JPH0888112A - R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法 - Google Patents

R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法

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JPH0888112A
JPH0888112A JP6247330A JP24733094A JPH0888112A JP H0888112 A JPH0888112 A JP H0888112A JP 6247330 A JP6247330 A JP 6247330A JP 24733094 A JP24733094 A JP 24733094A JP H0888112 A JPH0888112 A JP H0888112A
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binder
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Osamu Yamashita
治 山下
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形体の寸法精度の向上及び生産性の向上を
図り、薄肉形状や小型形状でかつ優れた磁気特性を有す
るR−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法の提供。 【構成】 微粉砕した主相系合金粉末と酸化防止のため
に比較的粒径を大きくした液相系合金粉末のそれぞれ個
別にあるいは所定混合比で配合混合後に、メチルセルロ
ース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールの単
独あるいは複合したものと水とからなるバインダーを添
加、混練してスラリー状となし、該スラリーをスプレー
ドライヤー装置により平均粒度20μm〜400μmの
流動性の高い球形状の造粒粉となし、スプレー造粒工程
中における酸化を抑制するとともに、該造粒粉を用いて
焼結磁石化することにより、バインダー自体の優れた潤
滑性とも相まって、粉体の流動性が格段に向上し、成形
サイクルが向上するとともに、成形体密度のバラツキや
成形機の寿命を低下させることもなく、焼結後の寸法精
度にも優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、粉末冶金法によりR
−Fe−B系焼結永久磁石を製造する方法に係り、微細
結晶化した主成分系R−Fe−B系合金微粉末と液相系
化合物粉末を個別にあるいは先に所定の割合で配合混合
した後、特定の水溶性バインダーと水を添加、撹拌して
スラリー状となし、該スラリーをスプレードライヤー装
置にて造粒することにより、球形状の造粒粉を得て、成
形時の粉体の流動性、潤滑性を向上させて、成形サイク
ルの向上、成形体の寸法精度を向上させると同時に、焼
結体中の残留酸素量と残留炭素量を抑制し、薄肉形状や
小型形状の優れた磁気特性を有するR−Fe−B系焼結
磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、家電製品を初めコンピュータの周
辺機器や自動車等用途に用いられる小型モーターやアク
チュエータ等には、小型化、軽量化とともに高性能化が
求められており、その磁石材料も小型化、軽量化、薄肉
化が要求されている。現在の代表的な永久磁石材料とし
ては、アルニコ磁石、フェライト磁石、希土類コバルト
磁石、そして、出願人が先に提案したR−Fe−B系磁
石(特公昭61−34242号等)が挙げられる。上記
の中でも、特に、R−Fe−B系磁石は、資源的に豊富
な軽希土類元素などを主成分とするため、磁石を安定に
供給することができ、しかも他の磁石材料に比べて磁気
特性が格段にすぐれるために、各種用途に多用されてい
る。
【0003】R−Fe−B系焼結永久磁石は、最大エネ
ルギー積((BH)max)が40MGOeを超え、最
大では50MGOeを超える極めて優れた磁気特性を有
するが、その優れた磁気特性を発現させるためには、所
要組成からなる合金を1〜10μm程度の平均粒度に粉
砕することが必要となる。しかし、合金粉末の粒度を小
さくすると、成形時の粉末の流動性が悪くなり、成形体
密度のバラツキや成形機の寿命を低下させるとともに、
焼結後の寸法精度にもバラツキを生じることとなり、特
に薄肉形状や小型形状の製品を得るのが困難であった。
また、R−Fe−B系焼結永久磁石は、大気中で酸化し
易い希土類元素や鉄を主成分として含有するため、合金
粉末の粒度を小さくすると、酸化により磁気特性が劣化
する問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そのため、特に成形性
を改良するために、成形前の合金粉末に、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテルなどを添加したもの(特公平4
−80961号)、それらにさらにパラフィンやステア
リン酸塩を添加したもの(特公平4−80962号、特
公平5−53842号)、またオレイン酸を添加したも
の(特公昭62−36365号)等が提案された。しか
し、ある程度の成形性は向上できるものの、その改善効
果にも限界があり、近年要求される薄肉形状や小型形状
の成形は依然困難であった。
【0005】また、上記のバインダーや潤滑剤の添加と
ともに、さらに成形性を改良し、薄肉形状品や小型形状
品を製造する方法として、成形前の合金粉末に飽和脂肪
族カルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸にミリスチル酸
エチルやオレイン酸からなる滑剤を添加して混練した
後、造粒を行なって成形する方法(特開昭62−245
604号)、あるいはパラフィン混合物に飽和脂肪族カ
ルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸等添加、混練後、造
粒した後成形する方法(特開昭63−237402号)
も提案されている。
【0006】しかし、上記の方法では、粉末粒子の結合
力が十分でなく、造粒粉が壊れやすいために、十分な粉
末の流動性を実現することが困難であった。成形性を向
上させたり、粉末粒子の結合力を高めるためには、種々
バインダーや潤滑剤の添加量を増やすことが考えられる
が、多量に添加すると、R−Fe−B系合金粉末中のR
成分とバインダーとの反応により、焼結後の焼結体の残
留酸素量、残留炭素量が増加し、磁気特性の劣化を招く
ことになるので、添加量にも制限があった。
【0007】また、R−Fe−B系合金粉末を対象とす
るものではないが、Co系スーパーアロイ粉末を対象と
した圧縮成形用のバインダーとして、対象合金粉末に対
して、1.5〜3.5wt%のメチルセルロースとさら
に所定量の添加物であるグリセリンとほう酸を混合した
組成が提案(USP4,118,480)され、また、
工具用合金粉末の射出成形用のバインダーとして、特殊
組成からなり、対象合金粉末に対して0.5〜2.5w
t%のメチルセルロースに水、グリセリン等の可塑剤、
ワックスエマルジョン等の滑剤、離型剤を添加した組成
が提案(特開昭62−37302)されている。しか
し、それらはいずれも所定の流動性と成形体強度を確保
するため、いずれも対象合金粉末に対して、上記のよう
に例えば0.5wt%以上もの比較的多量のバインダー
を使用するもので、しかも種々のバインダー添加剤の添
加、例えばグリセリン等の可塑剤をメチルセルロースと
同量程度添加することが不可欠であるため、射出成形や
圧縮成形後、脱脂した後、焼結後でもかなりの炭素と酸
素が残留し、特にこの発明の対象とするR−Fe−B系
焼結磁石の場合、磁気の劣化を招くので、容易には適用
できない。
【0008】また、フェライトなどの酸化物粉末を対象
として、平均粒度1μm以下粉末に、バインダーとして
0.6〜1.0wt%のポリビニルアルコールを添加し
たのち、スプレードライヤー装置により造粒粉を製造
し、該造粒粉を成形、焼結する方法が知られている。し
かし、それらはいずれも酸化物粉末に対して0.6wt
%以上もの多量のバインダーを使用するもので、脱脂処
理を施したのちの焼結体にもかなりの炭素及び酸素が残
留するため、非常に酸化及び炭化しやすい性質を有し、
少しの酸化あるいは炭化によっても極端に磁気特性が劣
化するこの発明の対象とする希土類含有合金粉末に、上
記のような酸化物を対象とした方法をそのまま適用する
ことはできない。
【0009】特に、酸化物の場合は比較的多量のバイン
ダーを用いても大気中で脱脂、焼結できるため、脱脂、
焼結時にバインダーが燃焼してある程度の残留炭素の抑
制を図ることができるが、この発明の対象とする希土類
含有合金粉末の場合は、酸化により磁気特性が劣化する
ため大気中で脱脂、焼結することができないので、多量
のバインダー添加は得られる焼結磁石の磁気特性に致命
的な悪影響を及ぼすこととなる。
【0010】このように、R−Fe−B系焼結永久磁石
の製造方法において、成形前の合金粉末に、種々のバイ
ンダーや潤滑剤を添加したり、さらに造粒を行なって、
成形性を改良する試みが種々提案されてはいるが、いず
れの方法によっても、近年要求されるような、薄肉形状
や小型形状でかつすぐれた磁気特性を有するR−Fe−
B系焼結永久磁石を製造するのは困難であった。
【0011】この発明は、粉末冶金法によりR−Fe−
B系焼結永久磁石を製造する方法において、合金粉末と
バインダーとの反応を抑制し、焼結体の残留酸素量、残
留炭素量を低減させるとともに、成形時の粉体の流動
性、潤滑性を向上させて、成形体の寸法精度の向上及び
生産性の向上を図った、薄肉形状や小型形状でかつ優れ
た磁気特性を有するR−Fe−B系焼結永久磁石の製造
方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らは、R−Fe−
B系合金粉末とバインダーとの反応を抑制でき、焼結体
の残留酸素量、残留炭素量を低減させる方法を種々検討
した結果、バインダーとして、少量のメチルセルロー
ス、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールのうち
少なくとも1種と水とからなるバインダーを用いること
により、焼結前の工程におけるR−Fe−B系合金粉末
とバインダーとの反応を抑制することができ、焼結後の
焼結体の残留酸素量、残留炭素量を大幅に低減できるこ
とを知見した。
【0013】また、上記バインダーが、メチルセルロー
ス、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールをそれ
ぞれ単独で用いる場合、その添加量を0.5wt%以下
としても、成形時に金型へ粉末を供給するためのフィー
ダー内における振動にも十分耐えられる程度の一次粒子
の粒子間結合力と、十分な流動性及び成形体強度を得る
ことができること、メチルセルロース、ポリアクリルア
ミド、ポリビニルアルコールを複合した場合、その量を
0.4wt%以下としても上記と同様な作用効果が得ら
れること、さらに、必要に応じて使用する滑剤も0.3
wt%以下と極少量でよく、総バインダー中の炭素含有
量を大幅低減できることを知見した。
【0014】また、発明者らは、R−Fe−B系磁性粉
中にR成分とバインダー及び水との反応を抑制するため
に、従来の粉末冶金法で一般的に使用されている所要の
単一組成のR−Fe−B系合金原料粉末の代わりに、R
2Fe14B相を主相とする平均粒径1〜10μmの主相
系合金粉末と、R3Co相を含むCoまたはFeとRと
の金属官化合物相に一部R2(FeCo)14B相等を含
みかつ希土類含有量が多く、極力有機バインダーとの反
応を抑えるように主相系合金より平均粒径の大きい平均
粒径8〜40μmの液相系化合物粉末の2種類の原料粉
末を用いることにより、焼結後の残留酸素量を低減でき
ることを知見した。
【0015】さらに、上記のR−Fe−B系合金粉末の
主相系粉末と液相系粉末をそれぞれ個別にもしくは配合
混合粉末に上記バインダーと水を添加、混練してスラリ
ー状となし、該スラリーをスプレードライヤー装置によ
り平均粒径が20μm〜400μmの球形状の造粒粉に
なるように造粒し、原料粉末を主相系と液相系で個別に
造粒した造粒粉については所定の混合比になるように配
合混合した後、また造粒前に混合した原料粉末の造粒粉
についてはそのまま成形することにより、造粒粉は十分
な結合力を有し、バインダー自体のすぐれた潤滑性とも
相まって、粉体の流動性が格段に向上し、成形体密度の
バラツキを低減させ、また焼結後の寸法精度にもすぐれ
る、薄肉形状や複雑形状でかつ優れた磁気特性を有する
R−Fe−B系焼結永久磁石が効率よく得られることを
知見し、この発明を完成した。
【0016】すなわち、この発明は、R(但しRはYを
含む希土類元素のうち少なくとも1種)12原子%〜2
5原子%、B4原子%〜10原子%、Co0.1原子%
〜10原子%、Fe68原子%〜80原子%を主成分と
し、少なくともR2Fe14B相とRリッチ相の2相を有
する平均粒径1〜10μmの主相系合金粉末と、R3
o相を含むCoまたはFeとRとの金属間化合物相に一
部R2(FeCo)14B相等を含み、R(但しRはYを
含む希土類元素のうち少なくとも1種)20原子%〜4
5原子%、Co3原子%〜20原子%、B12原子%以
下、残部Feとする平均粒径8〜40μmの液相系化合
物粉末の2種類の粉末に、個別にそれぞれメチルセルロ
ース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールのう
ち少なくとも1種と水とからなるバインダーを添加、混
練してスラリー状となし、該スラリーをスプレードライ
ヤー装置により、平均粒径20〜400μmの球形状の
造粒粉となし、該2種の造粒粉を用いて所要混合比に配
合混合した後、磁場中圧縮成形、焼結、熱処理する粉末
冶金法により焼結永久磁石を製造することを特徴とする
R−Fe−B系焼結永久磁石の製造方法である。
【0017】また、この発明は、上記の構成において、
主相系合金粉末と液相系化合物粉末を所要混合比に配合
混合した後、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、
ポリビニルアルコールのうち少なくとも1種と水とから
なるバインダーを添加、混練してスラリー状となし、該
スラリーをスプレードライヤー装置により、平均粒径2
0〜400μmの球形状の造粒粉となし、粉末冶金法に
より焼結永久磁石を製造するR−Fe−B系焼結永久磁
石の製造方法を併せて提案する。
【0018】R−Fe−B系合金粉末 この発明は、R−Fe−B系合金粉末として、R(但し
RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)12原
子%〜25原子%、B4原子%〜10原子%、Co0.
1原子%〜10原子%、Fe68原子%〜80原子%を
主成分とし、少なくともR2Fe14B相とRリッチ相の
2相を有する平均粒径1〜10μmの主相系合金粉末
と、R3Co相を含むCoまたはFeとRとの金属間化
合物相に一部R2(FeCo)14B相などを含み、R
(但しRはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)
20原子%〜45原子%、Co3原子%〜20原子%、
B12原子%以下、残部Feとする平均粒径8〜40μ
mの液相系化合物粉末を所定の割合で配合混合し、混合
後の平均粒度が20μm程度以下の範囲にある合金粉末
を用いることを特徴とする。これらの合金粉末を用い2
種類の原料の平均粒度を変えると同時に、希土類元素の
酸化物の発生を見込んで予め過剰のR成分を添加するこ
とにより、過剰の液相系化合物粉末の添加により焼結時
の液相の発現を充分にすることが可能で、R成分とバイ
ンダーとの反応による磁気特性の劣化を防止することが
できる。
【0019】上記の配合合金粉末において、主相系合金
粉末を得るには、Rは、12原子%未満では合金溶製時
に晶出するα−Fe相が増加し好ましくなく、Rが25
原子%を超えると残留磁束密度(Br)が低下するた
め、Rは12原子%〜25原子%が好ましい。また、B
は、4原子%未満では高い保磁力(iHc)が得られ
ず、10原子%を超えると残留磁束密度(Br)が低下
するため、Bは4原子%〜10原子%が好ましい。主相
系合金粉末中のCoは、0.1原子%以上含有すると、
原料中の酸素量を低減させる効果がある。またCoが1
0原子%を超えると、R2Fe14B相中のFeと置換さ
れて保磁力を失うために、Coを含有させる場合は0.
1原子%〜10原子%が好ましい。さらに、残部はFe
および不可避的不純物からなり、Feは68原子%未満
では相対的に希土類元素がリッチとなり、Rリッチ相が
増加し、80原子%を超えると残留Fe部が増加しすぎ
て、相対的に希土類元素が少なくなり、バインダーとの
酸化反応により、液相焼結に必要な希土類元素が消耗し
すぎるため、68原子%〜80原子%の範囲が好まし
い。主成分系合金粉末のRリッチ相の占有重量は、4w
t%以下では焼結時の主成分系中のR量が少ないために
焼結が不十分となり、また20wt%を超えると焼結後
の残留磁束密度が低下するために、Rリッチ相の占有重
量は4wt%を超え20wt%以下とする。
【0020】R3Co相を含むCo又はFeとRとの金
属間化合物相(但しCoの1部あるいは大部分をFeに
て置換できる)からなる液相系化合物粉末は、R3Co
相あるいはR3Co相のCoの一部をFeで置換された
相とからなり、中心相が、RCo5、R2Co7、RC
3、RCo2, R2Co3、R2Fe17、RFe2、Nd
2Co17、Nd5Co19、Dy6Fe2、DyFeなど、及
び前記金属間化合物相とR2(FeCo)14B、R1.11
(FeCo)44等のいずれかからなる合金粉末であ
る。液相系化合物粉末の組成は、前述のごとく、目的組
成の希土類元素の種類とその量に応じて、金属間化合物
の含有希土類元素比率を変化させる。しかし、Rが20
原子%未満では主成分系原料と配合して磁石を製造する
際に、主相系のRの一部酸化によるRの消耗分の補充が
充分でなく、焼結時の液相の発現が充分でなくなる。ま
た45原子%を超えると含有酸素量の増加を招き好まし
くない。また、Coは前記の化合物を形成させるために
は3原子%以上必要であり、20原子%を超えると保磁
力が低下するため、3〜20原子%とし、残部はFeで
置換することができる。さらに、Bは12原子%を超え
るとR2(FeCo)14B相以外にB−rich相やF
e−B化合物などが余剰に存在することとなるので好ま
しくない。
【0021】さらに、主相系合金粉末および/またはR
3Co相を含むCoまたはFeとRとの金属間化合物相
及びR2(FeCo)14B相などからなる液相系化合物
粉末に、Cu、S、Ni、Ti、Si、V、Nb、T
a、Cr、Mo、W、Mn、Al、Sb、Ge、Sn、
Zr、Hf、Ca、Mg、Sr、Ba、Beのうち少な
くとも1種を添加含有させることにより、得られる永久
磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能
になる。これらの添加元素は通常合計量で10at%以
下が望ましく、添加元素に応じて合計量を5at%以
下、3at%以下など適宜選定することが望ましい。
【0022】上記の合金原料粉末において、主相系合金
粉末の平均粒度が1μm未満では大気中の酸素あるいは
バインダー及び水と反応して酸化しやすくなり、焼結後
の磁気特性を低下させる恐れがあるため好ましくなく、
また10μmを超える平均粒度では粒径が大きすぎて焼
結密度が95%で飽和し、該密度の向上が望めないため
好ましくない。よって1〜10μmの平均粒度が好まし
い範囲である。特に好ましくは1〜6μmの範囲であ
る。
【0023】一方、液相系化合物粉末の平均粒度は、8
μm未満ではバインダーとの反応が単一組成の合金粉末
(1〜10μmの平均粒度)と同程度であり、主成分系
粉末への添加の効果がほとんど見られない。また液相系
化合物粉末の平均粒度が、40μmを超えるとバインダ
ーとの反応はかなり抑制されるが、逆に焼結時の焼結性
が悪化し、焼結密度が低下すると同時に保磁力が低下す
るので、液相系の合金粉末の平均粒径は8〜40μmが
好ましい。
【0024】主相系合金粉末と液相系化合物粉末は、7
0〜99:30〜1の比率で配合することができ、さら
に70〜97:30〜3が好ましく、磁石特性に応じた
複数種組成の合金粉末を得ることができる。このような
比率で配合することによって、平均粒度1〜5μmの主
成分系合金粉末と、平均粒度8〜40μmの液相系合金
粉末とからなる混合粉末の全体としての平均粒度が先の
単一組成の合金粉末と同程度の平均粒度20μm程度以
下、好ましくは10μm程度以下の合金粉末となる。
【0025】上述の主相系合金粉末と液相系化合物粉末
の製造方法としては、溶解・粉化法、超急冷法、直接還
元拡散法、水素含有崩壊法、アトマイズ法などの公知の
方法を適宜選定し、所要平均粒度の合金粉末を得ること
ができる。
【0026】バインダー成分 この発明において、主相系合金粉末と液相系化合物粉末
をスラリー状にするために添加するバインダーには、メ
チルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアル
コールのうち少なくとも1種と水とからなるものを用い
る。上記のメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルアルコールは少量の添加でスラリーの粘度を向
上させることができると共に乾燥後においても高い結合
力を保持することができ、また、添加量が少量で十分な
ため、粉末中の残留酸素量、炭素量を低減することがで
きる。
【0027】バインダーとして、メチルセルロース、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミドを単独で用い
る場合の含有量は、0.05wt%未満では造粒粉内の
粒子間の結合力が弱く、成形前の給粉時に造粒粉が壊れ
るとともに粉体の流動性が著しく低下し、また、0.5
wt%を越えると、焼結体における残留炭素量と酸素量
が増加して保磁力が下がり磁気特性が劣化するので、
0.05wt%〜0.5wt%の含有量がこれらの点で
好ましい。メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルアルコールを複合して用いる場合の含有量も、
上記の単独で用いる場合と同様に、0.05wt%未満
では造粒粉内の粒子間の結合力が弱く、成形前の給粉時
に造粒粉が壊れるとともに粉体の流動性が著しく低下
し、また、0.4wt%を越えると、焼結体における残
留炭素量と酸素量が増加して保磁力が低下し磁気特性が
劣化するので、0.05wt%〜0.4wt%の含有量
が好ましい範囲である。
【0028】この発明において、上述のバインダーに添
加する水の含有量は、20wt%未満では合金粉末とバ
インダーとを混練したスラリーの濃度が高くなって、粘
度が増加しすぎるため、該スラリーを後述する撹拌機か
らスプレードライヤー装置まで供給することができず、
また、50wt%を超えるとスラリーの濃度が低くなり
すぎ、撹拌機内及び撹拌機のスラリー供給パイプ内で沈
殿が起こり、供給量が不安定になるとともにスプレード
ライヤー装置によって得られる造粒粉の平均粒度が20
μm未満となり、さらに粒度にバラツキを生じるため、
20wt%〜50wt%が好ましい範囲である。水とし
ては、R−Fe−B系合金粉末のR成分との反応を極力
抑制するために、脱酸素処理した純水、あるいは窒素な
どの不活性ガスをバブリング処理した水を用いることが
望ましい。
【0029】また、合金粉末へのバインダーの添加、撹
拌は、0℃〜15℃の温度範囲内で行うことが好まし
く、合金粉末と水との酸化反応をより抑制することがで
きる。逆に、15℃を超える温度での撹拌は合金粉末と
水との酸化反応を促進されるため好ましくない。0℃〜
15℃の温度範囲内に保持するには、予め該温度に冷却
した水を用いたり、撹拌容器を冷却水などによって冷却
する手段などを採用することができる。
【0030】また、上述したバインダーにグリセリン、
ワックスエマルジョン、ステアリン酸、フタール酸エス
テル、ペトリオール、グライコール等の分散剤 ・ 潤
滑剤のうち少なくとも1種を添加するか、あるいはさら
に、n−オクチルアルコール、ポリアルキレン誘導体、
ポリエーテル系誘導体等の消泡剤を添加すると、スラリ
ーの分散性、均一性の向上及びスプレードライヤー装置
での粉化状態が良好になり、気泡が少なく、滑り性、流
動性にすぐれる球形状の造粒粉を得ることが可能にな
る。なお、添加する場合は、0.03wt%未満の含有
量では造粒粉を成形後の離型性改善に効果がなく、また
0.3wt%を超えると焼結体における残留炭素量と酸
素量が増加して保磁力が下がり磁気特性が劣化するの
で、0.03wt%〜0.3wt%の含有量が好まし
い。
【0031】造粒方法 この発明において、合金粉末に上述したバインダーを添
加、混練したスラリーは、スプレードライヤー装置によ
って造粒粉にする。まず、スプレードライヤー装置を用
いた造粒粉の製造方法を説明すると、スラリー撹拌機か
らスラリーをスプレードライヤー装置に供給する、例え
ば、回転ディスクの遠心力で噴霧したり、加圧ノズル先
端部で霧状に噴霧され、噴霧された液滴は、加熱された
不活性ガスの熱風によって瞬時に乾燥されて造粒粉とな
り、回収部内の下部に自然落下する。
【0032】スプレードライヤー装置の構成としては、
上記のディスク回転型、加圧ノズル型のいずれでもよい
が、造粒するR−Fe−B系合金粉末は非常に酸化し易
いために、装置のスラリー収納部内あるいは造粒粉の回
収部内を不活性ガスなどで置換でき、かつその酸素濃度
を常時3%以下に保持できる密閉構造であることが好ま
しい。また、スプレードライヤー装置の回収部内の構成
としては、回転ディスクあるいは加圧ノズルより噴霧さ
れた液滴を瞬時に乾燥させるために、回転ディスクの近
傍あるいは加圧ノズルの上方に加熱された不活性ガスを
噴射する噴射口を配置し、また回収部内の下部に、噴射
されたガスを回収部外へ排出する排出口を設けるが、そ
の際、予め装置外部あるいは装置に付属された加熱器で
所要温度に加熱された不活性ガスの温度を低下させない
ように、上記噴射口を不活性ガスの温度に応じた温度、
例えば60〜150℃に保持することが好ましい。
【0033】すなわち、不活性ガスの温度が低下する
と、噴霧された液滴を短時間で十分乾燥することができ
なくなるため、スラリーの供給量を減少させなければな
らず能率が低下してしまう。また、比較的大きな粒径の
造粒粉を作る場合は、回転ディスクの回転数あるいは加
圧ノズルの圧力を低下させるが、その際に不活性ガスの
温度が低下していると、噴霧された液滴を十分乾燥する
ことができないので、結果としてスラリーの供給量を減
少させることにより、大きな粒径の造粒粉を得る場合に
は極端に能率が低下することになる。従って、予め加熱
された不活性ガスの温度をそのまま維持しながら回収部
内へ送り込むには、噴射口の温度を60〜150℃に保
持することが好ましく、特に100℃前後が最も好まし
い。
【0034】また、不活性ガスの噴射口と排出口の温度
差が小さい場合も処理能率が低下する傾向があるので、
排出口の温度は50℃以下、好ましくは40℃以下、特
に好ましくは常温に設定することが望ましい。不活性ガ
スとしては、窒素ガスやアルゴンガスが好ましく、加熱
温度は60〜150℃が好ましい。
【0035】造粒粉の粒度は、スプレードライヤー装置
へ供給するスラリーの濃度や、その供給量、あるいは回
転ディスクの回転数または加圧ノズルの圧力によって制
御することができるが、平均粒径が20μm未満では、
造粒粉の流動性がほとんど向上せず、また、平均粒径が
400μmを超えると、粒径が大きすぎて成形時の金型
内への充填密度が低下するとともに成形体密度も低下
し、ひいては、焼結後の焼結体密度の低下をきたすこと
となるため好ましくなく、よって、造粒粉の平均粒径は
20〜400μmが好ましい。特に好ましくは50〜2
00μmである。また、ふるいによりアンダーカット、
オーバーカットを行なうことにより、さらに極めて流動
性に富んだ造粒粉を得ることができる。さらに、得られ
た造粒粉にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウ
ム、ポリエチレングリコール等の潤滑剤を少量添加する
と、さらに流動性を向上させることができ有効である。
【0036】造粒後の工程、すなわち、成形、焼結、熱
処理など条件、方法は公知のいずれの粉末冶金的手段を
採用することができる。また、スプレー造粒粉の混合は
主相系と液相系合金粉末を個別にスプレーした場合であ
り、特にR−Fe−B系合金粉末の主相系と液相系合金
粉末で焼結時の相互拡散が比較的容易に起こるような材
料では成分調整などのために、造粒粉の混合も有効な手
段である。該混合はロータリーミキサーなどが有効であ
る。成形は、公知のいずれの成形方法も採用できるが、
圧縮成形で行なうことが最も好ましく、その圧力は、
0.3〜2.0Ton/cm2が好ましい。また、磁場
を印加して成形する場合の磁場強度としては10〜20
kOeが好ましい範囲である。焼結前には、真空中で加
熱する一般的な方法や、水素流気中で100〜200℃
/時間で昇温し、300〜600℃で1〜2時間程度保
持する方法などにより脱バインダー処理を行なうことが
好ましい。脱バインダー処理を施すことにより、バイン
ダー中のほぼ全炭素が脱炭され、磁気特性の向上に繋が
る。
【0037】なお、R元素を含む合金粉末は、水素を吸
蔵しやすいために、水素流気中での脱バインダー処理後
には脱水素処理を行なうことが好ましい。脱水素処理
は、真空中で昇温速度は、50〜200℃/時間で昇温
し、500〜800℃で1〜2時間程度保持することに
より、吸蔵されていた水素はほぼ完全に除去される。ま
た、脱水素処理後は、引き続いて昇温加熱して焼結を行
うことが好ましく、500℃を超えてからの昇温速度は
任意に選定すればよく、例えば100〜300℃/時間
など、焼結に際して取られる公知の昇温方法を採用でき
る。
【0038】脱バインダー処理後の成形品の焼結並びに
焼結後の熱処理条件は、選定した合金粉末組成に応じて
適宜選定されるが、焼結並びに焼結後の熱処理条件とし
ては、1000〜1180℃、1〜2時間保持する焼結
工程、450〜800℃、1〜8時間保持する時効処理
工程などが好ましい。
【0039】
【作用】この発明は、R−Fe−B系合金粉末として、
微粉砕した主相系合金粉末と酸化防止のために比較的粒
径を大きくした液相系合金粉末のそれぞれ個別にあるい
は所定混合比で配合混合後に、メチルセルロース、ポリ
アクリルアミド、ポリビニルアルコールの単独あるいは
複合したものと水とからなるバインダーを添加、混練し
てスラリー状となし、該スラリーをスプレードライヤー
装置により平均粒度20μm〜400μmの流動性の高
い球形状の造粒粉となし、スプレー造粒工程中における
酸化を抑制するとともに、該造粒粉を用いて、成形、焼
結、熱処理することにより、R−Fe−B系焼結磁石中
の残留酸素量を低減させると同時に、バインダー自体の
優れた潤滑性とも相まって、粉体の流動性が格段に向上
し、成形サイクルが向上するとともに、成形体密度のバ
ラツキや成形機の寿命を低下させることもなく、焼結後
の寸法精度にも優れる、薄肉形状や複雑形状でかつ優れ
た磁気特性を有するR−Fe−B系焼結永久磁石が得ら
れる。
【0040】主相系合金粉末と液相系化合物粉末の2種
類の原料の平均粒度を変えると同時に、希土類元素の酸
化物の発生を見込んで予め過剰のR成分を添加すること
により、過剰の液相系化合物粉末の添加により焼結時の
液相の発現を充分にすることが可能で、R成分とバイン
ダーとの反応による磁気特性の劣化を防止することがで
きる。
【0041】なお、この発明における造粒粉は、それ自
体は等方性であるので、磁場を印加せずに成形した場合
は当然のことながら等方性の成形体になるが、磁場を印
加しながら成形すると、圧縮応力と磁場の作用によっ
て、造粒粉が壊れて元の一次粒子となり、該一次粒子が
磁場によって配向し、異方性の成形体が得られるので、
用途に応じて等方性磁石と異方性磁石の両方を製造する
ことができるという利点も有する。さらに、この発明に
おける造粒粉は、バインダーによって被覆されているた
め、大気中において酸化し難いので、成形工程における
作業性が向上するという利点も有する。
【0042】
【実施例】
実施例1 Rとして、Nd10.5原子%、Pr3.1原子%、B
6.6原子%、Co3.0原子%、残部Fe及び不可避
的不純物からなるR2Fe14B相とRリッチ相を有する
合金塊をArガス中で高周波加熱溶解して作製したボタ
ン状溶製合金を粗粉砕した後、ジョークラッシャーなど
により平均粒度約15μmに粗粉砕し、さらに、ジェッ
トミル粉砕により微粉砕して得た平均粒度3μmの主相
系原料粉末と、Nd19.7原子%とPr0.8原子
%、Dy1.1原子%、Co15.0原子%、B4.5
原子%、残部Feからなる合金塊をArガス中で高周波
加熱溶解して作成したボタン状溶製合金をジョークラッ
シャーなどにより平均粒径約14μmに粗粉砕した液相
系合金粉末を重量比90:10の割合で配合し混合し
た。この混合粉の分析値は、Nd11.4原子%とPr
2.88原子%、Dy0.11原子%、Co4.2原子
%、B6.4原子%、残部はFeからなるものであっ
た。
【0043】上記混合粉を用いて、表1に示す種類及び
添加量のバインダー、水、滑剤を添加して室温で混練し
てスラリー状となし、該スラリーをディスク回転型スプ
レードライヤー装置により、不活性ガスを窒素で、熱風
入口温度を100℃、出口温度を40℃に設定して造粒
を行った。該造粒粉を磁場プレス機を用いて、磁場強度
15kOe、圧力1ton/cm2で10mm×15m
m×厚み10mmの形状に成形した後、水素雰囲気中で
室温から300℃までを昇温速度100℃/時で加熱す
る脱バインダー処理を行い、引き続いて真空中で110
0℃まで昇温し1時間保持する焼結を行い、さらに焼結
完了後、Arガスを導入して7℃/分の速度で800℃
まで冷却し、その後100℃/時の速度で冷却して55
0℃で2時間保持して時効処理を施して異方性の焼結体
を得た。造粒後の平均粒度、成形時の造粒粉の流動性、
成形体の寸法及び密度、焼結後の残留酸素量、残留炭素
量、磁気特性を表2のNo.1〜7に示す。なお、流動
性は、内径8mmのロートの管を100gの原料粉が自
然落下し通過するまでに要した時間で測定した。また、
得られた全ての焼結体には、ワレ、ヒビ、変形などは全
く見られなかった。
【0044】実施例2 実施例1の主相系合金のジェットミル粉砕粉と液相系合
金のジョークラッシャー粉砕粉に、それぞれ表1のN
o.2に示す種類及び添加量のバインダー、水、滑剤を
添加して室温で混練してスラリー状となし、該スラリー
を実施例1と同一条件で個別にスプレー造粒した後、両
造粒粉を重量比90:10(主相系造粒粉:90、液相
系:10)の割合で配合し、ロータリーミキサーで混合
した。この混合粉を実施例1と同一の条件で成形、焼
結、熱処理を施して焼結磁石を得た。造粒後の平均粒
度、成形時の造粒粉の流動性、成形体の寸法及び密度、
焼結後の残留酸素量、残留炭素量、磁気特性を表2のN
o.8に示す。この時の測定方法は実施例1と同一条件
である。また、得られた全ての焼結体には、ワレ、ヒ
ビ、変形などは全く見られなかった。
【0045】比較例1 上記実施例1と最終焼結体の成分が同一になるように各
元素のインゴットを秤量し、Arガス中で高周波加熱溶
解して作成したボタン状溶製合金を粗粉砕した後、ジョ
ークラッシャーなどにより平均粒径約15μmに粗粉砕
し、更にジェットミル粉砕により微粉砕して得た平均粒
度3μmの原料粉末を得た。得られた原料粉末はNd1
1.5原子%とPr2.80原子%、Dy0.10原子
%、Co4.2原子%、B6.4原子%、残部Feから
なるものであった。この原料粉末を実施例1のNo.2
と同一バインダーで、また同一条件でスプレー造粒を行
い、さらに造粒後の成形、焼結、熱処理を同一条件で処
理して焼結磁石を得た。造粒後の平均粒度、成形時の造
粒粉の流動性、成形体の寸法及び密度、焼結後の残留酸
素量、残留炭素量、磁気特性を表2のNo.9に示す。
この時の測定方法は実施例1と同一条件である。また、
得られた全ての焼結体には、ワレ、ヒビ、変形などは全
く見られなかった。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】表2から明らかなように、R−Fe−B系
合金粉末として、微粉砕した主相系合金粉末と酸化防止
のために比較的粒径を大きくした液相系合金粉末をスプ
レー造粒用原料として用いたことにより、実施例1、2
の方が比較例1に比べて残留酸素量と残留炭素量が減少
しており、磁気特性も向上していることがわかる。
【0049】
【発明の効果】この発明は、微粉砕した主相系合金粉末
と酸化防止のために比較的粒径を大きくした液相系合金
粉末の2種類の原料粉末を用い、個別にメチルセルロー
ス、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールの単独
あるいは複合したものと水を添加するか、もしくは造粒
前に2種類の原料粉末を所定の割合で混合したものに上
記バインダーと水を添加して、混練、撹拌してスラリー
状となし、該スラリーをスプレードライヤー装置により
平均粒径20μm〜400μmの流動性の高い球形状の
造粒粉に造粒し、前者の場合には、造粒後に所定の割合
で混合して造粒粉を作成し、後者の場合には、そのまま
造粒粉として使用することにより、スプレー造粒工程中
における酸化を抑制するとともに、流動性の高い造粒粉
となし、また造粒粉のバインダー自体のすぐれた潤滑性
とも相まって、特に成形時の粉体の流動性、潤滑性を向
上させて、成形サイクルの向上、成形体の寸法精度を向
上させると同時に、焼結体中の残留酸素量と残留炭素量
を抑制し、薄肉形状や小型形状の優れた磁気特性を有す
るR−Fe−B系焼結磁石が効率よく得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R(但しRはYを含む希土類元素のうち
    少なくとも1種)12原子%〜25原子%、B4原子%
    〜10原子%、Co0.1原子%〜10原子%、Fe6
    8原子%〜80原子%を主成分とし、少なくともR2
    14B相とRリッチ相の2相を有する平均粒径1〜10
    μmの主相系合金粉末と、R3Co相を含むCoまたは
    FeとRとの金属間化合物相に一部R2(FeCo)14
    B相等を含み、R(但しRはYを含む希土類元素のうち
    少なくとも1種)20原子%〜45原子%、Co3原子
    %〜20原子%、B12原子%以下、残部Feとする平
    均粒径8〜40μmの液相系化合物粉末の2種類の粉末
    に、個別にそれぞれメチルセルロース、ポリアクリルア
    ミド、ポリビニルアルコールのうち少なくとも1種と水
    とからなるバインダーを添加、混練してスラリー状とな
    し、該スラリーをスプレードライヤー装置により、平均
    粒径20〜400μmの球形状の造粒粉となし、該2種
    の造粒粉を用いて所要混合比に配合混合した後、磁場中
    圧縮成形、焼結する粉末冶金法により焼結永久磁石を製
    造することを特徴とするR−Fe−B系焼結永久磁石の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 主相系合金粉末と液相系化合物粉末を所
    要混合比に配合混合した後、メチルセルロース、ポリア
    クリルアミド、ポリビニルアルコールのうち少なくとも
    1種と水とからなるバインダーを添加、混練してスラリ
    ー状となし、該スラリーをスプレードライヤー装置によ
    り、平均粒径20〜400μmの球形状の造粒粉とな
    し、粉末冶金法により焼結永久磁石を製造することを特
    徴とする請求項1に記載のR−Fe−B系焼結永久磁石
    の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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