JP2001130162A - 感熱孔版印刷用原紙 - Google Patents

感熱孔版印刷用原紙

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JP2001130162A
JP2001130162A JP31626899A JP31626899A JP2001130162A JP 2001130162 A JP2001130162 A JP 2001130162A JP 31626899 A JP31626899 A JP 31626899A JP 31626899 A JP31626899 A JP 31626899A JP 2001130162 A JP2001130162 A JP 2001130162A
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heat
thermoplastic
sensitive stencil
film
polyester
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JP31626899A
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English (en)
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Yasuhiko Matsukuma
靖彦 松隈
Kenji Kida
健次 喜田
Yukio Kawazu
幸雄 河津
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】原稿に対して、長手方向に印刷画像の収縮がな
い感熱孔版用原紙を提供すること。 【解決手段】熱可塑性フィルムと、熱可塑性繊維からな
る多孔性支持体とで構成された感熱孔版印刷用原紙にお
いて、熱可塑性フィルム面側とソーダガラス面における
動摩擦係数が0.05〜0.4である感熱孔版印刷用原
紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーマルヘッドあ
るいはレーザー光線等のパルス的照射によって穿孔製版
される感熱孔版印刷用原紙に関し、特に原稿に対して長
手方向に印刷画像の収縮のない、印刷性に優れた感熱孔
版印刷用原紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】感熱孔版印刷は、インキ透過性の多孔性
支持体に熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせたものを原
紙として用い、サーマルヘッドによって熱可塑性樹脂フ
ィルムを加熱溶融せしめて穿孔製版し、該穿孔部に多孔
性支持体側から印刷インキを浸出せしめて印刷用紙に印
刷するものである。
【0003】近年、感熱孔版印刷機では高精細印刷や高
速製版の要求に応えるため、サーマルヘッドのドット密
度を増大したり製版エネルギーを低減するなどの改良が
行なわれており、そのための高感度な感熱孔版印刷用原
紙が求められている。このとき、同時に原紙には、良好
な搬送性や白抜け(印刷物の黒べた部に発生する白い印
刷欠点)が少ないというような良好な印刷性が望まれて
いる。
【0004】従来、感熱孔版印刷用原紙としては、ポリ
エステル系フィルム、塩化ビニリデン系フィルム等の熱
可塑性樹脂フィルムに、天然繊維、化学繊維または合成
繊維あるいはこれらを混抄した薄葉紙、不織布、紗等に
よって構成された多孔性支持体を接着剤で貼り合わせた
構造のものが知られている(例えば、特開昭51−25
13号公報や特開昭57−182495号公報など)。
【0005】しかしながら、これらの感熱孔版印刷用原
紙は、印刷画像の鮮明性の点で必ずしも満足のいくもの
ではなかった。その理由としては種々考えられるが、そ
の一つは多孔性支持体を構成する繊維に起因するもので
ある。すなわち、従来から使用されている薄葉紙は、繊
維が太くて不均一であり、かつ偏平であるため、インキ
の透過性が不均一になりやすく、特にフィルムの穿孔部
分に存在する繊維によってインキの透過が阻害され、印
字がかすれたり、ベタ印刷で白抜けが発生するなどの欠
点があった。
【0006】これらの欠点を改良するため、天然繊維か
らなる薄葉紙の代わりに、ポリエステル繊維やポリプロ
ピレン繊維などの合成繊維を主体とする抄造紙や不織布
を用いて、多孔性支持体の繊維を細くしたり、繊維の目
付量をできるだけ少なくするなどの提案がなされている
(例えば、特開昭59−2896号公報、特開昭59−
16793号公報および特開平2−67197号公報な
ど)。
【0007】また、印刷性を改良するには、熱可塑性樹
脂フィルムの穿孔感度を向上させることが有効であり、
そのためフィルムの厚さをできるだけ薄くした感熱孔版
印刷用原紙も提案されている。
【0008】しかしながら、支持体の繊維を細くした
り、目付量を少なくしたり、またフィルムの厚さを薄く
することにより、画像鮮明性は向上させることはできる
ものの、搬送時に印刷機内で詰まりを生じたり、穿孔し
た原紙を印刷ドラムに巻き付けたときにシワが発生し
て、そのシワによる印刷欠点で印刷品位を低下してしま
うという欠点があった。
【0009】また、特開平6−305273号公報に
は、未延伸のポリエステルフィルムと未延伸のポリエス
テル繊維とを共延伸して原紙を得る提案が開示されてい
る。さらに特開平8−85272号公報には、高温のソ
ーダガラスとの静摩擦係数を規定した原紙も提案されて
いる。これらの原紙はいずれも接着剤を使用する必要が
なく印刷したとき白抜けなどの欠点が少ないという特性
を有しているが、印刷画像が原稿に対して長手方向に収
縮してしまうという問題のあることがわかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来原紙に
おける前記のような問題点を解決し、特に長手方向に印
刷画像の収縮のない、印刷性に優れた感熱孔版印刷用原
紙を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、原紙のフィルム表面とソーダ
ガラスとの間の動摩擦係数を特定の範囲とすることによ
って上記問題が解決されることを見い出し本発明に至っ
た。
【0012】すなわち、本発明の感熱孔版印刷用原紙
は、熱可塑性フィルムと、熱可塑性繊維からなる多孔性
支持体とで構成される感熱孔版印刷用原紙において、該
感熱孔版印刷用原紙を構成する熱可塑性フィルム面のソ
ーダガラス面に対する動摩擦係数が0.05〜0.4で
あることを特徴とする感熱孔版印刷用原紙である。
【0013】本発明の感熱孔版印刷用原紙はまた、熱可
塑性フィルムの厚さが、0.1〜3μmであること、熱
可塑性フィルムがポリエステルフィルムであること、熱
可塑性繊維がポリエステル繊維であること、および熱可
塑性フィルムと多孔性支持体とが接着剤を介することな
く接合されていることを、好ましい態様として有してい
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の感熱孔版印刷用原紙にお
いては、感熱孔版印刷用原紙の熱可塑性フィルム面とソ
ーダガラス面との動摩擦係数が0.05〜0.4である
ことが肝要である。好ましくは動摩擦係数が0.05〜
0.3である。動摩擦係数を0.05〜0.4とするこ
とにより、原稿に対して長手方向の印刷画像の収縮がな
く、印刷性に優れた感熱孔版印刷用原紙を得ることがで
きるようになる。
【0015】熱可塑性フィルム面側とソーダガラスにお
ける動摩擦係数が0.4を超えるか、0.05未満のと
きは、長手方向の印刷画像の収縮を生じるため好ましく
ない。 ここで動摩擦係数とは、ソーダガラスと熱可塑
性フィルム面との動摩擦係数をASTM−D1894に
準じて測定した値である。
【0016】本発明の感熱孔版印刷用原紙において、該
原紙の長手方向に平行な引張弾性率をEx(N/mm2)、
幅方向に平行な引張弾性率をEy(N/mm2)としたと
き、Ex+Ey≧450であることが、穿孔製版後の搬送
に耐え得るだけの強度があるため好ましい。より好まし
くはEx+Ey≧500である。
【0017】本発明で用いられる熱可塑性フィルムの厚
さは、感度と製膜安定性の点から好ましくは0.1〜3
μm、より好ましくは0.2〜2.5μm、特に好まし
くは0.3〜2.2μmである。
【0018】本発明における熱可塑性フィルムの材料と
しては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
それぞれの共重合体、およびそれらのブレンド物等が挙
げられるが、好ましくはポリエステル、その共重合体ま
たはブレンド物が用いられる。なかでも、フィルムの穿
孔の点でポリエステルフィルムが好ましい。
【0019】本発明のポリエステルフィルムの製造に用
いられるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または
脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする
ポリエステルである。
【0020】ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例
えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4
−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカル
ボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−
ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ビフェニルエーテ
ルジカルボン酸、4,4′−ビフェニルスルホンジカル
ボン酸等を用いることができる。中でも好ましくはテレ
フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分と
しては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン
酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これら
の酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用しても
よく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を
一部共重合してもよい。
【0021】また、ジオール成分として例えば、エチレ
ングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プ
ロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブ
タンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シ
クロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジ
メタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリア
ルキレングリコール、2,2′−ビス(4′−β−ヒド
ロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることがで
きる。中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオールが好ましく用いられ
る。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2
種以上併用してもよい。
【0022】本発明におけるポリエステルフィルムを構
成するポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテ
レフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソ
フタレートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエ
チレンナフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレ
フタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレート
との共重合体、ポリエチレンテレフタレートとポリブチ
レンテレフタレートとのブレンド等を挙げることができ
る。特に好ましくは、エチレンテレフタレートとエチレ
ンイソフタレートとの共重合体、エチレンテレフタレー
トとエチレンナフタレートとの共重合体等である。
【0023】本発明の多孔性支持体を構成する熱可塑性
繊維は、曳糸性のある熱可塑性樹脂から構成されるもの
である。具体的には、例えばポリエステルや、ポリエチ
レン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや、ポリフ
ェニレンサルファイド、ナイロン6、ナイロン66など
のポリアミドが挙げられる。
【0024】また、本発明では、繰り返し単位の25%
を上限として第3成分を添加しあるいは共重合したもの
であってもよい。添加可能な第3成分としては、例えば
酸化チタンに代表される無機粒子、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウムなどに代表される制電剤等を用いる
ことができる。また、共重合可能な成分としては、イソ
フタル酸等が使用できる。
【0025】本発明の多孔性支持体としては、ポリエス
テル繊維からなる多孔性支持体が、紡糸性、強伸度特性
等の観点から特に好ましく用いられる。用いられるポリ
エステルとしては、熱可塑性フィルムと同様、芳香族ジ
カルボン酸、脂肪族ジカルボン酸または脂環族ジカルボ
ン酸とジオールを主たる構成成分とするものである。好
ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシク
ロヘキサンジメチレンテレフタレート、エチレンテレフ
タレートとエチレンイソフタレートとの共重合体等を挙
げることができる。穿孔時の熱安定性の点から特に好ま
しくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレートである。
【0026】本発明の多孔性支持体の構造としては、イ
ンクが表から裏へ通過するものであれば特に限定するも
のではない。本発明で好適に用いられる多孔性支持体
は、繊維、好ましくは熱可塑性繊維で構成される。その
形態、構造は多様であり、具体的に例えば、不織布や織
編物等が用いられる。
【0027】本発明の熱可塑性繊維からなる多孔性支持
体の目付量は、好ましくは2〜20g/m2であり、よ
り好ましくは3〜15g/m2、特に好ましくは5〜1
0g/m2である。目付量が2〜20g/m2であるとイ
ンクの透過性が良好で画像性、印刷性が良い。また、目
付量が5〜20g/m2では、さらに十分な強度が得ら
れる。
【0028】本発明の多孔性支持体を構成する熱可塑性
繊維の平均繊維径は、好ましくは1〜20μmであり、
より好ましくは2〜15μm、特に好ましくは3〜10
μmである。平均繊維径が1〜20μmであると十分な
強度と耐熱性が得られ、インクの透過性が良好であり、
印刷時の白抜け発生が少なく好ましい。
【0029】本発明の多孔性支持体においては、多孔性
支持体を構成する熱可塑性繊維が、全て同一繊維径であ
ってもよく、異なる繊維径の繊維が混繊されたものであ
ってもよい。また、多孔性支持体は単層構造に限らず、
平均繊維径の異なるものを段階的に積層した多層構造と
してもよい。
【0030】本発明の感熱孔版印刷用原紙の製造法を、
以下に説明する。
【0031】本発明において熱可塑性フィルムと熱可塑
性繊維を構成する熱可塑性の樹脂は、具体的には、例え
ばポリエステルや、ポリオレフィンや、ポリアミドを用
いることができる。中でもポリエステルを用いてなる熱
可塑性の樹脂が、紡糸性、強伸度特性等の観点から最も
好ましく、熱可塑性の樹脂の製造法をポリエステルの場
合を例に挙げて更に詳しく説明する。
【0032】ポリエステルをの製造方法としては、例え
ば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた
後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオー
ル成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する
方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これ
とジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と
同様に重縮合させることによって製造する方法等があ
る。この際、必要に応じて、反応触媒としてアルカリ金
属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、ア
ンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物を用いることも
できる。
【0033】本発明におけるポリエステルには、必要に
応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、顔料、脂肪酸エステル、ワックス等の
有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合す
ることができる。さらには易滑性を付与するために、例
えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、
カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなどの無機
粒子や、アクリル酸系ポリマ類、ポリスチレン等を構成
成分とする有機粒子等を配合することもできる。また、
ポリエステル重合反応時に添加する触媒等が失活して形
成される、いわゆる内部粒子により易滑性を付与する方
法も用いることができる。
【0034】本発明の感熱孔版印刷用原紙は、熱可塑性
フィルムと熱可塑性繊維からなる多孔性支持体とをフィ
ルムの穿孔特性を妨げない条件で接着剤により接着する
方法や接着剤を介することなく接合する方法により作製
することができるが、印刷品位の点から接着剤を介する
ことなく接合されてなることがより好ましい。
【0035】本発明において、熱可塑性フィルムと熱可
塑性繊維からなる多孔性支持体を接着剤を介することな
く接合する方法は、特に限定されるものではないが、未
延伸の熱可塑性フィルムと未延伸の熱可塑性繊維からな
る不織布を熱圧着して共延伸することが好ましい。
【0036】本発明において未延伸の熱可塑性フィルム
は、例えば、Tダイ押出し法により製造することができ
る。これは、熱可塑性の樹脂をキャストドラム上に押し
出すことによって未延伸の熱可塑性フィルムとする方法
であり、口金のスリット幅、ポリマーの吐出量、キャス
トドラムの回転数を調整することによって、所望の厚さ
の未延伸の熱可塑性フィルムとすることができる。
【0037】熱圧着は未延伸の熱可塑性フィルムをキャ
スト化した後、延伸工程の前段階で行なうのが好まし
い。熱圧着温度は50℃から未延伸の熱可塑性繊維のガ
ラス転移温度(Tg)+20℃の間が好ましい。
【0038】次いで、熱圧着した未延伸の熱可塑性フィ
ルムと未延伸の熱可塑性繊維からなる不織布とを共延伸
する。熱圧着した状態で共延伸することにより、フィル
ムと不織布とが一体となって延伸される。また、両者を
一体で共延伸することにより熱可塑性繊維からなる不織
布が多孔性支持体として補強体の役目をなし、熱可塑性
フィルムが破れたりすることがなく極めて安定に製膜す
ることができる。
【0039】本発明において、上述の共延伸するとは不
織布をフィルムと積層することにより重ねた後に、両者
を共に延伸に供することをいう。
【0040】共延伸の方法は、フィルムの穿孔感度向上
および熱可塑性繊維からなる不織布を形成する繊維の均
一分散性の点で二軸延伸が好ましい。二軸延伸は、逐次
二軸延伸法または同時二軸延伸法のいずれの方法であっ
てもよい。逐次二軸延伸法の場合、縦方向、横方向の順
に延伸するのが一般的であるが、逆の順序で延伸しても
よい。延伸温度は、延伸に用いる熱可塑性繊維のガラス
転移温度(Tg)と昇温結晶化温度(Tcc)との間で
あることが好ましい。また、延伸倍率は特に限定される
ものではなく、用いられる熱可塑性フィルム用ポリマー
の種類や感熱孔版印刷用原紙に要求される穿孔感度等に
よって適宜決定されるが、縦横それぞれ2〜5倍程度が
適当である。また、二軸延伸後、縦または横あるいは縦
横に再延伸してもかまわない。
【0041】上記の未延伸の熱可塑性繊維からなる不織
布は、熱可塑性樹脂を用いて、メルトブロー法やスパン
ボンド法などの直接溶融紡糸法によって製造することが
できる。これらの方法によって得られる不織布は、配向
の低い未延伸状態の熱可塑性繊維からなる不織布であ
る。用いられるポリマの固有粘度は好ましくは0.30
以上のもの、より好ましくは0.40以上である。
【0042】メルトブロー法において、未延伸の熱可塑
性繊維からなる不織布は、溶融したポリマーを口金に列
状に配列した複数個のオリフィスから吐出するに際し
て、前記オリフィス列の両側に設けられたスリットから
熱風を吹き付け該熱風によって吐出したポリマーを細繊
度化せしめ、次いでしかるべき位置に配置したネットコ
ンベア上に吹き付けて捕集しウエブを形成して製造され
る。該熱可塑性繊維は、溶融状態から室温雰囲気下に急
冷されるため非晶質に近い状態で固化し、熱風の圧力で
細繊度化されるが延伸はされず、いわゆる無配向に近い
状態である。また、繊維は互いに融着した状態で捕集さ
れ、口金とネットコンベア間の捕集距離を適宜調整する
ことによって、繊維の融着度合いを調整することがで
き、ポリマー吐出量、熱風温度、熱風流量、コンベア移
動速度等を適宜調整することにより、不織布の目付量や
繊維径を任意に設定することができる。このようにして
得られる不織布は、繊維径が均一ではなく太い繊維と細
い繊維がほどよく分散した状態の繊維からなるものであ
る。
【0043】同様にスパンボンド法では、未延伸の熱可
塑性繊維からなる不織布は、口金から吐出したポリマー
をエアエジェクターによって牽引し、得られたフィラメ
ントを衝突板に衝突させて繊維を開繊し、コンベア上に
捕集してウエブを形成して製造される。ポリマー吐出
量、コンベア速度を適宜設定することにより、不織布の
目付量を任意に設定できる。また、エジェクターの圧力
と流量を適宜調整することにより、フィラメントの分子
配向状態、ポリマーの結晶性を任意に調整することがで
きる。
【0044】さらにその後、共延伸した熱可塑性フィル
ムと熱可塑性繊維からなる不織布に熱処理を施すことが
好ましい。また、このように処理して得られたものを一
旦室温程度まで冷却した後、さらに40〜90℃の比較
的低温で、5分から1週間程度エージングすることもで
きる。このようなエージングを採用すると、感熱孔版印
刷用原紙の保管時あるいは印刷機の中でのカール、シワ
の発生が少なく特に好ましい。
【0045】本発明の感熱孔版印刷用原紙の熱可塑性フ
ィルム面とソーダガラス面との動摩擦係数を0.05〜
0.4とする方法は、特に限定されるものではないが、
フィルムのサーマルヘッドに接触すべき片面に穿孔時の
融着を防止することと印刷機内での搬送が円滑になるよ
うにフィルム面に離型剤からなる薄層を設けその種類、
組成比、塗布量を調整することで達成できる。
【0046】例えば、動摩擦係数を0.25とする場合
の手法の一つとして、特に限定されるものではないが、
逐次2軸延伸の横延伸前で塗剤の組成をアミノ変性シリ
コーンを3.75重量%、ヒドロキシアルキルスルホン
酸アンモニウム塩を1.0重量%含んだ塗剤をグラビア
コーターを用い0.08g/m2で塗布し、その後水分
を除去することで動摩擦係数を0.25に近付けること
が可能であり、更に動摩擦係数を低くしようとする場合
には、アミノ変性シリコーンを5.0重量%に増やす等
の方法をとることにより、動摩擦係数を下げることが可
能である。
【0047】使用する離型剤としてはシリコーンオイ
ル、シリコーン系樹脂、石油系ワックス、植物性ワック
ス、動物性ワックス、フッ素系樹脂、界面活性剤、帯電
防止剤、耐熱剤、酸化防止剤、有機粒子、無機粒子、顔
料、分散助剤、防腐剤、消泡剤等からなる薄層を設ける
のが好ましく、シリコーンオイル、界面活性剤、帯電防
止剤がより好ましく用いられる。
【0048】該融着防止の離型剤の薄層の厚みは好まし
くは0.005〜0.4μm、より好ましくは0.01
〜0.4μmである。
【0049】本発明の感熱孔版印刷用原紙において融着
防止の離型剤の薄層を設ける場合には塗液は水に溶解、
乳化または懸濁した塗液の状態で塗布し、その後水を乾
燥等によって除去する方法が好ましい。塗布は、フィル
ムの延伸前あるいは延伸後いずれの段階で行なってもよ
い。
【0050】本発明の効果をより顕著に発現させるため
には、縦延伸後に横延伸するような逐次2軸延伸を行う
場合は横延伸前に、また同時2軸延伸を行う場合には延
伸前に塗布するのが特に好ましい。塗布方法は特に限定
されないが、ロールコーター、グラビアコーター、リバ
ースコーター、バーコーター等を用いて塗布するのが好
ましい。また、融着防止の薄層を設ける前に必要に応じ
て塗布面に空気中、その他種々の雰囲気中でコロナ放電
処理等の活性化処理を施してもよい。
【0051】<特性の測定方法> (1)熱可塑性フィルム面とソーダガラス面との動摩擦
係数μd 原紙を長手方向100mm、幅方向75mmに切り出
し、東レエンジニアリング(株)製スリップテスターを
用いて中心線平均粗さ0.01μm以下のソーダガラス
面に対して、フィルム面が接するように置き、多孔性支
持体面に200gの荷重(これを面圧Fpとする)をの
せ150mm/分で走行させたときのせん断応力をFd
とすると次式から求められる。
【0052】μd=Fd/Fp なお、測定は室温23℃、相対湿度50%の条件に置い
て測定した。
【0053】(2)引張弾性率:原紙の長手方向、幅方
向にそれぞれ幅1.5cm、長さ15cmにカットした
短冊状のサンプルをそれぞれ10枚採取した。サンプル
を東洋測機製テンシロン引張試験機で、試験長10cm
で把持し速度1cm/分で引っ張り、荷重−伸びの関係
を記録する。荷重−伸びの初期の直線部分からそれぞれ
弾性率を求め、各方向についてサンプル数10個の平均
で表した。
【0054】(3)目付量:感熱孔版印刷用原紙から熱
可塑性フィルムを注意深く剥離し、多孔性支持体を20
×20cmに切り取りその重量を測定して1平方メート
ル当たりの重量に換算した値である。
【0055】(4)厚さ:不織布および感熱孔版印刷用
原紙の厚さは、尾崎製作所(株)製のダイアル厚み計P
EACOCK−H型を用いて測定した。
【0056】(5)融点(Tm)、ガラス転移温度(T
g)、昇温結晶化温度(Tcc):セイコー電子工業
(株)製示差走査熱量計RDC220型を用い、試料5
mg採取し、室温より昇温速度20℃/分で昇温した。
その際に、ガラス状態からゴム状態への転移に基づく比
熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平
行移動する形で感知される。かかる屈曲点以下の温度で
のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大と
なる点の接線との交点を屈曲の開始点とし、この温度を
ガラス転移温度(Tg)とした。また、結晶化に基づく
発熱曲線のピーク値を昇温結晶化温度(Tcc)、結晶
融解に基づく吸熱曲線のピーク値を融点(Tm)とし
た。
【0057】(6)固有粘度[η]:試料を105℃で
20分間乾燥した後、0.1±0.005gを秤量し、
o−クロロフェノール10×10-63 中で100℃で
15分間撹拌し溶解した。冷却後、ヤマトラボティック
AVM−10S型自動粘度測定器により25℃における
粘度を測定し、比粘度ηspを求め次式のハギンスの式よ
り算出した。
【0058】ηsp/c=[η]+k’[η]2c (ただし、k’=0.343、cは溶液1×10-43
中に溶解したg数で表した濃度である。) (7)平均繊維径:平均繊維径は、不織布または感熱孔
版印刷用原紙から熱可塑性フィルムを注意深く剥離した
多孔性支持体の任意の10箇所を電子顕微鏡で倍率10
00倍で10枚の写真撮影を行ない、1枚の写真につき
任意の10本の繊維の直径を測定しこれを10枚の写真
について行ない、合計100本の繊維径を測定してその
平均値を表したものである。
【0059】(8)画像収縮作製した原紙を理想科学工
業(株)製印刷機”リソグラフ”GR377に供給し、
RISO TEST CHART No.8を原稿に用い
て製版、20枚の印刷を行ない、原稿において長手方向
に280mmの間隔をもって離れた罫線に対応する20
枚目の印刷物の画像の罫線の長手方向の間隔を測定し、
下記の基準に従い判定した。 ○:収縮率1%未満 △:収縮率1%〜3% ×:収縮率3%以上 ○、△が実用に供するものである。
【0060】
【実施例】(実施例1)孔径0.30mm、孔数130
個、オリフィスが一列の矩形紡糸口金を用いて、口金温
度285℃、吐出量0.4g/分・孔、熱風流量0.0
77Nm3/分、熱風温度345℃で、ポリエチレンテ
レフタレート原料(固有粘度=0.494)をメルトブ
ロー法にて紡出し、コンベア上に繊維を捕集温度100
℃で捕集して目付量90g/m2のポリエステル繊維か
らなる不織布(多孔性支持体)を作製した。得られた不
織布を構成するポリエステル繊維の平均繊維径は、7.
8μmであった。
【0061】次いで、エチレンテレフタレートとエチレ
ンイソフタレートとの共重合体でエチレンイソフタレー
ト共重合量が14モル%である原料を、ホッパーに供給
した後スクリュー径40mmの押出機を用いて、Tダイ
口金温度270℃で押出し、直径600mmの冷却ドラ
ム(60℃)上にキャストして未延伸ポリエステルフィ
ルムを作製した。
【0062】該未延伸ポリエステルフィルム上に、前記
のポリエステル繊維からなる不織布を重ね、加熱ロール
に供給してロール温度75℃で熱圧着し積層シートとし
た。このようして得られた積層シートのポリエステルフ
ィルム面を85℃で予熱し、次いでポリエステル繊維か
らなる多孔性支持体面を95℃で予熱した後に、95℃
に加熱されたシリコーンゴム製の延伸ロール(加圧ロー
ル圧力1.0N/cm)で、長さ方向に4.5倍延伸し
た。これをさらにテンター式延伸機に送り込み、95℃
で幅方向に4.0倍延伸した。さらにテンター内部で1
40℃で5秒間熱処理して、厚さ68μmの感熱孔版印
刷用原紙を作製した。
【0063】得られた感熱孔版印刷用原紙のポリエステ
ルフィルムのフィルム厚さは、1.6μmであった。次
いで、該感熱孔版印刷用原紙のポリエステルフィルム面
にテンター入口部で、アミノ変性シリコーン5.0重量
%、ヒドロキシアルキルスルホン酸アンモニウム塩1.
0重量%を含んだ水溶液の塗剤を、グラビアコーターを
用いて、延伸乾燥後の重さで0.1g/m2塗布した。
得られた感熱孔版印刷用原紙の多孔性支持体を構成する
ポリエステル繊維の平均繊維径は3.4μmであり、目
付量は6.7g/m2であった。また、該原紙のフィル
ム面とソーダガラスとの動摩擦係数は0.147であ
り、画像収縮は表1に示したように○であり良好であっ
た。
【0064】(実施例2)延伸倍率を長さ方向3.5
倍、幅方向3.75倍とし、塗剤成分をアミノ変性シリ
コーン2.5重量%、ヒドロキシアルキルスルホン酸ア
ンモニウム塩1.0重量%、石油系ワックス2.5重量
%を含んだ水溶液を用い、実施例1と同様に感熱孔版印
刷用原紙を作製した。
【0065】得られた感熱孔版印刷用原紙の多孔性支持
体を構成するポリエステル繊維の平均繊維径は3.7μ
mであり、目付量は9.3g/m2であった。また、該
原紙のフィルム面とソーダガラスとの動摩擦係数は0.
347であり、画像収縮性は表1に示したように△であ
り実用に供するものであった。
【0066】(実施例3〜5、比較例1〜6)塗剤成分
および塗布量を表1に示したように変更した以外は、実
施例1と同様に感熱孔版印刷用原紙作製した。得られた
感熱孔版印刷用原紙の評価の結果を表1に示したが、本
発明の原紙は画像収縮が小さいことがわかる。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、原稿に対して長手方向
に印刷画像の収縮のない、印刷性に優れた感熱孔版印刷
用原紙が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H114 AB23 AB24 BA06 DA01 DA14 DA41 DA51 DA56 DA73 DA76 FA01 FA06 FA12 4F071 AA15 AA15B AA20 AA20B AA24 AA24B AA43 AA43B AA54 AA54B AF28 AF61 AH19 BC01 BC12 CA03 CD06 CD07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性フィルムと、熱可塑性繊維から
    なる多孔性支持体とで構成された感熱孔版印刷用原紙に
    おいて、該感熱孔版印刷用原紙を構成する熱可塑性フィ
    ルム面のソーダガラス面に対する動摩擦係数が0.05
    〜0.4であることを特徴とする感熱孔版印刷用原紙。
  2. 【請求項2】 熱可塑性フィルムの厚さが、0.1〜3
    μmであることを特徴とする請求項1に記載の感熱孔版
    印刷用原紙。
  3. 【請求項3】 熱可塑性フィルムがポリエステルフィル
    ムであることを特徴とする請求項1または2に記載の感
    熱孔版印刷用原紙。
  4. 【請求項4】 熱可塑性繊維がポリエステル繊維である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱
    孔版印刷用原紙。
  5. 【請求項5】 熱可塑性フィルムと多孔性支持体とが接
    着剤を介することなく接合されていることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021500437A (ja) * 2017-10-22 2021-01-07 コーニット・デジタル・リミテッド インクジェット印刷による低摩擦画像
US11898048B2 (en) 2009-08-10 2024-02-13 Kornit Digital Ltd. Inkjet compositions and processes for stretchable substrates

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JP2021500437A (ja) * 2017-10-22 2021-01-07 コーニット・デジタル・リミテッド インクジェット印刷による低摩擦画像
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