JPH0677028A - 射出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

射出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法

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JPH0677028A
JPH0677028A JP5180644A JP18064493A JPH0677028A JP H0677028 A JPH0677028 A JP H0677028A JP 5180644 A JP5180644 A JP 5180644A JP 18064493 A JP18064493 A JP 18064493A JP H0677028 A JPH0677028 A JP H0677028A
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JP5180644A
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Osamu Yamashita
治 山下
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 R成分とバインダーとの反応や成形体中に残
留する炭素および酸素による磁気特性の劣化を防止し、
磁場中での射出成形時に大きな着磁電流を必要とせず、
射出成形性を向上させて複雑な形状、特に小型製品のR
−Fe−B系焼結異方性磁石が得られる射出成形法によ
るR−Fe−B系焼結磁石の製造方法の提供。 【構成】 平均粒度1〜10μmのR−Fe−B系合金
微粉末とバインダーとしてメチルセルロースと微量の添
加物と純水を混練して、これを所要形状に射出成形する
ことにより、射出成形時の成形性が向上して三次元的に
複雑な形状の焼結磁石を得ることができ、脱バインダー
時間の短縮とともにR成分とバインダーとの反応や、成
形体中に残留する炭素および酸素による磁気特性の劣化
を防止でき、また、金型温度を100℃以下にできるた
め磁場中での射出成形時に大きな着磁電流を必要としな
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、射出成形によリR−
Fe−B系焼結異方性永久磁石を製造する方法に係り、
微細結晶化したR−Fe−B系合金微粉末と所定温度に
よりゾル・ゲル反応を起こすバインダーとしてメチルセ
ルロースと水との混練物を射出成形し、脱バインダー処
理後、焼結し、焼結体中の炭素と酸素の残留を抑制し、
磁気特性の劣化防止とともに、射出成形時の成形性を向
上させ、三次元的に複雑な形状の焼結磁石が得られる射
出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】今日、家電製品を初めコンピュータの周
辺機器や自動車等用途に用いられる小型モーターやアク
チュエータ等には、小型化、軽量化とともに高性能化が
求められており、その磁石材料も小型化、軽量化、薄肉
化からさらに磁石材料表面の所定位置に凹凸を設けた
り、貫通孔を設ける等、三次元的に複雑な形状製品が要
求されている。高性能永久磁石として、R−Fe−B系
焼結永久磁石が提案(USP 4,770,223、特
開昭59−46008号公報、特公昭61−34242
号公報)され、また、R−Fe−B系ボンド磁石も提案
(USP 4,902,361)されている。
【0003】上記R−Fe−B系焼結永久磁石及びR−
Fe−B系ボンド磁石ともに、通常、製造工程中に磁場
中のプレス成形を含むことから、単純形状の成形品しか
得られなかった。しかし、最近の種々形状の要求に対応
するために、従来から多くの技術分野において採用され
ている射出成形法を、上記R−Fe−B系焼結永久磁石
の製造方法に採用することが検討されている。例えば、
R−Fe−B系合金鋳塊を粉砕して得られた合金粉末と
ポリエチレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を含有す
るバインダーを混練して射出成形し、脱バインダー後に
焼結するR−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法(特開
昭61−220315号公報、特開昭64−28302
号公報、特開昭64−28303号公報)が提案されて
いる。又、バインダーとしてパラフィン系ワックスを用
いた射出成形法を採用したR−Fe−B系焼結永久磁石
の製造方法(特開昭64−28302号公報)が提案さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一般に、希土
類元素(R)を含有する金属間化合物はO、H、C、N
等の元素と反応し易く、上記の射出成形法で使用されて
いる熱可塑性樹脂やパラフィン系ワックス等のバインダ
ーをR−Fe−B系合金粉末に添加混合した場合、一般
的にバインダー中の炭素と酸素の含有量がRとの反応に
より増加するために、射出成形、脱バインダー後、及び
焼結後でもかなりの炭素と酸素が残留し、特に永久磁石
の場合磁気特性の劣化を招き、射出成形法による複雑形
状品の磁石部品への応用の妨げになっている。また、従
来の射出成形法で使用されている上記のバインダーは、
合金粉末と混合した後、射出成形機内でバインダーの融
点、すなわち100℃〜200℃程度まで加熱してバイ
ンダーを溶解させていたが、R−Fe−B系永久磁石の
キュリー温度(Tc)は300℃〜350℃程度である
ことから、磁場中配向させる際にキュリー温度近くまで
加熱すると配向が困難になり、また配向に大きな着磁電
流を必要とする問題があった。
【0005】そこで、溶解温度が低いバインダーを検討
すると、従来、Co系スーパーアロイ粉末を対象とした
圧縮成形用のバインダーとして、対象合金粉末に対し
て、1.5〜3.5wt%のメチルセルロースとさらに
所定量の添加物であるグリセリンとほう酸を混合した組
成が提案(USP 4,113,480)され、また、
23−ZrO2やアルミナ粉末を対象とした射出成形
用のバインダーとして、対象合金粉末に対して10〜5
0wt%のアガロースや寒天にさらに脱イオン水とグリ
コールを加えた混合物が提案(USP 4,734,2
37)され、さらに、工具用合金粉末の射出成形用のバ
インダーとして、特殊組成からなり、対象合金粉末に対
して0.5〜2.5wt%のメチルセルロースに水、グ
リセリン等の可塑剤、ワックスエマルジョン等の滑剤、
離型剤を添加した組成が提案(特開昭62−37302
号公報)されている。
【0006】しかし、上述のメチルセルロースや寒天を
主体とするバインダーは、所定の流動性と成形体強度を
確保するためいずれも対象合金粉末に対して、上記のよ
うに比較的多量に使用するもので、しかも種々のバイン
ダー添加剤の添加、例えばグリセリン等の可塑剤をメチ
ルセルロースと同量程度添加することが不可欠であるた
め、やはり、射出成形、脱脂した後、焼結後でもかなり
の炭素と酸素が残留し、特にこの発明の対象とするR−
Fe−B系焼結永久磁石の場合、磁気特性の劣化を招
き、射出成形法による複雑形状品の磁石部品への応用の
妨げとなっている。
【0007】この発明は、射出成形にて成形し、これを
焼結するR−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法におい
て、R成分とバインダーとの反応や、成形体中に残留す
る炭素および酸素による磁気特性の劣化を防止し、磁場
中での射出成形時に大きな着磁電流を必要とせず、射出
成形性を向上させて複雑な形状、特に小型製品のR−F
e−B系焼結異方性磁石が得られる射出成形法によるR
−Fe−B系焼結磁石の製造方法の提供を目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、射出成形時
の金型温度を100℃以下にでき、R−Fe−B系合金
粉末中のR成分とバインダーとの反応を抑制でき、残留
する炭素および酸素量を低減できるバインダーとしてメ
チルセルロースを選定した。さらにR−Fe−B系合金
粉末への適用を検討した結果、所定の平均粒度からなる
R−Fe−B系合金粉末であれば、水分を多量に含む割
りには、メチルセルロース量を0.5wt%以下として
も、十分な流動性と成形体強度を得ることができ、必要
に応じて使用する滑剤も0.30wt%以下と極少量で
よいことを知見した。すなわち、発明者らは、R−Fe
−B系合金粉末中のR成分とバインダーとの反応を抑制
でき、成形体中に残留する炭素および酸素量を低減でき
る方法を目的に種々検討した結果、従来の射出成形法で
一般的に使用されている熱可塑性のバインダーの代わり
に、R−Fe−B系合金粉末にバインダーとして、所定
温度によりゾル・ゲル変態を起こすメチルセルロースと
水、さらに少量の滑剤を使用することにより、バインダ
ーの大部分が水分であるにもかかわらず、十分な粘弾性
を得ることができるため、総バインダー中の炭素量を大
幅に低減できること、射出成形時の成形性を向上させる
とともに射出成形時に100℃以下で金型内でゲル化さ
せて硬化させ、所定の形状に成形可能であること、さら
に脱水処理、またそれに続く脱バインダー処理により、
成形体中に残留するほぼ全ての酸素及び炭素を除去する
ことができること、引き続く焼結後に得られる焼結体に
おける残留酸素量・炭素量を大幅に減少でき、優れた磁
気特性を有する3次元的に複雑な形状の焼結磁石が得ら
れることを知見し、この発明を完成した。
【0009】すなわち、この発明は、R(但しRはYを
含む希土類元素のうち少なくとも1種)8原子%〜30
原子%、Fe42原子%〜90原子%、B2原子%〜2
8原子%を主成分とする平均粒度1〜10μmの微粉末
に、所定温度によりゾル・ゲル反応を起こす有機バイン
ダーとしてメチルセルロースと水を加えて混練物となし
磁場中で射出成形により成形体となし、該成形体を脱バ
インダー後に焼結することを特徴とする射出成形法によ
るR−Fe−B系焼結磁石の製造方法である。また、こ
の発明は、上記の構成において、焼結体が含有する炭素
量を1300ppm以下、酸素量10000ppm以下
にすることを特徴とし、好ましくは焼結体が含有する炭
素量を1000ppm以下、酸素量を9000ppm以
下、最も好ましくは焼結体が含有する炭素量を800p
pm以下、酸素量を8000ppm以下にすることを特
徴とする射出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製
造方法である。
【0010】また、この発明は、上記の構成において、
有機バインダーが、メチルセルロース0.05〜0.5
0wt%、滑剤としてグリセリン、ワックスエマルジョ
ン、ステアリン酸、水溶性アクリル樹脂のうち1種以上
を0.10〜0.30wt%、さらに、水6〜16wt
%からなることを特徴とする射出成形法によるR−Fe
−B系焼結磁石の製造方法である。
【0011】組成の限定理由 この発明の磁石合金粉末及び永久磁石に用いる希土類元
素Rは、Nd、Pr、Ho、Tbのうち少なくとも1
種、あるいはさらにLa、Sm、Ce、Er、Eu、P
m、Tm、Yb、Yのうち少なくとも1種を含むものが
好ましい。R(但しRはYを含む希土類元素のうち少な
くとも1種)は、8原子%未満では結晶構造がαー鉄と
同一構造の立方晶組織となるため、高磁気特性、特に高
保磁力が得られず、30原子%を越えるとRリッチな非
磁性相が多くなり、残留磁束密度(Br)が低下して、
すぐれた特性の永久磁石が得られない。よって、Rは8
原子%〜30原子%の範囲とする。
【0012】Bは、2原子%未満では菱面体組織とな
り、高い保磁力(iHc)は得られず、28原子%を越
えるとBリッチな非磁性相が多くなり、残留磁束密度
(Br)が低下するため、すぐれた永久磁石が得られな
い。よって、Bは2原子%〜28原子%の範囲とする。
【0013】Feは、42原子%未満では残留磁束密度
(Br)が低下し、90原子%を越えると高い保磁力が
得られないので、Feは42原子%〜90原子%の含有
とする。また、この発明において、Feの一部をCoで
置換することは、得られる磁石の磁気特性を損うことな
く温度特性を改善することができるが、Co置換量がF
eの50%を越えると、逆に磁気特性が劣化するため好
ましくない。
【0014】また、下記添加元素のうち少なくとも1種
を添加することは、Fe−B−R系永久磁石に対してそ
の保磁力(iHc)等を改善あるいは製造性の改善、低
価格化に効果がある。 Ti、Ni、V、Nb、Ta、
Cr、Mo、W、Mn、Al、Sb、Ge、Sn、Z
r、Bi、Hf、Cu、Si、S、C、Ca、Mg、
P、H、Li、Na、K、Be、Sr、Br、Ag、Z
n、N、F、Se、Te、Pb。しかし、必要以上の添
加は残留磁束密度(Br)の低減を招き、最大エネルギ
ー積を低下させることから、通常合計量で10at%以
下が望ましく、添加元素に応じて合計量を5at%以
下、3at%以下等を適宜選定することが望ましい。
【0015】微粉末の製造条件 この発明において、使用する平均粒度1〜10μmのR
−Fe−B系合金微粉末の製造方法としては、溶解・粉
化法、超急冷法、直接還元拡散法、水素含有崩壊法、ア
トマイズ法等の公知の方法を適宜選定し、所要平均粒度
の合金粉末を得ることができる。得られた合金微粉末の
平均粒径が1μm未満では混練物とするためのバインダ
ー添加量を、合金粉末の表面積を増大させるため、合金
粉末との容積比で、1:1.2に増加させる必要があ
り、射出成形後の焼結品の焼結密度が95%程度と低下
するため好ましくなく、また、10μmを超える平均粒
径では粒径が大きすぎて焼結密度が95%程度で飽和
し、該密度の向上が望めないため好ましくない。特に望
ましい平均粒度の範囲は1〜6μmである。いずれのR
−Fe−B系合金粉末を用いても、平均粒度をそれぞれ
好ましい範囲とすることにより、一般的な射出成形用の
遷移金属粉末、例えばFe基合金粉末やCo基合金粉末
等の場合よりも、平均粒度が数分の1から10分の1程
度となり、該遷移金属粉末を射出成形する際に用いるバ
インダーの添加量よりも、大幅にバインダーの添加量を
低減することができる。
【0016】バインダー成分 メチルセルロースの含有量は、0.05wt%未満では
成形時の強度が著しく低下し、また0.50wt%を越
えると、残留炭素量と酸素量が増加して保磁力が下がり
磁気特性が劣化するので、0.05wt%〜0.50w
t%の含有量がこれらの点で好ましい。さらに0.1w
t%〜0.45wt%が望ましく、0.15wt%〜
0.4wt%が最も望ましい。この発明において、バイ
ンダーとしてメチルセルロースとともに水を使用するこ
とを特徴とするが、Rとの反応を抑制するために、脱酸
素処理した純水を使用することが望ましい。水の含有量
は6wt%未満では成形時の流動性が悪くなり、ショー
ト・ショットが発生しやすくなり、16wt%を越える
と実質総バインダー量が増加するために、焼結後の焼結
密度が低下すると同時に残留酸素量が増加し、磁気特性
が劣化するので、6〜16wt%が最も好ましい。
【0017】また上述したバインダーにグリセリン、ワ
ックスエマルジョン、ステアリン酸、水溶性アクリル樹
脂等の滑剤のうち少なくとも1種を添加することも有効
であり、滑剤の含有量は、0.10wt%未満では成形
体の密度が不均一になりやすく、0.30wt%を越え
ると成形体の強度が低下するので、0.10wt%〜
0.30wt%が最も好ましい。
【0018】射出成形条件 メチルセルロースは、水に溶解した後約50℃前後に加
熱すると溶解して粘性のあるゾル状物質となり、さらに
70℃以上に加熱すると弾性のあるゲル状物質となり、
一度ゲル化すると温度の変化にかかわらずゲル状態を維
持する。射出条件はバインダーの添加量に応じて変動す
るが、金型温度は70℃〜90℃が好ましく、70℃未
満では成形後の取出時に固化が不十分で変形する恐れが
あり、90℃を超えると混練物の流動性が悪くなる。ま
た、射出成形圧力は、30kg/cm2未満ではウエル
ドが発生し成形密度が不均一になり、焼結後に曲がりや
うねりが発生し、また50kg/cm2を超えるとばり
が発生して好ましくないため、圧力は30〜50kg/
cm2が好ましい。射出成形時の磁場が10kOe未満
では配向が不十分なため、10kOe以上の磁場中射出
成形が好ましい。
【0019】脱バインダー処理 脱バインダー処理の前工程として脱水処理を行うが、脱
バインダー処理とともに処理方法は特に限定しない。例
えば、脱水処理を昇温乾燥方法で行う場合、昇温温度は
選定した純水の添加量に応じて変動するが、少なくとも
20℃〜100℃までの昇温速度を30〜60℃/hr
にする必要があり、30℃/hr未満では処理品が酸化
する恐れがあり、60℃/hrを超えると水の急激な気
化蒸発のため、処理品にひび、割れを生じるため好まし
くない。特に処理品が小物である場合は、少なくとも2
0℃〜100℃までの昇温速度を45〜55℃/hrに
するとよく、脱水処理がより簡素化できる。また、10
0℃までの昇温中に水のほとんどが蒸発してしまうた
め、100℃を超える温度域での脱水処理は不要であ
る。引き続いて脱バインダー処理するが、昇温速度は1
00〜200℃/hrで脱バインダー処理できるので、
通常の有機バインダーの場合よりも大幅に処理時間を短
縮できる利点がある。また、脱水処理を低温から高温ま
で連続して行い、またR−Fe−B系合金粉末の酸化を
抑えるためには、脱水雰囲気を1×10-3Torr以下
の真空中で行うことが好ましい。なお、脱水処理後は、
引き続いて昇温加熱して焼結を行うことが好ましく、5
00℃を超えてからの昇温速度は任意に選定すればよ
く、例えば100〜300℃/hrなど、焼結に際して
取られる公知の昇温方法を採用できる。
【0020】脱バインダー処理後の成形品の焼結並びに
焼結後の熱処理条件は、選定した合金粉末組成に応じて
適宜選定されるが、従来公知のFe−B−R系焼結永久
磁石の製造条件と同様でよい。好ましい焼結並びに焼結
後の熱処理条件としては、1000〜1180℃、1〜
2時間保持する焼結工程、450〜800℃、1〜8時
間保持する時効処理工程が好ましい。
【0021】この発明において、焼結体が含有する炭素
量と酸素量の上限を規定するが、これは炭素量が130
0ppmを越え、酸素量が10000ppmを越えると
磁気特性の劣化を招来し好ましくないためである。さら
に炭素量を1000ppm以下、酸素量を9000pp
mを以下、特に最適条件下においては炭素量を800p
pm以下、酸素量を8000ppm以下とすることがで
き、優れた磁気特性を有する焼結磁石を得ることができ
る。従って、各条件により、最大エネルギー積にて、4
MGOe以上、10MGOe以上、15MGOe以上が
得られ、特に好ましい条件においては20MGOe以上
が得られる。
【0022】
【作用】この発明は、メチルセルロースは、一般によく
知られているように、水に溶解した後約50℃前後に加
熱すると溶解して粘性のあるゾル状物質となり、さらに
70℃以上に加熱すると弾性のあるゲル状物質となり、
一度ゲル化すると温度の変化にかかわらずゲル状態を維
持するという性質を利用するもので、水分を多量に含む
割りには十分な粘弾性が発生するために、射出成形用の
バインダーとしては総バインダー中の炭素含有量を大幅
に減らすことができるのである。また、脱バインダー時
には100℃までに総バインダー中の約99%の水分が
蒸発除去されるので、R−Fe−B粉末が活性になる温
度では、既に大量の酸素が抜けた状態となり、R−Fe
−B合金粉末の酸化が大幅に抑えられる利点がある。さ
らには、射出成形時の金型温度を100℃以下にでき、
磁場中での射出成形時に大きな着磁電流を必要とせず、
射出成形性を向上させて複雑な形状、特に小型製品のR
−Fe−B系焼結異方性磁石が得られる。
【0023】
【実施例】
実施例 RとしてNd16.5at%、B5.7at%、残部は
Feおよび不可避的不純物からなる合金塊をArガス中
で高周波加熱溶解して作製したボタン状溶製合金を粗粉
砕した後、ジェットミル粉砕により微粉砕して得た平均
粒度3μm、7μmの微粉末と、バインダーとして市販
のメチルセルロースの粉末及び水、あるいはさらに添加
物を表1に示す添加量で添加して室温で混練した。この
混練ペレットを表1に示す射出温度、金型温度に設定保
持して20mm×20mm×3mmの板に磁場中(15
kOe)で成形した。得られた成形体を、真空中で室温
から100℃まで昇温速度50℃/Hで昇温し、この温
度で1時間保持し完全脱水した後、500℃まで昇温速
度100℃/Hで昇温し脱バインダーを行った。更に加
熱して1100℃で1時間保持して焼結した。焼結完了
後にArガスを導入して7℃/分の速度で800℃まで
冷却し、その後100℃/時間で冷却して550℃、2
時間保持する時効処理を施した。得られた焼結体にはワ
レ、ヒビ、変形等は全く見られなかった。この工程によ
って得られたNd−Fe−B焼結合金の特性を表2に示
す。
【0024】比較例 比較のため、実施例の平均粒度3μmの微粉末を用い
て、アクリル系バインダーを容積比1:1で配合し、1
60℃で、10分間加熱混練して射出成形用混練物とな
した後、45℃に加熱した金型内に磁場強さ15kOe
中で射出成形して、長さ10mm×幅10mm×高さ5
mmの平板状の射出成形体を得た。射出成形体を3×1
-4Torrの真空中で、350℃まで6℃/時間の昇
温速度で昇温する脱バインダー処理した後、実施例1と
同一条件で焼結、熱処理して焼結異方性磁石を得た。得
られた比較例磁石の磁石特性並びに残留酸素量、残留炭
素量の測定結果は表2に示すとおりである。
【0025】表2から明らかなように、アクリル系の有
機バインダーを用いた場合よりもメチルセルロースバイ
ンダーを使用した焼結体の方が、残留炭素量、残留酸素
量が大幅に減少しているために、磁気特性がかなりすぐ
れていることがわかる。メチルセルロースバインダーを
用いた方が、水分を多く含んでいるために、総バインダ
ー中の炭素量が実質的にかなり低く抑えられていること
と、また主にバインダーが水のため、R−Fe−B合金
粉末が活性になる温度では既に蒸発してなくなっている
ために、酸化がかなり抑えられることにより、結果的に
残留炭素量、残留酸素量が大幅に減少したと考えられ
る。また、微粉末の平均粒度が3μmの場合(試料N
o.1,2)よりも平均粒度が7μmの場合(試料N
o.3)の方が残留炭素量、残留酸素量が少ないが磁石
特性は劣化している。これは平均粒度が大きくなると、
成形体の密度が低下し焼結後の焼結体においても密度が
若干低下するためであると考えられる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】この発明は、平均粒度1〜10μmのR
−Fe−B系合金微粉末とバインダーとしてメチルセル
ロースと純水あるいはさらに微量の添加物とを混練し
て、これを所要形状に射出成形することにより、射出成
形時の成形性が向上して三次元的に複雑な形状の焼結磁
石を得ることができ、脱バインダー時間の短縮とともに
R成分とバインダーとの反応や、成形体中に残留する炭
素および酸素による磁気特性の劣化を防止することが可
能で、また、射出成形時の金型温度を100℃以下にで
き、磁場中での射出成形時に大きな着磁電流を必要とせ
ず、複雑な形状で磁気特性のすぐれた焼結異方性磁石を
得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R(但しRはYを含む希土類元素のうち
    少なくとも1種)8原子%〜30原子%、Fe42原子
    %〜90原子%、B2原子%〜28原子%を主成分とす
    る平均粒度1〜10μmの微粉末に、所定温度によりゾ
    ル・ゲル反応を起こす有機バインダーとしてメチルセル
    ロースと水を加えて混練物となし磁場中で射出成形によ
    り成形体となし、該成形体を脱バインダー後に焼結する
    ことを特徴とする射出成形法によるR−Fe−B系焼結
    磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 焼結体が含有する炭素量を1300pp
    m以下、酸素量を10000ppm以下にすることを特
    徴とする請求項1に記載の射出成形法によるR−Fe−
    B系焼結磁石の製造方法。
JP5180644A 1992-06-24 1993-06-24 射出成形法によるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 Pending JPH0677028A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015121913A1 (ja) * 2014-02-12 2015-08-20 日東電工株式会社 希土類永久磁石及び希土類永久磁石の製造方法
WO2015121914A1 (ja) * 2014-02-12 2015-08-20 日東電工株式会社 希土類永久磁石及び希土類永久磁石の製造方法

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