以上であることが好ましく、35以上であることがより好ましい。このLOIは、燃焼を持続するために必要とされる酸素の量を体積分率で指数化したものであり、難燃性の度合いを示す指数である。従って、値が大きいものほど高い難燃性を意味し、またこの値が27以上の場合、熱源がなくなれば、自ら消える自己消火性が発現される。
また、接炎時の発煙性については、その濃度が低いもののほうが好ましく、具体的には発煙性煙濃度の光透過率(Ds)としては、30より低いことが好ましく、10以下であることがより好ましい。また、燃焼により発生する青酸ガス、NOx等の有害ガスもできるだけ少ないものが好ましく、具体的には10ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがより好ましい。
燃焼による形態保持性についても、燃焼あるいは燃焼の熱により溶融が起こらない、また接炎後にも元の形態を保持できるものが好ましい。例えば、本発明の繊維よりなる構造物に火のついたたばこを置いた場合でも、収縮等の形態の変化が起らないものが好ましい。
本発明の高度難燃性繊維の繊維物性については、実用的に本目的を満足するものであれば特に限定はないが、繊維構造物とするための加工等に耐えうる物性を有していることが望ましい。具体的には、引張強度としては、0.05cN/dtex以上、引張伸度5%以上、結節強度0.01cN/dtex以上であることが好ましい。
本発明の繊維構造物としては、糸、ヤーン(ラップヤーンも含む)、フィラメント、織物、編物、不織布、紙状物、シート状物、積層体、綿状体(球状や塊状のものを含む)等の形態があり、さらにはそれらに外被を設けたものもある。該構造物内における本発明の高度難燃性繊維の含有形態としては、他素材との混合により、実質的に均一に分布したもの、複数の層を有する構造の場合には、いずれかの層(単数でも複数でも良い)に集中して存在せしめたものや、夫々の層に特定比率で分布せしめたもの等がある。従って本発明の繊維構造物は、上述に例示した形態及び含有形態の組合せとして、無数のものが存在する。いかなる構造物とするかは、本発明の繊維が実際に使用される用途に求められる最終製品の使用態様に応じて、本発明繊維の寄与の仕方等を勘案して適宜決定される。
さらに構造物を細かく見れば、本発明の高度難燃性繊維単独で又は他の素材とほぼ均一に混合した状態のものだけでなるもの、これに他の素材を貼付、接着、融着、挟み付け等で積層あるいはラミネートなど行い、2〜5の複数層の積層状でなるものがある。また積層状ではあるが、積極的な接合は行わず支持体で積層状を維持するものもある。
本発明の繊維構造物を利用した最終製品の用途としては、大別すると人が着用して利用するもの、布団や枕、クッションの様な寝具類、カーテン、カーペットに代表されるインテリア等、あるいは自動車用、車両、航空機、電気機器、電機・電子部品用、建築資材、農業資材、構造材、等の産業資材分野が挙げられる。また特に、本発明の繊維は有炎燃焼だけでなく、残じんもないという従来の有機繊維にはない特徴を有しているため、極めて高い難燃性および安全性が求められる分野、例えば防火服や防炎物品、さらには宇宙開発分野にも利用されうる。
本発明の繊維構造物は本発明の高度難燃性繊維を含んでなる必要があるが、該繊維の含有量については特に限定はなく、用途に応じて必要とされる機能を勘案し選定することができる。ただ、実用的には本発明の高度難燃性繊維の含有量が低くなりすぎた場合、目的とする機能を発現することが難しくなる場合があり、具体的には5%以上の含有量であることが好ましく、実用的には10%以上がより好ましい。なお、本発明の高度難燃性繊維の含有量が100%である場合、難燃性の特性については最も性能の高いものになることは言うまでもない。また、本発明の繊維よりなる構造物の難燃性については、使用される用途に応じた難燃性を発現できる限りにおいては特に限定は無いが、好ましくは自己消火性を有していること、具体的にはLOIが28以上であることが好ましい。
ここで本発明の高度難燃性繊維に混合できる、他の素材としては特に限定はなく適宜選定することができる。例えば天然繊維、合成繊維、半合成繊維、パルプ、無機繊維、ラバー、ゴム、樹脂、プラスチック、フィルム等を挙げることができる。また、混合できる素材の難燃性についても特に限定はないが、より高い難燃性を得ようとするためには、難燃性の素材、例えば難燃繊維、難燃樹脂、難燃プラスチック、難燃ゴム、無機繊維等と混合することが好ましい。これらの素材の難燃性を付与する方法については特に限定はなく、例えば、有機系として、リン酸エステル系、含ハロゲンリン酸エステル系、縮合リン酸エステル系、ポリリン酸系、赤リン系、塩素系、臭素系、グアニジン系、メラミン系等の化合物を、また無機系としては三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム等を挙げることができる。ただし、安全上、環境への影響の点から、グアニジン系およびメラミン系化合物、あるいは水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の有害化合物でないものが好ましい。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び百分率は、断りのない限り重量基準で示す。まず、各特性の評価方法および評価結果の表記方法について説明する。
全カルボキシル基量〔mmol/g〕:
十分乾燥した供試繊維約1gを精秤し(X〔g〕)、これに200mLの1規定塩酸を加え30分間放置したのちガラスフィルターで濾過し水を加えて水洗する。この塩酸処理を3回繰り返したのち、濾液がpH5以上になるまで十分に水洗する。次にこの試料を200mlの水に入れ1規定塩酸を添加してpH2にした後、0.1規定水酸化ナトリウム水溶液で常法に従って滴定曲線を求めた。該滴定曲線からカルボキシル基に消費された苛水酸化ナトリウム水溶液消費量(Y〔cm〕)を求め、次式によって全カルボキシル基量を算出した。
全カルボキシル基量〔mmol/g〕 =0.1Y/X
各金属含有量〔%〕、
各金属塩型カルボキシル基量〔mmol/g〕、
アルミニウム塩型カルボキシル基割合〔mol%〕:
十分乾燥した供試繊維を精秤し、常法に従って濃硫酸と濃硝酸の混合溶液で酸分解したのち、カルボキシル基の塩の形で含有するアルミニウムを常法に従って原子吸光光度法により定量し、原子量で除することによりアルミニウム塩型カルボキシル基量として算出した。得られた「アルミニウム塩型カルボキシル基量」を、前記「全カルボキシル基量」で除し、モル分率で表すことによりアルミニウム塩型カルボキシル基割合を求めた。
上述と同様な方法で、ナトリウムおよびマグネシウムを原子吸光光度法により定量し、繊維重量あたりの各金属含有量、各金属塩型カルボキシル基量を求めた。
燃焼試験:JIS L1091 A−4法(垂直法)で規定する方法に準じて行い、残炎時間(有炎燃焼時間)および残じん時間を計測した。
限界酸素指数(LOI):JIS K7201−2測定法に準拠して行なった。この値が大きいものほど難燃性が高いことを意味する。
発煙性:ASTM E−662に準拠して、発煙性煙濃度を光透過率(Ds)として測定し、定量化した。この値が小さなものほど、発煙性が低いことを意味する。
繊維の引張強度〔cN/dtex〕、
繊維の引張伸度〔%〕、
繊維の結節強度〔cN/dtex〕:
以上の繊維物性に関しては、JIS L1015に準拠して評価を行なった。
塩基性ガス吸収能:アンモニアガス除去率〔%〕
被測定繊維2gをテドラーバッグに入れ密封し、濃度500ppmのアンモニアガス3Lを注入し、室温で120分放置後にテドラーバッグ内のアンモニア濃度(W1〔ppm〕)を北川式検知管により測定した。また、試料を入れないテドラーバッグにも同様に500ppmのアンモニアガス3Lを注入し、120分後に同様にアンモニア濃度(W2〔ppm〕)を測定し空試験とした。以上の結果から、次式に従って、アンモニアガス除去率を算出した。
アンモニアガス除去率〔%〕={(W2−W1)/W2}×100
[実施例1]
アクリロニトリル90%及びアクリル酸メチル10%のアクリロニトリル系重合体を48%のロダンソーダ水溶液で溶解した紡糸原液を作成し、常法に従って紡糸、水洗、延伸、捲縮、熱処理をして、0.9dtex、57mmの原料繊維を得た。この原料繊維1kgに15%の水加ヒドラジン水溶液10kgを加え、100℃で3時間架橋処理した。該架橋繊維を水洗後、更に5%の水酸化ナトリウム水溶液10kgを加え、95℃で1時間加水分解した。次いで、1規定硝酸で処理して、カルボキシル基をカルボン酸基に変換し、水洗後、1規定水酸化ナトリウム水溶液でpH12に調整、水洗し、ナトリウム塩型カルボキシル基を有する繊維を得た。この後さらに27%硫酸アルミニウム水溶液10kgを添加し、60℃で3時間アルミニウム塩型への変換処理を行ない、十分水洗した後、脱水、油剤処理及び乾燥を行い本発明の高度難燃性繊維を得た。
実施例1で得られた繊維を赤外分光法(IR法)により分析したところ、上述した難燃性が低下する因子となりうるエステルやアミド、ニトリル基等の官能基は確認されなかった。
得られた繊維のみで200g/mの目付けの不織布(厚さ5mm)を作成し、それを用いて上述の燃焼試験とLOIの測定を行った。また、該繊維の全カルボキシル基量、各金属含有量、各金属塩型カルボキシル基量および塩基性ガス吸収能(アンモニアガス除去率)についてもそれぞれ上述した測定法に従って測定した。これらの結果は表1にまとめた。
その他の性能の評価として、上記の不織布について溶融・穴あき性についても評価を行なったところ、ミクロバーナーの火を10秒間接炎した際や火のついたタバコを上に置き2時間放置した際には、どちらの場合も収縮、溶融や穴あき現象は認められず優れた難燃性、防炎性を有していた。さらに該不織布の発煙性試験では発煙性の値(Ds)は8であり、極めて発煙し難いものであった。加えて、その際の生成ガスも青酸ガス、NO、SO等の有毒ガスは検知されないレベル(2ppm以下)であった。
また、繊維物性について評価したところ、引張強度1.2cN/dtex、引張伸度52%、結節強度1.0cN/dtexであり、繊維の加工において十分な繊維物性を有していた。
[実施例2]
加水分解までは実施例1と同様な方法により、ナトリウム塩型カルボキシル基を有した架橋繊維を得た。次に該加水分解処理後、繊維を水洗し、これに27%硫酸アルミニウム水溶液10kgを添加して、60℃で4時間アルミニウム塩型カルボキシル基への変換処理を行なった。十分水洗した後、脱水、油剤処理及び乾燥を行い本発明の高度難燃性繊維を得、かかる繊維のみで200g/mの目付けの不織布(厚さ5mm)を作成した。得られた繊維、不織布の難燃性等の評価結果を表1に併記した。
[実施例3]
アルミニウム塩型カルボキシル基への変換処理において、処理時間を3時間から2時間に短縮する以外は実施例1と同様な方法により本発明の高度難燃性繊維を得、かかる繊維のみで200g/mの目付けの不織布(厚さ5mm)を作成した。得られた繊維、不織布の難燃性等の評価結果を表1に併記した。
[比較例1]
アルミニウム塩型カルボキシル基への変換処理において、処理時間を3時間から1時間に短縮する以外は実施例1と同様な方法により繊維を得、かかる繊維のみで200g/mの目付けの不織布(厚さ5mm)を作成した。得られた繊維、不織布の難燃性等の評価結果を表1に併記した。
[比較例2]
実施例1の操作において、1規定水酸化ナトリウム水溶液でのpH調整以降の操作を省略することでカルボン酸基のみを有する繊維を得、かかる繊維のみで200g/mの目付けの不織布(厚さ5mm)を作成した。得られた繊維、不織布の難燃性等の評価結果を表1に併記した。
[比較例3]
実施例1と同様の方法により得た0.9dtex、57mmのアクリロニトリル系原料繊維1kgに15重量%の水加ヒドラジン10kgを加え、98℃で3時間架橋処理した。該架橋繊維を水洗後、更に3重量%の水酸化ナトリウム9kgを加え、92℃で5時間加水分解した。次いで、1規定硝酸で処理して、カルボキシル基をカルボン酸基に変換し、水洗後、1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを12に調整、水洗し、ナトリウム塩型カルボキシル基を有する繊維を得た。この後さらに10%硝酸マグネシウム水溶液8kgを添加し、60℃で2時間マグネシウム塩型への変換処理を行ない、十分水洗した後、脱水、油剤処理及び乾燥を行い、マグネシウム塩型カルボキシル基を有する繊維を得、かかる繊維のみで200g/mの目付けの不織布(厚さ5mm)を作成した。得られた繊維、不織布の難燃性等の評価結果を表1に併記した。
Figure 2014005553
表1から明らかなように、本願発明の実施例1〜3の繊維及び不織布は、有炎燃焼もなく、残じんもないという極めて優れた難燃性を有しており、アンモニアの消臭能力にも優れたものであった。これに対し、十分な量のアルミニウム型カルボキシル基が導入できておらずナトリウム塩型カルボキシル基と混在している比較例1の繊維や、特許文献1と同様にマグネシウム塩型カルボキシル基を有する比較例3の繊維は、有炎燃焼はないものの、残じんが観察された。また、カルボン酸基のみの比較例2は有炎燃焼時間も残じん時間も30秒以上と難燃性繊維とは言えない繊維であった。

Claims (5)

  1. 架橋構造及び0.7mmol/g以上のカルボキシル基を有する有機高分子からなる繊維であって、かかるカルボキシル基の少なくとも一部がアルミニウム塩型であって、かつJIS L1091 A−4法(垂直法)で規定する燃焼性の測定において、該繊維100%不織布が有炎燃焼せず、かつ残じんがないことを特徴とする高度難燃性繊維。
  2. 0.2mmol/g以上のアルミニウム塩型カルボキシル基を有することを特徴とする請求項1に記載の高度難燃性繊維。
  3. アルミニウム塩型カルボキシル基の全カルボキシル基に対する割合が30mol%以下であり、かつアルミニウム型以外の塩型カルボキシル基より多いことを特徴とする請求項1または2に記載の高度難燃性繊維。
  4. 全カルボキシル基のうち、アルミニウム塩型以外の塩型カルボキシル基が0.1mmol/g以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の高度難燃性繊維。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の高度難燃性繊維を少なくとも一部に使用した難燃性繊維構造物。
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