JPH11198557A - 感熱孔版印刷用原紙 - Google Patents

感熱孔版印刷用原紙

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JPH11198557A
JPH11198557A JP215298A JP215298A JPH11198557A JP H11198557 A JPH11198557 A JP H11198557A JP 215298 A JP215298 A JP 215298A JP 215298 A JP215298 A JP 215298A JP H11198557 A JPH11198557 A JP H11198557A
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JP
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heat
thermoplastic resin
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sensitive stencil
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JP215298A
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Yukio Kawazu
幸雄 河津
Kenji Kida
健次 喜田
Motoyuki Suzuki
基之 鈴木
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】黒ベタの印刷面に白抜けや濃淡むらのない高品
質の画像性を有する感熱孔版印刷用原紙を提供する。 【解決手段】熱可塑性樹脂フィルムとインキ通過性を有
する多孔性支持体とからなる感熱孔版印刷用原紙におい
て、該原紙に透過光を照射したときの平均透過率が50
%以上であり、かつ地合指数が1〜5の範囲にあること
を特徴とする感熱孔版印刷用原紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーマルヘッドや
レーザー光線等によって穿孔製版される感熱孔版印刷用
原紙に関するものであり、特に黒ベタ部分に白抜けや濃
度むらがない、高品質の印刷物が得られる感熱孔版印刷
用原紙に関する。
【0002】
【従来の技術】感熱孔版印刷は、インキ通過性の多孔性
支持体に熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせたものを原
紙として用い、光学センサーで読み取った原稿画像をデ
ジタル信号としてサーマルヘッドに送り、サーマルヘッ
ドの発熱によって熱可塑性樹脂フィルムを加熱溶融せし
めて穿孔製版したものをマスターとし、該マスターの穿
孔部に多孔性支持体側から印刷インキを浸出せしめて印
刷用紙に印刷するものであり、簡便な印刷方式として広
く普及している。
【0003】近年、感熱孔版印刷は、小さな文字原稿の
ものから写真のようなハーフトーン調のもの、あるいは
黒地に白抜き文字など印字面積の大きいものまで、幅広
い原稿に対応できる高解像度で高品位印刷への要求が高
まっている。そのため、感熱孔版印刷機のサーマルヘッ
ドのサイズを微小化してドット密度を高くしたり、ま
た、製版エネルギーを低減したりするなどの改良が行わ
れており、そのための高感度で高解像度な特性を有する
感熱孔版印刷用原紙が求められている。
【0004】従来より感熱孔版印刷用原紙としては、ポ
リエステルなどの熱可塑性樹脂フィルムと、天然繊維を
主体とする薄葉紙やポリエステル等のスクリーン紗から
なる多孔性支持体とを接着剤で貼り合わせた構造のもの
が知られている。
【0005】これら感熱孔版印刷用原紙を高感度化する
方法として、特公平3−65280号公報や特開昭62
−282984号公報、特開昭62−149496号公
報、特開昭62−282983号公報、特開昭63−1
60895号公報等において、熱可塑性樹脂フィルムの
厚さを薄くしたり、融点を低くしたり、熱収縮率や熱収
縮応力を規定したりするなどの提案がなされており、こ
のようなフィルムを用いた感熱孔版印刷用原紙は、比較
的低エネルギーのサーマルヘッドに対しても容易に穿孔
する。
【0006】しかしながら、これらの高感度熱可塑性樹
脂フィルムを用いても、多孔性支持体に薄葉紙を用いた
ものでは、薄葉紙を構成する天然繊維や薄葉紙中に存在
するバインダーの凝集物等によってフィルムの穿孔部が
閉塞されて、印刷物の微細文字や罫線等の欠落を生じた
り、また、繊維同士の結束や繊維の分散むらによってイ
ンキ通過が不均一となり、印刷物の黒ベタ部に白抜けや
インキの濃淡むらが発生したりする欠点があった。この
ような白抜けや濃淡むらは、特にちらしや広告物などの
黒地面積の大きい印刷物にあっては致命的な欠点となっ
ていた。
【0007】上記欠点を改良するため、特開平2−30
593号公報、特開平4−239694号公報等には、
多孔性支持体の開孔率と平均開孔面積を規定した感熱孔
版原紙が開示されている。該原紙は従来の薄葉紙に比べ
てインキ通過の均一性が向上して濃淡むらは改良されて
いるが、バインダーの凝集や結束繊維に起因する白抜け
欠点を解消するには至っていない。
【0008】また、特開昭62−55999号公報、特
開昭63−59394号公報、特開平2−107488
号公報等には多孔性支持体として合成繊維を主体として
用い、繊度や目付を規定した感熱孔版印刷用原紙が開示
されている。該原紙は天然繊維に比べて繊維が細くで
き、また、バインダーを使用していないので、白抜け欠
点は減少するものの、濃淡むらは改良されていない。
【0009】また、特開平9−58145号公報には熱
可塑性フィルムと多孔性支持体を接着剤で貼り合わせた
後で、カレンダー処理により3〜30%圧縮した感熱孔
版用原紙が開示されている。該原紙は裏移りの解消や排
版インキ量の低減には効果がみられるものの、多孔性支
持体が圧縮されたものであるため、印刷用紙へのインキ
転移量が不十分となるため印刷濃度が低くなるという不
具合があった。また、多孔性支持体がパルプ麻を主体と
する薄葉紙であるため、繊維やバインダーに起因する白
抜け欠点を解消するには限界があった。
【0010】また、特開平6−305273号公報、特
開平7−186565号公報には未延伸のポリエステル
フィルムと未延伸のポリエステル繊維とを熱接着した
後、共延伸して感熱孔版印刷用原紙を得ることが開示さ
れている。該原紙は繊維径が細く均一でありまた接着剤
を用いていないことから、白抜け欠点は改良されるもの
の、黒ベタ部での濃淡むらを完全に解消するには至って
おらず、近年要求されている高品質な画像性の印刷物を
得るにはいまだ性能が不十分であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
感熱孔版印刷用原紙の問題点を解決し、特に黒ベタの印
刷面に白抜けや濃淡むらのない高品質の画像性を有する
感熱孔版印刷用原紙を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく感熱孔版印刷用原紙の多孔性支持体を構成
する繊維の分散性と印刷品位の関係について鋭意研究し
た結果、原紙に透過光を照射したときの平均透過率と地
合指数を特定の範囲とすることによって従来原紙の欠点
を改良できることを見いだし、本発明を完成したもので
ある。
【0013】すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂フィル
ムとインキ通過性を有する多孔性支持体とからなる感熱
孔版印刷用原紙において、該原紙に透過光を照射したと
きの平均透過率が50%以上であり、かつ地合指数が1
〜5の範囲にあることを特徴とする感熱孔版印刷用原紙
である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、白抜け欠点や濃淡むら
のない極めて高品質の印刷物が得られる感熱孔版印刷用
原紙を提供するために鋭意検討した結果、原紙を構成す
る多孔性支持体の透過率と地合指数を特定することによ
り、かかる課題を解決できることを究明したものであ
る。
【0015】本発明における熱可塑性樹脂フィルムとし
ては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、そ
れぞれの共重合体、およびそれらのブレンド物等が挙げ
られるが、好ましくはポリエステルおよびその共重合体
またはブレンド物が用いられる。ポリエステルとして
は、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族
ジカルボン酸または脂環族ジカルボン酸とジオールを主
たる構成成分とするポリエステルである。
【0016】ここで、芳香族ジカルボン酸成分として
は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホン
ジカルボン酸等を用いることができ、中でも好ましくは
テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸等を用いることができる。
【0017】脂肪族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジ
オン酸等を用いることができ、中でも好ましくはアジピ
ン酸等を用いることができる。
【0018】また、脂環族ジカルボン酸成分としては、
例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を用い
ることができる。
【0019】これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、
2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香
酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
【0020】また、ジオール成分としては、例えば、エ
チレングリコール、1,2−プロパンジオール、1.3
−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2
−シクロヘキサンジメタノール、1.3−シクロヘキサ
ンジメタノール、1.4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリアルキレングリコール、2,2′ビス(4′−β−
ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げること
ができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いら
れる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、
2種以上併用してもよい。
【0021】本発明の熱可塑性樹脂フィルムに用いるポ
リエステルとしては、好ましくは、ポリエチレンテレフ
タレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタ
レートとの共重合体、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ブチレンテレフタ
レートとエチレンテレフタレートとの共重合体、ブチレ
ンテレフタレートとヘキサメチレンテレフタレートとの
共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートと1,4−シ
クロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体、
エチレンテレフタレートとエチレン−2,6−ナフタレ
ートとの共重合体およびこれらのブレンド物等を用いる
ことができる。特に好ましくは、エチレンテレフタレー
トとエチレンイソフタレートとの共重合体、ポリヘキサ
メチレンテレフタレート、ヘキサメチレンテレフタレー
トと1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレー
ト、エチレンテレフタレートとエチレン−2,6−ナフ
タレートとの共重合体等を用いることができる。
【0022】本発明の熱可塑性樹脂に用いるポリエステ
ルは次の方法で製造することができる。例えば、酸成分
をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反
応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除
去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸
成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール
成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮
合させることによって製造する方法等がある。この際、
必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金
属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、ア
ンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物等を用いること
ができる。
【0023】本発明における熱可塑性樹脂フィルムには
必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワ
ックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤
等を配合することができる。さらには必要に応じて易滑
性を付与することもできる。易滑性付与方法としては特
に制限はないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは
乾式シリカ、アルミナ、ジルコニアなどの無機粒子、ア
クリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子等を
配合する方法、ポリエステル重合反応時に添加する触媒
等を析出させる、いわゆる内部粒子による方法等があ
る。
【0024】本発明における熱可塑性樹脂フィルムは少
なくとも1軸方向に延伸されているものが好ましい。よ
り好ましくは2軸延伸フィルムである。延伸倍率は特に
限定されないが、少なくとも2倍以上であるのが好まし
い。
【0025】本発明における熱可塑性樹脂フィルムの厚
さは、0.1〜5μmであることが好ましく、より好ま
しくは0.1〜3μm、特に好ましくは0.1〜2μm
である。
【0026】本発明における熱可塑性樹脂フィルムの融
点は、250℃以下であることが好ましく、より好まし
くは240℃以下、特に好ましくは230℃以下であ
る。示差走査型熱量計で測定した時の融点のピークが2
つ以上存在する場合には、少なくとも1つのピーク温度
が250℃以下であるのが好ましい。
【0027】本発明における熱可塑性樹脂フィルムの結
晶融解エネルギーは、5〜50J/gが好ましく、より
好ましくは10〜40J/gである。
【0028】本発明における多孔性支持体は、印刷イン
キの通過性を有するものであれば特に限定されるもので
はなく、不織布、織布、抄造紙、その他の多孔体を用い
ることができる。好ましくはポリアミド、ポリエステ
ル、ポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂繊
維からなる薄葉紙や不織布形態のものであり、ポリエス
テル繊維からなる不織布が特に好ましい。
【0029】上記のポリエステル繊維に用いるポリエス
テルは、フィルムと同様、芳香族ジカルボン酸、脂肪族
ジカルボン酸または脂環族ジカルボン酸とジオールを主
たる構成成分とするものである。好ましくは、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフ
タレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタ
レートとの共重合体等を用いることができる。
【0030】本発明の多孔性支持体に用いる熱可塑性樹
脂繊維の繊維径は強度の点から0.5〜20μmである
のが好ましく、より好ましくは1〜15μm、特に好ま
しくは1〜10μmである。なお、本発明でいう繊維径
とは、繊維断面を等価円とみなした場合の直径である。
また、繊維の断面形状は特に限定されるものではなく、
任意の断面形状のものを用いることができる。
【0031】本発明の多孔性支持体の目付量はインキ保
持性の点から、1〜20g/m2 が好ましく、より好ま
しくは2〜16g/m2 、特に好ましくは3〜14g/
2である。
【0032】本発明の多孔性支持体に用いる繊維には必
要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワッ
クス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等
を配合することができる。また、インキとの親和性を付
与するために必要に応じて繊維の表面に酸、アルカリ等
の化学処理あるいはコロナ処理、低温プラズマ処理等を
施してもよい。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支
持体とは、接着剤を用いて接着してもよいし、接着剤を
用いることなく接着してもよい。画像鮮明性の点からは
接着剤を用いることなく接着するのがより好ましい。接
着剤を用いることなく接着する手段としては、例えば、
熱接着により接着するのが好ましい。
【0034】本発明における原紙は、透過光を照射した
ときの平均透過率が50%以上であり、かつ地合指数が
1〜5の範囲にあることが肝要である。好ましくは平均
透過率が60%以上で、地合指数が2.0〜5.0の範
囲であり、特に好ましくは平均透過率が70%以上で、
地合指数が2.0〜5.0の範囲である。平均透過率が
50%未満であると、インキ転移量が不足して印刷濃度
の低い画像しか得られないので好ましくない。また、地
合指数が1〜5の範囲を逸脱するとインキ通過が不均一
になり印面に白抜けが発生したり濃淡むらが大きくなる
ので好ましくない。すなわち、原紙の平均透過率と地合
指数の両方を満足することによって、白抜け欠点がな
く、印面濃度の均一な高品質の印刷物を得ることができ
るのである。なお、平均透過率の上限は95%であるこ
とが好ましい。
【0035】原紙の平均透過率と地合指数を本発明の範
囲とする方法は特に限定されないが、多孔性支持体に薄
葉紙などの短繊維を抄造したものを用いる場合には、天
然繊維の比率をできるだけ少なくしたり、繊維径の均一
な合成繊維を用いたり、均一な断面形状の繊維を用いた
り、繊維長さや繊維径の異なるものを混合して抄造した
り、抄造時に繊維凝集を防止して均一に繊維分散させた
りすることによって得ることができるのでこれらの方法
を採用することが好ましい。
【0036】特に好ましくは、未延伸の熱可塑性樹脂フ
ィルムと未延伸の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布とを
熱接着した後、両者を同時に共延伸する方法において、
未延伸不織布の紡糸条件と、未延伸フィルムと未延伸不
織布の共延伸条件を適宜コントロールすることによって
達成することができる。この場合、未延伸の熱可塑性樹
脂フィルムは、Tダイ押出し法によって冷却ドラム上に
キャストして作製することができ、また、未延伸の熱可
塑性樹脂不織布は、メルトブロー法やスパンボンド法な
どの直接溶融紡糸法によって、紡糸条件をコントロール
することにより実質的に無配向で結晶化度の低い未延伸
不織布を作製することができる。
【0037】未延伸フィルムと未延伸不織布とを熱接着
後、共延伸して得られる感熱孔版印刷用原紙の平均透過
率と地合指数を本発明の範囲に特定するには、使用する
未延伸不織布の紡糸条件、例えば、口金温度、熱風温
度、熱風流量、捕集面温度、捕集面の吸引圧力、捕集面
の雰囲気温度等を調整するとともに、未延伸フィルムと
未延伸不織布のポリマー種の組み合わせに応じて熱接着
条件、共延伸条件、熱処理条件等を調整することによっ
て達成される。特に、未延伸不織布のポリマー粘度や繊
維の配向度と結晶化度、繊維同士の融着度合いに応じた
延伸条件の設定が重要である。具体的には、フィルムと
不織布の予熱温度と延伸温度を独立してコントロールし
たり、フィルム面よりも不織布面温度を高めに設定した
りするのが好ましい。例えば、延伸前の予熱段階でフィ
ルム面側と不織布面側に別々の遠赤外線ヒーターを用い
たり、あるいは複数の加熱ロールに接触させて予熱する
場合には、それぞれフィルム部分と不織布部分が直接接
触するロールの温度に差を設けて加熱したりするのが好
ましい。あるいはこれらを組み合わせて予熱した後に延
伸するのが好ましい。延伸時のニップ圧力は、できるだ
け低めにコントロールするのが好ましい。ニップロール
による加圧は延伸前後で別々に行ってもよいし、同時に
行ってもよい。2軸延伸の場合、縦延伸を2段階に分け
て行うのも有効である。また、テンターによる横延伸で
あれば、延伸前の予熱ゾーンにおいて、フィルム面側と
繊維面側の熱風の温度に差を設けて予熱を行った後、延
伸ゾーンで横延伸する方法も好ましい。横延伸後さらに
熱処理ゾーンにおいて、微延伸を行うのが好ましい。
【0038】本発明における原紙には、サーマルヘッド
等との融着防止のため、フィルム表面に離型剤を塗布す
るのが好ましい。離型剤としては、シリコーンオイル、
シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができ
る。これら離型剤中には、本発明の効果を阻害しない範
囲内で各種添加剤を併用することができる。例えば、帯
電防止剤、耐熱剤、耐酸化防止剤、有機粒子、無機粒
子、顔料等を用いることができる。
【0039】また、離型剤を塗布する前に必要に応じ
て、フィルムの塗布面に空気中その他種々の雰囲気中で
コロナ放電処理等を施しても良い。
【0040】[特性の測定方法] (1)原紙の平均透過率(%)および地合指数 東洋紡績(株)製イメージアナライザーV10を用い
て、原紙のフィルム面側から透過光を照射し、原紙から
30cmの高さに固定したCCDカメラで支持体面側の
画像を取り込み、該画像の濃度分布を計測して、平均透
過率、標準偏差、地合指数を以下のように定義して求め
た。画像の取り込み面積は10cm×10cmとした。
画像取り込みに際しては、照明画像の濃度(輝度)が2
55未満となるように、カメラの絞りを調整した。
【0041】 平均透過率(%)=(DSij /D0ij )×100 地合指数=(標準偏差/平均透過率)×100 ここで、DSij は試料画像の(ij)画素の濃度、D
0ij は照明画像の(ij)画素の濃度である。
【0042】(2)フィルムの厚さ(μm) 東レテクノ(株)製光干渉式厚さ計HIT−25を用い
て測定した。
【0043】(3)フィルムの融点(℃) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用い、試料5mgを採取し、室温より昇温速度20
℃/分で昇温した時の吸熱曲線のピークの温度より求め
た。
【0044】(4)繊維径(μm) 原紙の支持体側の任意の10箇所について電子顕微鏡で
倍率2000倍の写真を撮影し、1枚の写真について1
5本、合計150本の繊維の直径を測定し、その平均値
を求めた。
【0045】(5)繊維目付(g/m2 ) 原紙からフィルムを剥離し、支持体のみを20cm×2
0cmの大きさにカットして重さを測定し、m2 当たり
の重量に換算した。
【0046】(6)結晶融解エネルギー(J/g) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用いて、フィルムの融解時の面積から求める。この
面積は昇温することによりベースラインから吸収側にず
れ、さらに昇温を続けるとベースラインの位置まで戻る
までの面積であり、融解開始温度位置から終了位置まで
を直線で結び、この面積(a)を求める。同じDSCの
条件でIn(インジウム)を測定し、この面積(b)を
28.5J/gとして次式により求める。
【0047】28.5×a/b (J/g) (7)印刷画像の白抜けおよび濃淡むら 作製した原紙を理想科学工業(株)製印刷機“リソグラ
フ”(GR375)に供給して、黒地に白抜き文字の入
ったA3版原稿を用いて、製版エネルギー40μJ/ド
ットで、製版した。該製版マスターにより20枚の印刷
を行い、20枚目の印刷画像により白抜けと濃淡むらを
目視により次のように判定した。
【0048】<白抜け> 白抜けがまったくないものを○ 白抜けがわずかに見られるものを△ 白抜けが目立つものを× <濃淡むら> むらが全くないものを○ むらがわずかに見られるものを△ むらが目立つものを× とした。△が実用上使用できるレベルである。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0050】実施例1 孔径0.35mm、孔数200個の矩形紡糸口金を用い
て、口金温度280℃、熱風温度290℃、熱風流量2
00Nm3 /hで、ポリエチレンテレフタレート原料
(〔η〕=0.48、Tm=254℃)をメルトブロー
法にて紡出し、捕集距離10cm、サクション圧0.5
kPaでネットコンベア上に繊維を捕集して巻取り、目
付120g/m2 の未延伸不織布を作製した。
【0051】次いで、エチレンテレフタレート85モル
%、エチレンイソフタレート15モル%からなる共重合
ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.7、Tm=219
℃)をスクリュ径90mmの押出機を用いて、Tダイ口
金温度270℃で押出し、直径500mmの冷却ドラム
(ドラム温度50℃)上にキャストして未延伸フィルム
を作製した。
【0052】該未延伸フィルムと前記の未延伸不織布と
をそれぞれ独立して予熱し、縦延伸ロールの直前で重ね
合わせて長さ方向に3.6倍に延伸し、室温まで冷却し
た。この時、フィルムの予熱温度は90℃、不織布の予
熱温度は95℃とした。
【0053】次いで、テンター式横延伸機に送り込み、
予熱温度90℃、延伸温度95℃で幅方向に3.8倍延
伸し、さらにテンター内で120℃で熱処理してロール
状に巻き取った。フィルム面にシリコン系離型剤を塗布
して本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。得られた原紙
はフィルム厚さ1.5μm、支持体繊維の目付は10.
5g/m2 、繊維径は4.3μmであった。該原紙の平
均透過率は82.2%、地合指数は3.36であった。
画像性(白抜け、濃淡むら)の結果を表1に示す。
【0054】実施例2 実施例1において、熱風流量を100Nm3 /hとした
こと以外は実施例1と同様にして原紙を作製した。該原
紙の平均透過率は87.3%、地合指数は1.53であ
った。画像性(白抜け、濃淡むら)の結果を表1に示
す。
【0055】実施例3 実施例1において、熱風流量を300Nm3 /hとした
こと以外は実施例1と同様にして原紙を作製した。該原
紙の平均透過率は79.6%、地合指数は4.35であ
った。画像性(白抜け、濃淡むら)の結果を表1に示
す。
【0056】比較例1 実施例1において、熱風流量を50Nm3 /hとしたこ
と以外は、実施例1と同様にして原紙を作製した。該原
紙の平均透過率は91.1%、地合指数は0.81であ
った。画像性(白抜け、濃淡むら)の結果を表1に示
す。
【0057】比較例2 実施例1において、熱風流量を500Nm3 /hとした
こと以外は実施例1と同様にして原紙を作製した。該原
紙の平均透過率は78.7%、地合指数は5.29であ
った。画像性(白抜け、濃淡むら)の結果を表1に示
す。
【0058】実施例4 実施例1において、サクション圧を1.0kPaとし、
コンベア速度を減速して目付200g/m2 の未延伸不
織布を作製したこと以外は実施例1と同様にして原紙を
作製した。得られた原紙の目付量は14.6g/m2
繊維径は4.3μmであった。該原紙の平均透過率は5
3.8%、地合指数は3.57であった。画像性(白抜
け、濃淡むら)の結果を表1に示す。
【0059】比較例3 実施例4において、サクション圧を2.0kPaとした
こと以外は実施例4と同様にして原紙を作製した。該原
紙の平均透過率は47.9%、地合指数は3.68であ
った。画像性(白抜け、濃淡むら)の結果を表1に示
す。
【0060】実施例5 実施例1において、不織布を供給しないこと以外は実施
例1と同様にして、厚さ1.5μmのポリエステルフィ
ルムを作製した。
【0061】次いで、繊維径10μm、長さ10mmの
ポリエステル繊維と、繊維径5μm、長さ20mmのポ
リエステル繊維を50:50の割合で混抄し、目付12
g/m2 の薄葉紙を準備した。該薄葉紙と前記のポリエ
ステルフィルムとを酢酸ビニル樹脂を用いて貼り合わせ
た。その後、フィルム面にシリコーン系離型剤を塗布し
て感熱孔版印刷用原紙を作製した。該原紙の平均透過率
は82.3%、地合指数は2.35であった。画像性
(白抜け、濃淡むら)の結果を表1に示す。
【0062】比較例4 実施例1において、不織布を供給しないこと以外は実施
例1と同様にして、厚さ1.5μmのポリエステルフィ
ルムを作製した。
【0063】次いで、マニラ麻100%からなる目付1
0g/m2 の薄葉紙を準備した。該薄葉紙と前記のポリ
エステルフィルムとを酢酸ビニル樹脂を用いて貼り合わ
せた。その後、フィルム面にシリコーン系離型剤を塗布
して感熱孔版印刷用原紙を作製した。該原紙の平均透過
率は85.7%、地合指数は5.31であった。画像性
(白抜け、濃淡むら)の結果を表1に示す。
【0064】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1〜5は平均透過率を
50%以上とし、かつ地合指数を1〜5の範囲としたの
で白抜けと濃淡むらのない高品位な印刷物が得られた。
これに対し、地合指数が1未満の比較例1と、地合指数
が5を越えた比較例2,4は濃淡むらが目立ち、また、
平均透過率が50%未満の比較例3は白抜けが目立ち、
ともに画質の品位は低いものであった。
【0065】
【発明の効果】本発明の感熱孔版印刷用原紙は、透過光
を照射したときの平均透過率が50%以上であり、かつ
地合指数が1.0〜5.0の範囲となるように構成した
ので、本発明の原紙で印刷したものは高解像度を有し、
白抜けや濃淡むらのない高品質な印刷物が得られる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂フィルムとインキ通過性を有
    する多孔性支持体とからなる感熱孔版印刷用原紙におい
    て、該原紙に透過光を照射したときの平均透過率が50
    %以上であり、かつ地合指数が1〜5の範囲にあること
    を特徴とする感熱孔版印刷用原紙。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂フィルムとインキ通過性を有
    する多孔性支持体とからなる感熱孔版印刷用原紙におい
    て、該原紙に透過光を照射したときの平均透過率が70
    %以上であり、かつ地合指数が2.0〜5.0の範囲に
    あることを特徴とする感熱孔版印刷用原紙。
  3. 【請求項3】熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とが
    接着剤を介することなく接着されてなることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の感熱孔版印刷用原紙。
  4. 【請求項4】熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィ
    ルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の感熱孔版印刷用原紙。
  5. 【請求項5】熱可塑性樹脂フィルムの厚さが0.1〜5
    μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の感熱孔版印刷用原紙。
  6. 【請求項6】多孔性支持体が熱可塑性樹脂繊維で構成さ
    れていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載の感熱孔版印刷用原紙。
  7. 【請求項7】熱可塑性樹脂繊維がポリエステル繊維であ
    ることを特徴とする請求項6に記載の感熱孔版印刷用原
    紙。
  8. 【請求項8】熱可塑性樹脂繊維の繊維径が0.5〜20
    μmであることを特徴とする請求項6または7に記載の
    感熱孔版印刷用原紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1321308A2 (en) 2001-12-18 2003-06-25 Riso Kagaku Corporation Heat sensitive stencil sheet

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