JPH11157240A - 感熱孔版印刷用原紙 - Google Patents

感熱孔版印刷用原紙

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JPH11157240A
JPH11157240A JP32582997A JP32582997A JPH11157240A JP H11157240 A JPH11157240 A JP H11157240A JP 32582997 A JP32582997 A JP 32582997A JP 32582997 A JP32582997 A JP 32582997A JP H11157240 A JPH11157240 A JP H11157240A
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JP
Japan
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surfactant
film
thermoplastic resin
fiber
sensitive stencil
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Application number
JP32582997A
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English (en)
Inventor
Yukio Kawazu
幸雄 河津
Kenji Kida
健次 喜田
Motoyuki Suzuki
基之 鈴木
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂繊維
からなる多孔性支持体とを接着剤を介することなく積層
してなる感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性支持体
が界面活性剤を含有してなる繊維層と、界面活性剤を含
有しない繊維層とからなり、界面活性剤を含有してなる
繊維層をフィルムと反対面側に配して構成したことを特
徴とする感熱孔版印刷用原紙。 【効果】本発明の感熱孔版印刷用原紙を用いた孔版印刷
では、着版じわが起こることがなく、該原紙で印刷した
ものは画像性が良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱孔版印刷用原
紙に関する。さらに詳しくは、サーマルヘッドやレーザ
ー光線等によって穿孔製版される感熱孔版印刷用原紙に
関するものであり、特に防しわ性に優れ、画像性の良好
な印刷物が得られる感熱孔版印刷用原紙に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、感熱孔版印刷機は高解像度を目的
にサーマルヘッドのドット密度を400dpiから60
0dpiに増大したり、また、製版速度を短縮するた
め、サーマルヘッドの製版エネルギーを低減するなどの
改良が行われており、そのための高感度で高画質な感熱
孔版印刷用原紙(以下、原紙という)の提供が求められ
ている。
【0003】これらの要求に応えるため、例えば感度向
上を目的に、フィルムの融点を低くしたり、厚さを薄く
したり、また熱収縮率や熱収縮応力を大きくしたフィル
ムおよびそれを用いた原紙が開示されている。また、印
刷物の画質向上を目的に、支持体繊維を細くしたり、目
付を小さくするなどの改良が行われてきた。
【0004】しかしながら、フィルムの感度を向上して
も、支持体とフィルムとを接着剤で接着した構造の従来
原紙は、支持体中のバインダーや接着剤が部分的に凝集
物を形成してインキの通過を阻害し、印刷物に白抜け欠
点が発生するという問題があった。また、フィルムを薄
くしたり、支持体の繊維径や目付を小さくすると、フィ
ルムと支持体のラミネート時にしわが発生したり、フィ
ルムが破れたりするなどの不具合のあることがわかっ
た。
【0005】これらの問題点を解決するために、本発明
者らは特開平6−305273号公報、特開平7−18
6565号公報、特開平8−25826号公報等におい
て、未延伸のポリエステルフィルムと未延伸のポリエス
テル繊維を熱接着して2軸共延伸してなる感熱孔版印刷
用原紙を提案した。該原紙は、バインダーや接着剤をま
ったく使用することなく、薄いフィルムと支持体とを一
体化してなるので、フィルムの穿孔感度が高く、該原紙
で印刷したものは良好な画像が得られる。
【0006】しかしながら、該原紙は着版じわが発生し
易いという問題点のあることがわかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解決し、着版じわが発生することなく、
画像性の良好な印刷物が得られる感熱孔版印刷用原紙を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み、鋭意検
討した結果、原紙を構成する支持体繊維を特定すること
により達成されることを見い出し、本発明に至った。
【0009】すなわち、本発明の感熱孔版印刷用原紙
は、熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂繊維からなる
多孔性支持体とを接着剤を介することなく積層してなる
感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性支持体が界面活
性剤を含有してなる繊維層(A)と、界面活性剤を含有
しない繊維層(B)とからなり、界面活性剤を含有して
なる繊維層(A)をフィルム面と反対側に配して構成し
たことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、着版じわが発生するこ
となく、画像性の良好な感熱孔版印刷用原紙を提供する
ために、鋭意検討した結果、原紙の支持体を界面活性剤
を含有してなる繊維層(A)と、界面活性剤を含有しな
い繊維層(B)とで構成し、界面活性剤を含有してなる
繊維層(A)をフィルム面と反対側に配することによ
り、かかる課題を一挙に解決することを究明したもので
ある。
【0011】本発明の熱可塑性樹脂フィルムおよび熱可
塑性樹脂繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、それぞれの共重合体、お
よびそれらのプレンド物が挙げられるが、好ましくは、
熱可塑性樹脂フィルムおよび熱可塑性樹脂繊維のいずれ
も、ポリエステルおよびその共重合体またはブレンド物
が用いられる。ポリエステルとしては、芳香族ジカルボ
ン酸、脂肪族ジカルボン酸または脂環族ジカルボン酸と
ジオールを主たる構成成分とするポリエステルが好まし
い。ここで、芳香族ジカルボン酸成分としては例えば、
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフ
タレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフ
ェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジ
カルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン
酸等を使用することができ、中でも好ましくはテレフタ
ル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸
等を使用することができる。脂肪族ジカルボン酸成分と
しては例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、
ドデカンジオン酸等を使用することができ、中でも好ま
しくはアジピン酸等を使用することができる。また脂環
族ジカルボン酸成分としては例えば、1,4−シクロヘ
キサンジカルボン酸等を使用することができる。これら
の酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用しても
よく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を
一部共重合してもよい。また、ジオール成分としては例
えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオー
ル、1.3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1.3−
シクロヘキサンジメタノール、1.4−シクロヘキサン
ジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリアルキレングリコール、2,2′ビス
(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等
を使用することができる。中でもエチレングリコールが
好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ
用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0012】本発明の熱可塑性樹脂フィルムに用いるポ
リエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフタレ
ート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレー
トとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレンナ
フタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレー
トとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重
合体、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレ
フタレートとのブレンド等を使用することができる。穿
孔感度と延伸性の点から特に好ましくは、エチレンテレ
フタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、エ
チレンテレフタレートとエチレンナフタレートとの共重
合体等を使用することができる。
【0013】本発明における熱可塑性樹脂フィルムには
必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワ
ックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤
等を配合することができる。さらには必要に応じて易滑
性を付与することもできる。易滑性付与方法としては特
に制限はないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは
乾式シリカなどの無機粒子、アクリル酸類、スチレン等
を構成成分とする有機粒子等を配合する方法、ポリエス
テル重合反応時に添加する触媒等を析出する、いわゆる
内部粒子による方法、界面活性剤を塗布する方法等があ
る。
【0014】本発明における熱可塑性樹脂繊維に用いら
れるポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイ
ソフタレートとの共重合体等を使用することができる。
熱寸法安定性の点から特に好ましくは、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート等を使用する
ことができる。
【0015】本発明の原紙は、熱可塑性樹脂フィルムと
熱可塑性樹脂繊維からなる多孔性支持体とが、接着剤を
介することなく積層されてなる。接着剤を用いると白抜
け等が発生して画質が低下するので好ましくない。
【0016】本発明の多孔性支持体は、界面活性剤を含
有してなる繊維層(A)と、界面活性剤を含有しない繊
維層(B)とからなり、かつ界面活性剤を含有してなる
繊維層(A)をフィルム面と反対側に配して構成するこ
とが肝要である。
【0017】多孔性支持体を界面活性剤を含有してなる
繊維層(A)のみで構成したものは、白抜けが増大して
画質が低下するので好ましくない。また、多孔性支持体
を界面活性剤を含有しない繊維層(B)のみで構成した
ものは、着版じわが頻発するので好ましくない。また、
界面活性剤を含有してなる繊維層(A)をフィルム面側
に配し、界面活性剤を含有しない繊維層(B)をフィル
ム面と反対側に配して構成したものは、着版じわが改良
されず好ましくない。
【0018】本発明の界面活性剤としては、カルボン酸
塩などのアニオン界面活性剤、アンモニウム塩などのカ
チオン界面活性剤、ポリエチレングリコール型、多価ア
ルコール型等の非イオン界面活性剤等を用いることがで
き、中でもアニオン界面活性剤を好ましく用いることが
できる。
【0019】アニオン界面活性剤としては、ラウリン酸
ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムオレイン酸ナトリ
ウムなどのカルボン酸塩類、高級アルコール硫酸エステ
ル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂
肪酸エステル、硫酸化オレフィンなどの硫酸エステル塩
類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレ
ンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、イゲポン
T、エアロゾルOTなどのスルホン酸塩類、高級アルコ
ールリン酸エステル塩などのリン酸エステル塩類等を用
いることができ、中でもスルホン酸塩類を好ましく用い
ることができる。スルホン酸塩類としては、アルキルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウムなどが特に好ましく用いられる。
【0020】本発明に用いられる界面活性剤の含有量
は、紡糸安定性の点から0.1〜5wt%であるのが好
ましく、より好ましくは0.5〜3%である。
【0021】本発明の多孔性支持体において、界面活性
剤を含有してなる繊維層(A)の厚さは、多孔性支持体
全体の厚さの10%以上であるのが好ましく、より好ま
しくは20〜70%、特に好ましくは30〜60%であ
る。
【0022】本発明のポリエステル繊維は、支持体強度
の点で繊維径が好ましくは0.1〜30μmであり、よ
り好ましくは0.5〜20μmである。
【0023】界面活性剤を含有してなる繊維層(A)と
界面活性剤を含有しない繊維層(B)は、同じ繊維径で
あってもよく、異なる繊維径であってもよい。好ましく
は界面活性剤を含有する繊維層(A)の繊維が界面活性
剤を含有しない繊維層(B)の繊維より太い方が望まし
く、特に好ましくは界面活性剤を含有する繊維層(A)
を繊維径5μm以上の繊維で構成し、界面活性剤を含有
しない繊維層(B)を繊維径5μm以下の繊維で構成さ
れてなるのが、画質とのバランスの点で好ましい。
【0024】本発明における多孔性支持体全体の厚さ
は、インキ通過性の点から30〜120μmであるのが
好ましく、より好ましくは40〜100μmである。
【0025】本発明における多孔性支持体の目付は、搬
送性の点から5〜20g/m2であるのが好ましく、よ
り好ましくは8〜16g/m2である。
【0026】本発明における熱可塑性樹脂繊維の結晶化
度は、保存安定性の点から10%〜50%が好ましく、
より好ましくは20%〜50%である。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂繊維には本発明の効
果を損なわない範囲で、難燃剤、熱安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エ
ステル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン
等の消泡剤等を配合することができる。
【0028】本発明における熱可塑性樹脂繊維には、必
要に応じて繊維の表面に酸、アルカリ等の化学処理ある
いはコロナ処理、低温プラズマ処理等を施してもよい。
【0029】本発明におけるポリエステルフィルムは、
穿孔感度の点から融点が好ましくは250℃以下であ
り、より好ましくは230℃以下、特に好ましくは21
0℃以下である。
【0030】本発明における熱可塑性樹脂フィルムの厚
さは、穿孔感度および製膜性の点から0.1〜5μmで
あるのが好ましく、より好ましくは0.5〜3μm、特
に好ましくは0.5〜2μmである。
【0031】本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、
穿孔形状の安定性の点から結晶融解エネルギーが好まし
くは10〜50J/gであり、より好ましくは10〜4
0J/gである。
【0032】本発明の感熱孔版印刷用原紙の製造方法に
ついては特に限定されないが、以下の方法が特に好まし
い。
【0033】すなわち、未延伸の熱可塑性樹脂フィルム
と、界面活性剤を含有してなる未延伸の熱可塑性樹脂繊
維と界面活性剤を含有しない未延伸のポリエステル繊維
とを重ね合わせて熱接着した後、あるいは熱接着しつつ
2軸共延伸することにより製造するのがより好ましい。
【0034】本発明に用いる熱可塑性樹脂フィルムおよ
び熱可塑性樹脂繊維は、例えばポリエステルの場合は、
以下の方法で製造することができる。例えば、酸成分を
ジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応
の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去
しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成
分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成
分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合
させることによって製造する方法等がある。この際、必
要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、
アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチ
モン、ゲルマニウム、チタン化合物等を用いることもで
きる。
【0035】本発明の原紙の製造に用いる未延伸熱可塑
性樹脂フィルムは、例えば上記ポリエステルを用いて、
例えばTダイ押出し法によってポリマーを冷却ドラム上
に押し出して作製することができる。フィルムに用いる
ポリエステルの固有粘度は、好ましくは0.5以上、よ
り好ましくは0.6以上、特に好ましくは0.65以上
である。固有粘度が0.5以上であれば、製膜安定性が
良好で、特に薄いフィルムのキャストが容易となる。
【0036】本発明の原紙の製造に用いる未延伸熱可塑
性樹脂繊維は、メルトブロー法やスパンボンド法などの
直接溶融紡糸法によって不織布形態で製造することがで
きる。中でもフィルムとの共延伸性の点からメルトブロ
ー不織布がより好ましい。
【0037】熱可塑性樹脂繊維への界面活性剤の添加
は、熱可塑性樹脂の重合時に所定量の界面活性剤を添加
してもよいし、予め界面活性剤を添加して重合したマス
ターチップを紡糸前に所定の含有量になるようにブレン
ドしてから紡糸してもよい。
【0038】メルトブロー不織布に用いるポリマーの固
有粘度は、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.
45以上である。固有粘度が0.4以上であれば、紡糸
工程でショットや糸切れが発生することがなく、また、
フィルムとの共延伸時に繊維が破断したりすることがな
く好ましい。また、本発明に好ましい未延伸不織布の複
屈折は10×10-3以下、結晶化度は5%以下である。
【0039】本発明において、界面活性剤を含有してな
る繊維層(A)と界面活性剤を含有しない繊維層(B)
とを積層する方法は特に限定されるものではなく、例え
ば、メルトブロー法で紡糸した界面活性剤を含有してな
る未延伸不織布(A)と、界面活性剤を含有しない未延
伸不織布(B)を準備し、フィルムの製造工程の縦延伸
の工程で、未延伸不織布(B)をフィルム側となるよう
に重ね合わせて供給し、共延伸すればよい。また、予め
未延伸不織布(A)と未延伸不織布(B)とを熱接着し
た後、未延伸の熱可塑性樹脂フィルムと重ね合わせて共
延伸してもよい。さらにまた、不織布の紡糸工程で、界
面活性剤を含有してなる未延伸不織布(A)を紡糸した
後、その上から、界面活性剤を含有しない未延伸不織布
(B)を紡糸して未延伸の積層不織布を構成し、該積層
不織布と未延伸の熱可塑性樹脂フィルムとを重ね合わせ
て共延伸してもよい。
【0040】本発明において、未延伸の熱可塑性樹脂フ
ィルムと未延伸の熱可塑性樹脂不織布とを熱接着して両
者を同時に共延伸することにより、熱可塑性樹脂フィル
ムと熱可塑性樹脂繊維とを接着剤を介することなく接着
することができる。また、熱可塑性樹脂不織布同士も接
着剤を用いることなく接着することができるので好まし
い。
【0041】未延伸熱可塑性樹脂フィルムと未延伸熱可
塑性樹脂不織布との共延伸の方法は特に限定されない
が、2軸延伸が好ましく、逐次2軸延伸が特に好まし
い。
【0042】逐次2軸延伸の場合、通常加熱ロール群に
よる縦延伸の後、テンターにより横延伸を行うのが一般
的であるが、逆に行ってもよい。
【0043】縦延伸工程の加熱ロールの材質としては金
属、“テフロン”、セラミック、シリコンゴムなどが好
ましく用いられる。ニップロールの材質はシリコンゴム
が特に好ましい。延伸時のニップ圧力は、ロール線圧で
0.1〜100N/cmの範囲で行うのが好ましい。延
伸温度は50℃〜150℃の間が好ましく、より好まし
くは60℃〜130℃の範囲で行うのが好ましい。ま
た、延伸時の加熱を均一に行うため、熱可塑性樹脂不織
布のみを単独で予熱してから延伸ロールに供給してもよ
い。さらに、フィルムと不織布とを均一に延伸するた
め、熱接着された未延伸のフィルムと未延伸の不織布と
を延伸直前に赤外線ヒーターなどで加熱してもよい。
【0044】延伸倍率は特に限定されないが、通常好ま
しくは縦、横それぞれ2〜8倍、より好ましくは3〜8
倍が適当である。また、2軸延伸後、縦または横、ある
いは縦横に再延伸してもかまわない。
【0045】さらにその後、2軸延伸後の本発明原紙を
熱処理するのが好ましい。熱処理温度は特に限定されな
いが、100℃〜200℃の間が好ましく、処理時間は
通常0.5〜60秒程度が適当である。
【0046】また、熱処理して得られた原紙を一旦室温
程度まで冷却した後、さらに40〜90℃の比較的低温
で、5分から1週間程度エージングすることもできる。
このようなエージングを採用すると、原紙の保管時にカ
ールやシワの発生が少なく特に好ましい。
【0047】本発明における原紙には、サーマルヘッド
等との融着防止のため、フィルム表面に離型剤を塗布す
るのが好ましい。離型剤としては、シリコーンオイル、
シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、界面活性剤等からな
るものが好ましい。これら離型剤中には、本発明の効果
を阻害しない範囲内で各種添加剤を併用することができ
る。例えば、帯電防止剤、耐熱剤、耐酸化防止剤、有機
粒子、無機粒子、顔料等が挙げられる。
【0048】離型剤層の厚みは好ましくは0.005μ
m以上0.4μm以下、より好ましくは0.01μm以上
0.2μm以下である。離型剤層の厚みが0.005μm
以上であれば、原紙の走行性が良好となり、厚みが0.
4μm以下であればサーマルヘッドの汚染がない。
【0049】離型剤の塗布は、フィルムの延伸前あるい
は延伸後、いずれの段階で行ってもよい。塗布方法は特
に限定されないが、ロールコーター、グラビアコータ
ー、リバースコーター、バーコーター等を適宜用いて塗
布することができる。
【0050】また、離型剤を塗布する前に必要に応じ
て、フィルムの塗布面に空気中その他種々の雰囲気中で
コロナ放電処理等を施しても良い。
【0051】次に、本発明における特性の測定方法およ
び評価方法について説明する。
【0052】(1)繊維径(μm) 原紙支持体面の任意の10箇所について電子顕微鏡で倍
率2000倍の写真を撮影し、1枚の写真について15
本の繊維の直径を測定し、合計150本の繊維の平均値
を求めた。フィルム面側の繊維径は、原紙からフィルム
を剥離して求めた。
【0053】(2)支持体繊維層の厚さ(μm) 原紙の厚さ方向の断面を電子顕微鏡で倍率1000倍の
写真を撮影し、支持体部分の厚さを求めた。
【0054】(3)目付(g/m2) 原紙を20cm×20cmの大きさに切り出し、フィル
ムを慎重に剥離して重さを測定し、m2当たりの重量に
換算した。
【0055】(4)フィルムの厚さ(μm) 光干渉式厚さ計(東レテクノ(株)製、HIT−25)
で測定した。
【0056】(5)着版じわの評価 作製した原紙を理想科学工業(株)製印刷機“リソグラ
フ”(GR375)に供給して、機密製版による着版テ
ストを20回行い、次のように判定した。
【0057】全くしわが発生しなかったものを◎ 1回発生したものを○ 2回発生したものを△ 3回以上発生したものを× とした。△以上が実用に供するレベルである。
【0058】(6)画像性の評価 作製した原紙を理想科学工業(株)製印刷機“リソグラ
フ”(GR375)に供給して、No.8チャートを原
稿に用いて印刷し、印刷20枚目のサンプルについて、
次のように判定した。
【0059】文字、罫線にかすれのないものを○ 文字、罫線にかすれがあるが、判読できるものを△ 文字、罫線のかすれがひどく、一部判読できないものを
×とした。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳しく
説明する。
【0061】実施例1 不織布紡糸用原料として、ポリエチレンテレフタレート
原料(〔η〕=0.495、Tm=254℃)と、重合
時にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)
を6wt%添加したポリエチレンテレフタレート原料
(〔η〕=0.520、Tm=255℃)とを準備し
た。
【0062】次いでこの2種類の原料をブレンドし、孔
径0.3mmの口金を有するメルトブロー紡糸機を用い
て、口金温度290℃、熱風温度295℃、熱風流量1
50Nm3/hで、DBS含有量が1.0wt%、繊維
径は12μm、目付は60g/m2の未延伸不織布
(A)を作製した。該未延伸不織布の結晶化度は3%以
下、複屈折は0.005以下であった。
【0063】同様に、ポリエチレンテレフタレート原料
のみをメルトブロー紡糸して、繊維径6μm、目付60
g/m2のDBSを含有しない未延伸不織布(B)を作
製した。
【0064】次いで、エチレンテレフタレート86モル
%、エチレンイソフタレート14モル%からなる共重合
ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.71、Tm1=2
09℃)をスクリュ径40mmの押出機を用いて、Tダ
イ口金温度275℃で押出し、直径300mmの冷却ド
ラム(ドラム温度60℃)上にキャストして未延伸フィ
ルムを作製した。
【0065】該未延伸フィルムと上記の未延伸不織布
(A)および未延伸不織布(B)とを重ねて縦延伸機に
供給し、長さ方向に3.4倍に延伸後、室温まで冷却し
た。このとき、未延伸不織布(B)がフィルム面側とな
るように重ね合わせた。縦延伸機の予熱ロールの設定温
度は前から順番に70℃、80℃、80℃、90℃に設
定し、延伸ロールの温度は93℃、ニップ線圧は10N
/cmとした。また、延伸ロールの直前で、赤外線ヒー
ターによりフィルム面側を0.5kWで加熱した。
【0066】次いで、テンター式横延伸機に送り込み、
予熱温度90℃、延伸温度95℃で幅方向に3.7倍延
伸し、さらにテンター内で140℃で熱処理してロール
状に巻き取った。フィルム面にシリコン系離型剤を塗布
して本発明の感熱孔版印刷用原紙を作製した。
【0067】該原紙はフィルム厚さ1.6μm、支持体
の目付は11g/m2、支持体の厚さは75μmであっ
た。また、フィルム面側のDBSを含有しない繊維層の
繊維径は3μm、厚さは35μmであり、フィルムと反
対面側のDBSを含有してなる繊維層の繊維径は6μ
m、厚さは40μmであった。
【0068】実施例2 実施例1において、DBSを含有しない不織布として、
繊維径12μm、目付60g/m2の未延伸不織布
(B)を作製した以外は、実施例1と同様にして、感熱
孔版印刷用原紙を作製した。
【0069】該原紙はフィルム厚さ1.6μm、支持体
の目付は11g/m2、支持体の厚さは80μmであっ
た。また、フィルム面側のDBSを含有しない繊維層の
繊維径は6μm、厚さは40μmであり、フィルムと反
対面側のDBSを含有してなる繊維層の繊維径は6μ
m、厚さは40μmであった。
【0070】実施例3 実施例1において、DBSを含有してなる不織布とし
て、繊維径6μm、目付60g/m2 の未延伸不織布
(A)を作製した以外は、実施例1と同様にして、感熱
孔版印刷用原紙を作製した。
【0071】該原紙はフィルム厚さ1.6μm、支持体
の目付は11g/m2、支持体の厚さは70μmであっ
た。また、フィルム面側のDBSを含有しない繊維層の
繊維径は3μm、厚さは35μmであり、フィルムと反
対面側のDBSを含有してなる繊維層の繊維径は3μ
m、厚さは35μmであった。
【0072】比較例1 実施例1において、DBSを含有していないポリエチレ
ンテレフタレート原料のみをメルトブロー紡糸して、繊
維径6μm、目付120g/m2の未延伸不織布を作製
した。
【0073】次いで、実施例1と同様のキャスト条件に
て未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムと上記
の未延伸不織布とを重ねて、実施例1と同様にして感熱
孔版印刷用原紙を作製した。該原紙はフィルム厚さ1.
6μm、支持体の目付は11g/m2、繊維径は3μ
m、支持体の厚さは70μmであった。
【0074】比較例2 実施例1において、DBS含有量1%のポリエチレンテ
レフタレート原料のみをメルトブロー紡糸して、繊維径
12μm、目付120g/m2 の未延伸不織布を作製し
た。
【0075】次いで、実施例1と同様のキャスト条件に
て未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムと上記
の未延伸不織布とを重ねて、実施例1と同様にして感熱
孔版印刷用原紙を作製した。該原紙はフィルム厚さ1.
6μm、支持体の目付は11g/m2、繊維径は6μ
m、支持体の厚さは80μmであった。
【0076】比較例3 実施例1において、DBSを含有してなる未延伸不織布
(A)をフィルムと接する側に重ねて供給した以外は、
実施例1と同様にして感熱孔版印刷用原紙を作製した。
該原紙はフィルム厚さ1.6μm、支持体の目付は11
g/m2、支持体の厚さは75μmであった。また、フ
ィルム面側のDBSを含有してなる繊維層の繊維径は6
μm、厚さは40μmであり、フィルムと反対面側のD
BSを含有しない繊維層の繊維径は3μm、厚さは35
μmであった。
【0077】
【表1】
【0078】表1に示すように、界面活性剤を含有する
繊維層をフィルムと反対面側に配し、界面活性剤を含有
しない繊維層をフィルム面側に配した実施例1〜3のも
のは、着版じわが起こらず、画質が良好であった。
【0079】これに対し、多孔性支持体をすべて界面活
性剤を含有しない繊維で構成した比較例1のものは、着
版しわが頻発した。また、多孔性支持体をすべて界面活
性剤を含有した繊維で構成した比較例2のものは、着版
じわに改良が見られるものの、画質が低下した。また、
界面活性剤を含有する繊維層をフィルム面側に配し、界
面活性剤を含有しない繊維層をフィルムと反対面側に配
した比較例3のものは、着版じわ、画質ともによくなか
った。
【0080】
【発明の効果】本発明の感熱孔版印刷用原紙は、熱可塑
性樹脂繊維からなる多孔性支持体を界面活性剤を含有し
てなる繊維層と、界面活性剤を含有しない繊維層とで構
成し、かつ界面活性剤を含有してなる繊維層をフィルム
と反対面側に配して構成したので、この原紙を用いた孔
版印刷で得られる印刷物は、着版じわが起こりにくく、
画像が良好である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂繊維
    からなる多孔性支持体とを接着剤を介することなく積層
    してなる感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性支持体
    が界面活性剤を含有してなる繊維層(A)と、界面活性
    剤を含有しない繊維層(B)とからなり、界面活性剤を
    含有してなる繊維層(A)をフィルム面と反対側に配し
    て構成したことを特徴とする感熱孔版印刷用原紙。
  2. 【請求項2】繊維層(A)が、繊維径5μm以上の繊維
    で構成されていることを特徴とする請求項1記載の感熱
    孔版印刷用原紙。
  3. 【請求項3】繊維層(B)が、繊維径5μm以下の繊維
    で構成されていることを特徴とする請求項1または2記
    載の感熱孔版印刷用原紙。
  4. 【請求項4】界面活性剤がアニオン界面活性剤である請
    求項1〜3のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  5. 【請求項5】熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィ
    ルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の感熱孔版印刷用原紙。
  6. 【請求項6】熱可塑性樹脂繊維がポリエステル繊維であ
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感
    熱孔版印刷用熱可塑性樹脂フィルム。
JP32582997A 1997-11-27 1997-11-27 感熱孔版印刷用原紙 Pending JPH11157240A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003011542A (ja) * 2001-06-29 2003-01-15 Ricoh Co Ltd 感熱孔版印刷用原紙
JP2006044216A (ja) * 2004-06-28 2006-02-16 Tohoku Ricoh Co Ltd 感熱孔版印刷用マスター及びその製造方法

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