JP3106498B2 - 耐傷付き性および耐食性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

耐傷付き性および耐食性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法

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JP3106498B2 JP02338979A JP33897990A JP3106498B2 JP 3106498 B2 JP3106498 B2 JP 3106498B2 JP 02338979 A JP02338979 A JP 02338979A JP 33897990 A JP33897990 A JP 33897990A JP 3106498 B2 JP3106498 B2 JP 3106498B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、自動車車体や家電製品等に使用される耐
傷付き性および耐食性に優れたアルミニウム合金板およ
びその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、自動車車体には鋼板が広く使用されてきたが、
近年、自動車の燃費向上を目的として、自動車車体の大
幅な軽量化が強く求められるようになってきた。このよ
うな背景に基づき、鋼板に代わる自動車車体用素材とし
てアルミニウム合金板の開発が活発に行われており、既
に一部の自動車に採用されつつある。
一方、自動車車体にアルミニウム合金板を適用した場
合でも、鋼板と同様に塗装後の品質特性(例えば、耐外
面錆性、塗装仕上外観性、塗料密着性)が必要となる
が、アルミニウム合金板をそのままの状態で使用した場
合、十分な塗装後の品質特性(例えば耐外面錆性、塗料
密着性)が得られない。
また、アルミニウム合金板は鋼板と比較して硬度が低
く、このためハンドリング時に傷が付いて塗装後の仕上
外観が劣化するという大きな問題がある。
従来、アルミニウム合金板の耐外面錆性の特性向上を
目的として、(1)自動車の製造工程でアルミニウム合
金板をリン酸塩処理する方法(米国特許第3619300
号)、(2)自動車の製造工程でアルミニウム合金板に
クロメート処理する方法(英国特許第1409413号)等が
提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、現状では自動車車体に鋼板とアルミニ
ウム合金板が併用される場合が多く、鋼板とアルミニウ
ム合金板を同時にリン酸塩処理すると、アルミニウム合
金板から溶出したAl3+イオンが、リン酸塩皮膜の形成を
阻害するという問題がある。上記米国特許第3619300号
に示されている方法によれば、鋼板とアルミニウム合金
板の使用比率に応じてリン酸塩処理液を選択すれば、い
ずれの材料にも均一なリン酸塩皮膜を形成させることが
可能ではあるが、処理液の管理が非常に煩雑であるとい
う問題がある。
また、上記英国特許第1409413号に示されている方法
は、自動車の製造工程での処理が前提となっており、一
般に、鋼板素材を前提とした既存の自動車用製造工程に
はクロメート処理工程がないため、上記方法を実施する
ためには、既存のリン酸塩処理工程の他に、新たにアル
ミニウム合金板用のクロメート処理工程を設置しなけれ
ばならない。
また、アルミニウム合金板に予めクロメート処理を行
い、これを自動車組立工程で組立てる場合には、プレス
成形やハンドリング時にクロメート皮膜が剥離しやす
く、性能が劣化するという問題もある。
さらに、上述したようにアルミニウム合金板は硬度が
低く、ハンドリング時に傷が付いて塗装後の仕上外観が
劣化するという大きな問題があるが、クロメート処理単
独では耐傷付性を改善することはできなかった。
この発明は、上記のような問題点に鑑み、自動車車体
用等の素材として、優れた耐傷付き性を有し、同時に耐
食性、塗料密着性および塗装仕上外観性等にも優れた表
面処理アルミニウム合金板を提供しようとするものであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
このような目的を達成するため、本発明は以下のよう
な特徴を有する。
(1)アルミニウム合金板表面に、第1層としてクロメ
ート付着量が金属クロム換算で10〜200mg/m2のクロメー
ト層を有し、その上層に第2層として膜厚が0.3〜5μ
mの有機樹脂皮膜を有し、 前記有機樹脂皮膜を構成する有機樹脂組成物が、樹脂
の末端に少なくとも1個以上の塩基性窒素原子と少なく
とも2個以上の1級水酸基とを付加させたエポキシ樹脂
と、ポリイソシアネート化合物およびブロックイソシア
ネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の
硬化剤とを、下記割合(重量比)で含有し、 エポキシ樹脂/硬化剤=95/5〜60/40 且つ、前記有機樹脂皮膜が、有機樹脂に対して下記割合
(重量比)のシリカを含むことを特徴とする耐傷付き性
および耐食性に優れたアルミニウム合金板。
有機樹脂/シリカ=90/10〜40/60 (2)アルミニウム合金板表面に、第1層としてクロメ
ート付着量が金属クロム換算で10〜200mg/m2のクロメー
ト層を有し、その上層に第2層として膜厚が0.3〜5μ
mの有機樹脂皮膜を有し、 前記有機樹脂皮膜を構成する有機樹脂組成物が、樹脂
の末端に少なくとも1個以上の塩基性窒素原子と少なく
とも2個以上の1級水酸基とを付加させたエポキシ樹脂
と、ポリイソシアネート化合物およびブロックイソシア
ネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の
硬化剤とを、下記割合(重量比)で含有し、 エポキシ樹脂/硬化剤=95/5〜60/40 且つ、前記有機樹脂皮膜が、有機樹脂に対して下記割合
(重量比)の難溶性クロム酸塩を含むことを特徴とする
耐傷付き性および耐食性に優れたアルミニウム合金板。
有機樹脂/難溶性クロム酸塩=90/10〜40/60 (3)アルミニウム合金板表面に、第1層としてクロメ
ート付着量が金属クロム換算で10〜200mg/m2のクロメー
ト層を有し、その上層に第2層として膜厚が0.3〜5μ
mの有機樹脂皮膜を有し、 前記有機樹脂皮膜を構成する有機樹脂組成物が、樹脂
の末端に少なくとも1個以上の塩基性窒素原子と少なく
とも2個以上の1級水酸基とを付加させたエポキシ樹脂
と、ポリイソシアネート化合物およびブロックイソシア
ネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の
硬化剤とを、下記割合(重量比)で含有し、 エポキシ樹脂/硬化剤=95/5〜60/40 且つ、前記有機樹脂皮膜が、有機樹脂に対して下記割合
(重量比)のシリカと難溶性クロム酸塩とを含むことを
特徴とする耐傷付き性および耐食性に優れたアルミニウ
ム合金板。
有機樹脂/(シリカ+難溶性クロム酸塩)=90/10〜4
0/60 シリカ/難溶性クロム酸塩=90/10〜10/90 (4)アルミニウム合金板表面に、液組成が下記のよう
に調整されたクロメート液を塗布して水洗することなく
乾燥させるクロメート処理を施し、次いで有機樹脂組成
物を塗布し、焼付処理することを特徴とする耐傷付き性
および耐食性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
無水クロム酸:5〜100g/ リン酸イオン:0.5〜20g/ ジルコニウムフッ化物イオン:0.2〜4g/ 亜鉛イオン:0.2〜7g/ Cr6+/Cr3+:3/4〜3/2(重量比) クロム酸/ジルコニウムフッ化物イオン:10/1〜100/1
(重量比) (5)上記(4)の製造方法において、有機樹脂に対し
て下記割合(不揮発分の重量比)のシリカが配合された
有機樹脂組成物を塗布することを特徴とする耐傷付き性
および耐食性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
有機樹脂/シリカ=90/10〜40/60 (6)上記(4)の製造方法において、有機樹脂に対し
て下記割合(不揮発分の重量比)の難溶性クロム酸塩が
配合された有機樹脂組成物を塗布することを特徴とする
耐傷付き性および耐食性に優れたアルミニウム合金板の
製造方法。
有機樹脂/難溶性クロム酸塩=90/10〜40/60 (7)上記(4)の製造方法において、有機樹脂に対し
て下記割合(不揮発分の重量比)のシリカと難溶性クロ
ム酸塩とが配合された有機樹脂組成物を塗布することを
特徴とする耐傷付き性および耐食性に優れたアルミニウ
ム合金板の製造方法。
有機樹脂/(シリカ+難溶性クロム酸塩)=90/10〜4
0/60 シリカ/難溶性クロム酸塩=90/10〜10/90 (8)上記(4)〜(7)のいずれかの製造方法におい
て、有機樹脂組成物を構成する有機樹脂がエポキシ樹脂
であることを特徴とする耐傷付き性および耐食性に優れ
たアルミニウム合金板の製造方法。
(9)上記(8)の製造方法において、エポキシ樹脂
が、樹脂の末端に少なくとも1個以上の塩基性窒素原子
と少なくとも2個以上の1級水酸基とを付加させたエポ
キシ樹脂であることを特徴とする耐傷付き性および耐食
性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
(10)上記(4)〜(7)のいずれかの製造方法におい
て、有機樹脂組成物が、樹脂の末端に少なくとも1個以
上の塩基性窒素原子と少なくとも2個以上の1級水酸基
とを付加させたエポキシ樹脂と、ポリイソシアネート化
合物およびブロックイソシアネート化合物からなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の硬化剤とを、下記割合(不
揮発分の重量比)で含有することを特徴とする耐傷付き
性および耐食性に優れたアルミニウム合金板の製造方
法。
エポキシ樹脂/硬化剤=95/5〜60/40 〔作用〕 ベースとなるアルミニウム合金板は、銅、マンガン、
珪素、マグネシウム、亜鉛、クロム、ニッケル等の合金
元素を1種以上含有するアルミニウム合金板であり、こ
れには例えば、2002、2117、2036、2037、2038、3004、
5052、5182、6009、6010、6015、6016、6111材等のアル
ミニウム合金板がある。
上記のアルミニウム合金板の表面に形成されるクロメ
ート層は、クロメート層中に含まれるCr6+のクロム酸イ
オンによる不動態化効果と、クロム酸イオンの還元生成
物であるCr3+のクロム水和酸化物皮膜が表面を被覆する
ことにより、アノード面積が減少する効果、およびCr3+
のクロム水和酸化物皮膜が水や酸素の拡散障壁となる効
果、等によりアルミニウム合金板の腐食を抑制する。
このクロメート皮膜の付着量が、金属クロム換算で10
mg/m2未満では十分な耐食性を期待することができず、
一方、付着量が200mg/m2を超えると溶接性が劣化する。
このクロメート皮膜を形成するためのクロメート処理
法としては、反応型、電解型、塗布型等のいずれの方法
も適用可能である。
電解クロメート処理では、無水クロム酸に硫酸、リン
酸、ハロゲンイオン等を添加した処理液、或いはこれに
さらにシリカ、アルミナ等の粉末またはコロイド類を添
加した処理液や、コバルト、マグネシウム等のカチオン
を添加した処理液を用い、この処理液でアルミニウム合
金板に陰極電解処理を施し、水洗・乾燥して皮膜を形成
させる。通常、陰極電解処理を施すが、陽極電解、交流
電解を付加することも可能である。
塗布型クロメート処理は、部分的に還元されたクロム
酸水溶液を主成分とし、通常これに、 水溶性または水分散性のアクリル樹脂、ポリエステ
ル樹脂等の有機樹脂 シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の酸化
物コロイド類および/または粉末 モリブデン酸、タングステン酸、バナジン酸等の酸
素酸および/またはその塩類 リン酸、ポリリン酸等のリン酸類 ジルコニウムフッ化物、ケイフッ化物、チタンフッ
化物等のフッ化物 亜鉛イオン等の金属イオン の中から、必要に応じて1種以上を添加した処理液を被
処理物に塗布し、水洗することなく乾燥させ、皮膜を得
る。
本発明における塗布型クロメート処理は、通常、ロー
ルコーター法により処理液を塗布するが、浸漬法やスプ
レー法により塗布した後に、エアナイフ法やロール絞り
法により塗布量を調整することも可能である。
なお、耐食性がより良好なクロメート皮膜を得るため
に、塗布型のクロメート液は下記のような組成に調整す
ることが好ましい。
無水クロム酸:5〜100g/ リン酸イオン:0.5〜20g/ ジルコニウムフッ化物イオン :0.2〜4g/ 亜鉛イオン :0.2〜7g/ Cr6+/Cr3+ :3/4〜3/2(重量比) クロム酸/ジルコニウムフッ化物イオン :10/1〜100/1(重量比) ここで、無水クロム酸の濃度は、5g/未満ではクロ
メート皮膜を被処理物の表面に十分に形成させることが
できず、耐食性が劣る。一方、無水クロム酸の濃度が10
0g/を超えると、クロメート皮膜の付着量が多くなり
過ぎ、溶接性が劣化する。
リン酸イオンは、Cr3+のゲル化を防止する作用および
亜鉛イオンと反応して難溶性塩を形成し耐食性を向上さ
せる作用を有するが、0.5g/未満では、本発明が規定
する塗布型クロメート処理液中のCr6+/Cr3+比において
ゲル化を防止する効果が不十分となり、処理液に沈殿を
生じる傾向がある。一方、20g/を超えると、処理液の
pHを過剰に低下させ、被処理物であるアルミニウム合金
板の溶解を促進し、耐食性を劣化させる。
フッ化物の中で、特にジルコニウムフッ化物イオン
は、Cr6+のクロム酸イオンと錯体を形成し、耐食性に最
も寄与するCr6+イオンのクロメート皮膜中からの過剰な
溶出を抑制する効果があるが、その濃度が0.2g/未満
ではCr6+イオンの溶出を抑制する効果が不十分であり、
Cr6+イオンの消耗が早く耐食性がやや劣化する。一方、
濃度が4g/を超えると、被処理物であるアルミニウム
合金板の表面を過剰にエッチングすることにより、耐食
性が劣化する。
金属イオンの中で、特に亜鉛イオンは、クロメート皮
膜中のCr6+のクロム酸イオンをクロム酸亜鉛とすること
により、自動車の塗装の前処理工程である脱脂工程等で
Cr6+イオンの溶出を抑制する効果があるが、その濃度が
0.2g/未満では、Cr6+イオンの溶出を抑制する効果が
不十分であり、脱脂液の廃液を環境中に放出する際に、
クロムイオンを取り除く廃液処理が必要となる。一方、
濃度が7g/を超えると、クロメート処理液がゲル化す
る傾向があり、問題がある。
処理液中のCr6+/Cr3+の重量比が3/4未満であると、ク
ロメート処理液がゲル化する傾向があり、またクロメー
ト皮膜中のCr6+のクロム酸が不足し、耐食性が劣化す
る。一方、Cr6+/Cr3+の重量比が3/2を超えると、クロメ
ート皮膜の耐水性が劣化し、塗料密着性が劣化する。
処理液中のクロム酸/ジルコニウムフッ化物イオンの
重量比が10/1未満であると、ジルコニウムフッ化物イオ
ンによるCr6+のクロム酸イオンとの錯体形成反応が過剰
に進行し、Cr6+のクロム酸イオンによる自己修復効果を
阻害し、耐食性を劣化させる。一方、100/1を超えると
錯体の形成反応が不十分となり、やはり耐食性が劣化す
る。
塗布型クロメート処理と電解型クロメート処理によっ
て得られるクロメート皮膜を比較すると、塗布型は皮膜
中にCr6+のクロム酸イオンをより多く含有するため、耐
食性が優れている。一方、電解型は、自動車の脱脂工程
等の塗装前処理工程おけるクロムの溶出量が少なく、ま
た皮膜の付着量の調整が容易であるという利点がある。
耐食性を考慮した場合には、塗布型クロメート処理が最
も好ましい。
アルミニウム合金板の表面に形成されたクロメート皮
膜の上層に、第2層として形成された有機樹脂皮膜は、
クロメート層中のCr6+のクロム酸イオンの腐食環境中へ
の過剰な溶出を抑制し、防食効果を持続させるととも
に、有機樹脂皮膜中に添加されたシリカやクロム酸塩に
よりさらに耐食性を向上させる。
本発明における有機樹脂被覆処理は、通常ロールコー
ター法により樹脂組成物を塗布した後、加熱処理を行う
が、浸漬法やスプレー法により塗布し、エアナイフ法や
ロール絞り法により塗布量を調整した後、加熱処理を行
うことも可能である。
有機樹脂皮膜の付着量は、0.3μm未満では十分な耐
傷付き性および耐食性を期待することができず、一方、
5μmを超えると溶接性や電着塗装性が劣化する。ま
た、さらに高度な耐傷付き性、耐食性、溶接性、電解塗
装性を満足させるためには、0.4〜2μmの範囲が好ま
しい。
加熱処理は、到達板温で50〜300℃、好ましくは60〜2
50℃の範囲で行われる。また、加熱方法としては、熱風
炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉等を用いることができ
る。
有機樹脂皮膜は、溶剤型樹脂、水溶性樹脂、水分散型
樹脂のいずれの樹脂を用いてもよく、例えば、エポキシ
系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ
系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン
系樹脂、フェノール系樹脂や、それらの共重合体を使用
することができる。耐食性の観点からは、腐食環境で水
を皮膜中に呼び込みにくい溶剤型の樹脂が好ましく、特
に溶剤型のエポキシ樹脂が耐食性、塗料密着性に優れて
いる。
上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピ
クロルヒドリンとを縮合反応させた縮合体であるエポキ
シ樹脂が耐食性、塗料密着性等の点で優れている。この
エポキシ樹脂としては、例えば、油化シェルエポキシ
(株)製のエピコート828、1001、1004、1007、1009、1
010等を単独または混合して用いることができる。
また、末端に少なくとも1個以上の塩基性窒素原子を
付加した塩基性エポキシ樹脂は、特に自動車用に適用さ
れているカオチン電着塗装寺に界面に発生するアルカル
に対して、その樹脂構造が劣化せず、良好な密着性が得
られる。さらに、エポキシ樹脂1分子中に2モル以上の
一級水酸基を導入することにより、樹脂構造をより緻密
なものとすることができる。
エポキシ樹脂に塩基性窒素原子と一級水酸基を導入す
るには、例えばアルカノールアミンおよび/またはアル
キルアルカノールアミンをエポキシ樹脂のエポキシ基に
付加させる方法がある。これらのアミンとしては、例え
ばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチ
ルアミノエタノール、モノプロパノールアミン、ジプロ
パノールアミン、ジブタノールアミン等があり、これら
のアミンを単独または混合して使用することができる。
また、エポキシ樹脂1分子中に平均2モル以上の一級
水酸基を導入することができれば、エポキシ樹脂を部分
的に他の化合物で変性することができる。部分的変性の
方法としては、 (1)モノカルボン酸によるエステル化 (2)脂肪族または芳香族アミンによる変性 (3)オキシ酸類による変性 等がある。その他、ジカルボン酸による変性方法もある
が、分子量の制御が困難となるため、本発明の樹脂組成
物には適さない。
上記のエポキシ樹脂は、その塩基の部分を低分子酸で
中和し、水分散または水溶性の樹脂として使用すること
も可能である。しかし、このようにして使用すると、低
温で加熱処理した場合などに強固な皮膜を得ることがで
きず、水溶化のために用いた酸性化合物が皮膜中で塩を
形成し、湿潤環境下で水分を皮膜中に呼び込み易いた
め、耐食性、塗料密着性を劣化させてしまう。さらに、
水分散または水溶性の樹脂として使用した場合には、下
層のクロメート皮膜中のCr6+のクロム酸イオンが樹脂液
中に溶出し、樹脂液をゲル化させてしまう問題がある。
以上の点からも、樹脂組成物は溶剤型のものが好まし
い。
樹脂組成物に使用する溶剤種としては、炭化水素系、
ケトン系、エステル系、エーテル系、低分子(C4以下)
のアルコール類、もしくは2・3級の水酸基を有するア
ルコール類の1種以上を混合して使用できるが、高沸点
のアルコール系溶媒は、樹脂皮膜の硬化反応を阻害する
ために好ましくない。
樹脂組成物の硬化には、硬化剤のイソシアネートと基
体樹脂中の水酸基とによるウレタン化反応を主反応とす
ることが好ましいが、塗布する前の樹脂組成物を安定に
保存するためには、硬化剤のイソシアネート基の反応性
を制御するためイソシアネート化合物をブロックする必
要がある。このブロック方法としては、加熱時にブロッ
ク基が脱離し、イソシアネート基が再生するブロック方
法がある。
イソシアネート化合物としては、1分子中に少なくと
も2個のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環族(複
素環を含む)または芳香族イソシアネート化合物、若し
くはそれらの化合物を多価アルコールで部分反応させた
化合物がある。例えば、 (1)m−またはP−フェニレンジイソシアネート、2,
4−または2,6−トリレンジイソシアネート、またはp−
キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート (2)上記(1)の化合物の単独または混合物と、多価
アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコー
ル等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプ
ロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール等の
4価アルコール、ソルビトール、ジペンタエリスリトー
ル等の6価アルコール等)との反応生成物で、1分子中
に少なくとも2個のイソシアネート基が残存する化合物 などがある。
また、このブロック剤としては、例えば、 (1)メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ール、オクチルアルコール等の脂肪族モノアルコール (2)エチレングリコールおよび/またはジエチレング
リコール等のモノエーテル (3)フェノール、クレゾール等の芳香族アルコール (4)アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム等
のオキシム などがあり、これらの1種以上と前記イソシアネート化
合物とを反応させることにより、少なくとも常温下で安
定にブロックされたイソシアネート化合物を得ることが
できる。
このようなイソシアネート化合物は硬化剤としてエポ
キシ樹脂に配合され、その配合比率は、エポキシ樹脂/
硬化剤=95/5〜60/40(不揮発分の重量比)、好ましく
は90/10〜70/30である。イソシアネート化合物は吸水性
があり、エポキシ樹脂/硬化剤比で90/10を超えて配合
すると樹脂皮膜の硬化が不十分となり、耐食性、塗料密
着性が劣化し、特に90/5を超えるとその傾向がさらに顕
著となる。一方、70/30未満では塗料密着性が劣化し、
特に60/40未満ではその傾向がさらに顕著となる。
さらに、硬化剤としてメラミン、尿素およびベンゾグ
アナミンから選ばれた1種以上に、ホルムアルデヒドを
反応させたアルキルエーテル化アミノ樹脂をイソシアネ
ート化合物と併用してもよい。
なお、有機樹脂は、以上のような硬化剤で十分硬化す
るが、さらに低温での反応性を増大させるため、硬化促
進触媒を使用することが望ましい。この硬化促進触媒と
しては、例えば、N−エチルモルホリン、ジブル錫ジラ
ウリレート、ナフテン酸コバルト、塩化第一錫、ナフテ
ン酸亜鉛、硝酸ビスマス等がある。
また、塗料密着性、加工性等の向上を狙いとして、上
記の樹脂組成物にアクリル系、アルキッド系、ポリエス
テル系の樹脂を併用してもよい。
本発明は、樹脂皮膜を構成する有機樹脂組成物中にシ
リカおよび/または難溶性クロム酸塩を配合することに
より、耐食性をさらに向上させることができる。
シリカは、腐食環境中で微量に溶解し、ケイ酸イオン
が皮膜形成型腐食抑制剤として機能することにより、防
食効果が発揮されるものと推定される。
ここで、有機樹脂中へのシリカの添加量としては、有
機樹脂/シリカの重量比が90/10を超えると、シリカに
よる防食効果が十分に発揮されず耐食性が劣る。一方、
40/60未満であると、有機樹脂のバインダーとしての効
果が不十分となり、塗料密着性が劣化する。
本発明で使用するシリカとしては、乾式シリカ(例え
ば、日本アエロジル(株)製のAEROSIL 130、AEROSIL 2
00、AEROSIL 300、AEROSIL 380、AEROSIL R972、AEROSI
L R811、AEROSIL R805、AEROSIL R974等)、コロイダル
シリカ(溶剤型の有機樹脂に対しては、例えば日産化学
工業(株)製のMA−ST、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、E
G−ST、XBA−ST、ETC−ST、DMAC−ST等。水分散型・水
溶性の有機樹脂には、例えば日産化学工業(株)のスノ
ーテックス20、スノーテックスC、スノーテックスN、
スノーテツクスO、スノーテックスS等)、湿式シリカ
・沈降法(例えば、徳山曹達(株)製T−32(S)、K
−41、F−80)、湿式シリカ・ゲル法(例えば、富士デ
ヴィソン化学(株)製サイロイド244、サイロイド150、
サイロイド72、サイロイド65、SHIELDEX等)などを使用
することができる。また、上記のシリカを1種以上混合
して使用することも可能である。
自動車の電着塗装工程での仕上外観および耐食性を考
慮すると、シリカ表面のシラノール基をメチル基等で置
換し疎水化したシリカよりも、疎水化してないシリカの
方が好ましい。
また、樹脂中に添加される難溶性クロム酸塩は、クロ
メート層とほぼ同様な防食機構により、アルミニウム合
金板の腐食を抑制するものと考えられる。
ここで、有機樹脂中への難溶性クロム酸塩の添加量と
して、有機樹脂/難溶性クロム酸塩の重量比が90/10を
超えると、難溶性クロム酸塩による防食効果が十分に発
揮されず耐食性が劣る。一方、40/60未満であると、有
機樹脂のバインターとしての効果が不十分となり塗料密
着性が劣化する。
本発明で使用する難溶性クロム酸塩としては、クロム
酸バリウム(BaCrO4)、クロム酸ストロンチウム(SrCr
O4)、クロム酸カルシウム(CaCrO4)、クロム酸亜鉛
(ZnCrO4・4Zn(OH))、クロム酸亜鉛カリウム(K2O
・4ZnO・4CrO3・3H2O)、クロム酸鉛(PbCrO4)等の微
粉末がある。
また、上記の難溶性クロム酸塩を1種以上混合して使
用することも可能である。ただし、耐食性の観点から
は、長期にわたってクロム酸イオンによる自己修復効果
の持続性が期待できるクロム酸バリウム、クロム酸スト
ロンチウムが好ましい。また、自動車の塗装前処理工程
において有機樹脂皮膜中からの水可溶性クロムの溶出を
できるだけ少なくするという観点からは、クロム酸バリ
ウムが好ましい。
本発明では、有機樹脂組成物中にシリカおよび難溶性
クロム酸塩を特定の比率で複合添加することにより、双
方の防食効果の相乗効果により最も優れた耐食性を実現
できる。すなわち、シリカおよび難溶性クロム酸塩が重
量比で、 (a)有機樹脂/(シリカ+難溶性クロム酸塩) =90/10〜40/60 (b)シリカ/難溶性クロム酸塩 =90/10〜10/90 の割合で配合された場合に最も優れた耐食性を得ること
が可能となる。ここで、有機樹脂/(シリカ+難溶性ク
ロム酸塩)比が、90/10を超えるとシリカおよび難溶性
クロム酸塩による防食効果が十分に発揮されず耐食性が
劣る。一方、40/60未満であると、有機樹脂のバインダ
ーとしての効果が不十分となり塗料密着性が劣化する。
また、シリカ/難溶性クロム酸塩比が90/10を超えて
も、10/90未満でも相乗効果が不十分となり、耐食性が
やや劣る。
なお、本発明では、上記のシリカおよび/または難溶
性クロム酸塩が主な有機樹脂皮膜中への添加剤成分とな
るが、その他にも界面活性剤、シランカップリング剤、
着色顔料、着色染料、防錆顔料(例えば、トリポリリン
酸二水素アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウ
ム、リン酸亜鉛等)、導電顔料(例えば、リン化鉄、ア
ンチモンドープ酸化錫等)、潤滑剤(例えば、ポリエス
テル系ワックス、テフロン、グラファイト、二硫化モリ
ブデン等)など中から1種以上を配合することができ
る。
本発明のアルミニウム合金板は、通常、両面に上記の
ような皮膜を有するが、必要に応じて、片面のみに上記
のような皮膜を形成させ、他の片面を非被覆面(アルミ
ニウム合金表面のまま)としたり、或いはクロメート皮
膜のみを形成させるようにすることも可能である。
〔実施例〕
自動車車体用のアルミニウム合金板として、アルミニ
ウム合金板をアルカリ脱脂後、水洗・乾燥し、クロメー
ト処理を施し、次いで、有機樹脂組成物をロールコータ
ーにより塗布し、焼付けた。
得られたアルミニウム合金板について、耐食性、塗料
密着性、溶接性、カチオン電着塗装性、耐傷付き性の各
試験を行った。本実施例の処理条件は以下の通りであ
る。
(1)アルミニウム合金板 第1表に示す厚さ1mmのアルミニウム合金板を処理原
板として用いた。
(2)クロメート処理 塗布型クロメート処理 クロム酸濃度、リン酸イオン濃度、ジルコニウムフッ
化物イオン濃度、亜鉛イオン濃度、Cr6+/Cr3+の重量
比、クロム酸/ジルコニウムフッ化物イオンの重量比を
種々変化させた処理液をロールコーターにより塗布し、
水洗することなく乾燥させた。処理液の組成を第2表お
よび第3表に示す。
クロメート皮膜の付着量は、ロールコーターのピック
アップロール/アプリケーターロール/ストリップの周
速比を変化させて調整した。
電解クロメート処理 無水クロム酸:30g/、硫酸:0.2g/、浴温:40℃の処
理液を用いて、電流密度:10A/dm2で被処理物を陰極電解
処理し、水洗、乾燥させた。クロメート皮膜の付着量
は、通電量を制御することにより調整した。
反応型クロメート処理 無水クロム酸:50g/、リン酸:10g/、NaF:0.5g/
、K2TiF6:4g/、浴温:60℃の処理液を用いて、被処
理物にスプレー処理し、水洗、乾燥した。クロメート皮
膜の付着量は、処理時間を変化させ調整した。
(3)有機樹脂組成物 第4表に、本発明における有機樹脂組成物の有機樹脂
および硬化剤を示す。なお、第4表における樹脂A、樹
脂Bおよび硬化剤a、硬化剤bについては、下記に示す
方法で作成した。
第5表に有機樹脂組成物の有機樹脂に配合するシリカ
を示す。また、第6表に有機樹脂組成物の有機樹脂に配
合する難溶性クロム酸塩を示す。
樹脂A:攪拌装置、還流冷却器、温度計、液体滴下装置
を有する反応装置に油化シェルエポキシ(株)製エピコ
ート1009(1880g=0.5モル)とメチルイソブチルケトン
/キシレン=1/1(重量比)の混合溶媒1000gを加えた
後、攪拌・加熱し、溶媒の沸点下で均一に溶解した。次
に70℃まで冷却し、液体滴下装置に分取したジ(n−プ
ロパノール)アミン70gを30分を要して滴下した。この
間、反応温度を70℃に保持した。滴下終了後、120℃で
2時間保持し、反応を完結させた。得られた反応生成物
を樹脂Aとする。樹脂Aの有効成分は66%である。
樹脂B:還流冷却器、攪拌装置、温度計および窒素ガス
吹き込み装置を有する反応装置に、油化シェルエポキシ
(株)製エピコート1004(1600g)にペラルゴン酸(試
薬)57g、キシレン80gを加え、170℃で反応物の酸価が
ほぼ0になるまで反応させた。次に、減圧下でキシレン
を除去し、反応中間体を得た。攪拌装置、還流冷却器、
温度計、液体滴下装置を有する反応装置に、この反応中
間体(1650g)とキシレン1000gを加えた後、100℃に加
熱し、液体滴下装置に分取したジエタノールアミン65g
とモノエターノルアミン30gとを30分を要して滴下し
た。滴下終了後、120℃で2時間保持し、反応を完結さ
せた。得られた反応生成物を樹脂Bとする。樹脂Bの有
効成分は63%であった。
硬化剤a:温度計、攪拌装置および還流冷却器を有する
反応装置に4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート250
g、ジイソブチルケトン50gを取り、均一に攪拌混合した
後、エチレングリコールモノエチルエーテル184gを加
え、90℃で2時間、次いで110℃で3時間反応させ、完
全にウレタン化した硬化剤aを得た。硬化剤aの有効成
分は89%であった。
硬化剤b:温度計、攪拌装置および滴下ロート付還流冷
却器を有する反応装置に、イソホロンジイソシアネート
222gを取り、これにメチルイソブチルケトン100gを加
え、均一に溶解した後、50%のトリメチロールプロパン
のメチルイソブチルケトン溶液88gを、前記滴下ロート
から70℃に保持した攪拌状態のイソシアネート溶液中に
1時間を要して滴下した。次に、さらに70℃で1時間保
持したのち、90℃で1時間保持した。その後、n−ブチ
ルアルコール230gを加え、90℃で3時間反応させてブロ
ックイソシアネートを得た。この反応生成物を硬化剤b
とする。硬化剤bの有効成分は76%であった。
以上のようにして作成したアルミニウム合金板の構成
を第7表〜第11表に、また、それらの耐食性、塗料密着
性、溶接性、カチオン電着塗装性および耐傷付き性の評
価結果を第11表〜第16表にそれぞれ示す。なお、各特性
の評価方法は以下の通りである。
(a)耐食性 供試材に日本ペイント(株)製U−600でカチオン電
着塗装(20μ)を行い、次いで、関西ペイント(株)製
KPX−36で中塗り塗装(35μ)し、さらに関西ペイント
(株)製ルーガベークB−531で上塗り塗装(35μ)を
行った。これらの試験片の塗膜にカッターナイフでクロ
スカットを入れて、〔塩水噴霧試験・24時間→湿潤試験
(25℃・相対湿度85%)・30日間〕を1サイクルとする
複合腐食試験を2サイクル行い、クロスカット部からの
糸錆の長さにより耐食性を評価した。
◎:1.0mm未満 ○:1.0mm以上〜2.0mm未満 △:2.0mm以上〜3.0mm未満 ×:3.0mm以上 (b)塗料密着性 供試材に(a)と同様の電着塗装・中塗り塗装・上塗
り塗装を行い、これらの試験片を40℃のイオン交換水中
に240時間浸漬した。次いで、試験片を取り出し、24時
間・室温で放置した後、塗膜に2mm間隔の碁盤目を100個
刻み、セロテープを粘着・剥離して塗膜の残存率で評価
した。
◎:剥離なし ○:3%未満 △:3%以上〜10%未満 ×:10%以上 (c)溶接性 単相整流式溶接機を用い、加圧力:300kg、通電時間:8
サイクル、電流:20kA、電極先端径:150Rの条件でスポッ
ト溶接を行った。電極は供試材・電極間でスパークが発
生すると著しく損傷を受けることから、通電時の状況で
溶接性を評価した。
◎:スパーク発生なし ○:僅かにスパーク発生有り △:顕著なスパーク発生有り ×:通電不可(溶接不可) (d)カチオン電着塗装性 日本ペイント(株)製U−600でカチオン電着塗装(2
0μ)を行ない、クレータリングの発生密度で、カチオ
ン電着塗装性を評価した。
◎:0個/dm2 ○:1個/dm2〜5個/dm2 △:6個/dm2〜10個/dm2 ×:11個/dm2以上 (e)耐傷付き性 加重式引っ掻き強度試験機を用いて、一定荷重の下
で、供試材をサファイア針(0.05mmφ)で引っ掻き試験
を行い、傷が観察され始めた荷重で評価した。
◎:50g以上 ○:40g以上〜50g未満 △:30g以上〜40g未満 ×:30g未満 第7表ないし第16表において、No.1〜24、No.49、No.
50はクロメート処理の影響について調べたものである。
No.1およびNo.25〜36は、アルミニウム合金板の影響
について調べたものである。
No.1およびNo.37〜48は有機樹脂組成物中に配合する
樹脂の影響を調べたものである。
No.51〜56は、有機皮膜の膜厚の影響について調べた
ものである。
No.1およびNo.57〜61は、有機樹脂組成物中に配合す
るシリカの影響を調べたものである。
No.1およびNo.62〜65は、有機樹脂組成物中に配合す
るクロム酸塩の影響を調べたものである。
No.66〜69は、有機樹脂組成物中に配合した有機樹脂
と〔シリカ+クロム酸塩〕の配合比の影響を調べたもの
である。
No.70〜74は、有機樹脂組成物中に配合した有機樹脂
とシリカの配合比の影響を調べたものである。
No.75〜79は、有機樹脂組成物中に配合した有機樹脂
とクロム酸塩の配合比の影響を調べたものである。
No.80〜81は、有機樹脂組成物中に配合したシリカと
クロム酸塩の配合比の影響を調べたものである。
No.82はクロメート処理のみを行なった比較例であ
る。
(注1)第1表参照 (注2)塗布型クロメートについては、第2表および第
3表参照。例えば、「塗布1」は、第2表中のNo.1の処
理液で塗布型クロメート処理を行ったことを示す。
(注3)第4表参照 (注4)第5表参照 (注5)第6表参照 (注6)有機樹脂組成物中の有機樹脂と〔シリカ+難溶
性クロム酸塩〕の重量比(不揮発分重量比)。
(注7)有機樹脂組成物中に配合された、シリカと難溶
性クロム酸塩の重量比(不揮発分重量比)。
〔発明の効果〕 以上のように、本発明のアルミニウム合金板は優れた
耐食性、塗装密着性、溶接性、電着塗装性を有し、しか
も、アルミニウム合金板を使用する上での大きなネック
であったハンドリング時の耐傷付き性についても、優れ
た性能を有している。
また、本発明のアルミニウム合金板は、既存の鋼板用
表面処理設備をそのまま使用して製造することができる
ため、既存の自動車製造工程にクロメート処理設備を新
設することなく、上記諸性能に優れたアルミニウム合金
板を使用することが可能であり、コスト的にも極めて有
利である。
さらに、本発明のアルミニウム合金板では、リン酸塩
処理液中へのアルミニウムの溶出が抑制されるため、鋼
板とアルミニウム合金板を既存の自動車用リン酸塩処理
工程で同時に処理しても、リン酸塩皮膜の形成を阻害す
ることがない。また、アルミニウム合金板のみを使用す
る場合には、リン酸塩処理工程を省略しても優れた耐食
性、塗料密着性等を得ることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−104633(JP,A) 特開 平3−39485(JP,A) 特開 昭50−45739(JP,A) 特開 昭64−87783(JP,A) 特開 昭61−177238(JP,A) 特開 昭63−21314(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 C09D 163/00 B32B 15/08

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム合金板表面に、第1層として
    クロメート付着量が金属クロム換算で10〜200mg/m2のク
    ロメート層を有し、その上層に第2層として膜厚が0.3
    〜5μmの有機樹脂皮膜を有し、 前記有機樹脂皮膜を構成する有機樹脂組成物が、樹脂の
    末端に少なくとも1個以上の塩基性窒素原子と少なくと
    も2個以上の1級水酸基とを付加させたエポキシ樹脂
    と、ポリイソシアネート化合物およびブロックイソシア
    ネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の
    硬化剤とを、下記割合(重量比)で含有し、 エポキシ樹脂/硬化剤=95/5〜60/40 且つ、前記有機樹脂皮膜が、有機樹脂に対して下記割合
    (重量比)のシリカを含むことを特徴とする耐傷付き性
    および耐食性に優れたアルミニウム合金板。 有機樹脂/シリカ=90/10〜40/60
  2. 【請求項2】アルミニウム合金板表面に、第1層として
    クロメート付着量が金属クロム換算で10〜200mg/m2のク
    ロメート層を有し、その上層に第2層として膜厚が0.3
    〜5μmの有機樹脂皮膜を有し、 前記有機樹脂皮膜を構成する有機樹脂組成物が、樹脂の
    末端に少なくとも1個以上の塩基性窒素原子と少なくと
    も2個以上の1級水酸基とを付加させたエポキシ樹脂
    と、ポリイソシアネート化合物およびブロックイソシア
    ネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の
    硬化剤とを、下記割合(重量比)で含有し、 エポキシ樹脂/硬化剤=95/5〜60/40 且つ、前記有機樹脂皮膜が、有機樹脂に対して下記割合
    (重量比)の難溶性クロム酸塩を含むことを特徴とする
    耐傷付き性および耐食性に優れたアルミニウム合金板。 有機樹脂/難溶性クロム酸塩=90/10〜40/60
  3. 【請求項3】アルミニウム合金板表面に、第1層として
    クロメート付着量が金属クロム換算で10〜200mg/m2のク
    ロメート層を有し、その上層に第2層として膜厚が0.3
    〜5μmの有機樹脂皮膜を有し、 前記有機樹脂皮膜を構成する有機樹脂組成物が、樹脂の
    末端に少なくとも1個以上の塩基性窒素原子と少なくと
    も2個以上の1級水酸基とを付加させたエポキシ樹脂
    と、ポリイソシアネート化合物およびブロックイソシア
    ネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の
    硬化剤とを、下記割合(重量比)で含有し、 エポキシ樹脂/硬化剤=95/5〜60/40 且つ、前記有機樹脂皮膜が、有機樹脂に対して下記割合
    (重量比)のシリカと難溶性クロム酸塩とを含むことを
    特徴とする耐傷付き性および耐食性に優れたアルミニウ
    ム合金板。 有機樹脂/(シリカ+難溶性クロム酸塩)=90/10〜40/
    60 シリカ/難溶性クロム酸塩=90/10〜10/90
  4. 【請求項4】アルミニウム合金板表面に、液組成が下記
    のように調整されたクロメート液を塗布して水洗するこ
    となく乾燥させるクロメート処理を施し、次いで有機樹
    脂組成物を塗布し、焼付処理することを特徴とする耐傷
    付き性および耐食性に優れたアルミニウム合金板の製造
    方法。 無水クロム酸:5〜100g/ リン酸イオン:0.5〜20g/ ジルコニウムフッ化物イオン:0.2〜4g/ 亜鉛イオン:0.2〜7g/ Cr6+/Cr3+:3/4〜3/2(重量比) クロム酸/ジルコニウムフッ化物イオン:10/1〜100/1
    (重量比)
  5. 【請求項5】有機樹脂に対して下記割合(不揮発分の重
    量比)のシリカが配合された有機樹脂組成物を塗布する
    ことを特徴とする請求項(4)に記載の耐傷付き性およ
    び耐食性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。 有機樹脂/シリカ=90/10〜40/60
  6. 【請求項6】有機樹脂に対して下記割合(不揮発分の重
    量比)の難溶性クロム酸塩が配合された有機樹脂組成物
    を塗布することを特徴とする請求項(4)に記載の耐傷
    付き性および耐食性に優れたアルミニウム合金板の製造
    方法。 有機樹脂/難溶性クロム酸塩=90/10〜40/60
  7. 【請求項7】有機樹脂に対して下記割合(不揮発分の重
    量比)のシリカと難溶性クロム酸塩とが配合された有機
    樹脂組成物を塗布することを特徴とする請求項(4)に
    記載の耐傷付き性および耐食性に優れたアルミニウム合
    金板の製造方法。 有機樹脂/(シリカ+難溶性クロム酸塩)=90/10〜40/
    60 シリカ/難溶性クロム酸塩=90/10〜10/90
  8. 【請求項8】有機樹脂組成物を構成する有機樹脂がエポ
    キシ樹脂であることを特徴とする請求項(4)、
    (5)、(6)または(7)に記載の耐傷付き性および
    耐食性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
  9. 【請求項9】エポキシ樹脂が、樹脂の末端に少なくとも
    1個以上の塩基性窒素原子と少なくとも2個以上の1級
    水酸基とを付加させたエポキシ樹脂であることを特徴と
    する請求項(8)に記載の耐傷付き性および耐食性に優
    れたアルミニウム合金板の製造方法。
  10. 【請求項10】有機樹脂組成物が、樹脂の末端に少なく
    とも1個以上の塩基性窒素原子と少なくとも2個以上の
    1級水酸基とを付加させたエポキシ樹脂と、ポリイソシ
    アネート化合物およびブロックイソシアネート化合物か
    らなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤とを、下
    記割合(不揮発分の重量比)で含有することを特徴とす
    る請求項(4)、(5)、(6)または(7)に記載の
    耐傷付き性および耐食性に優れたアルミニウム合金板の
    製造方法。 エポキシ樹脂/硬化剤=95/5〜60/40
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