JPH0897021A - 希土類磁石用粉末とそれを用いた希土類磁石 - Google Patents

希土類磁石用粉末とそれを用いた希土類磁石

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JPH0897021A
JPH0897021A JP6258755A JP25875594A JPH0897021A JP H0897021 A JPH0897021 A JP H0897021A JP 6258755 A JP6258755 A JP 6258755A JP 25875594 A JP25875594 A JP 25875594A JP H0897021 A JPH0897021 A JP H0897021A
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JP
Japan
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rare earth
binder
slurry
temperature
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JP6258755A
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Osamu Yamashita
治 山下
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Publication date
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐酸化性を向上させて、品質の安定化と製造
工程の合理化を図ると同時に焼結後の焼結体中の残留酸
素量及び残留炭素量を低減させるために、粉末に樹脂を
均一に被覆した希土類磁石用粉末とその粉末を用いた希
土類磁石の提供。 【構成】 希土類含有合金粉末に所定量のメチルセルロ
ースと水またはメタノールを添加して、特定の低温下で
撹拌してスラリー状となし、該スラリーをスプレードラ
イヤー装置により噴霧、乾燥させて該粉末にバインダー
を均一に被覆することにより、極めて優れた耐酸化性を
有する希土類磁石用粉末が得られ、その優れた耐酸化性
のために、原料の保管が簡単であり、また、プレス成形
時の酸化の問題も解決でき、しかも成形時の粉体の流動
性、潤滑性、離型性にも優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、希土類磁石用粉末と
それを用いた希土類磁石に係り、特に希土類磁石用粉末
に特定の樹脂を均一に被覆することにより耐酸化性を向
上させた希土類磁石用粉末と、その粉末を用いることに
より焼結後の焼結体中の残留酸素量を低減し、磁気特性
を向上させ、かつ品質が安定した希土類磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、家電製品を初めコンピューターの
周辺機器や自動車等の用途に用いられる小型モーターや
アクチュエーター等には、小型化、軽量化とともに高性
能化が求められており、その磁石材料も小型化、軽量化
とともに高磁気特性のものが求められている。現在の代
表的な軟質磁性材料としては、アルニコ磁石、フェライ
ト磁石、Sm−Co系磁石、そしてR−Fe−B系磁石
等が挙げられる。上記の中でも、Sm−Co系磁石やR
−Fe−B系磁石のような希土類永久磁石は他の磁石材
料に比べて磁気特性が格段に優れているために、各種用
途に多用されている。
【0003】Sm−Co系焼結永久磁石は、最大エネル
ギー積((BH)max)が30MGOeを超える優れ
た磁気特性を有し、またR−Fe−B系焼結永久磁石の
最大エネルギー積は40MGOeを超え、最大では50
MGOeを超える極めて優れた磁気特性を有するが、こ
れらの優れた磁気特性を発現させるためには、所要組成
からなる合金を1〜10μm程度の平均粒度に粉砕する
ことが必要になる。しかし、合金粉末の粒度を小さくす
ると、非常に酸化しやすい希土類元素を多く含むため
に、原料保管中あるいは成形時等に酸化して、磁気特性
が劣化し、品質のバラツキが大きいという問題があり、
また、合金粉末の粒度を大きくすると、粉末粒子内部に
一部多結晶の部分を含有するようになるために、焼結後
の残留磁束密度が下がり、磁気特性が低下するという問
題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】希土類永久磁石の合金
粉末の粒度を小さくすると、粉末粒子はほとんど単結晶
になり、粉末粒子の磁場配向度が向上するため、酸化の
問題さえ克服すれば、焼結後の磁気特性が向上すること
は理論的には明らかである。また、合金粉末の酸化の問
題を解決すると、合金粉末の取り扱いが簡単になると同
時に、原料の保管及び酸化による経時変化、プレス成形
時の酸化、磁気特性の劣化及びバラツキ等の問題がなく
なり、各製造工程の合理化及び安全性が向上し、ひいて
は生産コストの低減に繋がる利点がある。しかし、希土
類磁石用粉末の酸化の問題については、まだ解決されて
いないのが現状である。
【0005】合金粉末の耐酸化性を向上させるために
は、種々のバインダーや潤滑剤を添加することが考えら
れるが、それらを多量に添加すると、希土類磁石の合金
粉末中のR成分とバインダー及び潤滑剤との反応によ
り、焼結後の残留酸素量と残留炭素量が増加し、磁気特
性の劣化を招くことになるので、添加量にも制限があ
る。また、バインダーや潤滑剤のような添加剤を添加し
ても、各合金粉末を均一に被覆しなければ、耐酸化性の
効果は上がらず、さらに各粉末同士がバインダーによっ
て強固に結合してしまうと、特に異方性の焼結磁石を作
製するときに、成形時の磁場配向度が低下し、磁気特性
が劣化する問題が生ずる。このために添加するバインダ
ーや潤滑剤は特に造膜性に優れた樹脂で、なお且つ少量
の添加で耐酸化性を向上できる必要がある。
【0006】従来から希土類磁石用粉末に、成形前に種
々のバインダーや潤滑剤を被覆することによって耐酸化
性を向上させたり、その被覆によって成形性を改良する
試み等は種々提案されている。例えば、成形前の合金粉
末に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等を添加し
たもの(特公平4−80961号)、それらにさらにパ
ラフィンやステアリン酸塩を添加したもの(特公平4−
80962号、特公平5−53842号)、またオレイ
ン酸を添加したもの(特公昭62−36365号)等が
挙げられるが、それらはいずれも成形性の改良を主体と
しており、粉末の耐酸化性については一切考慮されてい
なかった。
【0007】また、R−Fe−B系合金粉末を対象とす
るものではないが、Co系スーパーアロイ粉末を対象と
した圧縮成形用のバインダーとして、対象合金粉末に対
して、1.5〜3.5wt%のメチルセルロースとさら
に所定量の添加物であるグリセリンとほう酸を混合した
組成が提案(USP4,118,480)され、また、
工具用合金粉末の射出成形用のバインダーとして、特殊
組成からなり、対象合金粉末に対して0.5〜2.5w
t%のメチルセルロースに水、グリセリン等の可塑剤、
ワックスエマルジョンなどの滑剤、離型剤を添加した組
成が提案(特開昭62−37302)されている。
【0008】しかし、それらはいずれも所定の流動性と
成形体強度を確保するために用いられるもので、合金粉
末の耐酸化性を向上させるものではなく、また、いずれ
も対象合金粉末に対して、上記のようにたとえば0.5
wt%以上もの比較的多量のバインダーを使用するもの
で、しかも種々のバインダー添加剤の添加、たとえばグ
リセリン等の可塑剤をメチルセルロースと同量程度添加
することが不可欠であるため、射出成形や圧縮成形後、
脱脂した後、焼結後でもかなりの炭素と酸素が残留し、
特にこの発明の対象とするR−Co系、R−Fe−B系
焼結磁石の場合、磁気の劣化を招くので、容易には適用
できない。このように、いずれの方法によってもバイン
ダーや潤滑剤が均一に被覆され、かつ耐酸化性に優れた
希土類磁石用粉末は得られていなかった。
【0009】この発明は、希土類磁石用粉末において、
該粉末に樹脂を均一に被覆して耐酸化性を向上させて、
品質の安定化と製造工程の合理化を図ると同時に焼結後
の焼結体中の残留酸素量及び残留炭素量を低減させると
ともに、磁気特性の向上を図った、品質の安定した希土
類磁石用粉末とその粉末を用いた希土類磁石の提供を目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、バインダー
が均一に被覆され、かつ耐酸化性に優れ、さらに得られ
る焼結体中の残留酸素量、残留炭素量を低減することが
できる希土類磁石用粉末について種々検討した結果、被
覆するバインダーとして少量のメチルセルロースと水ま
たはメタノールからなるバインダーを用いることによ
り、希土類磁石用粉末とバインダーとの反応を抑制で
き、粉末の耐酸化性が向上することを知見した。また、
上記バインダーは、その量を0.4wt%以下として
も、十分な耐酸化性が得られることを知見した。
【0011】さらに、希土類磁石用粉末に上記バインダ
ーを特定の条件下で添加、撹拌したスラリーを、スプレ
ードライヤー装置によって噴霧、乾燥することにより、
上記バインダーが粉末に均一に被覆され、極めて優れた
耐酸化性を有する希土類磁石用粉末が得られ、その粉末
を用いて粉末冶金法により焼結磁石を製造すると、磁石
体中の残留酸素量、残留炭素量が抑制され、極めて優れ
た磁気特性を有し、かつ品質の安定した希土類磁石が効
率よく得られることを知見し、この発明を完成した。
【0012】すなわち、この発明は、希土類含有合金粉
末に0.01〜0.4wt%のメチルセルロースと20
〜50wt%の水またはメタノールとからなるバインダ
ーを添加し、0℃〜15℃の温度範囲内で撹拌してスラ
リー状となし、該スラリーをスプレードライヤー装置に
より噴霧、乾燥したことを特徴とする希土類磁石用粉末
である。また、この発明は、上記の構成において、温度
40℃、湿度80%の環境下で300時間放置後の酸素
量が8000ppm以下である希土類磁石用粉末を併せ
て提案する。
【0013】また、この発明は、希土類含有合金粉末に
0.01〜0.4wt%のメチルセルロースと20〜5
0wt%の水またはメタノールとからなるバインダーを
添加し、0℃〜15℃の温度範囲内で撹拌してスラリー
状となし、該スラリーをスプレードライヤー装置により
噴霧、乾燥した粉末を、成形後、真空中または水素中で
脱バインダー処理した後、焼結したことを特徴とする希
土類磁石である。
【0014】(希土類含有合金粉末)この発明におい
て、対象とする希土類含有合金粉末は、希土類を含有す
るいずれの組成のものも適用可能であるが、中でもR−
Fe−B系合金粉末や、R−Co系合金粉末が最も適し
ている。また、希土類含有合金粉末としては、所要組成
からなる単一の合金を粉砕した粉末や、異なる組成の合
金を粉砕した後、混合して所要組成に調整した粉末、保
磁力の向上や製造性を改善するため添加元素を添加した
ものなど、公知の希土類含有合金粉末を用いることがで
きる。これらの合金粉末の製造方法も、溶解・粉化法、
超急冷法、直接還元拡散法、水素含有崩壊法、アトマイ
ズ法等の公知の方法を適宜選定することができる。
【0015】希土類含有合金粉末の粒度は特に限定しな
いが、合金粉末の平均粒径が1μm未満ではバインダー
を被覆する前に大気中の酸素と反応して酸化したり、ま
た、バインダー内の水と反応して酸化しやすくなり、焼
結後の磁気特性を低下させる恐れがあるため好ましくな
く、また、10μmを超える平均粒径では粒径が大きす
ぎて焼結密度が95%程度で飽和し、該密度の向上が望
めないため好ましくない。よって1〜10μmの平均粒
度が好ましい範囲である。特に好ましくは1〜6μmの
範囲である。
【0016】(バインダー成分)この発明において、希
土類含有合金粉末に被覆するバインダーには、メチルセ
ルロースと水またはメタノールからなるものを用いる。
上記バインダーにおけるメチルセルロースの含有量は、
合金粉末に対して0.01wt%未満ではスプレードラ
イヤー装置による噴霧乾燥後の粉末の耐酸化性の効果は
少なく、また0.4wt%を超えると、焼結体中におけ
る残留酸素量と残留炭素量が増加して磁気特性が劣化す
るので、0.01wt%〜0.4wt%の含有量がこれ
らの点で好ましい。
【0017】また、水またはメタノールの含有量は、2
0wt%未満では、合金粉末とバインダーとを混練した
スラリーの濃度が高くなって、粘度が増加しすぎるた
め、該スラリーを後述する撹拌機からスプレードライヤ
ー装置まで供給することができず、また50wt%を超
えるとスラリー濃度が低くなりすぎ、撹拌機内及び撹拌
機のスラリー供給パイプ内で沈殿が起こり、供給量が不
安定になるために、20wt%〜50wt%が好ましい
範囲である。水としては、希土類合金粉末中のR成分と
の反応を極力抑制するために、脱酸素処理した純水、あ
るいは窒素などの不活性ガスでバブリング処理した水を
用いることが望ましい。
【0018】また、合金粉末へのバインダーの添加、撹
拌は、0℃〜15℃の温度範囲内で行うことが好まし
く、合金粉末と水との酸化反応をより抑制することがで
きる。逆に、15℃を超える温度での撹拌は合金粉末と
水との酸化反応を促進されるため好ましくない。0℃〜
15℃の温度範囲内に保持するには、予め該温度に冷却
した水を用いたり、撹拌容器を冷却水などによって冷却
する手段などを採用することができる。
【0019】(被覆方法)この発明において、上述した
希土類含有合金粉末にバインダーを添加し、0℃〜15
℃の温度範囲内で撹拌したスラリーをスプレードライヤ
ー装置により噴霧、乾燥することにより、上記バインダ
ーが均一に被覆された希土類磁石用粉末を得ることがで
きる。まず、スプレードライヤー装置を用いた被覆方法
を説明すると、スラリー撹拌機からスラリーをスプレー
ドライヤー装置に供給する、たとえば、回転ディスクの
遠心力で噴霧したり、加圧ノズル先端部で霧状に噴霧さ
れ、噴霧された液滴は、加熱された不活性ガスの熱風に
よって瞬時に乾燥されてバインダーが被覆された粉末と
なり、回収部内の下部に自然落下する。
【0020】スプレードライヤー装置の構成としては、
上記のディスク回転型、加圧ノズル型のいずれでもよい
が、噴霧乾燥する希土類含有合金粉末は非常に酸化しや
すいために、装置のスラリー収納部内あるいは造粒粉の
回収部内を不活性ガスなどで置換でき、かつその酸素濃
度を常時3%以下に保持できる密閉構造であることが好
ましい。また、スプレードライヤー装置の回収部内の構
成としては、回転ディスクあるいは加圧ノズルより噴霧
された液滴を瞬時に乾燥させるために、回転ディスクの
近傍あるいは加圧ノズルの上方に加熱された不活性ガス
を噴射する噴射口を配置し、また回収部内の下部に、噴
射されたガスを回収部外へ排出する排出口を設けるとよ
い。
【0021】装置の回収部内にガスを噴射する際、予め
装置外部あるいは装置に付属された加熱器で所要温度に
加熱された不活性ガスの温度を低下させないように、上
記噴射口を不活性ガスの温度に応じた温度、例えば60
〜150℃に保持することが好ましい。すなわち、不活
性ガスの温度が低下すると、噴霧された液滴を短時間で
十分乾燥することができなくなるため、スラリーの供給
量を減少させなけらばならず能率が低下してしまう。従
って、予め加熱された不活性ガスの温度をそのまま維持
しながら回収部内へ送り込むには、噴射口の温度を60
〜150℃に保持することが好ましく、特に100℃前
後が最も好ましい。
【0022】また、不活性ガスの噴射口と排出口の温度
差が小さい場合も処理能率が低下する傾向があるので、
排出口の温度は50℃以下、好ましくは40℃以下、特
に好ましくは常温に設定することが望ましい。不活性ガ
スとしては、窒素ガスやアルゴンガスが好ましく、加熱
温度は60℃〜150℃が好ましい。
【0023】上述したスプレードライヤー装置によっ
て、噴霧、乾燥して得られる希土類磁石用粉末は、スプ
レードライヤー装置へ供給するスラリーの濃度やその供
給量、あるいは回転ディスクの回転数または加圧ノズル
の圧力等の条件によっては、単一粒子からなる1次粒子
とともにその1次粒子の集合体である2次粒子を形成す
るが、その2次粒子の平均粒径が大きすぎる場合、例え
ば平均粒径が50μmを超えると、異方性の希土類磁石
を作製する際の、プレス成形時の磁場の印加によっても
2次粒子が崩壊せずに、無配向のままの2次粒子が残存
することとなり、成形体の配向度が低下し、得られる希
土類磁石の磁気特性、特に残留磁束密度(Br)の低下
を招くことがある。
【0024】これに対して、2次粒子の平均粒径が50
μm以下であれば、プレス成形時の磁場の印加によって
2次粒子が完全に崩壊して1次粒子となり、磁場によっ
てその1次粒子が一定方向に配向するため、成形体の配
向度が向上し、優れた磁気特性の希土類磁石を得ること
できる。そこで、スプレードライヤー装置よって、噴
霧、乾燥して得られる希土類磁石用粉末の平均粒径、特
に2次粒子の平均粒径は50μm以下が好ましく、さら
に好ましくは20μm以下であり、それらの平均粒径に
なるように、例えば、回転ディスクの回転数を最大限に
上げるなど、スプレードライヤー装置による噴霧、乾燥
条件を制御することが好ましい。
【0025】また、得られた希土類磁石用粉末にステア
リン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸
カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレン
グリコール等の潤滑剤を少量添加すると、プレス成形時
の粉体の流動性と潤滑性を向上させることができ有効で
ある。
【0026】上述したスプレードライヤー装置によって
噴霧、乾燥させて、粉末にバインダーを均一に被覆した
希土類磁石用粉末は、温度40℃、湿度80%の環境下
で300時間放置後においても、その酸素量は8000
ppm以下であり、極めて優れた耐酸化性を有する。
【0027】バインダー被覆後の工程、すなわち、成
形、脱脂、焼結、熱処理などの条件、方法は公知のいず
れの粉末冶金的手段を採用することができる。以下に好
ましい条件の一例を示す。成形は、公知のいずれの成形
方法も採用できるが、圧縮成形で行うことが最も好まし
く、その圧力は、0.3〜2.0Ton/cm2が好ま
しい。また、磁場を印加して成形する場合の磁場強度と
しては10〜20kOeが好ましい範囲である。
【0028】焼結前には、真空中で加熱する一般的な方
法や、水素流気中で100〜200℃/時間で昇温し、
300〜600℃で1〜2時間程度保持する方法などに
より脱バインダー処理を行うことが好ましい。特に水素
流気中で脱バインダー処理を施すことにより、バインダ
ー中のほぼ全炭素が脱炭され、磁気特性の向上に繋が
る。なお、R元素を含む合金粉末は、水素を吸蔵しやす
いために、水素流気中での脱バインダー処理後には脱水
素処理工程を行うことが好ましい。脱水素処理は、真空
中で昇温速度は、50〜200℃/時間で昇温し、50
0〜800℃で1〜2時間程度保持することにより、吸
蔵されていた水素はほぼ完全に除去される。
【0029】また、脱水素処理後は、引き続いて昇温加
熱して焼結を行うことが好ましく、500℃を超えてか
らの昇温速度は任意に選定すればよく、例えば100〜
300℃/時間など、焼結に際して取られる公知の昇温
方法を採用できる。脱バインダー処理後の成形品の焼結
ならびに焼結後の熱処理条件は、選定した合金粉末組成
に応じて適宜選定されるが、焼結ならびに焼結後の熱処
理条件としては、1000〜1180℃、1〜2時間保
持する焼結工程、450〜800℃、1〜8時間保持す
る時効処理工程などが好ましい。
【0030】この発明による希土類磁石用粉末を用い
て、上述した好ましい条件による粉末冶金的手段により
得られた希土類磁石は、粉末の段階で含有酸素量、炭素
量が抑制されているため、焼結後も焼結体の酸素量、炭
素量が少なく、磁気特性に優れると共に、その寸法精度
ならびに製造時における作業性及び安全性に優れる。
【0031】
【作用】この発明は、希土類含有合金粉末に所定量のメ
チルセルロースと水またはメタノールを添加して、特定
条件下で撹拌してスラリー状となし、該スラリーをスプ
レードライヤー装置により噴霧、乾燥させて該粉末にバ
インダーを均一に被覆することにより、極めて優れた耐
酸化性を有する希土類磁石用粉末が得られ、またその粉
末を用いて、成形、焼結、熱処理することにより、残留
酸素量及び残留炭素量の少ない磁気特性の優れた、品質
の安定した焼結体が得られる。この発明の希土類磁石用
粉末は、その優れた耐酸化性のために、原料の保管が簡
単であり、また、プレス成形時の酸化の問題も解決で
き、しかも成形時の粉体の流動性、潤滑性、離型性にも
優れるために、焼結体の寸法精度が向上するだけでな
く、生産工程において作業性と安全性が向上する利点を
合わせ有する。
【0032】
【実施例】
実施例1 Rとして、Nd13.3原子%、Pr0.31原子%、
Dy0.28原子%、Co3.4原子%、B6.5原子
%、残部Fe及び不可避的不純物からなる原料を、Ar
ガス雰囲気中で高周波溶解して、ボタン状溶製合金を得
た。次に該合金を粗粉砕した後、ディスクミルなどによ
り平均粒度約30μmに粉砕し、さらにジェットミルに
より平均粒度3μmの粉末を得た。得られた粉末に予め
10℃に冷却した表1に示すバインダーを添加し、さら
に少量の滑剤等を添加して、10℃の温度で撹拌してス
ラリー状となし、該スラリーをディスク回転型スプレー
ドライヤー装置により、熱風入口温度を100℃、熱風
出口温度を40℃に設定して噴霧乾燥を行い、上記粉末
にバインダーを均一に被覆したこの発明による希土類磁
石用粉末を得た。
【0033】得られた希土類磁石用粉末と、バインダー
を被覆していない比較例粉末とを、常時温度40℃、湿
度80%に制御した恒温恒湿槽に入れ、表2に示す所定
の時間ごとにサンプリングして各粉末の酸素量を分析し
た。
【0034】さらに最後に300時間経過した粉末サン
プルを磁場中プレス機を用いて、磁場強度15kOe、
圧力1ton/cm2で10mm×15mm×厚み10
mmの形状に成形した後、真空中と水素中でそれぞれ室
温から300℃までを昇温速度100℃/時で加熱する
脱バインダー処理を行い、引き続いて真空中で1100
℃まで昇温し1時間保持する焼結を行い、さらに焼結完
了後、Arガスを導入して7℃/分の速度で800℃ま
で冷却し、その後100℃/時の速度で冷却して550
℃で2時間保持する時効処理を施して異方性の焼結体を
得た。
【0035】得られた焼結体には、ワレ、ヒビ、変形な
どはまったく見られなかった。得られた焼結体の残留酸
素量と残留炭素量、磁気特性を表3に示す。表2に示す
ように、この発明による希土類磁石用粉末は温度40
℃、湿度80%の恒温恒湿槽の中で300時間経過して
もその残留酸素量は8000ppm以下であり、バイン
ダー添加量の少ない0.005wt%、または被覆して
いないものに比べて耐酸化性には非常に優れていること
がわかる。また、0.4wt%を超えるバインダー添加
量では、バインダー自体の酸素量が増加しすぎて残留酸
素量は増加する結果となった。
【0036】実施例2 Sm11.9原子%、Cu8.8原子%、Fe12.6
原子%、Zr1.2原子%、残部Co及び不可避的不純
物からなる原料を、Arガス雰囲気中で高周波溶解し
て、ボタン状溶製合金を得た。次に該合金を粗粉砕した
後、ディスクミルなどにより平均粒度約25μmに粉砕
し、さらにジェットミルにより平均粒度3μmの粉末を
得た。得られた粉末に、予め10℃に冷却した表4に示
すバインダーを添加し、さらに少量の滑剤等を添加し
て、10℃の温度で撹拌してスラリー状となし、該スラ
リーをディスク回転型スプレードライヤー装置により、
熱風入口温度を100℃、熱風出口温度を40℃に設定
して噴霧乾燥を行い、上記粉末にバインダーを均一に被
覆したこの発明による希土類磁石用粉末を得た。
【0037】得られた希土類磁石用粉末と、バインダー
を被覆していない比較例粉末とを常時温度40℃、湿度
80%に制御した恒温恒湿槽に入れ、表5に示す所定の
時間ごとにサンプリングして各粉末の酸素量を分析し
た。
【0038】さらに最後に300時間経過した粉末サン
プルを磁場中プレス機を用いて、磁場強度15kOe、
圧力1ton/cm2で10mm×15mm×厚み10
mmの形状に成形した後、真空中と水素中でそれぞれ室
温から300℃までを昇温速度100℃/時で加熱する
脱バインダー処理を行い、引き続いて真空中で1200
℃まで昇温し1時間保持する焼結を行い、さらに焼結完
了後、1160℃にて溶体化処理を施し、Arガスを導
入して800℃〜400℃まで多段時効処理を施して異
方性の焼結体を得た。
【0039】得られた焼結体には、ワレ、ヒビ、変形な
どはまったく見られなかった。得られた焼結体の残留酸
素量と残留炭素量、磁気特性を表6に示す。表5に示す
ように、この発明による希土類磁石用粉末は温度40
℃、湿度80%の恒温恒湿槽の中で300時間経過して
も、その残留酸素量は8000ppm以下であり、バイ
ンダー添加の少ない0.005wt%、または被覆して
いないものに比べて耐酸化性には非常に優れていること
がわかる。また0.4wt%を超えるバインダー添加量
では、バインダー自体の酸素量が増加しすぎて残留酸素
量は増加する結果となった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【発明の効果】この発明は、希土類含有合金粉末に所定
量のメチルセルロースと水またはメタノールを添加し
て、特定の低温下で撹拌してスラリー状となし、該スラ
リーをスプレードライヤー装置により噴霧、乾燥させて
該粉末にバインダーを均一に被覆することにより、極め
て優れた耐酸化性を有する希土類磁石用粉末が得られ、
その優れた耐酸化性のために、原料の保管が簡単であ
り、また、プレス成形時の酸化の問題も解決でき、しか
も成形時の粉体の流動性、潤滑性、離型性にも優れるた
めに、焼結体の寸法精度が向上するだけでなく、生産工
程において作業性と安全性が向上する利点を合わせ有す
るもので、この希土類磁石用粉末を用いて、成形、焼
結、熱処理することにより、残留酸素量及び残留炭素量
の少ない磁気特性の優れた、品質の安定した焼結体が得
られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/08 H01F 1/08 B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類含有合金粉末に0.01〜0.4
    wt%のメチルセルロースと20〜50wt%の水また
    はメタノールとからなるバインダーを添加し、0℃〜1
    5℃の温度範囲内で撹拌してスラリー状となし、該スラ
    リーをスプレードライヤー装置により噴霧、乾燥したこ
    とを特徴とする希土類磁石用粉末。
  2. 【請求項2】 温度40℃、湿度80%の環境下で30
    0時間放置後の酸素量が8000ppm以下である請求
    項1記載の希土類磁石用粉末。
  3. 【請求項3】 希土類含有合金粉末に0.01〜0.4
    wt%のメチルセルロースと20〜50wt%の水また
    はメタノールとからなるバインダーを添加し、0℃〜1
    5℃の温度範囲内で撹拌してスラリー状となし、該スラ
    リーをスプレードライヤー装置により噴霧、乾燥した粉
    末を、成形後、真空中または水素中で脱バインダー処理
    し、焼結したことを特徴とする希土類磁石。
JP6258755A 1994-09-27 1994-09-27 希土類磁石用粉末とそれを用いた希土類磁石 Pending JPH0897021A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108568522A (zh) * 2018-04-27 2018-09-25 安徽省瀚海新材料股份有限公司 一种钕铁硼超细粉回收与高效利用的方法
CN110591164A (zh) * 2019-10-08 2019-12-20 陕西师范大学 一种固体纳米分散体吸波材料

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