JPH1016425A - 感熱孔版印刷用原紙 - Google Patents

感熱孔版印刷用原紙

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JPH1016425A
JPH1016425A JP16764896A JP16764896A JPH1016425A JP H1016425 A JPH1016425 A JP H1016425A JP 16764896 A JP16764896 A JP 16764896A JP 16764896 A JP16764896 A JP 16764896A JP H1016425 A JPH1016425 A JP H1016425A
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JP
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film
base paper
fiber
heat
polyester
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JP16764896A
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English (en)
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Yukio Kawazu
幸雄 河津
Kenji Kida
健次 喜田
Hideyuki Yamauchi
英幸 山内
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】ポリエステルフィルムの片面にポリエステ
ル繊維からなる多孔性支持体が接着剤を介することなく
接着されてなる感熱孔版印刷用原紙において、該原紙の
レーザーラマン分光法により求めたフィルムの配向パラ
メータ(R1)と繊維の配向パラメータ(R2)とが、
ともに3〜10の範囲であり、かつ支持体繊維の融着部
に形成された水掻き状の膜のうち、その大きさが直径5
0μmを超えるものが1mm2 あたり30個以下である
ことを特徴とする感熱孔版印刷用原紙。 【効果】本発明の原紙を用いた孔版印刷では、穿孔性に
優れ、得られる印刷物は高精細でかつ耐刷性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱孔版印刷用原
紙に関する。さらに詳しくは、サーマルヘッドやレーザ
ー光線等によって穿孔製版される感熱孔版印刷用原紙に
関するものであり、特に高感度で印刷鮮明性に優れ、か
つ耐刷性に優れた感熱孔版印刷用原紙に関する。
【0002】
【従来の技術】感熱孔版印刷は、インキ透過性の多孔性
支持体に熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせたものを原
紙として用い、センサーで読み取った原稿の画像をデジ
タル信号としてサーマルヘッドに送り、サーマルヘッド
の発熱によって熱可塑性樹脂フィルムを加熱溶融せしめ
て穿孔製版し、該穿孔部に多孔性支持体側から印刷イン
キを浸出せしめて印刷用紙に印刷するものである。
【0003】近年、感熱孔版印刷機では高精細印刷や高
速製版の要求に応えるため、サーマルヘッドのドット密
度を増大したり、製版エネルギーを低減するなどの改良
が行われており、そのための高感度な原紙の実現が求め
られている。また、大量枚数を印刷した時に、原紙が変
形したり破れたりしない耐刷性に優れた原紙が要求され
ている。
【0004】従来より感熱孔版印刷用原紙としては、ア
クリロニトリル系フィルム、ポリエステル系フィルム、
塩化ビニリデン系フィルム等の熱可塑性樹脂フィルム
に、天然繊維、化学繊維または合成繊維あるいはこれら
を混抄した薄葉紙、不織布、紗等によって構成された多
孔性支持体を接着剤で貼り合わせた構造のものが知られ
ている(例えば、特開昭51−2512号公報、特開昭
51−2513号公報、特開昭57−182495号公
報など)。
【0005】しかしながら、従来の感熱孔版印刷用原紙
は黒ベタ部に白抜けが発生したり、細字がかすれたり、
また、大量枚数の印刷において、原紙にシワが発生した
り、フィルムと支持体とが剥離したり、原紙が破れたり
するという欠点があった。これら従来原紙の印刷性や耐
刷性不良の原因としては、フィルムと多孔性支持体とを
貼り合わせている接着剤によってインキの透過が阻害さ
れたり、インキ中の水分や有機溶媒等によって接着剤が
浸食されて接着強度が低下したりすることが考えられ
る。
【0006】これら従来原紙の欠点を改良するため、こ
れまでに種々の提案がなされている。例えば、特開昭5
8−147396号公報、特開平4−232790号公
報では、使用する接着剤の量をできるだけ少なくした
り、また接着剤を用いない方法として、特開平4−21
2891号公報においては、熱可塑性樹脂フィルムの片
面に合成繊維が散布され熱圧着されてなる感熱性孔版原
紙が提案されている。しかしながら、これらの方法で
は、接着力が不十分となったり、十分な接着力を得よう
とするとフィルムの配向が低下して穿孔が不十分とな
り、原稿に忠実な製版ができにくいという問題のあるこ
とがわかった。
【0007】さらに、特開平6−305273号公報、
特開平7−186565号公報には、未延伸のポリエス
テルフィルムとポリエステル繊維とを熱接着した後、共
延伸して原紙を得ることが開示されている。該原紙は接
着剤を使用することなくフィルムと支持体繊維とが十分
な接着力を有しているが、近年要求されている高感度で
高精細な印刷物を得るにはいまだ性能が不十分であっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の感熱
孔版印刷用原紙の問題点を解決し、高感度で印刷鮮明性
に優れ、かつ耐刷性に優れた感熱孔版印刷用原紙を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく感熱孔版印刷のメカニズムについて鋭意研
究した結果、原紙を構成するフィルムと支持体繊維の配
向度を特定し、かつ支持体繊維のインキ通過性を改良す
ることにより従来原紙の欠点を改良できることを見いだ
し、本発明を完成したものである。
【0010】すなわち本発明は、ポリエステルフィルム
の片面にポリエステル繊維からなる多孔性支持体が接着
剤を介することなく接着されてなる感熱孔版印刷用原紙
において、該原紙のレーザーラマン分光法により求めた
フィルムの配向パラメータ(R1)と繊維の配向パラメ
ータ(R2)とが、ともに3〜10の範囲であり、かつ
支持体繊維の融着部に形成された水掻き状の膜のうち、
その大きさが直径50μmを超えるものが1mm2 あた
り30個以下であることを特徴とする感熱孔版印刷用原
紙である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリエステルフィ
ルムは穿孔製版性の観点から、配向パラメータ(R1)
が3〜10であり、好ましくは3.5〜10、より好ま
しくは4〜10である。フィルムの配向パラメータ(R
1)を3〜10とすることにより、サーマルヘッドの加
熱穿孔によってフィルムを十分に収縮させることがで
き、穿孔製版性に優れた原紙とすることができる。
【0012】本発明におけるポリエステル繊維は強度の
観点から、配向パラメータ(R2)が3〜10であり、
好ましくは3.5〜10、より好ましくは4〜10であ
る。繊維の配向パラメータ(R2)を3〜10とするこ
とにより、耐刷性に優れた原紙とすることができる。
【0013】本発明における原紙は穿孔製版性と耐刷性
の観点から、フィルムの配向パラメータ(R1)と繊維
の配向パラメータ(R2)とが、ともに3〜10の範囲
であることが肝要である。フィルムの配向パラメータ
(R1)が上記範囲を外れるとフィルムの穿孔感度が低
下し、また、繊維の配向パラメータ(R2)が上記範囲
を外れると、耐刷性が低下する。
【0014】本発明でいうフィルムおよび繊維の配向パ
ラメータ(R1、R2)は、Jobin Yvon/愛
宕物産(株)製“Ramanor”U−1000I(光
源:日本電気(株)製GLG3300 Ar+ レーザー
514.5nm、顕微鏡:オリンパス光学(株)製
BH−2型 対物レンズ×100)を用いて、レーザー
ラマン分光法により求めた値である。
【0015】フィルムの配向パラメータ(R1)は、原
紙をPMMA樹脂中に包埋して湿式研磨し、フィルムの
幅方向に垂直な断面を形成し、該断面に対して垂直にレ
ーザー光を照射し、フィルムの面方向に偏光したレーザ
ー光およびフィルムの厚さ方向に偏光したレーザー光に
よる1615cm−1 バンドのピーク強度をそれぞれI
YY、IXXとし、その比をR1=IYY/IXXとして求め
た。
【0016】また、繊維の配向パラメータ(R2)は、
上記装置を用いて、繊維軸に対して垂直にレーザー光を
照射し、繊維の長さ方向に偏光したレーザー光および繊
維の直径方向に偏光したレーザー光によるラマンスペク
トルの1615cm−1 バンドのピーク強度をそれぞれ
YY、IXXとし、その比をR2=IYY/IXXとして求め
た。
【0017】R1、R2とも測定は一枚の原紙について
20箇所以上行い、その平均値を求めた。これら配向パ
ラメータR1、R2の値が大きいほど配向度が高いこと
を示す。
【0018】本発明における多孔性支持体は、繊維同士
がその交絡点や接点で互いに融着した融着部をもった網
状体を形成してなる。特徴的には、網状体中の一部の融
着部において、2本以上の繊維間にまたがる水掻き状の
膜を形成してなる。多孔性支持体が繊維間にまたがる水
掻き状の膜を形成した網状体とすることにより、耐刷性
に優れた原紙とすることができるのである。
【0019】本発明でいう水掻き状の膜とは、いわゆる
「アヒルの足の水掻き」状のもの、あるいは「蛙の足の
水掻き」状のものをいう。
【0020】本発明における多孔性支持体は、上記のよ
うに形成された水掻き状の膜のうち、その大きさが直径
50μmを超えるものが支持体面積1mm2 あたり30
個以下であることが肝要である。好ましくは1mm2
たり20個以下であり、より好ましくは1mm2 あたり
10個以下である。直径50μmを超える水掻き状の膜
を1mm2 あたり30個以下とすることにより、支持体
中のインキの通過がスムースとなるため高精細な印刷が
可能となる。直径50μmを超える水掻き状の膜が1m
2 あたり30個を超えると、黒ベタ印刷部の濃度が低
下して高精細印刷が困難となり、極端な場合には肉眼で
見える白抜けが発生するので好ましくない。
【0021】本発明の多孔性支持体に形成される水掻き
状の膜の大きさと個数は、電子顕微鏡により観察でき
る。本発明では10cm×10cmの大きさの原紙から
ほぼ等間隔に9箇所のサンプルを採取し、電子顕微鏡を
用いてそれぞれ倍率100倍の写真(縦9cm横11.
2cm)を計9枚撮影した。次いで、透明なシートに直
径5mmの円を描き、前記の写真と重ね合わせ、該円よ
り大きい水掻き状の膜の個数を数えた。同様に9枚の写
真について個数を数え、支持体面積1mm2 当たりの個
数に換算した。
【0022】本発明におけるポリエステルフィルムは穿
孔性の観点から、融点(Tm1)が好ましくは230℃
以下であり、より好ましくは220℃以下、特に好まし
くは210℃以下である。融点が230℃以下であれ
ば、フィルムの穿孔感度が良好となる。
【0023】本発明におけるポリエステルフィルムの融
点(Tm1)と繊維の融点(Tm2)とは、好ましくは
Tm1<Tm2であり、より好ましくはその差が5℃以
上、特に好ましくは10℃以上である。Tm1<Tm2
であれば、製版後の搬送性に優れる。
【0024】本発明におけるポリエステルフィルムの厚
さは穿孔感度と製膜安定性の点から、0.1〜5μmで
あるのが好ましく、より好ましくは0.1〜3μm、特
に好ましくは0.1〜2μmである。
【0025】本発明におけるポリエステルフィルムは、
結晶融解エネルギー(ΔHu)が好ましくは10〜50
J/gであり、より好ましくは10〜40J/gであ
る。ΔHuが10〜50J/gであれば、フィルムの穿
孔感度が安定である。
【0026】本発明におけるポリエステル繊維は、その
平均直径が好ましくは0.5〜20μm、より好ましく
は1〜15μm、特に好ましくは1〜10μmである。
平均直径が0.5〜20μmであれば、支持体強度が十
分である。
【0027】本発明におけるポリエステル繊維は全て同
一直径のものであってもよいし、異なる直径の繊維が混
合されたものであってもよい。
【0028】本発明におけるポリエステル繊維の目付量
はインキの透過性と保持性のバランスの点から、1〜2
0g/m2 であるのが好ましく、より好ましくは2〜1
6g/m2 、特に好ましくは3〜14g/m2 である。
【0029】本発明におけるポリエステル繊維の結晶化
度は、支持体の耐熱安定性の点から10%〜50%が好
ましく、より好ましくは15%〜50%、特に好ましく
は20%〜50%である。
【0030】本発明のポリエステルフィルムおよびポリ
エステル繊維に用いられるポリエステルとはいずれも、
芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸または脂環族
ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とするポリエ
ステルである。ここで、芳香族ジカルボン酸成分として
は例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホン
ジカルボン酸等を用いることができ、中でも好ましくは
テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸
成分としては例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシ
ン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができ、中でも
好ましくはアジピン酸等を用いることができる。また脂
環族ジカルボン酸成分としては例えば、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。これら
の酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用しても
よく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を
一部共重合してもよい。また、ジオール成分としては例
えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオー
ル、1.3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1.3−
シクロヘキサンジメタノール、1.4−シクロヘキサン
ジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリアルキレングリコール、2,2′ビス
(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等
を挙げることができる。中でもエチレングリコールが好
ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用
いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0031】本発明に用いられるポリエステルは以下の
方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオー
ル成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成
物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ
重縮合させることによって製造する方法や、酸成分とし
てジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とで
エステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させる
ことによって製造する方法等がある。この際、必要に応
じて、反応触媒としてアルカリ金属、アルカリ土類金
属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニ
ウム、チタン化合物等を用いることもできる。
【0032】本発明のポリエステルフィルムに用いられ
るポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフ
タレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタ
レートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレ
ンナフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタ
レートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの
共重合体、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレン
テレフタレートとのブレンド等を用いることができる。
穿孔感度と延伸性の点から特に好ましくは、エチレンテ
レフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、
エチレンテレフタレートとエチレンナフタレートとの共
重合体等を用いることができる。
【0033】本発明におけるポリエステルフィルムは上
記ポリエステルを用いて、例えばTダイ押出し法によっ
てポリマーを冷却ドラム上に押し出して未延伸フィルム
を作製し、次いで加熱ロール群で構成された縦延伸機に
供給して長さ方向に延伸し、さらにテンターに送り込ん
で横方向に延伸する、いわゆる逐次二軸延伸法等によっ
て製造することができる。フィルム用いられるポリエス
テルの固有粘度は、好ましくは0.5以上、より好まし
くは0.6以上、特に好ましくは0.65以上である。
固有粘度が0.5以上であれば、製膜安定性が良好で、
特に薄いフィルムのキャストが容易となる。
【0034】本発明におけるポリエステルフィルムには
必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワ
ックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤
等を配合することができる。さらには必要に応じて易滑
性を付与することもできる。易滑性付与方法としては特
に制限はないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは
乾式シリカなどの無機粒子、アクリル酸類、スチレン等
を構成成分とする有機粒子等を配合する方法、ポリエス
テル重合反応時に添加する触媒等を析出する、いわゆる
内部粒子による方法、界面活性剤を塗布する方法等があ
る。
【0035】本発明におけるポリエステル繊維に用いら
れるポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイ
ソフタレートとの共重合体等を用いることができる。熱
寸法安定性の点から特に好ましくは、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート等を用いること
ができる。
【0036】本発明におけるポリエステル繊維からなる
多孔性支持体は、メルトブロー法やスパンボンド法など
の直接溶融紡糸法によって製造することができる。
【0037】例えば、メルトブロー紡糸法では、溶融し
たポリマーを口金から吐出するに際して、口金周辺部か
ら熱風を吹き付け、該熱風によって吐出したポリマーを
細繊度化せしめ、ついで、しかるべき位置に配置したネ
ットコンベア上に吹き付けて捕集し、不織布状のシート
として製造される。ポリマー吐出量、熱風温度、熱風流
量、コンベア速度等を適宜調整することにより、繊維の
太さや目付を調整することができる。
【0038】同様にスパンボンド法では、口金から吐出
したポリマーをエアエジェクターによって牽引し、得ら
れたフィラメントを衝突板に衝突させて繊維を開繊し、
コンベア状に捕集して製造される。ポリマー吐出量、コ
ンベア速度、エジェクターの圧力と流量等を適宜調整す
ることにより、繊維の太さや目付、配向度を調整するこ
とができる。
【0039】用いられるポリマーの固有粘度は、好まし
くは0.35以上、より好ましくは0.4以上、特に好
ましくは0.45以上である。固有粘度が0.35以上
であれば、強度が十分な繊維とすることができる。
【0040】本発明のポリエステル繊維には必要に応じ
て、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯
電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等の
有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合す
ることができる。
【0041】本発明におけるポリエステル繊維には、イ
ンキとの親和性を付与するために必要に応じて繊維の表
面に酸、アルカリ等の化学処理あるいはコロナ処理、低
温プラズマ処理等を施してもよい。
【0042】本発明において、ポリエステルフィルムと
ポリエステル繊維からなる多孔性支持体とを接着剤を介
することなく接着するには、未延伸のポリエステルフィ
ルムと未延伸のポリエステル繊維からなる多孔性支持体
とを熱接着して共延伸することにより達成される。未延
伸フィルムと未延伸繊維を熱接着した状態で共延伸する
ことにより、フィルムと支持体繊維とは剥離することな
く好適に延伸され、接着強度の十分な原紙とすることが
できる。また、支持体繊維が補強体として作用するの
で、フィルムの厚さが薄い場合にも製膜安定性が良好と
なる。
【0043】フィルムの配向パラメータ(R1)と繊維
の配向パラメータ(R2)とを本発明の範囲にし、かつ
支持体繊維に形成される水掻き状の膜の大きさと個数を
本発明の範囲内に特定するには、使用するフィルムおよ
び繊維のポリマー種およびその重合度、フィルムと繊維
との熱接着条件、両者を共延伸する時のそれぞれの温
度、延伸倍率ならびにニップ圧力、さらには熱処理温度
等を適宜調整することにより達成することができる。こ
の場合、未延伸フィルムおよび未延伸繊維は延伸挙動の
近いものの組み合わせが好ましく、未延伸フィルムおよ
び未延伸繊維の結晶化度は10%以下が好ましく、より
好ましくは7%以下、特に好ましくは5%以下である。
また、未延伸フィルムおよび未延伸繊維の配向パラメー
タ(R1、R2)は1〜1.5が好ましく、より好まし
くは1〜1.3、特に好ましくは1〜1.2である。
【0044】未延伸フィルムおよび未延伸繊維の適正延
伸温度の差が大きい場合でも、例えば、縦延伸前の予熱
の段階で、未延伸フィルム部分、未延伸繊維部分の予熱
に別々の赤外線ヒーターを用いたり、あるいは単一また
は複数のロールに接触させて予熱する場合には、それぞ
れ未延伸フィルム部分と未延伸繊維部分が直接接触する
ロールの温度に差を設けて加熱したり、あるいはこれら
を組み合わせて予熱した後に延伸することによりフィル
ム部分、繊維部分の配向をともに高いものにすることが
でき、かつ水掻き状の膜の大きさと個数を調整すること
ができる。また、テンターによる横延伸であれば、延伸
前の予熱ゾーンにおいて、フィルム面側と繊維面側の熱
風の温度に差を設けて予熱を行った後、延伸ゾーンで横
延伸することにより、フィルムと繊維をともに配向の高
いものとすることができる。
【0045】未延伸フィルムと未延伸繊維からなる支持
体とを熱接着するには通常、フィルムと支持体を重ねた
状態で加熱しつつ加圧して行うのが好ましく、その方法
は特に限定されないが、本発明においては加熱ロールに
よる熱接着が特に好ましい。用いる加熱ロールの材質と
しては、金属ロールや“テフロン”ロール、シリコンロ
ールなどが好ましい。熱接着温度はフィルムのガラス転
移点(Tg)付近が好ましく、Tg−10℃〜Tg+3
0℃の範囲が特に好ましい。また、熱接着時の圧力はロ
ール線圧で0.1〜10kg/cmの範囲で行うのが好
ましい。
【0046】熱接着されたフィルムと支持体繊維との共
延伸の方法は特に限定されるものではなく、一軸延伸、
二軸延伸いずれの方法でもよいが、二軸延伸がより好ま
しい。二軸延伸は逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法
のいずれの方法であってもよいが、逐次二軸延伸が特に
好ましい。逐次二軸延伸の場合、通常加熱ロール群によ
る縦延伸の後、テンターにより横延伸を行うのが一般的
であるが、逆に行ってもよい。加熱ロールの材質として
は金属、“テフロン”、セラミック、シリコンゴムなど
が好ましく用いられる。ニップロールの材質はシリコン
ゴムが特に好ましい。延伸時のニップ圧力は、ロール線
圧で0.1〜10kg/cmの範囲で行うのが好まし
い。延伸温度は50℃〜150℃の間が好ましく、より
好ましくは60℃〜130℃の範囲で行うのが好まし
い。また、延伸時の加熱を均一に行うため、支持体繊維
のみを単独で予熱してから延伸ロールに供給してもよ
い。さらに、フィルムと支持体繊維とを均一に延伸する
ため、熱接着されたフィルムと支持体とを延伸直前に赤
外線ヒーターなどで加熱してもよい。
【0047】延伸倍率は特に限定されないが、通常好ま
しくは縦、横それぞれ2〜8倍、より好ましくは3〜8
倍が適当である。また、二軸延伸後、縦または横、ある
いは縦横に再延伸してもかまわない。
【0048】さらにその後、二軸延伸後の本発明原紙を
熱処理するのが好ましい。熱処理温度は特に限定されな
いが、ガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)との間が
好ましく、Tg+10℃〜Tm−10℃が特に好まし
い。処理時間は通常0.5〜60秒程度が適当である。
【0049】また、熱処理して得られた原紙を一旦室温
程度まで冷却した後、さらに40〜90℃の比較的低温
で、5分から1週間程度エージングすることもできる。
このようなエージングを採用すると、原紙の保管時ある
いは印刷機の中でのカール、シワの発生が少なく特に好
ましい。
【0050】本発明における原紙のフィルムと支持体の
剥離強度は好ましくは1g/cm以上、より好ましくは
5g/cm以上、特に好ましくは10g/cm以上であ
る。剥離強度が1g/cm以上であると、フィルム搬送
時にシワや破れが生じにくく、走行安定性に優れる。
【0051】本発明における原紙には、サーマルヘッド
等との融着防止のため、フィルム表面に離型剤を塗布す
るのが好ましい。離型剤としては、シリコーンオイル、
シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、界面活性剤等からな
るものを用いることができる。これら離型剤中には、本
発明の効果を阻害しない範囲内で各種添加剤を併用する
ことができる。例えば、帯電防止剤、耐熱剤、耐酸化防
止剤、有機粒子、無機粒子、顔料等が用いられる。
【0052】離型剤層の厚みは好ましくは0.005μ
m以上0.4μm以下、より好ましくは0.01μm以
上0.2μm以下である。離型剤層の厚みが0.005
μm以上であれば、原紙の走行性が良好となり、厚みが
0.4μm以下であればサーマルヘッドの汚染がない。
【0053】離型剤の塗布は、フィルムの延伸前あるい
は延伸後、いずれの段階で行ってもよい。塗布方法は特
に限定されないが、ロールコーター、グラビアコータ
ー、リバースコーター、バーコーター等を適宜用いて塗
布することができる。
【0054】また、離型剤を塗布する前に必要に応じ
て、フィルムの塗布面に空気中その他種々の雰囲気中で
コロナ放電処理等を施しても良い。
【0055】
【特性の測定方法】
(1)フィルムの配向パラメータ(R1) 配向パラメータの測定には、Jobin Yvon/愛
宕物産(株)製“Ramanor”U−1000I装置
(光源:日本電気(株)製GLG3300 Ar+ レー
ザー 514.5nm、顕微鏡:オリンパス光学(株)
製 BH−2型対物レンズ×100)を用いた。
【0056】原紙をPMMA樹脂中に包埋して湿式研磨
し、フィルムの幅方向に垂直な断面を形成し、該断面に
対して垂直にレーザー光を照射した。フィルムの面方向
に偏光したレーザー光およびフィルムの厚さ方向に偏光
したレーザー光による1615cm−1 バンドのピーク
強度をそれぞれIYY、IXXとし、その比をR2=IYY
XXとして求めた。測定は一枚の原紙について20箇所
以上行い、その平均値を求めた。
【0057】(2)繊維の配向パラメータ(R2) 同様に上記装置を用いて、原紙の支持体面側から繊維軸
に対して垂直にレーザー光を照射し、繊維の長さ方向に
偏光したレーザー光および繊維の直径方向に偏光したレ
ーザー光によるラマンスペクトルの1615cm−1
ンドのピーク強度をそれぞれIYY、IXXとし、その比を
R1=IYY/IXXとして求めた。測定は一枚の原紙につ
いて20箇所以上行い、その平均値を求めた。
【0058】(3)水掻き状の膜の大きさおよび個数 10cm×10cmの大きさの原紙を準備した。該原紙
の両端部および中央部から等間隔に9箇所のサンプルを
採取し、該サンプルの支持体面を電子顕微鏡によりそれ
ぞれ倍率100倍の写真(写真サイズ:縦9cm×横1
1.2cm、倍率100倍で面積1mm2 に相当する)
を撮影した。次いで透明シートに直径5mm(倍率10
0倍で50μmに相当)の円を描き、該シートを前記写
真と重ね合わせ、該円より大きい膜の個数を数えた。9
枚の写真について同様に個数を数え、支持体面積1mm
2 当たりの個数に換算した。
【0059】(4)フィルムおよび繊維の融点(Tm
1、Tm2) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用い、試料5mgを採取し、室温より昇温速度20
℃/分で昇温した時の吸熱曲線のピークの温度より求め
た。
【0060】(5)結晶融解エネルギー(ΔHu) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用いて、フィルムの融解時の面積から求める。この
面積は昇温することによりベースラインから吸収側にず
れ、さらに昇温を続けるとベースラインの位置まで戻る
までの面積であり、融解開始温度位置から終了位置まで
を直線で結び、この面積(a)を求める。同じDSCの
条件でIn(インジウム)を測定し、この面積(b)を
28.5J/gとして次式により求める。
【0061】ΔHu=28.5×a/b(J/g)
【0062】(6)繊維の平均直径(μm) サンプルの任意の10箇所について電子顕微鏡で倍率2
000倍の写真を撮影し、1枚の写真について15本の
繊維の直径を測定し、合計150本の繊維の直径を求
め、その平均値を表した。
【0063】(7)繊維目付(g/m2 ) サンプルから20cm×20cmを切り出し、その重さ
を測定してm2 当たりの重量に換算した。
【0064】(8)結晶化度(%) n−ヘプタンと四塩化炭素の混合液からなる密度勾配管
に試料を投入し、10時間経過後の値を読んで密度を求
め、結晶化度0%の密度を1.335g/cm3 、結晶
化度100%の密度を1.455g/cm3 としてサン
プルの結晶化度を算出した。
【0065】(9)穿孔性評価 作製した原紙を理想科学工業(株)製印刷機“リソグラ
フ”(GR275)に供給して、一辺10mmの黒ベタ
(■)、3〜16ポイントの文字、太さの異なる罫線を
描いた原稿を用いてマスターを製版した。該マスターの
黒ベタ部からサンプリングして、電子顕微鏡によりフィ
ルム面の穿孔写真を倍率100倍で撮影した。穿孔部1
50個について、未穿孔数を数え、次のように判定し
た。
【0066】未穿孔数が0のものを◎、未穿孔が5個未
満のものを○、未穿孔数が5個以上10個未満のものを
△、未穿孔数が10個以上のものを×とした。
【0067】(10)印刷性評価 上記と同様に作製したマスターを用いて理想科学工業
(株)製印刷機“リソグラフ”(GR275)で通常条
件で印刷を行い、10枚目の印刷物について、10箇所
の黒ベタ部の濃度をマクベス光学濃度計により測定し、
つぎのように判定した。
【0068】濃度が1.2以上のものを◎、濃度が1以
上1.2未満のものを○、濃度が0.8以上1未満のも
のを△、濃度が0.8未満のものを×とした。
【0069】(11)耐刷性評価 上記と同様に作製したマスターを用い、印刷速度100
枚/分で3000枚の印刷を行い、次のように判定し
た。
【0070】全くトラブルなく3000枚の印刷ができ
たものを◎、罫線に少し太りが発生したものを○、罫線
に歪みと太りが発生したものを△、マスターに破れが発
生したものを×とした。
【0071】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0072】実施例1 孔径0.3mm、孔数100個の矩形紡糸口金を用い
て、口金温度290℃、熱風温度295℃、熱風流量4
30Nm3 /hで、ポリエチレンテレフタレート原料
(〔η〕=0.485、Tm2=254℃)をメルトブ
ロー法にて紡出し、捕集距離18cmでコンベア上に繊
維を捕集して巻取り、繊維目付130g/m2 の未延伸
不織布を作製した。該未延伸不織布の結晶化度は2.5
%、配向パラメータ(R2)は1.0であった。
【0073】次いで、エチレンテレフタレート75モル
%、エチレンイソフタレート25モル%からなる共重合
ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.74、Tm1=1
91℃)をスクリュ径40mmの押出機を用いて、Tダ
イ口金温度275℃で押出し、直径300mmの冷却ド
ラム(ドラム温度50℃)上にキャストして未延伸フィ
ルムを作製した。
【0074】該未延伸フィルムと前記の未延伸不織布と
を重ねて縦延伸機に供給し、4本の予熱ロールを通過さ
せて熱接着した。予熱ロール(材質:“テフロン”)の
温度は入り口から順番に80℃、95℃、80℃、95
℃とし、不織布が接触するロール温度をフィルムが接触
するロール温度よりも高く設定した。次いで温度95℃
の延伸ロール(材質:シリコンゴム)で長さ方向に3.
5倍に延伸し、室温まで冷却した。延伸ロールのニップ
線圧は1kg/cmとした。
【0075】次いで、テンター式横延伸機に送り込み、
予熱温度90℃、延伸温度95℃で幅方向に4.0倍延
伸し、さらにテンター内で110℃で熱処理してロール
状に巻き取った。フィルム面にシリコン系離型剤を塗布
して本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。得られた原紙
はフィルム厚さ1.3μm、支持体繊維の目付量は10
g/m2 、平均直径は4.6μmであった。該原紙のフ
ィルムの配向パラメータ(R1)は6.4、支持体繊維
の配向パラメータ(R2)は6.2であった。また、原
紙の支持体面を電子顕微鏡で写真撮影し、直径50μm
を超える水掻き状の膜の個数を数えたところ、1mm2
あたり5個であった。該原紙は穿孔性、印刷性、耐刷性
ともに◎であった。
【0076】実施例2 実施例1において、延伸ロールのニップ線圧を3kg/
cmとしたこと以外は実施例1と同様の条件で本発明の
感熱孔版印刷用原紙を作製した。該原紙のフィルムの配
向パラメータ(R1)は6.3、支持体繊維の配向パラ
メータ(R2)は6.0であった。また、原紙の支持体
面を電子顕微鏡で写真撮影し、直径50μmを超える水
掻き状の膜の個数を数えたところ、1mm2 あたり13
個であった。該原紙の穿孔性は◎、印刷性は○、耐刷性
は◎であった。
【0077】実施例3 実施例1において、延伸ロールのニップ線圧を5kg/
cmとしたこと以外は実施例1と同様の条件で本発明の
感熱孔版印刷用原紙を作製した。該原紙のフィルムの配
向パラメータ(R1)は6.3、支持体繊維の配向パラ
メータ(R2)は6.1であった。また、原紙の支持体
面を電子顕微鏡で写真撮影し、直径50μmを超える水
掻き状の膜の個数を数えたところ、1mm2 あたり25
個であった。該原紙の穿孔性は◎、印刷性は○、耐刷性
は◎であった。
【0078】実施例4 実施例1において、延伸ロールのニップ線圧を7kg/
cmとしたこと以外は実施例1と同様の条件で本発明の
感熱孔版印刷用原紙を作製した。該原紙のフィルムの配
向パラメータ(R1)は6.0、支持体繊維の配向パラ
メータ(R2)は5.8であった。また、原紙の支持体
面を電子顕微鏡で写真撮影し、直径50μmを超える水
掻き状の膜の個数を数えたところ、1mm2 あたり30
個であった。該原紙の穿孔性は◎、印刷性は△、耐刷性
は○であった。
【0079】比較例1 実施例1において、延伸ロールのニップ線圧を10kg
/cmとしたこと以外は実施例1と同様の条件で本発明
の感熱孔版印刷用原紙を作製した。該原紙のフィルムの
配向パラメータ(R1)は5.4、支持体繊維の配向パ
ラメータ(R2)は5.1であったが、原紙の支持体面
を電子顕微鏡で写真撮影し、直径50μmを超える水掻
き状の膜の個数を数えたところ、1mm2 あたり35個
であった。該原紙の穿孔性は○、印刷性は×、耐刷性は
○であった。
【0080】比較例2 実施例1において、予熱ロールの温度をすべて80℃に
設定したこと以外は、実施例1と同様にして感熱孔版印
刷用原紙を得た。原紙の支持体面を電子顕微鏡で写真撮
影し、直径50μmを超える水掻き状の膜の個数を数え
たところ、1mm2 あたり13個であった。該原紙のフ
ィルムの配向パラメータ(R1)は4.2、支持体繊維
の配向パラメータ(R2)は2.9であった。該原紙の
穿孔性と印刷性は○、耐刷性は×であった。
【0081】実施例5 孔径0.3mm、孔数100個の矩形紡糸口金を用い
て、口金温度295℃、熱風温度295℃、熱風流量5
00Nm3 /hで、ポリエチレンテレフタレート原料
(〔η〕=0.55、Tm2=255℃)をメルトブロ
ー法にて紡出し、捕集距離18cmでコンベア上に繊維
を捕集して巻取り、繊維目付130g/m2の未延伸不
織布を作製した。該未延伸不織布の結晶化度は1.5
%、配向パラメータ(R2)は1.01であった。
【0082】次いで、エチレンテレフタレート80モル
%、エチレンイソフタレート20モル%からなる共重合
ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.72、Tm1=1
98℃)を用いて実施例1と同様の条件で未延伸フィル
ムを作製した。
【0083】該未延伸フィルムと前記の未延伸不織布と
を重ねて縦延伸機に供給し、4本の予熱ロールを通過さ
せて熱接着した。予熱ロール(材質:“テフロン”)の
温度は入り口から順番に85℃、95℃、85℃、95
℃とし、不織布が接触するロール温度をフィルムが接触
するロール温度よりも高く設定した。次いで温度97℃
の延伸ロール(材質:シリコンゴム)で長さ方向に3.
5倍に延伸し、室温まで冷却した。延伸ロールのニップ
線圧は1kg/cmとした。また、延伸ロール直前にお
いて赤外線ヒーターにより設定電力1kWで不織布面側
を加熱した。
【0084】次いで、テンター式横延伸機に送り込み、
予熱温度95℃、延伸温度100℃で幅方向に4.0倍
延伸し、さらにテンター内で120℃で熱処理してロー
ル状に巻き取った。フィルム面にシリコン系離型剤を塗
布して本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。得られた原
紙はフィルム厚さ1.3μm、支持体繊維の目付量は1
1g/m2 、平均直径は5μmであった。該原紙のフィ
ルムの配向パラメータ(R1)は6.3、支持体繊維の
配向パラメータ(R2)は6.0であった。また、原紙
の支持体面を電子顕微鏡で写真撮影し、直径50μmを
超える水掻き状の膜の個数を数えたところ、1mm2
たり3個であった。該原紙は穿孔性、印刷性、耐刷性と
もに◎であった。
【0085】実施例6 実施例5において、延伸ロール直前における赤外線ヒー
ターによる加熱を1.5kWに変更した以外は、実施例
5と同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。
【0086】該原紙のフィルムの配向パラメータ(R
1)は5.7、支持体繊維の配向パラメータ(R2)は
5.5であった。また、原紙の支持体面を電子顕微鏡で
写真撮影し、水掻き状の膜の大きさと個数を数えたとこ
ろ、直径50μmを超える水掻き状の膜の個数は1mm
2 あたり17個であった。該原紙の穿孔性は◎、印刷性
は○、耐刷性は◎であった。
【0087】実施例7 実施例5において、延伸ロール直前における赤外線ヒー
ターによる加熱を2.0kWに変更した以外は、実施例
5と同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。
【0088】該原紙のフィルムの配向パラメータ(R
1)は5.7、支持体繊維の配向パラメータ(R2)は
5.5であった。また、原紙の支持体面を電子顕微鏡で
写真撮影し、水掻き状の膜の大きさと個数を数えたとこ
ろ、直径50μmを超える水掻き状の膜の個数は1mm
2 あたり27個であった。該原紙の穿孔性は◎、印刷性
は○、耐刷性は◎であった。
【0089】比較例3 実施例5において、延伸ロール直前における赤外線ヒー
ターによる加熱を3kWに変更した以外は、実施例5と
同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。
【0090】該原紙のフィルムの配向パラメータ(R
1)は5.1、支持体繊維の配向パラメータ(R2)は
4.9であった。また、原紙の支持体面を電子顕微鏡で
写真撮影し、水掻き状の膜の大きさと個数を数えたとこ
ろ、直径50μmを超える水掻き状の膜の個数は1mm
2 あたり36個であった。該原紙の穿孔性は○、印刷性
は×、耐刷性は○であった。
【0091】比較例4 実施例5において、延伸ロール直前において赤外線ヒー
ターによる加熱をしないこと以外は、実施例3と同様に
して感熱孔版印刷用原紙を得た。該原紙の支持体面を電
子顕微鏡で写真撮影し、水掻き状の膜の大きさと個数を
数えたところ、直径50μmを超える水掻き状の膜の個
数は1mm2 あたり13個であった。また、該原紙のフ
ィルムの配向パラメータ(R1)は4.3、支持体繊維
の配向パラメータ(R2)は2.9であった。該原紙
は、穿孔性と印刷性は○、耐刷性は×であった。
【0092】実施例8 孔径0.3mm、孔数100個の矩形紡糸口金を用い
て、口金温度295℃、熱風温度300℃、熱風流量4
70Nm3 /hで、ポリエチレンテレフタレート原料
(〔η〕=0.615、Tm2=254℃)をメルトブ
ロー法にて紡出し、捕集距離16cmでコンベア上に繊
維を捕集して巻取り、繊維目付120g/m2 の未延伸
不織布を作製した。該未延伸不織布の結晶化度は1.0
%、配向パラメータ(R2)は1.03であった。
【0093】次いで、エチレンテレフタレート70モル
%、2,6ナフタレンジカルボン酸30モル%からなる
共重合ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.72、Tm
2=190℃)を用いて実施例1と同様の条件で未延伸
フィルムを作製した。
【0094】該未延伸フィルムと前記の未延伸不織布と
を重ねて縦延伸機に供給し、4本の予熱ロールを通過さ
せて熱接着した。予熱ロール(材質:“テフロン”)の
温度は入り口から順番に90℃、100℃、90℃、1
00℃とし、不織布が接触するロール温度をフィルムが
接触するロール温度よりも高く設定した。次いで温度1
00℃の延伸ロール(材質:シリコンゴム)で長さ方向
に3.5倍に延伸し、室温まで冷却した。延伸ロールの
ニップ線圧は1kg/cmとした。また、延伸ロール直
前において赤外線ヒーターにより設定電力1.5kWで
不織布面側を加熱した。
【0095】次いで、テンター式横延伸機に送り込み、
フィルム面側の予熱温度を93℃、不織布面側の予熱温
度を105℃に設定して予熱した後、延伸温度110℃
で幅方向に4.0倍延伸し、さらにテンター内で135
℃で熱処理してロール状に巻き取った。フィルム面に、
シリコン系離型剤を塗布して本発明の感熱孔版印刷用原
紙を得た。得られた原紙はフィルム厚さ1.3μm、支
持体繊維の目付量は10g/m2 、平均直径は4.7μ
mであった。
【0096】該原紙のフィルムの配向パラメータ(R
1)は6.3、支持体繊維の配向パラメータ(R2)は
6.5であった。また、原紙の支持体面を電子顕微鏡で
写真撮影し、水掻き状の膜の大きさと個数を数えたとこ
ろ、直径50μmを越える水掻き状の膜の個数は1mm
2 あたり4個であった。該原紙の穿孔性、印刷性、耐刷
性はともに◎であった。
【0097】比較例5 実施例8において、予熱温度をフィルム面側、不織布面
側ともに105℃にしたこと以外は、実施例8と同様に
して感熱孔版印刷用原紙を得た。該原紙の支持体面を電
子顕微鏡で写真撮影し、水掻き状の膜の大きさと個数を
数えたところ、直径50μmを超える水掻き状の膜の個
数は1mm2 あたり19個であった。また、該原紙のフ
ィルムの配向パラメータ(R1)は2.8、支持体繊維
の配向パラメータ(R2)は5.0であった。該原紙の
穿孔性は×、印刷性は△、耐刷性は○であった。
【0098】比較例6 孔径0.25mm、孔数100個の口金を用いて、ポリ
エチレンテレフタレート原料(〔η〕=0.65、Tm
=254℃)を溶融温度290℃で紡出し、エアエジェ
クターにて、紡糸速度4000m/分でコンベア上に分
散捕集後、温度200℃でエンボス加工を施し、繊維目
付20g/m2 の延伸不織布を作製した。
【0099】次いで、実施例1と同じイソフタル酸共重
合ポリエステル樹脂原料を用いて、厚さ1.3μmの二
軸延伸フィルムを作製した。
【0100】該二軸延伸フィルムと前記の延伸不織布と
を重ねて金属製カレンダーロールでニップ圧力20kg
/cm、温度150℃で熱接着し、次いでフィルム面に
シリコン系離型剤を塗布して感熱孔版印刷用原紙を作製
した。該原紙の支持体面を電子顕微鏡で写真撮影し、水
掻き状の膜の大きさと個数を数えたところ、直径50μ
mを超える水掻き状の膜の個数は1mm2 あたり0個で
あったが、エンボス加工による圧着部分が多数観察され
た。また、該原紙のフィルムの配向パラメータ(R1)
は2.7、支持体繊維の配向パラメータ(R1)は5.
3であった。該原紙の穿孔性は×、印刷性は×、耐刷性
は○であった。
【0101】
【発明の効果】本発明は、上記構成としたことにより、
次の効果を奏する。
【0102】(1)フィルムの配向パラメータを特定し
たので、フィルムの穿孔性に優れ、原稿に忠実な製版マ
スタが得られる。
【0103】(2)支持体繊維に形成される水掻き状の
膜の大きさと個数を特定したので、この原紙を用いた印
刷物は高精細で画像鮮明性に優れる。
【0104】(3)また、支持体の配向パラメータを特
定したので、大量枚数を印刷しても原紙が寸法変化する
ことがなく、耐刷性に優れる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの片面にポリエス
    テル繊維からなる多孔性支持体が接着剤を介することな
    く接着されてなる感熱孔版印刷用原紙において、該原紙
    のレーザーラマン分光法により求めたフィルムの配向パ
    ラメータ(R1)と繊維の配向パラメータ(R2)と
    が、ともに3〜10の範囲であり、かつ支持体繊維の融
    着部に形成された水掻き状の膜のうち、その大きさが直
    径50μmを超えるものが1mm2 あたり30個以下で
    あることを特徴とする感熱孔版印刷用原紙。
  2. 【請求項2】 ポリエステルフィルムの融点が230℃
    以下であることを特徴とする請求項1に記載の感熱孔版
    印刷用原紙。
  3. 【請求項3】 ポリエステル繊維の融点がポリエステル
    フィルムの融点より高いことを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の感熱孔版印刷用原紙。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフィルムの結晶融解エネル
    ギー(ΔHu)が10〜50J/gであることを特徴と
    する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の感熱孔版印
    刷用原紙。
  5. 【請求項5】 ポリエステルフィルムの厚さが0.1〜
    5μmであることを特徴とする請求項1〜請求項4のい
    ずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  6. 【請求項6】 ポリエステル繊維の平均直径が0.5〜
    20μmであることを特徴とする請求項1〜請求項5の
    いずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  7. 【請求項7】 ポリエステル繊維からなる多孔性支持体
    の目付が1〜20g/m2 であることを特徴とする請求
    項1〜請求項6のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原
    紙。
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