JPH0720134A - 走査プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査プローブ顕微鏡

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JPH0720134A
JPH0720134A JP5187321A JP18732193A JPH0720134A JP H0720134 A JPH0720134 A JP H0720134A JP 5187321 A JP5187321 A JP 5187321A JP 18732193 A JP18732193 A JP 18732193A JP H0720134 A JPH0720134 A JP H0720134A
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JP5187321A
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Ryohei Konakawa
良平 粉川
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    • G01MEASURING; TESTING
    • G01QSCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
    • G01Q10/00Scanning or positioning arrangements, i.e. arrangements for actively controlling the movement or position of the probe
    • G01Q10/04Fine scanning or positioning
    • G01Q10/06Circuits or algorithms therefor
    • G01Q10/065Feedback mechanisms, i.e. wherein the signal for driving the probe is modified by a signal coming from the probe itself

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可変電流モードによる測定において、走査線
間の移動時におけるプローブの試料表面との接触を回避
する走査プローブ顕微鏡を提供する。 【構成】 試料表面に対してプローブ1を、走査開始点
と走査終了点を結ぶ走査線と、走査終了点と次の走査開
始点を結ぶ帰線とに沿って移動させることにより2次元
的に走査して、試料表面の表面分析を行なう走査プロー
ブ顕微鏡において、プローブ1の試料法線方向の移動を
行なう駆動手段9と、走査線と帰線とで駆動手段の移動
量を異ならせる制御手段12とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査プローブ顕微鏡に
関し、特に走査プローブ顕微鏡の走査機構の構成に関す
る。
【0002】
【従来の技術】走査プローブ顕微鏡として、例えばプロ
ーブと試料表面との間に流れるトンネル電流を用いるト
ンネル顕微鏡(STM)や、プローブと試料の表面原子
間に働く原子間力を測定する原子間力顕微鏡(AFM)
が知られている。
【0003】例えば、トンネル顕微鏡は、圧電素子によ
ってX,Y,Z方向に移動可能に支持されたプローブを
試料表面に近づけ、プローブと試料表面との間に流れる
トンネル電流を用いることにより試料の表面の原子の大
きさのオーダーの凹凸を観察するものであり、以下の2
つの測定モードが知られている。
【0004】第1の測定モードは図4に示す定電流モー
ド(CCモード)である。この定電流モードにおいて
は、トンネル電流Jtが一定となるようにピエゾアクチ
ュエータにフィードバックをかけてZ方向の変位を制御
するものであり、X,Y方向に走査を行いながらこのと
きのフィードバック量をデータとして取り込むことによ
って、試料表面の凹凸を観察するものである。
【0005】一方、第2の測定モードは図5に示す可変
電流モード(定高さモード(CHモード))である。こ
の可変電流モードにおいては、ピエゾアクチュエータの
Z方向に印加する電圧を一定とすることによりプローブ
の試料に対する高さを一定とし、X,Y方向に走査をし
ながらトンネル電流Jtの変化を測定することによっ
て、試料表面の凹凸を観察するものである。
【0006】また、X,Y方向の走査は、一ライン上の
走査線に沿って測定信号を取り込む工程と、帰線に沿っ
て次の走査線のラインに移動する工程との繰り返しによ
って行なわれるものであり、これによって試料の2次元
的データを得ることができる。なお、通常、帰線におい
ては測定信号を取り込まず、次の走査の開始位置にプロ
ーブを移動させるものである。
【0007】従来、走査プローブ顕微鏡においては、こ
の2つの測定モードの内いずかを選択して、その選択し
た測定モードによりX,Y方向の走査を行なっており、
観察者が測定モードを切り替えるまで同一の測定モード
によって試料表面の観察を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の走査プローブ顕
微鏡において可変電流モードによって観察を行なう場合
には、その可変電流モードは定電流モードに対して、走
査速度が速く、ノイズに強く、また制御が容易であると
いう特徴を有しているが、試料に対するプローブの高さ
が走査中において一定であるため、測定信号を取り込む
走査線に沿った移動の他に、次の走査線に移動する測定
を行なわない帰線に沿った移動において、試料の傾斜や
試料のドリフトによって試料表面とプローブとの距離が
接近し、プローブが試料面と接触して損傷が生じる場合
があるという問題点がある。
【0009】そこで、本発明は前記した従来の走査プロ
ーブ顕微鏡の問題点を解決し、可変電流モードによる測
定において、走査線間の移動時におけるプローブの試料
表面との接触を回避する走査プローブ顕微鏡を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために、試料表面に対してプローブを、走査開始
点と走査終了点を結ぶ走査線と、走査終了点と次の走査
開始点を結ぶ帰線とに沿って移動させることにより2次
元的に走査して、試料表面の表面分析を行なう走査プロ
ーブ顕微鏡において、プローブの試料法線方向の移動を
行なう駆動手段と、走査線と帰線とで駆動手段の移動量
を異ならせる制御手段とを具備するものである。
【0011】本発明において、走査線は、試料上の走査
領域において走査開始点と走査終了点を結ぶラインであ
り、通常複数本のラインによって走査領域全体を分割
し、そのラインに沿ってプローブを走査するものであ
り、また、帰線は、プローブを走査終了点から走査開始
点へ戻す場合の軌跡となるものであり、ライン間および
異なる走査領域間に設けられるものである。
【0012】また、本発明において、駆動手段はプロー
ブを試料に対して試料法線方向での移動を行なうもので
あり、例えば圧電素子等を採用することができる。
【0013】また、本発明において、制御手段はプロー
ブの試料に対する試料法線方向での移動量を制御し、試
料とプローブとの試料法線方向における相対的位置を制
御するものであり、例えば駆動手段を圧電素子とした場
合にはその圧電素子に印加する印加電圧を制御するもの
である。また、本発明の制御手段は、走査線上において
プローブを試料に対して一定の高さに制御することがで
きる。
【0014】
【作用】前記構成とすることにより、試料表面の表面分
析を行なう走査プローブ顕微鏡において、プローブを試
料表面に対して、走査開始点と走査終了点を結ぶ走査線
と、走査終了点と次の走査開始点を結ぶ帰線とに沿って
移動させることにより2次元的に走査するとともに、そ
の走査中において、駆動手段によってプローブを試料法
線方向に移動し、制御手段によってその駆動手段の移動
量を走査線と帰線とで異ならせるものである。
【0015】そして、プローブは、試料上の走査領域に
おいて走査開始点と走査終了点を結ぶ複数本のラインに
よって走査領域全体を分割してなる走査線に沿って走査
するものであり、また、走査終了点から走査開始点への
戻り、および異なる走査領域間の移動は帰線に沿って行
なわれる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照しながら詳
細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものでは
ない。
【0017】なお、以下に説明する実施例1から実施例
6は、一つの走査が終了して次の走査開始されるされる
までの帰線における移動工程と、2回目以降の走査開始
におけるプローブの高さ設定の点で相違している。
【0018】〔実施例1〕 (実施例1の走査構成)はじめに、本発明の実施例1の
走査構成について、図1の本発明の実施例の走査状態を
説明する図を用いて説明する。
【0019】図1において、本発明の実施例1の走査プ
ローブ顕微鏡は試料2上に設定された走査領域を走査
し、その走査領域における試料表面の凹凸を観察する。
この走査領域は、例えば図に示すように複数個の走査領
域21,22とすることができる。本発明の走査プロー
ブ顕微鏡は、この走査領域上において測定信号を得る走
査線3と次の走査線に移動するための測定信号を取り込
まない帰線4により走査を行なっている。また、異なる
走査領域間における移動も帰線5により行なうものであ
る。なお、図1においては、走査線3を実線により示
し、帰線4および5を破線により示している。
【0020】そして、この走査線3においては可変電流
モードによって行い、ピエゾアクチュエータのZ方向の
圧電素子に印加する電圧を一定とすることによりプロー
ブの試料に対する高さを一定とし、この時のトンネル電
流Jtを測定する。一方、帰線4においては、定電流モ
ードによって一つの走査線の終了位置から次の走査線3
の開始位置に移動するものであり、通常測定を行なって
いない。従来の走査プローブ顕微鏡においては、この帰
線4の移動を可変電流モードによって行なうのに対し
て、本発明の実施例1は定電流モードによって行なう点
で相違している。
【0021】(実施例1の装置構成)次に、本発明の実
施例1の走査プローブ顕微鏡の装置構成を、図2を用い
て説明する。
【0022】図2において、試料2との間のトンネル電
流を検出するプローブ1は、ピエゾアクチュエータ6に
設置されており、このピエゾアクチュエータ6によって
X,Y方向の走査、およびZ方向での試料との距離調整
が行なわれる。このうち、X,Y方向の走査は、ピエゾ
アクチュエータ6のX方向のピエゾ素子7とY方向のピ
エゾ素子8によって行なわれ、また、Z方向の移動は、
ピエゾアクチュエータ6のZ方向のピエゾ素子9によっ
て行なわれる。なお、ピエゾアクチュエータ6自体は図
示しない粗動機構に設置され、この粗動機構によってト
ンネル電流が検出される程度の距離まで試料表面に近づ
けられる。
【0023】プローブ1から検出されるトンネル電流J
tは、トンネル電流増幅回路11を通して駆動制御回路
12とサーボ回路13に入力される。駆動制御回路12
は、可変電流モード(CHモード)によって走査線3の
ラインを走査するための回路であり、ピエゾアクチュエ
ータ6を図示しない粗動機構によって試料2に接近させ
た後、トンネル電流Jtを観察しながらピエゾアクチュ
エータ6のZ方向のピエゾ素子9に印加する電圧を調節
して、プローブ1の試料2からの高さを設定する。ま
た、駆動制御回路12中には、この設定電圧を記憶する
ためのメモリ等の記憶手段を有している。
【0024】一方、サーボ回路13は、定電流モード
(CCモード)によって帰線4上を移動するための回路
であり、トンネル電流Jtを例えば一定のトンネル電流
Jt0となるようにフィードバック信号を形成して、ピ
エゾアクチュエータ6のZ方向のピエゾ素子9に入力す
る。また、サーボ回路13は駆動制御回路12に対し
て、定電流モードにおいて設定したピエゾ素子への印加
電圧値を入力する構成を有しており、その印加電圧値は
例えば駆動制御回路12のメモリに記憶される。
【0025】表示装置15は、可変電流モードにおいて
検出したトンネル電流Jtを入力して表面の凹凸状態を
表示する。なお、この表示装置15は、例えばCRT、
液晶表示装置等の周知の表示装置を用いることができ、
さらにこの検出信号を図示しない信号処理装置や記憶装
置に入力して、各種の演算処理や表示のための処理ある
いは記憶を行なうこともできる。
【0026】走査回路14は、ピエゾアクチュエータ6
のX方向のピエゾ素子7とY方向のピエゾ素子8を駆動
して、X,Y方向の移動を行なう。例えば、走査線3の
移動方向をX方向とすると、走査線3に沿った移動は、
ピエゾ素子8の駆動を停止しピエゾ素子7を駆動するこ
とにより行なわれ、また、帰線4に沿った移動は、ピエ
ゾ素子8を一ライン分だけY方向に移動し、ピエゾ素子
7を前記走査線3に沿った移動と反対方向に駆動するこ
とにより行なわれる。また、この走査回路14は、走査
線3と帰線4との切り替え時において、切替え信号を駆
動制御回路12とサーボ回路13と表示回路15に対し
て出力する。駆動制御回路12とサーボ回路13は、こ
の切替え信号によって交互に駆動され、それぞれ走査線
3における可変電流モードと帰線4における定電流モー
ドとによる走査を行なう。
【0027】また、表示装置15で表示される測定信号
は、駆動制御回路12が駆動しているときのトンネル電
流Jtであるため、表示装置15は切替え信号により可
変電流モードから定電流モードへの切替えのタイミング
を検出し、帰線4を移動している間での測定信号の保持
等の信号処理を行なう。
【0028】(実施例1の作用)次に、本発明の実施例
1の走査プローブ顕微鏡の作用を、図2、および図3を
用い、走査線(走査開始)の移動工程、帰線の移動工
程、および走査線(2回目以降の走査)の移動工程に分
けて説明する。なお、図3において、20は走査領域で
あり、走査は走査開始点10からX方向に1ライン分行
い、次にY方向に1ライン分ずれるとともにX方向に1
ライン分戻って、再びX方向に1ライン分走査を行なう
という移動を繰り返す場合を表示している。
【0029】本発明の実施例1の走査プローブ顕微鏡
は、一つの可変電流モードによる走査が終了して次の走
査開始されるまでの帰線における移動工程を定電流モー
ドによって行い、次の走査開始におけるプローブの高さ
設定を、プローブ1と試料表面との距離Sを初期設定値
0 とするものである。
【0030】走査線(走査開始)の移動工程:はじめ
に、ピエゾアクチュエータ6を図示しない粗動機構によ
って試料2に接近させた後、駆動制御回路12において
トンネル電流Jtを観察しながらピエゾアクチュエータ
6のZ方向のピエゾ素子9に印加する電圧Vを調節し
て、プローブ1の試料2からの高さを設定する。ここ
で、走査開始点10での試料2の表面の高さhはh0
あり、プローブ1と試料表面との距離SがS0 でトンネ
ル電流JtがJt0 となるようなピエゾ素子9への印加
電圧VをV0 とする。この印加電圧V0 は、駆動制御回
路12に設置されたメモリ等の記憶手段に記憶され、こ
の走査線の移動工程中の印加電圧値を設定する。なお、
このとき、プローブ1の試料2の図示しない基準位置か
らの高さHはH0 (=h0 +S0 )となる。
【0031】この走査開始位置から、走査回路14から
の信号によってX方向のピエゾ素子7を駆動して、図3
の破線の方向に可変電流モードによって移動させる。こ
の可変電流モードにおいては、走査回路14からの切替
え信号により駆動回路12に切り替えて駆動し、プロー
ブ1の試料2の図示しない基準位置からの高さHが一定
値H0 となるように、ピエゾ素子9に対して一定電圧V
0 を印加する。測定信号となるトンネル電流Jtは、走
査開始位置においてはJt0 であるが、移動中では試料
表面の凹凸に応じて変化し、一ラインの終了位置におい
ては例えばJt1 となる。
【0032】帰線の移動工程:前記可変電流モードによ
り、走査線の一ラインの終了位置にプローブ1が移動し
た後、次の走査線への移動を定電流モードにより帰線に
沿って行なう。図3において、この帰線の移動を白抜き
の矢印によって表している。
【0033】この定電流モードでは、トンネル電流Jt
の値を走査開始時と同じJt0 となるように制御するこ
とによって、プローブ1と試料表面との距離Sを一定距
離S0 に保持しながら、次の走査線の走査開始位置に移
動させるものである。この移動は、図2の走査回路14
の切替え信号によって駆動回路12からサーボ回路13
に切替え、トンネル電流が設定値Jt0 となるようにフ
ィードバック信号をZ方向のピエゾ素子9に印加してプ
ローブ1をZ方向に制御し、同時に走査回路14によっ
てY方向に一ライン分移動させX方向に一ライン分戻す
ことによって行なわれる。この工程は定電流モードであ
るため、移動中においてZ方向のピエゾ素子への印加電
圧は変化し、一つのラインの走査終了時における印加電
圧値は例えばV2 となり、プローブ1の高さはH2 (=
2 +S0 )となる。
【0034】したがって、プローブ1と試料表面との距
離Sが常に一定距離S0 に制御されるため、帰線の移動
中においてプローブ1が試料の表面の突起した部分と接
触することを防止することができる。
【0035】走査線(2回目以降の走査)の移動工程:
前記定電流モードによる帰線の移動工程によって、プロ
ーブ1は次の走査線3の開始位置に移動し、そのときの
プローブ1と試料表面との距離はS0 となっている。こ
の状態から、再び走査回路14からの信号によってX方
向のピエゾ素子7を駆動して、図3の破線の方向に可変
電流モードによって移動させる。このとき、走査回路1
4は切替え信号を出力して、サーボ回路13から駆動制
御回路12への切替えを行なう。この走査におけるプロ
ーブ1の高さをH2 に一定に保持するためには、Z方向
のピエゾ素子への印加電圧値V2 が必要である。そのた
め、この印加電圧値V2 をサーボ回路13から駆動制御
回路12のメモリに入力して記憶させ、この印加電圧値
2 を基にして前記した走査線の移動工程と同様にし
て、駆動制御回路12により可変電流モードの移動を行
なう。
【0036】なお、図1に示すように、試料中の走査領
域21から他の走査領域22への移動は、前記した帰線
の移動と同様にして定電流モードによって行なうことが
できる。
【0037】(実施例1特有の効果)実施例1の構成に
よれば、各ラインの走査開始位置において、プローブと
試料表面との距離を常に一定とすることができる。した
がって、試料が熱等によってドリフトした場合や試料が
Y方向に傾斜している場合でも、そのドリフトや傾斜を
補正した像を求めることができ、また、各ライン毎にプ
ローブと試料表面との距離を補正してプローブと試料表
面との接触を防止することができる。
【0038】〔実施例2〕次に、実施例2について説明
する。
【0039】(実施例2の走査構成)実施例2の走査構
成は、前記実施例1の走査構成と同様に、走査線3にお
いてはプローブの試料に対する高さを一定とする可変電
流モードによって行い、一つの走査線の終了位置から次
の走査線3の開始位置までの帰線4においては、プロー
ブと試料表面との距離を一定に保持する定電流モードに
よって移動するものであるため、ここではその説明を省
略する。
【0040】そして、実施例2は帰線4の移動を定電流
モードによって行なう点において、従来の走査プローブ
顕微鏡と相違している。
【0041】(実施例2の装置構成)次に、本発明の実
施例2の走査プローブ顕微鏡の装置構成を、図6を用い
て説明する。
【0042】図6に示す実施例2の走査プローブ顕微鏡
の装置構成は、図2に示した前記実施例1の走査プロー
ブ顕微鏡の装置構成とほぼ同様であり、サーボ回路13
から駆動制御回路12への設定電圧の入力の有無の点で
相違している。そこで、以下の説明では、この相違点に
ついて説明し、その他の共通する構成については説明を
省略する。
【0043】実施例2におけるサーボ回路13は、前記
実施例1と同様に定電流モード(CCモード)によって
帰線4上を移動するための回路であり、トンネル電流J
tを例えば一定のトンネル電流Jt0 となるようにフィ
ードバック信号を形成して、ピエゾアクチュエータ6の
Z方向のピエゾ素子9に入力する。実施例1において
は、この定電流モードの終了時でのピエゾ素子への印加
電圧値を駆動制御回路12に入力し、駆動制御回路12
はこの印加電圧値を基にして可変電流モードによる移動
を行なっているのに対して、この実施例2においては、
定電流モードの終了時でのピエゾ素子への印加電圧値を
駆動制御回路12に入力することはせず、ピエゾ素子へ
の印加電圧値は初期設定した値を用いる。そこで、図6
に示すように、サーボ回路13から駆動制御回路12へ
のピエゾ素子への印加電圧値に関する信号の授受は無い
構成となる。
【0044】(実施例2の作用)次に、本発明の実施例
2の走査プローブ顕微鏡の作用を、図6、および図7を
用い、走査線(走査開始)の移動工程、帰線の移動工
程、および走査線(2回目以降の走査)の移動工程に分
けて説明する。なお、図7において、20は走査領域で
あり、走査は走査開始点10からX方向に1ライン分行
い、次にY方向に1ライン分ずれるとともにX方向に1
ライン分戻って、再びX方向に1ライン分走査を行なう
という移動を繰り返す場合を表示している。
【0045】本発明の実施例2の走査プローブ顕微鏡
は、一つの可変電流モードによる走査が終了して次の走
査開始されるされるまでの帰線における移動工程を定電
流モードによって行う点では前記実施例1と同様である
が、次の走査開始におけるプローブの高さ設定を、プロ
ーブ1と試料の基準の位置からの高さHを初期設定値H
0 とする点で相違している。
【0046】したがって、実施例2の作用において、走
査線(走査開始)の移動工程と帰線の移動工程は前記実
施例1と同様であり、2回目以降の走査での走査線の移
動工程が前記実施例1と相違する。
【0047】そこで、以下では、走査線(走査開始)の
移動工程と帰線の移動工程の説明について省略し、2回
目以降の走査での走査線の移動工程について説明する。
【0048】走査線(2回目以降の走査)の移動工程:
前記定電流モードによる帰線の移動工程によって、プロ
ーブ1は次の走査線3の開始位置に移動し、そのときの
プローブ1と試料表面との距離はS0 となっている。こ
の状態から、再び走査回路14からの信号によってX方
向のピエゾ素子7を駆動して、図3の破線の方向に可変
電流モードによって移動させる。このとき、走査回路1
4は切替え信号を出力して、サーボ回路13から駆動制
御回路12への切替えを行なう。実施例2における走査
線上の移動では、プローブ1の試料の基準位置からの高
さHを初期値と同じH0 となるようにして行なう。この
ためには、Z方向のピエゾ素子への初期値である印加電
圧値V0 が必要である。そのため、走査開始時において
この初期値である印加電圧値V0 を駆動制御回路12の
メモリに記憶させておき、2回目以降の走査においてメ
モリからこの印加電圧値V0 を読み出し、この印加電圧
値V0 を基にして前記した走査線の移動工程と同様にし
て、駆動制御回路12により可変電流モードの移動を行
なう。
【0049】したがって、実施例2における2回目以降
の走査では、プローブ1と試料表面との距離は走査開始
時の初期値S0 とはならず、試料表面の高さhに応じて
変化することになる。
【0050】(実施例2特有の効果)実施例2の構成に
よれば、各ラインの走査開始位置において、プローブの
試料の基準位置からの高さは一定となる。したがって、
試料が熱等によってドリフトした場合や試料がY方向に
傾斜している場合において、そのドリフトや傾斜を含め
た試料の凹凸の像を求めることができる。
【0051】〔実施例3〕次に、実施例3について説明
する。
【0052】(実施例3の走査構成)実施例3の走査構
成は、前記実施例1の走査構成と同様に、走査線3にお
いてはプローブの試料に対する高さを一定とする可変電
流モードによって行い、一つの走査線の終了位置から次
の走査線3の開始位置までの帰線4においては、プロー
ブと試料表面との距離を一定に保持する定電流モードに
よって移動するものであるため、ここではその説明を省
略する。
【0053】そして、実施例3は帰線4の移動を定電流
モードによって行なう点において、従来の走査プローブ
顕微鏡と相違している。
【0054】(実施例3の装置構成)本発明の実施例3
の走査プローブ顕微鏡の装置構成は、前記実施例1の走
査プローブ顕微鏡の装置構成と同様であり、その走査プ
ローブ顕微鏡の作用について相違するので、装置構成に
ついての説明を省略する。
【0055】(実施例3の作用)次に、本発明の実施例
3の走査プローブ顕微鏡の作用を、図2、および図8を
用い、走査線(走査開始)の移動工程、帰線の移動工
程、および走査線(2回目以降の走査)の移動工程に分
けて説明する。なお、図8において、20は走査領域で
あり、走査は走査開始点10からX方向に1ライン分行
い、次にY方向に1ライン分ずれるとともにX方向に1
ライン分戻って、再びX方向に1ライン分走査を行なう
という移動を繰り返す場合を表示している。
【0056】本発明の実施例3の走査プローブ顕微鏡
は、走査線の移動工程の可変電流モードにおいては実施
例1と同様であって、走査開始時点におけるプローブ1
と試料表面との距離S初期設定値S0 とし、走査中にお
けるプローブ1の試料の基準位置に対する高さHを一定
となる様に制御を行なうが、帰線の移動工程の定電流モ
ードにおいてはプローブ1と試料表面の距離Sを、前工
程の可変電流モードの終了時における距離と同一とする
点で前記実施例1と相違している。
【0057】したがって、実施例3の作用において、走
査線(走査開始)の移動工程と走査線(2回目以降の走
査)の移動工程は前記実施例1と同様であり、帰線の移
動工程が前記実施例1と相違している。
【0058】そこで、以下では、走査線(走査開始)の
移動工程と走査線(2回目以降の走査)移動工程の説明
について省略し、帰線の移動工程についてのみ説明す
る。
【0059】帰線の移動工程:可変電流モードによって
走査線の一ラインの終了位置にプローブ1が移動した
後、次の走査線への移動を定電流モードにより帰線に沿
って行なう。図8において、この帰線の移動を白抜きの
矢印によって表している。
【0060】前工程の終了位置では、トンネル電流Jt
はJt1 で、プローブ1と試料表面との距離SはS1
なっている。この帰線の移動工程の定電流モードでは、
トンネル電流Jtの値を前工程の走査終了時と同じJt
1 となるように制御することによって、プローブ1と試
料表面との距離Sを前工程の終了位置と同じ一定距離S
1 に保持しながら、次の走査線の走査開始位置に移動さ
せるものである。この移動は、図2の走査回路14の切
替え信号によって駆動回路12からサーボ回路13に切
替え、トンネル電流が設定値Jt1 となるようにフィー
ドバック信号をZ方向のピエゾ素子9に印加してプロー
ブ1をZ方向に制御し、同時に走査回路14によってY
方向に一ライン分移動させX方向に一ライン分戻すこと
によって行なわれる。なお、このフィードバックの基準
となる設定値Jt1 は、サーボ回路13の図示しない記
憶手段に記憶しておく。
【0061】この工程は定電流モードであるため、移動
中においてZ方向のピエゾ素子への印加電圧は変化し、
帰線終了時における印加電圧値は例えばV2 となり、プ
ローブ1の高さはH2 (=h2 +S0 )となる。
【0062】したがって、プローブ1と試料表面との距
離Sが常に一定距離S1 に制御されるため、帰線の移動
中においてプローブ1が試料の表面の突起した部分と接
触することを防止することができる。
【0063】(実施例3特有の効果)実施例3の構成に
よれば、可変電流モードと定電流モードとの切替えにお
いて、プローブ1のZ方向での移動を行なうことなく、
一方のモードの終了時の高さと次のモードの開始時の高
さを同一とすることができる。
【0064】〔実施例4〕次に、実施例4について説明
する。
【0065】(実施例4の走査構成)実施例4の走査構
成は、前記実施例1の走査構成と同様に、走査線3にお
いてはプローブの試料に対する高さを一定とする可変電
流モードによって行い、一つの走査線の終了位置から次
の走査線3の開始位置までの帰線4においては、プロー
ブと試料表面との距離を一定に保持する定電流モードに
よって移動するものであるため、ここではその説明を省
略する。
【0066】そして、実施例4は帰線4の移動を定電流
モードによって行なう点において、従来の走査プローブ
顕微鏡と相違している。
【0067】(実施例4の装置構成)本発明の実施例4
の走査プローブ顕微鏡の装置構成は、前記実施例2の走
査プローブ顕微鏡の装置構成と同様であり、その走査プ
ローブ顕微鏡の作用について相違するので、装置構成に
ついての説明を省略する。
【0068】(実施例4の作用)次に、本発明の実施例
4の走査プローブ顕微鏡の作用を、図6、および図9を
用い、走査線(走査開始)の移動工程、帰線の移動工
程、および走査線(2回目以降の走査)の移動工程に分
けて説明する。なお、図9において、20は走査領域で
あり、走査は走査開始点10からX方向に1ライン分行
い、次にY方向に1ライン分ずれるとともにX方向に1
ライン分戻って、再びX方向に1ライン分走査を行なう
という移動を繰り返す場合を表示している。
【0069】本発明の実施例4の走査プローブ顕微鏡
は、走査線の移動工程の可変電流モードにおいては実施
例2と同様であって、試料の基準位置に対するプローブ
1の高さHを初期設定値H0 となる様に制御を行なう
が、帰線の移動工程の定電流モードにおいてはプローブ
1と試料表面の距離Sを、前工程の可変電流モードの終
了時における距離と同一とする点で前記実施例2と相違
している。
【0070】したがって、実施例4の作用において、走
査線(走査開始)の移動工程と走査線(2回目以降の走
査)の移動工程は前記実施例2と同様であり、帰線の移
動工程が前記実施例2と相違している。
【0071】そこで、以下では、走査線(走査開始)の
移動工程と走査線(2回目以降の走査)移動工程の説明
について省略し、帰線の移動工程についてのみ説明す
る。
【0072】帰線の移動工程:可変電流モードによって
走査線の一ラインの終了位置にプローブ1が移動した
後、次の走査線への移動を定電流モードにより帰線に沿
って行なう。図9において、この帰線の移動を白抜きの
矢印によって表している。
【0073】前工程の終了位置では、トンネル電流Jt
はJt1 で、プローブ1と試料表面との距離SはS1
なっている。この帰線の移動工程の定電流モードでは、
トンネル電流Jtの値を前工程の走査終了時と同じJt
1 となるように制御することによって、プローブ1と試
料表面との距離Sを前工程の終了位置と同じ一定距離S
1 に保持しながら、次の走査線の走査開始位置に移動さ
せるものである。この移動は、図2の走査回路14の切
替え信号によって駆動回路12からサーボ回路13に切
替え、トンネル電流が設定値Jt1 となるようにフィー
ドバック信号をZ方向のピエゾ素子9に印加してプロー
ブ1をZ方向に制御し、同時に走査回路14によってY
方向に一ライン分移動させX方向に一ライン分戻すこと
によって行なわれる。なお、このフィードバックの基準
となる設定値Jt1 は、サーボ回路13の図示しない記
憶手段に記憶しておく。
【0074】この工程は定電流モードであるため、移動
中においてZ方向のピエゾ素子への印加電圧は変化し、
帰線終了時における印加電圧値は例えばV2 となり、プ
ローブ1の高さはH2 (=h2 +S0 )となる。
【0075】したがって、プローブ1と試料表面との距
離Sが常に一定距離S1 に制御されるため、帰線の移動
中においてプローブ1が試料の表面の突起した部分と接
触することを防止することができる。
【0076】(実施例4特有の効果)実施例4の構成に
よれば、可変電流モードから定電流モードとの切替えに
おいてプローブ1のZ方向での移動を行なうことなく、
可変電流モードの終了時の高さと定電流モードの開始時
の高さを同一とすることができる。
【0077】〔実施例5〕次に、実施例5について説明
する。
【0078】(実施例5の走査構成)実施例5の走査構
成は、前記実施例1の走査構成と同様に、走査線3にお
いてはプローブの試料に対する高さを一定とする可変電
流モードによって行い、一つの走査線の終了位置から次
の走査線3の開始位置までの帰線4においては、プロー
ブと試料表面との距離を一定に保持する定電流モードに
よって移動するものであるため、ここではその説明を省
略する。
【0079】そして、実施例5は走査線と帰線の移動を
共に可変電流モードによって行なう点で前記実施例1〜
実施例4と相違しており、また、この帰線の移動でのプ
ローブの高さを走査線の移動でのプローブの高さと異な
らせる点で従来の走査プローブ顕微鏡と相違している。
【0080】(実施例5の装置構成)次に、本発明の実
施例5の走査プローブ顕微鏡の装置構成を、図10を用
いて説明する。
【0081】図10に示す実施例5の走査プローブ顕微
鏡の装置構成は、図2に示した前記実施例1の走査プロ
ーブ顕微鏡の装置構成と比較して、サーボ回路13を有
していない点で相違している。そこで、以下の説明で
は、この相違点について説明し、その他の共通する構成
については説明を省略する。
【0082】実施例5における走査プローブ顕微鏡で
は、Z方向のピエゾ素子9の駆動は駆動制御回路12に
よる可変電流モードのみで行なわれ、フィードバックに
よる定電流モードでの駆動は行なわないため、装置構成
要素としてサーボ回路13は不要である。そのため、実
施例5の走査プローブ顕微鏡は、駆動回路として駆動制
御回路12のみを有している。
【0083】そして、この駆動制御回路12は、走査線
の移動と帰線の移動とにおいて、試料の基準位置に対す
るプローブ1の高さHを異ならせている。例えば、走査
線の移動においては、試料の基準位置に対するプローブ
1の高さHをH0 としているのに対して、帰線の移動に
おいては、試料の基準位置に対するプローブ1の高さH
をHbとしている。この試料の基準位置に対するプロー
ブ1の高さHは、駆動制御回路12からZ方向のピエゾ
素子9に印加する印加電圧Vの値により設定される。駆
動制御回路12は、この印加電圧Vの値をメモリに記憶
しておくこともできる。
【0084】(実施例5の作用)次に、本発明の実施例
5の走査プローブ顕微鏡の作用を、図10、および図1
1を用い、走査線(走査開始)の移動工程、帰線の移動
工程、および走査線(2回目以降の走査)の移動工程に
分けて説明する。なお、図11において、20は走査領
域であり、走査は走査開始点10からX方向に1ライン
分行い、次にY方向に1ライン分ずれるとともにX方向
に1ライン分戻って、再びX方向に1ライン分走査を行
なうという移動を繰り返す場合を表示している。
【0085】本発明の実施例5の走査プローブ顕微鏡
は、一つの可変電流モードによる走査が終了して次の走
査開始されるされるまでの帰線における移動工程を可変
電流モードによって行う点で前記実施例1、実施例3と
相違しているが、次の走査開始におけるプローブの高さ
設定を、プローブ1と試料の基準の位置からの高さHを
初期設定値H0 とする点で前記実施例1、実施例3と同
じである。
【0086】したがって、実施例5の作用において、走
査線(走査開始)の移動工程と2回目以降の走査での走
査線の移動工程は前記実施例1、実施例3と同様であ
り、帰線の移動工程が前記実施例1、実施例3と相違す
る。
【0087】そこで、以下では、走査線(走査開始)の
移動工程と2回目以降の走査での走査線の移動工程の説
明について省略し、帰線の移動工程について説明する。
【0088】帰線の移動工程:可変電流モードによって
走査線の一ラインの終了位置にプローブ1が移動した
後、次の走査線への移動を可変電流モードにより帰線に
沿って行なう。図11において、この帰線の移動を白抜
きの矢印によって表している。
【0089】前工程の終了位置では、その走査開始位置
と同様に、試料の基準位置に対するプローブ1の高さH
はH0 である。この帰線の移動工程の可変電流モードで
は、試料の基準位置に対するプローブ1の高さHを前記
0 よりも高いHbとなるように、ピエゾ素子への印加
電圧をVbとするものである。この高さHbは、プロー
ブの移動中において試料の表面と接触を防止するのに充
分な距離に設定する。この移動は、図10の走査回路1
4の切替え信号によって駆動制御回路12における印加
電圧値をVbに設定してピエゾ素子9に印加し、プロー
ブ1をZ方向に制御し、同時に走査回路14によってY
方向に一ライン分移動させX方向に一ライン分戻すこと
によって行なわれる。なお、この印加電圧Vbは、駆動
制御回路12のメモリ等の記憶手段に記憶しておくこと
ができる。
【0090】この帰線の工程は可変電流モードであるた
め、帰線の終了位置でのプローブの高さはH0 となる。
ここで、この実施例5では、次の走査線の移動における
プローブの高さをH2 (=S0 +h0 )として、プロー
ブと試料表面との距離Sが初期設定値S0 となるように
している。そこで、駆動制御回路12は、走査回路14
からの切替え信号によってピエゾ素子への印加電圧値を
VbからV2 へ切り替える。
【0091】したがって、帰線の移動中において試料の
基準位置からのプローブ1の高さが、試料の凹凸と比較
して充分大きくなるように高さ制御されるため、帰線の
移動中においてプローブ1が試料の表面の突起した部分
と接触することを防止することができる。
【0092】(実施例5特有の効果)実施例5の構成に
よれば、可変電流モードから定電流モードへ、および定
電流モードから可変電流モードへのモードの切替えを行
なう必要がなく、装置構成を簡略化することができる。
【0093】また、実施例5の構成によれば、各ライン
の走査開始位置において、プローブと試料表面との距離
を常に一定とすることができる。したがって、試料が熱
等によってドリフトした場合や試料がY方向に傾斜して
いる場合でも、そのドリフトや傾斜を補正した像を求め
ることができ、また、各ライン毎にプローブと試料表面
との距離を補正してプローブと試料表面との接触を防止
することができる。
【0094】〔実施例6〕次に、実施例6について説明
する。
【0095】(実施例6の走査構成)実施例6の走査構
成は、前記実施例1の走査構成と同様に、走査線3にお
いてはプローブの試料に対する高さを一定とする可変電
流モードによって行い、一つの走査線の終了位置から次
の走査線3の開始位置までの帰線4においては、プロー
ブと試料表面との距離を一定に保持する定電流モードに
よって移動するものであるため、ここではその説明を省
略する。
【0096】そして、実施例6は走査線と帰線の移動を
共に可変電流モードによって行なう点で前記実施例1〜
実施例4と相違しており、また、この帰線の移動でのプ
ローブの高さを走査線の移動でのプローブの高さと異な
らせる点で従来の走査プローブ顕微鏡と相違している。
また、実施例6は、2回目以降の走査線の移動を開始す
るときのプローブの設定高さの点で前記実施例5と相違
している。
【0097】(実施例6の装置構成)本発明の実施例6
の走査プローブ顕微鏡の装置構成は、図10に示す前記
実施例5の装置構成と同様であるので、詳細な説明は省
略する。
【0098】実施例6の駆動制御回路12は、走査線の
移動と帰線の移動とにおいて、実施例5と同様に試料の
基準位置に対するプローブ1の高さHを異ならせてい
る。例えば、走査線の移動においては、試料の基準位置
に対するプローブ1の高さHをH0 としているのに対し
て、帰線の移動においては、試料の基準位置に対するプ
ローブ1の高さHをHbとしている。この試料の基準位
置に対するプローブ1の高さHは、駆動制御回路12か
らZ方向のピエゾ素子9に印加する印加電圧Vの値によ
り設定される。駆動制御回路12は、この印加電圧Vの
値をメモリに記憶しておくこともできる。また、2回目
以降の走査線の移動においては、ピエゾ素子への印加電
圧をV0 として試料の基準位置に対するプローブの高さ
をH0 となるよう設定している。
【0099】(実施例6の作用)次に、本発明の実施例
6の走査プローブ顕微鏡の作用を、図10、および図1
2を用い、走査線(走査開始)の移動工程、帰線の移動
工程、および走査線(2回目以降の走査)の移動工程に
分けて説明する。なお、図12において、20は走査領
域であり、走査は走査開始点10からX方向に1ライン
分行い、次にY方向に1ライン分ずれるとともにX方向
に1ライン分戻って、再びX方向に1ライン分走査を行
なうという移動を繰り返す場合を表示している。
【0100】本発明の実施例6の走査プローブ顕微鏡
は、一つの可変電流モードによる走査が終了して次の走
査開始されるされるまでの帰線における移動工程を可変
電流モードによって行う点で前記実施例2、実施例4と
相違しているが、2回目以降の走査開始におけるプロー
ブの高さ設定を、プローブ1と試料の基準の位置からの
高さHを初期設定値H0 とする点で前記実施例2、実施
例4と同じである。また、前記実施例5とは、2回目以
降の走査開始におけるプローブの高さ設定を初期設定値
0 とする点で相違している。
【0101】したがって、実施例6の作用において、走
査線(走査開始)の移動工程と2回目以降の走査での走
査線の移動工程は前記実施例2、実施例4と同様であ
り、帰線の移動工程で前記実施例2、実施例4と相違し
ており、走査線(走査開始)の移動工程と帰線の移動工
程は前記実施例5と同様であり、2回目以降の走査での
走査線の移動工程で前記実施例5と相違している。
【0102】そこで、以下では、走査線(走査開始)の
移動工程と帰線の移動工程の説明について省略し、2回
目以降の走査での走査線の移動工程について説明する。
【0103】走査線(2回目以降の走査)の移動工程:
前記定電流モードによる帰線の移動工程によって、プロ
ーブ1は次の走査線3の開始位置に移動し、そのときの
試料の基準位置に対するプローブ1の高さHはHbとな
っている。この状態から、再び走査回路14からの信号
によってX方向のピエゾ素子7を駆動して、破線の方向
に可変電流モードによって移動させる。このとき、走査
回路14は切替え信号を出力して、駆動制御回路12に
おける印加電圧をVbからV0 への切替えを行なう。走
査開始時においてこの初期値である印加電圧値V0 を駆
動制御回路12のメモリに記憶させておき、2回目以降
の走査においてメモリからこの印加電圧値V0 を読み出
し、この印加電圧値V0 を基にして前記した走査線の移
動工程と同様にして、駆動制御回路12により可変電流
モードの移動を行なう。
【0104】したがって、実施例6における2回目以降
の走査では、プローブ1と試料表面との距離Sは走査開
始時の初期値S0 とはならず、試料表面の高さhに応じ
て変化することになる。
【0105】(実施例6特有の効果)実施例6の構成に
よれば、可変電流モードから定電流モードへ、および定
電流モードから可変電流モードへのモードの切替えを行
なう必要がなく、装置構成を簡略化することができる。
【0106】また、実施例6の構成によれば、各ライン
の走査開始位置において、プローブの試料の基準位置か
らの高さは一定となる。したがって、試料が熱等によっ
てドリフトした場合や試料がY方向に傾斜している場合
において、そのドリフトや傾斜を含めた試料の凹凸の像
を求めることができる。
【0107】〔変形例〕本発明の走査プローブ顕微鏡と
して、前記実施例のトンネル顕微鏡に代えて、プローブ
と試料の表面原子間に働く原子間力を測定する原子間力
顕微鏡(AFM)を用いることもできる。
【0108】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能で
あり、それらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
【0109】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
走査プローブ顕微鏡の可変電流モードによる測定におい
て、走査線間の移動時におけるプローブの試料表面との
接触を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の走査状態を説明する図であ
る。
【図2】本発明の実施例1,4の走査プローブ顕微鏡の
装置構成図である。
【図3】本発明の実施例1の走査工程を説明する図であ
る。
【図4】走査プローブ顕微鏡の定電流モードを説明する
図である。
【図5】走査プローブ顕微鏡の可変電流モードを説明す
る図である。
【図6】本発明の実施例2,3の走査プローブ顕微鏡の
装置構成図である。
【図7】本発明の実施例2の走査工程を説明する図であ
る。
【図8】本発明の実施例3の走査工程を説明する図であ
る。
【図9】本発明の実施例4の走査工程を説明する図であ
る。
【図10】本発明の実施例5,6の走査プローブ顕微鏡
の装置構成図である。
【図11】本発明の実施例5の走査工程を説明する図で
ある。
【図12】本発明の実施例6の走査工程を説明する図で
ある。
【符号の説明】
1…プローブ、2…試料、3…走査線、4,5…帰線、
6…ピエゾアクチュエータ、7,8,9…ピエゾ素子、
10…走査開始点、11…トンネル電流増幅回路、12
…駆動制御回路、13…サーボ回路、14…走査回路、
15…表示回路、20,21,22…走査領域

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料表面に対してプローブを、走査開始
    点と走査終了点を結ぶ走査線と、走査終了点と次の走査
    開始点を結ぶ帰線とに沿って移動させることにより2次
    元的に走査して、試料表面の表面分析を行なう走査プロ
    ーブ顕微鏡において、(a)プローブの試料法線方向の
    移動を行なう駆動手段と、(b)前記走査線と前記帰線
    とで前記駆動手段の移動量を異ならせる制御手段とを有
    することを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
JP5187321A 1993-06-30 1993-06-30 走査プローブ顕微鏡 Withdrawn JPH0720134A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5237726A (en) * 1990-05-18 1993-08-24 Maschinenfabrik Rieter Ag Method and apparatus for filling textile material into containers having an elongate cross section
WO2022118728A1 (ja) * 2020-12-01 2022-06-09 国立大学法人金沢大学 原子間力顕微鏡、制御方法、及び、プログラム

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US5237726A (en) * 1990-05-18 1993-08-24 Maschinenfabrik Rieter Ag Method and apparatus for filling textile material into containers having an elongate cross section
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