JPH07186565A - 感熱孔版印刷用原紙およびその製造方法 - Google Patents

感熱孔版印刷用原紙およびその製造方法

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JPH07186565A
JPH07186565A JP25697594A JP25697594A JPH07186565A JP H07186565 A JPH07186565 A JP H07186565A JP 25697594 A JP25697594 A JP 25697594A JP 25697594 A JP25697594 A JP 25697594A JP H07186565 A JPH07186565 A JP H07186565A
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base paper
heat
film
fibers
porous support
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JP25697594A
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Yukio Kawazu
幸雄 河津
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Katsuya Toyoda
勝也 豊田
Katsutoshi Ando
勝敏 安藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ポリエステルフィルムの片面にポリエステル繊
維からなる多孔性支持体が積層されてなる感熱孔版印刷
用原紙であって、該多孔性支持体は繊維同士が融着した
融着点を有する網状体を形成しており、かつ該網状体中
の融着点のうちの一部の融着点において、繊維間にまた
がる薄い膜が形成されてなることを特徴とする感熱孔版
印刷用原紙およびその製造方法。 【効果】本発明の原紙を用いた孔版印刷で得られる印刷
物は高画像性を有し、印刷鮮明性に優れ、裏写りするこ
とがない。また、搬送性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲンランプ、キセ
ノンランプ、フラッシュバルブなどによる閃光照射や赤
外線照射、レーザー光線等のパルス的照射、あるいはサ
ーマルヘッド等によって穿孔製版される感熱孔版印刷用
原紙およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より感熱孔版印刷用原紙(以下、単
に原紙という)としては、アクリロニトリル系フィル
ム、ポリエステル系フィルム、塩化ビニリデン系フィル
ム等の熱可塑性樹脂フィルムに、天然繊維、化学繊維ま
たは合成繊維あるいはこれらを混抄した薄葉紙、不織
布、紗等によって構成された多孔性支持体を接着剤で貼
り合わせた構造のものが知られている(例えば、特開昭
51−2512号公報、特開昭51−2513号公報、
特開昭57−182495号公報など)。
【0003】しかしながら、これら従来の原紙は次のよ
うな欠点を有していた。すなわち、 (1)フィルムと多孔性支持体とを接着剤を用いて貼り
合わせているため、接着剤によってインキの透過が阻害
され、画像鮮明性が劣る。
【0004】(2)使用される接着剤自体についても、
例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂接着剤は印
刷インキによって軟化、膨潤、溶解しやすいため、耐イ
ンキ性に劣り、熱硬化性接着剤を使用する場合には、未
硬化物が残存しやすいために製版時にサーマルヘッドに
融着を生じ易く、また、塩素系接着剤を使用する場合に
はサーマルヘッドの加熱によって有毒な塩素を放出す
る。
【0005】(3)さらに、接着剤を使用する場合に
は、原紙の製造工程において接着工程が必要であり、ま
た、接着剤塗布時に溶剤を使用するため、溶剤回収設備
が必要であり、プロセス的にコスト高となる。
【0006】(4)また、接着工程においてフィルムの
破れやシワなどのトラブルが発生し易く、収率が低い。
【0007】(5)接着剤や溶剤を使用するため、作業
環境が悪化する。また、地球環境保護の面からも好まし
くない。
【0008】これらの欠点を改良するため、使用する接
着剤の量をできるだけ少なくする提案がなされてきた
(例えば、特開昭58−147396号公報、特開平4
−232790号公報など)が、上記の欠点を完全に解
消するには至っていないのが現状である。
【0009】また、接着剤を用いない方法として、特開
平4−212891号公報においては、熱可塑性樹脂フ
ィルムの片面に合成繊維が散布され熱圧着されてなる繊
維層が形成されていることを特徴とする感熱性孔版原紙
が提案されている。しかしながら、この方法は、長さ5
0mm以下の合成繊維を風力または静電気によって散布
する方法であるため、繊維の分散が不均一となり、した
がってインキの透過性にムラが生じ、画像鮮明性が不十
分となる。また、この方法では樹脂フィルムと繊維層の
接着性が必ずしも十分ではないため、フィルム搬送時に
シワや破れが発生し易いという問題がある。接着性を完
全にするため、繊維層にバインダー繊維を混入したり、
フィルム面に粘着剤を微量塗布することが提案されてい
るが、バインダー繊維や粘着剤を使用するとインキの透
過性が阻害され、結果的に画像鮮明性が低下していまう
という欠点があった。このような欠点を解消するため、
現在、接着剤や粘着剤、あるいはバインダー等をまった
く使用しない感熱孔版用原紙が望まれている。
【0010】また、画像鮮明性を向上させるには、フィ
ルムの穿孔部のインキ透過性を阻害させないように、穿
孔部に支持体を構成する繊維を存在させないのが望まし
く、そのため、支持体の繊維量をできるだけ少なくした
り、繊維をできるだけ細くすることが提案されている
(例えば、特開昭59−16793号公報)。しかしな
がら、繊維量を少なくしたり、繊維を細くすると、支持
体の強度が低下して原紙の搬送性が悪くなったり、ま
た、繊維を均一に分散することが難しいので、支持体の
目付や厚さが不均一となり、インキの透過性にムラが生
じて、画像鮮明性が劣るだけでなく、印刷物を重ねた時
に裏写りしやすいという欠点があった。
【0011】さらにまた、特開平2−107488号公
報では画像鮮明性と耐刷性を向上させる目的で、熱可塑
性フィルムと連続したフィラメントからなる合成繊維を
主体とする不織布とを有する感熱孔版用原紙が提案され
ているが、インキの保持性と透過性のバランスの点で、
いまだ不十分であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の各種問題点を解決し、高画像性を有し、印刷鮮明
性に優れ、かつ裏写りのない、搬送性に優れた感熱孔版
印刷用原紙を提供することを目的とする。
【0013】また、本発明は、上記感熱孔版印刷用原紙
の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな問題点を解決すべく鋭意研究した結果、未延伸ポリ
エステルフィルムと未延伸ポリエステル繊維からなる多
孔性支持体とを熱圧着して2軸共延伸することにより、
感熱孔版用原紙を一挙に製造できることを見いだし、本
発明に到達したものである。
【0015】すなわち、本発明は、ポリエステルフィル
ムの片面にポリエステル繊維からなる多孔性支持体が積
層されてなる感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性支
持体が、繊維同士が融着した融着点を有する網状体を形
成しており、かつ該網状体中の融着点のうちの一部の融
着点において、繊維間にまたがり、かつその厚さが平均
繊維径よりも小さい膜が形成されてなることを特徴とす
る感熱孔版印刷用原紙およびその製造方法に関する。
【0016】本発明におけるポリエステルフィルムおよ
びポリエステル繊維に用いられるポリエステルとはいず
れも、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸または
脂環族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする
ポリエステルである。ここで、芳香族ジカルボン酸とし
ては例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホン
ジカルボン酸等を挙げることができ、中でも好ましくは
テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸成
分としては例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン
酸、ドデカンジオン酸等を挙げることができ、中でも好
ましくはアジピン酸を挙げることができる。また、脂環
族ジカルボン酸としては例えば、1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸等を挙げることができる。これらの酸成
分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、
さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共
重合してもよい。また、ジオール成分としては例えば、
エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,
3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,
3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキ
サンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリアルキレングリコール、2,2′ビス(4′−β−
ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げること
ができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いら
れる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、
2種以上併用してもよい。
【0017】本発明のポリエステルフィルムに用いられ
るポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフ
タレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタ
レートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートと
シクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体
等を挙げることができる。穿孔感度を向上するために特
に好ましくは、エチレンテレフタレートとエチレンイソ
フタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレー
トとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重
合体等を挙げることができる。
【0018】また、本発明のポリエステル繊維に用いら
れるポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘ
キサンジメチレンテレフタレート、エチレンテレフタレ
ートとエチレンイソフタレートとの共重合体等を挙げる
ことができる。穿孔時の熱寸法安定性の点から特に好ま
しくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート等を挙げることができる。
【0019】本発明におけるポリエステルは従来公知の
方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオー
ル成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成
物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ
重縮合させることによって製造する方法や、酸成分とし
てジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とで
エステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させる
ことによって製造する方法等がある。この際、必要に応
じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカ
リ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、
ゲルマニウム、チタン化合物等を用いることもできる。
【0020】本発明におけるポリエステルには必要に応
じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等
の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合
することができる。
【0021】さらには用途に応じて易滑性を付与するこ
ともできる。易滑性付与方法としては特に制限はない
が、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシ
ウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなど
の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とす
る有機粒子等を配合する方法、ポリエステル重合反応時
に添加する触媒等を析出する、いわゆる内部粒子による
方法、界面活性剤を塗布する方法等がある。
【0022】本発明におけるポリエステル繊維からなる
多孔性支持体は、上記ポリエステルを用いて、従来公知
のメルトブロー法やスパンボンド法などの直接溶融紡糸
法によって製造することができる。用いられるポリエス
テルの固有粘度は、通常好ましくは0.4以上、さらに
好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上であ
る。
【0023】メルトブロー紡糸法では、溶融したポリエ
ステルポリマーを口金から吐出するに際して、口金周辺
部から熱風を吹き付け、該熱風によって吐出したポリマ
ーを細繊度化せしめ、ついで、しかるべき位置に配置し
たネットコンベア上に吹き付けて捕集し、ウエブを形成
して製造される。該ウエブはネットコンベアに設けた吸
引装置によって熱風と一緒に吸引されるので、繊維が完
全に固化する前に捕集される。つまりウエブの繊維同士
は互いに融着した状態で捕集される。口金とネットコン
ベア間の捕集距離を適宜設定することによって、繊維の
融着度合を調整することができる。また、ポリマー吐出
量、熱風温度、熱風流量、コンベア移動速度等を適宜調
整することにより、ウエブの目付や単糸繊度を任意に設
定することができる。メルトブロー紡糸された繊維は、
熱風の圧力で細繊度化され、無配向または低配向の状態
で固化される。繊維の太さは均一ではなく、太い繊維と
細い繊維がほどよく分散した状態でウエブを形成する。
また、口金から吐出されたポリマーは、溶融状態から室
温雰囲気下に急冷されるため、非晶質に近い、低結晶の
状態で固化する。
【0024】同様にスパンボンド法では、口金から吐出
したポリマーをエアエジェクターによって牽引し、得ら
れたフィラメントを衝突板に衝突させて繊維を開繊し、
コンベア状に捕集してウエブを形成して製造される。ポ
リマー吐出量、コンベア速度を適宜設定することによ
り、ウエブの目付を任意に設定できる。また、エジェク
ターの圧力と流量を適宜調整することにより、フィラメ
ントの分子配向状態を任意に調整できる。圧力と流量を
絞って紡糸速度を遅くすることにより、分子配向度の低
い繊維ウエブを得ることができる。また、吐出したポリ
マーの冷却速度を調整することにより、結晶性の低い繊
維ウエブを得ることができる。スパンボンド法で製造す
る場合、本発明に用いる未延伸ポリエステル繊維は、紡
糸速度は2400m/分以下で紡糸するのが好ましく、
さらに好ましくは2000m/分以下、より好ましくは
1800m/分以下である。紡糸速度が2400m/分
以下であれば、フィルムとの共延伸を良好に行うことが
できる。
【0025】本発明に用いる未延伸ポリエステル繊維の
結晶化度は、通常好ましくは20%以下、さらに好まし
くは15%以下、より好ましくは10%以下である。結
晶化度が20%以下であると、繊維同士の融着が良好で
あり、延伸時に良好な網状体が形成されやすい。また、
フィルムとの融着も良好である。
【0026】本発明に用いる未延伸ポリエステル繊維
は、未延伸であるのが最も好ましいが、延伸されている
としても低倍で、配向度は低いものが好ましい。通常、
複屈折(Δn)は0.03以下が好ましく、さらに好ま
しくは0.02以下、より好ましくは0.01以下であ
る。複屈折が0.03以下であると、フィルムとの共延
伸を良好に行うことができる。
【0027】本発明に用いる未延伸ポリエステルフィル
ムは、同様に上記ポリエステルを用いて、従来公知の方
法によって製造することができる。例えば、Tダイ押し
出し法によってポリマーをキャストドラム上に押し出す
ことによって未延伸フィルムを製造できる。口金のスリ
ット幅、ポリマーの吐出量、キャストドラムの回転数を
調整することによって、所望の厚さの未延伸フィルムを
作ることができる。ポリエステルフィルムに用いられる
ポリエステルの固有粘度は、通常0.5以上が好まし
く、さらに好ましくは0.6以上、より好ましくは0.
7以上である。固有粘度が0.5以上であると製膜安定
性が高く、特に薄物のキャストを容易に行うことができ
る。
【0028】本発明におけるポリエステルフィルムとポ
リエステル繊維からなる多孔性支持体とは、従来公知の
接着剤を用いて接着してもよいが、より好ましくは接着
剤を用いることなく互いに融着してなる。融着するに
は、通常、ポリエステルフィルムと多孔性支持体とを加
熱しつつ直接貼り合わせる熱圧着により行われる。熱圧
着の方法は特に限定されるものではないが、加熱ロール
による熱圧着がプロセス性の点から特に好ましい。本発
明における熱圧着はポリエステルフィルムを製膜した後
に、縦延伸工程の前段階あるいはフィルムを縦延伸後、
横延伸工程の前段階で行ってもよい。熱圧着温度は通
常、ポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg)と
融点(Tm)との間であるのが好ましく、より好ましく
はTgと冷結晶化温度(Tcc)との間であり、特に好
ましくはTg+10℃〜Tg+50℃の範囲である。
【0029】本発明においては、前記未延伸ポリエステ
ルフィルムと未延伸多孔性支持体とを熱圧着した状態で
共延伸することが特に好ましい。熱圧着した状態で共延
伸することにより、フィルムと支持体とが一体で剥離す
ることなく好適に延伸することができる。この時、支持
体の繊維はその交絡点や接点において互いに融着して、
融着点を有する網状体が形成される。さらに、これら融
着点のうち、一部の融着点において、繊維間にまたがる
薄い膜が形成されるのである。すなわち、本発明の多孔
性支持体を上記のごとく形成することによって、支持体
強度が安定するとともに、均一な開孔形態を保持した多
孔体を形成することができるので、印刷インキの透過性
と保持性のバランスされた原紙とすることができるもの
である。さらに、両者を一体で共延伸することにより、
ポリエステル繊維が補強体の役目をするので、フィルム
が破れたりすることがなく、極めて製膜安定性に優れ
る。
【0030】共延伸の方法は特に限定されるものではな
く、一軸延伸、二軸延伸いずれの方法でもよいが、フィ
ルムの配向性および支持体繊維の均一分散性の点で二軸
延伸がより好ましい。二軸延伸は逐次二軸延伸法または
同時二軸延伸法のいずれの方法であってもよい。逐次二
軸延伸法の場合、縦方向、横方向の順に延伸するのが一
般的であるが、逆に延伸してもよい。延伸温度はポリエ
ステルフィルムのガラス転移温度(Tg)と冷結晶化温
度(Tcc)との間であるのが好ましい。延伸倍率は特
に限定されるものではなく、用いるポリエステルフィル
ム用ポリマーの種類や原紙に要求される感度等によって
適宜決定されるが、通常好ましくは縦、横それぞれ2〜
8倍、さらに好ましくは3〜8倍が適当である。また、
二軸延伸後、縦または横、あるいは縦横に再延伸しても
かまわない。
【0031】さらにその後、二軸延伸後の本発明原紙を
熱処理してもよい。熱処理温度は特に限定されるもので
はなく、用いるポリエステルフィルム用ポリマーの種類
によって適宜決定されるが、通常は100〜240℃、
時間は0.5〜60秒程度が適当である。
【0032】熱処理して得られた原紙を一旦室温程度ま
で冷却した後、さらに40〜90℃の比較的低温で、5
分から1週間程度エージングすることもできる。このよ
うなエージングを採用すると、原紙の保管時あるいは印
刷機の中でのカール、シワの発生が少なく特に好まし
い。
【0033】本発明の原紙を構成する多孔性支持体は、
繊維同士がその交絡点や接点において互いに融着した融
着点を有する網状体を形成してなる。特徴的には、網状
体中の融着点のうちの一部の融着点において、2本以上
の繊維間にまたがる薄い膜を形成してなる。つまり、支
持体の繊維同士が、薄い膜を形成してなる融着点を持つ
た網状体とすることにより、支持体の強度が安定すると
ともに、均一な開孔形態を形成することができるので、
搬送性に優れ、かつ印刷インキの保持性と透過性のバラ
ンスのとれた原紙とすることができるものである。
【0034】本発明でいう融着点の薄い膜とは、いわゆ
る「あひるの足の水掻き」状、あるいは「蛙の足の水掻
き」状、または「ひだ」状のものを言い、通常2本以上
の繊維間にまたがって形成され、その厚さは繊維の平均
径より薄いものである。また、該薄い膜の大きさは、特
に限定されないが、通常、面積で1μm2 以上が好まし
く、さらに好ましくは5μm2 以上である。
【0035】本発明では、融着点のすべてにおいてこの
ような「あひるの足の水掻き」状あるいは「蛙の足の水
掻き」状または「ひだ」状の薄い膜が形成される必要は
なく、支持体の平均的な面において、前記のような薄い
膜を形成してなる融着点が、通常好ましくは1mm2
たり1個以上、さらに好ましくは5個以上、より好まし
くは10個以上形成されてなる。薄い膜を形成してなる
融着点が1個未満の場合、支持体としての強度が不安定
となるだけでなく、支持体の開孔形状が不均一になり、
インキの保持性が低下して、印刷画像の鮮明性が低下す
るだけでなく、印刷物を重ねた時に裏写りが生じやすく
なる。また、搬送性が低下する。
【0036】本発明の原紙の支持体面を直接、光学顕微
鏡の明視野透過法で観察して求めた開孔部の面積分率は
通常5〜80%が好ましく、さらに好ましくは10〜5
0%、より好ましくは10〜30%である。開孔部の面
積分率が5%以上であればインキの透過性が高く、80
%を以下であればインキの保持性が良好である。また、
光学顕微鏡の明視野透過法で観察される開孔部を円とみ
なした場合、その等価円直径の平均値は好ましくは5〜
100μm、さらに好ましくは10〜60μm、より好
ましくは10〜30μmである。平均直径が5μm以上
であればインキの透過性が高く、100μm以下であれ
ばインキの保持性が良好である。
【0037】本発明の原紙を構成する多孔性支持体の繊
維目付量は、通常2〜20g/m2が好ましく、さらに
好ましくは2〜16g/m2 、より好ましくは2〜14
g/m2 である。目付量が20g/m2 以下であれば、
インキの透過性が高く、画像鮮明性が良好である。また
目付量が2g/m2 以上であればインキの保持性が良好
であり、また支持体として十分な強度を得られる。
【0038】本発明の多孔性支持体を構成するポリエス
テル繊維の繊度は通常0.01〜10デニールが好まし
く、さらに好ましくは0.1〜10デニール、より好ま
しくは0.1〜2デニールである。繊度が10デニール
以下であれば、支持体の厚みと目付量が均一になりやす
く、インキの透過が均一になる。また、繊度が0.01
デニール以上であれば支持体として十分な強度が得られ
る。なお、本発明でいうポリエステル繊維の繊度とは支
持体の平均繊度である。
【0039】本発明の多孔性支持体を構成する繊維は全
て同一繊度であってもよいし、異なる繊度の繊維が混繊
されたものであってもよい。また、繊度の異なる繊維を
段階的に積層した多層構造としてもよい。多層構造の場
合、少なくともフィルムに面した層を1デニール以下の
繊維で構成し、残りの層を1デニール以上の繊維で構成
すると画像鮮明性と支持体強度とのバランスの点でより
好適である。多層構造の場合、フィルムに面した層の繊
維目付量は1〜5g/m2 とするのがより好ましい。
【0040】本発明の多孔性支持体を構成する繊維は延
伸配向されているのが特に好ましい。該繊維の複屈折
(Δn)は通常0.1以上が好ましく、さらに好ましく
は0.12以上、より好ましくは0.14以上である。
複屈折が0.1以上であると、繊維強度が高く、十分な
支持体強度が得られる。
【0041】本発明の多孔性支持体を構成する繊維の結
晶化度は、通常好ましくは20%以上であり、さらに好
ましくは30%以上、より好ましくは35%以上であ
る。結晶化度が20%以上であると、支持体として十分
な耐熱性が得られる。
【0042】本発明の原紙を構成するポリエステルフィ
ルムは二軸延伸フィルムであるのが特に好ましい。フィ
ルムの厚さは、原紙に要求される感度等によって適宜決
定されるが、通常0.1〜10μmが好ましく、さらに
好ましくは0.1〜5.0μm、より好ましくは0.1
〜3.0μmである。厚さが10μm以下であれば穿孔
性が低下することがなく、0.1μm以上であれば製膜
安定性が良好である。
【0043】本発明の原紙を構成するポリエステルフィ
ルムは、結晶融解エネルギー(ΔHu)が3〜11ca
l/gであるのが好ましく、さらに好ましくは5〜10
cal/gである。ΔHuが3cal/g以上であると
フィルムの穿孔形状が安定し、鮮明な文字印刷を容易に
行うことができる。また、ΔHuが11cal/g以下
であるとフィルムに未穿孔を生じることがなく、印刷文
字が欠落したり、ベタ印刷での濃淡の表現性の悪いもの
となることもない。
【0044】本発明の原紙を構成するポリエステルフィ
ルムの融点(Tm1 )と多孔性支持体を形成するポリエ
ステル繊維の融点(Tm2 )とは、好ましくはTm1
Tm2 であり、さらに好ましくはその温度差が5℃以
上、より好ましくは20℃以上である。Tm1 ≦Tm2
であると、フィルムの穿孔性が良好であり、支持体の耐
熱性も十分である。
【0045】本発明の原紙を構成するポリエステルフィ
ルムと多孔性支持体間の剥離強度は好ましくは1g/c
m以上、さらに好ましくは5g/cm以上、より好まし
くは10g/cm以上である。剥離強度が1g/cm以
上であると、フィルム搬送時にシワや破れが生じにく
く、製膜安定性に優れる。
【0046】本発明においては、サーマルヘッド等との
融着防止のため、ポリエステルフィルムとポリエステル
繊維からなる多孔性支持体とを熱圧着した後、二軸共延
伸の前または後、あるいはその途中の工程において、ポ
リエステルフィルムのもう一方の面に、離型剤を塗布す
ることができる。
【0047】本発明の原紙に用いる離型剤としては、シ
リコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、界
面活性剤等からなる従来公知のものを用いることができ
るが、以下に示す離型剤が特に好ましい。
【0048】すなわち、水に溶解、乳化または懸濁する
石油系ワックス(A)、植物性ワックス(B)およびオ
イル状物質(C)の混合物を主成分とする離型剤が特に
好適である。ここで、主成分とは上記(A)、(B)お
よび(C)の混合物の占める重量比率が50%以上が好
ましく、さらに好ましくは60%以上であることを言
う。
【0049】石油系ワックスとしてはパラフィンワック
ス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス等を
挙げることができる。中でも酸化ワックスの使用が特に
好ましい。
【0050】また、植物性ワックスとしてはキャンデラ
ワックス、カルナウパワックス、木ロウ、オリキューリ
ーワックス、さとうきびロウ等が挙げられるが、本発明
においては特に下記化合物からなる組成物が好ましい。
【0051】すなわち、{ロジンまたは不均化ロジン、
または水添ロジン・α、β置換エチレン(α置換基:カ
ルボキシル、β置換基:水素、メチルまたはカルボキシ
ル)添加物}・アルキルまたはアルケニル(各炭素数1
〜8)ポリ(繰り返し単位:1〜6)アルコールのエス
テル添加物を用いるのが特に好ましい。
【0052】石油系ワックスと植物性ワックスとの混合
比率は10/90〜90/10重量%が好ましく、さら
に好ましくは20/80〜80/20重量%、より好ま
しくは30/70〜70/30重量%とするのが望まし
い。植物性ワックスを10重量%以上とするのは、水に
乳化あるいは懸濁させる場合の均一分散性が良好で、均
一な塗布膜を得るのに好適であることによる。また、石
油系ワックスを10重量%以上とすると塗布膜の易滑性
が良好で、高速穿孔時の走行性がよい。
【0053】また、本発明においては上記石油系ワック
ス(A)と植物性ワックス(B)にさらにオイル状物質
を加えた混合物を用いるが、ここでオイル状物質とは常
温で液体あるいはペースト状のオイルであり、植物油、
油脂、鉱物油、合成潤滑油等を挙げることができる。植
物油としてはアマニ油、カヤ油、サフラー油、大豆油、
シナギリ油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、糠
油、綿実油、オリーブ油、サザンカ油、椿油、ヒマシ
油、落花生油、バーム油、椰子油等が挙げられる。油脂
としては、牛脂、豚油、羊油、カカオ油等、鉱物油とし
てはマシン油、絶縁油、タービン油、モーター油、ギヤ
油、切削油、流動パラフィン等を挙げることができる。
合成潤滑油としては、化学大事典(共立出版社)に記載
の要件を満たすものを任意に使用することができ、例え
ばオレフィン重合油、ジエステル油、ポリアルキレング
リコール油、シリコーン油等を挙げることができる。こ
れらの中でも鉱物油、合成潤滑油が好適である。また、
これらの混合系であっても良い。
【0054】上記オイル状物質(C)は前記石油系ワッ
クス(A)と植物性ワックス(B)の混合物100重量
部に対し1〜100重量部が好ましく、さらに好ましく
は3〜50重量部添加するのが望ましい。オイル状物質
が1重量部以上であると、高印加エネルギー領域での走
行性が良好である。また、100重量部以下であると低
印加エネルギー領域での走行性が良好である。
【0055】植物性ワックス、石油系ワックスおよびオ
イル状物質の混合物を用いると、これらのいずれかを単
独で用いた場合に比べ、均一な塗布膜が得られやすく、
走行性が良好でスティックが発生しにくい。
【0056】上記組成物中には、本発明の効果を阻害し
ない範囲内で各種添加剤を併用することができる。例え
ば、帯電防止剤、耐熱剤、耐酸化防止剤、有機粒子、無
機粒子、顔料等が挙げられる。
【0057】また、塗剤中には水への分散性を向上させ
る目的で各種添加剤、例えば分散助剤、界面活性剤、防
腐剤、消泡剤等を添加しても良い。
【0058】離型剤層の厚みは好ましくは0.005μ
m以上0.4μm以下、さらに好ましくは0.01μm
以上0.4μm以下である。離型剤層の厚みが0.4μ
m以下であれば穿孔時の走行性が良好でヘッドの汚染も
少ない。
【0059】本発明において離型剤層を塗布する場合に
は塗液は防爆性や環境汚染の点で水に溶解、乳化または
懸濁した塗液が好ましい。
【0060】離型剤の塗布は、フィルムの延伸前あるい
は延伸後、いずれの段階で行ってもよい。本発明の効果
をより顕著に発現させるためには、延伸前に塗布するの
が特に好ましい。塗布方法は特に限定されないが、ロー
ルコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バ
ーコーター等を用いて塗布するのが好ましい。
【0061】また、離型剤を塗布する前に必要に応じ
て、塗布面に空気中その他種々の雰囲気中でコロナ放電
処理を施しても良い。
【0062】
【特性の測定方法】
(1)融点(Tm、℃) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用い、試料5mgを採取し、室温より昇温速度20
℃/分で昇温した時の吸熱曲線のピークの温度より求め
た。
【0063】(2)結晶融解エネルギー(ΔHu) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用いて、フィルムの融解時の面積から求める。この
面積は、昇温することによりベースラインから吸収側に
ずれ、さらに昇温を続けるとベースラインの位置まで戻
るまでの面積であり、融解開始温度位置から終了位置ま
でを直線で結び、この面積(a)を求める。同じDSC
の条件でIn(インジウム)を測定し、この面積(b)
を6.8cal/gとして次式により求める。
【0064】ΔHu=6.8×a/b(cal/g)
【0065】(3)繊度(デニール) サンプルの任意な10箇所を電子顕微鏡で倍率2000
倍で10枚の写真撮影を行い、1枚の写真につき任意の
15本の繊維の直径を測定し、これを10枚の写真につ
いて行い、合計150本の繊維径を測定した。密度を
1.38g/cm3 として繊度を求め、その平均値で表
した。
【0066】(4)繊維目付(g/m2 ) 試験片20cm×20cmを取り、その重量を測定して
2 当たりの重量に換算した。
【0067】(5)固有粘度[η] 試料を105℃×20分乾燥した後、6.8±0.00
5gを秤量し、o−クロロフェノール中で160℃×1
5分間撹拌して溶解した。冷却後、“ヤマトラボティッ
ク”AVM−10S型自動粘度測定器により25℃にお
ける粘度を測定した。
【0068】(6)結晶化度(%) n−ヘプタンと四塩化炭素の混合液からなる密度勾配管
に試料を投入し、10時間以上経過後の値を読んで密度
を求めた。結晶化度0%の密度を1.335g/c
3 、結晶化度100%の密度を1.455g/cm3
として、サンプルの結晶化度を算出した。
【0069】(7)複屈折(Δn) 偏光顕微鏡により、光源にナトリウムランプを用い、試
料をα−プロムナフタリン浸漬下で、Berekコンベ
ンセーター法からレターデーションを求めて算出した。
【0070】(8)融着部の薄膜の形成および個数 サンプルを光学顕微鏡で倍率100〜400倍で観察し
た。また、サンプルを(株)トプコン走査型電子顕微鏡
DS130を用いて倍率100〜300倍で観察し、薄
膜の形成された融着部の個数を数えた。
【0071】(9)支持体の開孔部の面積分率(%) 原紙の支持体面を直接、光学顕微鏡の明視野透過法で観
察し、(株)ピアス製ハイビジョン対応画像解析装置を
用いて、モニター倍率240倍で、開孔部の面積分率を
求めた。任意の測定点10箇所について面積分率を求
め、その平均値で表した。
【0072】(10)支持体の開孔部の等価円直径の平
均値(μm) 原紙の支持体面を直接、光学顕微鏡の明視野透過法で観
察し、(株)ピアス製ハイビジョン対応画像解析装置を
用いて、モニター倍率240倍で、白黒反転処理して、
開孔部の等価円直径を測定し、その平均値を求めた。任
意の測定点10箇所について測定し、その平均値で表し
た。
【0073】(11)剥離強度(g/cm) フィルム面にセロハンテープを貼って補強し、フィルム
と多孔性支持体間との剥離強度をJIS−K−6854
に準拠した180度剥離試験法により測定した。
【0074】(12)印刷性評価 作製した原紙を理想科学工業(株)製印刷機“リソグラ
フ”(RC115)に供給して、サーマルヘッド式製版
方式により、JIS第1水準の文字で文字サイズ2mm
角のものと5mm角のものおよび●(丸で中が黒く塗り
つぶされたもの)で2〜10mmφのもの、また、太さ
の異なる罫線を原稿として製版した。
【0075】製版原稿を用いて印刷したものを目視判定
により、次のように評価した。
【0076】[文字の鮮明さ]文字が鮮明なものを◎、
文字がやや不鮮明なものを○、文字が不鮮明だが判読で
きるものを△、文字が不鮮明で判読困難なものを×とし
た。
【0077】[罫線の太さムラ]罫線の太さが均一なも
のを◎、罫線の太さがやや不均一なものを○、罫線の太
さが不均一でかすれたものを△、罫線に切れがあるもの
を×とした。
【0078】[黒ベタ部の白抜け]黒ベタ部で白抜けの
全くないものを◎、黒ベタ部でごくわずか白抜けがある
ものを○、黒ベタ部に明らかに白抜けがあるものを△、
黒ベタ部の白抜けが著しいものを×とした。
【0079】[裏写り]裏写りの全くないものを◎、ご
くわずか裏写りのあるものを○、明らかに裏写りのある
ものを△、裏写りの著しいものを×とした。
【0080】(13)搬送性の評価 作製した原紙を理想科学工業(株)製印刷機“リソグラ
フ”(RC115)に供給して製版し、版胴上の原紙の
シワの有無を目視により判定して次のように評価した。
【0081】版胴上の原紙に全くシワが発生しなかった
ものを◎、1mm未満のシワが発生したものを○、1〜
5mmのシワが発生したものを△、5mmを超えるシワ
が発生したものを×とした。
【0082】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0083】実施例1 孔径0.35mm、孔数100個の矩形紡糸口金を用い
て、口金温度280℃、吐出量30g/分で、ポリエチ
レンテレフタレート原料([η]=0.6、Tm=25
7℃)をメルトブロー法にて紡出し、捕集距離15cm
でコンベア上に繊維を捕集して巻取り、繊維目付80g
/m2 の未延伸不織布を作製した。該不織布の平均繊度
は2デニール、結晶化度は5%、複屈折(Δn)は0.
005であった。
【0084】次いで、ポリエチレンテレフタレート86
モル%、ポリエチレンイソフタレート14モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料([η]=0.7、Tm
=228℃)をスクリュ径40mmの押出機を用いて、
Tダイ口金温度280℃で押出し、直径300mmの冷
却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。
【0085】該未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度80℃で熱圧着し
た。こうして得られた積層シートを90℃の加熱ロール
で、長さ方向に3倍延伸した後、テンター式延伸機に送
り込み、95℃で幅方向に3.5倍延伸し、さらにテン
ター内で160℃×5秒間熱処理して、厚さ30μmの
感熱孔版用原紙を作製した。該原紙のフィルム面にはテ
ンター入口部において、ワックス系離型剤をグラビアコ
ーターを用いて乾燥後の重さで0.1g/m2塗布し
た。得られた原紙の繊維目付量は5.5g/m2 、平均
繊度は0.67デニールであった。また、フィルム単独
の厚さは2μm、結晶融解エネルギーは7.7cal/
gであった。該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体は繊維同士が融着した網状体を形成しており、一部
の融着点において繊維間にまたがる薄い膜が形成されて
いた。
【0086】実施例2 実施例1と同じ口金を用いて、口金温度300℃で、ポ
リエチレンナフタレート原料([η]=0.5、Tm=
272℃)をメルトブロー法により紡出し、繊維目付8
0g/m2 の未延伸不織布を作製した。該不織布の繊度
は2.2デニール、結晶化度は8%、複屈折(Δn)は
0.006であった。
【0087】次いで、実施例1と同じポリエチレンテレ
フタレート86モル%、ポリエチレンイソフタレート1
4モル%からなる共重合ポリエステル樹脂原料をスクリ
ュ径40mmの押出機を用いて、Tダイ口金温度280
℃で押出し、直径300mmの冷却ドラム上にキャスト
して未延伸フィルムを作製した。
【0088】該未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度100℃で熱圧着
し、積層シートを作製した。
【0089】該積層シートを110℃の加熱ロール間
で、長さ方向に3倍延伸した後、テンター式延伸機に送
り込み、110℃で幅方向に3.5倍延伸し、さらにテ
ンター内部で160℃×5秒間熱処理して、厚さ35μ
mの感熱孔版用原紙を作製した。該原紙のフィルム面に
はテンター入口部において、ワックス系離型剤をグラビ
アコーターを用いて乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布
した。
【0090】得られた原紙の繊維目付量は6g/m2
平均繊度は0.65デニール、フィルム単独の厚さは2
μmであった。結晶融解エネルギーは7.8cal/g
であった。該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支持
体は繊維同士が融着した網状体を形成しており、一部の
融着点において繊維間にまたがる薄い膜が形成されてい
た。
【0091】実施例3 孔径0.25mm、孔数1000個の矩形口金を用い
て、吐出量1000g/分でポリエチレンテレフタレー
ト原料([η]=0.65、Tm=254℃)を溶融温
度290℃で紡出し、エアエジェクターにて、紡糸速度
2000m/分でコンベア上に分散捕集して繊維目付1
00g/m2 の低配向不織布を作製した。該不織布繊維
の平均繊度は4デニール、結晶化度は8%、複屈折(Δ
n)は0.009であった。
【0092】次いで、実施例1と同じポリエチレンテレ
フタレート86モル%、ポリエチレンイソフタレート1
4モル%からなる共重合ポリエステル樹脂原料をスクリ
ュ径40mmの押出機を用いて、Tダイ口金温度280
℃で押出し、直径300mmの冷却ドラム上にキャスト
して未延伸フィルムを作製した。
【0093】該未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度90℃で熱圧着し
て、積層シートを作製した。
【0094】該積層シートを95℃の加熱ロールで、長
さ方向に3倍延伸した後、テンタ式延伸機に送り込み、
95℃で幅方向に3.5倍延伸した。さらにテンター内
部で160℃、5秒間熱処理し、厚さ60μmの感熱孔
版用原紙を作製した。また、テンター入口部において、
フィルム面にワックス系離型剤をグラビアコーターを用
いて乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布した。
【0095】得られた原紙の繊維目付量は10g/
2 、平均繊度は1.44デニール、フィルム単独の厚
さは2μmであった。結晶融解エネルギーは7.5ca
l/gであった。該原紙を光学顕微鏡で観察したとこ
ろ、支持体は繊維同士が融着した網状体を形成してお
り、一部の融着点において繊維間にまたがる薄い膜が形
成されていた。
【0096】実施例4 実施例3で作製した繊維目付100g/m2 の不織布を
準備した。
【0097】次いで、ポリエチレンテレフタレート75
モル%、ポリエチレンイソフタレート25モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料([η]=0.72、T
m=195℃)をスクリュ径40mmの押出機を用い
て、Tダイ口金温度270℃で押出し、直径300mm
の冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0098】該未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度90℃で熱圧着し
て積層シートを作製した。
【0099】該積層シートを95℃の加熱ロール間で、
長さ方向に3倍延伸した後、テンタ式延伸機に送り込
み、95℃で幅方向に3.5倍延伸した。さらにテンタ
ー内部で160℃、5秒間熱処理し、厚さ60μmの感
熱孔版用原紙を作製した。また、テンター入口部におい
て、フィルム面にワックス系離型剤をグラビアコーター
を用いて乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布した。
【0100】得られた原紙の繊維目付量は8g/m2
平均繊度は1.4デニールであり、フィルム単独の厚さ
は2μm、結晶融解エネルギーは5.9cal/gであ
った。
【0101】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体は繊維同士が融着した網状体を形成しており、一部
の融着点において繊維間にまたがる薄い膜が形成されて
いた。
【0102】実施例5 実施例3で作製した繊維目付100g/m2 の不織布を
準備した。
【0103】次いで、ポリヘキサメチレンテレフタレー
ト30モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール7
0モル%からなる共重合ポリエステル樹脂原料([η]
=0.75、Tm=197℃)をスクリュ径40mmの
押出機を用いて、Tダイ口金温度240℃で押出し、直
径300mmの冷却ドラム上にキャストした。得られた
未延伸フィルム上に、前記の不織布を重ね、加熱ロール
に供給してロール温度50℃で熱圧着して積層シートを
得た。
【0104】該積層シートを55℃の加熱ロール間で、
長さ方向に3倍延伸した後、テンタ式延伸機に送り込
み、60℃で幅方向に3.5倍延伸した。さらにテンタ
ー内で120℃、5秒間熱処理し、厚さ60μmの感熱
孔版用原紙を作製した。また、テンター入口部におい
て、フィルム面にワックス系離型剤をグラビアコーター
を用いて乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布した。
【0105】原紙の繊維目付量は9g/m2 、平均繊度
は1.4デニールであり、フィルム単独の厚さは2μ
m、結晶融解エネルギーは8.5cal/gであった。
【0106】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体は繊維同士が融着した網状体を形成しており、一部
の融着点において繊維間にまたがる薄い膜が形成されて
いた。
【0107】実施例6 実施例1と同じ原料、同じ紡糸条件で、繊維目付20g
/m2 の不織布(不織布A)を作製した。
【0108】同様に、実施例3と同じ原料、同じ紡糸条
件で繊維目付80g/m2 の不織布(不織布B)を作製
した。
【0109】次いで、実施例1と同じポリエチレンテレ
フテレート86モル%、ポリエチレンイソフタレート1
4モル%からなる共重合ポリエステル樹脂原料をスクリ
ュ径40mmの押出機を用いて、Tダイ口金温度280
℃で押出し、直径300mmの冷却ドラム上にキャスト
して未延伸フィルムを作製した。
【0110】該未延伸フィルム上に、前記の不織布A、
Bをこの順に重ねて加熱ロールに供給し、ロール温度9
0℃で熱圧着した。こうして作製した積層シートを95
℃の加熱ロール間で、長さ方向に3.5倍延伸した後、
テンター式延伸機に送り込み、95℃で幅方向に3.5
倍延伸した。さらにテンター内部で160℃、5秒間熱
処理し、厚さ50μmの感熱孔版用原紙を作製した。ま
た、テンター入口部において、フィルム面にワックス系
離型剤をグラビアコーターを用いて乾燥後の重さで0.
1g/m2 塗布した。得られた原紙の繊維目付量は12
g/m2 、フィルム単独の厚さは2μmであった。フィ
ルムの結晶融解エネルギーは7.7cal/gであっ
た。不織布Aの繊度は0.65デニール、不織布Bの繊
度は1.44デニールであった。また、フィルムに面し
た不織布Aの繊維目付量は1.8g/m2 であった。
【0111】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体は繊維同士が融着した網状体を形成しており、一部
の融着点において繊維間にまたがる薄い膜が形成されて
いた。
【0112】実施例7 実施例1で作製した目付80g/m2 の不織布を準備し
た。該不織布をストレッチャーで縦横4倍に延伸して、
160℃×1分熱処理し、平均繊度0.5デニール、繊
維目付量5g/m2 の多孔性支持体を作製した。
【0113】次に、実施例1と同じポリエチレンテレフ
タレート86モル%、ポリエチレンイソフタレート14
モル%からなる共重合ポリエステル樹脂を二軸延伸して
厚さ2μmのポリエステルフィルムを作製した。該多孔
性支持体と該ポリエステルフィルムとを酢酸ビニル樹脂
を用いて貼り合わせた。接着剤塗布量は1g/m2 とし
た。次に、フィルム面にワックス系離型剤を乾燥後の重
さで0.1g/m2 塗布し、感熱孔版用原紙を作製し
た。
【0114】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体は繊維同士が融着した網状体を形成しており、一部
の融着点において繊維間にまたがる薄い膜が形成されて
いたが、接着剤によって、閉孔された部分が多数散在し
ていた。
【0115】比較例1 孔径0.25mm、孔数1000個の矩形口金を用い
て、吐出量1000g/分でポリエチレンテレフタレー
ト原料([η]=0.65、Tm=254℃)を溶融温
度290℃で紡出し、エアエジェクターにて、紡糸速度
3500m/分で、コンベア上に繊維を分散捕集して目
付100g/m2 の不織布を作製した。該不織布を温度
130℃でカレンダー加工して多孔性支持体とした。
【0116】得られた繊維の平均繊度は2.2デニー
ル、結晶化度は30%、複屈折(Δn)は0.09であ
った。
【0117】次いで、実施例1と同じポリエチレンテレ
フタレート86モル%、ポリエチレンイソフタレート1
4モル%からなる共重合ポリエステル樹脂原料をスクリ
ュ径40mmの押出機を用いて、Tダイ口金温度280
℃で押出し、直径300mmの冷却ドラム上にキャスト
した。得られた未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度90℃で圧着し
た。
【0118】該積層シートを95℃の加熱ロールで、長
さ方向に2.0倍延伸した後、テンタ式延伸機に送り込
み、95℃で幅方向に2.5倍延伸した。さらにテンタ
ー内部で160℃、5秒間熱処理し、厚さ60μmの感
熱孔版用原紙を作製した。また、テンター入口部におい
て、フィルム面にワックス系離型剤をグラビアコーター
を用いて乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布した。
【0119】作製した原紙の繊維目付量は10g/
2 、平均繊度は1.4デニール、フィルム単独の厚さ
は2μmであった。
【0120】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維はほとんど融着されることなく素抜けた状態
で綿状に分散しており、薄い膜も形成されていなかっ
た。また、繊維がフィルム面から浮き上がっていた。
【0121】比較例2 孔径0.25mm、孔数1000個の矩形口金を用い
て、吐出量1000g/分でポリエチレンテレフタレー
ト原料([η]=0.65、Tm=254℃)を溶融温
度290℃で紡出し、エアエジェクターにて、紡糸速度
5000m/分で牽引し、コンベア上に繊維を分散捕集
して目付15g/m2 の不織布を作製した。該不織布を
220℃のエンボスロールで加圧して、厚さ80μmの
多孔性支持体を準備した。
【0122】得られた繊維の平均繊度は3デニール、結
晶化度45%、複屈折(Δn)は0.17であった。
【0123】次に、実施例1と同じポリエチレンテレフ
タレート86モル%、ポリエチレンイソフタレート14
モル%からなる共重合ポリエステル樹脂を二軸延伸して
厚さ2μmのポリエステルフィルムを作製した。
【0124】次に、多孔性支持体とポリエステルフィル
ムとを酢酸ビニル樹脂を用いて貼り合わせた。接着剤塗
布量は1g/m2 とした。次に、フィルム面にワックス
系離型剤を乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布し、感熱
孔版用原紙を作製した。
【0125】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維はエンボス点で規則的に融着されているが、
融着部での薄い膜は全く生成していなかった。
【0126】比較例3 マニラ麻を原料とする天然繊維100%の繊維目付量1
0g/m2 の薄葉紙と、比較例2で作製した厚さ2μm
のポリエステルフィルムとを酢酸ビニル樹脂を用いて貼
り合わせた。接着剤塗布量は1g/m2 とした。次に、
フィルム面にワックス系離型剤を乾燥後の重さで0.1
g/m2 塗布し、感熱孔版用原紙を作製した。
【0127】比較例4 実施例1において、熱風圧力を少し上げ、捕集距離を3
0cmとした以外は同じ条件にて繊維目付80g/m2
の未延伸不織布を作製した。該不織布の平均繊度は1.
8デニール、結晶化度は21%、複屈折は0.032で
あった。次いで実施例1と同じ条件で未延伸フィルムと
熱圧着後、二軸延伸して感熱孔版用原紙を作製した。該
原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支持体の繊維はほ
とんど融着されることなく素抜けた状態で綿状に分散し
ており、薄い膜も形成されていなかった。
【0128】実施例8 孔径0.35mm、孔数100個の矩形紡糸口金を用い
て、口金温度290℃、熱風温度295℃で、ポリエチ
レンテレフタレート原料([η]=0.48、Tm=2
58℃)をメルトブロー法にて紡出し、ネットコンベア
上に繊維を捕集して、平均繊度0.25デニール、繊維
目付200g/m2 の未延伸不織布を作製した。該不織
布の結晶化度は6%、複屈折(Δn)は0.006であ
った。
【0129】次いで、ポリエチレンテレフタレート85
モル%、ポリエチレンイソフタレート15モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料([η]=0.68、T
m=224℃)をスクリュ径40mmの押出機を用い
て、Tダイ口金温度280℃で押出し、直径300mm
の冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0130】該未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度80℃で熱圧着し
た。こうして得られた積層シートを90℃の加熱ロール
で、長さ方向に4倍延伸した後、テンター式延伸機に送
り込み、95℃で幅方向に5倍延伸し、さらにテンター
内で150℃×5秒間熱処理して、感熱孔版用原紙を作
製した。該原紙のフィルム面にはテンター入口部におい
て、ワックス系離型剤をグラビアコーターを用いて乾燥
後の重さで0.1g/m2 塗布した。得られた原紙の平
均繊度は0.05デニールであった。また、フィルムの
結晶融解エネルギーは7.9cal/gであった。該原
紙を光学顕微鏡で観察したところ、支持体は繊維同士が
融着した網状体を形成しており、一部の融着点において
繊維間にまたがる薄い膜が形成されていた。
【0131】実施例9 実施例8と同じ条件で繊維目付350g/m2 の未延伸
不織布を作製した。次いで、実施例8と同じ条件で感熱
孔版用原紙を作製した。該原紙を光学顕微鏡で観察した
ところ、支持体は繊維同士が融着した網状体を形成して
おり、一部の融着点において繊維間にまたがる薄い膜が
形成されていた。
【0132】実施例10〜実施例13 孔径0.35mm、孔数100個の矩形紡糸口金を用い
て、口金温度290℃、熱風温度295℃で、ポリエチ
レンテレフタレート原料([η]=0.48、Tm=2
58℃)をメルトブロー法にて紡出し、ネットコンベア
上に繊維を捕集して、平均繊度0.5デニール、繊維目
付60g/m2 (実施例10)、140g/m2 (実施
例11)、200g/m2 (実施例12)、350g/
2 (実施例13)の未延伸不織布を作製した。該不織
布の結晶化度は6%、複屈折(Δn)は0.006であ
った。
【0133】次いで、ポリエチレンテレフタレート85
モル%、ポリエチレンイソフタレート15モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料([η]=0.68、T
m=224℃)をスクリュ径40mmの押出機を用い
て、Tダイ口金温度280℃で押出し、直径300mm
の冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0134】該未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度80℃で熱圧着し
た。こうして得られた積層シートを90℃の加熱ロール
で、長さ方向に3.8倍延伸した後、テンター式延伸機
に送り込み、95℃で幅方向に4.5倍延伸し、さらに
テンター内で155℃×5秒間熱処理して、実施例10
〜13の感熱孔版用原紙を作製した。該原紙のフィルム
面にはテンター入口部において、ワックス系離型剤をグ
ラビアコーターを用いて乾燥後の重さで0.1g/m2
塗布した。得られた原紙の平均繊度は0.12デニール
であった。また、フィルムの結晶融解エネルギーは7.
9cal/gであった。該原紙を光学顕微鏡で観察した
ところ、支持体は繊維同士が融着した網状体を形成して
おり、一部の融着点において繊維間にまたがる薄い膜が
形成されていた。
【0135】実施例14〜実施例16 孔径0.35mm、孔数100個の矩形紡糸口金を用い
て、口金温度290℃、熱風温度295℃で、ポリエチ
レンテレフタレート原料([η]=0.48、Tm=2
58℃)をメルトブロー法にて紡出し、ネットコンベア
上に繊維を捕集して、平均繊度0.8デニール、繊維目
付60g/m2 (実施例14)、120g/m2 (実施
例15)、160g/m2 (実施例16)の未延伸不織
布を作製した。該不織布の結晶化度は6%、複屈折(Δ
n)は0.006であった。
【0136】次いで、ポリエチレンテレフタレート85
モル%、ポリエチレンイソフタレート15モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料([η]=0.68、T
m=224℃)をスクリュ径40mmの押出機を用い
て、Tダイ口金温度280℃で押出し、直径300mm
の冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0137】該未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度80℃で熱圧着し
た。こうして得られた積層シートを90℃の加熱ロール
で、長さ方向に3.5倍延伸した後、テンター式延伸機
に送り込み、95℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに
テンター内で160℃×5秒間熱処理して、実施例14
〜16の感熱孔版用原紙を作製した。該原紙のフィルム
面にはテンター入口部において、ワックス系離型剤をグ
ラビアコーターを用いて乾燥後の重さで0.1g/m2
塗布した。得られた原紙の平均繊度は0.22デニール
であった。また、フィルムの結晶融解エネルギーは7.
9cal/gであった。該原紙を光学顕微鏡で観察した
ところ、支持体は繊維同士が融着した網状体を形成して
おり、かつ一部の融着点において繊維間にまたがる薄い
膜が形成されていた。
【0138】実施例17〜実施例19 孔径0.35mm、孔数100個の矩形紡糸口金を用い
て、口金温度290℃、熱風温度295℃で、ポリエチ
レンテレフタレート原料([η]=0.48、Tm=2
58℃)をメルトブロー法にて紡出し、ネットコンベア
上に繊維を捕集して、平均繊度1.0デニール、繊維目
付40g/m2 (実施例17)、80g/m2 (実施例
18)、120g/m2 (実施例19)の未延伸不織布
を作製した。該不織布の結晶化度は6%、複屈折(Δ
n)は0.006であった。
【0139】次いで、ポリエチレンテレフタレート85
モル%、ポリエチレンイソフタレート15モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料([η]=0.68、T
m=224℃)をスクリュ径40mmの押出機を用い
て、Tダイ口金温度280℃で押出し、直径300mm
の冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0140】該未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度80℃で熱圧着し
た。こうして得られた積層シートを85℃の加熱ロール
で、長さ方向に3.2倍延伸した後、テンター式延伸機
に送り込み、90℃で幅方向に3.6倍延伸し、さらに
テンター内で165℃×5秒間熱処理して、実施例17
〜19の感熱孔版用原紙を作製した。該原紙のフィルム
面にはテンター入口部において、ワックス系離型剤をグ
ラビアコーターを用いて乾燥後の重さで0.1g/m2
塗布した。得られた原紙の平均繊度は0.29デニール
であった。また、フィルムの結晶融解エネルギーは7.
9cal/gであった。該原紙を光学顕微鏡で観察した
ところ、支持体は繊維同士が融着した網状体を形成して
おり、かつ一部の融着点において繊維間にまたがる薄い
膜が形成されていた。
【0141】実施例20 実施例17と同じ未延伸不織布を準備した。
【0142】次いで、実施例17において、延伸倍率を
長さ方向2倍、幅方向2.5倍とした以外は実施例17
と同じ条件で感熱孔版用原紙を作製した。
【0143】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体は繊維同士が融着した網状体を形成しており、一部
の融着点において繊維間にまたがる薄い膜が形成されて
いた。
【0144】実施例21 孔径0.20mm、孔数50個の矩形口金を用いて、吐
出量50g/分でポリエチレンテレフタレート原料
([η]=0.65、Tm=254℃)を溶融温度29
0℃で紡出し、エアエジェクターにて、紡糸速度100
0m/分でコンベア上に分散捕集して繊維目付120g
/m2 の低配向不織布を作製した。該不織布繊維の平均
繊度は4デニール、結晶化度は8%、複屈折(Δn)は
0.005であった。
【0145】次いで、ポリエチレンテレフタレート86
モル%、ポリエチレンイソフタレート14モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料をスクリュ径40mmの
押出機を用いて、Tダイ口金温度280℃で押出し、直
径300mmの冷却ドラム上にキャストして未延伸フィ
ルムを作製した。
【0146】該未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度90℃で熱圧着し
て、積層シートを作製した。
【0147】該積層シートを80℃の加熱ロールで、長
さ方向に3.5倍延伸した後、テンタ式延伸機に送り込
み、90℃で幅方向に3.5倍延伸した。さらにテンタ
ー内部で160℃、5秒間熱処理し、厚さ60μmの感
熱孔版用原紙を作製した。また、テンター入口部におい
て、フィルム面にワックス系離型剤をグラビアコーター
を用いて乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布した。
【0148】得られた原紙の繊維目付量は10g/
2 、平均繊度は1デニール、フィルム単独の厚さは
1.2μmであった。結晶融解エネルギーは7.5ca
l/gであった。
【0149】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体は繊維同士が融着した網状体を形成しており、一部
の融着部において繊維間にまたがる薄い膜が形成されて
いた。
【0150】実施例22 実施例21において、テンター内で熱処理を行わないこ
と以外は実施例21と同様に感熱孔版用原紙を作製し
た。
【0151】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体は繊維同士が融着した網状体を形成しており、一部
の融着部において繊維間にまたがる薄い膜が形成されて
いた。
【0152】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】 表1、表2、表3および表4の結果からわかるように、
支持体の繊維同士が融着した融着点を有する網状体を形
成しており、かつ該融着点のうちの一部の融着点におい
て、繊維間にまたがる薄い膜を形成してなる本発明の原
紙で印刷したものは、文字が鮮明で、罫線の太さムラが
なく、黒ベタ部の白抜けもない印刷物が得られる。ま
た、搬送性にも優れる。
【0153】
【発明の効果】本発明は、上記構成としたことにより、
次の効果を奏する。すなわち、均一な開孔形態を有する
支持体を形成することができるため、強度の安定した、
かつ印刷インキの保持性と透過性のバランスに優れた原
紙とすることができるので、この原紙を用いた孔版印刷
で得られる印刷物は高画像性と印刷鮮明性を有し、かつ
裏写りすることがない。また、搬送性にも優れる。
【0154】また本発明の製造方法によれば、製造プロ
セスにおいて接着剤の塗布工程、溶媒等の乾燥および回
収工程を必要としない。
【0155】さらにまた、フィルムと支持体とを一体で
共延伸するものであるため、支持体の繊維が補強効果を
発現して、延伸時にフィルムが破れることがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安藤 勝敏 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの片面にポリエス
    テル繊維からなる多孔性支持体が積層されてなる感熱孔
    版印刷用原紙であって、該多孔性支持体は繊維同士が融
    着した融着点を有する網状体を形成しており、かつ該網
    状体中の融着点のうちの一部の融着点において、繊維間
    にまたがり、かつその厚さが平均繊維径よりも小さい膜
    が形成されてなることを特徴とする感熱孔版印刷用原
    紙。
  2. 【請求項2】 ポリエステルフィルムの融点(Tm1
    と多孔性支持体を形成するポリエステル繊維の融点(T
    2 )が、Tm1 ≦Tm2 であることを特徴とする請求
    項1に記載の感熱孔版印刷用原紙。
  3. 【請求項3】 ポリエステルフィルムの融点(Tm1
    と多孔性支持体を形成するポリエステル繊維の融点(T
    2 )が、Tm1 <Tm2 であり、かつその温度差が2
    0℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の感熱
    孔版印刷用原紙。
  4. 【請求項4】 多孔性支持体が繊度0.01〜10デニ
    ールの延伸配向繊維からなる不織布であることを特徴と
    する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の感熱孔版印
    刷用原紙。
  5. 【請求項5】 多孔性支持体が繊度0.1〜10デニー
    ルの延伸配向繊維からなる不織布であることを特徴とす
    る請求項1〜請求項3のいずれかに記載の感熱孔版印刷
    用原紙。
  6. 【請求項6】 多孔性支持体の繊維目付量が2〜20g
    /m2 であることを特徴とする請求項1〜請求項5のい
    ずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  7. 【請求項7】 多孔性支持体の開孔部の面積分率が5〜
    80%であることを特徴とする請求項1〜請求項6のい
    ずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  8. 【請求項8】 多孔性支持体の開孔部を円とみなした場
    合の等価円直径の平均値が5〜100μmであることを
    特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の感熱
    孔版印刷用原紙。
  9. 【請求項9】 多孔性支持体の結晶化度が20%以上で
    あることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに
    記載の感熱孔版印刷用原紙。
  10. 【請求項10】 多孔性支持体の複屈折(Δn)が0.
    1以上であることを特徴とする請求項1〜請求項9のい
    ずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  11. 【請求項11】 ポリエステルフィルムが厚さ0.1〜
    10μmの二軸延伸フィルムであることを特徴とする請
    求項1〜請求項10のいずれかに記載の感熱孔版印刷用
    原紙。
  12. 【請求項12】 ポリエステルフィルムの結晶融解エネ
    ルギー(ΔHu)が3〜11cal/gであることを特
    徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の感熱
    孔版印刷用原紙。
  13. 【請求項13】 ポリエステルフィルムのもう一方の面
    に離型剤層が形成されてなり、該離型剤が水に溶解、乳
    化または懸濁する石油系ワックス(A)、植物性ワック
    ス(B)およびオイル状物質(C)の混合物を主成分と
    し、(A+B)/Cの重量比が100/1〜1/1であ
    ることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに
    記載の感熱孔版印刷用原紙。
  14. 【請求項14】 繊維間にまたがる膜を有する融着点の
    数が、多孔性支持体1mm2 当たり1個以上であること
    を特徴とする請求項1〜請求項13のいずれかに記載の
    感熱孔版印刷用原紙。
  15. 【請求項15】 繊維間にまたがる膜を有する融着点の
    数が、多孔性支持体1mm2 当たり5個以上であること
    を特徴とする請求項1〜請求項13のいずれかに記載の
    感熱孔版印刷用原紙。
  16. 【請求項16】 未延伸ポリエステルフィルムと未延伸
    ポリエステル繊維からなる多孔性支持体とを熱圧着した
    後、二軸共延伸することを特徴とする感熱孔版印刷用原
    紙の製造方法。
  17. 【請求項17】 未延伸ポリエステルフィルムと未延伸
    ポリエステル繊維からなる多孔性支持体とを熱圧着した
    後、二軸共延伸の前または後あるいはその途中の工程に
    おいて、ポリエステルフィルムのもう一方の面に離型剤
    を塗布することを特徴とする請求項16に記載の感熱孔
    版印刷用原紙の製造方法。
  18. 【請求項18】 離型剤が水に溶解、乳化または懸濁す
    る石油系ワックス(A)、植物性ワックス(B)および
    オイル状物質(C)の混合物を主成分とし、(A+B)
    /Cの重量比が100/1〜1/1であることを特徴と
    する請求項17に記載の感熱孔版印刷用原紙の製造方
    法。
JP25697594A 1993-11-17 1994-10-21 感熱孔版印刷用原紙およびその製造方法 Pending JPH07186565A (ja)

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JP5-288332 1993-11-17
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6025286A (en) * 1996-05-09 2000-02-15 Kawatsu; Yukio Heat-sensitive stencil sheet

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