JP3617287B2 - 感熱孔版印刷用フィルムおよび感熱孔版印刷マスター - Google Patents

感熱孔版印刷用フィルムおよび感熱孔版印刷マスター Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッド、あるいはハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線等によって穿孔製版される感熱孔版印刷用フィルムおよび感熱孔版印刷マスターに関し、穿孔径のばらつきが小さく、穿孔感度、印刷性に優れ、特にサーマルヘッドによる低エネルギーでの穿孔性に優れたフィルムおよびマスターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より感熱孔版印刷マスターとしては、塩化ビニリデンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムに、天然繊維、化学繊維または合成繊維あるいはこれらを混抄した薄葉紙、不織布、紗等によって構成された多孔性支持体を接着剤で貼り合わせた構造のものが知られている(例えば、特開昭51−2513号公報、特開昭57−182495号公報など)。
【0003】
しかしながら、昨今では、印刷物に対して高い解像度が要求されており、例えばサーマルヘッドによる穿孔では高い解像度を得るために個々のヘッドを小さくしヘッド加熱周期を短かくして、単位面積当たりの穿孔数を増やす試みがなされている。そのため個々のヘッドに供給するエネルギーを低減させる必要があり、上記した熱可塑性樹脂フィルムが低エネルギーで十分に穿孔されることが必要となる。
【0004】
また、フィルム製造時やマスター作製時の生産性ならびに取扱い性が良好であることが必要である。具体的にはフィルムの延伸性が良好で、製膜工程で破断したりせず、また巻き取り性、スリット性も優れていることが必要である。
【0005】
このような問題点を解決するため、フィルムに用いられるポリマーの組成を規定したフィルム(特開平2−158391号公報、特開平7−276839号公報)、二軸延伸ポリエステルフィルムの熱的特性を規制したフィルム(特開昭62−282984号公報、特開平3−39294号公報、特開平4−224925号公報)等が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来技術では低エネルギーで穿孔した場合には穿孔が十分ではなく、また穿孔径のばらつきが大きく、文字印刷、ベタ印刷などの印刷性が低下するなどの欠点がある。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の各種問題点を解決し、穿孔径のばらつきが小さく、穿孔感度、印刷性に優れ、特にサーマルヘッドによる低エネルギーでの穿孔性に優れた感熱孔版印刷用フィルムの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者らは感熱孔版印刷用フィルムおよびマスターの機能、穿孔製版・印刷のメカニズムに着目し鋭意研究し、先に出願したL−乳酸ポリマーからなるフィルムに加え、新たにフィルムに用いる熱可塑性樹脂中のD−乳酸成分量を特定の範囲とした二軸延伸フィルムを得ることによっても、従来のフィルムの欠点を改良できることを見出し、本発明を完成したものである。すなわち本発明は、ポリ乳酸を主体とするポリマーからなる二軸延伸フィルムであって、該ポリ乳酸中のD−乳酸成分量が70モル%以上であることを特徴とする感熱孔版印刷用フィルムである。また、ポリ乳酸中のD−乳酸成分量が70モル%以上であるポリマーからなる二軸延伸フィルムと多孔性支持体とが接合されてなることを特徴とする感熱孔版印刷マスターである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱孔版印刷用フィルムに用いるポリマーは、ポリ乳酸を主体とし、ポリ乳酸中のD−乳酸成分量を70モル%以上とする必要がある。より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。このようなポリマーとしては、D−乳酸ホモポリマー、D−乳酸/L−乳酸コポリマー、D−乳酸/ヒドロキシカルボン酸コポリマー並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0010】
D−乳酸成分量を70モル%以上とすることにより、低エネルギー領域での穿孔感度に優れ、穿孔径のばらつきが小さく、文字印刷、ベタ印刷などの印刷性に優れたフィルムを得ることができる。
【0011】
本発明の感熱孔版印刷用フィルムは、二軸延伸フィルムである必要がある。未延伸フィルムでは穿孔時に溶融するものの孔は形成されにくいため穿孔感度が不良となり、またフィルムの強度が低いために耐刷性も不良となる。
【0012】
本発明の感熱孔版印刷用フィルムは、フィルム厚さ、フィルムの表面特性、すなわち中心線平均粗さ、最大粗さを後述の範囲としたとき本発明の効果がより顕著に発現するため好ましい。
【0013】
本発明のフィルム厚みは、低エネルギー穿孔性の点から0.2〜3.0μmが好ましい。またフィルム製造における製膜安定性、取扱性、低エネルギー穿孔性の点からより好ましくは0.3〜2.5μmであり、さらに好ましくは0.4〜2.0μmである。
【0014】
本発明のフィルムの中心的平均粗さ(Ra)は、0.01〜0.5μmの範囲が好ましく、製膜からマスター作成工程の安定生産性および穿孔特性、印刷鮮明性の点で0.05〜0.4μmがより好ましい。
【0015】
本発明のフィルムの最大粗さ(Rt)は、0.3〜5μmの範囲が好ましく、フィルムの取り扱い性、生産性、穿孔感度のバラツキ等の点から0.5〜4μmがより好ましい。
【0016】
また、本発明のフィルムの結晶融解エネルギー〔ΔHu〕は、温湿度の変化による寸法変化が小さくなり、取扱性、低エネルギー穿孔性が良好となる点から20〜50J/gであることが好ましく、より好ましくは30〜40J/gである。 本発明のフィルムの結晶融解温度〔Tm〕は、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。結晶融解温度を220℃以下とすることにより、穿孔開始点となる溶融部が形成しやすく穿孔感度が良好となるため好ましい。また、フィルムの組成がブレンド体である等によって、ショルダーが存在したり、複数のピークが存在する場合については、少なくとも最も低温側のショルダーまたはピークが上記範囲であることが好ましく、より好ましくは全てのショルダーまたはピークが上記範囲を満足することである。
【0017】
本発明のフィルムのガラス転移温度〔Tg〕は、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜110℃である。ガラス転移温度を50〜120℃とすることにより寸法安定性、穿孔感度が良好となるため好ましい。
【0018】
本発明の感熱孔版印刷マスターとは、フィルムと多孔性支持体とが接合されてなるものである。多孔性支持体とは、印刷インキの透過が可能で、フィルムが穿孔される加熱条件では、実質的に熱変形を起こさない天然繊維、合成繊維等を原料とした多孔質のものであり、紙、不織布、織布、またはその他の多孔体である。
【0019】
本発明のフィルムと接合される多孔性支持体は、目付量は、印刷性の点から1〜20g/mが好ましい。より好ましくは2〜16g/m、さらに好ましくは2〜14g/mである。目付量が20g/m以下であれば、インキの透過性が良好となり、印刷速度を早くしても印刷画像がかすれたりすることがない。また目付量が1g/m以上であれば、インキの保持性が良好であり、鮮明な画像が得られる優れたマスターとすることができる。
【0020】
また、多孔性支持体を構成する繊維の平均直径は、0.5〜30μmが好ましく、より好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。平均直径が30μm以下であれば、インキ透過性の均一なマスターとすることができる。また、平均直径が0.5μm以上であれば支持体として十分な強度が得られるので搬送性が良好となる。
【0021】
さらにまた、多孔性支持体を構成する繊維は全て同一直径のものであってもよいし、異なる繊維径の繊維が混繊されたものであってもよい。また、繊維径の異なる繊維からなる層を段階的に積層した多層構造としてもよい。多層構造の場合、少なくともフィルムに面した層を10μm以下の繊維で構成し、残りの層を10μm以上の繊維で構成すると画像鮮明性と支持体強度とのバランスの点でより好適である。多層構造の場合、フィルムに面した層の繊維目付量は、1〜5g/mとするのがより好ましい。
本発明のフィルムおよびマスターは以下の方法で製造することが出来る。
【0022】
本発明におけるポリ乳酸を主体とするポリマーは、次のような方法で得ることができる。原料として、D−乳酸を主体として、L−乳酸、およびグリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸類を併用することができる。またこれらのヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えばラクチド、グリコリド等を原料として使用することもできる。更にジカルボン酸類やグリコール類等も使用することができる。
【0023】
ポリ乳酸を主体とするポリマーは、上記原料を直接脱水重縮合する方法、または上記環状エステル中間体を開環重合する方法によって得ることができる。例えば直接脱水重縮合して製造する場合、乳酸類または乳酸類とヒドロキシカルボン酸類を好ましくは有機溶媒、特にフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより本発明に適した高分子量のポリマーが得られる。ポリマーの分子量は、フィルムとしての成形性等の点から重量平均分子量1万〜100万の範囲であることが好ましい。
【0024】
また、本発明のポリ乳酸を主体とするポリマーには、D−乳酸成分量が70モル%以上となる範囲内であれば、ヒドロキシカルボン酸成分を構成成分とするポリグリコール酸、ポリ酪酸、ポリヒドロキシブチレート等や、ジカルボン酸成分とグリコール成分を構成成分とするポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート等のポリエステル、またはこれらのポリエステルを主体とする共重合体等とのブレンド体であっても良い。また共重合体の場合は、ランダム共重合体でもブロック共重合体であっても良い。
【0025】
本発明におけるポリ乳酸を主体とするポリマーには、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、顔料、可塑剤、末端封鎖剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合することができる。さらには目的に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与方法としては特に制限はないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、アルミナ、ジルコニア、スピネル、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒子、アクリル酸系ポリマ類、ポリスチレン等を構成成分とする有機粒子等を配合する方法、界面活性剤を塗布する方法等がある。配合する粒子量としては、ポリマー100重量部に対して0.05〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部である。また配合する粒子の平均径としては、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜2μmである。このような粒子は、種類、平均径の異なる複数の併用であっても良い。
【0026】
本発明のフィルムは上述したポリマーを用い、二軸延伸することによって得られる。延伸方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、ステンター同時二軸延伸法、ステンター逐次二軸延伸法のいずれかの方法により二軸延伸されたものであるが、製膜安定性、厚み均一性の点でステンター逐次二軸延伸法により製膜されたものが好ましい。
【0027】
本発明のフィルムは、上述したポリマーを用いて、以下の方法によって製造することができる。ポリマーを十分に乾燥させた後、押出し機に供給して150〜300℃で溶融しTダイ押し出し法によってキャスティングドラム上に押し出すことによって未延伸フィルムを得る。キャスティングドラムへの密着方法としては静電印加法、水等の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法等のうちいずれの方法を用いても良いが、平面性が良好でかつ表面欠点の少ないフィルムを得る手法として、水等の表面張力を利用した密着キャスト法、または静電印加法とするのが特に好ましい。この時、口金のスリット幅、フィルムに用いられるポリマーの吐出量、キャスティングドラムの回転数を調整することによって、所望の厚さの未延伸フィルムを作ることができる。次いでこの未延伸フィルムを同時あるいは逐次に二軸延伸することによって、二軸延伸フィルムを製造することができる。また逐次二軸延伸の場合、その延伸順序はフィルムを長手方向、幅方向の順、あるいはこの逆としても良い。更に逐次二軸延伸においては、長手方向あるいは幅方向の延伸を2回以上行うことも可能である。フィルムの長手方向および幅方向の延伸倍率は目的とするフィルムの配向度、強度、弾性率等に応じて任意に設定することができる。好ましくは2.0〜7.0倍である。長手方向、幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、同一としても良い。また、延伸温度は用いるポリマーのガラス転移温度以上、結晶化温度以下の範囲の任意の温度とすることができる。更にフィルムを二軸延伸した後に、強度、経時安定性、収縮特性の向上を目的に熱処理を行っても良い。この熱処理は、オーブン中、加熱されたロール上等、任意の方法で行うことができる。熱処理温度は延伸温度以上、融点以下の任意の温度とすることができるが、好ましくは200℃以下である。また熱処理時間は任意とすることができるが、通常1〜60秒間行うのが好ましい。熱処理はフィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行っても良い。熱処理を行ったフィルムは、熱処理後ガラス転移温度以下まで急冷しても良く、段階的に冷却を行っても良い。
【0028】
本発明の感熱孔版印刷マスターは、上記のフィルムと多孔性支持体を接合して作ることができる。フィルムと多孔性支持体との接合は、フィルムの穿孔適性を妨げない条件であれば、接着剤等を用いて接合しても良いが、接着剤を用いずに熱圧着等の条件により接合する方法が接着剤等によってインクの透過が妨げられることがないためより好ましい。さらに好ましくはフィルムに熱可塑性樹脂からなる配向の低い不織布をフィルムの製造工程で熱圧着、共延伸することにより得る方法である。熱圧着した状態で未延伸フィルムと未延伸不織布とが一体となって延伸されることにより不織布が補強体の役目をなし、耐カール性、耐刷性が良好となり、また製造時にフィルムが破れにくく、極めて安定性に優れるため好ましい。共延伸の方法は特に限定されるものではなく、ステンター逐次二軸延伸法等のフィルムの延伸方法と同一とすることが好ましい。
【0029】
本発明のフィルムおよびマスターは、本発明の効果を阻害しない範囲で、製造工程、長期間保存時の温湿度の変化による寸法変化やカール等の変形を低減することを目的にエージング処理を施しても良い。処理温度30〜80℃で、処理時間1〜100時間程度施すことが好ましい。
【0030】
多孔性支持体を構成する繊維は、インキとの親和性を付与するために必要に応じて繊維の表面に酸、アルカリ等の化学処理あるいはコロナ処理、低温プラズマ処理等を施してもよい。
【0031】
本発明のマスターにおいては、サーマルヘッド等との融着防止のため、フィルム面に、離型剤を塗布するのが好ましい。離型剤としては、シリコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、界面活性剤、ワックス系離型剤等を用いることができる。これら離型剤中には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種添加剤を併用することができる。例えば、帯電防止剤、耐熱剤、耐酸化防止剤、有機粒子、無機粒子、顔料等が挙げられる。離型剤の塗布は、フィルムの延伸前あるいは延伸後、いずれの段階で行ってもよい。塗布方法は特に限定されないが、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーター等を用いて塗布するのが好ましい。また、離型剤を塗布する前に必要に応じて、塗布面に空気中その他種々の雰囲気中でコロナ放電処理を施しても良い。
【0032】
[特性の測定方法]
(1)フィルムの厚さ
フィルムサンプルを任意に10箇所を選び断面方向に切り出し、電子顕微鏡で倍率2000倍で写真撮影を行い、フィルムの厚さを測定した。これを10枚の写真について行い、その平均値で表した。
【0033】
(2)結晶融解エネルギー
セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220型を用い、フィルム試料5mgを採取し、窒素雰囲気下、室温より−50℃まで冷却し5分間保持した後、300℃まで昇温速度10℃/分で昇温しDSC曲線を得た。結晶融解エネルギー量は、このときの吸熱曲線のピーク面積から求めた。この面積は、昇温することによりベースラインから吸熱側にずれ、さらに昇温を続けベースラインの位置まで戻るまでの面積であり、吸熱開始温度位置から終了位置までを直線で結び、この面積(a)を求める。同じDSCの条件でIn(インジウム)を測定しこの面積(b)を28.5J/gとして次式により求めた。
【0034】
結晶融解エネルギー量=28.5×a/b(J/g)
複数のピークが存在する場合は、それぞれのピークについて求め、その総和とした。
【0035】
(3)穿孔特性
作成したマスターを理想科学工業(株)製RISOGRAPH“GR275”に供給して、サーマルヘッド式製版方式(400dpi)により、JIS第1水準の黒丸(丸で中が黒く塗りつぶされたもの)で10mmφのものを原稿として製版した。この際、サーマルヘッドに投入するエネルギーを1ドット当たり30μJとした。この状態で穿孔し、走査型顕微鏡で100倍の倍率でフィルムの穿孔部分150個を観察し、フィルムの穿孔部分の面積を測定した。1ドット当たりの穿孔面積の平均値と標準偏差を求め、穿孔特性を下記の項目で評価した。感度、ばらつきとも◎、○が実用に供し得るものである。
【0036】
A.穿孔感度
◎:平均穿孔面積が1500μm 以上のもの
○:平均穿孔面積が1000μm 以上1500μm 未満のもの
△:平均穿孔面積が500μm 以上1000μm 未満のもの
×:平均穿孔面積が500μm 未満のもの。
【0037】
B.穿孔のばらつき
ばらつき度=10×log(穿孔面積の平均値/穿孔面積の標準偏差)2
◎:ばらつき度が15以上のもの
○:ばらつき度が10以上15未満のもの
△:ばらつき度が5以上10未満のもの
×:ばらつき度が5未満のもの。
【0038】
(4)印刷鮮明性
理想科学工業(株)製テストチャートNO.8を原稿とし、400dpiのサーマルヘッドを用いて作成したマスターを製版し、黒インキで印刷サンプルを作成し、文字、画像(ベタ印刷)について下記の特性を評価した。文字印刷、べた印刷とも◎、○が実用に供し得るものである。
【0039】
A.文字印刷の鮮明性
文字の欠落、太さムラについて目視で観察し評価した。
◎:文字の欠落、太さムラが全くない
○:文字の欠落、太さムラが1箇所以上5箇所未満のもの
△:文字の欠落、太さムラが5箇所以上10箇所未満のもの
×:文字の欠落、太さムラが10箇所以上のもの。
【0040】
B.ベタ印刷の鮮明性
製版原稿を用いて印刷した100枚目の印刷物の黒ベタ部をマクベス光学式濃度計により測定し評価した。
◎:濃度が1.0以上のもの
○:濃度が0.9以上1.0未満のもの
△:濃度が0.8以上0.9未満のもの
×:濃度が0.8未満のもの。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
【0042】
実施例1
D−乳酸とL−乳酸との組成比が95:5である重量平均分子量170,000のD−乳酸ポリマーA100重量部に平均粒径1.2μmの凝集性シリカ粒子0.4重量部を加え混合後2軸押出機に供給し200℃で押し出しペレットとした。得られたペレットを120℃で減圧下3時間乾燥後、スクリュー径45mmの押出機を用いて、Tダイ口金温度210℃で押し出し、直径300mmの冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。次いで88℃の加熱ロール間で長手方向に3.5倍延伸した後、テンター式延伸機に送り込み、93℃で幅方向に3.7倍延伸し、さらにテンター内で100℃で熱処理して、厚さ1.2μmのフィルムを作製した。フィルムの結晶融解エネルギーは35.0J/gであった。
【0043】
次に、得られたフィルムに酢酸ビニルを接着剤としてマニラ麻を原料とする天然繊維100%の繊維目付量12g/mの和紙と貼り合わせ、フィルム面にシリコーン系離型剤を塗布して感熱孔版印刷マスターを作製し、評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0044】
比較例1
平均粒径1.2μmの凝集性シリカ粒子を0.4重量部含有する重量平均分子量36,000のポリエチレンテレフタレートを結晶化させ、140℃で3時間減圧下で乾燥させた後、スクリュー径45mmの押出機を用いて、Tダイ口金温度270℃で押し出し、直径300mmの冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。次いで95℃の加熱ロール間で長手方向に3.8倍延伸した後、テンター式延伸機に送り込み、98℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらにテンター内で100℃で熱処理して、厚さ2.0μmのフィルムを作製した。フィルムの結晶融解エネルギーは48.0J/gであった。
【0045】
次に、得られたフィルムに酢酸ビニルを接着剤としてマニラ麻を原料とする天然繊維100%の繊維目付量12g/mの和紙と貼り合わせ、フィルム面にシリコーン系離型剤を塗布して感熱孔版印刷マスターを作製し評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0046】
比較例2
重量平均分子量32,000のエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合ポリエステルA(共重合モル比78/22)をフィルムの原料として用い、Tダイ口金温度270℃で押し出すこと以外は実施例1と同様の方法で厚さ2.0μmのフィルムを作製した。フィルムの結晶融解エネルギーは18.7J/gであった。
【0047】
次に、得られたフィルムに酢酸ビニルを接着剤としてマニラ麻を原料とする天然繊維100%の繊維目付量12g/mの和紙と貼り合わせ、フィルム面にシリコーン系離型剤を塗布して感熱孔版印刷マスターを作製し評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0048】
実施例2
D−乳酸とL−乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸の組成比が80:5:15である重量平均分子量150,000のD−乳酸ポリマーBを用いること以外は実施例1と同様の方法で厚さ1.5μmのフィルムを作製した。フィルムの結晶融解エネルギーは30.5J/gであった。
【0049】
次に、得られたフィルムに酢酸ビニルを接着剤としてマニラ麻を原料とする天然繊維100%の繊維目付量12g/mの和紙と貼り合わせ、フィルム面にシリコーン系離型剤を塗布して感熱孔版印刷マスターを作製し評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0050】
実施例3
D−乳酸ポリマーAとD−乳酸ポリマーBをブレンド比80:20で二軸押出機にて混練したものを原料として、同様の方法で厚さ1.5μmのフィルムを作製した。フィルムの結晶融解エネルギーは33.2J/gであった。
【0051】
次に、得られたフィルムに酢酸ビニルを接着剤としてマニラ麻を原料とする天然繊維100%の繊維目付量12g/mの和紙と貼り合わせ、フィルム面にシリコーン系離型剤を塗布して感熱孔版印刷マスターを作製し評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0052】
実施例4
共重合ポリエステルAとD−乳酸ポリマーAをブレンド比20:80で二軸押出機にて混練したものを原料として、同様の方法で厚さ1.8μmのフィルムを作製した。フィルムの結晶融解エネルギーは22.6J/gであった。
【0053】
次に、得られたフィルムに酢酸ビニルを接着剤としてマニラ麻を原料とする天然繊維100%の繊維目付量12g/mの和紙と貼り合わせ、フィルム面にシリコーン系離型剤を塗布して感熱孔版印刷マスターを作製し評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0054】
比較例3
D−乳酸とL−乳酸との組成比が55:45である重量平均分子量100,000のD−乳酸ポリマーC100重量部に平均粒径1.2μmの凝集性シリカ粒子0.4重量部を加え混合後2軸押出機に供給し220℃で押し出しペレットとした。得られたペレットを実施例1と同様の方法で厚さ2.0μmのフィルムを作製した。フィルムの結晶融解エネルギーは20.3J/gであった。
【0055】
次に、得られたフィルムに酢酸ビニルを接着剤としてマニラ麻を原料とする天然繊維100%の繊維目付量12g/mの和紙と貼り合わせ、フィルム面にシリコーン系離型剤を塗布して感熱孔版印刷マスターを作製し、評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0056】
実施例5
孔径0.35mm、孔数100個の矩形紡糸口金を用いて、口金温度290℃、吐出量35g/分で重量平均分子量22,000のポリエチレンテレフタレートをメルトブロー法にて紡出し、コンベア上に繊維を捕集し、さらに70℃に加熱された金属ロール間でカレンダ処理して繊維目付量130g/mの未延伸不織布を作製した。
【0057】
実施例1と同様にしてポリD−乳酸Aを120℃で減圧下3時間乾燥後、スクリュー径45mmの押出機を用いて、Tダイ口金温度215℃で押し出し、直径300mmの冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。
【0058】
得られた未延伸フィルムに未延伸不織布を重ね、加熱ロールに供給してロール温度100℃で熱圧着した。こうして得られた積層体を、90℃の加熱ロール間で長さ方向に3.5倍延伸した後、テンター式延伸機に送り込み93℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらにテンター内で120℃で熱処理して、厚さ70μmの感熱孔版印刷マスターを作製した。マスターのフィルム面にはテンター入口部において、ワックス系離型剤をグラビアコーターを用いて乾燥後の重さで0.1g/m塗布した。得られたマスターの繊維目付量は10g/m、平均繊維径6μmであった。またフィルム単独の厚みは1.2μm、結晶融解エネルギーは37.2J/gであった。評価結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0003617287
【0060】
【発明の効果】
フィルムの組成がD−乳酸ポリマーである二軸延伸フィルムとすることにより、従来技術の問題点を解決し、穿孔径のばらつきが小さく、穿孔感度、印刷性に優れ、特にサーマルヘッドによる低エネルギーでの穿孔性に優れた感熱孔版印刷用フィルムおよび感熱孔版印刷マスターを得ることができる。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸を主体とするポリマーからなる二軸延伸フィルムであって、該ポリ乳酸中のD−乳酸成分量が70モル%以上であることを特徴とする感熱孔版印刷用フィルム。
  2. フィルムの厚さが0.2〜3μmであることを特徴とする請求項1に記載の感熱孔版印刷用フィルム。
  3. フィルムの結晶融解エネルギーが20〜50J/gであることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱孔版印刷用フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムと多孔性支持体とが接合されてなることを特徴とする感熱孔版印刷マスター。
  5. フィルムと多孔性支持体が接着剤を介することなく接合されてなることを特徴とする請求項4に記載の感熱孔版印刷マスター。
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