JPH07216543A - 薄膜の形成方法 - Google Patents

薄膜の形成方法

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JPH07216543A
JPH07216543A JP713494A JP713494A JPH07216543A JP H07216543 A JPH07216543 A JP H07216543A JP 713494 A JP713494 A JP 713494A JP 713494 A JP713494 A JP 713494A JP H07216543 A JPH07216543 A JP H07216543A
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thin film
target
voltage
substrate
forming
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Takuji Oyama
卓司 尾山
Junichi Shimizu
潤一 清水
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ターゲットに印加される電圧が間欠的な直流電
圧であり、電圧印加時間が0.1〜1000ミリ秒の範
囲にあり、かつ、電圧休止時間が1〜1000ミリ秒の
範囲である反応性スパッタによる薄膜の形成方法。 【効果】反応性スパッタによる化合物薄膜の成膜速度
を、従来の方法に比べて数倍から十倍程度大きくするこ
とができ、かつ、得られた膜の光学的性質も従来の方法
で得られたものに比べて同等以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物および/または
窒化物などの薄膜を反応性スパッタリングにより高速で
成膜する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スパッタリングは成膜の手法として、
(1)プロセスの安定性が高い、(2)大面積基板への
成膜が容易である、(3)膜厚の均一性が良い、(4)
混合物の成膜が容易である、等の利点があり、液晶表示
パネルの透明導電膜や金属電極、あるいはビルや自動車
の窓ガラスに見られる熱線反射膜等の形成に使用されて
いる。なかでも、導電性ターゲットと直流放電を用いる
DCスパッタリングはカソードの大型化が容易であるた
め、大面積基板への適用性に優れており、特に大面積の
ガラスへのコーティングが要求される建築用や自動車用
の成膜装置として多用されている。
【0003】また、放電ガス中に酸素や窒素を添加して
反応性スパッタリングとすることにより、基板上に酸化
物や窒化物、あるいはその混合物といった薄膜を形成さ
せることができるため、同一のターゲットから多種類の
薄膜を形成することができるという特長もあり、ターゲ
ットを変えずに多品種の単層、または多層の製品を生産
することができる。
【0004】しかし、反応性DCスパッタリングによる
化合物薄膜は一般的にその成膜速度が金属膜の場合に比
べ桁違いに遅くなることが知られている。このため、ス
パッタリングによる製品はその酸化物や窒化物の膜厚が
比較的薄いものに限られていたのが実状である。
【0005】例えば建築用の熱線反射ガラスでいえば、
酸化物と窒化物が積層されて所望の光学および熱的特性
を発現させているが、その総膜厚は一般的には1000
Å以下であり、ごくまれに特殊なケースとして1500
〜2000Åのものが見られるにすぎない。
【0006】一方、光学薄膜としての代表的な用途の一
つである反射防止膜を考えると、要求される反射防止性
能のレベルにもよるが、例えば視感反射率で0.3%以
下が必要な場合、通常は低、高の屈折率を持った最低2
種類の材料を3000Å程度の膜厚に形成する必要があ
る。これをスパッタリングで実現するためには大まかに
いって次の3つの点を克服する必要がある。 (1)低屈折率材料であるSiO2 をDCで高速スパッ
タできること。 (2)高屈折率材料であるTiO2 (または代替材料)
を高速でスパッタできること。 (3)長時間にわたるプロセスの安定性を確保するこ
と。
【0007】ここで(1)の課題に対しては、ごく最近
になっていくつかの手法により達成できる見通しとなっ
た。例えば、米国 Airco Coating Technology 社のC−
Magや、独 Leybold 社のTwin−Mag、あるい
は米国 Advanced Energy 社のSPARC−LEという
電源を用いる方法などである。これらはいずれもターゲ
ット表面上に形成される酸化物皮膜のチャージアップに
よる異常放電(アーキング)を抑制するため、この酸化
物皮膜を周期的にスパッタして取り除く(C−Mag)
か、周期的に正の電位をターゲットに印加して酸化物皮
膜のチャージを取り除く(Twin−Mag,SPAR
C−LE)ものである。
【0008】また、特開平5−331634号公報、特
願平5−205704号に見られるような、ON/OF
F時間をプロセスに合わせて最適化した電源を用いるこ
ともできる。これらの手法により、SiO2 を高速にし
かもある程度安定に成膜することが可能になった。
【0009】(2)の課題は、やはりごく最近になって
達成される見通しとなった。それは、米国 Optical Coa
ting Labolatory Inc.社のMMRS(Metal Mode React
iveSputtering)という方法によってである。これは、
高速で回転するホルダーに基板をセットし、真空チャン
バー内で分離されたスパッタゾーンと反応ゾーンを繰り
返し通過させる。このとき、スパッタゾーンではチタン
のターゲットがアルゴンでスパッタされ、次いで反応ゾ
ーンを通過するときに酸素プラズマで酸化されTiO2
膜となる。基板1回転あたりの成膜量は高々5Å程度に
すぎないが、毎分100回転程度の高速回転をさせれば
かなりの高速成膜が可能となる。
【0010】(3)の課題に関しては、スパッタリング
は元来安定性の高いプロセスであり、カソード周辺の絶
縁化によるプラズマ状態の変動を抑えることができれ
ば、生産に必要なレベルの安定性を確保できる見込みが
ある。
【0011】このように、近年になって光学薄膜に使用
される低・高の屈折率材料の、スパッタリングによる高
速成膜の可能性が急速に現実のものとなりつつある。特
に、MMRSはスパッタゾーンでは金属膜を成膜してお
り、この安定性が十分見込めること、また、ターゲット
として導電性のSiを用いればSiO2 をも高速成膜で
きること、など光学薄膜の形成には有利な点が多い。こ
れに対して、上記で述べた他の方法ではTiO2 (また
は代替材料)の高速化が未達成なのが現状である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、MMRSでは
その原理から要求される設備の幾何学的形状の制約か
ら、大型基板への適用には大きな制限が加わる。特に、
建築用や自動車用のスパッタ装置で一般化しており、製
造コストの点で最も有利と考えられるインライン型の形
式をとることが困難であるという欠点を持つ。このた
め、現時点においても、スパッタリングによる光学薄膜
の用途としては比較的小さいバルブやプロジェクション
用のランプハウス、メガネレンズなどに限定されている
のが実状である。
【0013】本発明の目的は、建築用や自動車用などの
大面積基板に適用可能な、酸化物および/または窒化物
の高速スパッタリングの方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解
決するべくなされたものであり、ターゲットに負の電圧
を印加して放電させ、雰囲気ガス中の反応性ガスと反応
させて反応性直流スパッタリングにより基板上に薄膜を
形成する方法において、該ターゲットに印加される電圧
が間欠的な直流電圧であり、電圧印加時間が0.1〜1
000ミリ秒の範囲にあり、かつ、電圧休止時間が1〜
1000ミリ秒の範囲にあることを特徴とする薄膜の形
成方法を提供するものである。
【0015】本発明は、MMRSの利点を生かしながら
インライン化が可能なスパッタリング方法を鋭意検討し
た結果、MMRSでは空間的に分離しているスパッタゾ
ーンと反応ゾーンを、電源により、時間的に分離するこ
とが可能であるという新規知見に基づいたものである。
【0016】本発明においては、印加電圧がONの時間
内に、ターゲット表面はほぼ金属の状態でスパッタさ
れ、基板上には金属膜あるいは吸収膜が1原子層以下程
度の膜厚で形成される。次いで、印加電圧がOFFの時
間内に、基板上に入射する反応性ガス分子または原子に
より酸化または窒化される。これを繰り返すことによ
り、MMRSと全く同じ原理で高速スパッタ成膜が可能
となるのである。しかも、本発明によれば、空間的な分
離を用いていないので、MMRSで問題となった装置上
の制約がなく、通常のスパッタ装置に適用することが可
能である。もちろん、インライン型のスパッタ装置に適
用することもできる。
【0017】本発明において、印加電圧のON時間は、
ターゲット上のエロージョン領域におけるターゲット物
質の表面第1層を完全にスパッタしてしまえるだけの電
流量を流せるだけの長さとする必要がある。これを理論
的に見積もってみると、ターゲット表面1cm2 あたり
の原子数は、材料にもよるがチタンの場合1.5×10
15個程度であるからスパッタ率を1とすると1.5×1
15個のイオンがON時間内に入射する必要がある。1
個のイオンの持つ電荷量は1.6×10-19 クーロンで
あるから総電荷量としては2.4×10-4クーロンが必
要であり、これをON時間内に流すことになる。従っ
て、ON時間を0.1ミリ秒とすると、電流値としては
2.4A/cm2 となり、ON時間を1秒とすると電流
値は0.24ミリA/cm2 となる。一般的には、ター
ゲットのエロージョンの単位面積あたりの投入電流量は
多くても、0.1A/cm2 程度であり、これ以上の電
流を投入すると異常放電が多発する等の不具合いが生じ
ることが多い。
【0018】ON時間を0.1ミリ秒未満とすると上で
見たように、ON時間内における単位面積あたりの電流
値が大きくなり異常放電の危険が増すとともに、大面積
ターゲットの場合には総電流量が莫大となり、電源容量
を大きくすることが必要となり経済的でなくなってしま
う。一方、ON時間を1秒超過とすると投入電流量は、
上で見たように相当小さい値に抑えることができるが、
一度のON/OFFでの成膜量は5Å程度であるから、
成膜速度は300Å/分以上にすることができず、高速
スパッタリングという当初の目的を達成できなくなって
しまう。これらのことから、印加電圧のON時間の範囲
としては0.1ミリ秒〜1000ミリ秒が適当であると
結論した。
【0019】一方、印加電圧のOFF時間は、直前のO
N時間中に形成された基板上の金属膜または吸収膜をこ
の時間内に完全に酸化または窒化させるのに十分な長さ
とする必要がある。雰囲気中の反応性ガスの分圧を1×
10-6Torrとすると、基板上の単位面積への入射分
子/原子数はよく知られているように、だいたい毎秒1
原子層に相当する量となる。
【0020】本発明においては、一度のON/OFFで
基板上に成膜される金属原子の個数は1原子層程度であ
るから、基板に入射した反応性ガスが全て基板上の金属
原子と反応するとすれば、1×10-6Torrの反応性
ガス分圧で1秒間のOFF時間が必要となる。これで
は、先程ON時間のところで述べたように、300Å/
分以上の成膜速度を得ることができず、高速スパッタリ
ングという当初の目的に合致しない。また、現実には、
入射した全ての反応性ガス分子/原子が反応にあずかる
ということもないので、反応性ガス分圧を増加させた
り、反応性ガスの活性度を上げて反応を促進させる必要
がある。
【0021】1×10-3Torrまで反応性ガス分圧を
上げ、基板への入射分子/原子が全て反応にあずかるま
で活性度を上げたとして、1原子層の金属膜を完全に酸
化/窒化させるのに必要な時間は1ミリ秒となる。これ
が実現可能な最小時間であると判断した。これらのこと
から、印加電圧のOFF時間の範囲は1ミリ秒〜100
0ミリ秒が適当であると結論した。
【0022】本発明における間欠放電の周期としては、
上記のように1.1ミリ秒から2秒である。これは周波
数に直すと、909ヘルツから0.5ヘルツであり、前
述のシリカの高速成膜のために知られているTwin−
Mag(数十キロヘルツ)やSPARC−LE(2キロ
ヘルツ)で用いられている周波数とは明らかに異なると
ともに、これらの技術の目的が絶縁膜の帯電の防止また
は帯電の中和にあるのに対し、本発明では、上記のよう
にその目的が全く異なっており、新たな方法であること
は明らかである。
【0023】本発明におけるスパッタ電源としては、従
来より直流スパッタリングに用いられている直流放電用
の電源を制御してON/OFFさせたものを用いること
ができる。また、一般に用いられている50ヘルツ(ま
たは60ヘルツ)の商用周波数の周期は20ミリ秒(1
7ミリ秒)であるため、これをサイリスタ等で位相制御
し、単に整流したものを用いることもできる。
【0024】また、従来シリカやアルミナのDCスパッ
タリングのために開発された、1キロヘルツ以上の周波
数を持つ中周波電源を本発明で規定されるON/OFF
時間でON/OFFさせてもよい。これらの電源と組み
合わせることにより、シリカやアルミナの薄膜を安定に
高速で成膜することができるようになる。しかし、本発
明における電源はこれらに何等制限されるものではな
い。すなわち、本発明におけるスパッタ電源としてはタ
ーゲットに間欠的にスパッタに必要な負の電圧が印加さ
れるものであればよく、印加時の電圧波形はパルス波、
三角波、サイン波等の形状でよい。
【0025】本発明における雰囲気ガスは、主成分であ
る希ガスと反応性ガスからなり、該反応性ガスとして
は、酸素、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素、オゾ
ンおよび窒素からなる群から選ばれる少なくとも一種を
挙げることができ、その他アンモニアなどのガスと混合
して用いることもできる。
【0026】これらの反応性ガスは、上述のように直流
電源のOFF時間の間に、直前のON時間内に形成され
た基板上の金属膜を完全に酸化または窒化させるのに十
分な分量と反応性を持っている必要がある。このため、
反応性ガスの分圧としては大きい方が望ましいが、これ
を大きくし過ぎると、よく知られているようにスパッタ
リングがいわゆるreactive mode になってしまう。すな
わち、ターゲット表面が常に酸化物または窒化物で覆わ
れた状態になり、成膜速度が極端に低下してしまう。
【0027】また、反応性ガスによるターゲット材料の
スパッタリング率は希ガスによるそれと比べて著しく小
さいので、反応性ガスの割合を増加させることは成膜速
度の観点からは好ましくない。従って、通常の条件下で
は全ガス流量に占める反応性ガスの割合はおよそ1%〜
50%の範囲に定められる。
【0028】スパッタリング率を高く維持するためには
反応性ガス流量をできるだけ小さく抑えることが望まし
いが、一方ではOFF時間内に基板上の金属膜を完全に
酸化または窒化させねばならない。このため、反応性ガ
スの活性度を十分上げるか反応性の高いガスを用いるこ
とが望ましい。本発明者らは種々の検討の結果、酸化性
の反応性ガスとして酸素、亜酸化窒素、一酸化窒素、二
酸化窒素、オゾンうちの少なくとも1種類を用いること
が効果的であることを見いだした。すなわち、これらの
ガスを単独で、あるいは2種以上を混合して希ガスに添
加することにより、数%の混合率で初期の目的を達成す
ることができたのである。
【0029】また、基板表面上での反応性を上げるため
に、基板近傍でのプラズマ密度をあげてやっても、反応
性の高いガスを用いたのと同じ効果を上げることができ
る。このため、カソード上の磁場分布の一部を基板上に
まで漏洩させる磁場手段を用いて、ターゲット近傍から
基板近傍にプラズマを拡散させるタイプのいわゆる、ア
ンバランスド・マグネトロン構造のカソードを使用する
ことができる。あるいは、基板のターゲットから見て反
対側にマグネトロン構造の磁石を配置して2次的なプラ
ズマを基板近傍に形成させることもできる。
【0030】本発明におけるターゲットの材料として
は、直流スパッタリングが可能な導電性を有するもので
あれば何でもよく、金属、合金、導電性セラミックスな
どが挙げられ、特に、TiO2 膜の原材料となるチタン
を用いた場合には、従来の反応性スパッタにおける成膜
速度の遅さと光学膜への応用範囲の広さから、本発明に
よる効果が顕著である。また、ターゲット材料として導
電性シリコンを用いた場合にも、従来の反応性スパッタ
における放電の不安定性と光学膜への応用範囲の広さか
ら、本発明による効果が顕著である。この場合の導電性
はSiにドープされたP、B、Al等の微量不純物によ
り発現される。ただし、本発明の範囲はこれらの金属材
料に制限されるものではなく、チタン、シリコンに適当
量の他の金属を混合してもよく、また、全く別の導電性
材料でもよい。
【0031】
【作用】本発明においては、基板上では直流電源のON
時間に、金属膜あるいは吸収膜が形成され、次のOFF
時間に雰囲気中の反応性ガスにより酸化および/または
窒化される。一方、ターゲット上では直流電源のON時
間に、主に雰囲気ガス中の希ガスによりターゲット材料
が1原子層以上スパッタされる。このとき、直前のOF
F時間内に、ターゲット表面も基板上と同じく酸化およ
び/または窒化されており、このON時間内での投入電
力を十分に取って、1原子層以上をスパッタする必要が
ある。これにより、酸化および/または窒化層の下の金
属層までスパッタすることになり成膜速度を大きくする
ことができるのである。
【0032】本発明における直流電源のON/OFF時
間の範囲は、上述の条件が一般的なスパッタリング条件
下で、経済的にも有利な条件下で満たされることを念頭
において設定されたものである。
【0033】本発明における直流電源のON時間は、タ
ーゲット上に直前のOFF時間に形成された酸化物また
は窒化物皮膜をスパッタにより取り除くとともに、さら
にその下の金属層をもスパッタすることができる電力が
投入できるような時間に設定されている。このため、単
位投入電力あたりのスパッタ率を従来のreactive mode
の場合に比べて大きくすることができる。また、このO
N時間は基板上では1原子層以下程度の薄膜が形成され
るような時間に設定されている。
【0034】次に、本発明におけるOFF時間は、直前
のON時間に基板上に形成された金属膜または吸収膜を
酸化または窒化するのに十分な時間に設定されている。
このため、基板上では反応が終了した状態で次のON時
間をむかえることになる。こうして、ON/OFFを繰
り返すことにより高速で化合物薄膜を成膜することが可
能になるのである。
【0035】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例を説明す
る。
【0036】<実施例1>真空槽内にチタンのターゲッ
トとその対面にガラス基板をセットし、1×10-5To
rrまで排気した。次いで、アルゴン40sccmと酸
素2sccmを真空槽内に導入し、コンダクタンスバル
ブを調整して圧力を2×10-3Torrとした。次にタ
ーゲットに結線されたパルス化直流電源を動作させ、タ
ーゲットにパルス状の直流電圧を印可してスパッタリン
グを行った。このとき、直流電源のON/OFF時間を
様々に変えてガラス基板上にTiO2 の薄膜を成膜した
結果を表1.に示す。電源ON時の投入電力は4kWに
統一した。
【0037】<比較例1>直流電源の出力を連続出力と
した以外は、実施例1と同様にしてTiO2 の薄膜を成
膜した。また、連続出力の条件で反応ガスを変えて成膜
した結果をあわせて表2に示す。
【0038】これらの実施例と比較例から明らかなよう
に、従来の連続放電(サンプル7)では吸収膜となるガ
ス条件でも、本発明による間欠放電とすることで透明な
TiO2 膜を得ることができる。また、従来の連続放電
で透明なTiO2 膜を得る場合には、その単位電力あた
りの成膜速度が60Å/分・kW程度なのに対して、本
発明による方法を用いれば7倍程度の高速度で透明膜を
得ることができる。更に、本発明で得られたTiO2
の屈折率は従来の方法で得られたTiO2 膜と比べて同
等以上であり、光学膜として用いるのに十分な特性を有
していることを確認した。
【0039】<実施例2>スパッタガスとしてアルゴン
40sccmと酸素2sccmに加えて、亜酸化窒素N
2 Oを2sccm添加した以外は実施例1と同様にして
TiO2 の薄膜を成膜した。結果を表3に示す。
【0040】この実施例から明らかなように、反応ガス
に、より反応性の高い亜酸化窒素を添加することによ
り、酸素単独の場合に比べてさらに高速で透明なTiO
2 膜を得ることができる。これは従来の成膜速度に比
べ、10倍程度にまで達している。また、こうして得ら
れたTiO2 膜の屈折率および耐久性は従来の方法で得
られたものと比べて同等以上であり、光学膜としての応
用に何等問題もない。
【0041】<実施例4>添加する反応性ガスとして種
々のものをテストした結果を表4に示す。スパッタリン
グの条件は実施例2と同様とした。本実施例から明らか
なように、本発明における反応性ガスとして一酸化窒
素、二酸化窒素、オゾン等を用いても、亜酸化窒素を用
いた場合と同等の高速成膜を実現することができる。ま
た、反応性の非常に高い原子状酸素を用いることもでき
る。
【0042】<実施例5>金属ターゲットとして種々の
金属を用いた以外は実施例2と同様にして種々の金属酸
化膜を成膜した結果を表5に示す。
【0043】<比較例2>実施例5と同じ金属ターゲッ
トを用い、従来の連続放電法により種々の金属膜および
金属酸化膜を成膜した結果を表6に示す。
【0044】これらの実施例および比較例から明らかな
ように、本発明による間欠放電法を用いれば、従来の連
続放電法による場合と比較して4〜7倍の高速で透明膜
を形成することができる。これらの膜は従来法で得られ
た透明膜に劣らない屈折率を有していた。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は従来問題で
あった金属ターゲットからの反応性スパッタによる化合
物薄膜の成膜速度を、従来の方法に比べて数倍から十倍
程度大きくすることができ、かつ、得られた膜の光学的
性質も従来の方法で得られたものに比べて同等以上であ
るという優れた効果を有する。特に反応性ガスとして、
酸素、窒素、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素、ま
たはオゾンとすることにより、従来より数倍以上大きな
成膜速度で酸化物または窒化物の薄膜を形成することが
できる。
【0052】また、特にターゲットをチタンまたはシリ
コンとするとTiO2 またはSiO2 の薄膜を高速で成
膜することができ、光学薄膜としての用途が大きく広が
る。
【0053】また、本発明はその原理からインライン型
のスパッタ装置に適用することが容易なので、従来困難
であった大型基板上への光学膜の形成が経済的に行える
ことになり、産業界へ及ぼす影響は計り知れない。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ターゲットに負の電圧を印加して放電さ
    せ、雰囲気ガス中の反応性ガスと反応させて反応性直流
    スパッタリングにより基板上に薄膜を形成する方法にお
    いて、該ターゲットに印加される電圧が間欠的な直流電
    圧であり、電圧印加時間が0.1〜1000ミリ秒の範
    囲にあり、かつ、電圧休止時間が1〜1000ミリ秒の
    範囲にあることを特徴とする薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】ターゲットに負の電圧を印加して放電さ
    せ、雰囲気ガス中の酸化性および/または窒化性の反応
    性ガスと反応させて反応性直流スパッタリングにより基
    板上に薄膜を形成する方法において、該ターゲットに印
    加される電圧は間欠的な直流電圧であり、電圧印加時間
    を0.1〜1000ミリ秒の範囲とし、該電圧印加時間
    に金属膜あるいは吸収膜を形成し、かつ、電圧休止時間
    を1〜1000ミリ秒範囲とし、該電圧休止時間に雰囲
    気中の反応性ガスにより前記金属膜あるいは吸収膜を酸
    化および/または窒化することを特徴とする薄膜の形成
    方法。
  3. 【請求項3】前記雰囲気ガスが、主成分である希ガスと
    反応性ガスからなり、該反応性ガスは酸素、亜酸化窒
    素、一酸化窒素、二酸化窒素、オゾンおよび窒素からな
    る群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とす
    る請求項1または2の薄膜の形成方法。
  4. 【請求項4】前記ターゲットがチタンであることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項の薄膜の形成方法。
  5. 【請求項5】前記ターゲットが導電性シリコンであるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項の薄膜の形
    成方法。
  6. 【請求項6】基板近傍のプラズマ密度を上げるような磁
    場手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1項の薄膜の形成方法。
  7. 【請求項7】前記磁場手段はカソード上の磁場分布の一
    部を基板上にまで漏洩させるものであることを特徴とす
    る請求項6の薄膜の形成方法。
  8. 【請求項8】前記磁場手段が基板の裏側に設けたマグネ
    トロン構造であることを特徴とする請求項6の薄膜の形
    成方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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