JPH07201619A - R−Fe−B系焼結異方性永久磁石の製造方法 - Google Patents

R−Fe−B系焼結異方性永久磁石の製造方法

Info

Publication number
JPH07201619A
JPH07201619A JP5350284A JP35028493A JPH07201619A JP H07201619 A JPH07201619 A JP H07201619A JP 5350284 A JP5350284 A JP 5350284A JP 35028493 A JP35028493 A JP 35028493A JP H07201619 A JPH07201619 A JP H07201619A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
binder
sintering
molding
alloy powder
sintered
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5350284A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Yamashita
治 山下
Koichi Obara
公一 小原
Hirokazu Kitayama
宏和 北山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Special Metals Co Ltd filed Critical Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority to JP5350284A priority Critical patent/JPH07201619A/ja
Publication of JPH07201619A publication Critical patent/JPH07201619A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/04Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/047Alloys characterised by their composition
    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/057Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B
    • H01F1/0571Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes
    • H01F1/0575Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes pressed, sintered or bonded together
    • H01F1/0577Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes pressed, sintered or bonded together sintered

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形時に有機溶媒を使用することなく、成形
体密度のバラツキの防止及び磁場配向性の向上を図り、
従来では製造不可能であった寸法の大きな焼結磁石を容
易に製造することができるR−Fe−B系焼結異方性永
久磁石の製造方法の提供。 【構成】 R−Fe−B系合金粉末にメチルセルロース
および/またはポリアクリルアミドと水とからなるバイ
ンダーを添加、混練し、合金粉末とバインダーとの反応
が抑制された混練物を、磁場中で湿式成形し、焼結、熱
処理することにより、湿式成形時に有機溶媒を使用する
ことなく、成形体密度のバラツキの防止及び磁場配向性
の向上を図り、乾燥処理により予め成形体中の水分を除
去し、さらに焼結前に脱バインダー処理することによ
り、バインダー中のほぼ全炭素が脱炭され、残留酸素
量、残留炭素量を抑制し、従来では製造不可能であった
寸法の大きな焼結磁石を容易に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、粉末冶金法によりR
−Fe−B系焼結異方性永久磁石を製造する方法に係
り、R−Fe−B系合金粉末をメチルセルロースおよび
/またはポリアクリルアミドと水とからなるバインダー
にて混練してスラリー状あるいは粘土状となした混練物
を用い、磁場中で湿式成形することにより、成形体密度
のバラツキが抑制でき、磁場配向性が向上するため、特
に寸法の大きな焼結磁石の製造を可能にしたR−Fe−
B系焼結異方性永久磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在の代表的な永久磁石材料としては、
アルニコ磁石、フェライト磁石、希土類コバルト磁石、
そして、出願人が先に提案したR−Fe−B系磁石(特
公昭61−34242号等)が挙げられる。上記の中で
も、特に、R−Fe−B系磁石は、資源的に豊富な軽希
土類元素などを主成分とするため、磁石を安定に供給す
ることができ、しかも他の磁石材料に比べて磁気特性が
格段にすぐれるために、家電製品を初めコンピュータの
周辺機器や自動車等の小型化、軽量化とともに高性能化
が要求される用途に多用される一方で、近年、需要が増
大している医療用MRIや、実用化が進められているリ
ニアモーターの用途等、比較的磁石の寸法が大きくかつ
高磁気特性が要求される用途へも応用されている。
【0003】上記のR−Fe−B系磁石は、粉末冶金法
による焼結磁石、樹脂などとの結合によるボンド磁石、
あるいは、ホットプレスによりバルク状として磁石化し
たり、熱間圧延などを施して磁石化するなどの種々の製
造方法が提案されているが、R−Fe−B系磁石が本来
有する高磁気特性を発現させるには、粉末冶金法によっ
て異方性の焼結磁石にすることが最も望ましく、その場
合、最大エネルギー積((BH)max)は40MGO
eを超え、最大では50MGOeを超える極めて優れた
磁気特性を発現する。
【0004】上述の粉末冶金的手法にてR−Fe−B系
磁石を製造するには、まず、R(希土類元素)、Fe、
B、あるいは種々の添加元素を所要量配合して、それら
を溶解することにより合金を得て、該合金をジェットミ
ル等の乾式粉砕手段や、ボールミルやアトライター等の
溶媒を用いての湿式粉砕手段等により所要の粒度に粉砕
した後、磁場中で湿式ないし乾式で成形して成形体とな
し、該成形体を焼結するか、あるいは焼結後に必要に応
じて熱処理を施すのが一般的である。
【0005】R−Fe−B系磁石は、空気中で酸化し易
い希土類元素及び鉄を主成分として含有するので、酸化
による磁気特性の劣化を防止するために、製造における
各工程では、極力酸素との反応を防止することが必要で
あり、特に、粉砕後の微粉末は酸素と反応し易いので、
粉砕工程や成形工程をフロンやトリクロールエタン等の
有機溶媒中や、窒素やアルゴン等の不活性ガス中で行な
うことが望ましいが、近年、地球環境汚染の問題からフ
ロンが撤廃されることとなり、また安全性及び作業性の
観点からしても、溶媒を用いての湿式粉砕及び湿式成形
は、量産規模ではほとんど行なわれておらず、一般的に
は、不活性ガス等を用いての乾式粉砕手段にて粉砕し、
乾式状態で成形されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、乾式での成形
は、金型への充填量が少量である比較的寸法の小さいも
のを成形する場合にはさほど問題はないが、例えばMR
I用、リニアモータ用、フライホイール用あるいは大型
モータなどの用途に用いられるような比較的寸法の大き
いものを成形する場合には、金型内での粉末の偏りなど
により成形体密度がばらついたり、磁場配向時の配向性
が低下するため、焼結後の焼結体が変形したり、寸法精
度にもバラツキを生じ、また配向の低下により磁気特性
が劣化するという問題がある。
【0007】この発明は、粉末冶金法によりR−Fe−
B系焼結異方性永久磁石を製造する方法において、成形
時に有機溶媒を使用することなく、成形体密度のバラツ
キの防止及び磁場配向性の向上を図った、特に、従来で
は製造不可能であった寸法の大きな焼結磁石を容易に製
造することができるR−Fe−B系焼結異方性永久磁石
の製造方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、寸法の大き
な焼結磁石を製造するための成形手段について種々検討
した結果、上記の問題を解決するためには、湿式による
成形が最も適していることをあらためて認識した。湿式
成形において、R−Fe−B系合金粉末の酸化による磁
気特性の劣化を防止する観点からは、有機溶媒を用いる
ことが最も望ましいが、上述のようにフロン等の有機溶
媒は使用することができない。
【0009】そこで、発明者らは、有機溶媒に代わるも
のを検討した結果、水にバインダーとしてメチルセルロ
ースおよび/またはポリアクリルアミドとを混合したも
のを用いることにより、寸法の大きいものを成形して
も、成形体密度がばらついたり、磁場配向時の配向性が
低下することなく、優れた磁気特性を有するR−Fe−
B系焼結異方性永久磁石が得られることを知見した。ま
た、発明者らは、上記の水とバインダーとしてメチルセ
ルロースおよび/またはポリアクリルアミドとを混合し
たものとR−Fe−B系合金粉末とが反応し難いこと、
また焼結後の焼結体の残留酸素量、残留炭素量も抑制で
きることを確認し、この発明を完成した。
【0010】すなわち、この発明は、R−Fe−B系合
金粉末(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種)
に、メチルセルロースおよび/またはポリアクリルアミ
ドと水とからなるバインダーを添加、混練してスラリー
状あるいは粘土状の混練物となした後、該混練物を磁場
中で湿式成形して得られた成形体を用いて、焼結、熱処
理する粉末冶金法によりR−Fe−B系焼結異方性永久
磁石を製造することを特徴とするR−Fe−B系焼結異
方性永久磁石の製造方法である。
【0011】R−Fe−B系合金粉末 この発明において、R−Fe−B系合金粉末(但しRは
Yを含む希土類元素のうち少なくとも1種)としては、
所要組成からなる単一の合金を粉砕した粉末や、異なる
組成の合金を粉砕した後、混合して所要組成に調整した
粉末、保磁力の向上や製造性を改善するため添加元素を
加えたものなど、公知のR−Fe−B系合金粉末を用い
ることができる。R−Fe−B系合金粉末の製造方法
も、溶解・粉化法、超急冷法、直接還元拡散法、水素含
有崩壊法、アトマイズ法等の公知の方法を適宜選定する
ことができる。
【0012】R−Fe−B系合金粉末の粒度は特に限定
しないが、合金粉末の平均粒径が1μm未満では粉末を
スラリーあるいは粘土状とするためのバインダー添加量
を、合金粉末の表面積を増大させるため、合金粉末との
容積比で、1:1.2に増加させる必要があり、成形後
の焼結品の焼結密度が95%程度と低下するため好まし
くなく、また、10μmを超える平均粒径では粒径が大
きすぎて焼結密度が95%程度で飽和し、該密度の向上
が望めないため好ましくない。よって1〜10μmの平
均粒度が好ましい範囲である。特に好ましくは1〜6μ
mである。
【0013】バインダー成分 この発明において、バインダーには、メチルセルロース
および/またはポリアクリルアミドに水を添加したもの
を用いる。バインダーとして、メチルセルロースを単独
で用いる場合の含有量は、0.05wt%未満では湿式
成形後の成形体の強度が低下し、後述する脱水乾燥後の
成形体が壊れやすくなり、また、0.5wt%を越える
と、焼結体における残留炭素量と酸素量が増加して保磁
力が下がり磁気特性が劣化するので、0.05wt%〜
0.5wt%の含有量がこれらの点で好ましい。ポリア
クリルアミドを単独で用いる場合の含有量も、上記のメ
チルセルロースを単独で用いる場合と同様に、0.05
wt%未満では湿式成形後の成形体の強度が低下し、後
述する脱水乾燥後の成形体が壊れやすくなり、また、
0.4wt%を越えると、焼結体における残留炭素量と
酸素量が増加して保磁力が下がり磁気特性が劣化するの
で、0.05wt%〜0.4wt%の含有量が好ましい
範囲である。またメチルセルロースとポリアクリルアミ
ドを複合して用いる場合も同様な理由により、0.05
wt%〜0.4wt%が好ましい範囲である。
【0014】この発明において、メチルセルロースおよ
び/またはポリアクリルアミドに加える水の含有量は、
10wt%未満では合金粉末とバインダーとの混練物の
粘度が高くなりすぎ、スラリー状あるいは粘土状にする
ことができず、金型への供給が困難になるとともに、磁
場配向性が低下するため好ましくなく、また、40wt
%を越えると混練物の粘度が低くなりすぎ、混練物中で
合金粉末とバインダーとが2層に分離してしまうので、
金型へ供給量が不安定となり、成形体の密度にバラツキ
を生じることとなり、また脱水処理に時間を要するた
め、成形サイクルの低下をきたすので、10〜40wt
%が好ましい範囲である。また、水としては、R−Fe
−B系合金粉末のR成分との反応を極力抑制するため
に、脱酸素処理した純水、あるいは窒素などの不活性ガ
スをバブリング処理した水を用いることが望ましい。
【0015】また、上述したバインダーにグリセリン、
ワックスエマルジョン、ステアリン酸等の滑剤のうち少
なくとも1種、あるいはさらに、ヘンケル白水などの消
泡剤を添加することも有効であり、添加する場合は、単
独あるいは複合して0.03wt%未満の含有量では成
形後の離型性改善に効果がなく、また0.3wt%を超
えると焼結体における残留炭素量と酸素量が増加して保
磁力が下がり磁気特性が劣化するので、0.03wt%
〜0.3wt%の含有量が好ましい。
【0016】磁場中湿式成形 この発明において、磁場中における湿式成形は、バイン
ダーの添加成分によっても変動するが、メチルセルロー
スを単独で用いる場合は、金型の温度ないしは混練物の
温度を70〜90℃に昇温しゲル化させながら磁場中で
成形してもよいし、また、室温での磁場中成形でもよ
い。また、ポリアクリルアミドを単独で用いる場合及び
メチルセルロースとポリアクリルアミドを複合して用い
る場合は、金型の温度ないしは混練物の温度を80〜9
0℃に昇温しゲル化させながら磁場中で成形してもよい
し、また、室温での磁場中成形でもよい。なお、ポリア
クリルアミドを単独で用いる場合は、室温での磁場中成
形の方が好ましい。成形圧力は、0.1Ton/cm2
未満では成形体の強度が低下するため好ましくなく、ま
た3Ton/cm2を超えると金型からの離形性が悪化
すると共に成形体にクラックが入るため、0.1〜3T
on/cm2が好ましい範囲である。また、磁場の強度
は、10kOe未満では配向が不十分となるため、10
kOe以上の磁場の強度で配向することが望ましい。
【0017】乾燥 上記の湿式成形により得られた成形体は、圧縮成形時に
大部分の水分は抜けているもの、成形体をそのまま焼結
すると、焼結後の焼結体の残留酸素量及び残留炭素量が
増加するので、焼結前に乾燥処理を行なうことが望まし
い。乾燥処理は、その処理のみを単独で行なってよい
し、焼結と同一炉内で焼結の前処理として行ない引続き
焼結することもできる。また、乾燥方法は特に限定しな
いが、例えば、昇温乾燥方法や冷凍真空乾燥方法などが
適用できる。昇温乾燥方法で行う場合、昇温温度は選定
した水の添加量に応じて変動するが、少なくとも20℃
〜100℃までの昇温速度を30〜60℃/hrにする
ことが好ましく、30℃/hr未満では成形体が酸化す
る恐れがあり、60℃/hrを超えると水の急激な気化
蒸発のため、成型体が破壊、形状崩れを起こす恐れがあ
るため好ましくない。乾燥雰囲気は、混練物の酸化を抑
制するために、1×10-3Torrより高真空が好まし
い。
【0018】冷凍真空乾燥方法で行なう場合は、冷却速
度は特に限定しないが、冷却速度が遅いと冷却途中に成
形体の酸化が進行する恐れがあるため、冷却速度は早い
方が好ましい。また冷却温度は、−5℃以下〜−100
℃が好ましい。−5℃よりも高温では乾燥に長時間を有
するため好ましくなく、また、−100℃より低温では
冷凍に要する電力量が急激に増大するため好ましくない
ためである。さらに、真空乾燥時の真空度は酸化を抑制
するためには、1×10-3Torrより高真空が好まし
く、また冷凍真空乾燥後は処理品をゆっくりと室温まで
戻すとよい。
【0019】なお、混練物及び成形体を室温で長時間放
置すると、時間の経過とともに合金粉末とバインダー中
の水とが反応し、酸化が進行する恐れがあるので、成形
または乾燥は混練または成形後にできるだけ早く行なう
のが最も望ましいが、保存する場合は、混練物及び成形
体を0℃以下の温度に冷凍して保存することが望まし
い。冷凍保存であれば、合金粉末と氷とは反応し難いた
め、時間の経過に関係なく混練物及び成形体の酸素量は
ほとんど増加しないので、円滑な工程進行に有効であ
る。
【0020】成形後の工程、すなわち、焼結、熱処理な
ど条件、方法は公知のいずれの粉末冶金的手段を採用す
ることができる。以下に好ましい条件の一例を示す。焼
結前には、真空中で加熱する一般的な方法や、水素流気
中、あるいは水素と不活性ガスの混合雰囲気中で300
〜500℃までを50〜300℃/時間で昇温するか、
あるいは300〜500℃で1〜2時間程度保持する方
法などにより脱バインダー処理を行なうことが好まし
い。脱バインダー処理を施すことにより、バインダー中
のほぼ全炭素が脱炭され、磁気特性の向上に繋がる。な
お、R元素を含む合金粉末は、水素を吸蔵しやすいため
に、水素流気中での脱バインダー処理後には脱水素処理
工程を行なうことが好ましい。脱水素処理は、真空中で
昇温速度は、50〜200℃/時間で昇温し、500〜
800℃で1〜2時間程度保持することにより、吸蔵さ
れていた水素はほぼ完全に除去される。なお脱水素処理
後は、引き続いて昇温加熱して焼結を行うことが好まし
く、500℃を超えてからの昇温速度は任意に選定すれ
ばよく、例えば100〜300℃/時間など、焼結に際
して取られる公知の昇温方法を採用できる。脱バインダ
ー処理後の成形品の焼結並びに焼結後の熱処理条件は、
選定した合金粉末組成に応じて適宜選定されるが、焼結
並びに焼結後の熱処理条件としては、1000〜118
0℃、1〜2時間保持する焼結工程、450〜800
℃、1〜8時間保持する時効処理工程などが好ましい。
【0021】
【作用】この発明は、R−Fe−B系合金粉末にメチル
セルロースおよび/またはポリアクリルアミドと水とか
らなるバインダーを添加、混練した混練物を、磁場中で
湿式成形して得られた成形体を用いて、焼結、熱処理す
る粉末冶金法によりR−Fe−B系焼結異方性永久磁石
を製造することにより、湿式成形時に有機溶媒を使用す
ることなく、成形体密度のバラツキの防止及び磁場配向
性の向上を図り、特に、従来では製造不可能であった寸
法の大きな焼結磁石を容易に製造することができる。ま
た、この発明における成形体を、焼結前に脱バインダー
処理することにより、バインダー中のほぼ全炭素が脱炭
され、残留酸素量、残留炭素量を抑制した磁気特性に優
れるR−Fe−B系焼結異方性永久磁石を提供すること
ができる。
【0022】詳述すると、一般にフェライト磁石の製造
において、湿式成形が採用されていることはよく知られ
ている。フェライト磁石の場合は、粉末の粒径がR−F
e−B系合金粉末の場合に比べ非常に細かい(例えば1
μm以下)ので、上記のようなバインダーを添加しなく
ても十分な強度を有する成形体を得ることができる。し
かし、R−Fe−B系合金粉末は、空気中で酸化し易い
希土類元素及び鉄を主成分として含有するので、完全な
無酸素状態であれば超微細な粒径にまですることが可能
ではあるものの、実際の量産レベルでは、完全な無酸素
状態を確保することはまず不可能であることから、例え
ば1μm以下程度に粉砕すると、わずかな酸素に触れる
だけでも急激な酸化反応を起こし、時には粉末が発火す
る恐れもあり、また粉末が酸化すると焼結後の磁気特性
が大幅に劣化することから、作業性、安全性を考慮し、
通常は2〜10μm程度の粒径で取り扱われている。
【0023】すなわち、R−Fe−B系合金粉末はフェ
ライト磁石のように粉末の粒径が超微細ではないので、
合金粉末に水を添加するだけでは、十分な成形体強度を
得ることができず、特に成形体の寸法が大きくなると、
成形後の取り出し時にカケやワレを起こしたり、脱水処
理後に簡単に崩壊するなど、作業時のハンドリングが極
めて悪化する。そこで、この発明によれば、R−Fe−
B系合金粉末に、メチルセルロースおよび/またはポリ
アクリルアミドと水とからなるバインダーを添加、混練
してスラリー状あるいは粘土状の混練物となした後、該
混練物を磁場中で湿式成形することにより、R−Fe−
B系合金粉末とバインダーとの反応が抑制され、寸法の
大きいものを成形しても、成形体密度がばらついたり、
磁場配向時の配向性の低下がないすぐれた強度を有する
成形体を得ることができ、その成形体を焼結、あるいは
焼結後熱処理することにより、優れた磁気特性を有する
R−Fe−B系焼結異方性永久磁石が得られる。
【0024】
【実施例】
実施例1 Rとして、Nd13.3原子%、Pr0.31原子%、
Dy0.28原子%、Co3.4原子%、B6.5原子
%、残部Fe及び不可避的不純物からなる原料を、Ar
ガス雰囲気中で高周波溶解して、ボタン状溶製合金を得
た。次に、該合金を粗粉砕した後、ジョークラッシャー
などにより平均粒度約15μmに粉砕し、さらに、ジェ
ットミルにより平均粒度3μmの粉末を得た。該粉末に
表1のNo.1〜3に示す種類及び添加量のバインダ
ー、水、滑剤、消泡剤を添加して室温でボールミルによ
り混練し、得られたスラリーを磁場プレス機を用いて、
磁場強度15kOe、圧力1Ton/cm2で直径30
mm×厚み20mmの円柱形状と、外径60mm×内径
50mm×幅70mm×高さ30mmの円弧形状とを湿
式成形した。なお、円弧形状のものについては、円弧面
に垂直にラジアル方向に配向しながら成形した。得られ
た成形体を外観検査した結果、成形体にワレ、ヒビなど
は全く見られなかった。上記の円柱形状と円弧形状の成
形体を真空中で20℃〜100℃までの昇温速度を50
℃/時で加熱して、100℃で24時間保持する乾燥処
理を行なった後冷却し、次に、水素雰囲気中で室温から
400℃までを昇温速度100℃/時で加熱する脱バイ
ンダー処理を行ない、引き続いて真空中で1100℃ま
で昇温し1時間保持する焼結を行ない、さらに焼結完了
後、Arガスを導入して7℃/分の速度で800℃まで
冷却し、その後100℃/時の速度で冷却して550℃
で2時間保持して時効処理を施した。得られた焼結体を
外観検査したが、ワレ、ヒビ、変形などは全く見られな
かった。得られた円柱形状の焼結磁石の残留酸素量、残
留炭素量、磁気特性を表2のNo.1〜3に示す。ま
た、得られた円弧形状の焼結体を20個に分割し、その
各々についての焼結密度を測定した結果、焼結体密度の
バラツキはなかった。その結果を表2に示す。
【0025】実施例2 実施例1と同様の粉末に、表1のNo.4に示す種類及
び添加量のバインダー、水、滑剤、消泡剤を添加して室
温でボールミルにより混練し、得られたスラリーを、温
度を70℃に保持した磁場プレス機の金型に投入し、磁
場強度15kOe、圧力0.1Ton/cm2で30秒
保持してゲル化させるとともに磁場配向し、直径40m
m×厚み5mmの円板形状に成形した。得られた成形体
を実施例1と同一条件にて乾燥、脱バインダー、焼結、
熱処理して焼結体を得た。得られた焼結体を外観検査し
たが、ワレ、ヒビ、変形などは全く見られなかった。得
られた焼結磁石の残留酸素量、残留炭素量、磁気特性を
表2のNo.4に示す。
【0026】比較例1 実施例1と同様の粉末を用いて、磁場プレス機を用い
て、磁場強度15kOe、圧力1Ton/cm2で10
mm×15mm×10mmの形状に乾式成形した。得ら
れた成形体を真空中で1100℃まで昇温し1時間保持
する焼結を行ない、さらに焼結完了後、Arガスを導入
して7℃/分の速度で800℃まで冷却し、その後10
0℃/時の速度で冷却して550℃で2時間保持して時
効処理を施した。得られた比較例焼結磁石の残留酸素
量、残留炭素量、磁気特性を表2のNo.5に示す。
【0027】表2から明らかなように、この発明の湿式
成形により得られた焼結磁石は、従来の乾式成形による
焼結磁石とほぼ同等の磁気特性が得られる。また、焼結
体中の各部における密度のバラツキも認められなかっ
た。これはこの発明による方法、すなわち、R−Fe−
B系合金粉末とメチルセルロースおよび/またはポリア
クリルアミドと水とからなる混練物を磁場中で湿式成形
して得られた成形体の成形体密度にバラツキがないこと
を裏付けている。さらに、このように、湿式成形によっ
ても、従来と変わらない磁気特性、残留酸素量、残留炭
素量が得られるのは、合金粉末に添加、混合するメチル
セルロースおよび/またはポリアクリルアミドと水とか
らなるバインダーと該合金粉末とが反応し難く、焼結後
の焼結体の残留酸素量、残留炭素量を増加させないため
である。また、乾燥処理により予め成形体中の水分を除
去し、さらに焼結前に脱バインダー処理を施すことによ
り、焼結後の焼結体の残留酸素量、残留炭素量をさらに
低減させることができる。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】この発明によれば、R−Fe−B系合金
粉末に、メチルセルロースおよび/またはポリアクリル
アミドと水とからなるバインダーを添加、混練してスラ
リー状あるいは粘土状となしてR−Fe−B系合金粉末
とバインダーとの反応が抑制された混練物を、磁場中で
湿式成形して得られた成形体を用いて、焼結、熱処理す
る粉末冶金法にてR−Fe−B系焼結異方性永久磁石を
製造することにより、湿式成形時に有機溶媒を使用する
ことなく、成形体密度のバラツキの防止及び磁場配向性
の向上を図り、特に、従来では製造不可能であった寸法
の大きな焼結磁石を容易に製造することができる。ま
た、乾燥処理により予め成形体中の水分を除去し、さら
に焼結前に脱バインダー処理することにより、バインダ
ー中のほぼ全炭素が脱炭され、焼結体の各部における密
度のバラツキがなく、残留酸素量、残留炭素量を抑制し
た磁気特性に優れた焼結磁石を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/053 1/08 7/02 C H01F 1/08 B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R−Fe−B系合金粉末(RはYを含む
    希土類元素の少なくとも1種)に、メチルセルロースお
    よび/またはポリアクリルアミドと水とからなるバイン
    ダーを添加、混練して混練物となした後、該混練物を磁
    場中で湿式成形して得られた成形体を用いて、焼結、熱
    処理する粉末冶金法によりR−Fe−B系焼結異方性永
    久磁石を製造することを特徴とするR−Fe−B系焼結
    異方性永久磁石の製造方法。
JP5350284A 1993-12-27 1993-12-27 R−Fe−B系焼結異方性永久磁石の製造方法 Pending JPH07201619A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5350284A JPH07201619A (ja) 1993-12-27 1993-12-27 R−Fe−B系焼結異方性永久磁石の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5350284A JPH07201619A (ja) 1993-12-27 1993-12-27 R−Fe−B系焼結異方性永久磁石の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07201619A true JPH07201619A (ja) 1995-08-04

Family

ID=18409457

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5350284A Pending JPH07201619A (ja) 1993-12-27 1993-12-27 R−Fe−B系焼結異方性永久磁石の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07201619A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009116539A1 (ja) * 2008-03-18 2009-09-24 日東電工株式会社 永久磁石及び永久磁石の製造方法
WO2018079755A1 (ja) * 2016-10-28 2018-05-03 株式会社Ihi 希土類永久磁石および希土類永久磁石の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009116539A1 (ja) * 2008-03-18 2009-09-24 日東電工株式会社 永久磁石及び永久磁石の製造方法
JP2009224670A (ja) * 2008-03-18 2009-10-01 Nitto Denko Corp 永久磁石及び永久磁石の製造方法
CN101978445A (zh) * 2008-03-18 2011-02-16 日东电工株式会社 永久磁铁及永久磁铁的制造方法
WO2018079755A1 (ja) * 2016-10-28 2018-05-03 株式会社Ihi 希土類永久磁石および希土類永久磁石の製造方法
JP2018074004A (ja) * 2016-10-28 2018-05-10 株式会社Ihi 希土類永久磁石および希土類永久磁石の製造方法
CN109891524A (zh) * 2016-10-28 2019-06-14 株式会社Ihi 稀土永磁体以及稀土永磁体的制造方法
CN109891524B (zh) * 2016-10-28 2021-07-23 株式会社Ihi 稀土永磁体以及稀土永磁体的制造方法
US11264154B2 (en) 2016-10-28 2022-03-01 Ihi Corporation Rare earth permanent magnet and rare earth permanent magnet manufacturing method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0239031B2 (en) Method of manufacturing magnetic powder for a magnetically anisotropic bond magnet
WO2015198396A1 (ja) 希土類磁石成形体の製造方法
CN112119475B (zh) 稀土烧结永磁体的制造方法
JPS6325904A (ja) 永久磁石およびその製造方法並びに永久磁石製造用組成物
JPH0424401B2 (ja)
JPH04245403A (ja) 希土類−Fe−Co−B系異方性磁石
JPH0320046B2 (ja)
JP4798357B2 (ja) 希土類焼結磁石の製造方法
JPH07201619A (ja) R−Fe−B系焼結異方性永久磁石の製造方法
JP3229435B2 (ja) 射出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法
JP2006100433A (ja) 希土類焼結磁石の製造方法
KR900006533B1 (ko) 이방성 자성분말과 이의 자석 및 이의 제조방법
JP3174442B2 (ja) R−Fe−B系焼結異方性永久磁石の製造方法
JPH08107034A (ja) R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法
JP3170156B2 (ja) 等方性造粒粉の製造方法
JP3174443B2 (ja) 射出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法
JP3540389B2 (ja) R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法
JPH0480961B2 (ja)
JPH0480962B2 (ja)
JP2006299402A (ja) R−t−b系焼結磁石用原料合金、r−t−b系焼結磁石及びその製造方法
JP3338590B2 (ja) 射出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法
CN113571280A (zh) 钕铁硼磁体粗粉助剂及制备方法、用途和磁体的制备方法
JP3078633B2 (ja) 焼結異方性磁石の製造方法
JPH04214804A (ja) 希土類・鉄・ボロン系永久磁石用合金粉末の成型方法
JPH0888111A (ja) R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法