JP2619626B2 - カチオン電着塗装用高耐食性表面処理鋼板 - Google Patents

カチオン電着塗装用高耐食性表面処理鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は自動車車体用等に好適なカオチン電着塗装用
高耐食性表面処理鋼板に関する。
[従来の技術] 近年、自動車車体として使用される鋼板は優れた耐食
性が要求され、従来から使用されてきた冷延鋼板に代
り、耐食性の高い表面処理鋼板を使用する傾向が強くな
っている。
このような表面処理鋼板としては、まず亜鉛メッキ鋼
板をあげることができるが、この種の鋼板では耐食性を
高めるために亜鉛の付着量を多くする必要があり、これ
に伴って加工性、溶接性が劣化するという問題がある。
このような問題を改善するためNi,Fe,Mn,Mo,Co,Al,Cr等
の元素を1種または2種以上添加した亜鉛合金メッキ鋼
板や多層メッキ鋼板が研究開発されており、これらの鋼
板では上記亜鉛メッキ鋼板に比較して溶接性、加工性を
劣化させることなく耐食性を向上させることができる。
しかし、鋼板が自動車車体内板の袋構造部や曲り部(ヘ
ミング部)に適用される場合、その表面には高度な耐食
性が要求されるものであり、上記したような亜鉛合金メ
ッキ鋼板や多層メッキ鋼板ではその耐食性がいまひとつ
十分でないという問題がある。高度な耐食性を有する鋼
板として、特公昭45−24230号や特公昭47−6882号にみ
られるようなジンクリッチ系塗膜を施した防錆塗装鋼板
が研究開発されており、その代表的なものはジンクロメ
タルの名称で知られている。しかし、この防錆塗装鋼板
においても、プレス成形等の加工部では皮膜の剥離を生
じ、耐食性が劣化してしまう場合があり、自動車車体用
材料等の要求に応ずべき高耐食性防錆被覆鋼板として
は、未だ十分に満足できるものとは言い難い。
このようなことから本発明者等は、ジンクリッチ系塗
膜では防錆塗装鋼板の性能改善に限界があるとの観点か
ら、Zn粉末などの金属粉末を全く使用しない薄膜(約数
μ以下)状の保護皮膜を有する鋼板を新たに開発し、特
開昭58−224174号、特開昭60−50179号、特開昭60−501
80号及び特開昭60−50181号等として提案した。この鋼
板は亜鉛若しくは亜鉛合金メッキ鋼板をベースとし、こ
れにクロメート皮膜と最上層の有機複合シリケート皮膜
を施したもので、加工性及び耐食性に優れた特性を有し
ている。
さらに、自動車車体内面の一部の部位(トランクリッ
ド、フード等)では、カチオン電着塗膜に上塗りを施す
2コート以上の塗装をする場合があり、上記提案に係る
鋼板では、このような多層塗膜の場合の密着性に不安が
あることから、上記鋼板を改良し、多層塗膜密着性にも
優れた多層塗装用防錆鋼板の製造方法を特開昭60−1748
79号として提案した。
この発明は250〜350℃の高温焼付により有機高分子皮
膜を十分に架橋させ、多層塗装に対して、優れた塗装密
着性を確保するものであり、高分子皮膜の架橋が不十分
な場合、カチオン電着時に界面で発生するアルカリによ
り皮膜が軟膨潤し、塗装密着性が劣化するという点を高
温焼付の架橋により改善したものである。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、本発明者等のその後の研究により、上
記鋼板は250℃以上の高温焼付により非常に優れた塗装
密着性(2コート以上の多層塗装密着性)を確保できる
ものの、電着塗装が形成されにくい場合を想定した、所
謂裸耐食性(無塗装耐食性)に問題があり、表面処理皮
膜が損傷を受けた場合、例えば鉄素地まで達するクロス
カット、深絞り成形、ドロービード加工等を受た場合、
裸耐食性が上昇した特開昭58−224174号等による鋼板と
比べてやや劣る傾向があることが判明した。
自動車用高耐食性表面処理鋼板は、優れた加工性、溶
接性とともに、 1) 袋構造部やヘミング部等の電着塗膜が形成されに
くい部位の耐食性、すなわち高度の裸耐食性。
2) トランクリッドやフード内面のような2コート
(カチオン電着+上塗り)以上の多層塗装に対する塗装
性(塗装密着性、塗装耐食性)。
が要求されるものであり、特に自動車車体の防錆性に対
する要望がさらに高まりつつある昨今、上述した鋼板は
十分な特性を有するものとは言い難い。
本発明はこのような従来の問題に鑑みなされたもの
で、加工性及び溶接性とともに、優れた裸耐食性、多層
塗料に対する塗装密着性及び塗装耐食性を有するカチオ
ン電着塗装用高耐食性表面処理鋼板を提供せんとするも
のである。
[問題を解決するための手段] このため本発明の基本的特徴とするところは、亜鉛メ
ッキまたは亜鉛合金メッキ鋼板の表面にクロム付着量
(金属クロム換算)が1〜1000mg/m2のクロメート皮膜
を有し、該クロメー皮膜の上部に、エポキシ樹脂の末端
に少なくとも1個以上の塩基性窒素原子と少なくとも2
個以上の一級水酸基とを付加せしめてなる基体樹脂に、
クロム酸ストロンチウム、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛、
クロム酸バリウム、クロム酸カルシウム及びクロム酸亜
鉛カリウムの1種または2種以上からなる添加剤が配合
され、且つ基体樹脂/添加剤の重量比が99/1〜30/70、
皮膜付着量が0.2〜3.9g/m2の樹脂組成物皮膜を有するカ
オチン電着塗装用高耐食性表面処理鋼板である。
以下本発明の詳細を説明する。
本発明は亜鉛メッキまたは亜鉛合金メッキ鋼板を出発
素材とし、その表面にクロメート皮膜、さらにその上部
に所定の添加剤を配合した塩基性エポキシ樹脂皮膜を有
する。
出発素材たる亜鉛素メッキ鋼板としては、亜鉛メッキ
鋼板、亜鉛−鉄合金メッキ鋼板、亜鉛−ニッケル合金メ
ッキ鋼板、亜鉛−マンガン合金メッキ鋼板、亜鉛−アル
ミ合金メッキ鋼板、亜鉛−コバルト−クロム合金メッキ
鋼板、さらにはこれら任意の鋼板のメッキ成分に、Ni,F
e,Mn,Mo,Co,Al,Cr等の元素を1種または2種以上添加し
たもの用いることができ、さらに上記したようなメッキ
のうち同種又は異種のものを2層以上施した複合メッキ
鋼板であってもよい。例えばFe含有量の異なるFe−Zn合
金メッキを2層以上施したようなメッキ皮膜とすること
ができる。
これらのうち、特に耐食性の見地からは亜鉛−ニッケ
ル合金メッキ鋼板、亜鉛−マンガン合金メッキ鋼板が好
ましく、これらの鋼板を用いる場合、亜鉛−ニッケル合
金メッキ鋼板はメッキ皮膜中のニッケル含有量を5〜20
wt%亜鉛−マンガン合金メッキ鋼板はマンガン含有量を
30〜85wt%の範囲とすることが好ましい。
これらの亜鉛系メッキ鋼板のメッキ方法は電解法、溶
融法、気相法等のうち実施可能ないずれの方法を採用す
ることもできる。ただ、本発明の対象とするような防錆
鋼板は主として自動車車体の用途に供せられるものであ
り、このような用途ではメッキされる冷延鋼板の材質を
損なわないようにすることが重要であるため、熱の発生
しない電気メッキが有利であるということができる。
以上の素材メッキ鋼板の表面にはクロム酸処理による
クロメート皮膜が形成される。
このクロメート皮膜は、クロム付着量(dry)として
1〜1000mg/m2、好ましくは10〜200mg/m2(以上金属ク
ロム換算)とする。クロム付着量が1000mg/m2を超える
と加工性、溶接性が劣化し、また1mg/m2未満では皮膜が
不均一となるので好ましくない。また、クロメート皮膜
には6価のCrが存在したほうが好ましい。Cr6+は補修作
用があり鋼板に傷がついた場合そこから腐食を抑制する
作用をする。
このような下地皮膜のためのクロメート処理は、反応
型、塗布型、電解型等の公知のいずれの方法によっても
よい。
塗布型クロメート処理液は、部分的に還元されたクロ
ム酸溶液を主成分とし、必要に応じこれに水分散性又水
溶性のアクリル樹脂等の有機樹脂及び/又は粒径数mμ
〜数百mμのシリカ(コロイダルシリカ、フュームドシ
リカ)を含有せしめたものである。この場合Cr3+/Cr6+
の割合は1/1〜1/3,pHは1.5〜4.0(より好ましくは2〜
3)が好ましい。Cr3+/Cr6+の割合は一般の有機還元剤
(例えば糖類、アルコール類等)や無機還元剤を使用し
て所定の割合に調節する。また塗布型クロメート処理と
しては、ロールコーター法、浸漬法、スプレー法等、い
ずれの方法を使用してもよい。塗布型クロメート処理で
は、クロメート処理後水洗することなく乾燥して皮膜を
得る。このように水洗することなく乾燥するのは、通常
行なわれる水洗ではCr6+が除去されるためであり、Cr3+
/Cr6+の割合をそのまま安定して維持させ、上部に形成
される塩基性エポキシ樹脂皮膜により腐食環境下でのCr
6+の過剰流出を抑制し、長期間に亘って効果的に不働態
化作用を維持させ高耐食性能を得ることができる。
一方、電解型クロメート処理では、無水クロム酸と、
硫酸、リン酸フッ化物またはハロゲン酸素酸等のアニオ
ンの1種又は2種以上を含有する浴で陰極電解処理を施
し、水洗・乾燥して皮膜を形成せしめる。以上の2つの
処理方式によるクロメート皮膜を比較すると、塗布型ク
ロメートは電解型クロメートと比較して皮膜中に6価ク
ロムを多く含有しているため耐食性が優れており、その
上、後述するように加熱処理した場合、皮膜が緻密で且
つ強固になるため、電解型クロメートに較べより耐食性
が良好になる。一方、電解型クロメートは加熱処理の有
無に拘らず皮膜の完成度が高いという長所があり、ま
た、皮膜付着量コントロールが容易であるという利点が
ある。耐食性を考慮すると塗布型クロメートが最も好ま
しい。また、自動車用防錆鋼板では片面処理鋼板とする
場合が多く、この観点からすると塗布型、電解型が望ま
しい。
上記クロメート皮膜上には塩基性エポキシ樹脂皮膜が
形成される。
この樹脂皮膜は、エポキシ樹脂の末端に少なくとも1
個の塩基性窒素原子と少なくとも2個以上の一級水酸基
とを付加せして、且つ有機溶剤に溶解させた基体樹脂
に、添加剤として所定のクロム化合物を1種または2種
を配合した樹脂組成物処理液を加熱乾燥させ形成せしめ
た皮膜である。
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロロ
ヒドリンとを縮合反応させた縮合物を主体としたものが
好ましい。エポキシ樹脂としては、例えばエポキシ化
油、エポキシポリブタジエンのような脂肪族構造、或い
は脂環族構造のみからなるものがあるが、優れた耐食性
を得るためには上記縮合物を主体としたエポキシ樹脂を
用いるのが好ましい。エポキシ樹脂としては例えばエピ
コート828,1001,1004,1007,1009,1010(いずれもシェル
化学社製)等を用いることができる。このエポキシ樹脂
は、特に低温での硬化を必要とする場合には数平均分子
量1500以上のものが望ましい。なお、上記エピコートは
単独または異る種類のものを混合して使用することがで
きる。エポキシ樹脂に塩基性窒素原子と一級水酸基を導
入するには、例えばアルカノールアミンおよび/または
アルキルアルカノールアミンをエポキシ樹脂のオキシラ
ン基に付加せしめる方法を採ることができる。これらの
アミンとしては例えば、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、ジメチルアミノエタノール、モノプロパ
ノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブタノールア
ミンなどがあり、これらのアミンを単独又は混合で使用
する。
また他の方法として、エポキシ樹脂を、部分的に他の
化合物で変性してもよい。但し、この場合にはエポキシ
樹脂1分子中に平均2モル以上の一級水酸基を含有させ
ることが必要である。
エポキシ樹脂の部分的変性の方法は、 (1)モノカルボン酸によるエステル化(モノカルボン
酸としては、例えばヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヒマ
シ油脂肪酸などの飽和または不飽和脂肪酸、酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸などの低分子脂肪族モノカルボン酸、安
息香酸などの芳香族モノカルボン酸など) (2)脂肪族又は芳香族アミンによる変性(脂肪族また
は芳香族アミンとしては、モノメチルアミン、ジメチル
アミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、イソプロ
ピルアミンなどの脂肪族アミン、アニリンなどの芳香族
アミンなど) (3)オキシ酸類による変性(オキシ酸類としては、乳
酸、γ−オキシプロピオン酸など) などがある。
なお、ジカルボン酸(例えばアジピン酸、セバチン酸
等)による変性方法もあるが、この方法は、エポキシ樹
脂が必要以上に高分子量化し過ぎること、さらには分子
量分布を一定にコントロールすることが反応制御上困難
であること、耐食性の向上が認められないこと等の理由
から本発明の皮膜を得るには不適当な方法である。
上記皮膜形成組成物の基本樹脂であるエポキシ樹脂
は、その塩基を低分子酸で中和し、水分散もしくは水溶
型組成物として使用することも可能であるが、本発明は
250℃以下の低温乾燥、特に170℃以下の極低温乾燥を必
要とするようなBH鋼板用皮膜材をもその対象としてお
り、このため、基板樹脂については、上記のような中和
操作を行なわず、有機溶剤に溶解せしめた組成物として
使用する。すなわち、水分散若しくは水溶性組成物で
は、低温乾燥条件で十分に強固な皮膜を得ることができ
ず、水溶化のために必要とされる酸性化合物と皮膜中で
塩を形成し、湿潤環境下で水分を皮膜中及び皮膜下に呼
びこみ易い。この有機溶剤種としては、通例塗料業界で
使用する有機溶媒の1種または2種以上の混合溶剤が使
用できるが、その目的のためには高沸点のアルコール系
溶媒を避けるのが好ましい。これには例えばエチレング
リコールもしくはジエチレングリコール、モノアルキル
エーテル類、C以上の一級水酸基を有するアルコール類
が挙げられる。このような溶剤は、皮膜の硬化反応を阻
害する。推奨される溶剤としては炭化水素系、ケトン
系、エステル系、エーテル系溶剤が挙げられ、また低分
子C以下のアルコール類、もしくは2級、3級の水酸基
を有するアルコール類も好適である。本発明で以上のよ
うな樹脂組成物皮膜を設ける狙いとしては次のような点
をあげることができる。すなわち、高度な耐食性と2コ
ート以上の多層塗膜密着性を得るために、ベースとし
てエポキシ樹脂を採用し、素地やカチオン電着との高密
着性と高耐食性を得ることを期待し、また樹脂の極性
を塩基性とすることによって、カチオン電着時に界面に
発生するアルカリによる樹脂構造の劣化をなくしたもの
である。これを詳細に説明すると、まず、ベース樹脂に
ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの縮合反応か
らなるエポキシ樹脂用いることにより、自動車車体防錆
用として通常用いられてきているカチオン電着塗料との
優れた密着性が期待できる。また、樹脂構造として塩基
性窒素原子と一級水酸基を導入することにより、 (1)カチオン電着時に発生するアルカリによる皮膜破
壊を防止し、下地クロメート及びカチオン電着塗膜との
密着性を安定化させ、 (2)さらに、エポキシ1分子中に2モル以上の水酸基
を導入することによって十分に緻密な構造の皮膜が得ら
れる。2モル以下では十分安定な皮膜が得られない。
なお、樹脂組成物皮膜には公知のクロム系、非クロム
系防錆顔料、体質顔料、着色顔料等を配合することがで
きる。
さらに、添加剤として、イソシアネート化合物、メラ
ミン、尿素およびベンゾグアナミンから選ばれた1種以
上にホルムアルデヒドを反応させてなるメチノール化合
物の一部もしくは全部に炭素数1〜5の1価アルコール
を反応させてなるアルキルエーテル化アミノ樹脂路を併
用してもよい。以上の樹脂組成物は、ロール絞り、ロー
ルコーター、或いはエアナイフ等の方法により所定膜厚
に塗布した後、常温〜250℃(好ましくは常温〜170℃)
の板温まで熱風乾燥を行えば数秒〜数分内に乾燥皮膜が
得られる。皮膜の乾燥方法は特に熱風に限定されるもの
ではない。本発明鋼板はこのような低温乾燥により得ら
れるという大きな特徴がある。
250℃を超える高温焼付になると、上述した特開昭60
−174879号と同様耐食性が劣化してくる。これは250℃
を超える高温焼付では、クロメート皮膜成分中に含有さ
れる水分の揮散と、水散基 どうしの脱水縮合反応の急速な進行とにより、クロメー
ト皮膜のクラック発生によるクロメート皮膜の破壊が進
行し、またCr6+の還元か進んでCr6+の不働態化作用が低
減すること等によるものと推定される。
本発明は樹脂組成物皮膜中に添加剤として所定のクロ
ム化合物の1種または2種以上を含有し、これにより優
れた防食性を得ることができる。腐食環境化では、皮膜
中のクロム化合物からCr6+が微量に溶出し、これが長期
に亘って不働態化作用を発揮し、耐食性を向上させるも
のである。添加剤は基体樹脂/添加剤の重量比で99/1〜
30/70、好ましくは90/10〜50/50の範囲で配合される。
ここで、上記添加剤の配合量が基本樹脂/添加剤:99/
1以下であると、配合による防食性向上効果が期待でき
ず、一方、30/70以上になると2コートの塗膜の密着性
が低下してしまう。
クロム化合物として、クロム酸ストロンチウム、クロ
ム酸鉛、クロム酸亜鉛、クロム酸バリウム、クロム酸カ
ルシウム、クロム酸亜鉛カルシウムの各粉末を用いるこ
とができ、これらの1種または2種以上を基体樹脂に分
散させる。これら以外のクロム化合物は、基体樹脂との
相溶性が劣ったり、或いは防食効果は認められるものの
可溶性Cr6+を多く含有しているため2コート塗装密着性
が悪い等の問題を有しており、このため本発明における
添加剤は上記種類のクロム化合物に限定される。
なお、本発明は以上の添加成分たるクロム化合物の他
に公知の他の添加剤、防錆顔料等の使用を妨げるもので
はない。
上述したような樹脂組成物皮膜はクロメート皮膜上に
0.2〜3.9g/m2、好ましくは0.5〜2.5g/m2の付着量で形成
させる。皮膜付着量が0.2g/m2未満であると十分な耐食
性が得られず、一方、3.9g/m2を超えると溶接性(特に
連続多点溶接性)が低下するものであり、このため0.2
〜3.9g/m2の範囲が適当である。
なお、自動車車体にカチオン電着塗装が施されるが、
クロメート皮膜+樹脂組成物皮膜の湿潤電気抵抗が200K
Ω/cm2を越えるとカチオン電着塗膜がうまく形成されな
いという問題があり、このため自動車車体を主たる用途
とする本発明鋼板では、クロメート皮膜+樹脂組成物皮
膜の湿潤抵抗を200KΩ/cm2以下に抑えるよう両皮膜を形
成させることが好ましい。
本発明は、以上述べたような皮膜構造を有する両面ま
たは片面に有する鋼板を含むものである。
本発明鋼板の態様としては例えば以下のようなものが
ある。
(1)片面…メッキ皮膜−クロメート皮膜−樹脂組成物
皮膜 片面…Fe面 (2)片面…メッキ皮膜−クロメート皮膜−樹脂組成物
皮膜 片面…メッキ皮膜 (3)両面…メッキ皮膜−クロメート皮膜−樹脂組成物
皮膜 [実施例] 自動車車体内面対応の鋼板として、第1表に示すよう
な異なるメッキ成分と皮膜付着量の本発明材につき密着
性試験及び耐食性試験を行った。また比較材として第2
表に示す各鋼板についても同様の試験を行なった。
各鋼板のメッキ成分は下記の通りであり、表中のクロ
メート皮膜及び塩基性エポキシ樹脂皮膜を有する各鋼板
については、メッキ鋼板をアルカリ脱脂後、水洗・乾燥
し、これに塗布型クロメート処理液をロールコーターで
塗布し或いは電解クロメート処理浴に浸漬して電解クロ
メート皮膜を形成し、乾燥後第2層として塩基性エポキ
シ樹脂液のロールコーターで塗布した。さらに乾燥後、
加熱処理し空冷した。
Ni−Zn合金電気メッキ・・Ni含有量 12% Fe−Zn合金電気メッキ・・Fe含有量 25% Mn−Zn合金電気メッキ・・Mn含有量 60% なお、塗布型クロメート処理、電解クロメート処理及
び塩基性エポキシ樹脂液の詳細は以下の通りである。
●塗布型クロメート処理条件 Cr3+/Cr6+=2/3,pH=2.5(KOHでpH調整) 固形分20g/のクロメート処理液を常温でロールコー
ターにて塗布後乾燥した。
●電解クロメート処理条件 CrO3:50g/、H2SO4:0.5g,浴温50℃の浴により、
電流密度4.9A/dm2,電解時間2.0秒で陰極電解処理し、水
洗・乾燥した。
●樹脂組成物 以下のようにして作成した基本樹脂及び硬化剤を第3
表の割合で混合し、樹脂組成物を作成した。
○基体樹脂 (1)還流冷却器、撹拌装置、温度計および窒素ガス吹
込み装置を付した反応装置にエピコート1004(シェル化
学社製エキシポ樹脂:分子量 約1600)1600gにペラル
ゴン酸(試薬)57g、キシレン80gを加え、170℃で反応
物の酸価がほぼ0になるまで反応せしめた。そののち減
圧下でキシレンを除去し、反応中間体[A]を得た。
(II)撹拌装置、環流冷却器、温度計、液体滴下装置を
付した反応装置にエピコート1009(シェル化学社製エポ
キシ樹脂:分子量3750)1880g(0.5モル)とメチル−イ
ソブチルケトン/キシレン=1/1(重量比)の混合溶媒1
000gを加えたのち、撹拌加熱し、溶媒の沸点下で均一に
溶解した。そののち70℃まで冷却し、液体滴下装置に分
取したジ(n−プロパノール)アミン70gを30分間を要
して滴下した。この間、反応温度を70℃に保持した。滴
下終了後120℃で2時間保持し、反応を完結せしめた。
得られた反応物を樹脂Aとする。樹脂Aの有効成分は66
%である。
(III)上記(II)と同じ反応装置に(I)で得た反応
中間体[A]1650gとキシレン1000gを秤取し、100℃に
加熱、これに液体滴下装置に分取したジエタノールアミ
ン65gとモノエタノールアミン30gとを30分要して滴下し
た。
そののち、120℃で2時間保持し、反応を完結せしめ
た。得られた反応生成物を樹脂Bとする。樹脂Bの有効
成分は63%であった。
また密着性試験は、リン酸処理後の供試材を関西ペイ
ント社製カチオン電着塗料NO.9210で20μ膜厚の電着塗
装を行った後、乾燥ペイント社製アミラックNo.002を40
μスプレー塗装し、1次密着性及び2次密着性を試験し
た。1次密着性試験は、各供試材塗膜面に1mm間隔で100
個のゴバン目を刻み、接着テープをこのゴバン目に貼着
・剥離することにより行い、また2次密着性試験は、塗
装後各供試材を40℃の温水(純水)に240時間浸漬した
後取り出し、その後30分以内に上記と同様1mm間隔のコ
バン目を刻み、このゴバン目に接着テープを貼着・剥離
することにより行った。
また耐食性試験は、 以上を1サイクルとしたサイクルテストで行ない、第
1表及び第2表中の所定のサイクルで評価した。
未塗装加工後耐食性については、 のドロービード試験で加工した供試材を50サイクルで試
験した。
また塗装後耐食性については、電着塗装後クロスカッ
トを入れ、100サイクルで試験を行い、最大フクレ幅を
測定してその半分の値で評価を行った。なお、各試験結
果の評価基準は以下の通りである。
(1)未塗装加工後耐食性 ◎ : 赤錆発生なし ○+: 赤錆 5%未満 ○ : 〃 5%以上10%未満 ○−: 〃 10% 〃20% 〃 △ : 〃 20% 〃50% 〃 × : 〃 50 〃 (2)塗装後耐食性 ◎ :フクレ幅 0.5mm 未満 ○+: 〃 0.5mm 以上 1.0mm 〃 ○ : 〃 1.0 〃 2.0mm 〃 ○−: 〃 2.0 〃 3.0mm 〃 △ : 〃 3.0 〃 5.0mm 〃 × : 〃 5.0 〃 (3)2コート密着性 ◎ : 剥離面積 0% ○+: 〃 5%未満 ○ : 〃 5%以上 10% 〃 ○−: 〃 10% 〃 20% 〃 △ : 〃 20% 〃 50% 〃 × : 〃 50% 〃 以上の実施例から解るように、本発明鋼板は、最上層
に、塩基性のエポキシ樹脂を基体樹脂とする耐アルカリ
性を有する皮膜が得られ、しかも樹脂が低温乾燥型であ
るため、クロメート皮膜の劣化、Cr6+の還元を生じさせ
ることなくクロメート皮膜自体の良好な耐食性を確保で
きる。
塗装後耐食性に関しては、従来の有機複合シリケート
を塗布した鋼板で低温焼付タイプ(150℃)のもので
は、皮膜の耐アルカリ性が劣るため、アルカリブリスタ
ーが発生し易く、また高温焼付タイム(260℃)のもの
では、クロメートの耐食性が劣化しているためカット部
からの腐食が横方向から進行し、フクレがやや発生し易
い。これに対し、本発明例では、皮膜の耐アルカリ性が
向上し、且つクロメート皮膜の良好な耐食性を保持して
いるので、良好な塗装後耐食性を得ている。なお、ジン
クロメタルのフクレ幅は赤錆の発生によるものである。
加工後耐食性に関しては、従来の有機複合シリケート
の低温焼付タイム(150℃)のものは、皮膜の架橋が十
分でなくしかも耐アルカリ性も劣るため、加工により皮
膜が一部損傷を受けるとリン酸塩処理のアルカリ脱脂に
より皮膜が劣化し、このため耐食性が劣る。また、高温
タイプのものでも、クロメートの耐食性劣化と皮膜の損
傷により耐食性は劣る。これに対し、本発明例では、皮
膜の強度、耐アルカリ性が向上し、また、クロメートの
耐食性が保持されているため、加工後も良好な耐食性を
示す。
[発明の効果] 以上述べた本発明によれば、最上層に強固でしかも耐
アルカリ性に優れた樹脂皮膜を形成させることにより、
優れた塗装密着性と、耐食性を得ることができる。特に
本発明鋼板は、樹脂組成物皮膜の乾燥温度を低温(250
℃以下)とすることができるため、従来の鋼板のような
高温焼付によるクロメート皮膜の劣化、Cr6+の還元がな
く、クロメート皮膜自体による良好行な耐食性が保持さ
れる。加えて本発明鋼板は低温乾燥で製造することがで
きるため、生産性の向上とエネルギー原単位の低減を図
ることができるとともに、170℃以下、好ましくは150℃
以下の乾燥温度(板温)とすることにより焼付硬化性を
有するいわゆるBH性鋼板を素材とする高耐食性表面処理
鋼板の製造を可能ならしめるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 江夏 亮 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 窪田 隆広 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 三代沢 良明 平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイ ント株式会社内 (72)発明者 西本 忠史 平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイ ント株式会社内 (72)発明者 小沢 一彦 平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイ ント株式会社内 (56)参考文献 特開 昭50−62146(JP,A) 特公 昭59−16835(JP,B2) 特公 昭58−48231(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛メッキまたは亜鉛合金メッキ鋼板の表
    面にクロム付着量(金属クロム換算)が1〜1000mg/m2
    のクロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上部に、
    エポキシ樹脂の末端に少なくとも1個以上の塩基性窒素
    原子と少なくとも2個以上の一級水酸基とを付加せしめ
    てなる基体樹脂に、クロム酸ストロンチウム、クロム酸
    鉛、クロム酸亜鉛、クロム酸バリウム、クロム酸カルシ
    ウム及びクロム酸亜鉛カリウムの1種または2種以上か
    らなる添加剤が配合され、且つ基体樹脂/添加剤の重量
    比が99/1〜30/70、皮膜付着量が0.2〜3.9g/m2の樹脂組
    成物皮膜を有してなるカオチン電着塗装用高耐食性表面
    処理鋼板。
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