JP2015028210A - 帯状原板の不動態化方法 - Google Patents

Abstract

【解決手段】不活性表面を形成するために原板を電解液に通過させることで原板を電気化学的に処理するステップと、原板を濯ぐステップと、腐食に対する保護を提供する化成層と、塗料及び有機コーティング材料のための接着層とを形成するために原板の少なくとも１面に水性クロム非含有処理溶液を塗布するステップと、を含んでいる帯状原板の不動態化方法。【効果】前記方法に従って処理された原板は、高腐食抵抗性であり、塗料及び有機コーティングのための良好な接着性能を有しており、特に缶である包装体の製造の為のスズ非使用鋼材（ＴＦＳ又はＥＣＣＳ）及びブリキの代用品として非常に適しており、スズ非使用鋼材及びブリキの従来の製法及び不動態化法に比べて、環境に有害であり、健康にも有害であるクロム（ＶＩ）は前記処理プロセスでは使用されていない。【選択図】なし

Description

本発明は、帯状原板の不動態化（パッシベーション）方法に関する。その第１ステップでは、原板の電気化学処理によって不活性層が原板の表面に形成され、続くステップでは、水性のクロム非含有処理溶液が原板の少なくとも１面に塗布（堆積）されて腐食防止化成層が形成され、さらに、塗料と有機被覆材料のための接着層が形成される。ここで不動態化とは、原板の腐食を防止するか、少なくとも大きく遅延させる原板上の保護層（ここでは化成層）の提供を意味する。さらに本発明は、本発明に従って処理された原板の包装用鋼材としての用途にも関する。

金属表面を腐食から保護するためのいくつかの知られた処理プロセスが存在する。そこでは、金属表面には、別な、一般的に非貴金属（亜鉛またはクロム等）のコーティングが提供される。例えば、亜鉛またはクロムあるいはスズ（鋼よりも貴金属寄り）による鋼板のコーティングが知られている。例えば、スズメッキされた超薄型鋼板（ブリキ）は、包装体、特に食品領域での包装体の製造のために非常に幅広く利用されている。ブリキはその非常に良好な耐食性、良好な成型特性及び良好な溶接性を特徴としており、食品缶のような包装体の製造のために非常に適している。

腐食から金属コーティングを保護し、あるいはブリキの場合にはスズコーティングを保護し、塗料とプラスチックコーティングのための良好な接着基部を提供するため、金属コーティングの表面にはしばしば化成層が設けられる。

化成層とは、一般的に、金属基材と水性処理溶液との化学反応で形成される金属表面上の非常に薄い非金属（大抵は無機質）層のことである。化成コーティングは、特に超薄型鋼材の場合に、非常に効果的な耐食性と、塗料およびプラスチックの非常に良好な接着基部とを保証し、表面摩擦と表面磨耗を減少させる。

基材によって、鉄、亜鉛、若しくはマンガンリン酸塩処理、電解リン酸塩処理、またはクロム酸塩、シュウ酸塩および陽極酸化処理プロセスは使い分けられる。クロム含有化成層は非常に優れた耐食性を提供することが証明されている。クロメート処理プロセスでは、金属表面は酸性のクロム（ＶＩ）イオン含有溶液で処理される。ここでは、クロム（ＶＩ）はクロム（ＩＩＩ）に還元される。この処理によって、腐食から保護するクロム含有化成層が金属面上に形成される。

しかし、クロム（ＶＩ）化合物は非常に毒性が高く、発がん性である。自動車製造および家庭用品でのクロム（ＶＩ）含有物質による金属表面の不動態化は欧州では既に禁止されている。この理由によって、クロム非含有化成層が従来技術において開発されてきた。例えば、亜鉛およびアルミ表面上でのクロム非含有化成層の形成のための処理プロセスは、ＷＯ９７／４０２０８ＡおよびＥＰ２５３２７６９Ａ１から知られる。さらに、オキソ陽イオンとハロゲン錯体を含有し、無色および少々真珠光沢性である層を提供するクロム非含有化成層の形成のための処理溶液は、ＷＯ２００８／１１９６７５に記載されている。

ＷＯ９７／４０２０８Ａ ＥＰ２５３２７６９Ａ１ ＷＯ２００８／１１９６７５

ブリキは食品の包装材料として優れた特性を有しており、この目的のために過去何十年もの間、製造および加工されてきた。しかし、ブリキの場合には耐食コーティングであるスズは、世界的な資源不足のために比較的に高価な材料である。ブリキの代用として、特に包装用鋼材としての使用のために、電解的にクロムでコーティングされた鋼材（スズ非使用鋼材（ＴＦＳ）または電解クロム被覆鋼材（ＥＣＣＳ）と呼称）が従来技術で知られている。これらスズ非使用鋼材は、一つには、塗料と有機保護コーティング（例えば、ＰＰまたはＰＥＴ）のための良好な接着性能を特徴とするが、他方、コーティングのために使用されるクロム（ＶＩ）含有材料の毒性および健康に脅威を及ぼす特性のために、コーティングプロセスの工程で大きな弱点を有する。

従って、本発明の目的は、耐食性および塗料または有機コーティングの接着能力の両方で、スズ非使用鋼材（ＴＦＳまたはＥＣＣＳ）の基材として、およびブリキの基材として適しており、特にブリキに匹敵する安定したクロム非使用包装鋼材の製造を可能にすることである。

この問題は、請求項１の特徴を備えた帯状原板の不動態化の処理プロセスによって解決される。この処理プロセスによれば、帯状の非コーティング原板が使用され、その表面は電気化学処理による第１処理プロセスステップによって不動態化され、その後に水または別の濯ぎ液（ｒｉｎｓｅ ｌｉｑｕｉｄ）によって濯がれ（ｒｉｎｓｅｄ）、最後に追加ステップで、クロム非含有処理溶液を原板の少なくとも片面に被覆することによって耐食性化成コーティング剤でコーティングされる。

この処理プロセスの他の特定実施例は従属請求項において定義されている。

炭素含有量が２０から１０００ｐｐｍである非合金鋼材から製造された冷間圧延、焼鈍および再圧延または冷間仕上げされた鋼帯が好適に使用される。鋼帯（原板）は好適には以下の特性を備える。
・強度：３００〜１０００ＭＰａ
・破断点伸び：１〜４０％
・厚み：０．０５〜０．４９ｍｍ
・表面粗さ：０．１〜１μｍ

例えば、鋼材は、フェライト鋼でよく、または複数の構造成分、特にフェライト、マルテンサイト、ベイナイト、及び／又は残留オーステナイトを有した多相鋼材でもよい。そのような多相鋼材は５００ＭＰａ以上の高強度を特徴とし、同時に１０％以上の良好な破断点伸びを備える。包装用鋼材として本発明に従って処理された原板の意図する使用用途に鑑みて、ＤＩＮ（ドイツ工業規格）ＥＮ１０２０２：２００１：“冷間圧延包装用鋼材製品（電解的にスズメッキおよびクロムメッキされたもの）”で定義される鋼材等級が利用される。鋼材の分析および物理的特性はこの基準で定義される。特に品質はＴＳ２３０（ソフトベル炉等級、引張強度２３０ＭＰａ）からＴＨ６２０（ＤＯ、６２０ＭＰａ）の間である。

本発明に従ってこの処理プロセスを実施するには、帯状の原板は、好適には２００ｍ／分以上、７５０ｍ／分までの帯速度で移動される。まず、電気化学処理を通じて不活性層を原板の表面に形成するステップが関与する。電気化学処理のための準備として、移動する原板はまず洗浄され、特にオプションとして必要な予備処理ステップにおいて脱脂処理され、その後に、濯がれおよび酸洗されて、再び濯がれる。これはオプションで必要である。なぜなら、冷間圧延および再結晶焼鈍処理された原板は、一般的に、再結晶焼鈍処理後に圧延され、表面の平滑化処理が施され、そこでは、例えば、水／油懸濁液による湿潤再圧延または乾燥再圧延処理によって、原板表面は油脂、研磨鉄、石鹸、および他の汚染物で汚染されるからである。この汚染は（オプションの）再処理ステップによって対処される。

この目的で、原板は、アルカリ性の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム溶液を入れた洗浄タンク内に導かれる。このアルカリ性脱脂剤の濃度は好適には槽温度２０℃から７０℃において２０から１００ｇ／Ｌである。好適には、原板の脱脂処理は２ステップで実施される。第１ステップでは浸漬プロセスが実施され、第２ステップでは電流密度が２から３０Ａ／ｄｍ^２で電解処理プロセスが実施される。脱脂後に原板の両面が、例えば、各カスケードが１０から３０ｍ^３／ｈのトリプルカスケード濯ぎ装置によって濯がれる。必要であれば、２つの連続浸漬工程で、例えば１０から１２０ｇ／Ｌの濃度を有した塩または硫酸の酸洗溶液を入れた追加の洗浄タンク内に原板帯を導き、続いて浸漬による浸漬濯ぎによって酸化残留物を除去できる。酸洗溶液と濯ぎ水の温度は典型的には２０℃から６０℃である。

予備処理後、均質な固形不活性鋼材表面が、原板帯を電解液内に通すことによる電気化学処理によって提供される。この電解液は好適にはアルカリ性である。原板の電気化学的、好適にはアルカリによる処理は、化成コーティングの適用に先立って鋼帯の表面の不活性化および表面特性の均質化を提供する。

電気化学処理プロセスステップにおいて、原板帯は、好適な電流密度である２から３０Ａ／ｄｍ^２に陽極（アノード）として接続された状態で電解液槽内を帯速度で導かれる。例えば、電解液は水酸化ナトリウム溶液であり、好適にはＮａＯＨ濃度が２０から１００ｇ／Ｌであり、特に３％のＮａＯＨ溶液を含む水酸化ナトリウム溶液の槽が使用される。例えば、ソーダ溶液、特に５％の炭酸ナトリウム溶液（Ｎａ_２ＣＯ_３）も電解液として使用できる。電解液槽の槽温度は好適には２０℃から８０℃に維持される。

電気化学処理後に原板は水で濯がれる。この濯ぎは鋼帯を水タンク内に浸漬させるか、あるいは水を噴霧することで実施できる。このために、温度が２０℃から６０℃の脱塩水（ＶＥ）、脱イオン水、浸透水または蒸留水が好適に使用される。しかし、未処理の飲料水または他の濯ぎ液も使用が可能である。原板は濯ぎ後に乾燥される。

最後に最終ステップにおいて、前もって電気化学処理により不活性化されている原板の表面に水性クロム非含有処理溶液を塗布することで、化成層が原板の少なくとも片面に設けられる。

この化成層は好適には非濯ぎ処理プロセスによって設けられる。すなわち、化成層の形成後の濯ぎ処理は省略される。化成コーティングを形成する水性クロム非含有処理溶液は、例えばローラコーティング装置、ロータリスプレー装置、またはスプレーノズルを備えた塗布装置で、例えば原板の表面に塗布される。

ロータリスプレー装置を備えた塗布装置が、好適には水性処理溶液の塗布に使用される。処理溶液の塗布前に、化成層が設けられる原板の表面は可能な限り清浄で乾燥していなければならない。この理由で、少なくとも化成層がコーティングされている原板の表面が乾燥装置、例えばエアナイフで乾燥される。このエアナイフによって、層状の熱風流が移動鋼帯の表面に吹き付けられ、問題となる異物粒子が鋼帯表面から吹き飛ばされ、鋼帯表面は乾燥される。

ロータリスプレー装置は、微霧状スプレージェットの形態で鋼帯の片面または両面に遠心力の作用によって水性処理溶液を噴霧し、そこで水性溶液の湿潤膜を形成するため、鋼帯方向を横断する方向に配置された複数のスプレーロータであって、水性処理溶液が供給され、駆動装置によって回転される複数のスプレーロータを有している。

水性処理溶液の湿潤膜の塗布後、膜は駆動された平滑化ローラによって原板の表面上で平滑化処理される。好適には、水性処理溶液の湿潤膜上に少々の圧力のみを発生させ、塗布された処理溶液を表面から一切絞り取ることがないように、あるいはせいぜい最小限度だけ絞り取ることができるよう、平滑化ローラは原板表面に対して設置される。ロータリスプレー装置で噴霧される処理溶液量は、余剰分が原板表面に残らないように適切に調節される。このようにして、処理溶液の余剰量の廃棄または処理は不要になる。平滑化後、噴霧された湿潤膜は処理物質の乾燥質量が処理済み表面に残るように乾燥される。好適には、乾燥後の処理溶液の乾燥質量は１から５０ｍｇ／ｍ^２であり、好適には１０から３０ｍｇ／ｍ^２である。単位時間あたりにロータリスプレー装置のスプレーロータに送られる水性処理溶液量は、好適には帯速度に適合したものである。これによって、適切な濃度で正確に必要な量の新鮮な処理溶液のみが原板に湿潤膜としてロータリスプレー装置によって提供されることが保証される。このようにして、例えば、鋼帯面あたりに２ｍＬ／ｍ^２から８ｍＬ／ｍ^２、好適には約５ｍＬ／ｍ^２の範囲の一定の塗布質量の湿潤膜が帯速度とは関係なく提供される。

処理溶液の湿潤膜の塗布後、鋼帯は湿潤膜を乾燥するために鋼帯ドライヤに通される。乾燥後、原板の表面には、片面あたり、２ｍｇ／ｍ^２から３０ｍｇ／ｍ^２の化成層の乾燥塗布質量が残る。所望の乾燥質量の化成層は、単位時間あたりにロータリスプレー装置に送られる処理溶液量の調節を通して得ることが可能である。

この種の塗布の利点は、新鮮な処理溶液のみが常に使用され、鋼帯との接触やリサイクルを通じて剥がれた鉄屑で汚染されないことである。さらに、この処理プロセスは非常に経済的である。なぜなら、正確に必要とされる量のみが適用され、余剰分が不要だからである。よって余剰分の処理溶液を回収する必要がない。これで、後処理を必要とする廃水の形成が防止される。

あるいは、処理溶液の塗布は、前もって乾燥された原板上にローラを利用するロールコータによっても同様に可能である。ロールコータは好適には低速帯速度範囲で使用され、特に２００ｍ／分以下の帯速度で使用される。あるいは、溶液の塗布は処理溶液を噴霧することでも、または、処理溶液を入れた液槽内に鋼帯を浸漬することでも実行できる。この場合には、所定の望む塗布質量の化成層を達成するために処理溶液は余分に原板に塗布されるため、余分な量の湿潤膜を、例えば、絞りローラにより絞り取ることが必要であり、これは“湿潤中湿潤”形態で実行できる。しかし、この処理プロセスでは、溶液は帯速度とは無関係に均質に適用されず、処理溶液は鉄によってさらに汚染される可能性があり、よって処理溶液のリフレッシュが必要となり、汚染閾値を超えると処理液は廃棄されなければならない。

最後に、上述した塗布プロセスで使用された処理溶液の湿潤膜は乾燥されて乾燥化成層を形成する。これは、例えば原板を、その湿潤膜を熱風またはＩＲ放射線で乾燥させる乾燥オーブンに通すことで実行される。好適には乾燥は５０℃から２５０℃の温度で行われる。その後、乾燥した化成層の表面は潤滑処理される。すなわちセバシン酸ジオクチル（ＤＯＳ）、クエン酸アセチルトリブチル（ＡＴＢＣ）、ステアリン酸ブチル（ＢＳＯ）、またはポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール（ＰＥＧ、好適には６０００ｇ／モルの分子量）あるいはそれらの組み合わせで後処理される。ＤＯＳ、ＡＴＢＣ、ＢＳＯ、またはＰＥＧでの潤滑による後処理は、好適には、ＥＣＣＳまたはブリキの場合と同様に市販潤滑剤で静電気的に実施され、あるいはロータリスプレー装置で実行される。

化成コーティングに使用される処理溶液は、好適には以下の物質を少なくとも一種含んでいる：
−金属成分：Ｔｉ、Ｚｒ、Ｍｎ、Ｚｎ、Ｐ、およびそれらの組み合わせから選択；
−有機成分：ポリアクリレート、ポリカルボキシレート、およびそれらの組み合わせから選択。
金属および有機成分も組み合わせが可能である。

処理溶液はさらに、塗料または有機コーティング材料のための少なくとも１種の接着剤を含む。特に接着剤は、マレイン酸、イソフタル酸、およびシクロヘキサンジメタノール（ＣＨＤＭ）、またはそれらの組み合わせの成分を含む。ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）またはポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート（ＰＣＴ）、例えば、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ−Ｇ、約３０％以下のＣＨＤＭ含有）またはＰＣＴＧ（約３０％以上のＣＨＤＭ含有）を含む組成物が特に接着剤に適していることが証明されている。

当該物質の使用量は１から５０ｍｇ／ｍ^２である。

本発明の処理プロセスを利用して化成コーティングを形成するのに適したくつかの選択された商業的に入手できる化学剤は以下に掲載されている。

化成層を形成するための好適な処理溶液は、例えば、以下のように調製できる：

ａ）モル比Ａｌ：Ｚｒ：Ｆ＝（０．１５〜０．６７）：１：（５〜７）を有するアルミニウムフルオロジルコネートを含んだ水溶液であり、Ａｌ＋Ｚｒ＋Ｆの総濃度が０．１から２．０ｇ／Ｌであり、ｐＨは５未満、好適には３から５に調節される。

ｂ）本質的に以下を含有する水溶液：
０．２〜１０ｇ／Ｌ未満の亜鉛イオン；
０．５〜２５ｇ／Ｌのマンガンイオン；
２〜３００ｇ／Ｌのリン酸塩イオン（Ｐ_２Ｏ_５として計算）、
リン酸化溶液内の亜鉛：マンガンの質量比は０．０５：１から１：１の範囲に維持される。

ｃ）亜鉛とマンガンを含んだ水溶液であって、亜鉛は０．０５から５ｇ／Ｌ、マンガンは０．０７５から５．２ｇ／Ｌ、銅は０．００８から０．０５ｇ／Ｌ，及び／又は全部で０．００２から０．５ｇ／Ｌのホウ素、アルミ、チタン、及び／又はジルコニウムのヘキサフルオリド錯体（Ｆ_６として計算）を含む水溶液。

ｄ）少なくとも１種の膜形成剤を含んだ水溶液であって、５から２００の範囲の酸価を有した少なくとも１種の水溶性または水中分散性ポリマと、少なくとも１種の粒子状無機化合物（走査型電子顕微鏡で測定して平均粒子径が０．００５から０．３μｍ）のものであり、このポリマは、アクリル酸塩、エチレン、ポリエステル、ポリウレタン、シリコンポリエステル、エポキシド、フェノール、スチレン、尿素、ホルムアルデヒド、並びにそれらの誘導体、共重合体、重合体、混合物及び／又は混合重合体をベースとする少なくとも１種のプラスチック樹脂から選択され、粒子状の無機化合物は、アルミ、ケイ素、チタン、亜鉛、及び／又はジルコニウムの少なくとも１種の化合物から選択される。

または、
ｅ）以下を含んだ水溶液：
ｉ）少なくとも１種の有機膜形成剤であって、少なくとも１種の水溶性または水中分散性ポリマを含んでおり、そのポリマは、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、及び／若しくはポリエチレンアクリル酸をベースとするプラスチック樹脂であるか、プラスシック樹脂混合物であるか、並びに／又はアクリル酸塩若しくはポリアクリルを基礎とするプラスチック樹脂を含んだ混合重合体；および
ｉｉ）チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミ、およびホウ素で成る群から選択された陽イオン及び／又は陽イオンのヘキサフルオロ−若しくはテトラフルオロ錯体の内容物であり、元素金属の内容物に対して０．２から３０ｇ／Ｌの範囲の濃度のもの。

本発明による処理プロセスは、現存するコーティング工場に採用できる。例えば、ＥＣＣＳ（またはＴＦＳ）の製造のための鋼帯コーティング工場に、巨額の設置費用を発生させずに採用できる。このようなコーティング鋼帯コーティング工場の帯速度は典型的には８０から６００ｍ／分である。

本発明の処理プロセスは、従来の原板に対して、特に薄型および超薄型鋼板厚の範囲で、クロム非含有であって、環境的に優しく、健康に害を及ぼさず、廉価であるコーティングの利点を有する。さらに、最終濯ぎ工程の省略によって、化成層の形成のための選択された塗布プロセス（濯ぎ処理プロセス不要）によって効果的な費用の節約とエネルギーの節約が達成される。さらなる利点は、無機不動態化とポリマ含有薄膜コーティングの組み合わせによって達成される。本発明の処理プロセスによって処理された原板は、包装体の製造、特に缶の製造に非常に適しており、よって、包装用鋼材として伝統的に使用されてきたブリキおよびスズ非使用鋼材（ＴＦＳまたはＥＣＣＳ）に取って代わることができる。それらの耐食性に関しては、これら原板はブリキに匹敵し、塗料およびプラスチックコーティング、例えばＰＰまたはＰＥＴに対して、スズ非使用鋼材（ＴＦＳまたはＥＣＣＳ）に匹敵する良好な接着特性を有する。

Claims (16)

1. 帯状原板の不動態化方法であって、
   不活性表面を形成するために原板を電解液に通過させることで前記原板を電気化学的に処理する電気化学処理ステップと、
   前記原板を濯ぐステップと、
   腐食に対する保護を提供する化成層と、塗料および有機コーティング材料のための接着層と、を形成するために前記原板の少なくとも１面に水性クロム非含有処理溶液を塗布する塗布ステップと、
   を含んでいることを特徴とする方法。
2. 前記電気化学処理ステップに先立って、前記原板を脱脂処理し、続いて濯ぎ処理し、酸洗処理し、再び濯ぎ処理する、
   ことを特徴とする請求項１記載の方法。
3. 前記原板の表面に乾燥塗布質量の前記処理溶液を堆積するため、前記処理溶液の塗布後に前記原板には乾燥処理が施される、
   ことを特徴とする請求項１または２記載の方法。
4. 前記電気化学処理ステップは、前記原板を陽極として接続した状態で、前記原板をアルカリ性の電解液に通過させることで実施される、
   ことを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の方法。
5. 前記化成層は、前記水性処理溶液を濯ぎ不要プロセスにて塗布することで設けられる、
   ことを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載の方法。
6. 前記水性処理溶液は、ロータリスプレーにより余剰なく前記原板に塗布されるか、または、ロールコータ若しくはスプレーノズルによって余分に塗布され、続いてその余剰分は絞りロールによって絞り取られる、
   ことを特徴とする請求項５記載の方法。
7. 前記乾燥処理は５０℃から２５０℃で実施される、
   ことを特徴とする請求項３記載の方法。
8. 前記乾燥塗布質量の処理溶液は、後でＤＯＳ，ＡＴＢＣ、ＢＳＯ、またはポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール（ＰＥＧ）により処理される、
   ことを特徴とする請求項３から７のいずれか１項に記載の方法。
9. 前記処理溶液の乾燥塗布質量は、１ｍｇ／ｍ^２から５０ｍｇ／ｍ^２である、
   ことを特徴とする請求項３から８のいずれか１項に記載の方法。
10. 前記原板は少なくとも２００ｍ／分の帯速度で移動する、
    ことを特徴とする請求項１から９のいずれか１項に記載の方法。
11. 前記原板は冷間圧延、焼鈍、および再圧延された、特にフェライトまたは多相鋼材であり、炭素が２０から１０００ｐｐｍ含有されている、
    ことを特徴とする請求項１から１０のいずれか１項に記載の方法。
12. 前記原板の前記電気化学処理ステップで使用する電解液の温度は２０℃から５０℃である、
    ことを特徴とする請求項１から１１のいずれか１項に記載の方法。
13. 前記原板の前記電気化学処理ステップで使用する電気の密度は２から１０Ａ／ｄｍ^２である、
    ことを特徴とする請求項１から１２のいずれか１項に記載の方法。
14. 前記水性処理溶液はクロムを含有せず、以下の成分を少なくとも１種含有することを特徴とする請求項１から１３のいずれか１項に記載の方法：
    金属成分：Ｔｉ、Ｚｒ、Ｍｎ、Ｚｎ、Ｐ、およびそれらの組み合わせから選択されたもの；
    有機成分：ポリアクリレート、ポリカルボキシレート、およびそれらの組み合わせから選択されたもの。
15. 前記処理溶液は、塗料または有機コーティング材料のための少なくとも１種の接着剤を含んでおり、特に前記接着剤は、マレイン酸、イソフタル酸、およびシクロヘキサンジメタノール（ＣＨＤＭ）、またはそれらの組み合わせの成分を含んでいる、
    ことを特徴とする請求項１記載の方法。
16. 特に缶である包装体の製造のための包装用鋼材としての請求項１から１５のいずれか１項に記載の方法に従って処理された原板の利用であって、
    前記原板の少なくとも１面上にクロム非含有化成層が設けられている、
    ことを特徴とする原板の利用。