JP2004117248A - 広領域走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

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Kazuhisa Yanagi
柳 和久
Akihiko Honma
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Abstract

【課題】本発明の課題は、従来の微小領域画像と同じ高分解能で、均一な画質の広領域画像を、コンパクトな形態で実現出来る走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。
【解決手段】本発明の広領域走査型走査プローブ顕微鏡は、微小領域を走査させるXY軸スキャナと、試料もしくは前記XY軸スキャナを移動させるためのXYステージを具備し、前記XY軸スキャナの走査により微小領域画像を取得する手段と、前記微小領域に隣接する領域に顕微鏡中心をシフトさせるべく前記XYステージを移動制御する手段と、隣接する複数の微小領域画像を繋ぎ合わす画像合成手段とを備えるものである。
【選択図】  図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カンチレバー先端の探針により試料表面の形状や物理的状態を検出して画像化するプローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、機械的探針によって試料表面を走査し、探針と試料表面との間に働く力や他の物理的相互作用を検出することによって、試料表面の物理量をnm以下のオーダーで観察する装置である。例えば、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の一つとして代表的な原子間力顕微鏡(AFM)では、探針と試料表面の間に働く原子間力をプローブのたわみ量変化という情報で検出し、これを利用することによって試料の表面形状を観察することができる。また、走査型トンネル顕微鏡(STM)は、導電性の試料表面に先端の鋭い金属探針を接近させて電圧を印加し、両者間に流れるトンネル電流を用いて試料表面の形状を測定する装置である。
【0003】
このような走査型プローブ顕微鏡においては、試料あるいはプローブを水平二次元方向(以下XY方向と呼ぶ)と高さ方向(以下Z方向と呼ぶ)に精度良く走査して探針の接触点に対応した物理量を検出し、その値を位置に対応させて画像化するのであるが、一般に1画像に対応した適正走査範囲は20〜80mmである。従来からプローブ顕微鏡での広領域の測定画像を得たいときは、広範囲を走査できる変位量が大きいXY軸スキャナを搭載する方法が良く使用される。しかし、走査型プローブ顕微鏡の1走査線のピクセル数は512程度とされているため、このように変位量が大きいXY軸スキャナを搭載した装置では、水平方向のデータサンプリング間隔が広くなり、十分高い水平方向分解能を得られないという問題が生じる。また、変位量が大きいXY軸スキャナを搭載した装置では、その駆動方法によってはスキャナ固有の特性により、画像が湾曲してしまうという問題もあった。
【0004】
特許文献1「走査型プローブ顕微鏡」には広範囲にわたって高精度の形状測定を行う走査型プローブ顕微鏡として、プローブを複数個配列することによって測定範囲を拡大し、各プローブで測定される変位信号について、プローブの配列に基づく位置ずれと各プローブ自体が持つ特性による誤差を補正し、さらに、各プローブによる測定データをつなぎ合わせて広範囲の像を得るものが開示されている。即ちこの走査型プローブ顕微鏡は図8に示すように、同一ステージ4に複数のプローブ2を2次元的に配列したプローブアレイ3と、プローブアレイを3次元方向に移動可能とする移動手段5,7と、試料の表面形状の測定データを各プローブ毎に測定する変位検出手段10,11と、各プローブの位置誤差およびプローブ特性に基づいて、測定データを各プローブ毎に補正する測定データ補正手段12,14,15と、各プローブ毎の隣接する測定データの相互相関を求めて測定データをつなぎ合わせ合成像を生成する測定データ合成手段20を備えるものである。この走査型プローブ顕微鏡は分解能の高い微小領域の画像を合成するものであるため、分解能の高い広領域画像が得られるのであるが、プローブを2次元的に配列したプローブアレイと、プローブアレイを3次元方向に移動可能とする移動手段を要するため、装置が大掛かりとなると共に試料に対するスムーズな走査が難しいという問題、各プローブの位置誤差およびプローブ特性に基づいて、測定データを各プローブ毎に補正しなければ合成画像の一体連続性が得られないという厄介な問題と、それを実行するための測定データ補正手段を要する点など多くの問題を伴うものであった。
【0005】
また、画像を複数個繋ぎ合わして広領域画像を得る技術については特許文献2(特許第3210187号公報)にも開示されているが、これはSTM、AFM等の走査型プローブ顕微鏡の探針の最大走査範囲内をいくつかの部分領域に分けて順次走査を行い、得られた画像をつなぎ合わせることによって探針の最大走査範囲内で原子レベルの高分解能を持った画像を得る走査方式を提供するもので、この走査型プローブ顕微鏡の走査方式は、試料表面に沿って圧電素子により探針を走査させることによって試料表面の凹凸に関する信号を得る走査型プローブ顕微鏡において、前記圧電素子に、前記探針の最大走査範囲をn分した部分領域を順次変更させるためのオフセット信号と、このオフセット信号が1つの部分領域にある間に、その部分領域内を走査するための走査信号とを重畳して印加するようにしたものである。この装置は基本的に広領域を走査できる大型のXY軸走査手段を備える必要があり、装置の大型化は避けられない。
【0006】
【特許文献1】特開平10−300758号公報 要約書 図1
【特許文献2】特許第3210187号公報
段落番号0008,0009
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来の微小領域画像と同じ高分解能で、均一な画質の広領域画像を、コンパクトな形態で実現出来る走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の広領域走査型走査プローブ顕微鏡は、上記課題を達成するため微小領域を走査させるXY軸スキャナと、試料もしくは前記XY軸スキャナを移動させるためのXYステージを具備し、前記XY軸スキャナの走査により微小領域画像を取得する手段と、前記微小領域に隣接する領域に顕微鏡中心をシフトさせるべく前記XYステージを移動制御する手段と、隣接する複数の微小領域画像を繋ぎ合わす画像合成手段とを備えるものである。すなわち、本発明では高分解能を保ったままの広範囲の測定領域を得るために、XY軸スキャナと別個のXYステージを併用することにより前記問題点を解消している。
本発明の広領域走査型走査プローブ顕微鏡では、変位量の直線性を得るためにXY軸スキャナの駆動機構としてボイスコイルモータを採用した。また、同じく直線性を得るためにXYステージにはその変位を検出する変位センサを備えるようにし、該変位センサの検出量を駆動機構にフィードバックする形態を採った。
更に本発明の広領域走査型走査プローブ顕微鏡は、隣接する複数の微小領域画像を繋ぎ合わす画像合成手段を備え、該画像合成手段は各画像の左右もしくは上下にオーバラップ領域を設定して合成するものとした。そして、隣接する領域に顕微鏡中心をシフトさせる変位量はXY軸スキャナによる得られる1画像の寸法からオーバラップ寸法分を差し引いた量に設定し、順次XYステージの移動を繰り返す動作により画像取得するようにした。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、XY軸スキャナと別個のXYステージを併用し、単一のプローブによる微小領域画像を複数得てそれを合成することにより、コンパクトな形態で従来の走査型走査プローブ顕微鏡の微小領域画像と同じ高分解能で、かつ均一な画質の広領域画像を実現出来る走査型プローブ顕微鏡を提供するものである。まず、本発明の走査型プローブ顕微鏡としての基本構成を図1を参照しながら説明する。1は先端に探針2を備えたカンチレバーであり、3はカンチレバー1と一体構造の変位検出器で、該変位検出器3は筒体10の先端部に取付けられている。この筒体10には直交する三軸方向にシャフトが取りつけられ、該シャフトの他端にはボイスコイルモータが取付けられている。すなわち、水平方向にX軸スキャナとしてのX軸ボイスコイルモータ4と、Y軸スキャナとしてのY軸ボイスコイルモータ5が、そして垂直方向にZ軸駆動部としてのZ軸ボイスコイルモータ6が配置されている。前記探針11はXYステージ30に対峙し、該XYステージ30上には試料が載置される試料台31が取付けられている。
【0010】
このような基本構成を備えた本発明の走査型プローブ顕微鏡の基本動作フローを、図2を参照しながら説明する。まず準備として試料面の観察領域のコーナ部分の上に探針2が来るようにXYステージ30を位置調整しておく。その際の試料表面と探針2の先端との距離は2〜3mm程度にされている。次にステップ1で探針2を試料表面に近づけるべくZ軸粗動機構9を作動させて筒体10をZ軸方向に移動し、所謂粗動を実行する。ステップ2で試料表面と探針2の先端間に力が作用し合っている状態でXY軸スキャナすなわち、X軸ボイスコイルモータ4とY軸ボイスコイルモータ5を駆動させて試料表面の微小領域をラスタ状に走査させ、当該領域の測定画像情報をXYステージ30の位置情報と共に画像メモリに蓄積する。続いてステップ3ですべての微小領域画像が得られたかを確認し、得られた場合は終了となるが、そうでないときはステップ4に進み、Z軸駆動部6を作動させて筒体10をZ軸上方向に概ね100〜200μm微動させ、探針2を試料表面からわずかに離す。ステップ5では探針2を離した状態で、XYステージ30を駆動して探針2を1画像分移動する。ステップ6で隣接する領域に顕微鏡中心が移ったならばZ軸駆動部6を作動させて筒体10をZ軸下方向に概ね100〜200μm微動させ、探針2を試料表面に接近させる。ステップ7では探針2の試料面への接近状態を確認し、接触がなされていないときはステップ6に戻り、接触状態がとられているときはステップ2に戻って次の微小領域の画像を取得する。ステップ2からステップ3までを繰返し、必要な広領域をカバーする複数の微小領域画像を画像メモリに蓄積して、すべての画像を得たときはステップ3で終了し、画像取得作業を終える。
【0011】
必要な広領域をカバーする複数の微小領域画像をすべて取得したならば、XYステージ30の位置情報に対応させてこれらの微小領域画像を編集合成する。この合成画像を1つの広領域画像として改めて画像メモリに蓄積するようにしてもよい。この画像合成の概念を図3を参照して説明すると、XY軸スキャナで走査して得られる画像は図に示す微小領域の画像であり、これを(i,j)といったXYステージ30の位置情報に基づいて各微小領域の画像を繋ぎ合わせ、1つの画像に合成する。本発明の合成画像はこのよう1つの同じプローブを用いてすべての微小領域画像を取得するようにしたものであるから、プローブの検出特性や測定条件にバラツキが無く、ディスプレイに1枚の広領域画像として表示させたとき、合成した画像間で画質の差がなく均質な連続画像を得ることができる。
【0012】
【実施例1】本発明で用いられるXY軸スキャナの具体例を図4を参照しながら説明する。図において1は先端に探針2を備えたカンチレバーであり、3は該探針2が試料面との接触により変位する量を検出する変位検出器であって、具体的には歪みゲージ形式のものや光てこ式のものなどが採用される。該変位検出器3の背面側中心にはスピンドル7が取付けられ、他端部はZ軸駆動用のボイスコイルモータ6につながれている。該スピンドル7は上下方向に2つの放射状バネKv1,Kv2を介して中筒8の内面に取りつけられており、該中筒8の外面はZ軸粗動機構9を介して筒体10の太筒部10aに取付けられている。この筒体10は太筒部10aと薄肉の細管部10bとからなり、バネKh1として機能する細管部10bを介して顕微鏡本体20と一体的に形成されている。この筒体10の太筒部10aには放射方向にX軸シャフト41が取付けられ他端部はX軸駆動用のボイスコイルモータ4につながれている。また、これと直交する位置には同様にY軸シャフト51が取付けられ他端部はY軸駆動用のボイスコイルモータ5につながれている。更に、筒体10は前記細管部10bの外側にやはり筒状のバネ部材Kh2を介して本体20と連結されている。これは先のバネKh1として機能する細管部10bと協働して水平駆動に対する本体10の弾性を決める要素となる。この第二のバネ部材Kh2は図に示されるように環状溝部に入れられた低融点合金とズームヒータが付けられた筒状の加熱部材を介して筒体10と結合されている。
【0013】
以上の構成において、Z軸粗動機構9はZ軸方向の数mmといった比較的大きな昇降動作を行なわせるものであり、この実施例では温度変形部材を用いている。Z軸駆動用のボイスコイルモータ6はμmオーダーの微小変位駆動を担う。また、測定のための二次元走査を実行する水平方向駆動は、二つのボイスコイルモータ4,5が担う。すなわち、該モータが作動しシャフト41,42を進退させると、太筒部10aは該シャフト41,42を介して力を受けるが、この太筒部10aは薄肉の細管部10bを介して顕微鏡本体20と一体的に形成されているので、本体20に固着部分を支点として薄肉の細管部10bが歪んで該太筒部10aを変位させることになる。直交する二つのボイスコイルモータ4,5の駆動力を受け、筒体10は振り子形態で変位し、先端に取り付けられたカンチレバー1の探針2を例えばラスタ状に走査する。なお、走査が振り子形態で行なわれるものであるため走査領域を広くとると直線性を損ねることになるが、本発明では走査領域を微小に設定することで直線性を担保している。
その際の二つのボイスコイルモータ4,5の駆動力と探針2の変位量との関係は筒体10の弾性に依存することになるが、上記したように本実施例では筒体10が細管部10bの他その外側にやはり筒状のバネ部材Kh2を介して本体20と連結されているため、常温ではこのバネ部材Kh2も細管部10bのバネKh1と協働して水平駆動に対する本体10の弾性を決める要素となる。しかし、ズームヒータがONし筒状の加熱部材が加熱された状態となると、低融点合金が溶解して溝部との固着関係が解かれ、その場合このバネ部材Kh2は筒体10の弾性を決める要素から外れることになる。すなわち、本実施例ではズームヒータをON/OFすることにより、本体10の弾性を切替え変更することができる。
【0014】
本発明で用いられるXYステージの具体例を図5を参照しながら説明する。図において、水平方向に移動可能に支承されているXYステージ30には直交する二つの辺にレバー31,32の一端がそれぞれ連結されており、支点を挟んで該レバー31,32の他端側はX軸アクチュエータ30xとY軸アクチュエータ30yの駆動軸に連結されている。本体20に固定されているX軸アクチュエータ30xまたはY軸アクチュエータ30yが駆動されると、前記支点を中心にレバー31が回動され、てこの原理により変位量を拡大して試料ステージ30を変位させる機構となっている。この試料ステージ30は本体20に対しバネ33で弾性的に支持されており、X軸アクチュエータ30xまたはY軸アクチュエータ30yによる変位を吸収する。そしてこの試料ステージ30のX方向及びY方向変位量を静電容量式或いは光電式等の二つの変位センサ34で検出するようにし、それぞれの検出量はX軸アクチュエータ30xまたはY軸アクチュエータ30yの駆動部にフィードバックして、変位の直線性を得るように駆動制御するようにしている。
【0015】
本実施例の全体システムを図6を参照しながら説明する。CPUである主制御部にキーボード等の入力操作部からパラメータを入力し設定する。主制御部から設定された試料の観察領域の角部の位置情報と現在位置情報に基づき、XYステージを駆動する信号が出力され、XYステージ駆動増幅器を介してXYステージ30の駆動部へ入力される。XYステージ30が駆動され、試料の観察領域の角部の位置が探針2の下方にくるように移動される。続いて主制御部からZ軸昇降機能部へ探針2を試料面に下ろす粗動指令が出力され、Z軸昇降機能部でZ軸粗動機構9への駆動信号かZ軸ボイスコイルモータ6への信号かを識別してアクチュエータ駆動増幅器に送信する。この場合Z軸粗動機構9の駆動信号であるから該Z軸粗動機構9の駆動部に駆動信号が送信され、探針2を下降させ試料表面に接触させる。この状態で、測定のための探針走査を開始する。まず、同期信号発生器から水平同期信号と垂直同期信号を受け、走査信号発生部で鋸歯状の走査信号を作成し、アクチュエータ駆動増幅器を介してXY軸スキャナのボイスコイルモータ4,5を駆動し、1画像の微小領域をラスタ走査して試料面の形状すなわちZ方向情報を得る。試料面の凹凸に対応して探針と試料間の接触圧(原子間力)が変化するので、それに応じてカンチレバー1が変位する。この変位を変位検出器3で検出し、比較器の一入力端に送信するが、この比較器のもう一方の入力端には主制御部に設定された基準接触圧に対応した目標値が入力されている。この比較器で差分が出たときはその差分信号をPI制御部に送り、比例信号と積分信号を加味した帰還制御信号を作り、該差分信号が生じないようにZ軸駆動部すなわちZ軸のボイスコイルモータ6を駆動する。すなわち、この実施例では試料面の凹凸に追従するようにZ軸のボイスコイルモータが駆動されスピンドル7をZ軸方向に変位させるので、探針2は常に所定圧で試料と接触することになる。そしてそのZ軸方向の変位を測定出力信号として取り出す。この信号はフィルタを通すことでうねり信号やノイズを除去し、アンプを介した後A/D変換器でデジタル信号とし画像メモリに蓄積する。その際同期信号発生器からの同期信号を受け、ラスタ走査における位置情報に対応して画像メモリに書き込まれる。
【0016】
1画像の書き込みが終わったなら、主制御部は探針2を200〜300μm上昇させる指令を出し、Z軸昇降機能部とアクチュエータ駆動増幅器を介してZ軸のボイスコイルモータ6を駆動して探針2を試料面から離す。続いて主制御部は探針2に下に先の画像に隣接する1画像の微小領域が来るように駆動信号を出し、該信号はXYステージ駆動増幅器を介してXYステージ30の駆動部へ入力され、XYステージ30が駆動されて試料を指定位置に移動する。そして、主制御部は探針2を試料面に接触するように指令を出し、Z軸昇降機能部とアクチュエータ駆動増幅器を介してZ軸のボイスコイルモータ6を駆動して探針2を試料面に下ろす。この状態で、測定のための探針走査を開始し、先の画像取り込みと同じ手順で画像蓄積が行なわれる。広領域の測定画像がすべて取り込まれたならば、測定は終了する。次に複数画像の合成であるが、画像メモリに蓄積された複数の微小領域画像は主制御部の指令によりデータ処理部によってXYステージを移動させた微小領域の位置情報と対応させ画像を繋ぎ合わせる。
【0017】
本実施例で採用した複数画像の繋ぎ合わせについて図7を参照しながら説明する。図に示すように隣接する画像が互いにオーバラップするように取得し、そのオーバラップしている領域を重ね合わせて位置合わせをし、その後オーバラップした領域については一方の画像を消去して合成する。図に太線で囲った領域が設定されたXYスキャナによる走査領域であり、1画像の情報である。図2で示したような領域区分をして測定領域のすべての点の測定情報が得られていれば、それを繋ぎ合わせて完璧な合成画像が得られるはずであるが、実際にはXYステージやXY軸ボイスコイルモータの機構上の位置精度の限界等の問題があり、画像合成したときの境界に不連続が生じ易い。本実施例では画像情報が欠落したり重なったりする境界部分の画像を積極的にオーバラップさせ、繋ぎ合わせの際の位置合わせにも用いることに想到したものである。
【0018】
前述したように本実施例では、1つの画像が取り込まれた段階で主制御部から隣接領域への試料の移動をXYステージに指令するのであるが、その移動量を設定されたX方向についてはスキャナのX方向走査量XsよりΔx分少なく、Y方向についてはスキャナのX方向走査量XyよりΔy分少なく設定している。したがって、試料の移動量は1画像領域よりX方向にはΔx分少なく、Y方向にはΔy分少なくなり、その位置で取得する走査画像は図に示したように隣接画像とX方向にはΔx分だけ、Y方向にはΔy分だけオーバラップしたものとなる。このようにして取得された複数の画像は、主制御部の指令によりデータ処理部によってXYステージを移動させた微小領域と対応させ画像を繋ぎ合わせるのであるが、本実施例では更にデータ処理部でオーバラップした領域の2つの画像情報の相関を取り、相関の最も高い位置で隣接画像を繋ぐように微調整を行うようにした。共通のセンサを用い等しい測定条件で得た画像であることに加え、このように繋ぎ合わせることで合成画像の均一性連続性がもたらされる。
広領域の画像をモニタに表示させるに際しては、サンプリングして全体画像を表示することも出来るが、その場合、せっかくの高分解能の画像が生きない。そこで、本実施例では高分解能を維持した画像として局部的に表示すると共にスクロール機能で全体画像を観察することができる構成を採るようにした。
【0019】
【発明の効果】本発明の広領域走査型走査プローブ顕微鏡は、微小領域を走査させるXY軸スキャナと、試料もしくは前記XY軸スキャナを移動させるためのXYステージを具備し、前記XY軸スキャナの走査により微小領域画像を取得する手段と、前記微小領域に隣接する領域に顕微鏡中心をシフトさせるべく前記XYステージを移動制御する手段と、隣接する複数の微小領域画像を繋ぎ合わす画像合成手段とを備えたものであるから、サンプリング間隔が一定の変位量となるため、広領域の画像においても高分解能を維持することができる。また、AFMの性能として画像品質が最も良い走査範囲を1画像として設定してこれらを繋ぎ合わせることができるため、AFMの性能を最大に反映した広領域走査の画像を得ることができる。
本発明では直線性に歪みが出ない微小領域の走査範囲に抑え、XYステージの駆動と組合せて複数の微小領域画像を繋いで合成画像としたので、サンプリング間隔が一定の変位量となるため正確なデータに基づく歪みのない画像を得ることができる。また、XYステージはその変位を検出する変位センサを備えるようにした本発明の走査プローブ顕微鏡は、該変位センサの検出量を駆動機構にフィードバックする形態を採ることにより、XYステージの変位量を線形性を高めることができ、これが画像の均一性をもたらせる。
また、隣接する複数の微小領域画像を繋ぎ合わす画像合成手段は各画像の左右もしくは上下にオーバラップ領域を設定して合成する機能を備えた本発明の広領域走査型走査プローブ顕微鏡は、緻密な位置合わせが出来ると共に、隣接する画像間の不連続が解消された。
本発明は、AFMとしてはかなり広領域の観察画像を取り込むことが可能であり、表面粗さ計等で測定できる領域をもカバーできることにより、表面粗さデータを双方の測定器で取得して表面粗さ計の校正をすることができるため、工業用途として有効な使用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の基本構成を示す図である。
【図2】本発明の基本動作フローを示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の画像合成を説明する概念図である。
【図4】本発明の実施例におけるXYスキャナの詳細説明図である。
【図5】本発明の実施例におけるXYステージの駆動機構を示す図である。
【図6】本発明の実施例の全体システムを示すブロック図である。
【図7】本発明の実施例における画像合成を説明する概念図である。
【図8】従来の広領域プローブ顕微鏡を説明する図である。
【符号の説明】
1 カンチレバー                     10 筒体
2 探針                              10a 太管部
3 変位検出器                        10b 細管部
4 X軸ボイスコイルモータ           20 顕微鏡本体
41 X軸シャフト                    30 XYステージ
5 Y軸ボイスコイルモータ            30a X軸アクチュエータ
51 Y軸シャフト                     30b Y軸アクチュエータ
6 Z軸ボイスコイルモータ            31、32 レバー
7 スピンドル                        33 バネ
8 中筒                              34 ステージ変位検出器
9 Z軸粗動機構

Claims (5)

  1. 微小領域を走査させるXY軸スキャナと、試料もしくは前記XY軸スキャナを移動させるためのXYステージを具備し、前記XY軸スキャナの走査により微小領域画像を取得する手段と、前記微小領域に隣接する領域に顕微鏡中心をシフトさせるべく前記XYステージを移動制御する手段と、隣接する複数の微小領域画像を繋ぎ合わす画像合成手段とを備えた広領域走査型走査プローブ顕微鏡。
  2. XY軸スキャナの駆動機構はボイスコイルモータであることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  3. XYステージはその変位を検出する変位センサを備えるものであって、該変位センサの検出量を駆動機構にフィードバックする形態を採ることにより、変位量を線形化させたことを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  4. 隣接する複数の微小領域画像を繋ぎ合わす画像合成手段は各画像の左右もしくは上下にオーバラップ領域を設定して合成することを特徴とする請求項1に記載の広領域走査型走査プローブ顕微鏡。
  5. 隣接する領域に顕微鏡中心をシフトさせるXYステージの変位量はXY軸スキャナによる得られる1画像の寸法からオーバラップ寸法分を差し引いた量に設定し、順次XYステージの移動を繰り返す動作により画像取得することを特徴とする請求項1に記載の広領域走査型走査プローブ顕微鏡の使用方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011209076A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Sii Nanotechnology Inc 走査型プローブ顕微鏡及びその走査方法
JP2013088315A (ja) * 2011-10-19 2013-05-13 Canon Inc 計測方法
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