JPH0888111A - R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法 - Google Patents
R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法Info
- Publication number
- JPH0888111A JPH0888111A JP6247328A JP24732894A JPH0888111A JP H0888111 A JPH0888111 A JP H0888111A JP 6247328 A JP6247328 A JP 6247328A JP 24732894 A JP24732894 A JP 24732894A JP H0888111 A JPH0888111 A JP H0888111A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- powder
- binder
- slurry
- water
- granulated
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/032—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
- H01F1/04—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
- H01F1/047—Alloys characterised by their composition
- H01F1/053—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
- H01F1/055—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
- H01F1/057—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B
- H01F1/0571—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes
- H01F1/0575—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes pressed, sintered or bonded together
- H01F1/0577—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes pressed, sintered or bonded together sintered
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Power Engineering (AREA)
- Hard Magnetic Materials (AREA)
- Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 成形体の寸法精度の向上及び生産性の向上を
図り、薄肉形状や小型形状でかつ優れた磁気特性を有す
るR−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法の提供。 【構成】 湿式粉砕したR−Fe−B系合金粉末スラリ
ーに、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビ
ニルアルコールの単独あるいは複合したものと水とから
なるバインダーと水を添加、混練してスラリー状となて
混練拡散を十分に行わせ、これをスプレードライヤー装
置にて造粒し、バインダーを特定してR−Fe−B系合
金粉末とバインダーとの反応を抑制するとともに、造粒
粉を球形状にして造粒粉に高い流動性を付与した平均粒
径20μm〜400μmの造粒粉となすことにより、粉
体の流動性が格段に向上し、成形体の寸法精度が向上し
て、成形体密度のバラツキを低下させるので、焼結後の
寸法精度にすぐれ、薄肉形状や小型形状でかつ高磁気特
性を有する等方性あるいは異方性のR−Fe−B系焼結
永久磁石が効率よく得られる。
図り、薄肉形状や小型形状でかつ優れた磁気特性を有す
るR−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法の提供。 【構成】 湿式粉砕したR−Fe−B系合金粉末スラリ
ーに、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビ
ニルアルコールの単独あるいは複合したものと水とから
なるバインダーと水を添加、混練してスラリー状となて
混練拡散を十分に行わせ、これをスプレードライヤー装
置にて造粒し、バインダーを特定してR−Fe−B系合
金粉末とバインダーとの反応を抑制するとともに、造粒
粉を球形状にして造粒粉に高い流動性を付与した平均粒
径20μm〜400μmの造粒粉となすことにより、粉
体の流動性が格段に向上し、成形体の寸法精度が向上し
て、成形体密度のバラツキを低下させるので、焼結後の
寸法精度にすぐれ、薄肉形状や小型形状でかつ高磁気特
性を有する等方性あるいは異方性のR−Fe−B系焼結
永久磁石が効率よく得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、粉末冶金法によりR
−Fe−B系焼結永久磁石を製造する方法に係り、水を
溶媒として湿式微粉砕したスラリーに特定の粘結剤と水
とからなるバインダーを添加混練してスラリーとなし、
これをスプレードライヤー装置により球形状の造粒粉と
なすことにより、特に成形時の粉体の流動性、潤滑性を
向上させて、成形サイクルの向上と成形体の寸法精度を
向上させ、薄肉形状や小型形状の焼結磁石を提供するこ
とができるR−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法に関
する。
−Fe−B系焼結永久磁石を製造する方法に係り、水を
溶媒として湿式微粉砕したスラリーに特定の粘結剤と水
とからなるバインダーを添加混練してスラリーとなし、
これをスプレードライヤー装置により球形状の造粒粉と
なすことにより、特に成形時の粉体の流動性、潤滑性を
向上させて、成形サイクルの向上と成形体の寸法精度を
向上させ、薄肉形状や小型形状の焼結磁石を提供するこ
とができるR−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】今日、家電製品を初めコンピュータの周
辺機器や自動車等用途に用いられる小型モーターやアク
チュエータ等には、小型化、軽量化とともに高性能化が
求められており、その磁石材料も小型化、軽量化、薄肉
化が要求されている。現在の代表的な永久磁石材料とし
ては、アルニコ磁石、フェライト磁石、希土類コバルト
磁石、そして、出願人が先に提案したR−Fe−B系磁
石(特公昭61−34242号等)が挙げられる。上記
の中でも、特に、R−Fe−B系磁石は、資源的に豊富
な軽希土類元素などを主成分とするため、磁石を安定に
供給することができ、しかも他の磁石材料に比べて磁気
特性が格段にすぐれるために、各種用途に多用されてい
る。
辺機器や自動車等用途に用いられる小型モーターやアク
チュエータ等には、小型化、軽量化とともに高性能化が
求められており、その磁石材料も小型化、軽量化、薄肉
化が要求されている。現在の代表的な永久磁石材料とし
ては、アルニコ磁石、フェライト磁石、希土類コバルト
磁石、そして、出願人が先に提案したR−Fe−B系磁
石(特公昭61−34242号等)が挙げられる。上記
の中でも、特に、R−Fe−B系磁石は、資源的に豊富
な軽希土類元素などを主成分とするため、磁石を安定に
供給することができ、しかも他の磁石材料に比べて磁気
特性が格段にすぐれるために、各種用途に多用されてい
る。
【0003】R−Fe−B系焼結永久磁石は、最大エネ
ルギー積((BH)max)が40MGOeを超え、最
大では50MGOeを超える極めて優れた磁気特性を有
するが、その優れた磁気特性を発現させるためには、所
要組成からなる合金を1〜10μm程度の平均粒度に粉
砕することが必要となる。合金粉末の粒度を小さくする
と、成形時の粉末の流動性が悪くなり、成形体密度のバ
ラツキや成形機の寿命を低下させるとともに、焼結後の
寸法精度にもバラツキを生じることとなり、特に薄肉形
状や小型形状の製品を得るのが困難であった。また、R
−Fe−B系焼結永久磁石は、大気中で酸化し易い希土
類元素や鉄を主成分として含有するため、合金粉末の粒
度を小さくすると、酸化により磁気特性が劣化する問題
もあった。
ルギー積((BH)max)が40MGOeを超え、最
大では50MGOeを超える極めて優れた磁気特性を有
するが、その優れた磁気特性を発現させるためには、所
要組成からなる合金を1〜10μm程度の平均粒度に粉
砕することが必要となる。合金粉末の粒度を小さくする
と、成形時の粉末の流動性が悪くなり、成形体密度のバ
ラツキや成形機の寿命を低下させるとともに、焼結後の
寸法精度にもバラツキを生じることとなり、特に薄肉形
状や小型形状の製品を得るのが困難であった。また、R
−Fe−B系焼結永久磁石は、大気中で酸化し易い希土
類元素や鉄を主成分として含有するため、合金粉末の粒
度を小さくすると、酸化により磁気特性が劣化する問題
もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる希土類磁石粉末
は、所要粒度にするためにいずれも鋳塊を機械粉砕によ
り粗粉砕後、不活性ガス雰囲気中でジェットミルにより
微粉砕するか、またはトルエン、メタノール、ヘキサン
などの有機溶媒中でアトライターなどにより湿式微粉砕
することが一般的である。
は、所要粒度にするためにいずれも鋳塊を機械粉砕によ
り粗粉砕後、不活性ガス雰囲気中でジェットミルにより
微粉砕するか、またはトルエン、メタノール、ヘキサン
などの有機溶媒中でアトライターなどにより湿式微粉砕
することが一般的である。
【0005】また最近では、水を溶媒とした湿式粉砕法
が、Y. Bogati, M.Robinson a
nd J. Ormerod; J. Appl. P
hys. Vol. 70 (10), 15 Nov
ember 1991,P6594などによって提案さ
れている。得られる微粉砕粉末は、前者のジェットミル
粉砕粉末はドライ粉末であるが、後者の湿式粉砕粉末は
ウェット粉末スラリーである。成形時に寸法精度のすぐ
れた成形体を作製するには、粉末をドライ粉末にする必
要があり、湿式微粉砕法では粉末スラリーを乾燥しなけ
ればならず、特に水を溶媒とした湿式粉砕法では粉砕中
に合金粉末と水が反応して酸化したり、また乾燥に長時
間を要するとともに、乾燥時に酸化しやすいなどの問題
があるため、現在ではまだほとんど量産には適用されて
いない状況である。
が、Y. Bogati, M.Robinson a
nd J. Ormerod; J. Appl. P
hys. Vol. 70 (10), 15 Nov
ember 1991,P6594などによって提案さ
れている。得られる微粉砕粉末は、前者のジェットミル
粉砕粉末はドライ粉末であるが、後者の湿式粉砕粉末は
ウェット粉末スラリーである。成形時に寸法精度のすぐ
れた成形体を作製するには、粉末をドライ粉末にする必
要があり、湿式微粉砕法では粉末スラリーを乾燥しなけ
ればならず、特に水を溶媒とした湿式粉砕法では粉砕中
に合金粉末と水が反応して酸化したり、また乾燥に長時
間を要するとともに、乾燥時に酸化しやすいなどの問題
があるため、現在ではまだほとんど量産には適用されて
いない状況である。
【0006】また一方、R−Fe−B系合金粉末の成形
性については、特に成形性を改良するために、成形前の
合金粉末にポリオキシエチレンアルキルエーテルなどを
添加したもの(特公平4−80961号)、それらにさ
らにパラフィンやステアリン酸塩を添加したもの(特公
平4−80962号、特公平5−53842号)、また
オレイン酸を添加したもの(特公昭62−36365
号)などが提案された。しかし、ある程度の成形性は向
上できるものの、その改善効果にも限界があり、近年要
求される薄肉形状や小型形状の成形は依然困難であっ
た。
性については、特に成形性を改良するために、成形前の
合金粉末にポリオキシエチレンアルキルエーテルなどを
添加したもの(特公平4−80961号)、それらにさ
らにパラフィンやステアリン酸塩を添加したもの(特公
平4−80962号、特公平5−53842号)、また
オレイン酸を添加したもの(特公昭62−36365
号)などが提案された。しかし、ある程度の成形性は向
上できるものの、その改善効果にも限界があり、近年要
求される薄肉形状や小型形状の成形は依然困難であっ
た。
【0007】また、上記のバインダーや潤滑剤の添加と
ともに、さらに成形性を改良し、薄肉形状品や小型形状
品を製造する方法として、成形前の合金粉末に飽和脂肪
族カルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸にミリスチル酸
エチルやオレイン酸からなる滑剤を添加して混練した
後、造粒を行なって成形する方法(特開昭62−245
604号)、あるいはパラフィン混合物に飽和脂肪族カ
ルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸等添加、混練後、造
粒した後成形する方法(特開昭63−237402号)
も提案されている。しかし、上記の方法では、粉末粒子
の結合力が十分でなく、造粒粉が壊れやすいために、十
分な粉末の流動性を実現することが困難であった。成形
性を向上させたり、粉末粒子の結合力を高めるために
は、種々バインダーや潤滑剤の添加量を増やすことが考
えられるが、多量に添加すると、R−Fe−B系合金粉
末中のR成分とバインダーとの反応により、焼結後の焼
結体の残留酸素量、残留炭素量が増加し、磁気特性の劣
化を招くことになるので、添加量にも制限があった。
ともに、さらに成形性を改良し、薄肉形状品や小型形状
品を製造する方法として、成形前の合金粉末に飽和脂肪
族カルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸にミリスチル酸
エチルやオレイン酸からなる滑剤を添加して混練した
後、造粒を行なって成形する方法(特開昭62−245
604号)、あるいはパラフィン混合物に飽和脂肪族カ
ルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸等添加、混練後、造
粒した後成形する方法(特開昭63−237402号)
も提案されている。しかし、上記の方法では、粉末粒子
の結合力が十分でなく、造粒粉が壊れやすいために、十
分な粉末の流動性を実現することが困難であった。成形
性を向上させたり、粉末粒子の結合力を高めるために
は、種々バインダーや潤滑剤の添加量を増やすことが考
えられるが、多量に添加すると、R−Fe−B系合金粉
末中のR成分とバインダーとの反応により、焼結後の焼
結体の残留酸素量、残留炭素量が増加し、磁気特性の劣
化を招くことになるので、添加量にも制限があった。
【0008】また、R−Fe−B系合金粉末を対象とす
るものではないが、Co系スーパーアロイ粉末を対象と
した圧縮成形用のバインダーとして、対象合金粉末に対
して、1.5〜3.5wt%のメチルセルロースとさら
に所定量の添加物であるグリセリンとほう酸を混合した
組成が提案(USP4,118,480)され、また、
工具用合金粉末の射出成形用のバインダーとして、特殊
組成からなり、対象合金粉末に対して0.5〜2.5w
t%のメチルセルロースに水、グリセリン等の可塑剤、
ワックスエマルジョン等の滑剤、離型剤を添加した組成
が提案(特開昭62−37302)されている。
るものではないが、Co系スーパーアロイ粉末を対象と
した圧縮成形用のバインダーとして、対象合金粉末に対
して、1.5〜3.5wt%のメチルセルロースとさら
に所定量の添加物であるグリセリンとほう酸を混合した
組成が提案(USP4,118,480)され、また、
工具用合金粉末の射出成形用のバインダーとして、特殊
組成からなり、対象合金粉末に対して0.5〜2.5w
t%のメチルセルロースに水、グリセリン等の可塑剤、
ワックスエマルジョン等の滑剤、離型剤を添加した組成
が提案(特開昭62−37302)されている。
【0009】しかし、それらはいずれも所定の流動性と
成形体強度を確保するため、いずれも対象合金粉末に対
して、上記のように例えば0.5wt%以上もの比較的
多量のバインダーを使用するもので、しかも種々のバイ
ンダー添加剤の添加、例えばグリセリン等の可塑剤をメ
チルセルロースと同量程度添加することが不可欠である
ため、射出成形や圧縮成形後、脱脂した後、焼結後でも
かなりの炭素と酸素が残留し、特にこの発明の対象とす
るR−Fe−B系焼結磁石の場合、磁気の劣化を招くの
で、容易には適用できない。
成形体強度を確保するため、いずれも対象合金粉末に対
して、上記のように例えば0.5wt%以上もの比較的
多量のバインダーを使用するもので、しかも種々のバイ
ンダー添加剤の添加、例えばグリセリン等の可塑剤をメ
チルセルロースと同量程度添加することが不可欠である
ため、射出成形や圧縮成形後、脱脂した後、焼結後でも
かなりの炭素と酸素が残留し、特にこの発明の対象とす
るR−Fe−B系焼結磁石の場合、磁気の劣化を招くの
で、容易には適用できない。
【0010】また、フェライトなどの酸化物粉末を対象
として、平均粒度1μm以下粉末に、バインダーとして
0.6〜1.0wt%のポリビニルアルコールを添加し
たのち、スプレードライヤー装置により造粒粉を製造
し、該造粒粉を成形、焼結する方法が知られている。し
かし、それらはいずれも酸化物粉末に対して0.6wt
%以上もの多量のバインダーを使用するもので、脱脂処
理を施したのちの焼結体にもかなりの炭素及び酸素が残
留するため、非常に酸化及び炭化しやすい性質を有し、
少しの酸化あるいは炭化によっても極端に磁気特性が劣
化するこの発明の対象とする希土類含有合金粉末に、上
記のような酸化物を対象とした方法をそのまま適用する
ことはできない。
として、平均粒度1μm以下粉末に、バインダーとして
0.6〜1.0wt%のポリビニルアルコールを添加し
たのち、スプレードライヤー装置により造粒粉を製造
し、該造粒粉を成形、焼結する方法が知られている。し
かし、それらはいずれも酸化物粉末に対して0.6wt
%以上もの多量のバインダーを使用するもので、脱脂処
理を施したのちの焼結体にもかなりの炭素及び酸素が残
留するため、非常に酸化及び炭化しやすい性質を有し、
少しの酸化あるいは炭化によっても極端に磁気特性が劣
化するこの発明の対象とする希土類含有合金粉末に、上
記のような酸化物を対象とした方法をそのまま適用する
ことはできない。
【0011】特に、酸化物の場合は比較的多量のバイン
ダーを用いても大気中で脱脂、焼結できるため、脱脂、
焼結時にバインダーが燃焼してある程度の残留炭素の抑
制を図ることができるが、この発明の対象とする希土類
含有合金粉末の場合は、酸化により磁気特性が劣化する
ため大気中で脱脂、焼結することができないので、多量
のバインダー添加は得られる焼結磁石の磁気特性に致命
的な悪影響を及ぼすこととなる。
ダーを用いても大気中で脱脂、焼結できるため、脱脂、
焼結時にバインダーが燃焼してある程度の残留炭素の抑
制を図ることができるが、この発明の対象とする希土類
含有合金粉末の場合は、酸化により磁気特性が劣化する
ため大気中で脱脂、焼結することができないので、多量
のバインダー添加は得られる焼結磁石の磁気特性に致命
的な悪影響を及ぼすこととなる。
【0012】このように、R−Fe−B系焼結永久磁石
の製造方法において、成形前の合金粉末に、種々のバイ
ンダーや潤滑剤を添加したり、さらに造粒を行なって、
成形性を改良する試みが種々提案されてはいるが、いず
れの方法によっても、近年要求されるような、薄肉形状
や小型形状でかつ優れた磁気特性を有するR−Fe−B
系焼結永久磁石を製造するのは困難であった。
の製造方法において、成形前の合金粉末に、種々のバイ
ンダーや潤滑剤を添加したり、さらに造粒を行なって、
成形性を改良する試みが種々提案されてはいるが、いず
れの方法によっても、近年要求されるような、薄肉形状
や小型形状でかつ優れた磁気特性を有するR−Fe−B
系焼結永久磁石を製造するのは困難であった。
【0013】この発明は、粉末冶金法によりR−Fe−
B系焼結永久磁石を製造する方法において、合金粉末と
バインダーとの反応を抑制し、焼結体の残留酸素量、残
留炭素量を低減させるとともに、成形時の粉体の流動
性、潤滑性を向上させて、成形体の寸法精度の向上及び
生産性の向上を図り、薄肉形状や小型形状でかつ優れた
磁気特性を有するR−Fe−B系焼結磁石の製造方法の
提供を目的とする。
B系焼結永久磁石を製造する方法において、合金粉末と
バインダーとの反応を抑制し、焼結体の残留酸素量、残
留炭素量を低減させるとともに、成形時の粉体の流動
性、潤滑性を向上させて、成形体の寸法精度の向上及び
生産性の向上を図り、薄肉形状や小型形状でかつ優れた
磁気特性を有するR−Fe−B系焼結磁石の製造方法の
提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】発明者らは、R−Fe−
B系合金粉末とバインダーとの反応を抑制でき、焼結体
の残留酸素量、残留炭素量を低減させる方法を種々検討
した結果、バインダーとしてメチルセルロース、ポリア
クリルアミド、ポリビニルアルコールのうち少なくとも
1種と水とからなるバインダーを用いることにより、焼
結前の工程におけるR−Fe−B系合金粉末とバインダ
ーとの反応を抑制することができ、焼結後の焼結体の残
留酸素量、残留炭素量を大幅に低減できることを知見し
た。
B系合金粉末とバインダーとの反応を抑制でき、焼結体
の残留酸素量、残留炭素量を低減させる方法を種々検討
した結果、バインダーとしてメチルセルロース、ポリア
クリルアミド、ポリビニルアルコールのうち少なくとも
1種と水とからなるバインダーを用いることにより、焼
結前の工程におけるR−Fe−B系合金粉末とバインダ
ーとの反応を抑制することができ、焼結後の焼結体の残
留酸素量、残留炭素量を大幅に低減できることを知見し
た。
【0015】また、上記バインダーが、メチルセルロー
ス、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールをそれ
ぞれ単独で用いる場合、その添加量を0.5wt%以下
としても、成形時に金型へ粉末を供給するためのフィー
ダー内における振動にも十分耐えられる程度の一次粒子
の粒子間結合力と、十分な流動性及び成形体強度を得る
ことができること、メチルセルロース、ポリアクリルア
ミド、ポリビニルアルコールをそれぞれ複合した場合に
は、その量を0.4wt%以下としても上記と同様な作
用効果が得られること、さらに、必要に応じて使用する
滑剤も0.3wt%以下と極少量でよく、総バインダー
中の炭素含有量を大幅低減できることを知見した。
ス、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールをそれ
ぞれ単独で用いる場合、その添加量を0.5wt%以下
としても、成形時に金型へ粉末を供給するためのフィー
ダー内における振動にも十分耐えられる程度の一次粒子
の粒子間結合力と、十分な流動性及び成形体強度を得る
ことができること、メチルセルロース、ポリアクリルア
ミド、ポリビニルアルコールをそれぞれ複合した場合に
は、その量を0.4wt%以下としても上記と同様な作
用効果が得られること、さらに、必要に応じて使用する
滑剤も0.3wt%以下と極少量でよく、総バインダー
中の炭素含有量を大幅低減できることを知見した。
【0016】一方、水を溶媒とした湿式微粉砕におい
て、使用する水として、塩素、ナトリウム、カルシウ
ム、マグネシウムなどのイオンの含有量をそれぞれ数p
pm以下に抑えた純水を使用し、かつまた不活性ガスで
バブリングして純水中の溶存酸素量を1ppm以下にし
た純水を用いて、不活性ガス雰囲気中で水温を15℃以
下に保った状態で粉砕することにより、R−Fe−B系
合金粉末の酸化は抑制できることを知見した。また、水
を溶媒とした湿式微粉砕のウェット粉末スラリーを用い
て、スプレー造粒を行う場合、ドライ粉末に水溶性バイ
ンダーを添加する場合と異なり、バインダー添加後の混
練工程が不要になると同時に、撹拌工程だけで短時間に
スプレー前のスラリーを作製できることになり、また粉
体とバインダーとの馴染みがよくなるために、スプレー
後の造粒粉の粉体特性が安定することを知見した。
て、使用する水として、塩素、ナトリウム、カルシウ
ム、マグネシウムなどのイオンの含有量をそれぞれ数p
pm以下に抑えた純水を使用し、かつまた不活性ガスで
バブリングして純水中の溶存酸素量を1ppm以下にし
た純水を用いて、不活性ガス雰囲気中で水温を15℃以
下に保った状態で粉砕することにより、R−Fe−B系
合金粉末の酸化は抑制できることを知見した。また、水
を溶媒とした湿式微粉砕のウェット粉末スラリーを用い
て、スプレー造粒を行う場合、ドライ粉末に水溶性バイ
ンダーを添加する場合と異なり、バインダー添加後の混
練工程が不要になると同時に、撹拌工程だけで短時間に
スプレー前のスラリーを作製できることになり、また粉
体とバインダーとの馴染みがよくなるために、スプレー
後の造粒粉の粉体特性が安定することを知見した。
【0017】さらに、水を溶媒とした湿式微粉砕のR−
Fe−B系合金粉末のスラリーに上記のメチルセルロー
ス、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールのうち
少なくとも1種と水を添加、撹拌してスラリー状とな
し、該スラリーをスプレードライヤー装置により平均粒
度が20μm〜400μmになるようにして得られた造
粒粉を用いて成形することにより、造粒粉は十分な結合
力を有し、バインダー自体のすぐれた潤滑性とも相まっ
て、粉体の流動性が格段に向上し、成形体密度のバラツ
キや成形機の寿命を低下させることもなく、焼結後の寸
法精度にもすぐれる、薄肉形状や小型形状でかつすぐれ
た磁気特性を有するR−Fe−B系焼結永久磁石が効率
よく得られることを知見し、この発明を完成した。
Fe−B系合金粉末のスラリーに上記のメチルセルロー
ス、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールのうち
少なくとも1種と水を添加、撹拌してスラリー状とな
し、該スラリーをスプレードライヤー装置により平均粒
度が20μm〜400μmになるようにして得られた造
粒粉を用いて成形することにより、造粒粉は十分な結合
力を有し、バインダー自体のすぐれた潤滑性とも相まっ
て、粉体の流動性が格段に向上し、成形体密度のバラツ
キや成形機の寿命を低下させることもなく、焼結後の寸
法精度にもすぐれる、薄肉形状や小型形状でかつすぐれ
た磁気特性を有するR−Fe−B系焼結永久磁石が効率
よく得られることを知見し、この発明を完成した。
【0018】すなわち、この発明は、水を溶媒として湿
式微粉砕したR−Fe−B系合金粉末(RはYを含む希
土類元素の少なくとも1種)のスラリーに、メチルセル
ロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールの
うち少なくとも1種と水とからなるバインダーを添加、
撹拌してスラリー状となし、該スラリーをスプレードラ
イヤー装置により平均粒径20μm〜400μmの球形
状の造粒粉となし、該造粒粉を用いて、成形、焼結する
粉末冶金法により寸法精度の高い焼結永久磁石を得るこ
とを特徴とするR−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法
である。
式微粉砕したR−Fe−B系合金粉末(RはYを含む希
土類元素の少なくとも1種)のスラリーに、メチルセル
ロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールの
うち少なくとも1種と水とからなるバインダーを添加、
撹拌してスラリー状となし、該スラリーをスプレードラ
イヤー装置により平均粒径20μm〜400μmの球形
状の造粒粉となし、該造粒粉を用いて、成形、焼結する
粉末冶金法により寸法精度の高い焼結永久磁石を得るこ
とを特徴とするR−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法
である。
【0019】R−Fe−B系合金粉末スラリー この発明において、R−Fe−B系合金粉末(RはYを
含む希土類元素の少なくとも1種)のスラリーとして
は、溶解・粉化法、超急冷法、直接還元拡散法、水素含
有崩壊法、アトマイズ法等の公知の方法などによって得
られた所要組成からなる単一、あるいは異なる組成の合
金及び粉末を水を溶媒とした湿式微粉砕により所要組成
に調整した粉末スラリー、保磁力の向上や製造性を改善
するために添加元素を加えた粉末スラリーなど、公知の
R−Fe−B系合金粉末成分のスラリーを用いることが
できる。
含む希土類元素の少なくとも1種)のスラリーとして
は、溶解・粉化法、超急冷法、直接還元拡散法、水素含
有崩壊法、アトマイズ法等の公知の方法などによって得
られた所要組成からなる単一、あるいは異なる組成の合
金及び粉末を水を溶媒とした湿式微粉砕により所要組成
に調整した粉末スラリー、保磁力の向上や製造性を改善
するために添加元素を加えた粉末スラリーなど、公知の
R−Fe−B系合金粉末成分のスラリーを用いることが
できる。
【0020】湿式微粉砕の溶媒となる水は、塩素、ナト
リウム、カルシウム、マグネシウムなどのイオンの含有
量をそれぞれ数ppm以下に抑えた純水を使用し、かつ
不活性ガスでバブリングして純水中の溶存酸素量を1p
pm以下にした純水を用いることが好ましく、該水を用
いて不活性ガス雰囲気中で水温を15℃以下に保った状
態でアトライター、ボールミルなどで微粉砕することに
よりR−Fe−B系合金粉末の酸化を抑制することがで
きる。なお、粉砕中の酸化対策として水のpHを変化さ
せてNd、Feなどの溶出を防ぐ方法や還元剤を添加し
てNd、Feなどの酸化を防止する方法があるが、これ
らの方法は合金粉末のスラリーに水溶性バインダーを添
加した後のバインダーの分散性を悪化させるために、さ
らに余分の分散剤を添加させることになり、結果的にス
プレー造粒粉中の残留炭素量を増加させることになるの
で、好ましい手段ではない。
リウム、カルシウム、マグネシウムなどのイオンの含有
量をそれぞれ数ppm以下に抑えた純水を使用し、かつ
不活性ガスでバブリングして純水中の溶存酸素量を1p
pm以下にした純水を用いることが好ましく、該水を用
いて不活性ガス雰囲気中で水温を15℃以下に保った状
態でアトライター、ボールミルなどで微粉砕することに
よりR−Fe−B系合金粉末の酸化を抑制することがで
きる。なお、粉砕中の酸化対策として水のpHを変化さ
せてNd、Feなどの溶出を防ぐ方法や還元剤を添加し
てNd、Feなどの酸化を防止する方法があるが、これ
らの方法は合金粉末のスラリーに水溶性バインダーを添
加した後のバインダーの分散性を悪化させるために、さ
らに余分の分散剤を添加させることになり、結果的にス
プレー造粒粉中の残留炭素量を増加させることになるの
で、好ましい手段ではない。
【0021】湿式微粉砕したR−Fe−B系合金粉末の
粒度は特に限定しないが、合金粉末の平均粒度が1μm
未満では粉砕中に溶媒の水と反応して酸化し易くなり、
焼結後の磁気特性を劣化させる恐れがあるため好ましく
なく、また、10μmを超える平均粒度では粒径が大き
すぎて焼結密度が95%程度で飽和し、該密度の向上が
望めないため好ましくない。よって1〜10μmの平均
粒度が好ましい範囲である。特に好ましくは2〜6μm
の範囲である。
粒度は特に限定しないが、合金粉末の平均粒度が1μm
未満では粉砕中に溶媒の水と反応して酸化し易くなり、
焼結後の磁気特性を劣化させる恐れがあるため好ましく
なく、また、10μmを超える平均粒度では粒径が大き
すぎて焼結密度が95%程度で飽和し、該密度の向上が
望めないため好ましくない。よって1〜10μmの平均
粒度が好ましい範囲である。特に好ましくは2〜6μm
の範囲である。
【0022】この発明においては、上述した合金粉末ス
ラリーを用いることにより、ドライ粉末に水溶性バイン
ダーを添加する場合と異なり、バインダー添加後の混練
工程が不要になると同時に、撹拌工程だけで短時間にス
プレードライヤー処理前のスラリーを作製できることに
なり、また粉体とバインダーとの馴染みがよくなるため
に、スプレー後の造粒粉の粉体特性を安定化させる利点
がある。
ラリーを用いることにより、ドライ粉末に水溶性バイン
ダーを添加する場合と異なり、バインダー添加後の混練
工程が不要になると同時に、撹拌工程だけで短時間にス
プレードライヤー処理前のスラリーを作製できることに
なり、また粉体とバインダーとの馴染みがよくなるため
に、スプレー後の造粒粉の粉体特性を安定化させる利点
がある。
【0023】バインダー成分 この発明において、湿式粉砕した合金粉末をスラリー状
にするために添加するバインダーには、メチルセルロー
ス、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールのうち
少なくとも1種と水とからなるものを用いる。これらは
少量の添加でスラリーの粘度を向上させることができる
と共に乾燥後においても高い結合力を保持することがで
き、また、添加量が少量で十分なため、粉末中の残留酸
素量、炭素量を低減することができる。
にするために添加するバインダーには、メチルセルロー
ス、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールのうち
少なくとも1種と水とからなるものを用いる。これらは
少量の添加でスラリーの粘度を向上させることができる
と共に乾燥後においても高い結合力を保持することがで
き、また、添加量が少量で十分なため、粉末中の残留酸
素量、炭素量を低減することができる。
【0024】バインダーとして、メチルセルロース、ポ
リアクリルアミド及びポリビニルアルコールを単独で用
いる場合の含有量は、0.05wt%未満では造粒粉内
の粒子間の結合力が弱く、成形前の給粉時に造粒粉が壊
れるとともに粉体の流動性が著しく低下し、また、0.
5wt%を越えると、焼結体における残留炭素量と酸素
量が増加して保磁力が下がり磁気特性が劣化するので、
0.05wt%〜0.5wt%の含有量がこれらの点で
好ましい。メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルアルコールをそれぞれ複合して用いる場合の含
有量も、0.05wt%未満では造粒粉内の粒子間の結
合力が弱く、成形前の給粉時に造粒粉が壊れるとともに
粉体の流動性が著しく低下し、また、0.4wt%を越
えると、焼結体における残留炭素量と酸素量が増加して
保磁力が下がり磁気特性が劣化するので、0.05wt
%〜0.4wt%の含有量が好ましい範囲である。
リアクリルアミド及びポリビニルアルコールを単独で用
いる場合の含有量は、0.05wt%未満では造粒粉内
の粒子間の結合力が弱く、成形前の給粉時に造粒粉が壊
れるとともに粉体の流動性が著しく低下し、また、0.
5wt%を越えると、焼結体における残留炭素量と酸素
量が増加して保磁力が下がり磁気特性が劣化するので、
0.05wt%〜0.5wt%の含有量がこれらの点で
好ましい。メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルアルコールをそれぞれ複合して用いる場合の含
有量も、0.05wt%未満では造粒粉内の粒子間の結
合力が弱く、成形前の給粉時に造粒粉が壊れるとともに
粉体の流動性が著しく低下し、また、0.4wt%を越
えると、焼結体における残留炭素量と酸素量が増加して
保磁力が下がり磁気特性が劣化するので、0.05wt
%〜0.4wt%の含有量が好ましい範囲である。
【0025】この発明において、合金粉末とバインダー
との混合スラリー中の水の含有量は、20wt%未満で
は、合金粉末とバインダーとを混練したスラリーの濃度
が高くなって、粘度が増加しすぎるため、該スラリーを
後述する撹拌機からスプレードライヤー装置まで供給す
ることができず、また、50wt%を越えるとスラリー
濃度が低くなりすぎ、撹拌機内及び撹拌機のスラリー供
給パイプ内で沈殿が起こり、供給量が不安定になるとと
もにスプレードライヤー装置によって得られる造粒粉の
平均粒度が20μm未満となり、さらに粒度にバラツキ
を生じるため、20wt%〜50wt%が好ましい範囲
である。さらに好ましくは30wt%〜40wt%の範
囲である。水としては、湿式粉砕と同様にR−Fe−B
系合金粉末のR成分との反応を極力抑制するために、脱
酸素処理した純水、あるいは窒素などの不活性ガスをバ
ブリング処理した水を用いることが望ましい。
との混合スラリー中の水の含有量は、20wt%未満で
は、合金粉末とバインダーとを混練したスラリーの濃度
が高くなって、粘度が増加しすぎるため、該スラリーを
後述する撹拌機からスプレードライヤー装置まで供給す
ることができず、また、50wt%を越えるとスラリー
濃度が低くなりすぎ、撹拌機内及び撹拌機のスラリー供
給パイプ内で沈殿が起こり、供給量が不安定になるとと
もにスプレードライヤー装置によって得られる造粒粉の
平均粒度が20μm未満となり、さらに粒度にバラツキ
を生じるため、20wt%〜50wt%が好ましい範囲
である。さらに好ましくは30wt%〜40wt%の範
囲である。水としては、湿式粉砕と同様にR−Fe−B
系合金粉末のR成分との反応を極力抑制するために、脱
酸素処理した純水、あるいは窒素などの不活性ガスをバ
ブリング処理した水を用いることが望ましい。
【0026】また、合金粉末へのバインダーの添加、撹
拌は、0℃〜15℃の温度範囲内で行うことが好まし
く、合金粉末と水との酸化反応をより抑制することがで
きる。逆に、15℃を超える温度での撹拌は合金粉末と
水との酸化反応を促進されるため好ましくない。0℃〜
15℃の温度範囲内に保持するには、予め該温度に冷却
した水を用いたり、撹拌容器を冷却水などによって冷却
する手段などを採用することができる。
拌は、0℃〜15℃の温度範囲内で行うことが好まし
く、合金粉末と水との酸化反応をより抑制することがで
きる。逆に、15℃を超える温度での撹拌は合金粉末と
水との酸化反応を促進されるため好ましくない。0℃〜
15℃の温度範囲内に保持するには、予め該温度に冷却
した水を用いたり、撹拌容器を冷却水などによって冷却
する手段などを採用することができる。
【0027】また、上述したバインダーにグリセリン、
ワックスエマルジョン、ステアリン酸、フタール酸エス
テル、ペトリオール、グライコール等の分散剤 ・ 潤
滑剤のうち少なくとも1種を添加するか、あるいはさら
に、n−オクチルアルコール、ポリアルキレン誘導体、
ポリエーテル系誘導体等の消泡剤を添加すると、スラリ
ーの分散性、均一性の向上及びスプレードライヤー装置
での粉化状態が良好になり、気泡が少なく、滑り性、流
動性にすぐれる球形状の造粒粉をより容易に得ることが
可能になる。なお、添加する場合は、0.03wt%未
満の含有量では造粒粉を成形後の離型性改善に効果がな
く、また0.3wt%を超えると焼結体における残留炭
素量と酸素量が増加して保磁力が下がり磁気特性が劣化
するので、0.03wt%〜0.3wt%の含有量が好
ましい。
ワックスエマルジョン、ステアリン酸、フタール酸エス
テル、ペトリオール、グライコール等の分散剤 ・ 潤
滑剤のうち少なくとも1種を添加するか、あるいはさら
に、n−オクチルアルコール、ポリアルキレン誘導体、
ポリエーテル系誘導体等の消泡剤を添加すると、スラリ
ーの分散性、均一性の向上及びスプレードライヤー装置
での粉化状態が良好になり、気泡が少なく、滑り性、流
動性にすぐれる球形状の造粒粉をより容易に得ることが
可能になる。なお、添加する場合は、0.03wt%未
満の含有量では造粒粉を成形後の離型性改善に効果がな
く、また0.3wt%を超えると焼結体における残留炭
素量と酸素量が増加して保磁力が下がり磁気特性が劣化
するので、0.03wt%〜0.3wt%の含有量が好
ましい。
【0028】造粒方法 この発明において、合金粉末スラリーに上述したバイン
ダーを添加、撹拌したスラリーは、スプレードライヤー
装置によって造粒粉にする。まず、スプレードライヤー
装置を用いた造粒粉の製造方法を説明すると、スラリー
撹拌機からスラリーをスプレードライヤー装置に供給す
る、例えば、回転ディスクの遠心力で噴霧したり、加圧
ノズル先端部で霧状に噴霧され、噴霧された液滴は、加
熱された不活性ガスの熱風によって瞬時に乾燥されて造
粒粉となり、回収部内の下部に自然落下する。
ダーを添加、撹拌したスラリーは、スプレードライヤー
装置によって造粒粉にする。まず、スプレードライヤー
装置を用いた造粒粉の製造方法を説明すると、スラリー
撹拌機からスラリーをスプレードライヤー装置に供給す
る、例えば、回転ディスクの遠心力で噴霧したり、加圧
ノズル先端部で霧状に噴霧され、噴霧された液滴は、加
熱された不活性ガスの熱風によって瞬時に乾燥されて造
粒粉となり、回収部内の下部に自然落下する。
【0029】スプレードライヤー装置の構成としては、
上記のディスク回転型、加圧ノズル型のいずれでもよい
が、造粒するR−Fe−B系合金粉末は非常に酸化し易
いために、装置のスラリー収納部内あるいは造粒粉の回
収部内を不活性ガスなどで置換でき、かつその酸素濃度
を常時3%以下に保持できる密閉構造であることが好ま
しい。また、スプレードライヤー装置の回収部内の構成
としては、回転ディスクあるいは加圧ノズルより噴霧さ
れた液滴を瞬時に乾燥させるために、回転ディスクの近
傍あるいは加圧ノズルの上方に加熱された不活性ガスを
噴射する噴射口を配置し、また回収部内の下部に、噴射
されたガスを回収部外へ排出する排出口を設けるが、そ
の際、予め装置外部あるいは装置に付属された加熱器で
所要温度に加熱された不活性ガスの温度を低下させない
ように、上記噴射口を不活性ガスの温度に応じた温度、
例えば60〜150℃に保持することが好ましい。
上記のディスク回転型、加圧ノズル型のいずれでもよい
が、造粒するR−Fe−B系合金粉末は非常に酸化し易
いために、装置のスラリー収納部内あるいは造粒粉の回
収部内を不活性ガスなどで置換でき、かつその酸素濃度
を常時3%以下に保持できる密閉構造であることが好ま
しい。また、スプレードライヤー装置の回収部内の構成
としては、回転ディスクあるいは加圧ノズルより噴霧さ
れた液滴を瞬時に乾燥させるために、回転ディスクの近
傍あるいは加圧ノズルの上方に加熱された不活性ガスを
噴射する噴射口を配置し、また回収部内の下部に、噴射
されたガスを回収部外へ排出する排出口を設けるが、そ
の際、予め装置外部あるいは装置に付属された加熱器で
所要温度に加熱された不活性ガスの温度を低下させない
ように、上記噴射口を不活性ガスの温度に応じた温度、
例えば60〜150℃に保持することが好ましい。
【0030】すなわち、不活性ガスの温度が低下する
と、噴霧された液滴を短時間で十分乾燥することができ
なくなるため、スラリーの供給量を減少させなければな
らず能率が低下してしまう。また、比較的大きな粒径の
造粒粉を作る場合は、回転ディスクの回転数あるいは加
圧ノズルの圧力を低下させるが、その際に不活性ガスの
温度が低下していると、噴霧された液滴を十分乾燥する
ことができないので、結果としてスラリーの供給量を減
少させることにより、大きな粒径の造粒粉を得る場合に
は極端に能率が低下することになる。従って、予め加熱
された不活性ガスの温度をそのまま維持しながら回収部
内へ送り込むには、噴射口の温度を60〜150℃に保
持することが好ましく、特に100℃前後が最も好まし
い。
と、噴霧された液滴を短時間で十分乾燥することができ
なくなるため、スラリーの供給量を減少させなければな
らず能率が低下してしまう。また、比較的大きな粒径の
造粒粉を作る場合は、回転ディスクの回転数あるいは加
圧ノズルの圧力を低下させるが、その際に不活性ガスの
温度が低下していると、噴霧された液滴を十分乾燥する
ことができないので、結果としてスラリーの供給量を減
少させることにより、大きな粒径の造粒粉を得る場合に
は極端に能率が低下することになる。従って、予め加熱
された不活性ガスの温度をそのまま維持しながら回収部
内へ送り込むには、噴射口の温度を60〜150℃に保
持することが好ましく、特に100℃前後が最も好まし
い。
【0031】また、不活性ガスの噴射口と排出口の温度
差が小さい場合も処理能率が低下する傾向があるので、
排出口の温度は50℃以下、好ましくは40℃以下、特
に好ましくは常温に設定することが望ましい。不活性ガ
スとしては、窒素ガスやアルゴンガスが好ましく、加熱
温度は60〜150℃が好ましい。
差が小さい場合も処理能率が低下する傾向があるので、
排出口の温度は50℃以下、好ましくは40℃以下、特
に好ましくは常温に設定することが望ましい。不活性ガ
スとしては、窒素ガスやアルゴンガスが好ましく、加熱
温度は60〜150℃が好ましい。
【0032】造粒粉の粒度は、スプレードライヤー装置
へ供給するスラリーの濃度や、その供給量、あるいは回
転ディスクの回転数または加圧ノズルの圧力によって制
御することができるが、平均粒径が20μm未満では、
造粒粉の流動性がほとんど向上せず、また、平均粒径が
400μmを超えると、粒径が大きすぎて成形時の金型
内への充填密度が低下するとともに成形体密度も低下
し、ひいては、焼結後の焼結体密度の低下をきたすこと
となるため好ましくなく、よって、造粒粉の平均粒径は
20〜400μmが好ましい。特に好ましくは50〜2
00μmである。また、ふるいによりアンダーカット、
オーバーカットを行なうことにより、さらに極めて流動
性に富んだ造粒粉を得ることができる。さらに、得られ
た造粒粉にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウ
ム、ポリエチレングリコール等の潤滑剤を少量添加する
と、さらに流動性を向上させることができ有効である。
へ供給するスラリーの濃度や、その供給量、あるいは回
転ディスクの回転数または加圧ノズルの圧力によって制
御することができるが、平均粒径が20μm未満では、
造粒粉の流動性がほとんど向上せず、また、平均粒径が
400μmを超えると、粒径が大きすぎて成形時の金型
内への充填密度が低下するとともに成形体密度も低下
し、ひいては、焼結後の焼結体密度の低下をきたすこと
となるため好ましくなく、よって、造粒粉の平均粒径は
20〜400μmが好ましい。特に好ましくは50〜2
00μmである。また、ふるいによりアンダーカット、
オーバーカットを行なうことにより、さらに極めて流動
性に富んだ造粒粉を得ることができる。さらに、得られ
た造粒粉にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウ
ム、ポリエチレングリコール等の潤滑剤を少量添加する
と、さらに流動性を向上させることができ有効である。
【0033】造粒後の工程、すなわち、成形、焼結、熱
処理など条件、方法は公知のいずれの粉末冶金的手段を
採用することができる。以下に好ましい条件の一例を示
す。成形は、公知のいずれの成形方法も採用できるが、
圧縮成形で行なうことが最も好ましく、その圧力は、
0.3〜2.0Ton/cm2が好ましい。また、磁場
を印加して成形する場合の磁場強度としては10〜20
kOeが好ましい範囲である。焼結前には、真空中で加
熱する一般的な方法や、水素流気中で100〜200℃
/時間で昇温し、300〜600℃で1〜2時間程度保
持する方法などにより脱バインダー処理を行なうことが
好ましい。水素中で脱バインダー処理を施すことによ
り、バインダー中のほぼ全炭素が脱炭され、磁気特性が
向上する。
処理など条件、方法は公知のいずれの粉末冶金的手段を
採用することができる。以下に好ましい条件の一例を示
す。成形は、公知のいずれの成形方法も採用できるが、
圧縮成形で行なうことが最も好ましく、その圧力は、
0.3〜2.0Ton/cm2が好ましい。また、磁場
を印加して成形する場合の磁場強度としては10〜20
kOeが好ましい範囲である。焼結前には、真空中で加
熱する一般的な方法や、水素流気中で100〜200℃
/時間で昇温し、300〜600℃で1〜2時間程度保
持する方法などにより脱バインダー処理を行なうことが
好ましい。水素中で脱バインダー処理を施すことによ
り、バインダー中のほぼ全炭素が脱炭され、磁気特性が
向上する。
【0034】なお、R元素を含む合金粉末は、水素を吸
蔵しやすいために、水素流気中での脱バインダー処理後
には脱水素処理を行なうことが好ましい。脱水素処理
は、真空中で昇温速度は、50〜200℃/時間で昇温
し、500〜800℃で1〜2時間程度保持することに
より、吸蔵されていた水素はほぼ完全に除去される。ま
た、脱水素処理後は、引き続いて昇温加熱して焼結を行
うことが好ましく、500℃を超えてからの昇温速度は
任意に選定すればよく、例えば100〜300℃/時間
など、焼結に際して取られる公知の昇温方法を採用でき
る。
蔵しやすいために、水素流気中での脱バインダー処理後
には脱水素処理を行なうことが好ましい。脱水素処理
は、真空中で昇温速度は、50〜200℃/時間で昇温
し、500〜800℃で1〜2時間程度保持することに
より、吸蔵されていた水素はほぼ完全に除去される。ま
た、脱水素処理後は、引き続いて昇温加熱して焼結を行
うことが好ましく、500℃を超えてからの昇温速度は
任意に選定すればよく、例えば100〜300℃/時間
など、焼結に際して取られる公知の昇温方法を採用でき
る。
【0035】脱バインダー処理後の成形品の焼結並びに
焼結後の熱処理条件は、選定した合金粉末組成に応じて
適宜選定されるが、焼結並びに焼結後の熱処理条件とし
ては、1000〜1180℃、1〜2時間保持する焼結
工程、450〜800℃、1〜8時間保持する時効処理
工程などが好ましい。
焼結後の熱処理条件は、選定した合金粉末組成に応じて
適宜選定されるが、焼結並びに焼結後の熱処理条件とし
ては、1000〜1180℃、1〜2時間保持する焼結
工程、450〜800℃、1〜8時間保持する時効処理
工程などが好ましい。
【0036】
【作用】この発明は、水を溶媒とした湿式微粉砕のR−
Fe−B系合金粉末のスラリーに、メチルセルロース、
ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールの単独ある
いは複合したものと水とからなるバインダーを添加、撹
拌してスラリー状となし、該スラリーをスプレードライ
ヤー装置により平均粒径20μm〜400μmの流動性
の高い球形状の造粒粉となし、該造粒粉を用いて、成
形、焼結、熱処理することにより、バインダー自体のす
ぐれた潤滑性とも相まって、粉体の流動性が格段に向上
し、成形サイクルが向上するとともに、成形密度のバラ
ツキや成形機の寿命を低下させることなく、焼結後の寸
法精度にもすぐれる、薄肉形状や小型形状でかつすぐれ
た磁気特性を有するR−Fe−B系焼結永久磁石が得ら
れる。特にドライ粉末にバインダーと水を添加してスラ
リーを作製する場合には、バインダーと合金粉末との馴
染みをよくするために、必ず混練工程の後撹拌工程が必
要であるが、湿式微粉砕したスラリーにバインダーと水
を添加した場合には撹拌工程だけで十分良好な粉体特性
を有する造粒粉が作製できると同時に、さらに工程の合
理化もできる利点を有する。
Fe−B系合金粉末のスラリーに、メチルセルロース、
ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールの単独ある
いは複合したものと水とからなるバインダーを添加、撹
拌してスラリー状となし、該スラリーをスプレードライ
ヤー装置により平均粒径20μm〜400μmの流動性
の高い球形状の造粒粉となし、該造粒粉を用いて、成
形、焼結、熱処理することにより、バインダー自体のす
ぐれた潤滑性とも相まって、粉体の流動性が格段に向上
し、成形サイクルが向上するとともに、成形密度のバラ
ツキや成形機の寿命を低下させることなく、焼結後の寸
法精度にもすぐれる、薄肉形状や小型形状でかつすぐれ
た磁気特性を有するR−Fe−B系焼結永久磁石が得ら
れる。特にドライ粉末にバインダーと水を添加してスラ
リーを作製する場合には、バインダーと合金粉末との馴
染みをよくするために、必ず混練工程の後撹拌工程が必
要であるが、湿式微粉砕したスラリーにバインダーと水
を添加した場合には撹拌工程だけで十分良好な粉体特性
を有する造粒粉が作製できると同時に、さらに工程の合
理化もできる利点を有する。
【0037】なお、この発明における造粒粉は、それ自
体は等方性であるので、磁場を印加せずに成形した場合
は当然のことながら等方性の成形体になるが、高磁場を
印加しながら成形すると、圧縮応力と磁場の作用によっ
て、造粒粉が壊れて元の一次粒子となり、該一次粒子が
磁場によって配向し、異方性の成形体が得られるので、
用途に応じて等方性磁石と異方性磁石の両方を製造する
ことができるという利点も有する。さらに、この発明に
おける造粒粉は、バインダーによって被覆されているた
め、大気中において酸化し難いので、成形工程における
作業性が向上するという利点も有する。
体は等方性であるので、磁場を印加せずに成形した場合
は当然のことながら等方性の成形体になるが、高磁場を
印加しながら成形すると、圧縮応力と磁場の作用によっ
て、造粒粉が壊れて元の一次粒子となり、該一次粒子が
磁場によって配向し、異方性の成形体が得られるので、
用途に応じて等方性磁石と異方性磁石の両方を製造する
ことができるという利点も有する。さらに、この発明に
おける造粒粉は、バインダーによって被覆されているた
め、大気中において酸化し難いので、成形工程における
作業性が向上するという利点も有する。
【0038】
実施例1 Rとして、Nd13.3原子%、Pr0.31原子%、
Dy0.28原子%、Co3.4原子%、B6.5原子
%、残部Fe及び不可避的不純物からなる原料を、Ar
ガス雰囲気中で高周波溶解して、ボタン状溶製合金を得
た。次に、該合金を粗粉砕した後、ジョークラッシャー
などにより平均粒度約20μmに粉砕した。この粉砕粉
末を内容積10lのボールミル内に直径8mmの鋼製ボ
ールとともに入れた後、カチオン、アニオンなどの各イ
オンを4ppm以下に除去した5℃の純水をArガスで
バブリングして溶存酸素量を0.8ppmまで低下させ
てからボールミルに投入した。投入後回転数120rp
mで1時間回転させて微粉砕した。粉砕中のミル内の水
温は15℃以下になるようにミル自体をチラーで冷却保
温した。なお、粉砕後の平均粒度は4.3μmであっ
た。該粉末スラリーに表1に示す種類及び添加量のバイ
ンダー、水、滑剤を添加して10℃に冷却した撹拌タン
ク中で撹拌して、該スラリーをディスク回転型スプレー
ドライヤー装置により、不活性ガスを窒素で、熱風入口
温度を100℃、出口温度を40℃に設定して造粒を行
った。
Dy0.28原子%、Co3.4原子%、B6.5原子
%、残部Fe及び不可避的不純物からなる原料を、Ar
ガス雰囲気中で高周波溶解して、ボタン状溶製合金を得
た。次に、該合金を粗粉砕した後、ジョークラッシャー
などにより平均粒度約20μmに粉砕した。この粉砕粉
末を内容積10lのボールミル内に直径8mmの鋼製ボ
ールとともに入れた後、カチオン、アニオンなどの各イ
オンを4ppm以下に除去した5℃の純水をArガスで
バブリングして溶存酸素量を0.8ppmまで低下させ
てからボールミルに投入した。投入後回転数120rp
mで1時間回転させて微粉砕した。粉砕中のミル内の水
温は15℃以下になるようにミル自体をチラーで冷却保
温した。なお、粉砕後の平均粒度は4.3μmであっ
た。該粉末スラリーに表1に示す種類及び添加量のバイ
ンダー、水、滑剤を添加して10℃に冷却した撹拌タン
ク中で撹拌して、該スラリーをディスク回転型スプレー
ドライヤー装置により、不活性ガスを窒素で、熱風入口
温度を100℃、出口温度を40℃に設定して造粒を行
った。
【0039】該造粒粉を磁場プレス機を用いて、磁場強
度15kOe、圧力1ton/cm2で10mm×15
mm×厚み10mmの形状に成形した後、水素雰囲気中
で室温から300℃までを昇温速度100℃/時で加熱
する脱バインダー処理を行ない、引き続いて真空中で1
100℃まで昇温し1時間保持する焼結を行ない、さら
に焼結完了後、Arガスを導入して7℃/分の速度で8
00℃まで冷却し、その後100℃/時の速度で冷却し
て550℃で2時間保持して時効処理を施して異方性の
焼結体を得た。成形時の造粒粉の流動性、成形体の寸法
及び密度並びに得られた焼結磁石の残留酸素量、残留炭
素量、磁気特性を表2のNo.1〜7に示す。なお、流
動性は、内径8mmのロートの管を100gの原料粉が
自然落下し通過するまでに要した時間で測定した。ま
た、得られた全ての焼結体には、ワレ、ヒビ、変形など
は全く見られなかった。
度15kOe、圧力1ton/cm2で10mm×15
mm×厚み10mmの形状に成形した後、水素雰囲気中
で室温から300℃までを昇温速度100℃/時で加熱
する脱バインダー処理を行ない、引き続いて真空中で1
100℃まで昇温し1時間保持する焼結を行ない、さら
に焼結完了後、Arガスを導入して7℃/分の速度で8
00℃まで冷却し、その後100℃/時の速度で冷却し
て550℃で2時間保持して時効処理を施して異方性の
焼結体を得た。成形時の造粒粉の流動性、成形体の寸法
及び密度並びに得られた焼結磁石の残留酸素量、残留炭
素量、磁気特性を表2のNo.1〜7に示す。なお、流
動性は、内径8mmのロートの管を100gの原料粉が
自然落下し通過するまでに要した時間で測定した。ま
た、得られた全ての焼結体には、ワレ、ヒビ、変形など
は全く見られなかった。
【0040】比較例1 実施例1と同じ20μmの粗粉砕粉をジェットミルによ
り平均粒度3μmに粉砕した粉末に、表1に示すような
含水量、バインダー添加量、滑剤添加量になるようにバ
インダー、水、滑剤を添加し、混練、撹拌してスラリー
状となし、該スラリーを実施例1と同一条件でスプレー
造粒を行った。得られた造粒粉の成形以降の工程は実施
例1と同一条件で行った。造粒後の平均粒度、成形時の
造粒粉の流動性、成形体の寸法及び密度、焼結後の残留
酸素量、残留炭素量、磁気特性を表2のNo.8〜10
に示す。この時の測定方法は実施例1と同一条件であ
る。また、得られた焼結帯には、ワレ、ヒビ、変形など
はまったく見られなかった。表2から明らかなように、
特に実施例1の粉体の流動性が比較例1のそれに比較し
て良好なことがわかる。
り平均粒度3μmに粉砕した粉末に、表1に示すような
含水量、バインダー添加量、滑剤添加量になるようにバ
インダー、水、滑剤を添加し、混練、撹拌してスラリー
状となし、該スラリーを実施例1と同一条件でスプレー
造粒を行った。得られた造粒粉の成形以降の工程は実施
例1と同一条件で行った。造粒後の平均粒度、成形時の
造粒粉の流動性、成形体の寸法及び密度、焼結後の残留
酸素量、残留炭素量、磁気特性を表2のNo.8〜10
に示す。この時の測定方法は実施例1と同一条件であ
る。また、得られた焼結帯には、ワレ、ヒビ、変形など
はまったく見られなかった。表2から明らかなように、
特に実施例1の粉体の流動性が比較例1のそれに比較し
て良好なことがわかる。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】この発明によれば、水を溶媒として湿式
微粉砕したR−Fe−B系合金粉末スラリーに、少量の
メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルア
ルコールの単独あるいは複合したものと水を添加、混練
してスラリー状となし、該スラリーをスプレードライヤ
ー装置により造粒することにより、混練、撹拌が十分に
行われ、R−Fe−B系合金粉末とバインダーとの反応
を抑制するとともに十分な流動性を付与し、かつ総バイ
ンダー中の炭素含有量を大幅に低減した平均粒度20μ
m〜400μmの造粒粉を用いて、成形、焼結、熱処理
するため、造粒粉自体のすぐれた流動性とも相まって、
粉体の流動性が格段に向上し、成形サイクルが向上する
とともに、成形体密度のバラツキや成形機の寿命を低下
させることもなく、焼結後の寸法精度にもすぐれる、小
型形状や薄肉形状でかつ優れた磁気特性を有するR−F
e−B系焼結磁石が効率よく得られる。
微粉砕したR−Fe−B系合金粉末スラリーに、少量の
メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルア
ルコールの単独あるいは複合したものと水を添加、混練
してスラリー状となし、該スラリーをスプレードライヤ
ー装置により造粒することにより、混練、撹拌が十分に
行われ、R−Fe−B系合金粉末とバインダーとの反応
を抑制するとともに十分な流動性を付与し、かつ総バイ
ンダー中の炭素含有量を大幅に低減した平均粒度20μ
m〜400μmの造粒粉を用いて、成形、焼結、熱処理
するため、造粒粉自体のすぐれた流動性とも相まって、
粉体の流動性が格段に向上し、成形サイクルが向上する
とともに、成形体密度のバラツキや成形機の寿命を低下
させることもなく、焼結後の寸法精度にもすぐれる、小
型形状や薄肉形状でかつ優れた磁気特性を有するR−F
e−B系焼結磁石が効率よく得られる。
Claims (1)
- 【請求項1】 水を溶媒として湿式微粉砕したR−Fe
−B系合金粉末(RはYを含む希土類元素の少なくとも
1種)のスラリーに、メチルセルロース、ポリアクリル
アミド、ポリビニルアルコールのうち少なくとも1種と
水とからなるバインダーを添加、混練してスラリー状と
なし、該スラリーをスプレードライヤー装置により平均
粒径20μm〜400μmの球形状の造粒粉となし、該
造粒粉を用いて、成形、焼結する粉末冶金法により焼結
永久磁石を得ることを特徴とするR−Fe−B系焼結永
久磁石の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6247328A JPH0888111A (ja) | 1994-09-14 | 1994-09-14 | R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6247328A JPH0888111A (ja) | 1994-09-14 | 1994-09-14 | R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0888111A true JPH0888111A (ja) | 1996-04-02 |
Family
ID=17161771
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6247328A Pending JPH0888111A (ja) | 1994-09-14 | 1994-09-14 | R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0888111A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006003872A1 (ja) | 2004-06-30 | 2006-01-12 | Tdk Corporation | 希土類焼結磁石用原料粉体の製造方法、希土類焼結磁石の製造方法、顆粒及び焼結体 |
JP2006265643A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Tdk Corp | 希土類焼結磁石の製造方法及び希土類焼結磁石 |
JP2009246272A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Tdk Corp | 焼結磁石の製造方法 |
-
1994
- 1994-09-14 JP JP6247328A patent/JPH0888111A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006003872A1 (ja) | 2004-06-30 | 2006-01-12 | Tdk Corporation | 希土類焼結磁石用原料粉体の製造方法、希土類焼結磁石の製造方法、顆粒及び焼結体 |
US7858023B2 (en) | 2004-06-30 | 2010-12-28 | Tdk Corporation | Method for producing raw material powder for rare earth sintered magnet, method for producing rare earth sintered magnet, granule and sintered body |
EP2527062A1 (en) | 2004-06-30 | 2012-11-28 | TDK Corporation | Method for producing a rare earth sintered magnet |
JP2006265643A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Tdk Corp | 希土類焼結磁石の製造方法及び希土類焼結磁石 |
JP4666145B2 (ja) * | 2005-03-24 | 2011-04-06 | Tdk株式会社 | 希土類焼結磁石の製造方法及び希土類焼結磁石 |
JP2009246272A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Tdk Corp | 焼結磁石の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100300933B1 (ko) | 희토류계소결자석의제조방법 | |
JP3393018B2 (ja) | 薄肉R−Fe−B系焼結磁石の製造方法 | |
JP3435223B2 (ja) | センダスト系焼結合金の製造方法 | |
JP2002285208A (ja) | 希土類合金粉末材料の調製方法およびそれを用いた希土類合金焼結体の製造方法 | |
JPH09312229A (ja) | 希土類系焼結磁石の製造方法 | |
JPH08107034A (ja) | R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法 | |
JPH0888111A (ja) | R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法 | |
JP3170156B2 (ja) | 等方性造粒粉の製造方法 | |
JP3631330B2 (ja) | 希土類焼結永久磁石の製造方法 | |
JP3432905B2 (ja) | センダスト系焼結合金の製造方法 | |
JP3540389B2 (ja) | R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法 | |
JPH0888112A (ja) | R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法 | |
JPH0820801A (ja) | 異方性造粒粉の製造方法とその装置 | |
JPH0917674A (ja) | 希土類系焼結磁石の製造方法 | |
JPH0917670A (ja) | 希土類系焼結磁石の製造方法 | |
JPH0917673A (ja) | 希土類系焼結磁石の製造方法 | |
JPH0372011A (ja) | 焼結磁石用希土類―鉄―ホウ素系合金粉末の製造方法 | |
JPH08120393A (ja) | Fe−Si系軟質磁性焼結合金の製造方法 | |
JP3174442B2 (ja) | R−Fe−B系焼結異方性永久磁石の製造方法 | |
JPH0897021A (ja) | 希土類磁石用粉末とそれを用いた希土類磁石 | |
JPH0974036A (ja) | 希土類系焼結永久磁石の製造方法 | |
JP2005340323A (ja) | 希土類焼結磁石用原料粉体、その製造方法及び希土類焼結磁石の製造方法 | |
JPH0917672A (ja) | 希土類系焼結磁石の製造方法 | |
JP6925693B2 (ja) | 磁石粉末の製造方法および磁石粉末 | |
JPH0917671A (ja) | 希土類系焼結永久磁石の製造方法 |