JPH11147381A - 感熱孔版印刷用原紙 - Google Patents

感熱孔版印刷用原紙

Info

Publication number
JPH11147381A
JPH11147381A JP31876997A JP31876997A JPH11147381A JP H11147381 A JPH11147381 A JP H11147381A JP 31876997 A JP31876997 A JP 31876997A JP 31876997 A JP31876997 A JP 31876997A JP H11147381 A JPH11147381 A JP H11147381A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
heat
fiber
base paper
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31876997A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Kida
健次 喜田
Seizo Aoki
精三 青木
Hideyuki Yamauchi
英幸 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP31876997A priority Critical patent/JPH11147381A/ja
Publication of JPH11147381A publication Critical patent/JPH11147381A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】ポリエステルフィルムの片面にポリエステ
ル繊維からなる多孔性支持体が接着剤を介することなく
接着されてなる感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性
支持体の繊維に離型性成分を存在させてなることを特徴
とする感熱孔版印刷用原紙。 【効果】高感度で、印刷時のトラブルや白抜けなどの印
刷欠点の少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感熱孔版印刷用原紙に
関する。さらに詳しくは、サーマルヘッドやレーザー光
線等によって穿孔製版される感熱孔版印刷用原紙に関す
るものであり、特に高感度で、印刷時のトラブルや白抜
けなどの印刷欠点の少ない感熱孔版印刷用原紙に関す
る。
【0002】
【従来の技術】感熱孔版印刷は、インキ透過性の多孔性
支持体に熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせたものを原
紙として用い、センサーで読み取った原稿の画像をデジ
タル信号としてサーマルヘッドに送り、サーマルヘッド
の発熱によって熱可塑性樹脂フィルムを加熱溶融せしめ
て穿孔製版し、該穿孔部に多孔性支持体側から印刷イン
キを浸出せしめて印刷用紙に印刷するものである。
【0003】近年、感熱孔版印刷機は従来の複写機やオ
フセット印刷に対抗するため、高速製版性や高精細印刷
が強く求められている。これらの要求に応えるため、サ
ーマルヘッドの製版エネルギーを低減したり、ドット密
度を増大したりするなどの改良が行われており、そのた
めの高感度で高精細に適応した原紙の実現が求められて
いる。
【0004】従来より感熱孔版印刷用原紙としては、ア
クリロニトリル系フィルム、ポリエステル系フィルム、
塩化ビニリデン系フィルム等の熱可塑性樹脂フィルム
に、天然繊維、化学繊維または合成繊維あるいはこれら
を混抄した薄葉紙、不織布、紗等によって構成された多
孔性支持体を接着剤で貼り合わせた構造のものが知られ
ている(例えば、特開昭51−2512号公報、特開昭
51−2513号公報、特開昭57−182495号公
報など)。
【0005】しかしながら、従来の感熱孔版印刷用原紙
はサーマルヘッドの製版エネルギーを低減すると、フィ
ルムの穿孔性が低下して十分な印刷濃度が得られず、白
抜けが発生したり細字がかすれたりするという欠点があ
った。
【0006】これら従来原紙の穿孔性を改良するため、
原紙を構成するフィルムの融点を低下したり、フィルム
の厚さを薄くしたり、フィルムの熱収縮率や熱収縮応力
を特定したりするという改良がなされているが、感度の
向上は見られるものの、白点の解消という点では不十分
であった。
【0007】また、例えぱ特開昭58−147396号
公報、特閲平4−232790号公報では、使用する接
着剤の量をできるだけ少なくしたり、また接着剤を用い
ない方法として、特開平4−212891号公報におい
ては、熱可塑性樹脂フィルムの片面に合成繊維が散布さ
れ熱圧着されてなる感熱性孔版原紙が提案されている。
【0008】しかしながら、これらの原紙は接着力が不
十分であったり、十分な接着力がある場合にはフィルム
の感度が低下したりして、満足のいくものではなかっ
た。
【0009】さらに、特開平6−305273号公報、
特開平7−186565号公報には、未延伸のポリエス
テルフィルムとポリエステル繊維とを熱接着した後、共
延伸して原紙を得ることが開示されている。該原紙は接
着剤を使用することなくフィルムと支持体繊維とが十分
な接着力を有しているが、着版時や印刷の際に原紙にし
わが発生したり、微細化されたものの依然として印刷物
に白抜けが発生するなどの問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の感熱
孔版印刷用原紙の問題点を解消し、高感度で、印刷時の
トラブルや白抜けなどの印刷欠点の少ない感熱孔版印刷
用原紙を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
により達成される。すなわち本発明は、ポリエステルフ
ィルムの片面にポリエステル繊維からなる多孔性支持体
が接着剤を介することなく接着されてなる感熱孔版印刷
用原紙において、該多孔性支持体の繊維に離型性成分を
存在させてなることを特徴とする感熱孔版印刷用原紙で
ある。
【0012】
【発明の央施の形態】本発明のポリエステル繊維およぴ
ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとは、
芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸または脂環族
ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とするポリエ
ステルである。ここで、芳香族ジカルボン酸成分として
は例えぱ、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホン
ジカルボン酸、中でも好ましくはテレフタル酸、イソフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等である。脂
肪族ジカルボン酸成分としては例えばアジピン酸、スベ
リン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を挙げること
ができる。また、脂環族ジカルボン酸成分としては例え
ば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げるこ
とができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、
2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香
酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。また、ジオ
ール成分としては例えば、エチレングリコール、1,2
−ブロパンジオール、1.3−ブロパンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノ
ール、1.3−シクロヘキサンジメタノール、1.4−
シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、
2,2−ビス(β−ヒドロキシェトキシフェニル)ブロ
パン等を挙げることができる。これらのジオール成分は
1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0013】本発明におけるポリエステル繊維に用いら
れるポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ボリブチレン
テレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイ
ソフタレートとの共重合体等を挙げることができる。熱
寸法安定性の点から特に好ましくは、ポリエチレンテレ
フタレート、ボリエチレンナフタレートである。
【0014】本発明のポリエステルフィルムに用いられ
るポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフ
タレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタ
レートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレ
ンナフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタ
レートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの
共重合体、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレン
テレフタレートとのブレンド等を挙げることができる。
穿孔感度と延伸性の点から特に好ましくは、エチレンテ
レフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、
エチレンテレフタレートとエチレンナフタレートとの共
重合体等である。
【0015】本発明の感熱孔版印刷用原紙は、ポリエス
テルフィルムとポリエステル繊維からなる多孔性支持体
とが接着剤を介することなく接着している必要がある。
ポリエステルフィルムとポリエステル繊維からなる多孔
性支持体とを接着剤で貼り合わせると、接着剤によって
インキの透過が阻害されたり、インキ中の水分や有機化
合物等によって接着力が低下したりするため、印刷中に
ポリエステルフィルムとポリエステル繊維からなる多孔
性支持体とが剥離して原紙が破れたり、しわが発生する
などの欠点を生じ好ましくない。
【0016】本発明のポリエステル繊維は離型性成分を
存在させていることが必要である。離型性成分を存在さ
せていない場合、穿孔時未穿孔部分を形成しやすく、印
刷した際、インキの存在しない白抜け部分を生じ、ま
た、着版じわを生じやすいため好ましくない。本発明に
おいて離型性成分の存在は、繊維の全表面を覆う状態は
もちろんのこと、繊維の表面の一部に部分的に存在して
も良く、さらには繊維に含有させてもよい。好ましく
は、繊維の表面の一部に部分的に存在させることであ
る。
【0017】本発明において離型性成分とは、原紙とし
て使用する際サーマルヘッドの熱を受けた時、繊維同士
が接着を引き越されないものであればいかなるものであ
ってもよく、有機物、無機物を問わないが、例えば、シ
リコーンオイル、シリコーン系樹脂、アクリル樹脂変性
シリコーン系樹脂などのシリコーン化合物、2または3
官能有機シラン化合物、シランカップリング剤、フッ素
系ポリマーなどが挙げられ、ポリエステル繊維に存在
し、高温加熱下または加圧下において、繊維同志の新た
な接着を引き起こさないものである。
【0018】本発明におけるポリエステル繊維は強度の
観点から、配向パラメータ(R2)が3〜10が好まし
く、より好ましくは3.5〜10、特に好ましくは4〜
10であるのが耐刷性に優れた原紙とすることができ
る。
【0019】本発明におけるポリエステルフィルムは穿
孔感度の観点から、配向パラメータ(R1)が3〜10
が好ましく、より好ましくは3.5〜10、特に好まし
くは4〜10である。配向パラメータ(R1)が3〜1
0であると、サーマルヘッドによって穿孔する際、孔を
拡大させることができ、感度に優れた原紙となる。
【0020】本発明でいうフィルムおよぴ繊維の配向パ
ラメータ(R1,R2)は、レーザーラマン分光法によ
り測定されたものである。これら配向パラメータの数値
が大きいほど配向度が高いことを示す。レーザーラマン
分光法は、例えばJobinYvon/愛宕物産(株)
製“Ramanor”U−1000I(光源:NEC製
GLG3300 Ar+ レーザー514.5nm、顕微
鏡:オリンパス製BH2型 対物レンズ×100)を用
いて求められる。
【0021】繊維の配向パラメータ(R2)は、上記装
置を用いて、繊維軸に対して垂直にレーザー光を照射
し、繊維の長さ方向に偏光したレーザー光およぴ繊維の
直径方向に偏光したレーザー光によるラマンスぺクトル
の1615cm-1バンドのピーク強度をそれぞれIおよ
ぴINDとし、その比をR2=I/INDとして求められ
る。
【0022】また、フィルムの配向パラメータ(R1)
は、原紙をPMMA樹脂中に包埋して湿式研磨し、フィ
ルムの幅方向に垂直な断面を形成し、該断面に対して垂
直にレーザー光を照射し、フィルムの面方向に偏光した
レーザー光およぴフィルムの厚さ方向に偏光したレーザ
ー光による1615cm-1バンドのピーク強度をそれぞ
れI、INDとし、その比をR1=I/INDとして求めら
れる。
【0023】本発明における原紙のフィルム面の王研式
平滑度は3000秒以上であることが好ましく、より好
ましくは4000秒以上、特に好ましくは5000秒以
上である。王研式平滑度が3000秒以上であると、サ
ーマルヘッドとの密着性が良好となるため、サーマルヘ
ッドの熱を均一にフィルム面に伝達することができ、低
エネルギーで穿孔しても未穿孔が生じにくくかつ穿孔形
状の安定した原紙とすることができる。
【0024】本発明におけるポリエステルフィルムは感
度の観点から、融点(Tm1)が好ましくは230℃以
下であり、より好ましくは220℃以下、特に好ましく
は210℃以下である。融点が230℃以下であれぱ、
フィルムの穿孔感度が良好となる。
【0025】本発明におけるポリエステルフィルムの融
点(Tm1)と繊維の融点(Tm2)とは、好ましくは
Tm1くTm2であり、より好ましくはその差が5℃以
上、特に好ましくは10℃以上である。Tm1くTm2
であれば、製版後の搬送性に優れる。
【0026】本発明におけるポリエステルフィルムの厚
さは感度と製膜安定性の点から、0.1〜5μmである
のが好ましく、より好ましくは0.1〜3μm、特に好
ましくは0.1〜2μmである。
【0027】本発明におけるポリエステルフィルムは、
結晶融解エネルギー(△Hu)が好ましくは1〜50J
/gであり、より好ましくは10〜40J/gである。
△Huが1〜50J/gであれぱ、フィルムの穿孔感度
が安定である。
【0028】本発明におけるポリエステル繊維は、その
平均径が好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは
1〜15μm、特に好ましくは1〜10μmである。平
均径が0.5〜20μmであれば、支持体強度が十分と
なる。
【0029】本発明におけるポリエステル繊維の結晶化
度は、多孔支持体の穿孔における熱収縮率の低減の点か
ら10%〜50%が好ましく、より好ましくは15%〜
50%、特に好ましくぱ20%〜50%である。
【0030】本発明におけるポリエステル繊維からなる
多孔性支持体は全て同一径のものであってもよいし、異
なる径の繊維が混合されたものであってもよく、平均径
の異なる複数の層からなる多層積層状態であってもよ
い。多層積層状態とすることにより、着版じわ、印刷じ
わの防止、印刷時の伸びの防止、穿孔における熱収縮率
の低減に有効なことがある。
【0031】本発明におけるポリエステル繊維からなる
多孔性支持体の目付量はインキの透過性と保持性のバラ
ンス、着版じわ、印刷じわの防止、印刷時の伸ぴの防
止、穿孔における熱収縮率の低減の点から、1〜20g
/m2であることが好ましく、より好ましくは2〜16
g/m2、特に好ましくは3〜14g/m2である。
【0032】本発明におけるポリエステル繊維からなる
多孔性支持体は、繊維同士がその交絡点や接点で互いに
融着した融着部をもった網状体を形成し、この繊維問の
接着強さが0.1mg/10mm幅以上が好ましく、よ
り好ましくは0.5mg/10mm幅以上、さらに好ま
しくは1.0mg/10mm幅以上(繊維部分のみ剥離
したあと、日東電工(株)製ポリエステル粘着テープ、
品番No31B 75ハイで両面から繊維を裏打ちし
て、その剥離強さを測定したものを言う)である。
【0033】本発明の原紙は、フィルムのサーマルヘッ
ドに接触すべき片面に、穿孔時の融着を防止するため、
シリコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、
界面活性剤、帯電防止剤、耐熱剤、酸化防止剤、有機粒
子、無機粒子、顔料、分散助剤、防腐剤、消泡剤等から
なる薄層を設けることが好ましい。該融着防止の薄層の
厚みは好ましくは0.005μm以上0.4μm以下、よ
り好ましくは0.01μm以上0.4μm以下である。
【0034】次に本発明の原紙の製造方法について説明
する。本発明に用いられるポリエステルは以下の方法で
製造することができる。例えぱ、酸成分をジオール成分
と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減
圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合
させることによって製造する方法や、酸成分としてジア
ルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステ
ル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることに
よって製造する方法等がある。この際、必要に応じて、
反応触媒としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、マン
ガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チ
タン化合物等を用いることができる。
【0035】本発明におけるポリエステルには必要に応
じて、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料
等を配合することができる。
【0036】さらには各種の易滑性付与方法を採用する
こともできる。例えば、フィルムにクレー、マイカ、酸
化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あ
るいは乾式シリカ、アルミナ、ジルコニアなどの無機粒
子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒
子等を配合する方法、ポリエステル重合反応時に添加す
る触媒等を析出させる、いわゆる内部粒子による方法、
界面活性剤を塗布する方法等である。
【0037】本発明において、ポリエステルフィルムと
ポリエステル繊維からなる多孔性支持体とを接着剤を介
することなく接着するには、未延伸のポリエステルフィ
ルムと未延伸のポリエステル繊維からなる多孔性支持体
とを熱接着して共延伸することにより達成される。未延
伸フィルムと未延伸のポリエステル繊維からなる多孔性
支持体を熱接着した状態で共延伸することにより、フィ
ルムと支持体の繊維とは剥離することなく好適に延伸さ
れ、接着強度の十分な原紙とすることができる。また、
多孔性支持体を構成する繊維が補強体として作用するの
で、フィルムの厚さが薄い場合にも安定に製膜ができ
る。
【0038】本発明における未延伸のポリエステル繊維
からなる多孔性支持体は、メルトブロー法やスパンボン
ド法などの直接溶融紡糸法によって製造することができ
る。
【0039】用いられるポリエステルの固有粘度は、好
ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、特に
好ましくは0.5以上である。
【0040】メルトブロー法では、未延伸のポリエステ
ル繊維からなる多孔性支持体は、溶融したポリエステル
ポリマを口金から吐出するに際して、口金周辺部から熱
風を吹き付け、該熱風によって吐出したポリマを細繊繊
維径化せしめ、ついで、しかるべき位置に配置したネッ
トコンベア上に吹き付けて捕集し、ウエブを形成して製
造される。該ウエブはネットコンベアに設けた吸引装置
によって熱風と一緒に吸引されるので、個々の繊維が完
全に固化する前に捕集される。つまりウエブの繊維同士
は互いに融着に近い状態で捕集される。口金とネットコ
ンベア間の捕集距離を適宜設定することによって、未延
伸のポリエステル繊維の融着度合を調整することができ
る。また、ポリマ吐出量、熱風温度、熱風流量、コンベ
ア移動速度等を適宜調整することにより、未延伸のポリ
エステル繊維の配向や平均径、多孔性支持体の目付を任
意に設定することができる。メルトブロー法で紡糸され
た繊維は、熱風の圧力で細繊維径化され、無配向または
低配向の状態で固化されたものが特に好ましく用いられ
る。未延伸のポリエステル繊維からなる多孔性支持体を
構成する繊維は実質的に連続したものが好ましい。ま
た、口金から吐出されたポリマは、溶融状態から室温雰
囲気下に急冷することにより、非晶質に近い、低結晶の
状態で固化させることができる。
【0041】同様にスパンボンド法では、未延伸のポリ
エステル繊維からなる多孔性支持体は、口金から吐出し
たポリマをエアエジェクターによって牽引し、得られた
フィラメントを衝突板に衝突させて繊維を開繊し、コン
ベア状に捕集してウエブを形成して製造される。ポリマ
吐出量、コンベア速度を適宜設定することにより、ウエ
ブの目付を任意に設定できる。また、エジェクターの圧
力と流量を適宜調整することにより、繊維の分子配向状
態を任意に調整できる。圧力と流量を絞って紡糸速度を
遅くすることにより、分子配向度の低いウエブを得るこ
とができる。また、吐出したポリマの冷却速度を調整す
ることにより、結晶性の低いウエブを得ることができ
る。スパンボンド法で製造する場合、本発明の原紙を得
るために用いられる未延伸のポリエステル繊維からなる
多孔性支持体は、紡糸速度は2500m/分以下で紡糸
することにより好ましく得られ、より好ましくは200
0m/分以下、特に好ましくは1500m/分以下であ
る。
【0042】本発明に用いる未延伸のポリエステル繊維
の結晶化度は、好ましくは20%以下、より好ましくは
10%以下、特に好ましくは5%以下である。
【0043】本発明に用いる未延伸のポリエステル繊維
は、無配向であるのが最も好ましいが、多少延伸されて
いるとしても低倍で、配向度は低いことがより好まし
い。複屈折(△n)は好ましくは0.03以下、より好
ましくは0.02以下、特に好ましくは0.01以下で
ある。
【0044】一方、上記ポリエステルを用いて未延伸の
フィルムとする方法は、以下の方法によって製造でき
る。例えば、ポリエステルをTダイ押し出し法によって
キャストドラム上に押し出すことによって未延伸フィル
ムを製造できる。口金のスリット幅、ポリマの吐出量、
キャストドラムの回転数を調整することによって、所望
の厚さの未延伸フィルムとすることができる。
【0045】フィルムに用いられるポリエステルの固有
粘度は、好ましくは0.50以上、より好ましくは0.
53以上、特に好ましくは0.55以上である。
【0046】未延伸のポリエステルフィルムと未延伸の
ポリエステル繊維からなる多孔性支持体とを熱接着する
には、該フィルムと支持体を重ねた状態で加熱しつつ加
圧したり、数%づつ伸長し、張力をかけ加圧されるよう
にするのが好ましく、その方法は特に限定されないが、
本発明においては加熱ロールによる熱接着が特に好まし
い。用いる加熱ロールの材質としては、金属や“テフロ
ン”、シリコンゴム、セラミックなどが好ましい。熱接
着温度はフィルムのガラス転移点(Tg)付近が好まし
く、Tg−10℃〜Tg+60℃の範囲が特に好まし
い。また、熱接着時の圧力はロール線圧で1〜500N
/cmの範囲で行うのが好ましい。
【0047】熱接着された未延伸のポリエステルフィル
ムと未延伸状態のポリエステル繊維からなる多孔性支持
体の共延伸の方法は特に限定されるものではなく、一軸
延伸、二軸延伸いずれの方法でもよいが、二軸延伸がよ
り好ましい。二軸延伸は逐次二軸延伸法または同時二軸
延伸法のいずれの方法であってもよいが、逐次二軸延伸
が特に好ましい。逐次二軸延伸の場合は、、通常加熱ロ
ール群による縦延伸の後、テンターにより横延伸を行う
のが一般的であるが、逆に行ってもよい。逐次二軸延伸
の場合には、上記の熱接着をこの加熱ロール群による加
熱の際に同時に行うこともできる。加熱ロールの材質と
しては金属、“テフロン”、セラミック、シリコンゴム
などが好ましく用いられる。ニツブ・ロールの材質はシ
リコンゴムが特に好ましい。延伸時のニッブ圧力は、ロ
ール線圧で1〜500N/cmの範囲で行うのが好まし
い。延伸温度は50℃〜150℃の間が好ましく、より
好ましくは60℃〜l30℃の範囲で行うのが好まし
い。また、延伸時の加熱を均一に行うため、支持体繊維
のみを単独で予熱してから延伸ロールに供給してもよ
い。さらに、フィルムと支持体繊維とを均一に延伸する
ため、熱接着されたフィルムと支持体とを延伸直前に赤
外線ヒーターなどで加熱してもよい。
【0048】延伸倍率は特に限定されないが、通常好ま
しくは縦、横それぞれ2〜8倍、より好ましくは2.5
〜8倍が適当である。また、この縦延伸においては、そ
の延伸を2段階以上の多段延伸であってもよい。また、
二軸延伸後、縦または横、あるいは縦横に再延伸しても
かまわない。
【0049】さらにその後、二軸延伸後の原紙を熱処理
することが好ましい。熱処理温度は特に限定されない
が、ガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)との間が好
ましく、Tg+10℃〜Tm−10℃が特に好ましい。
処理時間は通常0.5〜60秒程度が適当である。
【0050】また、熱処理して得られた原紙を一旦室温
程度まで冷却した後、さらに40〜90℃の比較的低温
で、5分から1週間程度工一ジングすることもできる。
このような工一ジングを採用すると、原紙の保管時ある
いは印刷機の中でのカール、しわの発生が少なく特に好
ましい。
【0051】フィルムの配向パラメータ(R1)と繊維
の配向パラメータ(R2)とを上述の好ましい範囲にし
たり、原紙のフィルム面の王研式平滑度を上述の範囲に
するには、使用するフィルムおよぴ繊維のポリマー種お
よぴその重合度、フィルムと多孔性支持体との熱接着条
件、両者を共延伸する時のそれぞれの温度、延伸倍率な
らぴに二ッブ圧力、さらには熱処理温度等を適宜調整す
ることにより達成することができる。この場合、未延伸
のフィルムおよぴ未延伸のポリエステル繊維からなる多
孔性支持体は延伸挙動の近いものの組み合わせが好まし
く、未延伸のフィルムおよぴ未延伸のポリエステル繊維
の配向パラメータ(R1,R2)は1〜1.5が好まし
く、より好ましくは1〜1.3、特に好ましくは1〜
1.2である。
【0052】未延伸フィルムおよぴ未延伸のポリエステ
ル繊維からなる多孔性支持体の好適な延伸温度に差があ
る場合でも、例えば、縦延伸前の予熱の段階で、未延伸
のフィルム部分、未延伸のポリエステル繊維からなる多
孔性支持体部分の加熱に別々の赤外線ヒーターを用いた
り、あるいは単一または複数のロールに接触させて加熱
する場合には、それぞれ未延伸のフィルム部分と未延伸
のポリエステル繊維からなる多孔性支持体部分が直接接
触するロールの温度に差を設けて加熱したり、あるいは
これらを組み合わせて加熱した後に延伸することにより
フィルム部分、多孔性支持体の繊維部分の配向をともに
高いものにすることができ、また、原紙のフィルム面の
王研式平滑度を特定の範囲に調整することができる。ま
た、テンターによる横延伸であれぱ、延伸前の予熱ゾー
ンにおいて、フィルム面側と繊維面側の熱風の温度に差
を設けて予熱を行った後、延伸ゾーンで横延伸すること
により、フィルムと繊維をともに配向の高いものとする
ことができる。
【0053】本発明において、ポリエステル繊維に離型
性成分を存在させる方法としては、いかなる方法であっ
てもよいが、二軸延伸製膜における縦延伸前や横延伸の
前あるいが二軸延伸後に、上述の離型性成分をそのまま
あるいは溶液、乳化状態、縣濁状態で塗布する方法、ま
た、シリコーンオイルのような場合にはポリエステル繊
維を形成する原料に混合しその一部を繊維の表面に析出
させる方法、さらには、後述のサーマルヘッドとの融着
を防止するためにフィルム表面に塗布される離型剤とポ
リエステル繊維に存させる離型性成分とが同一の場合に
は、フィルム表面に最終的に原紙として使用する際にサ
ーマルヘッドへの汚れをおこさない範囲で過剰に離型剤
を塗布し、それを多孔性支持体のポリエステル繊維に転
写する方法等を用いることができる。この転写させる方
法においては、二軸延伸してポリエステルフィルムとポ
リエステル繊維からなる多孔性支持体とが接着された状
態で得られたロールに上述したエージング処理を行うこ
とによっても達成することができる。
【0054】本発明におけるポリエステル繊維には、イ
ンキとの親和性を付与するためや前述した離型性成分を
繊維表面に存在させやすくするためなどに、必要に応じ
ていずれかの段階でポリエステル繊維の表面に酸、アル
カリ等の化学処理あるいはコロナ処理、低温プラズマ処
理等を施してもよい。
【0055】本発明における原紙には、サーマルヘッド
等との融着防止のため、フィルム表面に離型剤を塗布す
るのが好ましい。これら離型剤中には、本発明の効果を
阻害しない範囲内で各種添加剤を併用することができ
る。例えぱ、帯電防止剤、耐熱剤、耐酸化防止剤、有機
粒子、無機粒子、顔料等が挙げられる。
【0056】離型剤の塗布は、フィルムの延伸前あるい
は延伸後、いずれの段階で行ってもよい。塗布方法は特
に限定されないが、ロールコーター、グラビアコータ
ー、リバースコーター、バーコーター等を適宜用いて塗
布することができる。
【0057】また、離型剤を塗布する前に必要に応じ
て、フィルムの塗布面に空気中その他種々の雰囲気中で
コロナ放電処理等を施しても良い。
【0058】[特性の測定方法] (1)配向パラメーター 配向パラメーターは、レーザーラマン分光法により求め
た。フィルム部分は、原紙をPMMA樹脂中に包埋し、
湿式研磨してフィルムの幅方向に垂直な断面を形成し、
例えば、Jobin Yvon/愛宕物産製“Rama
nor”U−1000I(光源:NEC製GLG330
0 Ar+ レーザー 514.5nm、顕微鏡:オリン
パス製 BH−2型 対物レンズ×100)を用いて、
断面に対して垂直にレーザー光を照射し、フィルムの面
方向に偏光したレーザー光およびフィルムの厚さ方向に
偏光したレーザー光によるラマンスペクトルの1615
cm-1バンドのピーク強度をそれぞれIおよびINDとし
た時、その比I/INDをフィルムの配向パラメーターと
した。
【0059】繊維の場合は、断面を形成する必要はな
く、上記装置を用いて、繊維軸に対して垂直にレーザー
光を照射し、繊維の長さ方向に偏光したレーザー光およ
び繊維の直径方向に偏光したレーザー光によるのラマン
スペクトルの1615cm-1バンドのピーク強度をそれ
ぞれIおよびINDとした時、その比I/INDを不織布の
配向パラメーターとした。
【0060】(2)フィルム面の王研式平滑度(秒) 15cm角のサンプルを5枚準備し、旭精工(株)製王
研式平滑度試験機KB15型を用いて平滑度を測定し、
その平均値を求めた。
【0061】(3)融点(℃) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用い、試料5mgを採取し、室温より昇温速度20
℃/分で昇温した時の吸熱曲線のピークの温度より求め
た。
【0062】フィルムと多孔性支持体が接着剤を介する
ことなく接着されている複合体の場合には、複合体から
セロハンテープで多孔性支持体を剥がし試料として用
い、フィルムは顕微鏡等で観察し繊維を完全に取り除い
て試料とした。
【0063】(4)結晶融解エネルギー(△Hu) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用いて、融解時の面積から求める。この面積は、昇
温することによりベースラインから吸収側にずれ、さら
に昇温を続けるとベースラインの位置まで戻るまでの面
積であり、融解開始温度位置から終了位置までを直線で
結び、この面積(a)を求める。同じDSCの条件でI
n(インジウム)を測定し、この面積(b)を28.5
J/gとして次式により求める。
【0064】28.5×a/b=△Hu (J/g) フィルムと繊維の分離は、上記融点の測定と同様であ
る。
【0065】(5)繊維の平均径(μm) 原紙の任意な10箇所を電子顕微鏡で倍率2000倍で
10枚の写真撮影を行い、1枚の写真につき任意の15
本の繊維の直径を測定し、これを10枚の写真について
行い、合計150本の繊維の径を測定し、その平均径で
示した。
【0066】(6)多孔性支持体の目付(g/m2) 原紙片20cm×20cmを取り、その重量を測定して
2 当たりの重量に換算した。
【0067】(7)固有粘度〔η〕 試料を105℃×20分乾燥した後、0.1±0.00
5gを秤量し、o−クロロフェノール10×10-63
中で100℃×15分間撹拌して溶解した。冷却後、
ヤマトラボティックAVM−10S型自動粘度測定器に
より25℃における粘度を測定し、比粘度ηsp求め、
次式のハギンスの式より算出した。
【0068】ηsp/c=[η]+k’[η]2c (ただし、k’=0.343、cは溶液1×10-43
中に溶解したg数で表した濃度である)
【0069】(8)結晶化度(%) n−ヘプタンと四塩化炭素の混合液からなる密度勾配管
に試料を投入し、10時間以上経過後の値を読んで密度
を求めた。結晶化度0%の密度を1.335g/cm3
、結晶化度100%の密度を1.455g/cm3
して、サンプルの結晶化度を算出した。
【0070】(9)穿孔感度 作製した原紙を理想科学工業(株)製印刷機リソグラフ
(GR275)に供給して、サーマルヘッド式製版方式
により、A4サイズに一辺10mmの黒ベタを全面に格
子状に製版してマスタを作成した。サーマルヘッドへの
供給エネルギーは、ドット当たり30μJとした。該マ
スタにより製版を行い、穿孔部を走査型電子顕微鏡で1
00倍にして観察した。感度は、穿孔部分の面積を測定
し、1ドット当たり換算して表した。測定は1視野当た
り150個で10視野について行い、平均値を求め以下
の基準で評価した。
【0071】感度:平均値が1400×10-122以上
であるものを◎、平均値が1000×10-122以上1
400×10-122未満であるものを○、平均値が50
0×10-122以上1000×10-122未満であるも
のを△、平均値が500×10-122未満であるものを
×とした。◎、○、△が実用に供するものである。
【0072】(10)着版じわの評価 作製した原紙を理想科学工業(株)製印刷機リソグラフ
(GR275)に供給して、製版後着版させるテストを
20回行い、以下の基準で判定した。
【0073】全くしわが発生しなかったものを◎、1回
発生したものを○、2回発生したものを△、3回以上発
生したものを×とした。◎、○、△が実用に供するもの
である。
【0074】(11)白抜けの評価 作製した原紙を理想科学工業(株)製印刷機リソグラフ
(GR275)に供給して、B4版の全ベタ原稿を用い
て印刷を行った。印刷開始より20枚目の印刷物につい
て、白抜けの度合を以下の基準で判定した。
【0075】白抜けが全くないものを◎、0.5mm径
以上の白抜け欠点の数が4個のものを○、0.5mm径
以上の白抜け欠点の数が5〜20個のものを△、0.5
mm径以上の白抜け欠点の数が21個以上のものを×と
した。◎、○、△が実用に供するものである。
【0076】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0077】実施例1 孔径0.3mm、孔数100個の矩形紡糸口金を用い
て、ロ金温度290℃、熱風温度290℃、熱風流量4
00Nm3 /hで、ポリエチレンテレフタレート原料
([η]=0.48、Tm2=252℃)をメルトブロ
ー法にて紡出し、捕集距離12cmでコンベア上に繊維
を捕集して巻取り、目付120g/m2の未延伸のポリ
エステル繊維からなる多孔性支持体を作製した。該繊維
の結晶化度は1.0%、配向パラメータ(R2)は0.
5であった。この未延伸のポリエステル繊維からなる多
孔性支持体にγ−(2アミノエチル)アミノブロビルト
リメトキシシランの0.1%水溶液を最終的な原紙にお
いてm2あたり0.5gとなるように塗布し、70℃で
熱風により乾燥した。
【0078】次いで、エチレンテレフタレート75モル
%、エチレンイソフタレート25モル%からなる共重合
ポリエステル樹脂原料([η]=0.7、Tm1=19
0℃)をスクリュー径30mmの押出機を用いて、Tダ
イロ金温度270℃で押し出し、直径300mmの冷却
ドラム(ドラム温度60℃)上にキャストして未延伸フ
ィルムを作製した。
【0079】該未延伸フィルムと前記の未延伸のポリエ
ステル繊維からなる多孔性支持体とを重ねて縦延伸機に
供給し、予熱温度を105℃、延伸温度を95℃とし
て、長さ方向に3.5倍に延伸した後室温まで冷却し
た。延伸ロールのニップ線圧は20N/cmとした。
【0080】次いで、テンター式横延伸機に送り込み、
予熱温度90℃、延伸温度95℃で幅方向に3.8倍延
伸し、さらにテンター内で100℃で熱処理してロール
状に巻き取った。さらに、フィルム面にポリジメチルシ
ロキサンを塗布して原紙を得た。
【0081】得られた原紙は、フィルム部分および繊維
部分の配向パラメーターがそれぞれ4.5および5.
3、フィルム面の王研式平滑度が5000秒、フィルム
部分の厚さが1.2μm、結晶融解エネルギーが25J
/g、多孔性支持体の目付量は10g/m2、ポリエス
テル繊維の平均径は3.5μmであった。
【0082】原紙の感熱孔版特性を評価したところ、穿
孔感度は◎、着版じわに関しては○、白抜けに関しては
◎であった。
【0083】比較例1 エチレンテレフタレート75モル%、エチレンイソフタ
レート25モル%からなる共重合ポリエステル樹脂原料
([η]=0.7、Tm1=190℃)をスクリュー径
30mmの押出機を用いて、Tダイロ金温度270℃で
押し出し、直径300mmの冷却ドラム(ドラム温度6
0℃)上にキャストして未延伸フィルムを作製した。
【0084】該未延伸フィルムを縦延伸機に供給し、予
熱温度を105℃、延伸温度を95℃として、長さ方向
に3.5倍に延伸した後室温まで冷却した。延伸ロール
のニップ線圧は20N/cmとした。
【0085】次いで、テンター式横延伸機に送り込み、
予熱温度90℃、延伸温度95℃で幅方向に3.8倍延
伸し、さらにテンター内で100℃で熱処理してフィル
ムを巻き取った。
【0086】得られたフィルムの片面に酢酸ビニル系接
着剤を用いてマニラ麻を主成分とする目付10g/m2
の薄葉紙と貼り合わせ、さらにフィルムのもう一方の面
にポリジメチルシロキサンを塗布して原紙を得た。
【0087】得られた原紙は、フィルム部分の配向パラ
メーターがそれぞれ4.5、フィルム面の王研式平滑度
が3500秒、フィルム部分の厚さが1.2μm、結晶
融解エネルギーが25J/gであった。原紙の感熱孔版
特性を評価したところ、穿孔感度は×、着版じわに関し
ては△、白抜けに関しては×であった。
【0088】比較例2 実施例1において、離型性成分を使用しない以外は実施
例1と同様の条件で感熱孔版印刷用原紙を作製した。
【0089】得られた原紙は、フィルム部分および繊維
部分の配向パラメーターがそれぞれ4.5および5.
3、フィルム面の王研式平滑度が5000秒、フィルム
部分の厚さが1.2μm、結晶融解エネルギーが25J
/g、多孔性支持体の目付量は10g/m2、ポリエス
テル繊維の平均径は5.5μmであった。得られた原紙
の感熱孔版特性を評価したところ、穿孔感度は○、着版
じわに関しては×、白抜けに関しては×であった。
【0090】実施例2、3 γ−(2−アミノエチル)アミノブロビルトリメトキシ
シランのかわりアミノ変性シリコーンおよびパーフルオ
ロアルキルカルボン酸を用いたこと以外は実施例1と同
様にして原紙を作製した。得られた原紙の感熱孔版特性
を表1に示した。
【0091】実施例4 ポリエチレンテレフタレート原料([η]=0.55、
Tm2=252℃)100重量部とポリメチルフェニル
シロキサン1重量部とを2軸押出機を用いて溶融混練、
押し出しカットしてポリメチルフェニルシロキサン配合
ポリエチレンテレフタレートを得た。
【0092】得られたポリメチルフェニルシロキサン配
合ポリエチレンテレフタレートを孔径0.3mm、孔数
100個の矩形紡糸口金を用いて、ロ金温度290℃、
熱風温度290℃、熱風流量400Nm3 /hでメルト
ブロー法にて紡出し、捕集距離12cmでコンベア上に
繊維を捕集して巻取り、目付120g/m2の未延伸の
ポリエステル繊維からなる多孔性支持体を作製した。該
繊維の結晶化度は1.0%、配向パラメータ(R2)は
0.5であった。
【0093】得られた未延伸のポリエステル繊維からな
る多孔性支持体を用いたこと以外は実施例1と同様にし
て原紙を作製した。
【0094】得られた原紙は、フィルム部分および繊維
部分の配向パラメーターがそれぞれ4.5および5.
0、フィルム面の王研式平滑度が5000秒以上、フィ
ルム部分の厚さが1.2μm、結晶融解エネルギーが2
5J/g、多孔性支持体の目付量は10g/m2、ポリ
エステル繊維の平均径は4.5μmであった。原紙の感
熱孔版特性を評価したところ、穿孔感度は○、着版じわ
に関しては○、白抜けに関しては○であった。
【0095】実施例5 次いで、エチレンテレフタレート85モル%、エチレン
イソフタレート15モル%からなる共重合ポリエステル
樹脂原料([η]=0.65、Tm1=230℃)をス
クリュー径30mmの押出機を用いて、Tダイロ金温度
270℃で押し出し、直径300mmの冷却ドラム(ド
ラム温度60℃)上にキャストして未延伸フィルムを作
製した。得られた未延伸フィルムを用いたこと以外は実
施例1と同様にして原紙を作製した。
【0096】得られた原紙は、フィルム部分および繊維
部分の配向パラメーターがそれぞれ5.5および5.
6、フィルム面の王研式平滑度が4000秒、フィルム
部分の厚さが1.2μm、結晶融解エネルギーが33J
/g、多孔性支持体の目付量は10g/m2、ポリエス
テル繊維の平均径は3.5μmであった。原紙の感熱孔
版特性を評価したところ、穿孔感度は△、着版じわに関
しては◎、白抜けに関しては△であった。
【0097】実施例6 孔径0.3mm、孔数100個の矩形紡糸口金を用い
て、ロ金温度290℃、熱風温度290℃、熱風流量4
00Nm3 /hで、ポリエチレンテレフタレート原料
([η]=0.48、Tm2=252℃)をメルトブロ
ー法にて紡出し、捕集距離12cmでコンベア上に繊維
を捕集して巻取り、目付120g/m2の未延伸のポリ
エステル繊維からなる多孔性支持体を作製した。該繊維
の結晶化度は1.0%、配向パラメータ(R2)は0.
5であった。
【0098】次いで、エチレンテレフタレート75モル
%、エチレンイソフタレート25モル%からなる共重合
ポリエステル樹脂原料([η]=0.7、Tm1=19
0℃)をスクリュー径30mmの押出機を用いて、Tダ
イロ金温度270℃で押し出し、直径300mmの冷却
ドラム(ドラム温度60℃)上にキャストして未延伸フ
ィルムを作製した。
【0099】該未延伸フィルムと前記の未延伸のポリエ
ステル繊維からなる多孔性支持体とを重ねて縦延伸機に
供給し、予熱温度を105℃、延伸温度を95℃とし
て、長さ方向に3.5倍に延伸した後室温まで冷却し
た。延伸ロールのニップ線圧は20N/cmとした。
【0100】次いで、テンター式横延伸機に送り込み、
予熱温度90℃、延伸温度95℃で幅方向に3.8倍延
伸し、さらにテンター内で100℃で熱処理してロール
状に巻き取った。
【0101】さらに、フィルム面にアミノ変性シリコー
ンをm2あたり1gとなるよう塗布してロール状に巻き
取り、この状態のまま60℃で72時間エージング処理
を行い原紙を作製した。
【0102】得られた原紙は、フィルム部分および繊維
部分の配向パラメーターがそれぞれ4.4および5.
2、フィルム面の王研式平滑度が3000秒、フィルム
部分の厚さが1.2μm、結晶融解エネルギーが25J
/g、多孔性支持体の目付量は10g/m2、ポリエス
テル繊維の平均径は3.5μmであった。
【0103】原紙の感熱孔版特性を評価したところ、穿
孔感度は○、着版じわに関しては○、白抜けに関しては
○であった。
【0104】実施例7 エージング処理を60℃で6時間とした以外は実施例6
と同様にして原紙を得た。得られた原紙は、フィルム部
分および繊維部分の配向パラメーターがそれぞれ4.6
および5.4、フィルム面の王研式平滑度が5000
秒、フィルム部分の厚さが1.2μm、結晶融解エネル
ギーが25J/g、多孔性支持体の目付量は10g/m
2、ポリエステル繊維の平均径は3.5μmであった。
【0105】原紙の感熱孔版特性を評価したところ、穿
孔感度は△、着版じわに関しては△、白抜けに関しては
○であった。
【0106】
【表1】
【0107】
【発明の効果】本発明は、上記構成としたことにより、
次の効果を奏する。
【0108】すなわち、高感度で、印刷時のトラブルや
白抜けなどの印刷欠点の少なく高精細印刷に適した感熱
孔版印刷用原紙が得られた。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの片面にポリエス
    テル繊維からなる多孔性支持体が接着剤を介することな
    く接着されてなる感熱孔版印刷用原紙において、該多孔
    性支持体の繊維に離型性成分を存在させてなることを特
    徴とする感熱孔版印刷用原紙。
  2. 【請求項2】 多孔性支持体の繊維の表面の一部に離型
    性成分が存在することを特徴とする請求項1に記載の感
    熱孔版印刷用原紙。
  3. 【請求項3】 離型性成分がシリコーン化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の感熱孔版印刷
    用原紙。
  4. 【請求項4】 離型性成分がシランカップリング剤であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱孔版
    印刷用原紙。
  5. 【請求項5】 ポリエステルフィルムの配向パラメータ
    ーが3〜10であることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  6. 【請求項6】 ポリエステル繊維の配向パラメーターが
    3〜10であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  7. 【請求項7】 フィルム面の王研式平滑度が3000秒
    以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに
    記載の感熱孔版印刷用原紙。
JP31876997A 1997-11-19 1997-11-19 感熱孔版印刷用原紙 Pending JPH11147381A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31876997A JPH11147381A (ja) 1997-11-19 1997-11-19 感熱孔版印刷用原紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31876997A JPH11147381A (ja) 1997-11-19 1997-11-19 感熱孔版印刷用原紙

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11147381A true JPH11147381A (ja) 1999-06-02

Family

ID=18102749

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31876997A Pending JPH11147381A (ja) 1997-11-19 1997-11-19 感熱孔版印刷用原紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11147381A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1245999A1 (en) * 2001-03-28 2002-10-02 Eastman Kodak Company Method for preparing a silver halide photographic emulsion
JP2007253344A (ja) * 2006-03-20 2007-10-04 Toppan Printing Co Ltd 凸版反転オフセット印刷用凸版およびその製造方法、あるいはそれを用いた印刷物製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1245999A1 (en) * 2001-03-28 2002-10-02 Eastman Kodak Company Method for preparing a silver halide photographic emulsion
FR2822965A1 (fr) * 2001-03-28 2002-10-04 Eastman Kodak Co Procede de preparation d'une emulsion photographique aux halogenures d'argent
US6605423B2 (en) 2001-03-28 2003-08-12 Eastman Kodak Company Method for preparing a silver halide photographic emulsion
JP2007253344A (ja) * 2006-03-20 2007-10-04 Toppan Printing Co Ltd 凸版反転オフセット印刷用凸版およびその製造方法、あるいはそれを用いた印刷物製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6025286A (en) Heat-sensitive stencil sheet
JPH11147381A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH08332786A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH10287063A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH11235884A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH10324074A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2001130162A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH1178277A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP3329144B2 (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH1158651A (ja) 感熱孔版印刷用原紙およびその製造方法
JP2001315461A (ja) 感熱孔版印刷マスター
JP2001030648A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH09300842A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2000318336A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH1016425A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2000094850A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH11157240A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH0999667A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH11198557A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH11157239A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH09300847A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH11157033A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2000094852A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH08164683A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH09315027A (ja) 感熱孔版印刷用原紙