JP2002363766A - 耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板 - Google Patents

耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板

Info

Publication number
JP2002363766A
JP2002363766A JP2001171980A JP2001171980A JP2002363766A JP 2002363766 A JP2002363766 A JP 2002363766A JP 2001171980 A JP2001171980 A JP 2001171980A JP 2001171980 A JP2001171980 A JP 2001171980A JP 2002363766 A JP2002363766 A JP 2002363766A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
organic
film
coated steel
corrosion resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001171980A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4110750B2 (ja
Inventor
Naoto Yoshimi
直人 吉見
Akira Matsuzaki
晃 松崎
Takahiro Kubota
隆広 窪田
Masaaki Yamashita
正明 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP2001171980A priority Critical patent/JP4110750B2/ja
Publication of JP2002363766A publication Critical patent/JP2002363766A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4110750B2 publication Critical patent/JP4110750B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Metal Rolling (AREA)
  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 一般に有機被覆鋼板において相反する性能で
ある高度の導電性と耐食性を兼ね備えるとともに、高温
多湿環境下での耐黒点錆性にも優れたクロムフリーの有
機被覆鋼板を提供する。 【解決手段】 特定の皮膜構成の下で、素材鋼板として
調質圧延後の表面粗さを特定の範囲に規制した冷延鋼板
を用いることにより、皮膜欠陥とこれに伴う腐食の発生
が効果的に抑えられることを見い出しなされたもので、
調質圧延された冷延鋼板の表面に亜鉛系又はアルミニウ
ム系めっき皮膜を有し、該めっき皮膜の表面に6価クロ
ムを含まない有機樹脂皮膜が0.05g/m以上、
0.5g/m 未満の付着量で形成された有機被覆鋼板
であって、調質圧延の圧延ロールによって転写された冷
延鋼板表面の粗さの波長100〜150μmの山カウン
ト数RPVCが200peak/inch以下で、且つ
平均表面粗さRaが1.5μm以下であることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電、建材、自動
車用途等に好適な有機被覆鋼板であって、皮膜中に6価
クロムを含まず且つ耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼
板に関する。
【0002】
【従来の技術】家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用
鋼板等には、従来から亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆
性)を向上させる目的でクロム酸、重クロム酸又はそれ
らの塩類を主成分とした処理液によるクロメート処理が
施された鋼板が幅広く用いられている。このクロメート
処理は、極めて薄い皮膜を形成することにより鋼板に優
れた耐食性を付与することができ且つ安価に処理するこ
とができるため、鋼板表面に溶接性やアース性等の高度
な導電性を必要とする家電製品、自動車、建材等の用途
の鋼板の表面処理として幅広く行われている。クロメー
ト皮膜の優れた耐食性は、3価クロムの水和酸化物の緻
密な皮膜により腐食因子を遮断する機能(バリヤー性)
と、6価クロムが皮膜欠陥部で還元されて皮膜欠陥部を
補修する機能(自己補修作用)によるものである。
【0003】クロメート処理は公害規制物質である6価
クロムを使用するものであるが、この6価クロムは処理
工程においてクローズドシステムで処理されて完全に還
元・回収されるため、自然界に放出されることはなく、
また、処理鋼板については上層を有機樹脂皮膜で被覆す
ることによりクロメート皮膜中に含まれる6価クロムに
よって環境や人体が汚染されることがないようにしてい
る。しかしながら、最近の地球環境問題から、欧州では
廃電気電子機器や廃自動車中での6価クロムの含有を規
制しようという議論がなされ、6価クロムの使用を自主
的に削減しようという動きが高まりつつある。このよう
な環境問題からクロムフリー化成処理鋼板のニーズが高
まるなかで、有機複合皮膜を用いた高度な耐食性を有す
る表面処理鋼板の検討が行われ、最近ではクロメート処
理によらない処理技術が数多く提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般にクロムフリーの
有機被覆鋼板で耐食性を確保するためには、有機樹脂皮
膜の膜厚は少なくとも約3μm程度は必要であると考え
られているが、このような膜厚ではOA機器やAV機器
等の用途においてアース性に問題が生じる。また、OA
機器ではシャーシの組み立て工程でスポット溶接を行う
場合が多く、高い生産性を確保するためはスポット溶接
での高度な連続打点性が要求されるが、有機樹脂皮膜の
膜厚が3μm以上では高度な連続打点性を得ることも困
難である。比較的薄膜の有機樹脂皮膜を有する有機被覆
鋼板としては、特開2000−129460公報に、亜
鉛めっき鋼板の表面に多価金属の第一リン酸塩と金属酸
化物ゾルの混合水溶液を塗布乾燥して得られる付着量が
0.05〜1g/mの非晶質皮膜を有し、その上層に
付着量が0.5〜2g/mの有機皮膜を有する有機被
覆鋼板が示されている。
【0005】しかしながら、OA機器やAV機器ではデ
ジタル化が進み、ノイズ対策から表面処理鋼板に対して
厳しい導電性が要求されるようになってきた。クロメー
ト皮膜を有する有機被覆鋼板の場合は極めて薄い皮膜で
優れた耐食性を示すため、そのような厳しい導電性の要
求にも対応することができるが、上記特開2000−1
29460公報に示される有機被覆鋼板をはじめとする
従来のクロムフリーの有機被覆鋼板では、薄膜になるほ
ど皮膜の欠陥部からの腐食が発生しやくすなり、これに
より耐食性が著しく低下するという問題がある。これは
クロメート皮膜を有する有機被覆鋼板の場合には皮膜欠
陥部での6価クロムによる自己補修作用が得られるため
高度の耐食性が得られるが、クロムフリーの場合にはそ
のような6価クロムによる自己補修作用が得られないた
めである。したがって、従来のクロムフリーの有機被覆
鋼板は導電性と耐食性の両方を高度に満足するものでは
ない。
【0006】また、AV・OA機器や家電製品の分野で
はクロムフリー化成処理鋼板の採用が進んでおり、ま
た、製造コストの低減のために生産拠点を東南アジアに
移している。そのため、亜鉛めっき鋼板も東南アジアで
の需要が伸びつつあり、国内高炉メーカーから東南アジ
アへの輸出量が急増するとともに、国内から素材となる
熱延鋼板を輸出し、東南アジアで冷間圧延および表面処
理鋼板の製造を行う、というような現地調達化も進んで
いる。
【0007】しかし、東南アジア、特に中国華南地区の
ような高温多湿地域では雨季が1年の8割を占めてお
り、国内とは異なる腐食環境にある。このような地域で
は表面処理鋼板を輸送・保管している期間に、亜鉛が局
部的に点状に腐食する(黒点錆)という現象が発生し、
表面処理鋼板の商品価値を損なう問題があることが新た
に判明した。すなわち、国内向けに開発された有機被覆
鋼板をそのまま東南アジア向けに輸出し或いは現地生産
したのでは、黒点錆の発生を防ぐことができないことが
明らかとなった。したがって本発明の目的は、一般に有
機被覆鋼板において相反する性能である高度の導電性と
耐食性を兼ね備えるとともに、高温多湿環境下での耐黒
点錆性にも優れたクロムフリーの有機被覆鋼板を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高度な導
電性を確保するためには有機樹脂皮膜の膜厚を0.5g
/m未満にする必要があることを独自の検討で見出し
た。一方、このような極めて薄い皮膜で自己補修作用を
有する6価クロムを皮膜中に含むことなく優れた耐食性
(耐白錆性、高温多湿環境下での耐黒点錆性)を有する
有機被覆鋼板について、腐食の起点となる皮膜欠陥の発
生をいかにして抑制するか、さらには不可避的に生じる
皮膜欠陥部からの腐食をいかにして抑制するかという観
点から検討を行った。その結果、特定の皮膜構成の下
で、素材鋼板として調質圧延後の表面粗さを特定の範囲
に規制した冷延鋼板を用いることにより、皮膜欠陥とこ
れに伴う腐食の発生が効果的に抑えられること、また不
可避的に発生する皮膜欠陥による腐食については、6価
クロムに代わる特定の自己補修性発現物質の添加が特に
有効であることが判った。
【0009】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 調質圧延された冷延鋼板の表面に亜鉛系めっき皮膜
又はアルミニウム系めっき皮膜を有し、該めっき皮膜の
表面に6価クロムを含まない有機樹脂皮膜が0.05g
/m以上、0.5g/m未満の付着量で形成された
有機被覆鋼板であって、調質圧延の圧延ロールによって
転写された冷延鋼板表面の粗さの波長100〜150μ
mの山カウント数RPVCが200peak/inch
以下で、且つ平均表面粗さRaが1.5μm以下である
ことを特徴とする、耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼
板。
【0010】[2] 調質圧延された冷延鋼板の表面に亜鉛
系めっき皮膜又はアルミニウム系めっき皮膜を有し、該
めっき皮膜の表面に6価クロムを含まない無機系、有機
系又は無機−有機系の下層皮膜が0.01〜1000m
g/mの付着量で形成され、該下層皮膜の上層に6価
クロムを含まない有機樹脂皮膜が0.05g/m
上、0.5g/m未満の付着量で形成された有機被覆
鋼板であって、調質圧延の圧延ロールによって転写され
た冷延鋼板表面の粗さの波長100〜150μmの山カ
ウント数RPVCが200peak/inch以下で、
且つ平均表面粗さRaが1.5μm以下であることを特
徴とする、耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板。
【0011】[3] 上記[2]の有機被覆鋼板において、下
層皮膜がリン酸及び/又はリン酸化合物と酸化物微粒子
を含有する皮膜であることを特徴とする、耐食性と導電
性に優れた有機被覆鋼板。 [4] 上記[2]の有機被覆鋼板において、下層皮膜がリン
酸及び/又はリン酸化合物と、酸化物微粒子と、Mn、
Al、Mg、Niの中から選ばれる1種以上の金属(但
し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる場合を
含む)を含有する皮膜であることを特徴とする、耐食性
と導電性に優れた有機被覆鋼板。
【0012】[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの有機被覆鋼
板において、調質圧延の圧延ロールによって転写された
冷延鋼板表面の粗さの波長100〜150μmの山カウ
ント数RPVCが100peak/inch以下である
ことを特徴とする、耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼
板。 [6] 上記[1]〜[5]のいずれかの有機被覆鋼板において、
調質圧延の圧延ロールによって転写された冷延鋼板の平
均表面粗さRaが1.1μm以下であることを特徴とす
る、耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板。 [7] 上記[1]〜[6]のいずれかの有機被覆鋼板において、
有機樹脂皮膜が防錆添加剤を含有することを特徴とす
る、耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板。
【0013】[8] 上記[7]の有機被覆鋼板において、防
錆添加剤が、下記(a1)、(a2)、(a3)、(b)、
(c)の中から選ばれる1種以上であることを特徴とす
る、耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板。 (a1)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (a2)リン酸塩 (a3)酸化ケイ素 (b) モリブデン酸塩 (c) トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、
チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の
有機化合物
【0014】[9] 上記[7]の有機被覆鋼板において、防
錆添加剤が下記(a)、(b)、(c)の中から選ばれる
1種以上であることを特徴とする、耐食性と導電性に優
れた有機被覆鋼板。 (a)カルシウム及び/又はカルシウム化合物とリン酸塩
及び/又は酸化ケイ素 (b)モリブデン酸塩 (c)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、
チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の
有機化合物
【0015】[10] 上記[1]〜[9]のいずれかの有機被覆
鋼板において、有機樹脂皮膜が固形潤滑剤を含有するこ
とを特徴とする、耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼
板。 [11] 上記[1]〜[10]のいずれかの有機被覆鋼板におい
て、有機樹脂皮膜の皮膜形成樹脂が、エポキシ基含有樹
脂と一部又は全部の化合物がヒドラジン誘導体からなる
活性水素含有化合物との反応生成物であることを特徴と
する、耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明の有機被覆鋼板は、調質圧延され
た冷延鋼板の表面に亜鉛系めっき皮膜又はアルミニウム
系めっき皮膜を有し、必要に応じてこのめっき皮膜の上
層に6価クロムを含まない特定の付着量の下層皮膜(無
機系皮膜、有機系皮膜又は無機−有機系皮膜)を形成
し、その上層に6価クロムを含まない特定の付着量の有
機樹脂皮膜を形成した有機被覆鋼板であって、素材鋼板
である調質圧延された冷延鋼板が所定の表面粗さを有す
ることを特徴とする。
【0017】以下、素材鋼板である調質圧延された冷延
鋼板の表面粗さについて説明する。本発明者らは白錆や
黒点錆等の腐食が発生する有機被覆鋼板面上の起点につ
いて調査検討を行い、その結果、有機被覆鋼板には有機
樹脂皮膜が局部的に薄い部分が存在し、この部分が白錆
や黒点錆の起点となっていることが判明した。鋼板に膜
厚が非常に薄い有機樹脂皮膜を形成した場合、この有機
樹脂皮膜には鋼板表面の粗さに起因した局部的な薄膜部
が形成される。これを模式的に示すと図1のようにな
り、このような局部的な薄膜部が腐食の起点となること
が判った。
【0018】さらに、上記のような有機樹脂皮膜の薄膜
部の形成に影響する鋼板表面粗さとそのような表面粗さ
を生じる要因、さらにはその対策について検討した結
果、有機樹脂皮膜に局部的な薄膜部が形成されるような
鋼板の表面粗さは、冷延鋼板の調質圧延時に圧延ロール
から転写されることにより生じていること、したがって
この調質圧延ロールから転写される表面粗さを特定の範
囲に規制することにより、局部的な薄膜部の形成を抑制
して黒点錆等の発生を効果的に抑制できることを見出し
た。
【0019】調質圧延された冷延鋼板に亜鉛めっきを施
し、その上層に下層皮膜と有機樹脂皮膜を順次形成した
有機被覆鋼板であって、高温多湿環境促進試験において
黒点錆が発生した有機被覆鋼板と黒点錆が発生しなかっ
た有機被覆鋼板について、有機樹脂皮膜、下層皮膜及び
亜鉛めっきを酸でエッチング除去した上で、冷延鋼板表
面の粗さの波長を非接触式粗さ計で測定し、鋼板表面の
粗さの波長と平均表面粗さRaとの関係を整理した結果
を図2に示す。これによれば、黒点錆が発生した有機被
覆鋼板は黒点錆が発生しなかった有機被覆鋼板に比較し
て、波長100〜150μmの範囲の粗さが極めて粗い
こと、そしてこの特定の波長はまさに調質圧延ロール
(この場合は放電ダル加工仕上げの調質圧延ロール)の
ロール表面の粗さの波長と一致していることが判った。
したがって、調質圧延後の鋼板表面粗さを制御するこ
と、つまり調質圧延条件(調質圧延ロールの表面粗さ、
調圧率)を制御することにより黒点錆の発生を抑制でき
ることが判った。
【0020】図3は、上記放電ダル加工仕上げのロール
により調質圧延をした冷延鋼板を素材鋼板とする有機被
覆鋼板について、後述する実施例に示した高温多湿環境
促進試験を実施し、冷延鋼板表面の粗さの波長100〜
150μmの山カウント数RPVC及び平均表面粗さR
aと有機被覆鋼板の黒点錆発生との関係について調査し
た結果を示したものである。なお、図中の◎〜×の評価
は後述する実施例における“(1)耐食性(耐黒点錆
性)”の評価と同じである。図3によれば、黒点錆が発
生している有機被覆鋼板は、調質圧延ロールから転写さ
れた冷延鋼板表面の粗さの上記特定波長の山カウント数
RPVCが200peak/inch超、平均表面粗さ
Raが1.5μm超の領域に分布しており、冷延鋼板表
面の粗さの上記特定波長の山カウント数RPVCを20
0peak/inch以下で且つ平均表面粗さRa≦
1.5μmに管理することにより黒点錆を効果的に抑制
できることが判る。また、そのなかでも平均表面粗さR
a≦1.1μmの範囲、また上記特定波長の山カウント
数RPVCが100peak/inch以下の範囲が特
に耐黒点錆性に優れており、したがって、この両方を満
足することにより最も優れた耐黒点錆性が得られること
が判る。
【0021】以上の理由から本発明では、有機被覆鋼板
の素材鋼板である冷延鋼板表面の粗さを、調質圧延の圧
延ロールによって転写された冷延鋼板表面の粗さの波長
100〜150μmの山カウント数RPVCが200p
eak/inch以下で、且つ平均表面粗さRaが1.
5μm以下と規定する。また、冷延鋼板の表面粗さのよ
り好ましい範囲としては、上記特定波長の山カウント数
RPVCについては100peak/inch以下、平
均表面粗さRaについては1.1μm以下である。した
がって、調質圧延された冷延鋼板表面の粗さは、上記特
定波長の山カウント数RPVCが100peak/in
ch以下で、且つ平均表面粗さRaが1.1μm以下が
最も好ましい。
【0022】以上のような冷延鋼板の表面に形成される
亜鉛系めっき皮膜としては、亜鉛めっき(電気亜鉛めっ
き、溶融亜鉛めっき)や合金化溶融亜鉛めっきの他に、
ZnとNi,Cr,Mn,Co,Fe,Al,Mg等の
元素の1種以上とからなる合金めっき等がある。また、
Zn−Al合金めっきには所謂Zn−5%Al合金めっ
きやZn−55%Al合金めっき等が含まれる。さら
に、以上挙げためっき皮膜中に金属酸化物、ポリマー等
を分散させた亜鉛系複合めっき(例えば、Zn−SiO
分散めっき)等も含まれる。また、上記のようなめっ
きのうち、同種又は異種のものを2層以上めっきした複
層めっきとしてもよい。
【0023】また、アルミニウム系めっき皮膜として
は、アルミニウムめっき、Al−Si合金めっき等が挙
げられれる。また、めっき鋼板としては、鋼板面に予め
Ni等の薄目付めっきを施し、その上に上記のような各
種めっきを施したものであってもよい。めっき方法とし
ては、電解法(水溶液中での電解又は非水溶媒中での電
解)、溶融法、気相法のうち、実施可能ないずれの方法
を採用することもできる。
【0024】また、後述するような有機樹脂皮膜をめっ
き皮膜表面に形成した際に皮膜ムラ等がなるべく生じな
いようにするため、必要に応じて、予めめっき皮膜表面
にアルカリ脱脂、溶剤脱脂、表面調整処理(アルカリ性
の表面調整処理、酸性の表面調整処理)等の処理を施し
ておくことができる。また、有機被覆鋼板の使用環境下
での黒変(めっき表面の酸化現象の一種)を防止する目
的で、必要に応じて予めめっき皮膜表面に鉄族金属イオ
ン(Niイオン、Coイオン、Feイオンの1種以上)
を含む酸性又はアルカリ性水溶液による表面調整処理を
施しておくこともできる。また、電気亜鉛めっき鋼板を
下地鋼板として用いる場合には、黒変を防止する目的で
電気めっき浴に鉄族金属イオン(Niイオン、Coイオ
ン、Feイオンの1種以上)を添加し、めっき皮膜中に
これらの金属を1ppm以上含有させておくことができ
る。この場合、めっき皮膜中の鉄族金属濃度の上限につ
いては特に制限はない。
【0025】上記めっき皮膜の表面には必要に応じて6
価クロムを含まない下層皮膜が形成され、その上層(下
層皮膜が形成されない場合にはめっき皮膜表面)に有機
樹脂皮膜が形成される。上記下層皮膜としては、6価ク
ロムを含まないものであれば無機系皮膜、有機系皮膜、
無機−有機系皮膜のいずれでもよい。例えば、結晶性リ
ン酸亜鉛処理皮膜(無機系)、非晶質リン酸塩を含む皮
膜(無機系)、アルカリシリケート皮膜(無機系)、タ
ンニン酸等の多価フェノール系化合物を含む皮膜(有機
系)、3価クロム系クロメート皮膜(無機系)、有機樹
脂含有3価クロム系クロメート皮膜(無機−有機系)等
の公知の皮膜や、これらの皮膜に有機樹脂を適宜配合し
た皮膜が挙げられる。
【0026】また、耐食性をより向上させることを目的
として、下層皮膜はリン酸及び/又はリン酸化合物と酸
化物微粒子を含有する複合酸化物皮膜、さらに好ましく
はリン酸及び/又はリン酸化合物と、酸化物微粒子と、
Mn、Al、Mg、Niの中から選ばれる1種以上の金
属(但し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる
場合を含む)を含有する複合酸化物皮膜であることが好
ましい。
【0027】上記酸化物微粒子としては、耐食性の観点
から特に酸化ケイ素(SiO微粒子)が好ましい。ま
た、酸化ケイ素の中でもコロイダルシリカが最も好まし
い。コロイダルシリカとしては、例えば、スノーテック
スO、スノーテックスOS、スノーテックスOXS、ス
ノーテックスOUP、スノーテックスAK、スノーテッ
クスO40、スノーテックスOL、スノーテックスOL
40、スノーテックスOZL、スノーテックスXS、ス
ノーテックスS、スノーテックスNXS、スノーテック
スNS、スノーテックスN、スノーテックスQAS−2
5(以上商品名、日産化学工業(株)製)、カタロイド
S、カタロイドSI−350、カタロイドSI−40、
カタロイドSA、カタロイドSN(以上商品名、触媒化
成工業(株)製)、アデライトAT−20〜50、アデ
ライトAT−20N、アデライトAT−300、アデラ
イトAT−300S、アデライトAT20Q(以上商品
名、旭電化工業(株)製)等を用いることができる。
【0028】これらの酸化ケイ素の中でも、特に粒子径
が14nm以下のもの、さらには好ましくは8nm以下
のものが耐食性の観点から望ましい。また、酸化ケイ素
としては、乾式シリカ微粒子を皮膜用組成物溶液に分散
させたものを用いることもできる。この乾式シリカとし
ては、例えば、アエロジル200、アエロジル300
0、アエロジル300CF、アエロジル380(以上商
品名、日本アエロジル(株)製)等を用いることがで
き、なかでも粒子径12nm以下、さらに好ましくは7
nm以下のものが望ましい。酸化物微粒子としては、上
記酸化ケイ素のほかに、酸化アルミニウム、酸化ジルコ
ニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモン等
のコロイド溶液、微粉末等を用いることもできる。
【0029】上記リン酸及び/又はリン酸化合物は、例
えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリ
ン酸等や、これらの金属塩や化合物等やの1種又は2種
以上を皮膜組成物中に添加することにより皮膜成分とし
て配合することができる。また、皮膜組成物に有機リン
酸やそれらの塩(例えば、フィチン酸、フィチン酸塩、
ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの金属塩)の1種
以上を添加してもよい。また、そのなかでも第一リン酸
塩が皮膜用組成物溶液の安定性の面から好適である。皮
膜中でのリン酸、リン酸化合物の存在形態も特別な限定
はなく、また、結晶又は非結晶であるか否かも問わな
い。また、皮膜中でのリン酸、リン酸化合物のイオン
性、溶解度についても特別な制約はない。
【0030】上記Mn、Al、Mg、Niの中から選ば
れる1種以上の金属が皮膜中に存在する形態は特に限定
されず、金属として、或いは酸化物、水酸化物、水和酸
化物、リン酸化合物、配位化合物等の化合物若しくは複
合化合物として存在してよい。これらの化合物、水酸化
物、水和酸化物、リン酸化合物、配位化合物等のイオン
性、溶解度等についても特に限定されない。皮膜中に前
記金属を導入する方法としては、Mn、Al、Mg、N
iのリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物等として皮膜組
成物に添加すればよい。
【0031】複合酸化物皮膜の構成成分である、(イ)
酸化物微粒子と、(ハ)Mn、Al、Mg、Niの中か
ら選ばれる1種以上の金属(但し、化合物及び/又は複
合化合物として含まれる場合を含む)のモル比(イ)/
(ハ)(但し、成分(ハ)は前記金属の金属換算量)は
0.1〜20、望ましくは0.1〜10とすることが好
ましい。このモル比(イ)/(ハ)が0.1未満では酸
化物微粒子の添加効果が十分に得られず、一方、20を
超えると酸化物微粒子が皮膜の緻密化を阻害するおそれ
がある。
【0032】また、複合酸化物皮膜の構成成分である、
(ロ)リン酸及び/又はリン酸化合物と、(ハ)Mn、
Al、Mg、Niの中から選ばれる1種以上の金属(但
し、化合物及び/又は複合化合物として含まれる場合を
含む)のモル比(ハ)/(ロ)(但し、成分(ロ)はP
換算、成分(ハ)は前記金属の金属量換算)は
0.1〜1.5とすることが好ましい。このモル比が
0.1未満では、可溶性のリン酸によって複合酸化物皮
膜の難溶性が損なわれ、耐食性が低下するおそれがある
ため好ましくない。また、モル比が1.5を超えると処
理液安定性が著しく低下するため好ましくない。
【0033】複合酸化物皮膜中には、皮膜の加工性、耐
食性を向上させることを目的として、さらに有機樹脂を
配合することができる。この有機樹脂としては、エポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル−エチ
レン共重合体、アクリル−スチレン共重合体、アルキド
樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン樹脂等の1種以上を
用いることができる。これらは水溶性樹脂及び/又は水
分散性樹脂として皮膜中に導入できる。さらに、これら
の水系樹脂に加えて、水溶性エポキシ樹脂、水溶性フェ
ノール樹脂、水溶性ブタジエンラバー(SBR、NB
R、MBR)、メラミン樹脂、ブロックイソシアネー
ト、オキサゾリン化合物等を架橋剤として併用すること
が有効である。
【0034】複合酸化物皮膜中には、耐食性をさらに向
上させるための添加剤として、さらに、ポリリン酸塩、
リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニ
ウム、亜リン酸亜鉛など)、モリブデン酸塩、リンモリ
ブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムな
ど)、有機リン酸及びその塩(例えば、フィチン酸、フ
ィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの金
属塩、アルカリ金属塩など)、有機インヒビター(例え
ば、ヒドラジン誘導体、チオール化合物、ジチオカルバ
ミン酸塩など)、有機化合物(例えば、ポリエチレング
リコール等)等の1種以上を配合してもよい。
【0035】さらに、その他の添加剤として、有機着色
顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系
有機顔料等)、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ
系染料、水溶性アゾ系金属染料等)、無機顔料(例え
ば、酸化チタン等)、キレート剤(例えば、チオール
等)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッ
ケル等の金属粉末、リン化鉄、アンチモンドーブ型酸化
錫等)、カップリング剤(例えば、シランカップリング
剤、チタンカップリング剤等)、メラミン・シアヌル酸
付加物等の1種以上を添加することもできる。
【0036】以上述べたような複合酸化物皮膜の防食機
構については必ずしも明確でないが 、緻密で難溶性の複合酸化物皮膜がバリヤー性皮膜と
して腐食因子を遮断すること、酸化ケイ素等の酸化物
微粒子が、リン酸及び/又はリン酸化合物とMn、A
l、Mg、Niの中から選ばれる1種以上の金属と共に
安定で緻密なバリヤー皮膜を形成すること、酸化物微
粒子が酸化ケイ素である場合にケイ酸イオンが腐食環境
下で塩基性塩化亜鉛の形成を促し、バリヤー性を向上さ
せること、等により優れた防食性能が得られるものと考
えられる。下層皮膜の付着量は0.01〜1000mg
/m、好ましくは1〜600mg/m、さらに好ま
しくは10〜500mg/mとする。下層皮膜の付着
量が0.01mg/m未満では耐食性が不十分であ
り、一方、付着量が1000mg/mを超えると導電
性及び溶接性が低下する。
【0037】次に、上記下層皮膜又はめっき皮膜の表面
に形成される有機樹脂皮膜について説明する。有機樹脂
皮膜は、耐食性の観点から付着量を0.05g/m
上、好ましくは0.1g/m以上とする。付着量が
0.05g/m未満では十分な耐食性を得ることがで
きない。また、付着量の上限は導電性及び溶接性の観点
から0.5g/m未満とする。本発明では、この有機
樹脂皮膜の付着量の範囲が耐食性と導電性及び溶接性を
バランスよく確保する上で不可欠の条件となる。
【0038】調質圧延後の表面粗さが本発明条件を満足
する冷延鋼板を亜鉛めっきし、その表面にリン酸化合物
とシリカとを含有する無機系皮膜を300mg/m
付着量で形成し、その上層に熱硬化性エポキシ樹脂から
なる有機樹脂皮膜を形成した有機被覆鋼板について、有
機樹脂皮膜の付着量と耐食性(耐黒点錆性)との関係を
調べた結果を図4に、また有機樹脂皮膜の付着量と導電
性(表面抵抗値)との関係を調べた結果を図5に、また
有機樹脂皮膜の付着量とスポット溶接性との関係を調べ
た結果を図6にそれぞれ示す。なお、図4〜図6の耐食
性、導電性及び溶接性の試験方法及び評価基準は、後述
する実施例における“(1)耐食性(耐黒点錆性)”、
“(2)溶接性”及び“(3)導電性”と同様とした。
【0039】図4によれば有機樹脂皮膜の付着量が多く
なるほど高温多湿環境下での耐食性は向上し、付着量を
0.05g/m以上、好ましくは0.1g/m以上
とすることにより優れた耐食性(耐黒点錆性)が得られ
ている。一方、図5によれば、有機樹脂皮膜の付着量が
0.5g/m以上になると表面抵抗値が急激に増加す
ることが判る。また図6によれば、有機樹脂皮膜の付着
量が0.5g/m以上になるとスポット溶接性(スポ
ット連続打点性)が急激に低下することが判る。一般に
有機樹脂皮膜の付着量が増加すると導電性やスポット溶
接性が低下することが知られているが、本試験条件のよ
うな極めて厳しい条件下での導電性及びスポット溶接性
に関して、有機樹脂皮膜の付着量が0.5g/mを境
に特性が大きく変化し、付着量0.5g/m未満にお
いて優れた導電性及びスポット溶接性が得られることは
これまで報告された例はない。以上の理由から本発明で
は、有機樹脂皮膜の付着量を0.05g/m以上、
0.5g/m未満、好ましくは0.1g/m以上、
0.5g/m未満とする。
【0040】有機樹脂皮膜の皮膜形成樹脂は特に限定さ
れるものではなく、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用
いることができる。また、水溶性樹脂、水分散性樹脂、
有機溶剤可溶性樹脂のいずれも用いてもよい。また、有
機樹脂をシランカップリング剤を介してシリカと複合化
させた有機複合シリケートも好適である。但し、付着量
が0.5g/m未満という極めて薄い膜厚で高度な耐
食性を付与するには、皮膜形成樹脂として熱硬化性樹脂
を用いるのが特に好ましい。熱硬化性樹脂は架橋構造に
よる三次元ネットワーク構造を有していることから、腐
食因子である酸素の透過を抑制し(すなわち酸素バリヤ
ー性に優れている)、カソード反応の抑制に優れた効果
を発揮する。
【0041】有機樹脂皮膜の皮膜形成樹脂としては、例
えば以下のものを用いることができる。 (1) エポキシ樹脂 例えば、エピクロルヒドリン型、グリシジルエーテル型
等のストレートエポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂
(エポキシエステル樹脂)、多塩基性酸変性エポキシ樹
脂、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂、アルキド(又はポ
リエステル)変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂変性エポ
キシ樹脂、アルキド(又はポリエステル)変性エポキシ
樹脂、ポリブタジエン変性エポキシ樹脂、フェノール変
性エポキシ樹脂、アミン若しくはポリアミン変性エポキ
シ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂等を用いることがで
きる。これらのエポキシ樹脂又は変性エポキシ樹脂を用
いることにより、有機樹脂皮膜に対して優れた耐食性、
塗装性を付与することができる。
【0042】(2) ウレタン樹脂 例えば、油変性ポリウレタン樹脂、アルキド系ポリウレ
タン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエー
テル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン
樹脂等を用いることができる。 (3) アルキド樹脂 例えば、油変性アルキド樹脂、ロジン変性アルギド樹
脂、フェノール変性アルキド樹脂、スチレン化アルキド
樹脂、シリコン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキ
ド樹脂、オイルフリーアルキド樹脂、高分子量オイルフ
リーアルキド樹脂等を用いることができる。
【0043】(4) アクリルシリコン樹脂 例えば、主剤としてアクリル系共重合体の側鎖又は末端
に加水分解性アルコキシシリル基を含み、これに硬化剤
を添加したもの等を用いることができる。これらのアク
リルシリコン樹脂を用いた場合、有機樹脂皮膜の優れた
耐候性が期待できる。 (5) フッ素樹脂 フルオロオレフィン系共重合体のものがあり、これには
例えば、モノマーとしてアルキルビニルエーテル、シン
クロアルキルビニルエーテル、カルボン酸変性ビニルエ
ステル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル、テトラフ
ルオロプロピルビニルエーテル等と、フッ素モノマー
(フルオロオレフィン)との共重合体等を用いることが
できる。これらフッ素樹脂を用いた場合、有機樹脂皮膜
の優れた耐候性と優れた疎水性が期待できる。
【0044】(6) アクリル系樹脂 例えば、ポリアクリル酸及びその共重合体、ポリアクリ
ル酸エステル及びその共重合体、ポリメタクリル酸エス
テル及びその共重合体、ポリメタクリル酸エステル及び
その共重合体、ウレタン−アクリル酸共重合体(又はウ
レタン変性アクリル樹脂)、スチレン−アクリル酸共重
合体等を用いることができ、さらにこれらの樹脂を他の
アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等によっ
て変性させた樹脂を用いることもできる。
【0045】(7) エチレン樹脂(ポリオレフィン樹脂) 例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メ
タクリル酸共重合体、カルボキシル変性ポリオレフィン
樹脂等のエチレン系共重合体、エチレン−不飽和カルボ
ン酸共重合体、エチレン系アイオノマー等を用いること
ができ、さらにこれらの樹脂を他のアルキド樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂等によって変性させた樹脂を
用いることもできる。
【0046】また、水分散性樹脂を用いる場合には、樹
脂の乾燥温度の低温化を狙いとして、樹脂粒子のコア部
分とシェル部分とが異なる種類の樹脂又は異なるガラス
転移温度の樹脂からなるコア・シェル型水分散性樹脂を
用いることができる。また、自己架橋性を有する水分散
性樹脂、例えば、樹脂粒子にアルコキシシラン基を付与
した水分散性樹脂を用いることもでき、このような水分
散性樹脂を用いることにより、樹脂の加熱乾燥時にアル
コキシシランの加水分解によるシラノール基の生成と樹
脂粒子間のシラノール基の脱水縮合反応による樹脂粒子
間架橋を利用することができる。
【0047】また、本発明において有機樹脂皮膜に対し
て特に優れた耐食性、加工性を付与する場合には、皮膜
形成樹脂として熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。
この熱硬化性樹脂には、硬化剤として、尿素樹脂(ブチ
ル化尿素樹脂等)、メラミン樹脂(ブチル化メラミン樹
脂)、ブチル化尿素・メラミン樹脂、ペンゾグアナミン
樹脂等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート、オキサ
ゾリン化合物、フェノール樹脂等を配合することができ
る。
【0048】以上挙げた皮膜形成樹脂の中で、有機皮膜
の耐食性、加工性、塗装性の観点からはエポキシ樹脂、
エチレン系樹脂が好ましく、そのなかでも特に、酸素等
の腐食因子に対して優れた遮断性を有する熱硬化性のエ
ポキシ樹脂や変性エポキシ樹脂が好適である。例えば、
熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性変性エポキシ樹脂、エ
ポキシ基含有モノマーと共重合したアクリル系共重合体
樹脂、エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂、エポキ
シ基を有するポリウレタン樹脂、及びこれらの樹脂の付
加物若しくは縮合物等が挙げられ、これらのエポキシ基
含有樹脂の1種を単独で、又は2種以上を混合して用い
ることができる。
【0049】また、これらエポキシ基含有樹脂の中で
も、ヒドラジン誘導体で変性したエポキシ基含有樹脂、
すなわち、上述したエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等
のエポキシ基含有樹脂と一部又は全部の化合物がヒドラ
ジン誘導体からなる活性水素含有化合物との反応生成物
が特に好ましい。エポキシ基含有樹脂のエポキシ基と反
応する上記活性水素含有化合物としては例えば以下に示
すようなものを例示でき、これらの1種または2種以上
を使用できるが、この場合も活性水素含有化合物の少な
くとも一部(好ましくは全部)は、活性水素を有するヒ
ドラジン誘導体であることが必要である。 ・活性水素を有するヒドラジン誘導体 ・活性水素を有する第1級または第2級のアミン化合物 ・アンモニア、カルボン酸などの有機酸 ・塩化水素などのハロゲン化水素 ・アルコール類、チオール類 ・活性水素を有しないヒドラジン誘導体または第3級ア
ミンと酸との混合物である4級塩化剤
【0050】上記活性水素を有するヒドラジン誘導体と
しては、例えば、以下のものを挙げることができる。 カルボヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、サリ
チル酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン
酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル
酸ジヒドラジド、チオカルボヒドラジド、4,4′−オ
キシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゾフェノ
ンヒドラゾン、アミノポリアクリルアミド等のヒドラジ
ド化合物; ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メ
チル−5−ピラゾロン、3−アミノ−5−メチルピラゾ
ール等のピラゾール化合物;
【0051】 1,2,4−トリアゾール、3−アミ
ノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,
4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリ
アゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−
トリアゾール、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,
2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1
−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1水和物)、6−メ
チル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、6−フェ
ニル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、5−ヒド
ロキシ−7−メチル−1,3,8−トリアザインドリジ
ン等のトリアゾール化合物;
【0052】 5−フェニル−1,2,3,4−テト
ラゾール、5−メルカプト−1−フェニル−1,2,
3,4−テトラゾール等のテトラゾール化合物; 5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジ
アゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジ
アゾール等のチアジアゾール化合物; マレイン酸ヒドラジド、6−メチル−3−ピリダゾ
ン、4,5−ジクロロ−3−ピリダゾン、4,5−ジブ
ロモ−3−ピリダゾン、6−メチル−4,5−ジヒドロ
−3−ピリダゾン等のピリダジン化合物 また、これらのなかでも、5員環または6員環の環状構
造を有し、環状構造中に窒素原子を有するピラゾール化
合物、トリアゾール化合物が特に好適である。これらの
ヒドラジン誘導体は1種を単独で、または2種以上を混
合して使用することができる。
【0053】活性水素含有化合物の一部として使用でき
る上記活性水素を有するアミン化合物の代表例として
は、例えば、以下のものを挙げることができる。 ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエ
チルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノ
プロピルアミンなどの1個の2級アミノ基と1個以上の
1級アミノ基を含有するアミン化合物の1級アミノ基
を、ケトン、アルデヒド若しくはカルボン酸と例えば1
00〜230℃程度の温度で加熱反応させてアルジミ
ン、ケチミン、オキサゾリン若しくはイミダゾリンに変
性した化合物;
【0054】 ジエチルアミン、ジエタノールアミ
ン、ジ−n−または−iso−プロパノールアミン、N
−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミ
ンなどの第2級モノアミン; モノエタノールアミンのようなモノアルカノールア
ミンとジアルキル(メタ)アクリルアミドとをミカエル
付加反応により付加させて得られた第2級アミン含有化
合物; モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、
2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、2
−ヒドロキシ−2′(アミノプロポキシ)エチルエーテ
ル等のアルカノールアミンの1級アミノ基をケチミンに
変性した化合物;
【0055】活性水素含有化合物の一部として使用でき
る上記4級塩化剤は、活性水素を有しないヒドラジン誘
導体または第3級アミンはそれ自体ではエポキシ基と反
応性を有しないので、これらをエポキシ基と反応可能と
するために酸との混合物としたものである。4級塩化剤
は、必要に応じて水の存在下でエポキシ基と反応し、エ
ポキシ基含有樹脂と4級塩を形成する。4級塩化剤を得
るために使用される酸は、酢酸、乳酸などの有機酸、塩
酸などの無機酸のいずれでもよい。また、4級塩化剤を
得るために使用される活性水素を有しないヒドラジン誘
導体としては、例えば3,6−ジクロロピリダジンなど
を、また、第3級アミンとしては、例えば、ジメチルエ
タノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミ
ン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミ
ンなどを挙げることができる。
【0056】エポキシ基含有樹脂と一部または全部の化
合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体からなる活性
水素含有化合物との反応生成物は、エポキシ基含有樹脂
と活性水素含有化合物とを10〜300℃、好ましくは
50〜150℃で約1〜8時間程度反応させて得られ
る。この反応は有機溶剤を加えて行ってもよく、使用す
る有機溶剤の種類は特に限定されない。例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ
ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノ
ール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベ
ンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリ
コールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシル
エーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテル等の水酸基を含有するアルコー
ル類やエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレン
グリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル
類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を例示で
き、これらの1種または2種以上を使用することができ
る。また、これらのなかでエポキシ樹脂との溶解性、塗
膜形成性等の面からは、ケトン系またはエーテル系の溶
剤が特に好ましい。
【0057】エポキシ基含有樹脂と一部または全部の化
合物が活性水素を有するヒドラジン誘導体からなる活性
水素含有化合物との配合比率は、固形分の割合でエポキ
シ基含有樹脂100重量部に対して、活性水素含有化合
物を0.5〜20重量部、特に好ましくは1.0〜10
重量部とするのが望ましい。また、エポキシ基含有樹脂
と活性水素含有化合物との配合比率は、活性水素含有化
合物の活性水素基の数とエポキシ基含有樹脂のエポキシ
基の数との比率[活性水素基数/エポキシ基数]が0.
01〜10、より好ましくは0.1〜8、さらに好まし
くは0.2〜4とすることが耐食性などの点から適当で
ある。
【0058】また、活性水素含有化合物中における活性
水素を有するヒドラジン誘導体の割合は10〜100モ
ル%、より好ましくは30〜100モル%、さら好まし
くは40〜100モル%とすることが適当である。活性
水素を有するヒドラジン誘導体の割合が10モル%未満
では有機皮膜に十分な防錆機能を付与することができ
ず、得られる防錆効果は皮膜形成有機樹脂とヒドラジン
誘導体を単に混合して使用した場合と大差なくなる。
【0059】このような特定の反応生成物からなる有機
樹脂皮膜による防食機構については必ずしも明らかでは
ないが、その機構は以下のように推定できる。すなわ
ち、皮膜形成有機樹脂にヒドラジン誘導体を付与するこ
とによって、(1)緻密な有機高分子皮膜により酸素や塩
素イオン等の腐食因子を遮断する効果が得られること、
(2)ヒドラジン誘導体が下層皮膜の表面と強固に結合し
て安定な不動態化層を形成できること、(3)腐食反応に
よって溶出した亜鉛イオンを皮膜中のフリーのヒドラジ
ン誘導体がトラップし、安定な不溶性キレート化合物層
を形成するため、界面でのイオン伝導層の形成が抑制さ
れて腐食の進行が抑制されること、等の作用効果により
腐食の進行が効果的に抑制され、優れた耐食性が得られ
るものと考えられる。
【0060】そして、皮膜形成有機樹脂として特にエポ
キシ基含有樹脂を用いた場合には、エポキシ基含有樹脂
と架橋剤との反応により緻密なバリヤー皮膜が形成さ
れ、このバリヤー皮膜は酸素等の腐食因子の透過抑制能
に優れ、また、分子中の水酸基により素地との優れた結
合力が得られるため、特に優れた耐食性が得られるもの
と考えられる。さらに、活性水素を有するヒドラジン誘
導体として、特に活性水素を有するピラゾール化合物お
よび/または活性水素を有するトリアゾール化合物を用
いることにより、より優れた耐食性が得られる。
【0061】有機樹脂皮膜中には必要に応じて防錆添加
剤や固形潤滑剤を添加することができる。有機樹脂皮膜
中に添加される防錆添加剤としては、有効な自己補修作
用を有する防錆添加剤である下記(a1)、(a2)、(a
3)、(b)、(c)の中から選ばれる1種以上を用いる
ことが好ましく、これにより不可避的に生じる皮膜欠陥
部の耐食性を効果的に向上させることができる。 (a1)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (a2)リン酸塩 (a3)酸化ケイ素 (b)モリブデン酸塩 (c)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の有機化合物 また、上記(a1)〜(a3)の防錆添加剤については、
(a1)と(a2)及び/又は(a3)との複合添加が、耐食
性向上の観点から特に望ましい。
【0062】有機樹脂皮膜中に上記(a1)〜(a3)、
(b)、(c)の各防錆添加剤を配合することにより得ら
れる防食機構は、以下の通りである。まず、上記(a1)
〜(a3)の各防錆添加剤は、沈殿作用によって皮膜欠陥
部の自己補修性を発現する。また、上記(a1)と(a2)
又は/及び(a3)とが複合添加される場合の反応機構
は、以下のステップで進むものと考えられる。 [第1ステップ]:腐食環境下においてめっき金属であ
る亜鉛やアルミニウムよりも卑なカルシウムが優先溶解
する。 [第2ステップ]:上記(a1)に対して複合添加される
のが(a2)のリン酸塩の場合には、加水分解反応により
解離したリン酸イオンと上記第1ステップで優先溶解し
たカルシウムイオンが錯形成反応を起こす。また、上記
(a1)に対して複合添加されるのが(a3)の酸化ケイ素
の場合には、酸化ケイ素の表面に上記第1ステップで優
先溶解したカルシウムイオンが吸着し、表面電荷を電気
的中和して凝集する。その結果、いずれの場合も緻密且
つ難溶性の保護皮膜が生成し、これが腐食起点を封鎖す
ることによって腐食反応を抑制する。
【0063】また、上記(b)の防錆添加剤は不動態化
効果によって自己補修性を発現する。すなわち、腐食環
境下で溶存酸素と共にめっき皮膜表面に緻密な酸化物を
形成し、これが腐食起点を封鎖することによって腐食反
応を抑制する。さらに、上記(c)の防錆添加剤は吸着
効果によって自己補修性を発現する。すなわち、腐食に
よって溶出した亜鉛やアルミニウムが、上記(c)が有
する窒素や硫黄を含む極性基に吸着して不活性皮膜を形
成し、これが腐食起点を封鎖することによって腐食反応
を抑制する。
【0064】上記(a1)のカルシウム化合物としては
塩、水酸化物、酸化物のいずれでもよく、これらのカル
シウム化合物、金属カルシウムの1種又は2種以上を使
用できる。また、カルシウム塩の種類にも特に制限はな
く、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシ
ウム等のようなカチオンとしてカルシウムのみを含む単
塩のほか、リン酸カルシウム・亜鉛、リン酸カルシウム
・マグネシウム等のようなカルシウムとカルシウム以外
のカチオンを含む複塩を使用してもよい。
【0065】上記(a2)のリン酸塩としては、単塩、複
塩など全ての種類の塩を含む。またそれを構成する金属
カチオンに限定はなく、リン酸亜鉛、リン酸マグネシウ
ム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム等のいずれ
の金属カチオンでもよい。また、リン酸イオンの骨格や
縮合度等にも限定はなく、正塩、二水素塩、一水素塩又
は亜リン酸塩のいずれでもよく、さらに、正塩は、オル
トリン酸塩の他、ポリリン酸塩等の全ての縮合リン酸塩
を含む。
【0066】上記(a3)の酸化ケイ素としては、コロイ
ダルシリカ、乾式シリカのいずれでもよい。また、酸化
ケイ素の中でもカルシウム等の金属イオンをその表面に
結合させたイオン交換シリカが特に望ましい。イオン交
換シリカは、カルシウムイオン等の金属イオンを多孔質
シリカゲル粉末の表面に固定したもので、腐食環境下で
金属イオンが放出されて沈殿膜を形成する。また、この
イオン交換シリカの中でもカルシウムイオン交換シリカ
が最も好ましい。カルシウムイオン交換シリカとして
は、例えば、SHIELDEX C303、SHIELDEX AC3、SHIELDEX
AC5(以上商品名、W.R.Grace&Co.製)、SHIELDEX、SH
IELDEX SY710(以上商品名、富士シリシア化学(株)
製)等が挙げられる。
【0067】また、イオン交換シリカ(特に好ましく
は、カルシウムイオン交換シリカ)と微粒子シリカを複
合添加することにより、特に優れた耐食性が得られる。
微粒子シリカは、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ
のいずれでもよい。コロイダルシリカとしては、水系皮
膜形成樹脂をベースとする場合は、例えば、スノーテッ
クスO、スノーテックスN、スノーテックス20、スノ
ーテックス30、スノーテックス40、スノーテックス
C、スノーテックスS(以上商品名、日産化学(株)
製)等を用いることができ、また溶剤系皮膜形成樹脂を
ベースとする場合は、例えば、オルガノシリカゾルMA
−ST−M、オルガノシリカゾルIPA−ST、オルガ
ノシリカゾルEG−ST、オルガノシリカゾルE−ST
−ZL、オルガノシリカゾルNPC−ST、オルガノシ
リカゾルDMAC−ST、オルガノシリカゾルDMAC
−ST−ZL、オルガノシリカゾルXBA−ST、オル
ガノシリカゾルMIBK−ST(以上商品名、日産化学
工業(株)製)等を用いることができる。
【0068】また、ヒュームドシリカとしては、AEROSI
LR971、AEROSILR R812、AEROSILR R811、AE
ROSILR R974、AEROSILR R202、AEROSILR R8
05、AEROSILR 130、AEROSILR 200、AEROSILR
300、AEROSILR 300CF(以上商品名、日本アエ
ロジル(株)製)等を用いることができる。
【0069】これら微粒子シリカは、腐食環境下で緻密
で安定な亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生
成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐
食の促進を抑制することができると考えられており、こ
のような防食機構と先に述べたイオン交換シリカの防食
機構との複合化により特に優れた防食効果が得られる。
イオン交換シリカ(x)と微粒子シリカ(y)の配合比
(x)/(y)(質量比)は99/1〜1/99、好ま
しくは95/5〜40/60、さらに好ましくは90/
10〜60/40とすることが適当である。イオン交換
シリカ(x)と微粒子シリカ(y)の重量比(x)/
(y)が1/99未満、99/1超のいずれの場合も両
者の複合添加による効果が十分に得られない。
【0070】上記(b)のモリブデン酸塩は、その骨
格、縮合度に限定はなく、例えば、オルトモリブデン酸
塩、パラモリブデン酸塩、メタモリブデン酸塩等が挙げ
られる。また、単塩、複塩など全ての塩を含み、複塩と
してはリン酸モリブデン酸塩等が挙げられる。上記
(c)の有機化合物のうち、トリアゾール類としては、
1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−
トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール等が、また、
チオール類としては、1,3,5−トリアジン−2,
4,6−トリチオール、2−メルカプトベンツイミダゾ
ール等が、また、チアジアゾール類としては、5−アミ
ノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、
2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等
が、また、チアゾール類としては、2−N,Nジエチル
チオベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾー
ル類等が、また、チウラム類としては、テトラエチルチ
ウラムジスルフィド等が、それぞれ挙げられる。
【0071】以上述べた(a1)〜(a3)、(b)、(c)
の防錆添加剤(自己補修発現物質)は、先に述べたよう
に腐食環境下において(a1)〜(a3)は沈殿効果によ
り、(b)は不動態化効果により、(c)は吸着効果によ
り、それぞれ保護皮膜を形成する。有機樹脂皮膜中での
上記(a1)〜(a3)、(b)、(c)の防錆添加剤の配合
量としては、皮膜中の樹脂成分100重量部(固形分)
に対して、合計で1〜100重量部(固形分)、好まし
くは5〜80重量部(固形分)、さらに好ましくは10
〜50重量部(固形分)とすることが適当である。上記
(a1)〜(a3)、(b)、(c)の防錆添加剤の合計配合
量が1重量部未満では耐食性の向上効果が少ない。一
方、配合量が100重量部を超えると耐食性及び導電性
がともに低下するので好ましくない。
【0072】また、有機樹脂皮膜中には上記の防錆添加
剤(自己補修発現物質)に加えて、腐食抑制剤として、
他の酸化物微粒子(例えば、酸化アルミニウム、酸化ジ
ルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモ
ン等)、リンモリブデン酸塩(例えば、リンモリブデン
酸アルミニウム等)、有機リン酸又はその塩(例えば、
フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸
塩、及びこれらの金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ土
類金属塩等)、有機インヒビター(ヒドラジン誘導体、
チオール化合物、ジチオカルバミン酸塩等)等を添加で
きる。
【0073】また、皮膜の加工性を向上させる目的で、
有機樹脂皮膜中に必要に応じて固形潤滑剤を配合するこ
とができる。本発明に適用できる固形潤滑剤としては、
例えば以下のようなものが挙げられ、これらの1種又は
2種以上を用いることができる。 (1)ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス:
例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然
パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素等 (2)フッ素樹脂微粒子:例えば、ポリフルオロエチレ
ン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂等)、ポリフッ化ビ
ニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等
【0074】また、この他にも、脂肪酸アミド系化合物
(例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、
メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロア
ミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、アルキレン
ビス脂肪酸アミド等)、金属石けん類(例えば、ステア
リン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カルシ
ウム、パルミチン酸カルシウム等)、金属硫化物(二硫
化モリブデン、二硫化タングステン等)、グラファイ
ト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリアルキレングリコー
ル、アルカリ金属硫酸塩等のうちの1種以上を用いても
よい。
【0075】以上の固形潤滑剤の中でも、特にポリエチ
レンワックス、フッ素樹脂系化合物(なかでもポリ4フ
ッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。ポリエチレン
ワックスとしては、セリダスト9615A、セリダスト
3715、セリダスト3620、セリダスト3910
(以上商品名、ヘキスト社製)、サンワックス131−
P、サンワックス161−P(以上商品名、三洋化成
(株)製)、ケミパールW−100、ケミパールW−2
00、ケミパールW−500、ケミパールW−800、
ケミパールW−950(以上商品名、三井石油化学
(株)製)等を用いることができる。
【0076】また、フッ素樹脂微粒子としては、特にテ
トラフルオロエチレン微粒子が最適であり、例えば、ル
ブロンL−2、ルブロンL−5(以上商品名、ダイキン
工業(株)製)、MP1100、MP1200(以上商
品名、三井・デュポン(株)製)、フルオンディスパー
ジョンAD1、フルオンディスパージョンAD2、フル
オンL140J、フルオンL150J、フルオンL15
5J(以上商品名、旭アイシーアイフロロポリマーズ
(株)製)などが好適である。また、これらのなかで、
ポリオレフィンワックスとテトラフルオロエチレンを併
用した場合に特に優れた潤滑効果が得られる。
【0077】これらの固形潤滑剤の配合量は、皮膜中の
樹脂成分100重量部(固形分)に対して1〜80重量
部とするのが好ましい。固形潤滑剤の配合量が1重量部
未満では潤滑効果が乏しく、また、80重量部超では塗
装性が低下する。また、好ましい配合量は3〜40重量
部である。
【0078】さらに、必要に応じてその他の添加剤とし
て、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタ
ロシアニン系有機顔料等)、着色染料(例えば、有機溶
剤可溶性アゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料等)、無機
顔料(例えば、酸化チタン等)、キレート剤(例えば、
チオール等)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウ
ム、ニッケル等の金属粉末、リン化鉄、アンチモンドー
プ型酸化錫等)、カップリング剤(例えば、シランカッ
プリング剤、チタンカップリング剤等)、メラミン・シ
アヌル酸付加物等を添加することができる。
【0079】本発明の有機被覆鋼板を製造するには、表
面粗さを調整した圧延ロールを用いて冷延鋼板を調質圧
延することにより、調質圧延の圧延ロールによって転写
された冷延鋼板表面の粗さの波長100〜150μmの
山カウント数RPVCが200peak/inch以
下、好ましくは100peak/inch以下で、且つ
平均粗さRaが1.5μm以下、好ましくは1.1μm
以下となるようにする。このような調質圧延後の冷延鋼
板に対して亜鉛系めっき又はアルミニウム系めっきを施
し、この亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼
板の表面に、必要に応じて下層皮膜用の組成物(溶液)
を塗布して加熱乾燥した後、有機樹脂皮膜用の組成物
(溶液)を塗布して加熱乾燥する。
【0080】下層皮膜を形成する場合、組成物(溶液)
を乾燥後の付着量で0.01〜1000mg/m、好
ましくは1〜600mg/m、より好ましくは10〜
500mg/mとなるように塗布して乾燥する。下層
皮膜用の組成物(溶液)を亜鉛系めっき鋼板又はアルミ
ニウム系めっき鋼板の表面に塗布する方式は、塗布方
式、浸漬方式、スプレー方式のいずれでもよい。また、
塗布方式ではロールコーター(3ロール方式、2ロール
方式等)、スクイズコーター、ダイコーター等のいずれ
の塗布手段を用いてもよい。また、スクイズコーター等
による塗布処理、浸漬処理やスプレー処理の後に、エア
ナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均
一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。通常、組
成物(溶液)の塗布後には水洗することなく加熱乾燥を
行うが、場合により塗布後に水洗を実施してもよい。
【0081】塗布した組成物(溶液)を加熱乾燥する方
法は任意であり、例えば、ドライヤー、熱風炉、高周波
誘導加熱炉、赤外線炉等の手段を用いることができる。
加熱乾燥処理は到達板温で40〜350℃、好ましくは
70℃〜200℃、さらに好ましくは70℃〜160℃
の範囲で行うことが適当である。この加熱乾燥温度が4
0℃未満では皮膜中に水分が多量に残るため耐食性が不
十分となりやすく、一方、350℃を超えると非経済的
であるばかりでなく、皮膜にクラック等が生じて耐食性
が低下しやすくなる。
【0082】有機樹脂皮膜を形成する場合、組成物(溶
液)を乾燥後の付着量で0.05g/m以上、0.5
g/m未満、好ましくは0.1g/m以上、0.5
g/m未満となるように塗布して加熱乾燥する。有機
皮膜用の組成物(溶液)は、上述した各皮膜構成成分と
有機溶剤及び/又は水とからなり、これに必要に応じて
中和剤、潤滑性付与剤、防錆添加剤等を適量含有させる
ことができる。
【0083】有機皮膜用の組成物(溶液)を亜鉛系めっ
き鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面或いは上記
下層皮膜の上層に塗布する方式は、塗布方式、浸漬方
式、スプレー方式のいずれでもよい。また、塗布方式で
は、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式
等)、スクイズコーター、ダイコーター等のいずれの塗
布手段を用いてもよい。また、スクイズコーター等によ
る塗布処理、浸漬処理やスプレー処理の後に、エアナイ
フ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一
化、膜厚の均一化を行うことも可能である。通常、組成
物(溶液)の塗布後には水洗することなく加熱乾燥を行
うが、場合により塗布後に水洗を実施してもよい。
【0084】塗布した組成物(溶液)を加熱乾燥する方
法は任意であり、例えば、ドライヤー、熱風炉、高周波
誘導加熱炉、赤外線炉等の手段を用いることができる。
加熱乾燥処理は到達板温で50〜350℃、好ましくは
60℃〜250℃の範囲で行うことが適当である。この
加熱乾燥温度が50℃未満では皮膜中の有機溶剤や水が
多量に残るため耐食性が不十分となりやすく、一方、3
50℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に
欠陥が生じて耐食性が低下しやすくなる。
【0085】
【実施例】有機皮膜形成用の樹脂組成物(反応生成物)
を以下のようにして合成した。 [合成例1]EP828(油化シェルエポキシ社製,エ
ポキシ当量187)1870部とビスフェノールA91
2部、テトラエチルアンモニウムブロマイド2部、メチ
ルイソブチルケトン300部を四つ口フラスコに仕込
み、140℃まで昇温して4時間反応させ、エポキシ当
量1391、固形分90%のエポキシ樹脂を得た。この
ものに、エチレングリコールモノブチルエーテル150
0部を加えてから100℃に冷却し、3,5−ジメチル
ピラゾール(分子量96)を96部とジブチルアミン
(分子量129)を129部加えて、エポキシ基が消失
するまで6時間反応させた後、冷却しながらメチルイソ
ブチルケトン205部を加えて、固形分60%のピラゾ
ール変性エポキシ樹脂を得た。これを樹脂組成物(1)
とする。この樹脂組成物(1)は、皮膜形成有機樹脂
(A)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)を
50mol%含む活性水素含有化合物との反応生成物で
ある。
【0086】[合成例2]EP1007(油化シェルエ
ポキシ社製,エポキシ当量2000)4000部とエチ
レングリコールモノブチルエーテル2239部を四つ口
フラスコに仕込み、120℃まで昇温して1時間で完全
にエポキシ樹脂を溶解した。このものを100℃に冷却
し、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(分子量8
4)を168部加えて、エポキシ基が消失するまで6時
間反応させた後、冷却しながらメチルイソブチルケトン
540部を加えて、固形分60%のトリアゾール変成エ
ポキシ樹脂を得た。これを樹脂組成物(2)とする。こ
の樹脂組成物(2)は、皮膜形成有機樹脂(A)と、活
性水素を有するヒドラジン誘導体(C)を100mol
%含む活性水素含有化合物との反応生成物である。
【0087】[合成例3]イソホロンジイソシアネート
(イソシアネート当量111)222部とメチルイソブ
チルケトン34部を四つ口フラスコに仕込み、30〜4
0℃に保ってメチルエチルケトキシム(分子量87)8
7部を3時間かけて滴下後、40℃に2時間保ち、イソ
シアネート当量309、固形分90%の部分ブロックイ
ソシアネートを得た。
【0088】次いで、EP828(油化シェルエポキシ
社製、エポキシ当量187)1496部とビスフェノー
ルA684部、テトラエチルアンモニウムブロマイド1
部、メチルイソブチルケトン241部を四つ口フラスコ
に仕込み、140℃まで昇温して4時間反応させ、エポ
キシ当量1090、固形分90%のエポキシ樹脂を得
た。このものに、メチルイソブチルケトン1000部を
加えてから100℃に冷却し、3−メルカプト−1,
2,4−トリアゾール(分子量101)を202部加え
て、エポキシ基が消失するまで6時間反応させた後、上
記固形分90%の部分ブロックイソシアネートを230
部加え100℃で3時間反応させ、イソシアネート基が
消失したことを確認した。さらに、エチレングリコール
モノブチルエーテル461部を加えて、固形分60%の
トリアゾール変成エポキシ樹脂を得た。これを樹脂組成
物(3)とする。この樹脂組成物(3)は、皮膜形成有
機樹脂(A)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体
(C)を100mol%含む活性水素含有化合物との反
応生成物である。
【0089】[合成例4]EP828(油化シェルエポ
キシ社製、エポキシ当量187)1870部とビスフェ
ノールA912部、テトラエチルアンモニウムブロマイ
ド2部、メチルイソブチルケトン300部を四つ口フラ
スコに仕込み、140℃まで昇温して4時間反応させ、
エポキシ当量1391、固形分90%のエポキシ樹脂を
得た。このものに、エチレングリコールモノブチルエー
テル1500部を加えてから100℃に冷却し、ジブチ
ルアミン(分子量129)を258部加えて、エポキシ
基が消失するまで6時間反応させた後、冷却しながらメ
チルイソブチルケトン225部を加えて、固形分60%
のエポキシアミン付加物を得た。これを樹脂組成物
(4)とする。この樹脂組成物(4)は、皮膜形成有機
樹脂(A)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体
(C)を含まない活性水素含有化合物との反応生成物で
ある。
【0090】家電用、建材用、自動車部品用の有機被覆
鋼板として、調質圧延の圧延ロールによって転写された
鋼板表面の粗さの波長100〜150μmの山カウント
数RPVCと平均粗さRaが異なる冷延鋼板に対して表
1に示す各種亜鉛系めっき又はアルミニウム系めっきを
施し、処理原板として用いた。なお、冷延鋼板は評価の
目的に応じて所定の板厚のものを採用した。このめっき
鋼板の表面をアルカリ脱脂処理及び水洗・乾燥した後、
表2及び表3に示す下層皮膜用の組成物(溶液)をロー
ルコーターにより塗布した後、加熱乾燥した。下層皮膜
の付着量は、皮膜組成物の固形分(加熱残分)又は塗布
条件(ロールの圧下力、回転速度等)を変えることによ
り調整した。
【0091】次いで、下層皮膜の上層に有機樹脂皮膜用
の組成物(溶液)をロールコーターにより塗布し、加熱
乾燥した。有機皮膜用の組成物(溶液)としては、表4
及び表5に示す樹脂組成物に必要に応じて表6に示す防
錆添加剤(自己補修発現物質)と表7に示す固形潤滑剤
を配合し、これを塗料用分散機(サンドグラインダー)
を用いて必要時間撹拌、粉砕して得られた表8及び表9
に示す組成物を用いた。有機樹脂皮膜の付着量は、組成
物の固形分(加熱残分)又は塗布条件(ロールの圧下
力、回転速度等)を変えることにより調整した。
【0092】このようにして得られた有機被覆鋼板につ
いて、下記の試験方法により耐食性(黒点錆性)と導電
性を評価した。また、試験に供した有機被覆鋼板の有機
樹脂皮膜、下層皮膜及びめっき皮膜を酸でエッチング除
去し、冷延鋼板表面の粗さの波長を非接触式粗さ計で測
定し、粗さの波長100〜150μmの山カウント数R
PVCと平均粗さRaを測定した。それらの結果を、有
機被覆鋼板の皮膜構成とともに表10〜表16に示す。
【0093】(1) 耐食性(耐黒点錆性) 70mm×150mmサイズの試験片を高温多湿環境促
進試験条件(50℃×98RH%)で所定期間(500
時間及び1000時間)保管し、黒点錆の発生状況を調
査し、下記の基準で評価した。なお、保管環境は屋内で
ある。 ◎ :黒点錆無し ○+:黒点錆1〜2個 ○ :黒点錆3〜5個 ○−:黒点錆6個〜10個 △ :黒点錆11個〜50個 × :黒点錆50個超
【0094】(2) スポット溶接性 板厚1.2mmの試験片を用いて、上電極CR型(元径
16mm、先端径5.4mm)、下電極F型(先端径1
6mm)、加圧力300kg、通電時間13サイクル
(60Hz)の条件下で、スポット溶接性の連続打点試
験を行い、ナゲット径が4.4mmよりも小さくなった
場合を溶接打点の限界とし、下記により評価した。 ◎:連続打点3000点以上 ○:連続打点1000点以上、3000点未満 △:連続打点500点以上、1000点未満 ×:連続打点500点未満
【0095】(3) 導電性(表面抵抗値) 4探針法抵抗率計(三菱化学(株)製「ロレスタA
P」)を用いて、試験片の表面抵抗を測定し、下記によ
り評価した。 ◎:表面抵抗値10−4Ω以下 ○:表面抵抗値10−4Ω超、10−3Ω以下 △:表面抵抗値10−3Ω超、10Ω以下 ×:表面抵抗値10Ω超
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
【表9】
【0105】
【表10】
【0106】
【表11】
【0107】
【表12】
【0108】
【表13】
【0109】
【表14】
【0110】
【表15】
【0111】
【表16】
【0112】
【発明の効果】以上述べたように本発明の有機被覆鋼板
は、皮膜中に6価クロムを全く含まないにも拘らず、高
度の導電性及び溶接性と耐食性とを兼ね備え、また高温
多湿環境下での優れた耐黒点錆性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷延鋼板の表面粗さに起因した局部的な薄膜部
が形成された有機被覆鋼板の断面を模式的に示す説明図
【図2】調質圧延された冷延鋼板に亜鉛めっきを施し、
その上層に下層皮膜と有機樹脂皮膜を順次形成した有機
被覆鋼板であって、高温多湿環境促進試験において黒点
錆が発生した有機被覆鋼板と黒点錆が発生しなかった有
機被覆鋼板について、冷延鋼板表面の粗さの波長と平均
表面粗さとの関係を示すグラフ
【図3】調質圧延をした冷延鋼板を素材鋼板とする有機
被覆鋼板について、冷延鋼板表面の粗さの波長100〜
150μmの山カウント数RPVC及び平均表面粗さR
aと有機被覆鋼板の黒点錆発生との関係を示すグラフ
【図4】調質圧延後の表面粗さが本発明条件を満足する
冷延鋼板を亜鉛めっきし、その上層に無機系の下層皮膜
を形成し、さらにその上層に熱硬化性エポキシ樹脂から
なる有機樹脂皮膜を形成した有機被覆鋼板について、有
機樹脂皮膜の付着量と耐食性(耐黒点錆性)との関係を
示すグラフ
【図5】調質圧延後の表面粗さが本発明条件を満足する
冷延鋼板を亜鉛めっきし、その上層に無機系の下層皮膜
を形成し、さらにその上層に熱硬化性エポキシ樹脂から
なる有機樹脂皮膜を形成した有機被覆鋼板について、有
機樹脂皮膜の付着量と導電性との関係を示すグラフ
【図6】調質圧延後の表面粗さが本発明条件を満足する
冷延鋼板を亜鉛めっきし、その上層に無機系の下層皮膜
を形成し、さらにその上層に熱硬化性エポキシ樹脂から
なる有機樹脂皮膜を形成した有機被覆鋼板について、有
機樹脂皮膜の付着量と溶接性との関係を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 22/78 C23C 22/78 28/00 28/00 A C // B21B 1/22 B21B 1/22 H 27/00 27/00 B (72)発明者 窪田 隆広 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E002 AD06 BB09 4E016 AA02 CA09 DA12 4F100 AA01C AA04C AA17C AA20C AB02A AB10B AB10C AB13C AB14C AB16C AB18B AH03 AH03H AK01C AK51 AK52C BA03 BA07 BA10A BA10C CA14 DD07A DE01C EC04 EC042 EH71B EJ18 EJ182 GB07 GB31 GB41 JB02 JG01 JK14A YY00C 4K026 AA02 AA07 AA09 AA12 AA13 AA22 BA01 BA03 BA11 BA12 BB04 BB08 BB10 CA16 CA18 CA23 CA26 CA29 CA37 CA38 CA39 CA41 DA16 EA02 EB08 4K044 AA02 AB02 BA10 BA17 BA21 BB03 BB04 BB14 BC01 BC02 BC08 BC14 CA07 CA11 CA16 CA18 CA53

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 調質圧延された冷延鋼板の表面に亜鉛系
    めっき皮膜又はアルミニウム系めっき皮膜を有し、該め
    っき皮膜の表面に6価クロムを含まない有機樹脂皮膜が
    0.05g/m以上、0.5g/m未満の付着量で
    形成された有機被覆鋼板であって、 調質圧延の圧延ロールによって転写された冷延鋼板表面
    の粗さの波長100〜150μmの山カウント数RPV
    Cが200peak/inch以下で、且つ平均表面粗
    さRaが1.5μm以下であることを特徴とする、耐食
    性と導電性に優れた有機被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 調質圧延された冷延鋼板の表面に亜鉛系
    めっき皮膜又はアルミニウム系めっき皮膜を有し、該め
    っき皮膜の表面に6価クロムを含まない無機系、有機系
    又は無機−有機系の下層皮膜が0.01〜1000mg
    /mの付着量で形成され、該下層皮膜の上層に6価ク
    ロムを含まない有機樹脂皮膜が0.05g/m以上、
    0.5g/m未満の付着量で形成された有機被覆鋼板
    であって、 調質圧延の圧延ロールによって転写された冷延鋼板表面
    の粗さの波長100〜150μmの山カウント数RPV
    Cが200peak/inch以下で、且つ平均表面粗
    さRaが1.5μm以下であることを特徴とする、耐食
    性と導電性に優れた有機被覆鋼板。
  3. 【請求項3】 下層皮膜がリン酸及び/又はリン酸化合
    物と酸化物微粒子を含有する皮膜であることを特徴とす
    る、請求項2に記載の耐食性と導電性に優れた有機被覆
    鋼板。
  4. 【請求項4】 下層皮膜がリン酸及び/又はリン酸化合
    物と、酸化物微粒子と、Mn、Al、Mg、Niの中か
    ら選ばれる1種以上の金属(但し、化合物及び/又は複
    合化合物として含まれる場合を含む)を含有する皮膜で
    あることを特徴とする、請求項2に記載の耐食性と導電
    性に優れた有機被覆鋼板。
  5. 【請求項5】 調質圧延の圧延ロールによって転写され
    た冷延鋼板表面の粗さの波長100〜150μmの山カ
    ウント数RPVCが100peak/inch以下であ
    ることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の
    耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板。
  6. 【請求項6】 調質圧延の圧延ロールによって転写され
    た冷延鋼板の平均表面粗さRaが1.1μm以下である
    ことを特徴とする、請求項1、2、3、4又は5に記載
    の耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板。
  7. 【請求項7】 有機樹脂皮膜が防錆添加剤を含有するこ
    とを特徴とする、請求項1、2、3、4、5又は6に記
    載の耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板。
  8. 【請求項8】 防錆添加剤が、下記(a1)、(a2)、
    (a3)、(b)、(c)の中から選ばれる1種以上である
    ことを特徴とする、請求項7に記載の耐食性と導電性に
    優れた有機被覆鋼板。 (a1)カルシウム及び/又はカルシウム化合物 (a2)リン酸塩 (a3)酸化ケイ素 (b) モリブデン酸塩 (c) トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、
    チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の
    有機化合物
  9. 【請求項9】 防錆添加剤が下記(a)、(b)、(c)
    の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請
    求項7に記載の耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板。 (a)カルシウム及び/又はカルシウム化合物とリン酸塩
    及び/又は酸化ケイ素 (b)モリブデン酸塩 (c)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、
    チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の
    有機化合物
  10. 【請求項10】 有機樹脂皮膜が固形潤滑剤を含有する
    ことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8又は9に記載の耐食性と導電性に優れた有機被覆
    鋼板。
  11. 【請求項11】 有機樹脂皮膜の皮膜形成樹脂が、エポ
    キシ基含有樹脂と一部又は全部の化合物がヒドラジン誘
    導体からなる活性水素含有化合物との反応生成物である
    ことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8、9又は10に記載の耐食性と導電性に優れた有
    機被覆鋼板。
JP2001171980A 2001-06-07 2001-06-07 耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板 Expired - Lifetime JP4110750B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001171980A JP4110750B2 (ja) 2001-06-07 2001-06-07 耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001171980A JP4110750B2 (ja) 2001-06-07 2001-06-07 耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002363766A true JP2002363766A (ja) 2002-12-18
JP4110750B2 JP4110750B2 (ja) 2008-07-02

Family

ID=19013670

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001171980A Expired - Lifetime JP4110750B2 (ja) 2001-06-07 2001-06-07 耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4110750B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003105554A (ja) * 2001-07-23 2003-04-09 Nkk Corp 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法
JP2005325427A (ja) * 2004-05-17 2005-11-24 Jfe Steel Kk 溶接可能な自動車用高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法
JP2006161152A (ja) * 2004-11-11 2006-06-22 Nippon Steel Corp 金属部材、表面被覆処理剤、及び、表面被覆処理方法
JP2006278653A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Jfe Steel Kk 電磁波シールド部材用鋼板、電磁波シールド部材および電磁波シールド筐体
JP2007138251A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Jfe Steel Kk 高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法
WO2009101707A1 (ja) 2008-02-15 2009-08-20 Nippon Steel Corporation 薄膜一次防錆被覆層を有する表面導電性に優れた亜鉛系めっき鋼板とその製造方法
JP2010100936A (ja) * 2008-09-24 2010-05-06 Jfe Steel Corp 防錆鋼板およびその製造方法
JP2010247399A (ja) * 2009-04-14 2010-11-04 Kobe Steel Ltd スポット溶接性に優れた樹脂塗装亜鉛めっき鋼板
JP4808773B2 (ja) * 2005-06-14 2011-11-02 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 酸性基を有するポリマーとワックスを含む組成物で金属表面を不動態化する方法
CN104294348A (zh) * 2013-07-16 2015-01-21 蒂森克虏拉塞斯坦有限公司 用于钝化带状的黑铁皮的方法
WO2017150067A1 (ja) * 2016-02-29 2017-09-08 株式会社神戸製鋼所 外観に優れた表面処理亜鉛系めっき鋼板
JP2017534758A (ja) * 2014-10-09 2017-11-24 ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アクチェンゲゼルシャフトThyssenKrupp Steel Europe AG 冷間圧延および再結晶焼鈍平鋼製品、ならびにそれを製造するための方法

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003105554A (ja) * 2001-07-23 2003-04-09 Nkk Corp 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法
JP2005325427A (ja) * 2004-05-17 2005-11-24 Jfe Steel Kk 溶接可能な自動車用高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法
JP4534592B2 (ja) * 2004-05-17 2010-09-01 Jfeスチール株式会社 溶接可能な自動車用高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法
JP2006161152A (ja) * 2004-11-11 2006-06-22 Nippon Steel Corp 金属部材、表面被覆処理剤、及び、表面被覆処理方法
JP2006278653A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Jfe Steel Kk 電磁波シールド部材用鋼板、電磁波シールド部材および電磁波シールド筐体
JP4808773B2 (ja) * 2005-06-14 2011-11-02 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 酸性基を有するポリマーとワックスを含む組成物で金属表面を不動態化する方法
JP2007138251A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Jfe Steel Kk 高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法
US8420224B2 (en) 2008-02-15 2013-04-16 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Zinc-based plated steel sheet excellent in surface electrical conductivity having primary rust preventive thin film layer
WO2009101707A1 (ja) 2008-02-15 2009-08-20 Nippon Steel Corporation 薄膜一次防錆被覆層を有する表面導電性に優れた亜鉛系めっき鋼板とその製造方法
JP2010100936A (ja) * 2008-09-24 2010-05-06 Jfe Steel Corp 防錆鋼板およびその製造方法
JP2010247399A (ja) * 2009-04-14 2010-11-04 Kobe Steel Ltd スポット溶接性に優れた樹脂塗装亜鉛めっき鋼板
CN104294348A (zh) * 2013-07-16 2015-01-21 蒂森克虏拉塞斯坦有限公司 用于钝化带状的黑铁皮的方法
JP2015028210A (ja) * 2013-07-16 2015-02-12 ティッセンクルップ ラッセルシュタイン ゲー エム ベー ハー 帯状原板の不動態化方法
JP2017534758A (ja) * 2014-10-09 2017-11-24 ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アクチェンゲゼルシャフトThyssenKrupp Steel Europe AG 冷間圧延および再結晶焼鈍平鋼製品、ならびにそれを製造するための方法
US10683560B2 (en) 2014-10-09 2020-06-16 Thyssenkrupp Steel Europe Ag Cold-rolled and recrystallization annealed flat steel product, and method for the production thereof
WO2017150067A1 (ja) * 2016-02-29 2017-09-08 株式会社神戸製鋼所 外観に優れた表面処理亜鉛系めっき鋼板
CN108699704A (zh) * 2016-02-29 2018-10-23 株式会社神户制钢所 外观优良的表面处理镀锌系钢板
CN108699704B (zh) * 2016-02-29 2021-02-05 株式会社神户制钢所 外观优良的表面处理镀锌系钢板

Also Published As

Publication number Publication date
JP4110750B2 (ja) 2008-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6562474B1 (en) Coated steel sheet having excellent corrosion resistance and method for producing the same
TWI252874B (en) Surface treated steel sheet having excellent corrosion resistance, electroconductivity and appearance
EP2623637B1 (en) Galvanized steel sheet
US20030072962A1 (en) Steel sheet having organic coating and method for manufacturing the same
JP3903739B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3911965B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP4844128B2 (ja) 高耐食性表面処理鋼板およびその製造方法
JP3968955B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3903740B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP4110750B2 (ja) 耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板
JP4879792B2 (ja) 高耐食性表面処理鋼板
JP4096524B2 (ja) 高温多湿環境下での耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP2007009232A (ja) 表面処理鋼板およびその製造方法
JP4419532B2 (ja) 耐食性、導電性および皮膜外観に優れた表面処理鋼板
JP2005288730A (ja) 溶接可能な自動車用有機被覆鋼板
JP4123702B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP2000160353A (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3911966B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP4457820B2 (ja) 高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法
JP2005288732A (ja) 耐食性に優れた自動車用非溶接型有機被覆鋼板
JP2005288783A (ja) 溶接可能な自動車用有機被覆鋼板
JP4923607B2 (ja) 表面処理鋼板
JP2001011656A (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法
JP2000144449A (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP2006176845A (ja) 表面処理鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20031225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050302

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061017

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080318

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080331

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4110750

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110418

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110418

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120418

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130418

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130418

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140418

Year of fee payment: 6