JPH0719089A - エンジンの安定度制御装置 - Google Patents

エンジンの安定度制御装置

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JPH0719089A
JPH0719089A JP16226093A JP16226093A JPH0719089A JP H0719089 A JPH0719089 A JP H0719089A JP 16226093 A JP16226093 A JP 16226093A JP 16226093 A JP16226093 A JP 16226093A JP H0719089 A JPH0719089 A JP H0719089A
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JP
Japan
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air
amount
engine
fuel
feedback correction
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Application number
JP16226093A
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English (en)
Inventor
Hatsuo Nagaishi
初雄 永石
Hiroshi Iwano
岩野  浩
Hiroshi Oba
大羽  拓
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 補機負荷の急変時はフィードバック補正量の
更新を禁止することにより、補機負荷の急変によって生
じる回転変動の影響を受けないようにする。 【構成】 算出手段52はエンジンの回転変動から燃焼
の安定度を算出し、この安定度の検出値が許容レベルに
収まるように更新手段53がフィードバック補正量を更
新する。このフィードバック補正量にもとづいて算出手
段54が基本制御量の補正量を算出し、この補正量で算
出手段54が基本制御量算出手段51からの基本制御量
を補正してエンジン制御因子の制御量を算出する。この
制御量で制御手段56がエンジン制御因子を制御する。
判定手段57が補機負荷の急変時であることを判定した
とき、禁止手段58が前記フィードバック補正量の更新
を禁止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はエンジンの安定度制御
装置、特にエンジン回転の変動から燃焼の安定度を算出
して、エンジン制御因子を最適に制御するものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】燃料の違いはエンジンの空燃比や点火時
期などのエンジン制御因子に影響を及ぼすため、燃料性
状(主に燃料の揮発性)や燃料性状の違いで変化する因
子を検出し、その検出結果から燃料の揮発性がよいか悪
いかを判断してその判断結果をエンジン制御因子に反映
させることで、エンジンの安定性や過渡時のエミッショ
ンを向上させるものがある。
【0003】これを説明すると、特開平2−5744号
公報では、アイドル時の回転変動幅から一般ガソリンか
重質ガソリン(一般ガソリンよりも揮発性が悪い)かを
判断し、その結果により空燃比や点火時期の制御マップ
を切換える。また、特開昭63−272935号公報で
は、過渡時の実空燃比と目標空燃比の差の大小、バック
ファイヤの発生の有無、低温始動時の完爆時間の長短か
ら一般ガソリンが重質ガソリンかを判断している。特開
昭62−282139号公報のように、光センサで検出
した燃焼光、加速時の空燃比の応答遅れの程度、加速時
の発生トルクの大小から燃料性状を判断するものもあ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の装置
では、一般ガソリンにマッチングした制御特性に対して
重質ガソリンが使用され、燃焼の不安定で使用燃料が重
質ガソリンであると判断されるまでは燃焼の不安定がエ
ンジン制御因子に反映されず、燃焼が不安定なままにお
かれるため、その間で運転性が悪くなる可能性がある。
【0005】また、エンジン制御特性と使用燃料の不一
致で、燃焼が一度でも不安定になると、それに起因して
さらに燃焼の不安定の度合いが進む現象(ヒステリシ
ス)があることから、燃料性状の検出精度がよくない。
燃焼の悪化で回転変動が生じている領域では、エンジン
バラツキ(残留ガスや点火エネルギのバラツキ、吸気温
度や湿度の差など)が大きいことも、検出精度の悪化に
つながる。つまり、燃料性状以外の要因で生じる燃焼の
悪化と、燃料の揮発性が悪くなったことによる燃焼の悪
化との区別がつかなくなるのである。かといって、重質
ガソリンの燃料性状を直接に検出するセンサや燃料性状
を間接的に検出する上記の光センサをあらたに設けると
すれば、コストアップを免れない。
【0006】そこで、エンジンの回転変動から燃焼の安
定度を算出し、この燃焼の安定度が許容レベルにおさま
るように、燃焼の安定度と強い相関をもつ暖機中の空燃
比をフィードバック補正しつつ、そのフィードバック補
正量を燃料性状信号とすることで、燃料性状を検出する
センサをあらたに設けることなく、かつ重質ガソリンの
使用時であっても暖機時の空燃比がリーン側ならず、暖
機増量の不足によるアイドルなどでの安定度の悪化を防
止できることになった。
【0007】しかしながら、この装置においては、燃焼
が安定していても、燃料性状とは別の要因、すなわち補
機負荷の切換わりなど、補機負荷の急変によって回転変
動が生じると、燃焼が不安定になったとして空燃比がリ
ッチ側に誤制御されることから、燃費が悪くなり、H
C,COの排出量が増加する。
【0008】たとえば、エアコン用コンプレッサは、こ
れに装着された電磁クラッチでクランクシャフトと断続
されるようになっており、エアコンスイッチをOFFか
らONに切換えると、エアコン用コンプレッサがエンジ
ンにより駆動され、スイッチをOFFに戻したときは、
エアコン用コンプレッサの負荷がエンジンから解放され
る。このコンプレッサ負荷の切換わりによって、その直
後にエンジン回転数が、図26に示したように一時的に
変動し、燃焼の不安定と関係なくフィードバック補正量
(後述する安定化燃空比補正係数Lldml)が破線の
ように大きい側に更新され、これによって暖機時の空燃
比がリッチ側に誤制御されてしまうのである。
【0009】そこでこの発明は、補機負荷の急変時はフ
ィードバック補正量の更新を禁止することにより、補機
負荷の急変によって生じる回転変動の影響を受けないよ
うにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図1に示
すように、エンジンの運転条件信号からエンジン制御因
子の基本制御量を算出する手段51と、エンジンの回転
変動から燃焼の安定度を算出する手段52と、この安定
度の検出値が許容レベルに収まるようにフィードバック
補正量を更新する手段53と、このフィードバック補正
量にもとづいて前記基本制御量の補正量を算出する手段
54と、この補正量で前記基本制御量を補正して前記エ
ンジン制御因子の制御量を算出する手段55と、この制
御量でエンジン制御因子を制御する手段56と、補機負
荷の急変時であるかどうかを判定する手段57と、この
判定結果より補機負荷の急変時に前記フィードバック補
正量の更新を禁止する手段58とを設けた。
【0011】第2の発明は、前記フィードバック補正量
の更新禁止が補機負荷の急変時から所定期間の後までで
ある。
【0012】
【作用】補機負荷の急変時には、燃焼の不安定と無関係
な回転変動が生じるので、この負荷急変時にも燃焼の安
定度が許容レベルに収まるようにフィードバック補正量
が更新されると、エンジン制御因子が燃焼を安定させる
側に誤って制御される。
【0013】これに対して、第1の発明で負荷急変時に
フィードバック補正量の更新が禁止されることから、補
機負荷の急変直後にフィードバック補正量が変化せず、
誤制御が避けられる。
【0014】第2の発明で補機負荷の急変時から所定期
間の後まで更新が禁止されると、燃焼を安定させる側へ
の誤制御が確実に防がれる。
【0015】
【実施例】図2において、燃料の噴射は、量が多いとき
も少ないときも吸気ポートに設けた一か所のインジェク
タ4から供給するので、量の調整はコントロールユニッ
ト21によりその噴射時間で行う。噴射時間が長くなれ
ば噴射量が多くなり、噴射時間が短くなれば噴射量が少
なくなる。混合気の濃さつまり空燃比は、一定量の吸入
空気に対する燃料噴射量が多くなればリッチ側にずれ、
燃料噴射量が少なくなればリーン側にずれる。
【0016】したがって、吸入空気量との比が一定値と
なるように燃料の基本噴射量を決定してやれば運転条件
が違っても同じ空燃比が得られる。燃料の噴射がエンジ
ンの1回転について1回行われるときは、1回転で吸い
込んだ空気量に対して基本噴射パルス幅Tpをそのとき
の吸入空気量とエンジン回転数とから求めるのである。
通常このTpにより決定される空燃比は理論空燃比付近
になっている。
【0017】ところで、一般ガソリンに対してエンジン
の制御特性を定めている場合に、重質ガソリンが使用さ
れると、重質ガソリンは燃料の揮発性が一般ガソリンよ
り悪いため、特に燃焼状態のわるい運転条件で運転性に
大きく影響する。燃焼が安定しない始動直後の暖機中
は、理論空燃比よりもリッチ側の空燃比で運転しよう
と、水温増量補正係数Ktwと始動後増量補正係数Ka
sとを用いて燃料の増量補正を行っているのであるが、
これらの増量係数が、一般ガソリンに対してマッチング
されているときは、重質ガソリンの使用で、燃料の揮発
性が悪くなった分だけ、燃焼が悪化するのである。
【0018】これに対処するため、コントロールユニッ
ト21で、エンジンの回転変動から燃焼の安定度を算出
し、この燃焼の安定度が許容レベルに収まるようにフィ
ードバック補正量(後述する安定化燃空比補正係数Ll
dml)を更新し、このフィードバック補正量にもとづ
いて空燃比補正量を求め、この補正量で暖機中の空燃比
を補正すると、燃焼の安定度と燃料の揮発性とが暖機中
に限って強い相関をもつことから、使用燃料が重質ガソ
リンのために許容レベルを外れた安定度の算出値が再び
許容レベルに収まった状態での空燃比補正量と、一般ガ
ソリンの使用時に安定度の算出値が許容レベルに収まっ
ている状態での空燃比補正量との差は、重質ガソリンと
一般ガソリンの揮発性の違いに精度良く対応する。
【0019】この場合、一般ガソリンの使用時に空燃比
補正量がゼロとなるように設定しておけば、重質ガソリ
ンの使用時は、空燃比補正量がゼロでない値をもち、こ
のゼロでない空燃比補正量が一般ガソリンの揮発性との
相違分を表す信号になる。
【0020】さらに、一般ガソリンの揮発性との違いは
温度の低下とほぼ同等であるため、上記の空燃比補正量
を温度補正量に換算することができる。たとえば、冷却
水温Twから空燃比補正量を差し引いた値をあらためて
水温補正温度Twlとし、この水温補正温度Twlで一
般ガソリンに対して設定しているテーブルを参照して水
温増量補正係数や始動後増量補正係数を求めれば、一般
ガソリンの使用時よりも多い噴射量が供給され、重質ガ
ソリンの使用時であっても一般ガソリンと同じに暖機中
の燃焼を安定させることができるのである。
【0021】しかしながら、燃焼が安定していても、補
機負荷が切換わるなど、補機負荷の急変によって回転変
動が生じると、燃焼が不安定になったとして空燃比がリ
ッチ側に誤制御されることから、燃費が悪くなり、H
C,COの排出量が増加する。
【0022】これに対処するため、コントロールユニッ
ト21では、補機負荷の急変時にフィードバック補正量
の更新を禁止する。
【0023】このため、エアコンスイッチ32やパワー
ステヤリングスイッチ34などからの信号(図25参
照)が、上記の暖機中の安定度制御に必要となるセンサ
からの信号(7はエアクリーナから吸入される空気量Q
aを検出するエアフローメータ、9はアイドルスイッ
チ、10は単位クランク角度ごとの信号とクランク角度
の基準信号とを出力するクランク角度センサ、11は水
温センサ)とともに、マイコンからなるコントロールユ
ニット21に入力されている。12はO2 センサ、13
はノックセンサ、14は車速センサである。
【0024】[1]回転変動の算出 燃焼の不安定によって回転変動が生じるため、REF間
周期(基準信号REFの間の周期)を測定し、このRE
F間周期のうち最新値と前回値の加算値にもとづいて気
筒別の回転数を算出し、この気筒別回転数の変動から燃
焼の安定度を推定する。
【0025】図4において、REF間周期Refからエ
ンジン1回転区間の周期Refrvを、 Refrv=Ref+Refn-1 …(1) ただし、Refn-1;前回のREF間周期 の式で求め(図4のステップ11)、これを Nerv=KN#/Refrv …(2) ただし、KN#;周期→回転数への変換定数 の式で気筒別回転数Nervに変換する(図4のステッ
プ13)。
【0026】なお、(1)式が導かれる理由は次の通り
である。4気筒エンジン(点火順序を#1−#3−#4
−#2とする)について各気筒の燃焼圧力と回転変動の
関係ならびに基準信号REF(180°CAごとに立ち
上がる)を図5に示す。各気筒の燃焼による回転変動は
180°CA(エンジン半回転のクランク角)ごとに点
火順序にしたがって生じるのに対し、基準信号REFが
圧縮上死点(図ではTDC)の前の所定のクランク角
(たとえば110°CA)で立ち上がると、1つの燃焼
区間とその燃焼の行われる気筒のREF間周期とが時間
的にずれている。
【0027】いま仮に#3気筒で代表させれば、#3気
筒の燃焼による回転変動(#3TDCから#4TDCま
で)は、#3REF間周期と#4REF間周期の2周期
にまたがるため、#3気筒の燃焼が寄与するクランク角
範囲は、#4REF間周期のうち110°CAの部分
(図でから#4TDCまで)と#3REF間周期のう
ち70°CAの部分(#3TDCからまで)とであ
る。この寄与割合をそれぞれk1,k2とすれば、 k1=110/180 …(1.1) k2=70/180 …(1.2) であり、#3気筒の半回転区間周期は #3気筒の半回転区間周期 =#4REF間周期×k1+#3REF間周期×k2 …(1.3) の式で表すことができる。
【0028】ここで、REF間周期は点火順に求まるた
め、(1.3)式において今回求まるREF間周期の最
新値Refを#4気筒に対応づければ、REF間周期の
前回値Refn-1が#3気筒に対応し、また#4気筒を
現気筒(現時点の気筒)として考えれば、#3気筒は前
気筒(現気筒より点火順序で1つ前の気筒)であるか
ら、(1.3)式は 前気筒の半回転区間周期=Ref×k1+Refn-1×k2 …(1.4) と書き直すことができる。
【0029】(1.4)式は#4気筒を現気筒として考
えた式であるが、#2,#1,#3気筒を現気筒として
も(1.4)式と同じ式になる。
【0030】上記の寄与割合k1,k2は、各気筒で燃焼
がTDC(圧縮上死点)から始まるとしたときのもので
あるが、実際の燃焼はTDC前から始まることを考慮す
ると、燃焼開始クランク角による補正が必要で、このと
きは上記の(1.1),(1.2)式に代えて、 k1=(110−燃焼開始クランク角)/180 …(1.5) k2=(70+燃焼開始クランク角)/180 …(1.6) の式を用いなければならない。たとえば、燃焼開始クラ
ンク角の平均値を圧縮上死点前20°CAとすれば、 k1=(110−20)/180=0.5 …(1.7) k2=(70+20)/180=0.5 …(1.8) であるから、(1.4)式は、 前気筒の半回転区間周期 =Ref×0.5+Refn-1×0.5 …(1.9) となる。
【0031】実際には着火のタイミングを知ることは困
難なため点火時期を上記の燃焼開始クランク角の相当値
として採用する。
【0032】(1.9)式の両辺を2倍にして、 前気筒の1回転区間周期=Ref+Refn-1 …(1.10) この(1.10)式が(1)式のことである。つまり、
(1)式のRefrvは前気筒の1回転区間周期を表す
ので、(1)式によりREF間周期の最新値(Ref)
と前回値(Refn-1)の加算値を(2)式により回転
数単位に変換することで、気筒別回転数を求めることが
できるのである。
【0033】なお、2つのREF間周期(REF間周期
の現在値と前回値)を測定区間として図6に示すと、同
図のように、測定区間が点火順序で隣接する2つの気筒
間で測定区間をオーバーラップさせながらずれていく。
このようにして気筒別回転数を求めると、気筒間バラツ
キによる回転変動を燃焼の不安定による回転変動である
と誤認することがない。
【0034】なお、(1.9)式によれば結果としてk
1とk2とが等しく(ともに0.5)なってしまったが、
これは、 〈イ〉直列4気筒エンジンであること 〈ロ〉REFが圧縮上死点前110°CAで立ち上がる
こと 〈ハ〉燃焼開始クランク角が圧縮上死点前20°CAで
あること の3つの条件をすべて満足するときに限るもので、これ
ら条件のうちの1つでも欠ければ、k1≠k2になる。
【0035】上記(2)式の気筒別回転数Nervから
は Dnerv=Nerv−Nervn-4 …(3) ただし、Nervn-4;4回前のNerv の式で気筒別の回転変化量Dnervを算出する(図4
のステップ15)。
【0036】(2)式の気筒別回転数Nervがたとえ
ば#1気筒(前気筒)のものであるときは、Nerv
n-1(1回前の値)は#2気筒の、Nervn-2(2回前
の値)は#4気筒の、Nervn-3(3回前の値)は#
3気筒のものであるため、#1気筒について回転変化量
を求めるには、(3)式で4回前の値(つまり1サイク
ル前の値)を用いなければならないのである。このよう
に、気筒別回転数のうちの最新値と1サイクル前の値と
の差を気筒別回転変化量Dnervとして求めること
で、気筒間のバラツキを燃焼の不安定による回転変動と
誤認しないようにするわけである。
【0037】なお、(2)式の計算の前に旧Nervの
シフトを行う(図4のステップ12)。これは1回転前
のデータを2回前のRAMに、2回転前のデータを3回
前に、3回転前のデータを4回前にと逐次移し替える操
作である。この旧Nervのシフトによって、気筒別回
転数が記憶されることから、後述するエンジン回転数N
eを、 Ne=(Nerv+Nervn-1+Nervn-2+Ner
n-3)/4 の式で全気筒のエンジン回転数の平均値として求めるこ
とができる。
【0038】旧Dnervのシフトも旧Nervのシフ
トと同様である(図4のステップ14)。
【0039】(3)式の気筒別回転変化量Dnervか
らは Llj=Dnerv−Dnervn-1 …(4) ただし、Dnervn-1;1回前のDnervの式で気
筒別回転変化量の変化量をトルク変動相当値Lljとし
て求める(図4のステップ16)。
【0040】(3)式のDnervはある気筒について
前回の燃焼時の1回転周期と今回の燃焼時の1回転周期
の間に生じた回転変化量であるから、(4)式のLlj
は燃焼に伴う疑似的なトルク変動量に相当するわけであ
る。
【0041】トルク変動相当値Lljにはバンドパスフ
ィルター処理を行い、結果をデジタルフィルター処理出
力Lljdとしてストアする(図4のステップ17,1
8)。バンドパスフィルター処理は、ソフトウエアで行
うため、連続系から離散系に変換した式を用いる。周波
数としては車両のドライバーがサージとして感じやすい
周波数(3〜7Hz)とすればよい。
【0042】[2]フィードバック補正量の更新禁止の
条件 燃焼の安定度が許容レベルに収まるように空燃比のフィ
ードバック(図ではF/Bで表示する。)補正を行う運
転条件は暖機中だけで、過渡時や始動時ではない。これ
は、燃焼の安定度と燃料の揮発性とが強い相関をもつの
は、暖機中だけだからである。一方、過渡時に使用燃料
の揮発性によって定まる補正の要求値と実際の補正量と
がずれた場合には、エミッションの悪化が問題であり、
要求値と実際の補正量との差に対応する安定度の差はあ
まり大きくない(過渡時は回転変動が大きく、もともと
安定度の検出ができないこともある)。また始動時は燃
焼前の段階であり、安定度とは無関係である。
【0043】具体的には、図7に示したように以下の
〈1〉〜〈10〉の条件のいずれかでも成立するときは
フィードバック補正の禁止フラグを“1”にして、フィ
ードバック補正を禁止する(図7のステップ33)。
【0044】〈1〉始動時水温Twsが上下限の間の所
定範囲内にないこと(図7のステップ21)。これはエ
ンジン運転が不可能な極低温領域や、燃焼が悪くなりよ
うのない高温領域などでフィードバック補正を禁止し、
よく適合された一部の水温領域だけをフィードバック補
正領域とするためである。
【0045】〈2〉現在の水温Twと始動時水温Tws
との差が所定値DTW#以上であること(図7のステッ
プ22)。Tw−Tws≧DTW#であれば始動から時
間がたって安定領域(かりに空燃比が理論空燃比から少
々ずれてリーンになっても安定して運転できる領域)で
あるとし、フィードバック補正を禁止するためである。
【0046】〈3〉運転条件がフィードバック補正領域
にないこと(図7のステップ23)。全運転領域は、図
8のように回転数Neとシリンダ空気量相当パルス幅
(エンジン負荷相当量で後述する)Avtpとでいくつ
かの領域に区分けされ、その中にフラグの値が入ってお
り、NeとAvtpから図8のマップを参照した値が
“0”であれば、フィードバック補正を禁止する。
“0”の領域は図示したように高回転域であり、高回転
域では燃焼が悪くなりようがないからである。
【0047】〈4〉ギヤ位置<所定値LLGR#である
こと(図7のステップ24)。ギア位置として高速ギア
位置になるほど大きな値を割り付けており(たとえば1
速、2速、3速、4速に対応して1,2,3,4)、ギ
ヤ位置<LLGR#でフィードバック補正を禁止する。
これは、低速ギヤ走行ではエンジンの回転変化が速く安
定度への外乱となるため、フィードバック補正を禁止で
きるようにしたものである(たとえば1速で禁止)。た
だし、アイドリングではフィードバック補正を行いたい
ので、低速ギア位置にあってもアイドリング時は補正を
行う。
【0048】〈5〉前回のギヤ位置と今回のギヤ位置が
同じでないこと(図7のステップ25)。ギヤ位置の変
更があるとフィードバック補正を禁止するのは、ギヤチ
ェンジによる回転変動によって燃焼の悪化であるとみな
されることによる誤制御を防止するためである。
【0049】〈6〉過渡時であること(図7のステップ
26,27,28)。絞り弁開度Tvo、シリンダ空気
量相当パルス幅Avtp、エンジン回転数Neの所定時
間当たりの各変化量が所定のレベル(絞り弁開度につい
てLLDTVO#、シリンダ空気量相当パルス幅につい
てLLDTP#、エンジン回転数についてLLDNE
#)を越えたら過渡であると判断し、フィードバック補
正を禁止する。
【0050】〈7〉エアコンスイッチ(図ではエアコン
Swで略記する)の切換時であること(図7のステップ
29)。
【0051】図25において、エアコンスイッチ32の
OFF状態ではリレー33が切られているために電磁ク
ラッチ用ソレノイド31に電流が流れず、コンプレッサ
が働くことはないが、エアコンスイッチ32をONにす
ると、リレー33が閉じ、ソレノイド31に電流が流れ
ることから、エンジン出力が電磁クラッチを介してコン
プレッサに伝えられ、コンプレッサが駆動される。エア
コンスイッチがOFFにされたときは、電磁クラッチが
断たれ、コンプレッサ負荷がエンジンから外される。こ
のエアコンスイッチの切換に伴うコンプレッサ負荷の切
換わりによって回転変動が生じるので、この回転変動に
より燃焼の悪化であるとみなされることによる誤制御を
防止するため、フィードバック補正を禁止する。
【0052】〈8〉パワーステヤリングスイッチ(図で
はパワステSwで略記する)の切換時であること(図7
のステップ30)。パワーステヤリングスイッチの切換
に伴うオイルポンプ負荷の切換わりによっても、燃焼の
不安定と関係のない回転変動が生じるからである。
【0053】詳細には、パワーステヤリング用のオイル
ポンプは、ハンドルを切ることで吐出圧が上昇し、駆動
トルクが上昇する。これは、エンジンと直結でいつもオ
イルポンプが回っているのであるが、ハンドルを切らな
ければオイルが循環するだけのサーボ機構をアクチュエ
ータとしてもっているからである。パワーステヤリング
スイッチ34とは、このオイルポンプの吐出圧が所定値
(たとえば数10kg/cm2)以上でONとなる圧力
スイッチのことであり、パワーステヤリングスイッチ3
4のONでポンプ負荷がクランクシャフトに加わり、パ
ワーステヤリングスイッチ34のOFFでポンプ負荷が
クランクシャフトから解放されたことがわかるわけであ
る。
【0054】なお、オイルポンプが電動のときは、モー
ター負荷が所定値以上でONとなる圧力スイッチをパワ
ーステヤリングスイッチとすればよい。
【0055】〈9〉電気負荷スイッチ(図では電気負荷
Swで略記する)の切換時であること(図7のステップ
31)。
【0056】ここでの電気負荷とは、消費電力が大きく
てON、OFFするものの組み合わせのことで、たとえ
ば図25に示したように、消費電力が大きくてON、O
FFする電気負荷の中からいくつか選定し(ヒーターフ
ァンモーター36、ライト用コイル39、リヤデフォッ
ガー用コイル42の3つ)、それぞれの補機負荷用スイ
ッチ(ヒーターファンスイッチ37、ライトスイッチ4
0、リヤデフォッガースイッチ43)からの信号をOR
回路45を介してコントロールユニット21に入力して
おり、3つのスイッチ37,40,43のいずれかのO
Nで電気負荷スイッチがONに、3つのスイッチ37,
40,43のすべてのOFFで電気負荷スイッチがOF
Fになる(つまり電気負荷スイッチは総称である)。
【0057】電気負荷スイッチのONで、モーター36
やコイル39,42に電流が流れ、エンジンに直結され
ているオルタネーターの発電量が増加すると、オルタネ
ーターの駆動トルクが急増し(オルタネーター負荷が急
変する)、これによって回転変動を引き起こすことにな
るのである。
【0058】上記のライト、リヤデフォッガーなどのO
N時の消費電力はあらかじめわかるので、消費電力の合
計が所定値を越えると推定されるスイッチONの組み合
わせのときに電気負荷スイッチがONになったとするこ
ともできる。
【0059】なお、ヒーターファンスイッチが多段であ
る場合に何段で電気負荷スイッチのONとするかは、各
段の消費電力に応じて適宜決定すればよい。ライトにつ
いても、スモールランプ、ロービームランプ、ハイビー
ムランプの各点灯状態の消費電力に応じ、いずれの点灯
でライトスイッチ37のONとするかを適宜決定するこ
とができる。
【0060】〈10〉 上記の〈3〉から〈9〉までが
すべて成立しない場合において、経過時間が所定値TM
LLC#以内であること(図7のステップ32)。条件
成立でフィードバック補正にすぐに入るのでなくTML
LC#の時間待ってフィードバック補正に入るのである
から遅延処理である。遅延処理を行うのは、安定度信号
としてのLljdがフィルター処理出力であるため、外
乱の影響を受けたとしてもすぐには出力が安定しないこ
と、またギヤチェンジなどで発生した回転変動は車両の
振動系の影響で瞬時にはなくならないことにより、安定
したフィードバック補正を行うには、遅延処理を行った
ほうがよいためである。
【0061】また、所定値TMLLC#は過渡時と補機
負荷の切換わり時や急変時とで共用しているが、約1〜
3秒程度の時間を設定すれば過渡時やアイドルにおける
補機負荷の切換わり時や急変時の回転変動区間を網羅す
ることができる。
【0062】上記の〈1〉から〈10〉までの条件がす
べて成立しない場合に初めてフィードバック補正の禁止
フラグを“0”にしてフィードバック補正に入る(図7
のステップ34)。
【0063】[3]安定化燃空比補正係数の計算 図9において、安定度信号(デジタルフィルター処理出
力Lljd)を180度ごとにサンプリングするととも
に、サンプル数をカウントする(図9のステップ4
1)。
【0064】このカウント値と比較する所定のショート
サンプル数Sとロングサンプル数L(L>S)を求める
(図9のステップ42)。SとLの値は、検出精度(多
いほどよい)と制御精度(少ないほど速い)を考慮して
決定する。たとえばエンジン回転数Neから図10を内
容とするテーブルを参照して求めている。
【0065】S個のサンプル数がでそろうと、サンプル
データの合計をSで除算した値(つまり平均値)が第1
のスライスレベルSlh以上であるかどうかみて、(サ
ンプルデータ合計/S)≧Slhであれば、燃焼の安定
度が許容レベルを越えたと判断し、フィードバック補正
量としての安定化燃空比補正係数Lldmlを Lldml=Lldmln-1+DLLH# …(5) ただし、Lldmln-1;1回前のLldml DLLH#;高速更新量 の式で更新する(図9のステップ44,45,46)。
【0066】L個のサンプル数がでそろったときも、サ
ンプルデータの合計をLで除算した値から第2のスライ
スレベルSll(Sll<Slh)を差し引き、その差
し引いた値から図11を内容とするテーブルを参照して
低速更新量Dlldmlを求め、この値を用いて、 Lldml=Lldmln-1+Dlldml …(6) ただし、Lldmln-1;1回前のLldml の式で安定化燃空比補正係数Lldmlを更新する(図
9のステップ47,48,49,50)。
【0067】(5)式の高速更新量DLLH#はプラス
の一定値であるが、低速更新量Dlldmlは、図11
に示したように、(サンプルデータ合計/L−Sll)
が正の領域で(サンプルデータ合計/L−Sll)に応
じて大きく、また(サンプルデータ合計/L−Sll)
が負の領域で|サンプルデータ合計/L−Sll|に応
じて負の値で大きくしている。
【0068】このように、S個のサンプル数がでそろっ
たときとL個のサンプル数がでそろったときとで2段階
に安定化燃空比補正係数Lldmlを更新するのは、サ
ンプルデータ数が少ない段階で大きな値のスライスレベ
ルSlhを越えたとき、とりあえず大きな更新量DLL
H#を用いて応答よくLldmlの値を増量側に変化さ
せ、サンプルデータ数が多い段階でSlhより値の小さ
なスライスレベルSllを越えたときは、その越えた量
に応じた更新量を用いてLldmlの値を精度良く変化
させるためである。
【0069】なお、安定化燃空比補正係数Lldmlに
より結果的に暖機中の空燃比が変更されるので、図11
において(サンプルデータ合計/L−Sll)が小さい
範囲でも更新量Dlldmlを与えると、空燃比の変更
によるトルク変動が生じる。これを防止するため、図1
1においては不感帯(サンプルデータ合計/L−Sl
l)の値が0を中心とする所定の範囲にあるときDll
dml=0とする領域)を設けている。
【0070】最後に、安定化燃空比補正係数Lldml
が最小値の0以下になったときは、Lldml=0に、
またLldmlが最大値LLDMMX#以上になると、
Lldml=LLDMMX#とする(図9のステップ5
1)。
【0071】[4]安定度判定用スライスレベルの計算 安定度信号が許容レベルに収まっているかどうかの判定
に用いた上記の2つのスライスレベルSlh、Sllは
一定値でなく、図12に示したように、可変値で求めて
いる。アイドル時またはギヤ位置がニュートラルでない
ときは、回転数Neとシリンダ空気量相当パルス幅Av
tpを用いて図13を内容とするマップを参照して、ま
たアイドル時またはニュートラルであれば、回転数Ne
から図14を内容とするテーブルを参照してスライスレ
ベルSllとSlhを求めるのである(図12のステッ
プ61,62、ステップ61,63)。
【0072】図13に示したように、アイドル時または
ニュートラル以外の走行中に用いるスライスレベルSl
lとSlhをエンジンの負荷に応じても割り付けたの
は、実験的に負荷の影響を受けることがわかったからで
ある。これは、エンジンマウティングのバネ定数などが
負荷で変化するためと思われる。なお、図13はSll
とSlhに共通の特性を示しており、実際にはSllと
Slhとで別々のマップを用意していることはいうまで
もない。
【0073】アイドル時またはニュートラルの運転条件
とそれ以外の走行中とで分けたのは、安定度に与える影
響が異なるからである。アイドル時またはニュートラル
ではエンジンにトランスミッションの一部の小さいマス
が結合しているだけなので、回転変動が大きく出るのに
対し、それ以外の走行中はエンジンに車両マスが結合し
ているので、燃焼が変動しても回転変動は比較的小さく
なるからである。
【0074】[5]冷却水温の補正 フィードバック補正量(安定化燃空比補正係数Lldm
l)から水温補正温度Twlを Twl=Tw−Lldml …(7) ただし、Tw;冷却水温 の式で求める(図15のステップ71)。
【0075】(7)式によれば一般ガソリンより揮発し
にくくなるほどTwlが小さくなる。これは、燃料の揮
発性の違いが温度の違いとほぼ同様であることを巧みに
利用したものである。つまり、一般ガソリンとの揮発性
の相違量に対応する燃空比補正係数Lldmlを(7)
式で温度補正量に換算しているわけである。
【0076】[6]暖機時増量暖機中の空燃比を制御す
る値には、水温増量補正係数Ktwと始動後増量補正係
数Kasとがあり、これらは周知である。たとえば、 Ktw=Ktw0*Ktwn …(8) ただし、Ktw0;補正係数の基本値 Ktwn;回転補正率 の式で水温増量補正係数Ktwを、また Kas=Kas0*Kasn*Rtime …(9) ただし、Kas0;補正係数の基本値 Kasn;回転補正率 Rtime;減衰率 の式で始動後増量補正係数Kasを計算している(図1
6のステップ94,98)。
【0077】従来と異なるのは、冷却水温Twに代えて
(7)式の水温補正温度Twlを用いる点だけである。
このため、水温補正温度Twlから図18を内容とする
テーブルを参照して各基本値Ktw0、Kas0を求め
る(図16のステップ92,95)。図18を内容とす
るテーブルは、一般ガソリンに対して用意してある従来
のテーブルの変数名をTwからTwlに単に置き換えた
だけのもので、データの値はそのままである。
【0078】(9)式の減衰率Rtimeにより初期値
(Kas0とKasnで決まる)を低温時は高温時より
もゆっくりと減少させるのであるが、この減衰率Rti
meについても、水温補正温度Twlと始動後時間とか
ら図20を内容とするテーブルを参照して求める(図1
6のステップ97)。
【0079】(8)式,(9)式の回転補正率Ktwn
とKasnとは図19を内容とするテーブルを参照して
求める(図16のステップ93,96)。
【0080】[7]目標燃空比Tfbya これは、公知の Tfbya=Kmr+Ktw+Kas …(10) ただし、Kmr;目標燃空比マップ値 の式により計算する(図16のステップ100)。
【0081】燃空比を用いるのは、燃料制御は目標空燃
比をめざして行い、空気流量の検出値から最終的に供給
燃料量を求めていることを考えると、(空気流量)×
(燃空比)=(供給燃料量)の関係が成立することか
ら、燃空比のほうが空燃比より扱いやすいためである。
【0082】(10)式の目標燃空比マップ値Kmrは
回転数Neと負荷信号とから図17を内容とするマップ
を参照して求める(図16のステップ91)。
【0083】(10)式より冷間始動直後の暖機中は、
目標燃空比マップ値Kmrが1.0(つまり理論空燃比
相当)にあり、暖機中の空燃比が暖機時増量(Kmrと
Ktw)によって理論空燃比よりもリッチ側にシフトす
るわけである。
【0084】なお、O2センサ12が十分活性化したこ
と、始動後増量がなくても運転性に問題がでない程度に
始動後時間が経過したこと、水温Twが所定値以上にな
ったことのすべてを満たしたとき、O2センサ12にも
とづく空燃比のフィードバック補正を開始する。この空
燃比フィードバック補正条件ではTfbya=1.0と
なり(図16のステップ99,101)、三元触媒6が
最大限に活用される。高負荷域になると再び空燃比フィ
ードバック補正の禁止条件(クランプ条件)となり、図
17のように目標燃空比マップ値Kmrを1.0より大
きくする(空燃比をリッチ側にシフトする)ことで出力
要求に応じている。
【0085】[8]燃料噴射パルス幅の計算 各インジェクタ4に出力する燃料噴射パルス幅Tiは Ti=(Avtp+Kathos)*Tfbya*(α+αm)+Ts …(11) ただし、Avtp;シリンダ空気量相当パルス幅 Kathos;壁流補正量 Tfbya;目標燃空比 α;空燃比フィードバック補正係数 αm;空燃比学習補正係数 Ts;無効パルス幅 の式で計算する(図15のステップ74)。
【0086】(11)式のシリンダ空気量相当パルス幅
Avtpは、 Avtp=Tp*Fload+Avtpn-1*(1−Fload) …(12) ただし、Tp;基本噴射パルス幅 Avtpn-1;前回のAvtp Fload;加重平均係数 の式により基本噴射パルス幅Tpをなました値、またT
pはエアフローメータ出力をA/D変換した後リニアラ
イズして求めた吸入空気量Qsから Tp=(Qs/Ne)*K#*Ktrm …(13) ただし、K#;基本空燃比を定める定数 Ktrm;インジェクタの流量特性より定まる定数 の式で計算した値である(図15のステップ72)。
(12)、(13)式とも公知である。
【0087】(11)式の壁流補正量Kathosは、
壁流の低周波分(比較的ゆっくりと変化する壁流分のこ
と)の修正を目的とし、運転条件ごとに平衡付着量Mf
hを記憶しておき、過渡に伴う平衡付着量の変化を総補
正量として、燃料噴射ごとに所定の割合ずつシリンダ空
気量相当パルス幅Avtpに加算(減速時は減算)する
もので、これも公知である。たとえば、加速時は噴射量
を増量しなければならないが、どんなに霧化特性のよい
インジェクタといえども、燃料の一部は吸気マニホール
ド壁に付着し、吸気管壁を伝って液状のまま流れ(この
流れが壁流)、空気に乗せられた燃料より遅い速度でシ
リンダに流れる。つまり、壁流燃料によってシリンダに
吸入される混合気が一時的に薄くなるので、この一時的
な混合気の希薄化を防止するため、加速時は壁流補正量
Kathosだけ増量するのである。この逆に、マニホ
ールド圧が急激に高負圧になる減速時は、マニホールド
壁に付着していた燃料がいっせいに気化してくるため、
混合気が一時的に濃すぎになり、CO,HCが増加す
る。そこで、減速時はこの気化する壁流分を減量してや
るわけである。
【0088】なお、減速時や高回転時などの一定の燃料
カット条件になると、(11)式のTiに代えて無効パ
ルス幅Tsをストアする(そうでなければTiを出力レ
ジスタにストアする(図15のステップ78,79、ス
テップ78,80)ことで、噴射タイミングでの噴射に
備える。
【0089】[9]始動時噴射量 冷間始動時にも重質ガソリンの使用が運転性に大きく影
響する。これは、冷間始動時に要求される燃料噴射量も
燃料の揮発性の違いで大きく異なるからである。
【0090】このため、燃料の揮発性の検出値に相当す
るフィードバック補正量(Lldml)を始動時噴射量
に反映させる。
【0091】[9−1]補正量のバッテリバックアップ O2センサを用いての空燃比フィードバック補正の開始
によって安定度のフィードバック補正が終了するが、こ
の終了時以降もフィードバック補正量(安定化燃空比補
正係数Lldml)を保持しておき、エンジンの停止後
にはその保持値をバッテリバックアップする。
【0092】[9−2]始動時噴射パルス幅の計算 基本的な計算方法は変数名が異なるだけで上記の始動後
増量補正係数Kasと同様である。ただ、時間補正率K
csだけは図24に示すように始動後増量補正係数Ka
sの場合とやや異なっている(スタートスイッチがオン
になって一定値TKCS1#の時間が経過したときまた
はスタートスイッチST/SWがオフとなったらすぐに
減少特性に入る点が異なる)。
【0093】図21において始動時噴射パルス幅Tst
は、 Tst=Tst0*Csn*Kcs …(14) ただし、Tst0;噴射パルス幅の基本値 Csn;回転補正率 Kcs;時間補正率 であるが(図21のステップ114)、噴射パルス幅の
基本値Tst0については、始動時水温補正温度Twl
(水温補正温度Twlの算出法と同じなので変数名を同
じにしている)から図22を内容とするテーブルを参照
して求める(図21のステップ111)。このテーブル
も、従来のテーブルのパラメータをTwからTwlに単
に変更しただけのもので、データは従来のままである。
【0094】始動かどうかをみて始動であれば(14)
式で始動時噴射パルス幅Tstを求めてそれをTiとす
る(図15のステップ75,76)。
【0095】このように、前回の運転時に使用した燃料
に対して得られたフィードバック補正量(Lldml)
がエンジンの停止後もバッテリバックアップにより保持
され、この保持されたフィードバック補正量にもとづい
て始動時噴射量が計算されると、今回も続けて同じ燃料
が使用されるかぎり、冷間始動時でもその使用燃料に対
する最適な噴射量が供給される。たとえば、前回の運転
時に使用したのが重質ガソリンであれば、今回も続けて
重質ガソリンが使用されるときは、一般ガソリンに対す
るよりも多い燃料が供給されるわけで、これにより重質
ガソリンの使用時にも冷間始動時の運転性が向上するの
である。
【0096】また、始動時噴射量は、従来のテーブルや
マップ(図22に示した特性のテーブルは変数名を単に
入れ替えただけのもの)をそのまま用いて計算すること
ができるので、テーブルやマップ作成の工数が大幅に増
加することはない。
【0097】ここで、この例の作用を図26を参照しな
がら説明すると、同図はエアコンスイッチの切換時のも
のである。
【0098】エアコンスイッチの切換時には、燃焼の不
安定と無関係な回転変動が生じるので、この切換時にも
安定度信号(デジタルフィルター処理出力Lljd)が
許容レベルに収まるように、安定化燃空比補正係数Ll
dmlが更新されると、安定化燃空比補正係数Lldm
lが、破線のように大きくなり、空燃比がリッチ側に誤
って制御される(燃費の悪化とCO,HCの増加を招
く)。
【0099】これに対して、この例ではエアコンスイッ
チの切換時になると、安定化燃空比補正係数Lldml
の更新が禁止されることから、実線で示したように、エ
アコンスイッチの切換直後に安定化燃空比補正係数Ll
dmlが変化しないため、空燃比をリッチ側に誤って制
御してしまうことがない。エアコンスイッチの切換に伴
う回転変動が生じることがあっても、燃費の悪化とC
O,HCの増加を防ぐことができるのである。
【0100】また、エアコンスイッチの切換時から所定
期間(矢印の区間参照)にわたって、更新が禁止される
と、空燃比のリッチ側への誤制御を確実に防ぐことがで
きる。エアコンスイッチの切換に伴う回転変動はスイッ
チ切換直後からしばらく継続するので、この期間に合わ
せて所定期間を設定しているわけである。
【0101】同様にして、補機負荷が急変するパワース
テヤリングスイッチや電気負荷スイッチの切換時に安定
化燃空比補正係数の更新が禁止されることでも、空燃比
をリッチ側へと誤制御することがなく、燃費の悪化とC
O,HCの増加を防ぐことができる。
【0102】実施例では安定化燃空比補正係数の更新を
禁止するものを示したが、更新量を極度に小さくするこ
とでも、同一の効果が得られることはいうまでもない。
【0103】上記の安定度制御は、リーンバーンエンジ
ンにおいて、リーン空燃比域でも行うことができる。リ
ーン空燃比域で安定度信号が許容レベルに収まるように
フィードバック補正量を更新し、このフィードバック補
正量にもとづいて求めた空燃比補正量でリーン空燃比域
での目標空燃比のマップ値を補正するのである。
【0104】この場合にも、補機負荷の急変時にフィー
ドバック補正量の更新を禁止することで、空燃比のリッ
チ方向への誤制御による一時的なNOxの増加やトルク
上昇(その後低下)による運転性の悪化を防止すること
ができる。
【0105】
【発明の効果】第1の発明によれば、エンジンの運転条
件信号からエンジン制御因子の基本制御量を算出する手
段と、エンジンの回転変動から燃焼の安定度を算出する
手段と、この安定度の検出値が許容レベルに収まるよう
にフィードバック補正量を更新する手段と、このフィー
ドバック補正量にもとづいて前記基本制御量の補正量を
算出する手段と、この補正量で前記基本制御量を補正し
て前記エンジン制御因子の制御量を算出する手段と、こ
の制御量でエンジン制御因子を制御する手段と、補機負
荷の急変時であるかどうかを判定する手段と、この判定
結果より補機負荷の急変時に前記フィードバック補正量
の更新を禁止する手段とを設けたため、補機負荷の急変
によって回転変動が生じることがあっても、誤制御する
ことがない。
【0106】第2の発明は、前記フィードバック補正量
の更新禁止が補機負荷の急変時から所定期間の後までで
あるため、誤制御を確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明のクレーム対応図である。
【図2】一実施例の制御システム図である。
【図3】180度ジョブの流れ図である。
【図4】変動の算出を説明するための流れ図である。
【図5】4気筒エンジンの場合の燃焼圧力、回転数、基
準信号の関係を示す波形図である。
【図6】測定区間を説明するための波形図である。
【図7】安定度フィードバック補正条件の判断を説明す
るための流れ図である。
【図8】安定度フィードバック補正を行う領域を示す図
である。
【図9】安定化燃空比補正係数Lldmlの算出を説明
するための流れ図である。
【図10】所定のサンプル数S,Lのテーブル内容を示
す特性図である。
【図11】安定化燃空比補正係数Lldmlの更新量D
lldmlのテーブル内容を示す特性図である。
【図12】バックグラウンドジョブの流れ図である。
【図13】2つのスライスレベルSll、Slhのマッ
プ内容を示す特性図である。
【図14】2つのスライスレベルSll、Slhのテー
ブル内容を示す特性図である。
【図15】10msecジョブの流れ図である。
【図16】目標燃空比Tbyaの計算を説明するための
流れ図である。
【図17】目標燃空比マップ値Kmrのマップ内容を示
す特性図である。
【図18】補正係数の基本値Ktw0、Kas0のテー
ブル内容を示す特性図である。
【図19】回転補正率Ktwn、Kasnのテーブル内
容を示す特性図である。
【図20】減衰率Rtimeのテーブル内容を示す特性
図である。
【図21】始動時噴射パルス幅Tstの計算を説明する
ための流れ図である。
【図22】噴射パルス幅の基本値Tst0のテーブル内
容を示す特性図である。
【図23】回転補正率Csnのテーブル内容を示す特性
図である。
【図24】時間補正率Kcsのテーブル内容を示す特性
図である。
【図25】補機負荷の電気回路図である。
【図26】エアコンスイッチの切換時の作用を説明する
ための波形図である。
【符号の説明】
4 インジェクタ(燃料供給装置) 7 エアフローメータ 9 アイドルスイッチ 10 クランク角度センサ 11 水温センサ 21 コントロールユニット 32 エアコンスイッチ 34 パワーステヤリングスイッチ 37 ヒーターファンスイッチ 40 ライトスイッチ 43 リヤデフォッガースイッチ 51 基本制御量算出手段 52 燃焼安定度算出手段 53 フィードバック補正量更新手段 54 補正量算出手段 55 制御量算出手段 56 制御因子制御手段 57 補機負荷急変時判定手段 58 更新禁止手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンの運転条件信号からエンジン制御
    因子の基本制御量を算出する手段と、 エンジンの回転変動から燃焼の安定度を算出する手段
    と、 この安定度の検出値が許容レベルに収まるようにフィー
    ドバック補正量を更新する手段と、 このフィードバック補正量にもとづいて前記基本制御量
    の補正量を算出する手段と、 この補正量で前記基本制御量を補正して前記エンジン制
    御因子の制御量を算出する手段と、 この制御量でエンジン制御因子を制御する手段と、 補機負荷の急変時であるかどうかを判定する手段と、 この判定結果より補機負荷の急変時に前記フィードバッ
    ク補正量の更新を禁止する手段とを設けたことを特徴と
    するエンジンの安定度制御装置。
  2. 【請求項2】 前記フィードバック補正量の更新禁止が
    補機負荷の急変時から所定期間の後までであることを特
    徴とする請求項1に記載のエンジンの安定度制御装置。
JP16226093A 1993-06-30 1993-06-30 エンジンの安定度制御装置 Pending JPH0719089A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009036023A (ja) * 2007-07-31 2009-02-19 Denso Corp 内燃機関の異種燃料混入判定装置
JP2011025722A (ja) * 2009-07-21 2011-02-10 Torabaasu:Kk 車搭載型の発電装置及びこの発電装置を備えた工事用車両
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