JPH0867980A - 窒化ケイ素膜の製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素膜の製造方法

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JPH0867980A
JPH0867980A JP17567394A JP17567394A JPH0867980A JP H0867980 A JPH0867980 A JP H0867980A JP 17567394 A JP17567394 A JP 17567394A JP 17567394 A JP17567394 A JP 17567394A JP H0867980 A JPH0867980 A JP H0867980A
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JP
Japan
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silicon nitride
nitride film
substrate
film
target
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Application number
JP17567394A
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English (en)
Inventor
Hisashi Osaki
壽 大崎
Takuji Oyama
卓司 尾山
Junichi Shimizu
潤一 清水
Shujiro Watanabe
周二郎 渡邊
Hidekazu Ando
英一 安藤
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】窒素を含有するガスをスパッタリングガスとし
て用い、ケイ素を主成分とするターゲットを用い、基板
上に窒化ケイ素膜を製造する方法において、該ターゲッ
トに間欠的な負の電圧を印加する窒化ケイ素膜の製造方
法。 【効果】基板を加熱することなく、しかもきわめて安定
的に、アルカリバリア性、耐透水性、耐酸化性の高い窒
化ケイ素膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種機能を有する窒化
ケイ素膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ金属の拡散を防ぐ能力(アルカ
リバリア性能)は、用いられる物質それ自身の性質に大
きく依存するだけでなく、ある物質を選んだ場合、その
物質の原子レベルでの欠陥の密度や不純物の濃度にも大
きく依存する。
【0003】一方、一般に、薄膜を成膜する際に基体の
温度を高めると、薄膜の密度は増加し、原子レベルの欠
陥の密度は減少することが知られており、アルカリバリ
ア性の高い薄膜を得るためには、基体を加熱して成膜す
ることが一般的である。
【0004】これらのことから、従来、アルカリ金属の
拡散を防ぐアルカリバリア膜材料としては、主として、
シリカが用いられ、かつ、高いアルカリバリア性能を得
るために、被覆される基体を高温に加熱して成膜するの
が一般的であった。このため、基体は耐熱性を有する物
質に限定されていた。
【0005】一方、窒化ケイ素は、シリカと同等以上の
高いアルカリバリア性を持つ可能性があることが見いだ
されているが、ケイ素を含む分子気体と窒素を含む分子
気体を、熱やプラズマなどの励起手段により分解し、こ
ののち反応させて窒化ケイ素を得るいわゆるCVD法
は、成膜時に基体の温度が高くなるという問題があり、
さらに、この成膜の際に、基体よりアルカリ金属が窒化
ケイ素膜中に拡散してしまい、アルカリバリア性が低下
するという問題があった。
【0006】また、窒化ケイ素やケイ素をターゲットに
用い、これに高周波を印加して窒化ケイ素膜を成膜す
る、いわゆる、高周波スパッタリング法では、成膜速度
が低く、これを改善するために、投入電力を増加する
と、基体の温度が上昇し、さらに、電子や負イオンが基
体に衝突してダメージを生じ、成膜中の窒化ケイ素にも
多くの欠陥を発生させて、アルカリバリア性が低くなる
という問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
窒化ケイ素の成膜方法では、基体の温度が上昇してしま
うなどの原因でアルカリバリア性に充分に優れた窒化ケ
イ素が得られず、また、高速で安定して成膜することは
できなかった。
【0008】本発明は、直流スパッタリングにより、し
かも基体を加熱することなく、充分なアルカリバリア性
能を有する窒化ケイ素膜を安定して製造する方法の提供
を目的とする。
【0009】また、水分の透過防止方法にはいくつかの
異なった方法があるが、水透過性の低い有機物薄膜をラ
ミネートする方法や、金属などを保護層として水分から
守られるべき物質の上に成膜する方法などが一般的であ
る。
【0010】上記の従来の水分の透過防止方法のうち、
有機物薄膜は、特に、紫外線による劣化があり、耐候性
に問題がある。また、保護層として、金属を用いた場合
は、一般に、金属の反射率と吸収係数が大きいために、
大きな光学透過性能が要求される場合にはこれを用いる
ことができない。
【0011】本発明者らは、窒化ケイ素膜が、保護物質
の安定性や視認性能への影響が小さく、窒化ケイ素の透
水性が他の物質に比べて低いことを見いだした。さら
に、反応性直流スパッタリング法を選択することで、大
きな面積を持つ場合にも、高速に、しかも均一な膜厚と
膜質で保護層を成膜できることを見いだした(特願平5
−184519号)。しかし、従来の反応性直流スパッ
タリング法では、わずかな条件の変化で得られる窒化ケ
イ素膜が変化してしまい、設計通りの窒化ケイ素膜を安
定的に成膜することは困難であった。
【0012】本発明は、直流スパッタリングにより、充
分な耐透水性を有する窒化ケイ素膜を安定して製造する
方法の提供をも目的とする。
【0013】ところで、窒化ケイ素膜は酸化防止保護膜
としても有用である(特開平5−213632号)。窒
化ケイ素の各種の成膜方法のうち、従来のCVD法で
は、酸化から守られるべき物質と基体の温度が上昇する
ために、酸化から守られるべき物質が反応してしまう恐
れがあり、従来の高周波スパッタリング法では、守られ
るべき物質が電子や負イオンなどによりダメージを被
り、さらに、大きな面積の保護を達成するためのRF電
源の大電力化が困難であることから、反応性直流スパッ
タリング法が最善の成膜方法と認識されつつある。
【0014】しかし、前述したように、従来の反応性直
流スパッタリング法では、わずかな条件の変化で得られ
る窒化ケイ素膜が変化してしまい、設計通りの窒化ケイ
素膜を安定的に成膜することは困難であった。
【0015】本発明は、直流スパッタリングにより、充
分な耐酸化性を有する窒化ケイ素膜を安定して製造する
方法の提供をも目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、窒素を含有す
るガスをスパッタリングガスとして用い、ケイ素を主成
分とするターゲットを用い、基板上に窒化ケイ素膜を製
造する方法において、該ターゲットに、100kHz以
下の周期的に繰り返される間欠的な負の電圧を印加する
ことを特徴とする窒化ケイ素膜の製造方法である。
【0017】本発明においては、100kHz以下の周
期的に繰り返される間欠的な負の電圧を用いる。100
kHz以下の間欠的な負の電圧は、市販の半導体スイッ
チ素子を用いて実現できることから、コスト的に有利な
ものである。なお、本発明においては、アーキングの発
生を有効に抑えられることから、1kHz以上の間欠的
な負の電圧を用いることが好ましい。
【0018】本発明におけるスパッタリングガスとして
は、窒素、あるいは窒素とアルゴンなどの希ガスとの混
合ガスが用いられる。
【0019】本発明におけるターゲットとしては、直流
スパッタリングが可能なように、ある程度の導電性を有
することが望ましい。このため、リン(P)やホウ素
(B)をドープした単結晶または多結晶のケイ素(S
i)を用いることが好ましい。
【0020】不純物として鉄(Fe)などを含む焼結S
iやプラズマ溶射により形成されたSiターゲット等を
も採用できるが、本発明はこれらの物質に限定されな
い。
【0021】ケイ素ターゲットに間欠的に負の電圧を印
加してスパッタリングすることにより、基体の温度上昇
は抑えられ、アルカリ原子の窒化ケイ素中への成膜中の
拡散は減少し、窒化ケイ素中の不純物によるアルカリバ
リア性の低下が防げる。
【0022】図2のように、負の電圧VN を印加してい
ない時間に、電圧をゼロとする場合は、電圧ゼロの間
は、スパッタリングが停止する。
【0023】この状態においては、ターゲットから基体
へのケイ素原子の供給が止まり、基体上で形成されつつ
ある窒化ケイ素表面で窒化のみが起こる。その結果、タ
ーゲットに連続的に電圧を印加してスパッタリングする
場合に比べ、窒化ケイ素膜中に取り残されるケイ素原子
の未結合手への窒素原子の結合が促進し、窒化ケイ素の
原子レベルの欠陥の数が減少し、アルカリバリア性、耐
透水性、耐酸化性が向上すると考えられる。
【0024】さらに、電圧をゼロとすると、プラズマと
してケイ素ターゲット付近に束縛されていた反応活性の
高い窒素正イオンの束縛が解け、基体まで到達し、本来
は低い窒化反応を促進し、得られる窒化ケイ素の原子レ
ベルの欠陥の数を減少させることに寄与すると考えられ
る。
【0025】また、図1のように、負の電圧VN を印加
していない時間に正の電圧VP を印加する場合は、質量
の小さいプラズマ中の電子がケイ素ターゲットに引き込
まれるため、電圧をゼロとする場合よりも早い時間に窒
素正イオンが解放される。
【0026】また、同時に、ケイ素ターゲットに正の電
圧が印加されると、クーロン力により窒素正イオンをケ
イ素ターゲットから遠ざけ、基体付近に押しやり、基体
上での窒化反応を促進するものと考えられる。
【0027】前記窒化ケイ素膜中の窒素とケイ素との原
子数比が、スパッタリングガスの窒素濃度の調整および
/またはケイ素ターゲットへの投入電力の調整を行い、
化学量論的に理想的な窒化ケイ素膜とすることにより、
ほとんどのケイ素原子は4配位で窒素原子と結合する一
方、ケイ素−ケイ素結合や窒素−窒素結合、またはケイ
素原子と窒素原子のそれぞれの未結合手がほとんど存在
しなくなるため、原子レベルの欠陥が減少し、アルカリ
バリア性、耐透水性、耐酸化性が向上する。
【0028】本発明で用いられる基板としては特に限定
されず、窒化ケイ素膜のアルカリバリア性を期待する場
合は、ソーダライムシリケートガラスなどアルカリ成分
を含有するガラスを用いた透明電極用の基板、特に液晶
ディスプレイ用の基板などが好適な例として挙げられ
る。
【0029】また、窒化ケイ素膜の耐透水性を期待する
場合は、銀コーティングが施されたLow−E用ガラス
や、銀コーティングが施された導電ガラスなどが好適な
基板の例として挙げられる。この場合、窒化ケイ素膜層
は、銀層の上に設けられればよく、最外層に設けられる
他、複数層の中間の層としても設けられる。
【0030】なお、Low−Eガラスとは、低放射率の
薄膜がコートされており、室内からの輻射による熱損失
を防ぐ機能を有するガラスのことをいう。
【0031】その他、磁性膜が施された磁気ディスク、
あるいは、電荷結合型撮像管の弗燐酸ガラスフィルタな
ども好適な基板の例として挙げられる。
【0032】また、窒化ケイ素膜の耐酸化性を期待する
場合は、金属や金属窒化物などからなる熱線反射膜を有
するガラスなどが好適な基板の例として挙げられ、特
に、後加熱処理が施されるものが好適である。その他、
導電コーティングが施されたガラス、あるいは、銀コー
ティングが施されたLow−E用ガラスなども好適な基
板の例として挙げられる。いずれの場合においても、窒
化ケイ素膜層は、最外層に設けられる他、複数層の中間
の層としても設けられる。
【0033】
【実施例】
[実施例1]ソーダライムシリケートガラスからなる基
板上に、以下の条件で窒化ケイ素膜を成膜した。すなわ
ち、160mm×40mmの大きさで、比抵抗1.2Ω
・cmのN型ケイ素(リンドープ単結晶)をターゲット
として用い、これに図1に示すような波形の電圧を印加
した。ここで、負電圧VN は、印加電力が200Wにな
るように設定し、正電圧VP は100Vとした。スパッ
タリングガスとしては、窒素ガスとアルゴンガスとの混
合ガスを用い、窒素濃度が20%、40%、50%、8
0%、100%のそれぞれの場合について、窒化ケイ素
膜を200Åの膜厚で成膜した。
【0034】[実施例2]図2に示すような波形の電圧
を印加し、窒素濃度を40%とした他は実施例1と同様
に窒化ケイ素膜を成膜した。
【0035】[比較例1]電力が200Wになるように
設定された直流電圧を印加した他は実施例1と同様にし
て、窒化ケイ素膜を200Åの膜厚で成膜した。
【0036】[比較例2]ソーダライムシリケートガラ
スからなる基板基板上に、以下の条件で窒化ケイ素膜を
成膜した。すなわち、直径6インチの大きさで、比抵抗
1.5Ω・cmのN型ケイ素をターゲットとして用い、
これに、13.56MHzの高周波を電力が300Wに
なるように設定して印加した。スパッタリングガスの窒
素濃度は100%とし、室温で基板上に、窒化ケイ素膜
を200Åの膜厚で成膜した。
【0037】[比較例3]ソーダライムシリケートガラ
スからなる基板基板上に、以下の条件で窒化ケイ素膜を
成膜した。すなわち、原料ガスのNH3 /SiH4 の比
が、3、5のそれぞれの場合について、CVD法によ
り、温度を約600℃に保った基板上に、窒化ケイ素膜
を200Åの膜厚で成膜した。
【0038】実施例1〜2および比較例1〜3により得
られた窒化ケイ素膜の組成(N/Si比)をX線光電子
分光法により測定した。次に、アルカリバリア性を評価
するため、90℃の純水中に24時間浸漬し、ソーダラ
イムシリケートガラスより拡散し、窒化ケイ素膜を通り
抜けて、溶出するNa原子の量を求めた。結果を表1、
表2に示す。また、実施例1により得られた窒化ケイ素
膜の組成(N/Si比)と溶出するNa原子の量との関
係を図3に示す。
【0039】従来の直流スパッタリング法(比較例
1)、高周波スパッタリング法(比較例2)およびCV
D法(比較例3)と比べ、本発明の方法では、成膜条件
や膜の組成が多少変動しても、特性の変動が小さく、よ
り安定的に、アルカリバリア性の優れた窒化ケイ素膜が
得られる。
【0040】[実施例3]ソーダライムシリケートガラ
ス上に窒化ケイ素膜(SiNx )を200Å成膜し、次
いでITOを2600Å成膜し、透明電極付きガラス基
板を製作した。窒化ケイ素膜の成膜においては、432
mm×127mmの大きさで、比抵抗1.3Ω・cmの
N型ケイ素をターゲットとして用い、これに図1に示す
ような波形の電圧を印加した。ここで、負電圧VN は、
印加電力が1kWになるように設定し、正電圧VP は5
0Vとした。スパッタリングガスとしては、窒素ガスと
アルゴンガスとの混合ガスを用い、実施例1と同様に変
化させた。
【0041】[比較例4]窒素濃度40%の窒素ガスと
アルゴンガスとの混合ガスをスパッタリングガスとして
用い、電力が1kWになるように設定された直流電圧を
印加した他は実施例3と同様にして、窒化ケイ素膜を成
膜し、透明電極付きガラス基板を得た。
【0042】得られたそれぞれの透明電極付きガラス基
板を、600℃の大気雰囲気中に1時間置き、その後ア
ルゴンイオンでスパッタリングしながら、SIMS(二
次イオン質量スペクトル)分析を行い、ITO中に拡散
してきたナトリウムの深さ方向の分布を求め、ナトリウ
ムのITOへの侵入深さを求めた。なお、侵入深さの決
定にあたっては、ナトリウムのカウントレイトがソーダ
ライムシリケートガラスより離れるにしたがって減少
し、ついには一定となる点(バックグラウンドレベル)
をその判断基準とした。
【0043】実施例3で窒素濃度が20、40、50、
80、100%の場合のナトリウムのITOへの侵入深
さは、それぞれ660、590、600、600、63
0Åであった。一方、比較例4の場合、630Åであっ
た。
【0044】ナトリウムのITOへの侵入深さは、実用
上600Å以下であることが好ましく、実施例3におい
て、窒素濃度が40、50、80%の場合、すなわち、
図3より、膜の組成(N/Si)が、1.30〜1.3
6の場合に好ましい結果が得られる。
【0045】[実施例4]液晶ディスプレイのセルを以
下の方法で製作した。ソーダライムシリケートガラス上
に、CVD法により酸化ケイ素膜(SiO2 )を200
Å、続いて、カラーフィルタ(CF)、さらにアクリル
系有機保護層(OP)を形成し、こののち、窒化ケイ素
膜(SiNx )を200Å成膜した。
【0046】窒化ケイ素膜の成膜においては、432m
m×127mmの大きさで、比抵抗1.3Ω・cmのN
型ケイ素をターゲットとして用い、これに図1に示すよ
うな波形の電圧を印加した。ここで、負電圧VN は、印
加電力が1kWになるように設定し、正電圧VP は50
Vとした。スパッタリングガスとしては、窒素濃度が3
0%の窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用いた。
【0047】次に、ITOを2600Å成膜し、この上
にポリイミド(OC)をオーバーコートした。
【0048】一方、もう1枚のソーダライムシリケート
ガラス上にSiNx を前述と同様に200Å成膜し、続
いてITOを2600Å成膜し、この上にポリイミド
(OC)をオーバーコートした。
【0049】これら2枚のガラスのそれぞれのポリイミ
ド層を合わせようにして、セルを製作し、この間に液晶
を注入した。このセルの構成は表7のAのようになる。
【0050】[比較例5]電力が1kWになるように設
定された直流電圧を印加した他は実施例4と同様にし
て、窒化ケイ素膜を成膜し、液晶ディスプレイのセルを
得た。
【0051】得られたそれぞれのセルを相対湿度90
%、気温80℃の雰囲気中に置き、液晶の比抵抗の経時
変化を調べた。実施例4の場合、液晶の比抵抗は、セル
を組んだ直後には2.5×1011Ω・cmで、200時
間後には0.8×1011Ω・cmとなった。一方、比較
例5の場合、セルを組んだ直後には2.3×1011Ω・
cmで、200時間後には0.5×1011Ω・cmとな
った。
【0052】このように、本発明により成膜された優れ
たアルカリバリア性を有する窒化ケイ素膜により、セル
中の液晶の比抵抗変化を小さくできる。
【0053】[実施例5]実施例1と同様にして窒化ケ
イ素膜を500Åの膜厚で成膜した。
【0054】[実施例6]実施例2と同様にして窒化ケ
イ素膜を500Åの膜厚で成膜した。
【0055】[比較例6]比較例1と同様にして窒化ケ
イ素膜を500Åの膜厚で成膜した。
【0056】[比較例7]比較例2と同様にして窒化ケ
イ素膜を500Åの膜厚で成膜した。
【0057】[比較例8]比較例3と同様にして窒化ケ
イ素膜を500Åの膜厚で成膜した。
【0058】実施例5〜6および比較例6〜8により得
られた窒化ケイ素膜の組成(N/Si比)をX線光電子
分光法により測定した。次に、耐透水性を評価するた
め、これを60℃の重水中に6日間置き、この後、アル
ゴンガスによりスパッタリングエッチングを行いながら
放出されるイオンの質量分析(2次イオン質量分析:S
IMS)を行い、深さ方向の重水素の深さ方向の分布を
求め、得られた重水素の分布より、重水素のカウントレ
イトが最大カウントレイトの10分の1になる深さを水
の進入深さとした。
【0059】また、耐酸化性を評価するため、これを1
000℃の大気雰囲気中に3時間置き、アルゴンガスに
よりスパッタリングエッチングを行いながらX線光電子
分光法によって、存在する元素の深さ方向の分布を求
め、得られた酸素分布より、酸素原子のX線光電子強度
が表面層の酸素原子のX線光電子強度の半分になる深さ
を酸化された層の厚さとした。
【0060】得られた結果を表3、表4に示す。また、
実施例5により得られた窒化ケイ素膜の組成(N/Si
比)と水の進入深さとの関係を図4に示し、実施例5に
より得られた窒化ケイ素膜の組成(N/Si比)と酸化
された層の厚さとの関係を図5に示す。
【0061】従来の直流スパッタリング法(比較例
6)、高周波スパッタリング法(比較例7)およびCV
D法(比較例8)と比べ、本発明の方法では、成膜条件
や膜の組成が多少変動しても、特性の変動が小さく、よ
り安定的に、耐透水性の優れた、そして耐酸化性の優れ
た窒化ケイ素膜が得られる。
【0062】[実施例7]スパッタリング法により、表
7のBに示されるLow−Eガラスを作成した。次に、
正電圧VP を100Vとした他は実施例3と同様の条件
で、200Åの窒化ケイ素膜を成膜した。
【0063】[比較例9]スパッタリングガスとして、
窒素濃度が40%の窒素とアルゴンとの混合ガスを用
い、スパッタリング条件をアルカリバリア性窒化ケイ素
膜の比較例4の条件とした他は、実施例7と同様にし
て、表7のBに示されるLow−Eガラス上に200Å
の窒化ケイ素膜を成膜した。
【0064】実施例7および比較例9で得られた窒化ケ
イ素膜付きLow−Eガラスを、相対湿度95%、温度
50℃の大気中に650時間おき、可視光透過率の変化
を測定した。
【0065】実施例7において、窒素濃度が20、4
0、50、80、100%の場合、成膜直後はすべて6
7.2%であったが、前述の処理後は、それぞれ67.
8、67.2、68.3、69.4、69.9%であっ
た。比較例9においては、成膜直後は67.2%で、前
述の処理後は、67.3%であった。
【0066】窒素濃度が等しい条件で比較すると、本発
明によるLow−Eガラスの方が可視光線透過率の変化
が少なく、耐久性に優れていることがわかる。
【0067】実用上は、前述の処理前後の可視光透過率
の変化が2%以内であることが好ましく、実施例7にお
いては、窒素濃度が20、40、50%の場合、すなわ
ち、図4より、膜の組成(N/Si)が1.25〜1.
35である場合に好ましい結果が得られる。
【0068】[実施例8]432mm×127mmの大
きさのスズターゲットを用い、スパッタリングガスとし
て酸素濃度が50%の酸素とアルゴンとの混合ガスを用
いて、投入電力が1.2kWになるように負電圧を印加
し、室温で、厚さ2mmのソーダライムシリケートガラ
ス上に、酸化スズ膜を200Å成膜した。
【0069】続いて、スパッタリングガスとして窒素濃
度が40%の窒素とアルゴンとの混合ガスを用い、前述
のスズターゲットと同じ大きさの、比抵抗1.3Ω・c
mのN型のケイ素ターゲットに、図1に示す波形の電圧
を印加して、窒化ケイ素膜を50Å成膜した。ここで、
負電圧VN は、これを印加している状態の投入電力が1
kWになるように設定し、正電圧VP は50Vに保っ
た。
【0070】さらにその上に、スパッタリングガスとし
て窒素濃度が10%の窒素とアルゴンとの混合ガスを用
い、スズターゲットと同じ大きさのクロムターゲットに
投入電力が1kWになるように負電圧を印加し窒化クロ
ム膜を200Å成膜した。
【0071】この後、先ほどと同様にして、窒化ケイ素
膜を80Å、酸化スズ膜を500Åを順次成膜し、表7
のCに示される熱線反射ガラスを得た。
【0072】[比較例10]窒化ケイ素膜の成膜におけ
るターゲットへの印加を、投入電力が1kWになるよう
な直流の負電圧の印加とした他は、実施例8と同様にし
て、表7のCに示される熱線反射ガラスを得た。
【0073】実施例8および比較例10により得られた
熱線反射ガラスについて、大気雰囲気中で、室温から6
30℃まで2時間かけて昇温し、630℃に5分保った
後150℃付近まで2時間かけて温度を下げた。この熱
処理条件は、板ガラスの曲げ条件に相当する。
【0074】該加熱処理前後の熱線反射ガラスについ
て、可視透過率、可視反射率、および加熱処理で生じた
色差を測定した。結果を表5に示す。ただし、可視透過
率、可視反射率はJIS R 3106−1985に準
拠し、色差は、CIE 1976のL*** 色座標
上のものである。
【0075】このように、本発明による熱線反射ガラス
の方が、可視光透過率変化、可視光反射率変化、および
色差が小さく、耐久性に優れていることがわかる。
【0076】実施例8において、窒素濃度を20、5
0、80、100%に代えて同様に行った。その結果か
ら、色差と窒素濃度との関係を整理すると、窒素濃度が
20、40、50、80、100%の場合、色差は、そ
れぞれ2.6、2.3、2.8、3.1、3.4であっ
た。
【0077】実用上は、色差が3以下であることが好ま
しく、実施例8においては、窒素濃度が20、40、5
0%の場合、すなわち、図5より、膜の組成(N/S
i)が1.25〜1.35である場合に好ましい結果が
得られる。
【0078】[実施例9]ターゲット、スパッタリング
条件は実施例8と同様にして、厚さ2mmのソーダライ
ムシリケートガラス上に各種膜を順次積層し、表7のD
に示される熱線反射ガラスを得た。
【0079】[比較例11]窒化ケイ素膜の成膜におけ
るターゲットへの印加を、投入電力が1kWになるよう
な直流の負電圧の印加とした他は、実施例9と同様にし
て、表7のDに示される熱線反射ガラスを得た。
【0080】実施例9および比較例11により得られた
熱線反射ガラスについて、大気雰囲気中で、650℃、
6分40秒間の加熱処理を行った。この熱処理条件は厚
さ10mmの板ガラスの強化条件に相当する。
【0081】該加熱処理前後の熱線反射ガラスについ
て、可視透過率、可視反射率、および加熱処理で生じた
色差を実施例8、比較例10と同様にして測定した。結
果を表5に示す。
【0082】以上の結果から、本発明による窒化ケイ素
膜を有する熱線反射ガラスは、加熱による可視透過率と
可視反射率の変化、および、加熱処理により生じる色差
は、従来の直流スパッタリング法による窒化ケイ素膜を
有する熱線反射ガラスに比べ小さいことがわかる。すな
わち本発明は、後加熱、例えば、曲げ処理や強化処理を
施す熱線反射ガラスに好適である。
【0083】[実施例10]石英ガラス上に、室温で、
窒化ケイ素膜、ITO膜、窒化ケイ素膜を順次積層し、
表7のEに示される熱線反射ガラスを得た。なお、窒化
ケイ素膜の成膜条件は、実施例8の窒化ケイ素膜の成膜
条件と同様にした。ITO膜は、ITOターゲットを用
い、スパッタリングガスとして酸素濃度が2%の酸素と
アルゴンとの混合ガスを用いて、投入電力が1.2kW
になるように負電圧を印加して成膜した。
【0084】[比較例12]窒化ケイ素膜の成膜におけ
るターゲットへの印加を、投入電力が1kWになるよう
な直流の負電圧の印加とした他は、実施例10と同様に
して、表7のEに示される熱線反射ガラスを得た。
【0085】実施例10および比較例12により得られ
た熱線反射ガラスについて、大気雰囲気中で、600
℃、1時間の加熱処理を行った。
【0086】該加熱処理前後の熱線反射ガラスについ
て、波長2000nmでの反射率およびITO層の比抵
抗を測定した。結果を表6に示す。
【0087】以上の結果から、本発明による窒化ケイ素
膜を有する熱線反射ガラスは、波長2000nmの熱線
の反射率の加熱前後の変化は、従来の直流スパッタリン
グ法による窒化ケイ素膜を有する熱線反射ガラスに比べ
小さいことがわかる。すなわち本発明は、電子レンジ窓
や電気オーブン窓にも好適である。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
【表6】
【0094】
【表7】
【0095】
【発明の効果】本発明によれば基板を加熱することな
く、しかもきわめて安定的に、アルカリバリア性、耐透
水性、耐酸化性の高い窒化ケイ素膜が得られる。
【0096】基体の加熱を必要としないため、耐熱性の
低い基体上へもアルカリバリア被覆を行い得る。また、
直流スパッタリングにより成膜するので、大面積化や高
速化が容易となり、液晶用の透明導電性基板等への適用
が工業生産規模で可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるスパッタ電源の電圧波形図。
【図2】本発明で用いるスパッタ電源の電圧波形図。
【図3】窒化ケイ素膜の組成(N/Si比)と溶出する
Na原子の量との関係を示す図。
【図4】窒化ケイ素膜の組成(N/Si比)と水の侵入
深さとの関係を示す図。
【図5】窒化ケイ素膜の組成(N/Si比)と酸化され
た層の厚さとの関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邊 周二郎 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内 (72)発明者 安藤 英一 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田25番地 旭 硝子株式会社鹿島工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒素を含有するガスをスパッタリングガス
    として用い、ケイ素を主成分とするターゲットを用い、
    基板上に窒化ケイ素膜を製造する方法において、該ター
    ゲットに、100kHz以下の周期的に繰り返される間
    欠的な負の電圧を印加することを特徴とする窒化ケイ素
    膜の製造方法。
  2. 【請求項2】前記間欠的な負の電圧が印加されていない
    時間の一部に正の電圧が印加されることを特徴とする請
    求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】前記基板は、透明電極用の基板であること
    を特徴とする請求項1または2の製造方法。
  4. 【請求項4】前記基板は、液晶ディスプレイ用の基板で
    あることを特徴とする請求項4の製造方法。
  5. 【請求項5】前記基板として、透明電極用の基板を用
    い、前記窒化ケイ素膜中の窒素のケイ素に対する原子数
    比が1.30〜1.36となるように、スパッタリング
    ガスの窒素濃度および/またはターゲットへの投入電力
    の調整を行い、窒化ケイ素膜のアルカリバリア性を有効
    に発現させることを特徴とする請求項1または2の製造
    方法。
  6. 【請求項6】前記基板として、銀コーティングが施され
    たLow−E用ガラス、銀コーティングが施された導電
    ガラス、磁性膜が施された磁気ディスク、または、電荷
    結合型撮像管の弗燐酸ガラスフィルタを用い、前記窒化
    ケイ素膜中の窒素のケイ素に対する原子数比が1.25
    〜1.35となるように、スパッタリングガスの窒素濃
    度および/またはターゲットへの投入電力の調整を行
    い、窒化ケイ素膜の耐透水性を有効に発現させることを
    特徴とする請求項1または2の製造方法。
  7. 【請求項7】前記基板として、熱線反射膜を有するガラ
    ス、導電コーティングが施されたガラス、または銀コー
    ティングが施されたLow−E用ガラスを用い、前記窒
    化ケイ素膜中の窒素のケイ素に対する原子数比が、1.
    25〜1.35となるように、スパッタリングガスの窒
    素濃度および/またはターゲットへの投入電力の調整を
    行い、窒化ケイ素膜の耐酸化性を有効に発現させること
    を特徴とする請求項1または2の製造方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6307720B1 (en) 1998-04-24 2001-10-23 Alps Electric Co., Ltd. Thin film magnetic head
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JP2009155169A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Asahi Glass Co Ltd 熱線反射ガラス、および熱線反射ガラスの製造方法
CN103132031A (zh) * 2013-01-30 2013-06-05 上海工程技术大学 一种陷光结构氮化硅薄膜的制备方法及制备装置
US8470418B2 (en) 2005-09-06 2013-06-25 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha Exhaust pipe for internal combustion engine, and internal combustion engine and transportation apparatus incorporating the same
CN114038965A (zh) * 2021-04-01 2022-02-11 重庆康佳光电技术研究院有限公司 外延基板及其制作方法

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