JPH0718459A - 高耐食性複層被覆鋼板の製造方法 - Google Patents

高耐食性複層被覆鋼板の製造方法

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JPH0718459A
JPH0718459A JP19197593A JP19197593A JPH0718459A JP H0718459 A JPH0718459 A JP H0718459A JP 19197593 A JP19197593 A JP 19197593A JP 19197593 A JP19197593 A JP 19197593A JP H0718459 A JPH0718459 A JP H0718459A
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corrosion resistance
steel sheet
coating
resin
layer
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JP19197593A
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Inventor
Yasushi Hosoda
靖 細田
Kiwamu Yoshida
究 吉田
Masaya Kimoto
雅也 木本
Shinya Hikino
真也 引野
Kiyoyuki Fukui
清之 福井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 塗装後耐食性(塗装後の疵部耐食性,端面耐
食性)の優れた有機複層被覆鋼板を提供する。 【構成】 鋼板の少なくとも片面上に金属めっき(亜鉛
系あるいはアルミニウム系等のめっき)、アルキン類,
アルキノ−ル類,アミン類もしくはその塩,チオ化合
物,複素環化合物,ポリカルボン酸化合物もしくはその
塩,芳香族カルボン酸化合物もしくはその塩,並びにリ
グニンスルホン酸もしくはその塩から選ばれた少なくと
も1種の化合物を総計で不揮発分総量に対し0.05〜20wt
%含有するクロメ−ト処理液を用いて、めっき層上にCr
付着量として10〜200 mg/m2 のクロメ−ト皮膜層
を形成させ、次いでその上に更に 0.1〜2μm厚の有機
樹脂皮膜層を形成して有機樹脂複層被覆鋼板を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車,家電製品,
建材等の材料として好適な高耐食性複層被覆鋼板の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】これまで自動車を始めとした多
くの産業分野で各種の表面処理鋼板が利用されてきた
が、近年、その使用量の増加に伴って性能への要求も高
まる一方であり、特に自動車用においては「耐孔あき1
0年保証」といった長期的な高耐食性が求められてい
る。
【0003】もっとも、自動車車体用の防錆鋼板につい
ては従来から数多くの表面処理鋼板が開発され実用化が
なされてきた。中でも、防食めっき(亜鉛又は亜鉛合金
めっき等)鋼板上にクロメ−ト皮膜層と薄い有機樹脂皮
膜層を形成させた所謂“有機複層被覆鋼板”は、クロメ
−ト皮膜の防食作用と有機樹脂被覆の腐食環境遮断作用
等による効果が複合されるため、他の防錆鋼板に比べて
圧倒的に優れた耐食性を示すものとして知られている。
【0004】しかも、本発明者等によりクロメ−ト皮膜
の防食性向上に関する検討がなされた結果、「部分還元
したクロム酸を主剤とする水性懸濁液に多価アルコ−
ル,多価カルボン酸等を添加し、 これを鋼板に塗布して
から適正な温度域で焼付を行うことで、 鋼板の焼付硬化
性を失わせることなく防食性能のより優れたクロメ−ト
皮膜を形成させることが可能である」との事項が明らか
となり(特開昭64−80522号公報)、有機樹脂被
覆鋼板の更なる高性能化の可能性を窺わせた。
【0005】しかし、一般に有機複層被覆鋼板は優れた
裸耐食性(即ち無塗装状態での耐食性)を有しているも
のの、有機複層被覆鋼板の上に更に電着塗装,中塗り,
上塗りを施した後の耐食性{つまり塗装後耐食性(疵部
耐食性,端面耐食性)}については未だ十分とは言えな
いのが現状である。
【0006】このようなことから、本発明の目的は、優
れた裸耐食性を示すことは勿論、塗装後耐食性について
も十分に満足できる高耐食性有機複層被覆鋼板を提供す
ることに置かれた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意研究を行ったところ、「有機複層被覆
鋼板を構成するクロメ−ト皮膜層の中に腐食抑制効果の
あるインヒビタ−を含有させること」が有機複層被覆鋼
板の塗装後耐食性を向上させる上で非常に有効であると
の知見を得ることができた。
【0008】本発明は、上記知見事項等を基に行われた
更なる研究の結果を踏まえて完成したものであり、「鋼
板の少なくとも片面上に金属めっきを施した後、 アルキ
ン類,アルキノ−ル類,アミン類もしくはその塩,チオ
化合物,複素環化合物,ポリカルボン酸化合物もしくは
その塩,芳香族カルボン酸化合物もしくはその塩,並び
にリグニンスルホン酸もしくはその塩から選ばれた少な
くとも1種の化合物を総計で不揮発分総量に対し0.05〜
20wt%含有するクロメ−ト処理液を用いて、 めっき層上
にCr付着量として10〜200 mg/m2 のクロメ−ト皮
膜層を形成させ、 次いでその上に更に 0.1〜2μm厚の
有機樹脂皮膜層を形成することにより、 優れた塗装後耐
食性を示す有機樹脂複層被覆鋼板を提供できるようにし
た点」に大きな特徴を有している。
【0009】上述のように、本発明は“従来の耐食性め
っき鋼板(片面めっきでも両面めっきでも構わない)”
のめっき層の上にインヒビタ−として知られる腐食抑制
有機化合物(アルキン類等)を含有するクロメ−ト皮膜
層を設け、更に有機樹脂皮膜を設けることによって優れ
た耐食性を備える有機複層被覆鋼板を製造する方法に係
るものであるが、母材として適用するめっき鋼板(鋼板
並びにめっき金属)の種類やめっきの付着量、更には形
成させる有機樹脂皮膜層の種類については格別に指定さ
れるものではなく、従来の有機樹脂複層被覆鋼板のそれ
と同様で良い。
【0010】ただ、母材として適用するめっき鋼板とし
ては、耐食性の点で優ることが知られている亜鉛系又は
アルミニウム系めっき鋼板、より具体的に示すと純Znめ
っき鋼板,Zn−X(X=Fe,Co,Ni,Mn,Cr,Mg,Al)
合金めっき鋼板,純Alめっき鋼板,Al−Mn合金めっき鋼
板等が好ましいと言える。なお、上記めっき鋼板は、め
っき層の形成に際して“電気めっき法", "溶融めっき
法", "蒸着めっき法”等の何れの方法が用いられたもの
でも良く、また片面めっきのものでも両面めっきのもの
でも相応の効果を得ることができる。そして、めっき付
着量についても特に制限されるものではないが、加工性
と耐食性のバランスからすれば片面当り10〜60g/m
2 の範囲内が好ましいと言える。
【0011】更に、母材として適用するめっき鋼板は、
上述した亜鉛系又はアルミニウム系めっき鋼板の少なく
とも片面上に対して“フラッシュめっき”と呼ばれる上
層めっきを更に設けたものでも良い。このとき、直下の
めっき層を電気めっき法により形成したものは、通常、
乾燥工程を入れずに水洗のみで電気めっきを行うことが
上層めっきの密着性,均一性の点で望ましい。また、直
下のめっき層を溶融めっき法又は気相めっき法で形成し
たものは、その表面を活性化させるために40〜120
g/L(リットル) のNaOHを含む60〜80℃の水溶液中に浸
漬した後、水洗によってアルカリを除去してから電気め
っきを行うことが上層めっきの密着性,均一性の点で望
ましい。
【0012】めっき鋼板として亜鉛系合金電気めっき鋼
板を適用する場合は、それの製造に当り、亜鉛めっき浴
中に合金元素を硫酸塩,酢酸塩,炭酸塩,モリブデン酸
塩,次亜りん酸塩,有機金属塩等の形で添加するか、あ
るいは予めめっき合金を構成する金属を狙いの組成とな
るように溶解した状態のめっき浴を使って電気めっきす
れば良い。
【0013】さて、本発明では、まず上記めっき鋼板の
少なくとも片面上に“インヒビタ−を含有するクロメ−
ト処理液”を使ってクロメ−ト皮膜層が形成される。こ
のクロメ−ト皮膜層の形成は、塗布型,反応型あるいは
電解型の何れによっても構わないが、より優れた耐食性
を確保しようとの観点からは塗布型クロメ−ト処理(ロ
−ルコ−タ−等により鋼板面に処理液を塗布してから8
0〜250℃で焼き付ける方法)によるのが好ましいと
言える。
【0014】また、次に述べる二段還元法(部分還元
法)も、低温での還元,造膜が効率良く進行するので好
ましい。即ち、一段目の還元として、クロム酸水溶液中
のクロム酸 (Cr6+)を予め部分還元する。これにより、
加熱乾燥(焼付)時に還元するクロム酸量を減少させ、
効果的に造膜させることができる。この場合、一段目の
還元率としては、Cr3+/全Cr{=Cr3+/ (Cr3++Cr6+)
}の比を 0.4〜 0.6程度にするのが好ましい。この比
が 0.4未満であると還元効率が劣り、 0.6を超えるとCr
6+が過剰になって処理液の安定性が損なわれる恐れがあ
る。
【0015】一段目の還元に用いる還元剤は限定される
ものではなく、多価アルコ−ル,多価カルボン酸等が用
いられる。また、市販の部分還元クロメ−ト処理液を用
いても良い。一段目の還元がなされた処理液には、未還
元のCr6+に対して1〜4当量倍の量の還元剤を添加する
のが好ましい。この還元剤の量が1当量倍未満であると
クロメ−ト皮膜の耐食性,耐クロム溶出性が不十分とな
り、また4当量倍を超えると還元剤の還元作用が飽和す
るばかりでなく電着塗装性,溶接性を低下させる恐れが
出てくるためである。この還元剤を添加する時期は、塗
装の直前であることが最も好ましいが、少なくとも塗装
前数日以内とする。この理由は、2段目の還元剤が添加
された処理液は、放置するとゲル化を生じやすいためで
ある。
【0016】なお、クロメ−ト処理によるクロメ−ト皮
膜の付着量は、金属Cr量として10〜200 mg/m
2 (好ましくは30〜120 mg/m2 )に調整すべきで
ある。なぜなら、クロメ−ト皮膜付着量が金属Cr量換算
で10 mg/m2 未満であると十分な塗装後耐食性(疵部
耐食性,端面耐食性)向上効果を確保することができ
ず、一方、200 mg/m2 を超えた場合には皮膜密着性
や溶接性の劣化を招くからである。
【0017】本発明では、このクロメ−ト処理に当っ
て、形成されるクロメ−ト皮膜層中にインヒビタ−が含
有されるように“インヒビタ−を含むクロメ−ト処理
液”が使用される。なお、本発明において適用され得る
インヒビタ−は、アルキン類,アルキノ−ル類,アミン
類,チオ化合物,複素環化合物,ポリカルボン酸化合物
もしくはその塩,芳香族カルボン酸化合物もしくはその
塩,並びにリグニンスルホン酸もしくはその塩のうちの
1種以上である。
【0018】このうちのアルキン類とは、炭素−炭素三
重結合を含む有機化合物のことであり、例えばペンチ
ン,ヘキシン,ヘプチン,オクチン等が挙げられる。
【0019】アルキノ−ル類とは、上記のアルキン類に
1個以上の水酸基を有する有機化合物のことであり、プ
ロパルギルアルコ−ル,1−ヘキシン−3−オ−ル,1
−ヘプチン−3−オ−ル等が挙げられる。
【0020】アミン類は、脂肪族,脂環式,芳香族の何
れでも良い。例えば、オクチルアミン,ノニルアミン,
デシルアミン,ラウリルアミン,トリデシルアミン,セ
チルアミン等のアルキルアミン類、プロペニルアミン,
ブテニルアミン等のアルケニルアミン類、シクロヘキシ
ルアミン等の脂環式アミン類、アニリン等の芳香族アミ
ン類等が挙げられる。
【0021】チオ化合物は、分子中に硫黄原子を1個以
上含む有機化合物であり、デシルメルカプタン等のアル
キルメルカプタン類、ジメチルスルフィド等のジアルキ
ルスルフィド類、チオ尿素及びその誘導体、チオグリコ
−ル酸等が例示される。
【0022】複素環化合物は、環状の分子において環の
構成原子として炭素以外の原子が含まれている有機化合
物であり、ピリジン,ベンゾチアゾ−ル,ベンゾトリア
ゾ−ル,キノリン,インド−ル,チオフェン,ピロ−
ル,フラン,プリン等、並びにこれらの置換誘導体が例
示される。
【0023】また、ポリカルボン酸化合物は分子中にカ
ルボキシル基を2個以上含む化合物であり、脂肪族ポリ
カルボン酸としてはクエン酸,コハク酸,マロン酸,ア
ジピン酸,アゼライン酸,セバシン酸等が例示される。
【0024】そして、芳香族カルボン酸化合物は芳香環
(ベンゼン環,ナフタレン環等)に連結されたカルボキ
シル基を分子内に有する化合物であって、安息香酸,ケ
イ皮酸,サリチル酸,トルイル酸,ナフタレンカルボン
酸等が例示される。
【0025】なお、アミン類並びにカルボン酸類につい
てはその塩を用いることも可能である。即ち、アミン類
の場合にはその酸付加塩(硫酸塩,塩酸塩等)を、ポリ
カルボン酸や芳香族カルボン酸についてはその金属塩
(アルカリ金属塩,亜鉛塩等)やアンモニウム塩を使用
することができる。更に、上記以外の化合物としてリグ
ニンスルホン酸もしくはその塩を挙げることができ、こ
れらは上記化合物と同等の効果を奏する。
【0026】これらのインヒビタ−をクロメ−ト皮膜層
中に含有せしめるには、前述した如く基本的にはクロメ
−ト処理液に予め所望のインヒビタ−(1種あるいは2
種以上)を溶解せしめておき、通常と同様にクロメ−ト
処理を行えば良い。
【0027】ところで、クロメ−ト処理液中に含有させ
るインヒビタ−の割合は総計で0.05〜20wt%(より好ま
しくは 0.5〜5wt%)とすべきである。なぜなら、イン
ヒビタ−の含有割合が総計で0.05wt%より少ないと、十
分な耐食性向上効果(特に疵部耐食性,端面耐食性の向
上効果)が得られず、一方、20wt%より多いとクロメ−
ト皮膜の緻密度が低下し、結果として耐食性が不十分に
なるためである。なお、クロメ−ト処理液を二段還元法
で塗布する場合、インヒビタ−の添加はクロメ−ト処理
液の部分還元の前後何れで行っても差支えがない。
【0028】本発明では、めっき鋼板上にインヒビタ−
を含むクロメ−ト皮膜層が形成された後、このクロメ−
ト皮膜層の上に有機樹脂皮膜層を 0.1〜2μmの厚みで
設ける。この場合、有機樹脂皮膜層の厚みが 0.1μm未
満では耐食性が不十分となり、一方、2μmを超える厚
みになると溶接性,電着塗装性が著しく低下する。
【0029】上記有機樹脂皮膜層は、従来より塗装鋼板
の製造に使用されてきた各種の樹脂系被覆組成物を用い
て形成することができる。これらの中では、皮膜形成装
置が簡便で造膜も速い熱硬化型のものが工業的には好ま
しいが、紫外線又は電子線硬化型のものや常温乾燥型の
ものでも格別な問題はない。
【0030】熱硬化型の有機樹脂皮膜は、架橋剤を含有
する樹脂液を塗布した後、適当な温度に加熱して塗膜を
焼き付けることにより形成されるものであり、好ましい
樹脂種としてエポキシ系樹脂が挙げられる。塗布に用い
る樹脂液中には、樹脂及び架橋剤のほか、必要により希
釈用の溶媒や、1種又は2種以上の添加剤を含有してい
ても良い。このような任意の添加剤としては、無機充填
剤,顔料類{防錆顔料,体質顔料(特に着色顔料)},
可塑剤,潤滑性付与成分等がある。
【0031】好ましい樹脂種であるエポキシ系樹脂とし
ては、ビスフェノ−ルA系,ビスフェノ−ルF系,ノボ
ラック型,臭素化エポキシ等の任意のグリシジルエ−テ
ル系エポキシ樹脂が使用できる。また、エポキシ樹脂中
のエポキシ基及びヒドロキシル基を乾性油脂肪酸中のカ
ルボキシル基と反応させたエポキシエステル樹脂や、イ
ソシアネ−トと反応させることにより得られるウレタン
変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂も使用できる。
【0032】また、本発明においてエポキシ樹脂の1種
として好適に使用できるものに、ポリヒドロキシルポリ
エ−テル樹脂がある。この樹脂は、単核型もしくは二核
型の2価フェノ−ルあるいは単核型と二核型との混合2
価フェノ−ルを、アルカリ触媒の存在下でほぼ等モル量
のエピハロヒドリンと重縮合させて得られる重合体であ
る。
【0033】エポキシ系樹脂液中には、皮膜の種々の性
能(加工性,可撓性,潤滑性,電着塗装性等)を改善す
る目的でエポキシ系以外の樹脂(例えば皮膜に可撓性を
与えるためのブチラ−ル樹脂や電着塗装性を向上するた
めの水溶性樹脂等)を添加しても良い。ただ、エポキシ
系以外の樹脂の添加量は、あまり多くなると耐食性の低
下を招くことから、樹脂液中の全樹脂固形分の50wt%
以下とする。
【0034】エポキシ系樹脂用の架橋剤としては、フェ
ノ−ル樹脂,アミノ樹脂,ポリアミド,アミノポリアミ
ド,アミン,ブロックイソシアネ−ト,酸無水物等の公
知の各種の架橋剤を1種もしくは2種以上使用すること
ができる。架橋剤を使用すると、樹脂皮膜層による耐食
性改善効果が一層向上する。架橋剤の添加量は、エポキ
シ系樹脂中のエポキシ基とヒドロキシル基の合計量に対
する架橋剤中の官能基のモル比が 0.1〜2の範囲内が好
ましい。
【0035】樹脂皮膜層による耐食性向上を目的とし
て、所望により無機充填材を樹脂液中に添加しても良
い。有効な無機充填材の例としては、コロイダルシリ
カ,各種珪酸塩鉱物,アルミナ,炭酸カルシウム,りん
酸亜鉛,りん酸カルシウム,りんモリブデン酸亜鉛,り
んモリブデン酸アルミニウム等が挙げられる。なお、無
機充填剤の添加量は樹脂固形分に対して1〜30wt%の
範囲内が好ましい。また、クロム酸ストロンチウムやク
ロム酸亜鉛等の金属クロム酸塩系防錆顔料を樹脂液中に
添加しておくことも耐食性向上に有効である。
【0036】更に、本発明に係る有機複層被覆が鋼板の
片面のみに形成される場合には、最上層の有機樹脂皮膜
層に着色顔料を含有させて皮膜を着色しておくと、表裏
の識別が容易となるのでユ−ザ−の作業に好都合とな
る。着色顔料としては、酸化鉄,酸化チタン顔料,カ−
ボン等の無機系顔料は勿論のこと、有機系顔料も使用可
能である。
【0037】有機樹脂皮膜層の形成は、例えば上述した
樹脂液をロ−ルコ−タ−等の適当な塗布手段でクロメ−
ト皮膜上に塗布した後、加熱して塗膜を硬化させる方法
で実施できる。加熱温度は、エポキシ系樹脂の場合であ
ると80〜250℃(好ましくは120〜200℃)で
ある。なお、素地鋼板が焼付け硬化型の場合には、この
時の加熱温度も150℃以下とするのが好ましい。
【0038】そして、上述した本発明法によって製造さ
れる有機複層被覆鋼板では、特にめっき層上のクロメ−
ト皮膜層中に腐食抑制効果のあるインヒビタ−を含有す
るようになるため、これとめっき層,有機樹脂皮膜層と
の複合作用によって従来の有機複層被覆鋼板では達成す
ることのできない優れた塗装後耐食性を発揮する。
【0039】次に、本発明の効果を実施例により更に具
体的に説明する。
【実施例】表1及び表2に示す各種母材めっき鋼板を準
備した後、これらにクロメ−ト処理を施してからクリア
−膜(有機樹脂膜)を被覆し、同じく表1及び表2に示
した皮膜構成及び皮膜組成の有機複層被覆鋼板を作成し
た。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】なお、この際、クロメ−ト処理に当っては
市販の塗布型クロメ−ト処理液を原液とし、一部の例を
除きこれにインヒビタ−を添加して調整した処理液を用
いて処理を行った。
【0043】また、有機樹脂膜の形成は、ビスフェノ−
ルA型エポキシ樹脂:65wt%,フェノ−ル樹脂型硬化
剤:15wt%,乾性シリカ:15wt%,潤滑成分:5wt
%をシクロヘキサノンに溶解し、NV(不揮発成分)を
20wt%に調整した樹脂液を用いて行った。
【0044】そして、このようにして得られた各有機複
層被覆鋼板について“塗装後の疵部耐食性”及び“塗装
後の端面耐食性”を評価した。
【0045】なお、“塗装後の疵部耐食性”及び“塗装
後の端面耐食性”は以下に示す方法で評価した。 (a) 塗装後の疵部耐食性 まず、有機複層被覆鋼板から70mm×150mmの試験片
を切り出した後、この未加工の平板を脱脂剤FC433
6(商品名:日本パ−カライジング社)で脱脂した後、
U−80(商品名:日本ペイント社)で厚さ20±1μ
mのカチオン電着塗装を施し、175℃で25分間焼付
けた。そして、その後、自動車用アルキッド系塗料の中
塗り(40μm),焼付け,メラミン・ポリエステル系
塗料の上塗り(40μm),焼付けを行って試料を作成
した。
【0046】次いで、この試料の評価面(塗装面)側に
カッタ−ナイフで鋼板素地に達するクロスカットを入
れ、下記サイクル設定の複合腐食試験を行った。 塩水噴霧(5%NaCl,35℃,7時間)→乾燥(50
℃,2時間)→湿潤(RH85%,50℃,15時間)
【0047】疵部耐食性の評価は、上記の腐食サイクル
試験を30サイクル実施後、クロスカット部のブリスタ
−度合いを次のような段階に区分けして行った。 ◎: ブリスタ−幅<0.5mm , ○: ブリスタ−幅<1.0mm , △: ブリスタ−幅<2.0mm , ×: ブリスタ−幅<3.0mm , ××: ブリスタ−幅≧3.0mm 。
【0048】(b) 塗装後の端面耐食性 まず、有機複層被覆鋼板から試験片端面のカエリが板厚
の10%となるように金型のクリアランスを調整してプ
レス打抜きを行い、打ち抜いた試験片に上記と同様の電
着塗装,中塗り,上塗りを行って試料を作成した。そし
て、この試験片を前記と同様の腐食サイクル試験に供し
た。
【0049】端面耐食性の評価は、腐食サイクル試験を
60サイクル実施後、端面の赤錆発生面積率を次のよう
な段階に区分して行った。 ◎: 赤錆発生なし, ○: 赤錆発生5%以下, △: 赤錆発生5%超10%以下, ×: 赤錆発生10%超30%以下, ××: 赤錆発生30%超。
【0050】これらの評価結果を表1及び表2に併せて
示す。表1及び表2に示される結果からも明らかなよう
に、本発明に係る有機複層被覆鋼板は比較材(従来材)
に比べて非常に優れた塗装後の疵部耐食性,端面耐食性
を示すことが分かる。
【0051】以上に説明した如く、この発明によれば、
非常に優れた疵部耐食性,端面耐食性を示す有機複層被
覆鋼板を提供することが可能となり、自動車や建材等の
耐久性向上に大きく寄与することが可能となるなど、産
業上極めて有用な効果がもたらされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 引野 真也 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 福井 清之 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の少なくとも片面上に金属めっきを
    施した後、アルキン類,アルキノ−ル類,アミン類もし
    くはその塩,チオ化合物,複素環化合物,ポリカルボン
    酸化合物もしくはその塩,芳香族カルボン酸化合物もし
    くはその塩,並びにリグニンスルホン酸もしくはその塩
    から選ばれた少なくとも1種の化合物を総計で不揮発分
    総量に対し0.05〜20wt%含有するクロメ−ト処理液を用
    いて、めっき層上にCr付着量として10〜200 mg/m
    2 のクロメ−ト皮膜層を形成させ、次いでその上に更に
    0.1〜2μm厚の有機樹脂皮膜層を形成することを特徴
    とする、高耐食性複層被覆鋼板の製造方法。
JP19197593A 1993-07-06 1993-07-06 高耐食性複層被覆鋼板の製造方法 Pending JPH0718459A (ja)

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JP19197593A Pending JPH0718459A (ja) 1993-07-06 1993-07-06 高耐食性複層被覆鋼板の製造方法

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