JP3174443B2 - 射出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

射出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法

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JP3174443B2 JP29746193A JP29746193A JP3174443B2 JP 3174443 B2 JP3174443 B2 JP 3174443B2 JP 29746193 A JP29746193 A JP 29746193A JP 29746193 A JP29746193 A JP 29746193A JP 3174443 B2 JP3174443 B2 JP 3174443B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、射出成形によリR−
Fe−B系焼結異方性永久磁石を製造する方法に係り、
R−Fe−B系合金粉末とバインダーとしてポリアクリ
ルアミドと水またはポリアクリルアミドとメチルセルロ
ースを複合したものと水との混練物を射出成形し、脱水
処理、脱バインダー処理後、焼結し、焼結体中の炭素と
酸素の残留を抑制し、磁気特性の劣化防止とともに、射
出成形時の成形性を向上させ、三次元的に複雑な形状の
焼結磁石が得られる射出成形法によるR−Fe−B系焼
結磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、家電製品を初めコンピュータの周
辺機器や自動車等用途に用いられる小型モーターやアク
チュエータ等には、小型化、軽量化とともに高性能化が
求められており、その磁石材料も小型化、軽量化、薄肉
化からさらに磁石材料表面の所定位置に凹凸を設けた
り、貫通孔を設ける等、三次元的に複雑な形状製品が要
求されている。高性能永久磁石として、R−Fe−B系
焼結永久磁石が提案(USP 4,770,223、特
開昭59−46008号公報、特公昭61−34242
号公報)され、また、R−Fe−B系ボンド磁石も提案
(USP 4,902,361)されている。
【0003】上記R−Fe−B系焼結永久磁石及びR−
Fe−B系ボンド磁石ともに、通常、製造工程中に磁場
中のプレス成形を含むことから、単純形状の成形品しか
得られなかった。しかし、最近の種々形状の要求に対応
するために、従来から多くの技術分野において採用され
ている射出成形法を、上記R−Fe−B系焼結永久磁石
の製造方法に採用することが検討されている。例えば、
R−Fe−B系合金鋳塊を粉砕して得られた合金粉末と
ポリエチレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を含有す
るバインダーを混練して射出成形し、脱バインダー後に
焼結するR−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法(特開
昭61−220315号公報、特開昭64−28302
号公報、特開昭64−28303号公報)が提案されて
いる。又、バインダーとしてパラフィン系ワックスを用
いた射出成形法を採用したR−Fe−B系焼結永久磁石
の製造方法(特開昭64−28302号公報)が提案さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一般に、希土
類元素(R)を含有する金属間化合物はO、H、C、N
等の元素と反応し易く、上記の射出成形法で使用されて
いる熱可塑性樹脂やパラフィン系ワックス等のバインダ
ーをR−Fe−B系合金粉末に添加混合した場合、一般
的にバインダー中の炭素と酸素の含有量がRとの反応に
より増加するために、射出成形、脱バインダー後、及び
焼結後でもかなりの炭素と酸素が残留し、特に永久磁石
の場合は磁気特性の劣化を招き、射出成形法による複雑
形状品の磁石部品への応用の妨げになっている。また、
従来の射出成形法で使用されている上記のバインダー
は、合金粉末と混合した後、射出成形機内でバインダー
の融点、すなわち100℃〜200℃程度まで加熱して
バインダーを溶解させていたが、R−Fe−B系永久磁
石のキュリー温度(Tc)は300℃〜350℃程度で
あることから、磁場中配向させる際にキュリー温度近く
まで加熱すると配向が困難になり、また配向に大きな着
磁電流を必要とする問題があった。
【0005】そこで、溶解温度が低いバインダーを検討
すると、従来、Co系スーパーアロイ粉末を対象とした
圧縮成形用のバインダーとして、対象合金粉末に対し
て、1.5〜3.5wt%のメチルセルロースとさらに
所定量の添加物であるグリセリンとほう酸を混合した組
成が提案(USP 4,113,480)され、また、
23−ZrO2やアルミナ粉末を対象とした射出成形
用のバインダーとして、対象合金粉末に対して10〜5
0wt%のアガロースや寒天にさらに脱イオン水とグリ
コールを加えた混合物が提案(USP 4,734,2
37)され、さらに、工具用合金粉末の射出成形用のバ
インダーとして、特殊組成からなり、対象合金粉末に対
して0.5〜2.5wt%のメチルセルロースに水、グ
リセリン等の可塑剤、ワックスエマルジョン等の滑剤、
離型剤を添加した組成が提案(特開昭62−37302
号公報)されている。
【0006】しかし、上述のメチルセルロースや寒天を
主体とするバインダーは、所定の流動性と成形体強度を
確保するためいずれも対象合金粉末に対して、上記のよ
うに比較的多量に使用するもので、しかも種々のバイン
ダー添加剤の添加、例えばグリセリン等の可塑剤をメチ
ルセルロースと同量程度添加することが不可欠であるた
め、やはり、射出成形、脱脂した後、焼結後でもかなり
の炭素と酸素が残留し、特にこの発明の対象とするR−
Fe−B系焼結永久磁石の場合、磁気特性の劣化を招
き、射出成形法による複雑形状品の磁石部品への応用の
妨げとなっている。
【0007】この発明は、射出成形にて成形し、これを
焼結するR−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法におい
て、R成分とバインダーとの反応や、成形体中に残留す
る炭素および酸素による磁気特性の劣化を防止し、磁場
中での射出成形時に大きな着磁電流を必要とせず、射出
成形性を向上させて複雑な形状、特に小型製品のR−F
e−B系焼結異方性磁石が得られる射出成形法によるR
−Fe−B系焼結磁石の製造方法の提供を目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、射出成形時
の金型温度を100℃以下にでき、R−Fe−B系合金
粉末中のR成分とバインダーとの反応を抑制でき、残留
する炭素および酸素量を低減できるバインダーとしてポ
リアクリルアミドまたはポリアクリルアミドとメチルセ
ルロースを選定した。さらに、R−Fe−B系合金粉末
への適用を検討した結果、所定の平均粒度からなるR−
Fe−B系合金粉末であれば、水分を多量に含む割に
は、ポリアクリルアミドの量を0.4wt%としても射
出成形時の流動性と成形体強度が得られることを知見
し、また、ポリアクリルアミドに0.5wt%以下のメ
チルセルロースを粘度強化剤として複合添加することに
より、ポリアクリルアミドの量を低減できることを知見
した。これら所定量以下のポリアクリルアミドやメチル
セルロースだけでなく、必要に応じて使用する滑剤も
0.2wt%以下と極少量でよいことを知見した。
【0009】すなわち、発明者らは、R−Fe−B系合
金粉末中のR成分とバインダーとの反応を抑制でき、成
形体中に残留する炭素および酸素量を低減できる方法を
目的に種々検討した結果、従来の射出成形法で一般的に
使用されている熱可塑性のバインダーの代わりに、R−
Fe−B系合金粉末にバインダーとして、水に溶解させ
ると粘性が高くなるポリアクリルアミドと水、またはポ
リアクリルアミドと所定温度によりゾル・ゲル変態を起
こすメチルセルロースとを複合したものと水、あるいは
さらに少量の滑剤を使用することにより、バインダーの
大部分が水分であるにもかかわらず、十分な粘弾性を得
ることができるため、総バインダー中の炭素量を大幅に
低減できること、射出成形時の成形性を向上させるとと
もに射出成形時に100℃以下で金型内でゲル化させて
硬化させ所定の形状に成形可能であること、さらに脱水
処理、またそれに続く脱バインダー処理により、成形体
中に残留するほぼ全ての酸素及び炭素を除去することが
できること、引き続く焼結後に得られる焼結体における
残留酸素量・炭素量を大幅に減少でき、優れた磁気特性
を有する3次元的に複雑な形状の焼結磁石が得られるこ
とを知見し、この発明を完成した。
【0010】すなわち、この発明は、R−Fe−B系合
金粉末(RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1
種)に、バインダーとしてポリアクリルアミドと水また
はポリアクリルアミドとメチルセルロースを複合したも
のと水を加えて混練した後、磁場中で射出成形により成
形体となし、該成形体を脱水処理した後、さらに脱バイ
ンダー処理し、焼結することを特徴とする射出成形法に
よるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法である。
【0011】また、この発明は、上記の構成において、
バインダーが、ポリアクリルアミド0.02〜0.4w
t%を主成分とし、粘度強化剤としてメチルセルロース
0.1〜0.5wt%、さらに必要に応じて、滑剤とし
てグリセリン、ワックスエマルジョン、ステアリン酸、
水溶性アクリル樹脂のうち1種以上を0.2wt%以
下、さらに、水5〜16wt%からなることを特徴とす
る射出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法
である。
【0012】R−Fe−B系合金粉末 この発明において、R−Fe−B系合金粉末としては、
R(但しRはYを含む希土類元素のうち少なくとも1
種)8原子%〜30原子%、Fe42原子%〜90原子
%、B2原子%〜28原子%を主成分とする合金粉末が
好ましい。
【0013】希土類元素Rは、Nd、Pr、Ho、Tbのうち少
なくとも1種、あるいはさらにLa、Sm、Ce、Er、Eu、P
m、Tm、Yb、Yのうち少なくとも1種を含むものが好まし
く、Rは、8原子%未満では結晶構造がα-鉄と同一構造の
立方晶組織となるため、高磁気特性、特に高保磁力が得
られず、30原子%を越えるとRリッチな非磁性相が多くな
り、残留磁束密度(Br)が低下して、すぐれた特性の永久
磁石が得られない。よって、Rは8原子%〜30原子%が好ま
しい範囲である。
【0014】Bは、2原子%未満では菱面体組織とな
り、高い保磁力(iHc)は得られず、28原子%を越
えるとBリッチな非磁性相が多くなり、残留磁束密度
(Br)が低下するため、すぐれた永久磁石が得られな
い。よって、Bは2原子%〜28原子%が好ましい範囲
である。
【0015】Feは、42原子%未満では残留磁束密度
(Br)が低下し、90原子%を越えると高い保磁力が
得られないので、Feは42原子%〜90原子%の含有
が好ましい。また、この発明において、Feの一部をC
oで置換することは、得られる磁石の磁気特性を損うこ
となく温度特性を改善することができるが、Co置換量
がFeの50%を越えると、逆に磁気特性が劣化するた
め好ましくない。
【0016】また、下記添加元素のうち少なくとも1種
を添加することは、Fe−B−R系永久磁石に対してそ
の保磁力(iHc)等を改善あるいは製造性の改善、低
価格化に効果がある。 Ti、Ni、V、Nb、Ta、
Cr、Mo、W、Mn、Al、Sb、Ge、Sn、Z
r、Bi、Hf、Cu、Si、S、C、Ca、Mg、
P、H、Li、Na、K、Be、Sr、Br、Ag、Z
n、N、F、Se、Te、Pb。しかし、必要以上の添
加は残留磁束密度(Br)の低減を招き、最大エネルギ
ー積を低下させることから、通常合計量で10at%以
下が望ましく、添加元素に応じて合計量を5at%以
下、3at%以下等を適宜選定することが望ましい。
【0017】上記の合金粉末の場合、その平均粒度は1
〜10μmが好ましい。合金粉末の平均粒径が1μm未
満では混練物とするためのバインダー添加量を、合金粉
末の表面積を増大させるため、合金粉末との容積比で、
1:1.2に増加させる必要があり、射出成形後の焼結
品の焼結密度が95%程度と低下するため好ましくな
く、また、10μmを超える平均粒径では粒径が大きす
ぎて焼結密度が95%程度で飽和し、該密度の向上が望
めないため好ましくない。特に望ましい平均粒度の範囲
は1〜6μmである。
【0018】また、R−Fe−B系合金粉末として、R
(但しRはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)
12原子%〜25原子%、B4原子%〜10原子%、C
o0.1原子%〜10原子%、Fe68原子%〜80原
子%を主成分とし、R2Fe14B相を主相とする平均粒
径1〜5μmの主成分系合金粉末と、R3Co相を含む
Co又はFeとRとの金属間化合物相に一部R2(Fe
Co)14B相等を含み、R(但しRはYを含む希土類元
素の内少なくとも1種)20原子%〜45原子%、Co
3原子%〜20原子%、B12原子%以下、残部Feと
する平均粒径8〜40μmの液相系化合物粉末を所定の
割合で配合混合した原料を用いることができる。
【0019】これらの合金粉末を用い2種類の原料の平
均粒度を変えると同時に、希土類元素の酸化物の発生を
見込んで予め過剰のR成分を添加することにより、過剰
の液相系化合物粉末の添加により焼結時の液相の発現を
充分にすることが可能で、R成分とバインダーとの反応
による磁気特性の劣化を防止することができる。
【0020】上記の配合合金粉末において、主成分系合
金粉末を得るには、Rは、12原子%未満では合金溶製
時に晶出するα−Fe相が増加し好ましくなく、Rが2
5原子%を超えると残留磁束密度(Br)が低下するた
め、Rは12原子%〜25原子%が好ましい。また、B
は、4原子%未満では高い保磁力(iHc)が得られ
ず、10原子%を超えると残留磁束密度(Br)が低下
するため、Bは4原子%〜10原子%が好ましい。主成
分系合金粉末中のCoは、0.1原子%以上含有する
と、原料中の酸素量を低減させる効果がある。またCo
が10原子%を超えると、R2Fe14B相中のFeと置
換されて保磁力を失うために、Coを含有させる場合は
0.1原子%〜10原子%が好ましい。さらに、残部は
Feおよび不可避的不純物からなり、Feは68原子%
未満では相対的に希土類元素がリッチとなり、Rリッチ
相が増加し、80原子%を超えると残留Fe部が増加し
すぎて、相対的に希土類元素が少なくなり、バインダー
との酸化反応により、液相焼結に必要な希土類元素が消
耗しすぎるため、68原子%〜80原子%の範囲が好ま
しい。主成分系合金粉末には、主相となるR2Fe14
相とともに、焼結性の向上及び焼結後の残留磁束密度の
向上のため、4wt%〜20wt%のRリッチ相を含有
させることができる。
【0021】R3Co相を含むCo又はFeとRとの金
属間化合物相(但しCoの1部あるいは大部分をFeに
て置換できる)からなる液相系化合物粉末は、R3Co
相あるいはR3Co相のCoの一部Feで置換された相
とからなり、中心相が、RCo5、R2Co7、RCo3
RCo2、R2Co3、R2Fe17、RFe2、Nd2
17、Nd5Co19、Dy6Fe2、DyFe等、及び前
記金属間化合物相とR2(FeCo)14B、R1.11(F
eCo)44等のいずれかからなる合金粉末である。
【0022】液相系化合物粉末の組成は、前述の如く、
目的組成の希土類元素の種類とその量に応じて、金属間
化合物の含有希土類元素比率を変化させる。しかし、R
が20%原子未満では主成分系原料と配合して磁石を製
造する際に、主成分系のRの一部酸化によるRの消耗分
の補充が充分でなく、焼結時の液相の発現が十分でなく
なる。また45原子%を超えると含有酸素量の増加を招
き好ましくない。また、Coは前記の化合物を形成させ
るためには3原子%以上必要であり、20原子%を超え
ると保磁力が低下するため、3〜20原子%とし、残部
はFeで置換することができる。さらに、Bは12原子
%を超えるとR2(FeCo)14B相以外にB−ric
h相やFe−B化合物等が余剰に存在することとなるの
で好ましくない。さらに、主成分系合金粉末および/ま
たはR3Co相を含むCo又はFeとRとの金属間化合
物相及びR2(FeCo)14B相等からなる液相系化合
物粉末に、Cu、S、Ni、Ti、Si、V、Nb、T
a、Cr、Mo、W、Mn、Al、Sb、Ge、Sn、
Zr、Hf、Ca、Mg、Sr、Ba、Be、のうち少
なくとも1種を添加含有させることにより、得られる永
久磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可
能になる。
【0023】上記の配合合金粉末において、主成分系合
金粉末の平均粒径が1μm未満では合金粉末の表面積が
増大するため、混練物とするためのバインダー添加量を
合金粉末との容積比で、1:1.2に増加させる必要が
あり、射出成形後の焼結品の焼結密度が95%程度と低
下するため好ましくなく、また、5μmを超える平均粒
径では粒径が大きすぎて焼結密度が95%程度で飽和
し、該密度の向上が望めないため、平均粒径は1〜5μ
mの範囲が好ましい。
【0024】一方、液相系化合物粉末の平均粒径は、8
μm未満ではバインダーとの反応が単一組成の合金粉末
(1〜5μmの平均粒径)と同程度であり、主成分系粉
末への添加の効果がほとんど見られない。また合金粉末
の平均粒径が、40μmを超えるとバインダーとの反応
はかなり抑制されるが、逆に焼結時の焼結性が悪化し、
焼結密度が低下すると同時に保磁力が低下するので、液
相系の合金粉末の平均粒径は8〜40μmが好ましい。
また、主成分系合金粉末と液相系化合物粉末は、70〜
99:30〜1の比率で配合することができ、さらに7
0〜97:30〜3が好ましく、磁石特性に応じた複数
種組成の合金粉末を得ることができる。
【0025】上述したR−Fe−B系合金粉末の製造方
法としては、溶解・粉化法、超急冷法、直接還元拡散
法、水素含有崩壊法、アトマイズ法等の公知の方法を適
宜選定し、所要粒度の合金粉末を得ることができる。い
ずれのR−Fe−B系合金粉末を用いても、平均粒度を
それぞれ好ましい範囲とすることにより、一般的な射出
成形用の遷移金属粉末、例えばFe基合金粉末やCo基
合金粉末等の場合よりも、平均粒度が数分の1から10
分の1程度となり、該遷移金属粉末を射出成形する際に
用いるバインダーの添加量よりも、大幅にバインダーの
添加量を低減することができる。
【0026】この発明において、上述の合金粉末に樹脂
を被覆すると、バインダー混練後の水とのR元素の反
応、成形時のゲル化段階及び射出成形後の脱水処理時の
水とのR元素の反応を抑え、残留酸素量の安定化及び低
減化を図ることができる。樹脂としては、ポリメチルメ
タクリレート(PMMA)、ポリメチルアクリレート
(PMA)などのメタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポ
リスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエ
チレン、ポリアクリロニトリルなどの熱可塑性樹脂の単
独または複合したものを用いることが好ましい。
【0027】樹脂の添加量は、合金粉末に対して0.3
0wt%以下が好ましい、これは樹脂の被覆膜厚が50
Å〜200Åに相当し、0.30wt%を超えると被覆
樹脂からの残留酸素量が増加するために好ましくない。
しかし被覆樹脂の炭素は、後述する水素流気中での脱バ
インダー処理によりほぼ完全に除去できるので、被覆樹
脂の添加量を増やしても残留炭素量は増加しない。被覆
の方法は、通称メカノフュージョンシステムあるいはハ
イブリダイゼーションシステムと呼ばれる方法やボール
ミルを用いる方法であり、被覆用樹脂粉末の粒径として
は1000Å〜5000Å位が好ましい。このように樹
脂被覆した合金粉末は、残留酸素量の点で比較的安定で
あるために、射出成形時のリサイクルが可能であるとい
う利点がある。また樹脂被覆した合金粉末では、混練時
に滑剤を添加しなくても射出成形できる利点もある。
【0028】さらに、原料粉末が、主成分系合金粉末
と、R3Co相を含むCo又はFeとRとの金属間化合
物相及びR2(FeCo)14B相等からなる液相系化合
物粉末の場合は、主成分系合金粉末および/または液相
系化合物粉末に上記の樹脂被覆を行うことができ、さら
には主成分系合金粉末に液相系化合物粉末をメカノフュ
ージョンシステムで被覆した後、上記の樹脂被覆を行う
こともでき、上述と同様の作用効果が得られる。
【0029】バインダー成分 この発明において、射出成形用のバインダーには、水に
溶解させると粘性が高くなるポリアクリルアミドまたは
該ポリアクリルアミドと所定温度によりゾル・ゲル変態
を起こすメチルセルロースを複合したものに水を添加し
たものを用いる。バインダーとして、ポリアクリルアミ
ドを単独で用いる場合の含有量は、0.02wt%未満
では成形時の強度が著しく低下し、また0.4wt%を
越えると、残留炭素量と酸素量が増加して保磁力が下が
り磁気特性が劣化するので、0.02wt%〜0.4w
t%の含有量がこれらの点で好ましい。さらに含有量
は、0.1wt%〜0.3wt%が好ましく、0.15
wt%〜0.25wt%が最も好ましい。またポリアク
リルアミドとメチルセルロースを複合して用いる場合
は、0.05wt%未満になると成形時の強度が著しく
低下するとともに成形金型と成形体との離型性が悪化す
るため好ましくなく、また、0.5wt%を超えると焼
結後の焼結密度が低下するとともに残留炭素量と酸素量
が増加して得られる磁石の特性が劣化し好ましくないた
め、0.05wt%〜0.5wt%が好ましい。但し、
この場合のポリアクリルアミドの含有量は、上述したポ
リアクリルアミドを単独で含有する場合の範囲を超えて
含有することは望ましくなく、また、合計の含有量も
0.45wt%以下、0.4wt%以下が望ましい。
【0030】この発明において、バインダーとしてポリ
アクリルアミドまたはポリアクリルアミドとメチルセル
ロースを複合したものに水を使用することを特徴とする
が、Rとの反応を抑制するために、脱酸素処理した純水
を使用することが望ましい。ポリアクリルアミドを単独
で用いる場合の水の含有量は5wt%未満では成形時の
強度が低下するとともにショート・ショットが発生しや
すくなり、15wt%を越えると実質総バインダー量が
増加するために、焼結後の焼結密度が低下すると同時に
残留酸素量が増加し、磁気特性が劣化するので、5〜1
5wt%が最も好ましい。またポリアクリルアミドとメ
チルセルロースを複合して用いる場合は、ポリアクリル
アミドとメチルセルロースとの割合を考慮して5〜16
wt%の範囲から適宜選定される。
【0031】また、上述したバインダーにグリセリン、
ワックスエマルジョン、ステアリン酸、水溶性アクリル
樹脂等の滑剤のうち少なくとも1種を添加することも有
効であるが、バインダーにポリアクリルアミドを用いた
場合は、流動性が良好であるため、上記滑剤は必ずしも
必要としない。バインダーにポリアクリルアミドとメチ
ルセルロースを複合して用いる場合は、その割合を考慮
して、0.2wt%以下の滑剤を添加することができ
る。
【0032】射出成形条件 射出条件はバインダーの添加量に応じて変動するが、ポ
リアクリルアミドを単独で用いる場合は、金型温度は8
0℃〜96℃が好ましく、80℃未満では成形体の保形
性が悪くなり、96℃を超えると原料粉末の酸化が著し
くなるため好ましくない。バインダーにポリアクリルア
ミドとメチルセルロースを複合して用いる場合は、金型
温度は60℃〜90℃が好ましく、60℃未満では成形
体の硬化が不十分になり、90℃を超えると原料粉末の
酸化が進行するため好ましくない。
【0033】射出温度は、バインダーが単独または複合
のどちらの場合でも、0〜40℃が好ましく、0℃未満
では混練物が凍ってしまい流動性が低下し、40℃を超
えると流動性が不十分となりショート・ショットが発生
しやすくなるため好ましくない。
【0034】また、射出成形圧力は、10kg/cm2
未満ではウエルドが発生し成形密度が不均一になり、焼
結後に曲がりやうねりが発生し、ポリアクリルアミドを
単独で用いる場合、30kg/cm2を超えるとばりが
発生して好ましくなく、ポリアクリルアミドとメチルセ
ルロースを複合して用いる場合は同様に50kg/cm
2を超えると同様にばりが発生して好ましくないため、
10〜50kg/cm2が好ましい。焼結異方性磁石を
得るための磁場中射出成形時の磁場は、10kOe未満
では配向が不十分なため、10kOe以上の磁場中射出
成形が好ましい。
【0035】脱水処理 脱水処理の方法については特に限定しないが、例えば、
昇温乾燥方法や冷凍真空乾燥方法などが適用できる。脱
水処理を昇温乾燥方法で行う場合、昇温温度は選定した
水の添加量に応じて変動するが、少なくとも20℃〜1
00℃までの昇温速度を30〜60℃/hrにすること
が好ましく、30℃/hr未満では処理品が酸化する恐
れがあり、60℃/hrを超えると水の急激な気化蒸発
のため、処理品にひび、割れを生じるため好ましくな
い。特に処理品が小物である場合は、少なくとも20℃
〜100℃までの昇温速度を45〜55℃/hrにする
とよく、脱水処理がより簡素化できる。
【0036】また、脱水処理を冷凍真空乾燥方法で行な
う場合、冷却速度は特に限定しないが、冷却速度が遅い
と冷却途中に成形体が酸化が進行する恐れがあるため、
冷却速度は早い方が好ましい。また冷却温度は、−5℃
以下〜−100℃が好ましい。−5℃よりも高温では乾
燥に長時間を有するため好ましくなく、また、−100
℃より低温では冷凍に要する電力量が急激に増大するた
め好ましくないためである。さらに、真空乾燥時の真空
度は酸化を抑制するためには、1×10-3Torrより
高真空が好ましく、また冷凍真空乾燥後は処理品をゆっ
くりと室温まで戻すとよい。上述の冷凍真空乾燥方法に
よる脱水処理は、バインダー中の水分子を氷の状態、す
なわち固体状態から一気に気化させて脱水するため、R
−Fe−B系合金粉末中のR成分と水中の酸素との反応
を抑制することができ、成形体中あるいは最終的に得ら
れる焼結体中の残留酸素量を大幅に低減することができ
る。
【0037】脱バインダー処理 脱水処理後の脱バインダー処理は、真空中で加熱する一
般的な方法を用いてもよいが、前記の方法に代えて、水
素流気中で100〜200℃/時間で昇温し、300〜
600℃で1〜2時間程度保持する処理を施すことによ
り、ほぼバインダーあるいは被覆樹脂中の全炭素が脱炭
され、通常のパラフィン系ワックスや熱可塑性樹脂から
なるバインダーの場合に比べて大幅に処理時間を短縮す
ることができる。
【0038】R元素を含む合金粉末は、水素を吸蔵しや
すいために、水素流気中での脱バインダー処理後には脱
水素処理工程が必要である。この脱水素処理は、真空中
で昇温速度は、50〜200℃/時間で昇温し、500
〜800℃で1〜2時間保持することにより、吸蔵され
ていた水素はほぼ完全に除去される。なお脱水素処理後
は、引き続いて昇温加熱して焼結を行うことが好まし
く、500℃を超えてからの昇温速度は任意に選定すれ
ばよく、例えば100〜300℃/時間など、焼結に際
して取られる公知の昇温方法を採用できる。
【0039】特に、この発明においては、ポリアクリル
アミドまたはポリアクリルアミドとメチルセルロースを
複合したものと水からなるバインダーを用いているの
で、元々総バインダー中の有機バインダー量が低減され
ており、加熱時の昇温速度を早く、例えば100〜30
0℃/時間にしても成形体にワレやヒビの発生がなく、
従来のパラフィン系ワックスや熱可塑性樹脂からなるバ
インダーの場合に比べて脱バインダー処理に要する時間
を短縮できる利点がある。
【0040】脱バインダー処理後の成形品の焼結並びに
焼結後の熱処理条件は、選定した合金粉末組成に応じて
適宜選定されるが、従来公知のFe−B−R系焼結永久
磁石の製造条件と同様でよい。好ましい焼結並びに焼結
後の熱処理条件としては、1000〜1180℃、1〜
2時間保持する焼結工程、450〜800℃、1〜8時
間保持する時効処理工程が好ましい。
【0041】この発明においては、焼結体が含有する酸
素量を10000ppm、好ましい条件下において80
00ppmとすることができ、得られる焼結磁石の磁気
特性、特に最大エネルギー積も、10MGOe以上、2
0MGOe以上、30MGOe以上が得られ、特に好ま
しい条件下においては35MGOe以上の優れた磁気特
性が得られる。
【0042】
【作用】この発明の特徴であるポリアクリルアミドは、
水に溶解させると粘性が高くなが、粘度が高いわりに
は流動性に優れており、特に微粉末を吸収、吸着する性
質があり、温度に対して比較的安定であるという特徴を
有する。一方、メチルセルロースは、水に溶解した後約
50℃前後に加熱すると溶解して粘性のあるゾル状物質と
なり、さらに70℃以上に加熱すると弾性のあるゲル状物
質となり、一度ゲル化すると温度の変化にかかわらずゲ
ル状態を維持する。この性質を利用し、バインダーにポ
リアクリルアミドまたはポリアクリルアミドとメチルセ
ルロースとを複合したものを用いることにより、ポリア
クリルアミド単独の場合では、そのすぐれた流動性によ
り、成形金型内における磁場配向性が向上するため、大
きな着磁電流を必要とせず、さらに成形体の強度が向上
するため、複雑な形状や小型製品の焼結磁石を得ること
ができる。また、ポリアクリルアミドとメチルセルロー
スとを複合した場合においては、メチルセルロースの少
量の添加により80℃前後の温度ではゾル状態の粘度を向
上させることができるため、ポリアクリルアミド単独の
場合比べて添加量を大幅に減らすことができ、かつポリ
アクリルアミド単独の場合と同様な効果をも奏すること
ができる。さらに、単独、複合のどちらの場合において
も、射出成形時の金型温度を100℃以下にできるため
に、大きな着磁電流を流さなくても容易に磁場配向がで
き、また、添加量が少量でよいため、総バインダー中の
炭素量を大幅に低減することができ、脱水処理、脱バイ
ンダー処理に要する時間の短縮、工程の簡素化が図れる
とともに、得られる焼結体の残留酸素量、炭素量を大幅
に低減し、優れた磁気特性を有するR-Fe-B系焼結異方性
磁石を提供することが可能になる。
【0043】
【実施例】実施例1 Nd13.3原子%、Pr0.31原子%、Dy0.2
8原子%、Co3.4原子%、B6.5原子%、残部F
eからなる原料を、Arガス中で高周波加熱溶解してボ
タン状溶製合金を作製し、該合金を粗粉砕した後、ジョ
ークラッシャーなどにより平均粒度15μmに粉砕し、
さらにジェットミルにより平均粒度3.0μmの原料粉
末を得た。得られた原料粉末を用いて、表1に示す種類
及び添加量のバインダー、水、添加物を添加して室温で
混練し、得られた混練物を表1に示す射出温度、金型温
度に設定保持して、20mm×20mm×3mmの板に
15kOeの磁場中で射出成形した。なお、添加物には
グリセリンを使用した。得られた成形体を、真空中で室
温から100℃まで昇温速度50℃/時で昇温し、この
温度で1時間保持して完全脱水した後、500℃までの
昇温速度100℃/時で昇温し脱バインダーを行なっ
た。さらに加熱して1100℃で1時間保持して焼結し
た。焼結完了後にArガスを導入して7℃/分の速度で
800℃まで冷却し、その後100℃/時で冷却して5
50℃で2時間保持する時効処理を施した。得られた焼
結体にはワレ、ヒビ、変形等は認められなかった。この
工程によって得られた焼結磁石の特性を表2に示す。
【0044】比較例1 実施例1と同一の原料粉末と、バインダーとしてアクリ
ル系バインダーを容積比1:1で配合し、160℃で1
0分間加熱混練して射出成形用混練物となした後、45
℃に加熱した金型内に磁場強度15kOe中で射出成形
して、長さ10mm×幅10mm×高さ5mmの平板状
の成形体を得た。該成形体を3×10-4Torrの真空
中で、350℃まで6℃/時の昇温速度で昇温する脱バ
インダー処理を行なった後、実施例1と同一条件で焼
結、熱処理して焼結磁石を得た。(比較例1) 得られた比較例1による磁石の磁石特性並びに残留酸素
量、残留炭素量の測定結果を実施例とともに表2に示
す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】実施例2 RとしてNd10.5原子%とPr3.1原子%、B
6.6原子%、Co3.0原子%、残部はFeおよび不
可避的不純物からなるR2Fe14B相とRリッチ相を有
する合金塊をArガス中で高周波加熱溶解して作成した
ボタン状溶製合金を粗粉砕した後、ジョークラッシャー
などにより平均粒径約15μmに粗粉砕し、更にジェッ
トミル粉砕により微粉砕して得た平均粒度3μmの主相
原料粉末と、Nd19.7原子%とPr0.8原子%、
Dy1.1原子%、Co15.0原子%、B4.5原子
%、残部Feからなる合金塊をArガス中で高周波加熱
溶解して作成したボタン状溶製合金をジョークラッシャ
ーなどにより平均粒径約14μmに粗粉砕した液相原料
粉末を重量比85:15の割合で配合し混合した。この
混合粉の分析値は、Nd11.9原子%とPr2.7原
子%、Dy0.15原子%、Co4.8原子%、B6.
3原子%、残部はFeからなるものであった。上記混合
粉を用いて、表1に示す種類及び添加量のバインダー、
水、添加物を添加して室温で混練し、得られた混練ペレ
ットを表1に示す射出温度、金型温度に設定保持して2
0mm×20mm×3mmの板に磁場中(15kOe)
で射出成形した。なお、添加物にはグリセリンを使用し
た。得られた成形体を、真空中で室温から100℃まで
昇温速度50℃/Hで昇温し、この温度で1時間保持し
完全脱水した後、500℃まで昇温速度100℃/Hで
昇温し脱バインダーを行った。更に加熱して1100℃
で1時間保持して焼結した。焼結完了後にArガスを導
入して7℃/分の速度で800℃まで冷却し、その後1
00℃/時間で冷却して550℃、2時間保持する時効
処理を施した。得られた焼結体にはワレ、ヒビ、変形等
は全く見られなかった。この工程によって得られたNd
−Fe−B焼結磁石の特性を表3に示す。
【0048】比較例2 実施例2と同一の原料粉末と、バインダーとしてアクリ
ル系バインダーを容積比1:1で配合し、160℃で1
0分間加熱混練して射出成形用混練物となした後、45
℃に加熱した金型内に磁場強さ15kOe中で射出成形
して、長さ10mm×幅10mm×高さ5mmの平板状
の射出成形体を得た。射出成形体を3×10-4Torr
の真空中で、350℃まで6℃/時間の昇温速度で昇温
する脱バインダー処理した後、実施例1と同一条件で焼
結、熱処理して焼結異方性磁石を得た。(比較例2) 得られた比較例磁石2の磁石特性並びに残留酸素量、残
留炭素量の測定結果を実施例3,4とともに表3に示
す。
【0049】
【表3】
【0050】表2,3から明らかなように従来のアクリ
ル系バインダーを用いた比較例1,2に対して、いずれ
も実施例のほうが残留酸素量、残留炭素量が大幅に減少
しており、磁気特性が格段にすぐれていることがわか
る。また、実施例1の組成のR−Fe−B系磁性粉を用
いた場合よりも、実施例2による平均粒径3μmの主成
分系原料粉末と平均粒径15μmの液相系原料粉末を混
合した混合粉を用いた方が、残留酸素量および残留炭素
量は同程度ながら、磁気特性がかなりすぐれていること
がわかる。これは希土類元素の消耗分を補うように、予
め液相系原料粉末を添加しているために、液相焼結が良
好に進展したものと思われる。
【0051】実施例3 実施例2で得た混合粉末300gに疎水性の平均粒径
0.15μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)
を0.10wt%添加したメカノフュージョンシステム
の容器内に投入し、温度を70℃に保持し、容器の回転
数を最高1800rpmで10分間保持して樹脂被覆
(膜厚約100Å)を行った微粉末の合金粉末を用い、
表1に示す種類及び添加量のバインダー、水、添加物を
添加して室温で混練し、得られた混練ペレットを表1に
示す射出温度、金型温度に設定保持して20mm×20
mm×3mmの板に磁場中(15kOe)で射出成形し
た。なお、添加物にはグリセリンを使用した。得られた
成形体を、真空中で室温から100℃まで昇温速度50
℃/Hで昇温し、この温度で1時間保持し完全脱水した
後、500℃まで昇温速度100℃/Hで昇温し脱バイ
ンダーを行った。更に加熱して1100℃で1時間保持
して焼結した。焼結完了後にArガスを導入して7℃/
分の速度で800℃まで冷却し、その後100℃/時間
で冷却して550℃、2時間保持する時効処理を施し
た。得られた焼結体にはワレ、ヒビ、変形等は全く見ら
れなかった。この工程によって得られたNd−Fe−B
焼結合金の特性を表4に示す。混合粉末の表面に樹脂を
被覆した本実施例による磁石と、表面に樹脂を被覆しな
い実施例2による磁石とは、磁石特性、残留酸素量、残
留炭素量はほぼ同程度であるが、本実施例による磁石は
表面に樹脂を被覆しているために、焼結前の成形体及び
混練物の状態では酸素に対して非常に安定であり、それ
らを数時間放置した後においてもその含有酸素量は殆ど
増加しなかった。これに対し、実施例2による樹脂を被
覆しない磁石は、成形体及び混練物の状態で数時間放置
するとその含有酸素量が急激に増加し、焼結後の磁石特
性も著しく低下していた。
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】この発明は、R−Fe−B系合金粉末に
加えるバインダーとしてポリアクリルアミドまたはポリ
アクリルアミドとメチルセルロースを複合したものに水
を添加したものを用いることにより、射出成形時の金型
温度を100℃以下にできるとともに成形時の混練物の
流動性が向上するため、大きな磁場電流を流さなくても
容易に磁場配向ができ、また、添加量が少量でも十分な
粘弾性を得ることができるため、射出成形後の成形体の
強度が向上し、複雑な形状、小型製品等のR−Fe−B
系焼結異方性磁石を提供することが可能となり、さら
に、ポリアクリルアミドまたはポリアクリルアミドとメ
チルセルロースの添加量が少量なので、総バインダー中
の炭素量を大幅に低減でき、脱水処理、脱バインダー処
理に要する時間の短縮、工程の簡素化が図れるととも
に、得られる焼結体の残留酸素量、炭素量を大幅に低減
し、優れた磁気特性を有するR−Fe−B系焼結異方性
磁石を提供することが可能になる。さらに、バインダー
との混練前に予めR−Fe−B系合金粉末表面に樹脂を
被覆した場合には、水と合金粉末中のR成分との反応を
抑制し、混練後の各工程における合金粉末の酸化を防止
でき、得られる焼結体中の残留酸素量を低減できるとと
もに、水素気流中での脱バインダー処理を併用すると被
覆した樹脂のほぼ全てが除去できるので、焼結体中の残
留炭素量を増加させることがなく、優れた磁気特性を有
する3次元的に複雑な形状の焼結磁石を提供することが
できる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R−Fe−B系合金粉末(RはYを含む
    希土類元素のうち少なくとも1種)に、バインダーとし
    てポリアクリルアミドと水またはポリアクリルアミドと
    メチルセルロースを複合したものと水を加えて混練した
    後、磁場中で射出成形により成形体となし、該成形体を
    脱水処理した後、さらに脱バインダー処理し、焼結する
    ことを特徴とする射出成形法によるR−Fe−B系焼結
    磁石の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6423812B1 (en) 2000-07-14 2002-07-23 Korea Research Institute Of Chemical Technology Process of preparing polycarbonates

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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